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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 230 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/04/06(月) 21:37:10.47 ID:TCMDsT8z0
- ◆◆◆
ふむ、と郭嘉は満足げに頷く。
これまでのやり取りで掴んだのだ。把握したのだ。
脅威たる勢力はどこかというのが理解できたのだ。つまり、この段階において戦後を睨んでいるのは曹家と孫家。
袁家が政権を担う漢朝。其れを支えるであろうは馬家と公孫。
さて、と思う間もなく仕える主君は盟主として承認を得る。
曹操が提示した、諸侯の兵力に対する支配については一先ず棚上げされることになるであろう。
まあ、それもこの戦に勝ってからのことではあるのだが。
「ちょっといいかな」
発言したのは末席の義勇軍を率いる男。不思議な言動で支持者も意外にいると聞く。
警戒しつつ、出鼻をくじくべく口を開く前に男は言葉を紡ぐ。
「袁紹さんが総指揮を摂るのはいい。でも、どうやって難攻不落の水関、そして虎牢関を落とそうと思ってるんだ?
その腹案を伺いたい」
「はあ?そんなこと、このわたくしが考えることではありませんわね」
ざわり、と空気が動く。
それに気をよくしたのか北郷一刀は更に切り込む。
「精強なる董卓軍。それに頑強なる水関、虎牢関。いったい盟主殿はどのような絵図を描いているのかな?」
いっそ穏やかな問いかけに袁紹は艶然とした笑みを浮かべる。
そして袁紹の覇気、光輝は場を多い、席巻する。
「そんなの決まってるでしょう?
華麗に。優雅に。雄々しく!」
名門袁家の勝利にはそれこそが相応しいと袁紹は高く笑う。
はあ?と声を発する者、無言で頷く者、どう判断していいか分からずに左右を見渡す者、ニヤリ、と口を歪ませる者、無関心で心の炎を燃やす者。
それらすべてを無表情に郭嘉は拾い上げる。いや、このように各人の心底を揺るがし、反応を引き出す主君に内心舌を巻く思いではある。
そして満面の笑みの青年の器についても評価を上方修正せねばいけないであろうと。
「おーっほっほ!
二郎さん、些事はお任せしましたわ。
いいですこと、みなさん。二郎さんの言はわたくしの言。二郎さんの決定はわたくしの決定。
わきまえてくださいましね。さあ、行きますわよ、猪々子さん、斗詩さん」
悠然とその場を去る袁紹を留める者はいない。
ある者は格の違いに打ちひしがれ、ある者はここで争うのは得策ではないと思い定め、ある者はいずれボロが出るであろうと見極め、ある者はこれでこそ我が主君と意気軒昂。
そして、場を任された凡人はその重責に気を引き締める。
だが、その口元は僅かに緩んでいるのであった。
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