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真・恋姫無双【凡将伝Re】4
- 195 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/03/10(火) 21:31:56.74 ID:AEwN0Gam0
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「さてさて、お呼びとのことですが〜」
午睡したくなるような陽だまりの口調で程立はふわり、と笑いかける。
それを迎える少女はこれもまた美少女。ただ、眉間に刻まれたものがなければいいのに、と。どこぞの凡人ならば間違いなく思ったであろう。そう程立は思う。
彼女が政務に励むその机上には幾多の書類が積み重なっており、彼女――言うまでもなく、賈駆である。現董卓政権を一身に支えている人物だ――は険のある表情で程立を睥睨する。
「言うまでもないでしょう。さっさと世を乱すような行いはやめなさい」
冷然と発せられた言葉に程立は苦笑する。いや、どうにも。
単刀直入とはこのことか。だが。
「いや〜。風にはなにをおっしゃっているかまるで分からないのですね〜。
軟禁状態のこの身。何を為すことができるやら、ご教授願いたいのですよ〜」
心底困った風に、或いはけらけらと嘲笑するように程立は笑う。くすくすと笑う。
その笑みに賈駆は激昂する。
「いい加減にしてよね!あんたらが物資の流通を妨げているってのは分かってるのよ!
あんたら、何進より性質(タチ)が悪い!」
――控え目に言って洛陽の物流は混乱している。いや、滞っていると言ってもいい。それはこれまでの供給網(ルート)が機能していないからだ。
これにはわけがある。
洛陽の物流はかの何進の勢力下の商会が権勢を極めていた。心ある士大夫からは、みっともなく、利を卑しく喰う。蛮喰(ばろっく)商会と呼称される存在。
だが彼らの差配により、複雑怪奇な物流は運用されていたのである。が、それは破壊された。自然、代替の商流ができそうなものだが、それを賈駆は許さない。
管理できない物流の危険性を知っているからこそそれは許せない。
相対する程立は、目の前で柳眉を逆立てる少女を哀れにすら思うのだ。
既に彼女は、董家は詰んでいる。いや、市中の物流を滞らせているのは自分ではあるのだが。そして、蛮喰商会を魯粛の支配下に治めさせたのも自分なのだが。
そう考えると、目の前の少女が先ほど放った言葉は実に正しいのであろうな、と思う。思うだけだが。
「いやいや、魯粛さんを見くびっていましたかねえ」
賈駆が退出するのを見て。くふふ、と程立は笑う。
どんな手妻を使ったのか、確かに洛陽をかつて支配していた商流は手元にある。それを為した魯粛には程立も背筋に冷たい物を感じる。なるほど、主が目をかけるほどのことはある。
まあ、それはともかく。
「いやあ、明日のお米も肉も手に入らない。これが暴政でなくてなんでしょね〜」
くふふ、と笑う。艶やかに、哂う。
紀霊の悪評の八割は彼女の献策であるとまでに後世揶揄される彼女の本領はこれからであった。
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