北条加蓮「藍子と」高森藍子「思い浮かべるカフェで」

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27 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/03(日) 19:23:27.45 ID:Teht6Z5u0
>>26 申し訳ございません。1行目の藍子のセリフを修正させてください。

誤:藍子「加蓮ちゃん、随分と長い時間、電話していましたよね。
正:藍子「加蓮ちゃん、ずいぶんと長い時間、電話していましたよね。


加蓮「いや……藍子は今日うちに来るべきだ!」

藍子「……どうしてですか?」

加蓮「藍子がうちの台所に立って、激辛パスタではないものを料理する。そうすることで、藍子が激辛パスタを食べるという未来を回避できる」

加蓮「どう? 完璧な作戦でしょっ」

藍子「確かに、完ぺきな――じゃないですっ。そもそもがおかしいと思います!」

加蓮「だよねー」
28 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/03(日) 19:23:59.55 ID:Teht6Z5u0
藍子「加蓮ちゃん、私の料理を食べたいんですか?」

加蓮「?」

藍子「今のお話って、私に何か作ってほしいのかな? って感じに聞こえたから……。何か食べたいのなら、作りますよ? 加蓮ちゃんのお母さんがよければ、ですけれど」

加蓮「うーん……。別にそういうつもりじゃなかったけど……言われたらなんか欲しくなっちゃったかも」

藍子「では、今日お邪魔しちゃいますねっ」

加蓮「お母さんに言っておくね」ポチポチ

加蓮「……うわ、返信早っ。しかもメチャクチャ喜んでるし。ほら」スッ

藍子「本当ですね。絵文字がいっぱいついていて……喜んでもらえている、のかな? えへへ♪」

加蓮「藍子のファンがまたここに1人……。なんなの藍子。そのうち地球の征服でもし始めるつもりなの!?」

藍子「ええっ」

加蓮「ちょっと宇宙の敵を撃退できる力があるからって!」

藍子「撃退するつもりも征服するつもりもありませんっ」

加蓮「私はいつでも藍子の敵になる覚悟はあるんだからね!?」

藍子「ならないでください! もうっ」

加蓮「あははっ」
29 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/03(日) 19:24:26.08 ID:Teht6Z5u0
藍子「晩ご飯、何を作ろうかな〜?」

藍子「う〜ん」

藍子「……あはは。さっき加蓮ちゃんの言ったことが分かりました。カフェにいる間って、なかなか思いつきませんね」

加蓮「でしょ?」

藍子「晩ご飯のお話は、帰りながら相談しましょうか。その方が、必要な物を思いついた時にすぐ買うことができますよね♪」

加蓮「どうせならお菓子も買っていっていいよ。お金はぜんぶお母さんが出すから」

藍子「そんな。それは悪いですよ。私が食べるお菓子は、私が出しますっ」

加蓮「大丈夫大丈夫。お母さんなら喜んで出してくれる」

藍子「悪いですってば〜」

加蓮「藍子、そんなところで損する必要はないよ。あのうるさいお母さんに痛い目を遭わせてやれっ」

藍子「それ加蓮ちゃんがやりたいだけじゃないですかっ」
30 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/03(日) 19:25:26.59 ID:Teht6Z5u0
藍子「それなら、加蓮ちゃんがお菓子を買って、それを加蓮ちゃんのお母さんに払ってもらってください。私の分は私が払いますっ」

加蓮「面白くないなー。……ねえ。忘れそうになってたけど、私の似顔絵の話は?」

藍子「あっ……。私も、忘れてしまっていました」

加蓮「描けた?」

藍子「はい、描けましたよ。……み、見ます?」

加蓮「うん。見せてー」

藍子「じゃあ……。……あ、あんまりじいっと見ないでくださいね? 恥ずかしいから……」

加蓮「よし。写真に撮ってこのカフェに飾ろう」

藍子「やめて!?」

加蓮「ふふっ。どれどれ――おー、似てる似てる」

藍子「そうですか……? よかった♪」
31 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/03(日) 19:25:56.82 ID:Teht6Z5u0
加蓮「うん、すっごく似てると思う。でもさ……。この絵の私、なんかちょっと子供っぽすぎない?」

加蓮「っていうか満面の笑顔……。私こんなに子供っぽく笑ってる?」

藍子「笑ってますよ♪」

加蓮「えー」

藍子「いつもの加蓮ちゃんは大人っぽくて、ときどき、同い年であることを忘れてしまいそうになるくらいですけれど――」

藍子「笑っている時の加蓮ちゃんは、すごく女の子って感じで♪ 可愛くて、あと、なんだか安心しちゃいます」

加蓮「納得いかないなぁ……。ちょっと笑ってみるからほら、絵と見比べてみるよ」

藍子「はい、いいですよ」

加蓮「絵を私の顔の横に置いて――」

加蓮「……」

加蓮「……くく、くくくくくくく……ふははははは……!」

藍子「…………加蓮ちゃん。もうちょっと可愛く笑ってください。私の言っている"加蓮ちゃんの笑顔"は、そんな邪悪なものではないです」

加蓮「はっ。つい。笑えって言われたから……」

藍子「撮影の時も、笑顔でお願いしますっ、って言われたら、そんな笑みを見せるんですか?」

加蓮「……地味に言うねー藍子」
32 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/03(日) 19:26:27.48 ID:Teht6Z5u0
加蓮「もー、分かったって。ちゃんと笑うから。……笑うけどさー」

藍子「?」

加蓮「何もなしに笑えってのもきつくない?」

藍子「確かに……。何か、楽しかった時のことを思い出すのはどうでしょう?」

加蓮「楽しかった時かぁ。ん……」

加蓮「……」

加蓮「……あははっ♪」

藍子「!」パシャリ

加蓮「こら、撮っていいなんて言ってな――」

藍子「ほら、ほら♪ 見てください、加蓮ちゃん。ねっ? 笑顔の加蓮ちゃん、すっごく可愛い♪」ズイッ

加蓮「ちょっ、もう……落ち着いて? 藍子の言いたいことは分かったから……」

藍子「♪」
33 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/03(日) 19:26:57.02 ID:Teht6Z5u0
藍子「……」ジー

加蓮「?」

藍子「やっぱり、頭の中で想像して絵を描くより、本物の加蓮ちゃんを見ている方が楽しいなぁ……」

藍子「あのっ。加蓮ちゃん、もう1枚似顔絵を描いてもいいですか? 今度は、加蓮ちゃんをじ〜っと見ながら♪」

加蓮「あーあ。なんかスイッチ入っちゃった? まだ時間もあるし、いいよいいよ」

藍子「は〜いっ。ノートの新しいページに……〜〜〜♪」

藍子「あっ。ちょっとくらいなら、動いても大丈夫ですよ?」

加蓮「そう? じゃあコーヒーでも飲もっかなぁ。すみませーんっ」

藍子「〜〜〜♪」カキカキ

加蓮「コーヒー2人分お願いー。……? うん。藍子が私の似顔絵を描きたいんだって」

加蓮「座ってるだけなのも結構ヒマでさー。あっ、じゃあ店員さん、話し相手に付き合ってくれる?」

藍子「〜〜〜〜♪」カキカキ

加蓮「……うん。お仕事中だもんね。分かってる。ならさ、もし藍子が同じことをお願いしてきたら?」

加蓮「はい逃げた。コーヒー忘れないでねー!」
34 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/03(日) 19:27:26.42 ID:Teht6Z5u0
藍子「〜〜〜〜♪」カキカキ

藍子「……、」チラ

加蓮「?」

加蓮「……。〜♪」ニッコリ

藍子「♪」

藍子「〜〜〜♪」カキカキ

藍子「……、」チラ

藍子「……」ジー

加蓮「ありがとねー店員さん。ずず……。ふうっ」

加蓮「……藍子ー? 手、止まっちゃってるよ?」

藍子「!」カキカキ

加蓮「ふふっ」
35 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/03(日) 19:27:56.95 ID:Teht6Z5u0
加蓮「ずず……」

藍子「〜〜〜〜♪」カキカキ

藍子「……、」チラ

藍子「……」ジー

加蓮「こーら。また手止まってるよ。……おーい?」フリフリ

藍子「あ……。ごめんなさいっ。〜〜〜♪」カキカキ

……。

…………。
36 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/11/03(日) 19:28:27.26 ID:Teht6Z5u0
―― 3 時 間 後 ――

加蓮「……お母さんに迎えに来てって電話で言ったら、"わかった"って。すっごい低い声で言われたんだけど」

藍子「……………………」アセダラダラ

加蓮「もう7時前だし。外暗いし。お母さん、ブチ切れてたんだけど」

藍子「……………………」アセダラダラ

加蓮「いや、途中でちょっとだけうたたねした私も私なんだけどさぁ……」

加蓮「……藍子ぉ?」

藍子「……か」

加蓮「か?」

藍子「加蓮ちゃんの顔を見ているのが楽しくて、つい……」

加蓮「あぁ??」

藍子「ごっ、ごめんなさい〜〜〜〜〜〜っ!!」


【おしまい】
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