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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 351 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/07/02(木) 21:32:57.95 ID:JiI9QVaH0
- 「ちい、猪が……!」
罵るもその前進を止めることはできず、ついには眼前に。
「よくも!父上を!」
「あほんだらあ!」
ついには単騎で切り込んだ馬超の槍は張遼に向けられる。
二合、三合と切り結びながらも、矢継ぎ早に配下へ指示を飛ばす張遼こそ褒められるべきであろう。
だが。
「ああもう!うっざ!」
張遼の指示を上回り馬家軍はその勢いを増す。増していく。
打つ手全てに対応し、その裏を掻こうという悪辣な動き。放置すれば致命傷になる嫌らしい一撃。
薄い陣構えを突破しようと下知を下すも言葉一つで阻まれる。
「ここにいるぞー!」
そしていつの間にか馬岱は実際に分厚く防衛線を構築するのだ。
「ええい!うっとおしい!」
張遼は心底叫ぶ。全力で向かえば突破できるだろうに。馬岱ごときが敷く防衛線なぞ。だが。
「張遼!覚悟!死ねえええええええええ!」
その槍は度々張遼に迫る。流石に片手間に対応できるものではない。
「ああもう、やってられん!」
馬家の用兵は支離滅裂なのに、変に噛み合って結局は戦線を押し上げている。
単騎で突撃する馬超。そしてそれを援護しようともしない馬岱。だが、それは結果としてこの上もなく噛み合って張遼の意図を妨げ、戦場を混沌と化している。
そして馬超にかかりきりなれば戦局は馬家に。戦局を優先すれば手元の兵は馬超により切り裂かれる。
これではまるで。
「馬騰はんを相手してるみたいやないか……」
個人の武と軍としての武。それが絶妙に噛み合って匈奴相手ですら連戦連勝であったあの日。帰ってはこない黄金の日々。
それが馬家軍。その一員であったからこそ張遼はその厄介さに舌打ちする。
そしてその刹那の感慨すら読み取るか如くに馬岱は軍を操る。
馬超の影に隠れていた凡庸な係累。それが馬岱に対する評価であった。だが、そんな評を下した過去の自分を切り捨てたいとばかりに張遼は盛大に舌打ちを重ねる。
「く、ここまでやるか!やってくれるやないか!」
だから、後は頼む。馬家軍はせめてここに釘付けにしてやるから、後は頼んだ。
「恋!頼んだで!」
肺腑より絞り上げたその声は、万夫不当の飛将軍に届いただろうか。
どうあれ。その直後、真紅の呂旗が動きだすのであった。
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