北条加蓮「藍子と」高森藍子「冬の始まりのカフェテラスで」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/11/10(日) 18:34:41.72 ID:2JbuYMCt0
――おしゃれなカフェテラス――

高森藍子「――あんなに暑かった毎日がいなくなってしまって、秋が来て……けれど温度は、ぐんぐんと下がっていくばかりです」

藍子「こうしてテラス席でのんびりできるのも、あと何回――」

藍子「ううん、今日が最後かもしれませんね……」

藍子「そう考えると……今という時間は、とても楽しい時間のはずなのに」

藍子「なんだか、切なくなってしまいます――」


北条加蓮「……おーい、藍子ー。そのセンチメンタルごっこ、いつまで続けるつもりー?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1573378481
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:35:18.68 ID:2JbuYMCt0
レンアイカフェテラスシリーズ第92話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

〜中略〜

・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「秋のカフェテラスで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「お客さんの増えたカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「膝の上で ななかいめ」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「思い浮かべるカフェで」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:35:47.70 ID:2JbuYMCt0
藍子「ごめんなさいっ。なんとなく、つい――」

藍子「あっ……。もしかして、加蓮ちゃん。寂しがらせてしまっちゃいましたか?」

加蓮「違うっ」

藍子「もしそうなら、ごめんなさいっ」

加蓮「違うって」

藍子「何か聞いてほしいお話があるのなら、何でも聞きますよ。それとも、私がお話した方が――」

加蓮「違うって言ってるでしょうが!」ペシ

藍子「痛いっ」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:36:15.56 ID:2JbuYMCt0
藍子「切なくなってしまう、なんていうのは、ちょっと大げさすぎたかな……?」

加蓮「大げさっていうより、何かの役にでもなりきってるのかな? ってくらい」

藍子「そうかもしれませんね……。最近、公演に参加させてもらったり、いつものLIVEでも、いつもとは違うことをさせてもらったり」

藍子「今でも、毎日が発見の連続です。だから……いつもの光景にも、何か違うものを求めてしまったりして」

加蓮「ふふっ。女優魂だ」

藍子「そ、そこまで大げさなものではありませんよ?」

加蓮「そう?」

藍子「でも、ここにいる間は、いつも通りの私ですよね。いつも通りの私と、加蓮ちゃん」

加蓮「そだね。あんなにアイドルを嫌がってた藍子ちゃんがいつの間にかアイドルバカになってたのは私的に嬉しいことだけど――」

藍子「まって、まってっ。いろいろと待ってください!」

加蓮「でもそれじゃ寂しいもんね。最近お仕事が続いたけど、今日は久々のオフ。そして久々のカフェ」

藍子「聞いて〜っ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:36:45.13 ID:2JbuYMCt0
加蓮「肩の力を抜いて、ゆっくりしよう? ほらほら、いつも通りのコーヒーでも飲んで……」

藍子「……」ズズ

加蓮「ね?」

藍子「……はいっ。ふふ。いつもは私が、加蓮ちゃんにリラックスしてって言っているのに。今日は、加蓮ちゃんから言われてしまいました」

加蓮「私だって言う時には言うもんねー」

藍子「私がアイドルになっていたように、加蓮ちゃんも、いつの間にかカフェのお客さんになっていたんですね……」

加蓮「……いやお客さんなのは最初からじゃない?」

藍子「もうっ。そういうことじゃなくて……」

加蓮「分かってる分かってる」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:37:15.44 ID:2JbuYMCt0
藍子「ずず……ふうっ。ごちそうさまでした♪」

加蓮「あっ、店員さんだー。いつも藍子が飲み終えるとすかさずやって来るよね」

藍子「今日もありがとうございます、店員さん」

加蓮「……えっ。なんでそこで困った顔すんの」

藍子「今のは、加蓮ちゃんが悪いですよ?」

加蓮「なんで!?」

藍子「それは――あっ。また注文する時にはお願いしますね。……同じコーヒーを飲む時でも、加蓮ちゃんが飲み終わっている時、私はまだ飲み終わっていないことの方が多いですよね? 私、のんびりしちゃうから……」

加蓮「うん、まぁそうだけど……」

藍子「加蓮ちゃん。考えてみてください。片方のお客さんがまだ飲み終わっていないのに、もう片方のお客さんのお皿だけを片付けに来るのは、失礼ではないでしょうか」

加蓮「……あー、確かに」

藍子「そういうことです。なのに加蓮ちゃんが、文句みたいに言っちゃうから……店員さんも、困ってしまったんですよ」

加蓮「……後で謝っとこ」

藍子「私も一緒に謝りますね」

加蓮「藍子は悪くないでしょー」
7 :※第84話 [sage saga]:2019/11/10(日) 18:37:45.38 ID:2JbuYMCt0
藍子「ところで、加蓮ちゃん。私、アイドルを嫌がったりしたことはありませんよ?」

加蓮「そこ戻るんだ。んー、私が言いたかったのは、ほら。さんざんアイドルらしくないとか自信がないとか言ってた藍子がってこと」

藍子「あ〜……」

加蓮「なのにいつの間にかアイドルバカになっちゃって? ちょっと間ができたらシリアスな演技を始めちゃうし」

藍子「もう、加蓮ちゃんっ。人に言われたら嫌なことは、人に言っちゃ駄目って言われませ――」

藍子「……人に言われたら駄目なことは、人に言っちゃ駄目なんですよ?」

加蓮「……あのね。いくら私でも、その言い回しくらいで不機嫌になったりしないって」

藍子「つい。加蓮ちゃん、学校の先生のお話とかって、その――」

加蓮「まーそうだけど。それはそうとして、"アイドルバカ"?」

藍子「はい。前に、モバP(以下「P」)さんに言われたこと、楽しそうに怒っていたじゃないですか」

加蓮「……楽しそうにしてたっけ? 私」

藍子「はい。とっても楽しそうにしていましたっ」

加蓮「あの後なんかアイドルバカって言い方もいいかなって思っちゃって。それに他にいい言い方も思いつかなくってさー」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:38:15.69 ID:2JbuYMCt0
藍子「う〜ん。すごいアイドル、とかはどうでしょうか?」

加蓮「ほう? 藍子は自分のことを、すごいアイドルだって思ってるんだ。そっかー」

藍子「えっ……そ、そうじゃないです! って、加蓮ちゃん。自信を持てって言っているの加蓮ちゃんじゃないですか」

加蓮「まあね。藍子は実際すごいアイドルだし、自分でそう思ってるなら私はからかわないよ?」

藍子「もう……」

加蓮「ところですごいアイドルの藍子ちゃん」

藍子「からかってる〜っ」

加蓮「藍子がはっきりしないのが悪い」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:38:45.60 ID:2JbuYMCt0
加蓮「演技って言えば、ラジオの即興劇? あれ聴いたけど上手かったねー」

藍子「聴いてくれていたんですか? ありがとうございます♪」

加蓮「1回目のはいつも通りの藍子といつも通りの未央って感じだったけど、2回目で役を交換してみようってなったじゃん?」

加蓮「藍子の演じてる未央っぽいキャラクター、すごくいい感じだったよ。……逆に未央の演じた藍子っぽいキャラクターは悲惨なことになってたよね」

藍子「あはは……」

加蓮「明らかに慣れてないゆっくり喋りとか、そこスタッフかPさんにカンペとかで指摘されてからかな、そしたらなんか妙なお嬢様口調みたいなのまで入って。藍子を何だと思ってることやら」

藍子「あははは……」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:39:15.46 ID:2JbuYMCt0
藍子「あれでも、あの収録は何回か撮り直したんですよ?」

加蓮「あれで?」

藍子「はい。でも、その不慣れな感じが逆に面白いってなって、未央ちゃんが役をマスターする前に録音は終わってしまいましたけれど」

加蓮「あー。未央、怒ってた?」

藍子「怒ってはいませんでした。しょうがないな〜、みたいな感じで、みなさんを笑わせていましたね」

加蓮「怒っては、ね」

藍子「……後でこっそりと相談されちゃいました。ちょっぴり、気にしているみたいで」

加蓮「あぁ、うん。じゃあ私からってことで答えといて」

藍子「? もしかして、何かアドバイスとか――」

加蓮「諦めろ♪」

藍子「!?」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:39:46.69 ID:2JbuYMCt0
加蓮「そして諦めて身を引いて藍子を私によこしなさい、って。ちゃんと伝えておいてね?」

藍子「伝えません、というより伝えられません!」

加蓮「えー」

藍子「そういうことは、加蓮ちゃんが未央ちゃんに直接言ってください!」

加蓮「いいけど1週間くらい険悪になるの覚悟しといてね?」

藍子「……………………」

加蓮「ん。じゃあやめとく。そこまでしたい訳じゃ……うーん。……まぁ、やめとこっか」

藍子「言い合いになるのは仕方ありませんけれど、あまり熱くなりすぎると、他の子もびっくりしちゃいますから……」

加蓮「かもねー。未央、色んなとこと仲良くしてるし」

藍子「もう。加蓮ちゃんもですっ」

加蓮「私は……まーほら、また加蓮ちゃんか、って見られそうじゃない?」

藍子「そんなことないと思うけどな……」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:40:15.67 ID:2JbuYMCt0
加蓮「テラス席でのんびりできるのも最後……。そんな言い方されると、こっちまで切なくなっちゃうね。そんなこと、ぜんぜん意識してなかったのに……」

藍子「これまで続いていた日常がなくなってしまうのは……とても、寂しいことですよね」

加蓮「うん……」

藍子「……」

加蓮「って、別に一生のうち最後って訳じゃないでしょ。また来年になったら暖かくなるんだから。そしたらまた、ここに来ればいいでしょ?」

藍子「……くすっ♪」

加蓮「……何」

藍子「そうですね。また来ましょうね、加蓮ちゃん♪」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:40:45.59 ID:2JbuYMCt0
加蓮「……アンタ、これを言わせたいがためにセンチメンタルごっこしたの?」

藍子「最初はそういうつもりでは。途中から、加蓮ちゃんに「また来よう」って言わせ――言ってもらいたいな、って」

加蓮「今言わせたいって言いかけなかった!?」

藍子「き、きのせいです」

加蓮「言ったでしょ!」

藍子「言ってはいませんっ」

加蓮「じゃあ言おうとした!」

藍子「い、言っていないので大丈夫です!」

加蓮「そういうことじゃ……。……!」

加蓮「ふふっ。そっかそっか。藍子ちゃんは、そういう疚しい気持ちとか、黒い気持ちを隠しちゃう女の子なんだねー♪」

藍子「そういうつもりでは……!」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:41:15.99 ID:2JbuYMCt0
加蓮「ほらほら、他にどんな気持ちを隠してるの? どうせだし全部言っちゃいなさいよー?」

藍子「そんな……気持ちを隠してなんて……!」

加蓮「でも本当はー?」

藍子「ほ、本当は……って、何もありません!」

加蓮「そう? でも、ほんのちょっぴり思っていたりするんじゃない?」

藍子「おもってないもんっ!!」

加蓮「わっ」ミミフサグ

加蓮「……わかった、分かったから落ち着きなさい。未央の次は茜にでもなりたいの? そうじゃないでしょ。ほら、すぅー、はぁー……」

藍子「すぅ〜、はぁ〜……」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:41:45.50 ID:2JbuYMCt0
藍子「……落ち着きました。騒いじゃってごめんなさい、加蓮ちゃん」

加蓮「いいよー。いや良くはないけどね……。ほら、店員さんがすっ飛んで来ちゃったし」

藍子「店員さんも、ごめんなさい……。うるさくしてしまって」

加蓮「……迷惑とかじゃなくて心配した? あー……。特に何もないよ。ただ私がちょっとからかったら藍子が暴走――はい、私を睨みつけない。悪いのは私じゃなくて暴走した藍子なんだし」

藍子「ごめんなさいっ」ペコッ

加蓮「お詫びじゃないけど何か注文しよっか。藍子、何か食べる?」

藍子「それなら、ホットケーキがいいかな……?」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/10(日) 18:42:45.76 ID:2JbuYMCt0
>>!5 申し訳ありません。1行目の藍子のセリフを修正させてください。
誤:藍子「……落ち着きました。騒いじゃってごめんなさい、加蓮ちゃん」
正:藍子「……落ち着きました。騒いでしまってごめんなさい、加蓮ちゃん」


……。

…………。

加蓮「……店員さん持ってこないねー」

藍子「加蓮ちゃん。まだ、5分も経っていないと思いますよ?」

加蓮「え? そう?」

藍子「時間を正確に測った訳ではないので、絶対って言いきれはしません。でも、たぶん3分くらいしか経っていないんじゃないかな?」

加蓮「……」

藍子「もしかして……お腹が空いていたんですか? だから加蓮ちゃん、焦っちゃったんですね♪」

加蓮「……別に、っていうか藍子の体内時計なんてアテにならないわよ。ホントは30分経ったんじゃないの?」

藍子「30分も経っているのに、店員さんが持ってきてくれないなんてこと、ありえませんよ」

加蓮「いやいや。実はそれがありえる状態だったりして。今、店内では――」

藍子「店内では……?」

加蓮「店員さんが外に出れないほどの大事件が……!」

藍子「そんな! 様子を見に行った方が……? でも、もしとても危険なことが起きていたとしたら……!」
29.87 KB Speed:0   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)