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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 318 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/06/12(金) 22:37:38.43 ID:S9RcxdRd0
- 「しかしまあ、まさか水関をどうするのかと思ったら。埋め立てるとはなあ」
その発想はなかったな、と苦笑交じりに頬を掻くのは北郷一刀。義勇軍を率いる劉備一党のご主人様である。
「ええ、袁家が攻城兵器を持っているというのは知ってはいましたが、あれほどまでに鮮やかな運用。そしてこのような戦術。
前代未聞と言っていいでしょう。
……お恥ずかしながら私も雛里ちゃんもこのような展開は予想だにしていませんでした。
攻城戦には妙手なぞなく、衝車で門扉を破るか櫓車で城壁を制するかくらいしか本来ありえません。
……まあ、こんなにも攻城兵器を揃えている袁家の存念は留意する必要がありますが」
陰鬱に諸葛亮が応える。
その声に意外そうに北郷一刀は答える。
「え?でも水関や虎牢関という難攻不落の関を攻めるんだから、攻城兵器を準備するのは当たり前じゃないのか?」
道理である。だが、と諸葛亮は思う。
一体、なぜあんなにも大量の攻城兵器を袁家は準備していたのだと。
「攻城兵器。そんなものを諸侯が持っているのがおかしいのです。
そもそも袁家の職責は北方に於いての匈奴への備え。
匈奴は城邑を落としたとしても、略奪するのみですぐさまその場を去ります。ですから、本来攻城兵器なんて必要ないのです。
騎兵に籠城させても強みを消すだけですし」
「朱里ちゃんの言う通りです……。もっと言えば、あそこまで鮮やかな運用を見るに、常から攻城兵器を使う想定をし、訓練していたのは間違いない、です。
そこで問題になるのは、一体なぜ袁家は攻城兵器を準備し、運用する訓練をしていたか、です……」
ふむ、と北郷一刀は考え込む。
かの伏竜鳳雛が懸念を呈するのであればそれはきっと重大なのだろう。
そして袁家の思惑を推察する。
「――。つまり、朱里と雛里は。こう言いたいのかい?袁家はもともと攻城戦をするつもりだったって?」
是、と諸葛亮は頷く。
「はい。そうとしか考えられません。ひょっとしたら袁家は中華に覇を唱えるつもりなのかもしれません」
ふむ、と北郷一刀は頷く。なるほど。これからは乱世になるのだ。そう思う諸侯があってもおかしくはない。そういえば袁家なんて皇帝を僭称したっけ。あれは袁紹だったか袁術だったか。
「虎牢関が落ちれば、あとは無防備な洛陽のみです。ご主人様の仰る通り、手柄を。目に見える派手な武勲を挙げるには虎牢関の戦いにて戦働きする必要があるでしょう。
ですが、いよいよ恋さんを相手取らないといけなくなります。
万夫不当の飛将軍。恋さんは個人で戦局を変えるほどの武を持っています。ですから、それをどう防ぐか、がこの反董卓連合の焦点になるでしょう」
いっそ悲しげに呟く諸葛亮。そして鳳統に北郷一刀は問う。問わずにはいられない。
「なあ、ひょっとして朱里と雛里は。
董家軍がどう出るかって読み切ってるのかな?」
諸葛亮と鳳統は、黙りながらも、是、と頷くのであった。
「乾坤一擲。それしかないでしゅ……」
「朱里ちゃん、噛んでるよ……」
「はわわ……。やっちゃった……。
で、でも。それしかいないのです。
結論としては袁家当主を討つ。これに尽きます。むしろこれ以外にこの状況。
追い詰められたこの状況をひっくり返すことはできないと思います」
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