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真・恋姫無双【凡将伝Re】4

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133 :一ノ瀬 ◆lAEnHrAlo. [saga]:2020/02/03(月) 22:30:00.84 ID:jmj/ziso0
袁家よりの檄文はあまねく諸侯に届けられた。
無論、北方において対匈奴の盾としてある公孫にもそれは届いている。
むしろ事前に、袁紹以下が帰参する前にも打診があったほどだ。それに応じるために準備は整えていた。
北方の備えをしつつの参戦。そう、黄巾の乱の時でも公孫賛は全力を出してはいない。

「はは、やっぱり麗羽も二郎も無事だったか。さもありなん、だな。
 あいつらがそんなに簡単にくたばる訳がないんだよ。
そんなこと、私は知ってたけどな!」

「ご高説勇ましくお見事。
不安げにあちこちと、うろうろと彷徨う姿。
それは行く宛のない迷子のようであったと記憶している。
だが安心してほしい。こと、ここに至って、だ。
そのようなこと、誰にも言うつもりはない。士気に関わる案件であるのを私は理解している。
 涙目で私にあれこれ弱音を吐いていたのも――」

 淡々と述べる韓浩の言葉に、公孫賛は悲鳴と抗議の声を同時に発する。

「うわあああああああ!言うな!忘れろ!忘れてくれー!」

まあ、こんなものかと韓浩は追及の手を収める。
なに、仮の主の平常心を取り戻させるのもお役目というもの。
ぜえぜえと呼気荒い公孫賛を見やり、頷く。これでこそだ、と。
それはそれとして、だ。
韓浩はぎり、と歯を噛みしめる。常になく、額に皺が寄る。

「ま、まあ、そのなんだ。黄巾の時と同じく留守は任せた」

いささか想定よりも消耗した感のある公孫賛の言。それに韓浩は首を横に振る。
決意を胸に。
言説は相変わらず淡々としているが。

「それには及ばない。今回は私も参軍する。させてもらう。
 田豊、麹義の両名の武威で匈奴の蠢動は抑えられる。これは確実。
 なれば戦力の分散は愚策というもの」

淡々と語る韓浩。
だがしかし、公孫賛はそこに隠しきれない熱を感じ取った。感じてしまった。

「いや、韓浩が参軍してくれるなら百人力だ。実際、ほんと、助かる。
 でも、有利不利じゃなくて、理由があるんじゃないか?」

公孫賛の言葉に韓浩は言葉を選び、それでも言う。言うのだ。
常になく、ほとばしる。

「雷薄どのが、討たれた。紀家の宿将である雷薄どのが。だ。
……実際、小生意気な小娘でしかなかった私だ。それなのに何くれとなくよくしてくれた。
 常々、恩義は返さねばと思っていた。
 そう、雷薄どのが討たれた。討たれてしまった。
それについて、いささか以上に思う所がある。

 ――参軍の許可を」

素直じゃないなあと公孫賛は思う。
恩人が志半ばに討たれた。だから仇を。
実に普通の話なのに。

「いいさ。韓浩が来てくれるなら、千人力だ。見せてやろうじゃないか、公孫の武威を。
 董家軍の騎兵も武名あるけどな、白馬義従も捨てたもんじゃない」

頷く韓浩の肩を抱き、公孫賛は笑う。
この無表情で無愛想な腹心――借り物ではあるが――の思いは無駄にはしない。するものか。
準備は万全。高らかに公孫賛は命じる。

「白馬義従、出るぞ!」

漢朝騎兵の最精鋭一万、洛陽を目指して出撃。

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