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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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210 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/17(火) 21:49:29.04 ID:gHMLdQLZ0
だが、沈黙しててもしょうがないのでこの状況を変えようと口を開く。

「このたびは、馬騰さんは真(まこと)に残念なことに……」

言い募ろうとした俺に蒲公英が言葉をかぶせる。

「袁家家中においても同様。お悔やみ申し上げます。
 かの匈奴戦役よりの宿将、雷薄どのをはじめ有望な人材を喪ったというのは――」
「いや、ご当主を亡くされた馬家に比べれば。こちらこそお悔やみ申し上げる。
 本当に偉大な方だった。英傑、というのは馬騰さんのことを言うのだろうさ」

暫し、しんみりとした空気が流れる。うん、さっきまでのいたたまれない空気よりははるかにましだ。
いや、馬騰さんを悼んでいるのは本当だ。
本当に、益荒男というのは、武人というのは、馬騰さんのことなのであろう。そんな人だった。

「――にしても遠路はるばる感謝するよ。実際、馬家単独で函谷関に挑むかと思っていたからな」

実際、危惧していたのだ。馬家はその怒りのままに函谷関に押し寄せるのではないかと。
それに、袁家の呼びかけに易々と応じるかという懸念もあった。ある意味袁家の下風に立つに近しいからな。

「は、戦場が虎牢関と水関ならば、あの張遼と対する機会を失うかもしれないじゃないか。
 董家軍を討つのはいい。だが、張遼だけは私に討たせろ。父上の仇を、そのために私はここにいるんだ!」

その瞳には暗い炎が宿っており、思わず一歩後ずさってしまいそうになる。
はい、全力の翠の前ではクソ雑魚ナメクジだからね。仕方ないね。

「神速の張遼。いいだろう。そこについては馬家軍に任せるさ」
「ならばいい。陣構えとか、そんなのはどうでもいい。張遼を討つためならば馬家軍は最後の一兵まで火の玉となって燃え尽きることも厭わん!」

それだけ言って翠は踵を返す。
なーんかなあ。もっと明るく笑う女の子だったのになあ。などと思っていたら蒲公英が俺の耳元で囁く。こしょこしょと。

「ごめんね、二郎様。でも、お姉さまの手綱はたんぽぽに任せてね?
 今のお姉さまと遣り合えるとしたらそれこそ中華に三人といないと思うけど、なんか危ういんだよねー。
 それはそれとして、お姉さまが言った通り馬家は反董卓連合の主導権について袁家と争うつもりはないよ。
 だからまあ、色々大目に見てね?」

「こら、蒲公英!行くぞ!」

はーいと応えながら蒲公英は踵を返す。一度振り返り、にこやかに手を振ってくる。

反董卓連合。
漢朝でも有数の雄たる馬家が、主導権をあっさりと譲ってくれたことに俺は安堵する。
ここでごねられるとちょっとばかし面倒だったからな。

これでひとまず稟ちゃんさんに大きな顔ができそうだ。

いよいよ、反董卓連合の第一回の会議が開かれるのだ。
ああ、メイン軍師の不在が痛い!

風!カムバーック!
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