他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
【FEif】カムイ「私の……最後の願いを聞いてくれますか?」―7―
Check
Tweet
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/11/19(火) 00:05:00.52 ID:AAuTMwZtO
チーム(カミラ隊+αα』
(ルーナ・シャーロッテ・リンカ)
35 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/11/30(土) 16:26:33.34 ID:5uemCYmX0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―渓谷出口の村『暗夜軍前戦陣地・南西門内部』―
タタタタタタタッ
カムイ「はぁ、はぁ……。大丈夫、靄は追って来ないようです。防壁内側に達したところで動きが止まりました」
マークス「そうか、他の者たちは大丈夫か?」
アクア「私は平気よ。だけど、靄の中にいた部隊はやられてしまったみたい」
カムイ「それに靄の所為で後続が村に辿りつくには多くの時間を要するはずです。いずれ、靄が晴れるかもしれませんが、それを敵が待ってくれるとは思えません」
マークス「どうにか内部に入り込めた戦力だけでどうにかしなくてはならないか……」
カムイ「私たち以外に突入出来た部隊はいるのでしょうか?」
マークス「レオン、そしてカミラの部隊が突入に成功しているようだ。まずは、二人の部隊と合流を目指すべきだろう」
カムイ「よかった。カミラさんとレオンさんの部隊が突入に成功しているのですね。これなら、きっと――」
???『大丈夫、そう言いたいのでしょう。カムイ王女』
カムイ「!」チャキッ
マークス「マクベスか!」チャキッ
???『ええ、そうです。声だけで察するとは驚きましたよ』スゥ
カムイ「……マクベスさん」
マクベス『くっくっくっ。お久しぶりですね、裏切り者の皆さん』
36 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/11/30(土) 16:31:58.88 ID:5uemCYmX0
マークス「マクベス……」
マクベス『よもや、私のことを覚えているとは思いませんでした。もっとも、ガロン王様に泥を塗る不貞な輩に覚えられていたくありませんでしたがね。特にあなたのような存在には……』
マークス「何とでも言うがいい、私は私の信じる道を進む。それがお前達に刃を向ける道だとしてもな」
マクベス『ふん、言葉を濁す必要は無いと言う事ですか。結構、これで気兼ねなくあなた方、暗夜の汚点たる王族を皆殺しに出来るというもの。ふっ、皆殺しにしてしまえば、きっとガロン王様も喜ばれるはず。もちろん、あなたも例外ではありませんよ、カムイ王女』
カムイ「残念ですが、あなたに殺されるつもりはありません。本当の敵を打つまで、私は倒れるわけにはいかないのです」
マクベス『ふんっ。ご安心ください。あなたにとっての本当の敵などに興味はありません。私にとってはあなた方こそが倒すべき敵、ガロン王様の覇道を拒む存在。ガロン王様の紡ぐ覇道を支えることこそが私の使命である以上、あなた方を生かしておくわけにはいきません』
カムイ「ガロン王……」
カムイ(やはり、マクベスさんはガロン王……いいえ、奴の命令に従って戦っているということなのですか……)
カムイ「アクアさん、マクベスさんから奴の気配を感じますか?」
アクア「……いいえ。幻影からは何もわからないわ。だけど、村の中心から奴に似た気配がある。おそらく、何かあるはずよ」
カムイ(その気配の源がマクベスさんに何かしらの影響を与えているのかもしれません。でも、こうして話をすることができるのなら、今が最後のチャンスのはず……)
マクベス『さて、挨拶はここまででいいでしょう。これから殺すあなた方の慌てる姿を見れただけで満足ですので。ふふっ、ふははははははははっ』
カムイ「マクベスさん」
マクベス『む? なんですかな、カムイ王女。もしや、この期に及んで命乞いでもしてくれるのでしょうか。いいでしょう、見せてください。あなたの無様な姿を見れば、私の考えが変わるやも――』
カムイ「あなたは、ガロン王の正体を知っているのですか?」
37 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/11/30(土) 16:40:56.52 ID:5uemCYmX0
マクベス『ガロン王様の正体……ですか?』
カムイ「はい……」
マクベス『ふん、この期に及んでつまらないことを聞いてくるものだ。ガロン王様は暗夜の王であり、この世界を統べる御方です。そして、私にとって唯一の主君、それ以外の答えはありません』
カムイ(そう、マクベスさんはガロン王を信じている。マクベスさんは長くガロン王に仕えてきたのですから、この言葉に嘘偽りはないでしょう。だからこそ、私は伝えなくてはいけないんです。それが奴に利用されているという事を)
カムイ「それがマクベスさんにとってのガロン王なのでしょう。でも、今いるガロン王はあなたが信じているガロン王ではないんです。ガロン王の皮を被った紛い物でしかありません」
マクベス『……紛い物?』
カムイ「ガロン王はもう死んでいます。今、あなたが従っているガロン王は別人なんです。奴はただ人を殺す為だけにガロン王に成りすまし、戦いを行うための道具にしている。そこにはガロン王が掲げ、あなたが信じているような覇道もなにもありません」
マクベス『……』
カムイ「もう、マクベスさんが信じているガロン王はいないんです。だから――」
マクベス『こうして争う必要は無い、そう言いたいのですかな?』
カムイ「……そうです」
マクベス『……争う必要はないですか。ふっ、まったく面白いことを言う。まさか、そのようなつまらないことを口にしてくるとは思いませんでした』
カムイ「マクベスさん、信じられない話だとは思います! でも、今あなたが従っているガロン王は――」
マクベス『カムイ王女、どうやら私の言葉をちゃんと理解出来ていないようですね。言ったはずです、ガロン王様は私にとって唯一の主君だと、それはどのような状況であっても変わらない。たとえ――』
マクベス『あなたの言ったことが真実であったとしても、私が戦う意味は変わることはありません』
38 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/11/30(土) 16:44:21.09 ID:5uemCYmX0
カムイ「……え?」
マクベス『……』
カムイ「マクベスさん。まさか、あなたは……」
マークス「カムイ……」スッ
カムイ「マークス兄さん」
マークス「マクベス。それが、お前の正義と言う事か?」
マークス「……どうなのだ、マクベス?」
マクベス『私は正義のためなどという信念で戦ってなどいません。私は主君、ガロン王様のために戦うのです。それ以外のことなど考える必要もない。すべてはガロン王様のため、ガロン王様が作り上げる世界のため、それ以外のことに費やす時間も力もありはしませんよ』
マークス「そうか……。それ故に退くつもりはないのだろう?」
マクベス『ええ、あなた方をここへ招き入れたのは戦うためですので。あなた方をこの手で殺し、再びガロン王様が求めた世界にしていくため。だからこそ、あなたと相容れることはないでしょう。あなたの求める世界の形と、私の求める世界の形は全く別物。ガロン王様が築いた暗夜王国とそこから広がる世界こそが、私が生きるすべてなのです。故に戦う以外の道はないのですよ、カムイ王女』
カムイ「マクベスさん……」
マクベス『……』
カムイ(この意思は私の言葉で揺らぎはしないでしょう。それほどにマクベスさんの言葉には明確な信念と、そして私が求めてやまない和解に対する拒絶が見える。みんなが思っていたように、マクベスさんの意思は変わらない。とても真っ直ぐなこの意思を折る術を私は知らない。なら、それに対して私がするべきことは、一つだけです)チャキッ
カムイ「私には倒さなくてはならない敵がいます。それを打つためにもあなたをここで打ちます。あなたのその信念に全力で挑ませてもらいますよ、マクベスさん」
マクベス『ふっ、いいでしょう。ですが、ここであなた方を打つのは私のほうです。精々悪あがきに徹することですな』
シュオンッ!
39 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/11/30(土) 16:50:01.98 ID:5uemCYmX0
アクア「カムイ、マクベスは……」
カムイ「私は伝えるべきことは伝えました。正直、結果は皆さんの予想した通りになってしまいましたが……」
アクア「……」
カムイ「でも、なんだか不思議なくらいに安心している自分がいるんです」
アクア「安心?」
カムイ「ええ、憎い敵だからとかではなくて、その何でしょうか。すみません、うまく言葉が見つからないんですけど」
アクア「そう、私にはわからないけれど、多分それはあなたにとってとてもいい事なのかもしれないわ。あなたが安心できた意味が分かるといいわね」
カムイ「はい」
マークス「しかし、マクベスがあれほどの忠誠心を持っているとは。そして、ここにいるのはそのマクベスの下に集った兵士だ。先鋭と見て間違いないだろう」
カムイ「はい。でも、こちらも先鋭揃いですから。そう簡単にはやられませんよ」
マークス「ああ、む?」
タタタタタッ
フェリシア「あ、カムイ様! やっと見つけました、無事でよかっ――はわわわっ!」ビターンッ
フローラ「ちょっと、フェリシア!?」
フェリシア「ううっ、転んじゃいましたぁ……」
アクア「こちらも、先鋭揃い……ね」
マークス「ふむ……」
40 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/11/30(土) 16:53:44.35 ID:5uemCYmX0
カムイ「ああ、フェリシアさん大丈夫ですか?」スッ
フェリシア「あ、カムイ様。ぐすっ、だ、大丈夫です。ご無事でよかったです」
フローラ「カムイ様、お怪我は?」
カムイ「大丈夫です。フローラさんも無事に内部に入ってこられたようでよかったです」
フローラ「今は重装部隊の一員ですので。それにブノワがサポートしてくれましたから」
ブノワ「気にしなくていい…。カムイ様達と合流できてよかった…」
カムイ「はい、ブノワさんたちが無事で何よりです。しかし、こちらから入り込めた人たちだけで中央に攻め入るのは危険ですね」
マークス「ああ、このまま敵本陣を攻めるのは厳しい。なにより敵の罠で後続が到達出来ない以上、まずは他の部隊と合流を図り、戦力の立て直すべきだろう」
カムイ「そうですね。まずは防壁付近から侵攻したカミラ姉さんの部隊と合流を目指しましょう。おそらく、レオンさんの部隊もカミラ姉さんとの合流するために動くと思いますから」
マークス「おそらくな。それに、敵も狙うならまずは飛竜部隊からだろう。今の状況では、カミラ達もうまく飛び回れるとは思えん。追い詰められているかもしれん」
カムイ「はい、急ぎましょう」
マークス「よし、まずはカミラたちとの合流を目指す。全員、敵の奇襲に警戒しつつ、進軍を開始せよ!」
カムイ(カミラ姉さん、他のみなさんも無事でいてください)タタタタタタッ
41 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/11/30(土) 16:56:01.41 ID:5uemCYmX0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―渓谷出口の村『暗夜軍前戦陣地・南中央防壁内部』―
ヒュンッ! カッ
グオオオオオンッ! グオオオオンッ!
ドススンッ!
旧暗夜軍アドベンチャラー「よし、一騎落としたぜ。各員、攻撃の手を休めるなよ。ドラゴン共を絶対に移動させるな」
旧暗夜軍ボウナイトA「はっ!」
旧暗夜軍アドベンチャラー(よし、魔術部隊の到着まで抑えて置ければ、ここは勝ちだ)
パカラパカラッ!
旧暗夜軍アドベンチャラー「ん?」
旧暗夜軍ボウナイトB「敵に動きがありました。現在、東西、それぞれの門より入り込んだ敵部隊がこちらに向けて進軍していると」
旧暗夜軍アドベンチャラー「そうか。まぁ、この状況なら満足に動けないだろうドラゴンをこっちが狙うってことくらいは読めるか……。まぁいい、東の方はブレイブとランサーの部隊が相手してくれる。西の敵はこの先の十字路にいるゴーレムとノスフェラトゥで時間稼ぎ出来るはずだ。こっちは魔術部隊の到着まで、現状況を維持するぞ」
旧暗夜軍兵士たち『おーっ!』
旧暗夜軍アドベンチャラー「さぁ、このまま詰めさせてもらうぜ」チャキッ パシュンッ!
42 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/11/30(土) 17:06:59.26 ID:5uemCYmX0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ヒュンッ キィンッ
カキィンッ!
カミラ「はぁ、うまく釘付けにされちゃったわね。とりあえず、ドラゴンたちは家屋の影に隠れさせておきなさい。ここで頭数を減らすわけにはいかないわ」
新生暗夜軍レヴナントナイトA「はっ」
ベルカ「カミラ様、これからどうする?」
カミラ「まだ上昇限界がどこまでかわからないし、大勢で下手には動けないわ。戦線は持ち堪えられそう?」
ニュクス「そうね、白兵部隊をそれなりに輸送できたから、今はどうにか持っているわ。でも、このままじゃ時間の問題よ。明らかに敵の方が多いもの」
カミラ「そう、難しいところね。でも今はまだ持っているのなら、まだ反撃の機会はあるわ。それに負傷者の手当ても大丈夫そうだから」チラッ
新生暗夜軍兵士「いてえ、いてえよぉ」
カザハナ「ああもう、負傷したのは早く物陰に来なさい。こっちはぴょんぴょん行ったり来たり出来るわけじゃないんだから! 大丈夫、この程度じゃ死なないから落ち着きなさい」
ツバキ「落ち着くのはカザハナもだよ。落ち着かないと、治療もうまく行えなくなるからねー」
カザハナ「わ、分かってる! ほら、さっさと負傷箇所見せて、早くしないといけないんだから! ちょっと、ツバキも早く――」
ニュクス「確かにどうにかなっているわね。少しうるさいけど」
カミラ「あら、にぎやかでいいと思うわ。士気が落ちない様に鼓舞もしてくれるし、十分すぎる働きよ。さすがはサクラ王女の臣下ね」
ベルカ「……でも、騒がしいわ」
アシュラ「そう言うなって、現にあの二人がいなかったら負傷者の誘導とかはうまく行かなかったからな。あの二人は十分仕事を熟しているさ」
カミラ「アシュラの言う通りよ。ところで、敵の陣だけど突破口はあるかしら?」
アシュラ「無いわけじゃねえが、結局敵の矢を掻い潜って近づかないとならねえ。まぁ、もたもたしてると、敵が切り込んでくるだろうがな」
カミラ「そう、なら動きましょう。レオンもカムイも私たちとの合流を目指すはずだから、どちらかと合流するまでは持ち堪えないといけないけど、この状況じゃ到着まで持たないもの。ツバキ、カザハナ、負傷者の治療は一段落したわね」チャキッ
ツバキ「うん、どうにかなったよー」
カザハナ「な、なんとかね。で、どうするの? レオン王子かカムイ様の部隊が来るのを待つの?」
カミラ「もう隠れるのはおしまい。一気に距離を詰めて敵の弓兵部隊を瓦解させるわ。ツバキとカザハナはベルカたちと待機して、ニュクスとアシュラは私と一緒にちょうだい」
アシュラ「わかったぜ」
ニュクス「いいけど、動くってどういうつもり?」
カミラ「簡単なことよ。向こうも的が無くて退屈だろうから――」
「無理にでも狙いたくなるように、こっちから動いてあげるのよ」
43 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/11/30(土) 17:12:44.53 ID:5uemCYmX0
今日はここまで
ここのマクベスはガロン王のために戦う、そんな軍師である。
そして、今日はカミラ王女の誕生日です。お誕生日おめでとう。
44 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 18:38:19.91 ID:CJ43w1Gz0
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『南中央防壁内部』―
カミラ「こんな感じの作戦だけど、どうかしら?」
ニュクス「率直に言ってかなり危険な作戦ね」
カミラ「ええ危険よ、不満があるなら降りてくれても構わないわ」
ニュクス「早とちりしないで、危険だと言っただけよ」
カミラ「ふふっ、それじゃニュクスは乗ってちょうだい」
ニュクス「わかったわ」
カミラ「アシュラ、私たちができる限り敵を引き付けるから、あなたはその隙を突いてちょうだい」
アシュラ「ああ、部隊指揮は初めてだが、まぁ、上手くやってみるさ」タタタタッ
カザハナ「カミラ王女、あたしたちはどうすればいいの?」
カミラ「アシュラの部隊が敵陣に入り込むと同時に攻めてちょうだい。敵全体に圧力を掛けるように攻撃を仕掛けてくれればいいわ」
ツバキ「全体? この状況ならアシュラの部隊みたいに一点を狙った方がいいんじゃないかな?」
カミラ「そうしたいけど、敵の援軍がレオンやカムイの到達より早かったら、突出した部隊を袋叩きにされかねない。それに飽く迄も私達がするべきことは援軍到着までの時間稼ぎよ」
ツバキ「わかりました。こっちは任せてください、カミラ王女」
カミラ「ええ、お願いね。ベルカは動ける竜騎兵を指揮して、二人の援護に努めなさい」
ベルカ「わかったわ、カミラ様」
カミラ「それじゃ、作戦開始よ」
45 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 18:40:59.39 ID:CJ43w1Gz0
旧暗夜軍アドベンチャラー「よし、敵はほとんど動きがなくなったな。まだまだ追いこんで本当に身動きが取れないようにしてやる。弓砲台はいつでも打てるように準備をしておけ」
旧暗夜軍兵士「はい」
旧暗夜軍アドベンチャラー「よし、前に出るぞ。進め!」
旧暗夜軍ボウナイトA「はっ。各員前進!」
ザッザッザッ
旧暗夜軍アドベンチャラー(どうなるかと思ったが、防壁を越えて中に入り込んだ敵の総数はこっちと同等、少なからずは落とした以上、戦力的にこっちが有利だ。へっ、このまま押し込んでやる)
旧暗夜軍アドベンチャラー「へへっ、マクベス様にいい報告が出来そうだぜ」
バサバサッ
旧暗夜軍アドベンチャラー「?」
旧暗夜軍ボウナイトB「敵のドラゴンが一騎上がりました。まっすぐ、こちらに向かってきます!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「堪え性がないのが出てきたってところか? たった一匹で何ができる。準備は出来てるか?」
旧暗夜軍兵士「はい、間もなく砲台の射程に入ります」
旧暗夜軍アドベンチャラー「よし、打て!」
バシュンッ!
46 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 18:45:38.38 ID:CJ43w1Gz0
ニュクス「カミラ王女、矢が来るわ」
カミラ「そう、それじゃ激しくするから捕まってなさい」グッ
ニュクス「え、ちょ、ちょっと!?」ガシッ
グオオオオンッ! バサバササッ
ヒュンッ! フォン! ドゴンドゴンッ!
カミラ「回避完了ね」
ニュクス「はぁはぁ……。もう少し早く言って、落ちかけたわ」
カミラ「ふふっ、ごめんなさい。でも、ちゃんと避けられたでしょう?」
ニュクス「それはそうだけど、もう少し抑えてちょうだい。まだ、ベルカの方が優しかったわ」
カミラ「あらあら、ベルカのこと気に入っているのね。主としてとっても嬉しい情報ね」
ニュクス「それより、今の攻撃は弓砲台の物みたい。すぐ飛んでこないから設置されているのは一機だけみたいね」
カミラ「ええ、それじゃ距離を詰めるわよ」グッ
バサササッ!
旧暗夜軍ボウナイトB「敵、さらに加速します」
旧暗夜軍アドベンチャラー「けっ、どんな命知らずだよ。根性あるじゃねえか」
旧暗夜軍ボウナイトB「む、あの特徴的な外装、カミラ王女か?」
旧暗夜軍アドベンチャラー「ほぅ、王族が突出してきたか、縮こまって下がった士気を高めるためかもしれないが、これでこっちが王女を落とせれば総崩れってもんだ。再装填が済み次第、すぐに攻撃しな」
旧暗夜軍兵士「はい。準備完了しました。打ちます!」ガシャコンッ
バシュンッ!!!
47 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 18:50:05.96 ID:CJ43w1Gz0
ヒュンッ! ドゴンッ!
カミラ「砲台の発射間隔がこれなら行けそうね。ニュクス、準備はいい?」
ニュクス「大丈夫よ、カミラ王女も聞く準備は出来ているの?」
カミラ「心配しないで。あなたの声はちゃんと耳に届いているわ。あなたに命を預けているのだから、当然でしょう?」
ニュクス「そ、そう……」
カミラ「どうかした?」
ニュクス「気にしないで。おそらく三射目が来るわ」
カミラ「そう、それじゃ……」
バシュンッ! ヒュンッ!
カミラ「行くわよ!」ググッ!
バサバサバサッ
旧暗夜軍アドベンチャラー「どういうことだ? 王女の奴、いきなり高度を上げ始めやがったぞ」
旧暗夜軍アドベンチャラー(まさか、この期に及んで逃げ出そうとしてるのか? 王族だからって結局は命が惜しい、そういうことかよ)
旧暗夜軍アドベンチャラー「へっ、一騎だけで出てきたから何かと思ったが、結局尻尾巻いて逃げるか。へっ、そう簡単にここを抜けられると思っているのか? マクベス様の罠は完璧に作動してんだ。王女だろうがなんだろうが、靄に入った瞬間に死ぬだけだぜ」
48 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 18:54:18.84 ID:CJ43w1Gz0
バサバサッ
カミラ「ニュクス、もう靄に達するかしら?」
ニュクス「……そこよ!!」
カミラ「!」グッ
グルンッ
バサバサッ
ニュクス「もう少し余裕はあるけど、この高さまでね」
カミラ「そう、だけどこれだけの高さがあれば十分、行くわよ」グッ!
バサバサッ!
旧暗夜軍ボウナイトA「敵、急降下を開始! こちらに向かって来ます!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「なっ、迎撃!」
新生暗夜軍兵士「だ、だめです。まだ装填が――」
カミラ「残念ね。それじゃ、死んでちょうだい」グッ
ブンッ
ガシャンッ!!!
旧暗夜軍兵士「ぎゃああああっ!!!」ドサッ
旧暗夜軍兵士「砲台が……。くそ、逃がすか!」チャキッ
カミラ「ニュクス!」
ニュクス「ライナロック!」
ドコォ゙ンッ!!!
旧暗夜軍兵士「ぐあああああっ!!!」ドサッ!
カミラ(これで、砲台は無力化できた。あとは派手に動き回るだけよ)
49 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 18:57:17.18 ID:CJ43w1Gz0
旧暗夜軍アドベンチャラー「てめえ!!」チャキッ パシュッ
サッ
カミラ「残念ね。もっとしっかりと狙わないと、私は落とせないわよ」バサバサッ
旧暗夜軍アドベンチャラー「その言葉後悔させてやる! 王女を落とせ!」
旧暗夜軍ボウナイトA「はっ!」チャキッ パシュッ!
サッ バサバサッ
旧暗夜軍ボウナイトB「ちっ、ちょこまかと!」
パシュシュッ
ササッ バサバサッ
カミラ「これくらい敵を引き付けられれば上々ね」
ニュクス「ええ、ここ周辺の敵はこっちの動きに気を取られている。みんな私たちしか見ていないわ」
カミラ「ふふっ、それじゃ、もう少し付き合ってもらいましょう。アシュラが動きやすいようにね」ググッ
バサバサバサッ!
旧暗夜軍兵士「なんだ、あの動きは!? 何とか撃ち落とさないと――」
タタタタタタッ
旧暗夜軍兵士「な、なんだ? こっちの路地から足音が――」
新生暗夜軍兵士たち『……』
旧暗夜軍兵士「て、敵!? 早く知らせ――」
ザシュンッ
旧暗夜軍兵士「がっ……」ドサッ
アシュラ「すまねえな。こっちも勝つのに必死なんでよ」
新生暗夜軍兵士「アシュラ様」
アシュラ「このまま、真正面の広場を強襲するぞ。隠れる必要はないぜ、俺たちの存在を見せつけてやれ」
新生暗夜軍兵士「はっ!」
アシュラ「さぁ、第二段階開始だ」タタタタタタッ
50 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 19:00:50.17 ID:CJ43w1Gz0
旧暗夜軍ボウナイトA「正面に敵部隊が出現! 前方の広場に向かっています」
旧暗夜軍アドベンチャラー「なんだと!?」
旧暗夜軍アドベンチャラー(くそっ、あの王女に気を取られて敵の別動隊を見落としたっていうのか!?)
旧暗夜軍アドベンチャラー「このままじゃ、広場から突破される。歩兵隊、割り込んできた奴らを抑え込めるか?」
旧暗夜軍ランサーA「はい、お任せください。敵を迎え打つ、全員進め!」タタタタタタッ
旧暗夜軍ランサー部隊『おおおおおおおっ!!!!』ドドドドドドッ
旧暗夜軍ボウナイトA「前進してくる敵を攻撃するぞ、全員弓構え!!!」チャキッ
旧暗夜軍ボウナイト部隊『!』チャキッ ギリリッ
旧暗夜軍ボウナイトA「打てぇ!」スッ
パシュッ パシュシュッ!
アシュラ「敵の攻撃が来るぞ! 身を隠せ!」
グアアアッ
ドサッ
アシュラ「ちっ、流石に少しは貰うか。だが、この程度なら問題ねえ」
旧暗夜軍アドベンチャラー(くっ、矢のほとんどが家屋に当たりやがる。距離を稼ぐための曲射じゃ命中率も期待できねえか)
アシュラ「このまま突っ込むぞ!」
新生暗夜軍兵士たち『はい!』
旧暗夜軍ボウナイトA「敵が広場に到達! どうしますか?」
旧暗夜軍アドベンチャラー「魔術部隊はもう少しで到着するはずだ。お前達は広場で敵を抑えに向かえ、俺達は回り込んで奇襲を掛ける。広場で止められれば、こっちの――」
旧暗夜軍ボウナイトB「た、大変です!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「どうした?」
旧暗夜軍ボウナイトB「敵のドラゴン部隊が動き始めました。数、三十以上!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「!!!!」
51 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 19:04:48.75 ID:CJ43w1Gz0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ベルカ「みんな行けそう?」
新生暗夜軍ドラゴンナイトA「はい、問題ありません。これほどの高さがあれば十分に戦えます」
新生暗夜軍レヴナントナイトA「一刻も早く、カミラ様の援護に向かいましょう」
ベルカ「ええ、分かってるわ。そういうわけだから、私たちは先に行って弓兵の注意を引くから、その隙を突いて……」
カザハナ「うん、まかせて!」
ベルカ「それじゃ、行くわ」バサバサッ
カザハナ「そういうわけだから、みんな準備はいい?」
新生暗夜軍兵「はい!」
ツバキ「僕らは広場の左から攻撃を掛けるから、カザハナは右側から攻撃してくれると助かるよー」
カザハナ「わかってる。それじゃ、行くよ!!!!」タタタタタタッ
ウオオオオオオオーーーーッ!!!!!
ドドドドドドドドドドッ
52 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 19:07:11.85 ID:CJ43w1Gz0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
旧暗夜軍ボウナイトB「敵ドラゴン部隊、広場に向かって来ます! このままでは戦線が維持できません!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「周辺の兵を広場に向かってるドラゴンの対処に回せ。突破は何としても阻止するんだ!」
旧暗夜軍ボウナイトB「! さらに後続の歩兵部隊が展開、進軍してきます!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「な、なんだと!?」
旧暗夜軍アドベンチャラー(このままじゃ、押し切られる。側面からの奇襲は中止して、俺たちだけでも右翼の敵を抑え込まねえと。でも、左翼と中央は抑えきれない)
旧暗夜軍アドベンチャラー(敵の攻撃速度に太刀打ちできない。中央に寄せ過ぎた戦力を配分できる余裕もない……)
バサバサッ!
新生暗夜軍ドラゴンナイトB「よし、まずは弓兵を狙え!」
新生暗夜軍ドラゴンナイト隊『おーーーーっ!!!」バサバサバサッ
旧暗夜軍ボウナイトB「敵竜騎兵がこちらに向かってきます!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「くっ……」チャキッ
旧暗夜軍アドベンチャラー(だめだ、間に合わねえ!)
バサバサッ
新生暗夜軍ドラゴンナイトB「喰らえ!!!!」ググッ!
旧暗夜軍アドベンチャラー「!」
ザシュッ
53 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 19:11:22.46 ID:CJ43w1Gz0
新生暗夜軍ドラゴンナイトB「がっ」ドサッ
旧暗夜軍アドベンチャラー「へっ? な、何が起きた?」
???「アドベンさん、何をしているのですか。ここを任されているあなたが項垂れていてどうします? マクベス様の御役に立ちたいのでしたら、最後まで指示を出してください」
旧暗夜軍アドベンチャラー「……わかってる。だが、そっちも来るのが遅いぞ、メイド」
旧暗夜軍メイド「ええ、それについては謝罪いたします。それよりも、今はできる限り部隊を退却させたいので援護をお願いします。ここで多くの戦力を失うわけにはいきませんから」タタタタッ
旧暗夜軍アドベンチャラー「退却って、ここであいつらを潰すんじゃねえのか?」
旧暗夜軍メイド「本来ならばそうしたいところです。あの王族の王女を含めた部隊を潰せれば、マクベス様も喜ばれるはずですから」
旧暗夜軍アドベンチャラー「なら、今こそチャンスだろ。ドラゴン共は魔法に弱いんだからよ。ここで一気に――」
旧暗夜軍メイド「わかっています。ですが、私達が到達するのに時間が掛りすぎました……。ここで待っていても私達に勝機はありません。絶対に……」
旧暗夜軍アドベンチャラー「それはどういう……ん?」
54 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 19:13:27.10 ID:CJ43w1Gz0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カミラ「どうやら、敵の援軍が間に合ってしまったようね」
ニュクス「ええ、でもここまで戦線を上げておけてよかったわ。これならまだ持ち堪えられるは……ん? まって、西の方を見て」
カミラ「あらあら、考えていたら来てくれるなんて、運がいいわね」
ニュクス「ええ」
タタタタタタタッ
カムイ「どうにか間に合ったようですね」
マークス「ああ、各員部隊の援護に入れ! 敵にこれ以上好きにさせるな」
新生暗夜軍兵士たち『オオオオオオオオオーーーーーーッ!』
ドドドドドドドドドッ
55 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 19:16:02.46 ID:CJ43w1Gz0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
旧暗夜軍アドベンチャラー「ちっ、敵の援軍も到着したってことか」
旧暗夜軍メイド「そういうことです。ですから、ここは放棄します。まだ手はありますし、おそらく外に出ていた彼らも戻ってきている頃でしょうから」
旧暗夜軍アドベンチャラー「今更か。もう少し早く戻ってくればあいつらの到着も遅れたっていうのによ」
旧暗夜軍メイド「仕方ありません。単純な命令にしか従わないのが、あの肉達磨の利点であり欠点でもあります」
旧暗夜軍アドベンチャラー「たしかにな。それで、ブレイブとランサーの部隊はどうなってるんだ」
旧暗夜軍メイド「現在、東門より侵入した敵部隊と交戦しているようです。まだ退却していないようですから、奮闘しているようですね」
旧暗夜軍アドベンチャラー「そうかい。今からそっちの援護に向かう感じか?」
旧暗夜軍メイド「はい、と言っても私が数名を率いて向かいます。アドベンさんは中央で敵の侵攻を喰い止めてください。あそこは私たちにとって最高の攻撃地帯ですから」
旧暗夜軍アドベンチャラー「わかったぜ。よし、大屋敷の手前まで退くぞ」
タタタタタタッ
旧暗夜軍メイド「では、東へ向かいましょう。あの二人の部隊がどうなっているかはわかりませんが、少なくともこっちの様にはなっていないでしょう」タタタタタッ
56 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 19:17:49.09 ID:CJ43w1Gz0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『東区域』―
キィン カキィンッ
ルーナ「はあっ! やああっ!」
旧暗夜軍ランサー女「はっ、それ!」
シャーロッテ「ルーナ、ちょっと下がりな。おらああっ!」グッ ブンッ!
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ランサー、下がれ」
旧暗夜軍ランサー女「はいよっ」サッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふんっ」キィィンッ ガコンッ!
ズササー ズササーッ
ルーナ「はぁはぁ、思ったよりやるじゃないの。そんな、誰もが持ってるような装備の癖に」
旧暗夜軍ランサー女「戦いの腕は装備で決まるのかもしれないけど、実際は鍛錬の差で決まるもの、そうでしょうブレイブ?」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ランサー、軽口は慎め」
旧暗夜軍ランサー女「そこは同意してよ。それで、勝てる?」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「愚問だな。この程度ならどうにでもなる。力強いがそれだけの攻撃だ、恐れる理由は無い」
シャーロッテ「……ちっ、むかつくこと言ってくれるじゃないの」
サクラ「シャーロッテさん……」
シャーロッテ「大丈夫。それより、私たちから離れないでよ、サクラ様」
サクラ「は、はい」
ルーナ「……」
シャーロッテ(ちっ、まさかこのタイミングでレオン様たちと逸れる羽目になるなんて、ツいてないわ。緊急事態とは言っても、これはまずいわ。それにもっとツいてないのはこの二人ね……)
旧暗夜軍ブレイブヒーロー&ランサー女『……』チャキッ
シャーロッテ(息が無駄にぴったりだし、武器の捌き方も他の奴らと一味違う。正直に言ってこの二人――)
(めちゃくちゃ強いんだけど……)
57 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/14(土) 19:18:30.47 ID:CJ43w1Gz0
今日はここまで
更新があまりできなくて申し訳ないです。
58 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/23(月) 20:43:45.33 ID:Qc3Qcj7/0
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『東区域・密集家屋地帯路地』―
旧暗夜軍ランサー女「……」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」チャキッ
シャ―ロッテ「……」
シャーロッテ(こいつら思った以上に強い。息もぴったりで隙もない。こういう相手は乱戦で相手するならいいけど、こういう対面形式で戦うには分が悪いわ)
ルーナ「どうする、来た道を戻って別の場所から合流を目指す?」
シャ―ロッテ「逃げても追ってくるでしょ。それに戻ったところで――」
ドゴンッ ガゴンッ!!!
グオオオオオオォォォォッ!!!!
サクラ「し、シャーロッテさん……」
ルーナ「下がれないわね、これじゃ」
シャーロッテ「ええ……」
シャーロッテ(まさか、外に溢れてたノスフェラトゥが中に戻ってくるなんて思わないっての。まぁ、レオン様たちが大通りに向かったのはわかってるから、合流は簡単に出来るって思ってたのに……)
シャーロッテ「本当、どうしてこういう奴が離れにいるわけ。向こうの大勢と一緒に隊列組んでなさいよ」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「敵の別動隊に対処するためだ。もっとも、来たのはただ孤立した兵だったがな」
旧暗夜軍ランサー女「兵だけじゃなくて、白夜の王女も一緒とは思わなかったけどね」
サクラ「……」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「どちらにせよ我々の敵だ。逃がすつもりはない」
シャーロッテ「そう……。逃がしてはくれないわけね」チャキッ ジリッ
ルーナ「……」コクリッ
59 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/23(月) 20:47:47.08 ID:Qc3Qcj7/0
シャーロッテ「ルーナ、援護しなさい!」ダッ
ルーナ「まかせて!」チャキッ ダッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ランサー、先に俺が出る。援護しろ」ダッ
旧暗夜軍ランサー女「了解」タタタタッ
シャーロッテ(男が先行ね。馬鹿正直に攻撃しても避けられる。なら、このトマホークで!)チャキッ
シャーロッテ「喰らえっ!」グッ ブンッ!
ヒュンヒュンヒュン
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「投擲か。しかし、甘い…」ブンッ
ガキィンッ ゴトンッ!
シャーロッテ「甘いのはそっちだっての。ルーナ!」ダッ!
ルーナ「ええ、この距離なら!」
ルーナ(よし、女の方はまだ距離を詰めきれてない。なら、シャーロッテの攻撃に合わせてあたしも攻撃すれば、こいつは倒せる!)
シャーロッテ「もらった!!!」ググッ
ルーナ「そこ……ん?」
旧暗夜軍ランサー女「ふっ」シュタッ
ルーナ(あの女、何か壁に向かってジャンプしてるような――)
グッ!
サクラ「シャーロッテさん、あぶない!」
シャーロッテ「!」サッ
旧暗夜軍ランサー女「はあああっ!」ダッ! シュパッ!
ルーナ「させない!!!」チャキッ シュパッ!
ガキィンッ!!!
60 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/23(月) 20:50:40.68 ID:Qc3Qcj7/0
ズササーーーッ!
ルーナ「っ、はぁはぁ……」
シャーロッテ「はぁはぁ……はぁはぁ……」
ルーナ(あの女、壁蹴って一気に距離を詰めてきたわ。なに、このふざけた戦い方は)
シャーロッテ(あ、あぶねえ……。何が起きたかわからないけど、二人のおかげで助かった)
旧暗夜軍ランサー女「おしい……あと少しだったのに。こういうところじゃないとこれは使えないから決めたかったんだけど」チャキッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「しかし、奴らの時間切れは近いぞ。音がさらに近づいているからな」
旧暗夜軍ランサー女「そうだね」
ドゴンッ ドゴゴンッ!
シャーロッテ「ちっ!」
ルーナ「……シャーロッテ、もう一回仕掛けられる?」
シャーロッテ「当たり前よ。このまま大人しく挽肉サンドイッチになるつもりはないわ」
サクラ「私も援護します」
シャーロッテ「ええ、お願い」
サクラ「はい!」チャキッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「む、そちらの王女は飾りというわけではなかったか。まぁいい、そうでなくては面白くないからな」チャキッ
シャーロッテ「後悔しても知らないわよ。はあああああっ!!!!!」ダッ
61 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/23(月) 20:57:44.50 ID:Qc3Qcj7/0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
レオン「状況はどうなってる?」
新生暗夜軍ダークナイトA「はい。前方の十字路に敵部隊を確認。さらに後方からノスフェラトゥも迫っています」
レオン「そうか。まさかこんな形で追い込まれることになるなんてね……。後方のノスフェラトゥの対処をお前たちに任せてもいいか?」
新生暗夜軍ダークナイトA「はい、お任せください!」パカラパカラッ
レオン「後方の敵を抑えてもらっている間に、サクラ王女たちを見つけださないと……」
タタタタタタッ
エリーゼ「レオンおにいちゃん!」
レオン「エリーゼ、サクラ王女たちは見つかったかい?」
エリーゼ「ううん、ここにはいないみたい」
レオン「そうか、となると僕たちとは違う方向へ逃げたということか。くそ、ノスフェラトゥの襲撃に気づければこんなことにはならなかったっていうのに……」
エリーゼ「あれは仕方ないよ。靄の事もあったし、どうにか抜けられた負傷者の手当てもしないといけなかったから……。でも、だからこそ、この状況をどうにかしなくちゃいけないって、あたしは思うんだ。そのためにも、サクラたちを見つけないと」
レオン「エリーゼ……。ああ、そうだな。その通りだ。どうにかしてサクラ王女の居場所を突きとめよう」
エリーゼ「うん!」
レオン(だけど、ここ周辺は長い家屋が多く隣接しているし、戻って調べようにもノスフェラトゥの大群がいる。となると……)
レオン「リンカ、頼みたいことがある」
リンカ「なんだ、レオン?」
レオン「ダークファルコンに乗っているお前にしかできないことだ。少し上がって周囲を確認してくれないか。はぐれてしまった兵や、サクラ王女たちを見つけ出したい、出来るかい?」
リンカ「ああ、任せてくれ。それっ、行くぞ」パシンッ
ヒヒーンッ
バサバサッ
62 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/23(月) 21:00:16.61 ID:Qc3Qcj7/0
バサバサッ
リンカ「よし、ここくらいでいいか。空から鳥が落ちてきたのを見る限り、あの靄は上にもあるだろうからな」
リンカ(さてと、サクラたちが逃げた方角がわかりそうな何かはあるか?)
リンカ「向こうが入ってきた門か。あたしたちが逃げてきた大通りとは別方向となると、西側に向かうくらいしかないが……」
ドゴンッ バゴンッ!
グオオオオオオオオオオオッ!
リンカ「……あそこだな」
バサバサッ
レオン「リンカ、どうだ?」
リンカ「ああ、サクラたちがいると思う方角の目星は付いたぞ」
エリーゼ「え、本当!?」
リンカ「ああ、方角は門から見て西側だ。ここから南西の家屋が集中してる場所で家屋を破壊しながら進むノスフェラトゥの群れがいる。おそらくだが、その先にいると思う」
レオン「そうか……」
レオン(逃げているだけなら、もう合流してもおかしくない。だけど、今も合流できていないとすると……)
レオン「敵と遭遇して交戦状態なのかもしれない」
エリーゼ「早く助けにいかないと!」
レオン「ああ、路地の出口は十字路から伸びる街道のどこかになるはずだ。まずは街道を見渡せる十字路に攻撃を仕掛ける。敵は迎え撃ちに来るはずだ。その隙を突いて僕たちでサクラ王女たちを探し出そう」
エリーゼ「うん、わかったよ」
レオン「リンカ、お前も付いて来てくれるか?」
リンカ「ああ、指示通りに動いてやるさ」
レオン「ありがとう」
レオン(無事でいてくれ、サクラ王女)タタタタタッ
63 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/23(月) 21:04:56.59 ID:Qc3Qcj7/0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
キィン!
ルーナ「っ!」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふん、その程度か」
ルーナ「まだまだ!!」ダッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふっ、そうこなくては。だが、この程度では、な!」ダッ
ブンッ!
ガキィンッ!
ルーナ「くっ!!!」
ルーナ(もう、何こいつ、本当に強い。腹立たしいくらいに強い)
シャーロッテ「おらああっ!!!」ブンッ
サクラ(ううっ、だめです、シャーロッテさんが射線に入るように相手が動いて、弓を射てない)
旧暗夜軍ランサー女「ふふん、そう易々と援護させないよ。それ!」チャキッ シュパッ!
ザシュッ
シャーロッテ「っ!」
サクラ「シャーロッテさん! 今、治療を!」
シャーロッテ「サクラ様、そこで止まって!」
サクラ「!」ピタッ
シャーロッテ「あんた、それをサクラ様にぶん投げるつもりでしょ? 易々とそんなことはさせないわ」
旧暗夜軍ランサー女「あー、あなたが止めなかったら、王女は倒せたのに」チャキッ
シャーロッテ「……」
シャーロッテ(こいつ、こういうところでの戦い方に慣れてるわ。わざわざサクラ様が攻撃し辛いように、射線に私が重なるようにしてくる。三対一でもこれじゃ意味ないわ)
64 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/23(月) 21:07:47.49 ID:Qc3Qcj7/0
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「はあああっ!!!」ブンッ
ルーナ「ちっ」サッ チャキンッ
ガキィンッ
ズサササーーーッ スタッ
ルーナ「はぁ……はぁ……」
ドゴンッ!!!
サクラ「こ、この音……」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「もうすぐか」
旧暗夜軍ランサー女「このままなら、私たちの勝ちだね」
シャーロッテ「ふん、優位だと高を括ってると足元掬われるわよ」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「たしかにその通りだ。人数的に優位な側が口にしているのだからな、言葉に説得力があるというものだ」
シャーロッテ「っ、ムカつく」
ルーナ「ええ、本当にムカつくわ」
サクラ「ルーナさん、シャーロッテさん……」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「もう諦めろ。諦めるのであれば痛みなく一撃で葬ってやろう」
旧暗夜軍ランサー女「うん、同じ女性として辱めたりとかそういうのはしないから。暗夜王国の敵だとしても、敬意は払うよ?」
シャーロッテ「その心使いができるなら、そこ通してほしいんだけど」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ああ、いいぞ。通れるものなら通れ。もっとも、お前たちの腕を見る限りでは難しいだろうがな」
シャーロッテ「ちっ」
65 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/23(月) 21:13:07.80 ID:Qc3Qcj7/0
シャーロッテ(全くもってその通りよ。ルーナとの連携はこいつらの連携に及ばないし……それに……)
ドゴンッ! バギッ!
ルーナ「……もうすぐ奴らが来るわね。このままじゃ、本当にサンドイッチよ」
シャーロッテ「洒落にならないわよ、それ」
ルーナ「……ごめん」
シャーロッテ「謝らないでいいから、何か手を考えなさいよ」
ルーナ「そうは言ってもね……。ああ、もう!」
サクラ「……ごめんなさい、私の所為で。私が逃げ込む場所を間違えなかったら、こんなことには……」
シャーロッテ「……」
サクラ「ごめんなさ――」
シャーロッテ「サクラ様、あやまることなんてないわ」
サクラ「でも……私の所為なのは……」
シャーロッテ「それをあやまったり後悔したって目の前の敵はいなくならない。今の状況が変わらないことくらいわかってるでしょ?」
サクラ「それは……」
シャーロッテ「なら、もう前に進んで行くしかないでしょ。私達は死ぬために後悔するわけじゃないんだからさ。謝るのも後悔するのも、戦いの後でいいのよ。今はそんなことしてる場面じゃないんだからさ」
サクラ「シャーロッテさん」
66 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/23(月) 21:21:31.72 ID:Qc3Qcj7/0
シャーロッテ「ほら、ルーナもしょげてないでさっさと気合い入れなさい。たしかに相手は強いけど、まだこっちは死んでないんだから圧倒的ってわけじゃない。こっちにも勝機はある、そうでしょ?」
ルーナ「……そうね。ここで落ち込んでも勝機は巡ってこないわ」チャキッ
シャーロッテ「そうそう、ちなみに私は良い男ゲットして玉の輿に乗るまで死ぬ気はないから」
ルーナ「はぁ、そんなのがあんたの夢なわけ?」
シャーロッテ「なに? 悪い?」
ルーナ「悪くはないけど、俗物すぎない?」
シャーロッテ「ふん。別にいいでしょ? で、その夢のための一歩は相手の胃袋を掴んでからなわけで、そのためにはちゃんと味見をしてくれる人がいないといけないわ。幸い、デザートの試食を手伝ってくれるって約束した王女様もいるわけだから、ここで死ぬわけにもいかない。そうでしょ?」チラッ
サクラ「シャーロッテさん……はい!」
シャーロッテ「そういうわけだから、そっちの心遣いに甘えるつもりはないわよ」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「そうか。まぁ、今さら乗ってくれたところで遅かったがな」
ドゴンッ!!!
ノスフェラトゥ「グオオオオオオオッ!!!」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「お望みのサンドイッチだ。さぁ、判断が遅かったことを苦しみ悔いながら――」
「マクベス様のために死ぬがいい!」
67 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/23(月) 21:23:21.26 ID:Qc3Qcj7/0
今日はここまで
シャーロッテはやっぱり姉御的な立ち位置がしっくり来てしまう。
明日はピエリの誕生日です。なので、短いピエリリスを上げようと思います。
68 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/24(火) 19:55:05.73 ID:vF+jj9uO0
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
―ピエリ誕生日SS―
誕生日を迎えることが大人になる事じゃないって知ったのは、あの子に出会ってからだと思う。それまでの誕生日はただ歳を重ねる事だけしか出来ていなくて、ピエリは大人に近づいてなんていなかった。そんなことを思いながら雪が降る空の下にいると、声が聞こえた。
「駄目ですよ、ピエリさん。そのままじゃ、風邪を引いちゃいます」
そう言って駆け寄ってきたその子を見ていると、お母さんを思い出す。
ピエリのお母さんはとっても優しくて、お料理上手の綺麗な人だった。
ピエリが何かを間違ったことをしたら怒ってくれて、最後には優しくしてくれた。
そんなお母さんがピエリは大好きで、なりたい大人と言われたらお母さんって答えるほどだった。
だけど、ある日、お母さんは真っ赤に染まって居なくなった。
それからお料理の匂いもしなくなった。
イライラして何かに八つ当たりしても怒られなくなった。
好きなことをしても誰も怒らなくなった。
辛くても心配されなくなった。
ピエリのことを褒めてくれる人はいても、心配してくれる人は誰もいなかった。
その日から、ピエリは大人になる事をやめて、子供のままでいることを決めたんだと思う。
その結果、ピエリはみんなから怖がられるようになった。
人殺しだからじゃなくて、ピエリだから怖がっていると知ったのは、あの戦いに参加してカムイ様や他の皆と一緒に戦っている時だった。
ピエリが敵をバラバラにしても怒らない。だけど、何かに関わろうとするとみんな何か理由を付けて去っていく。本当は孤立している事も分かってた。でも、その原因がわからなくて、それを苦しいって言えなかった。
69 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/24(火) 20:00:24.20 ID:vF+jj9uO0
誰もいない場所ならそんなことを考えなくてもいい。そうしてピエリが逃げ込んだのが星界の小さな祠みたいな場所だった。
そこで、ピエリはその子に出会った。その子のことをピエリは全然知らなかったけど、向こうはピエリのことを知ってた。
なのに、その子はピエリのことを怖がったりもしないで、言葉を掛けてきたから思わず聞いた。
『あなた、ピエリが怖くないの?』
ピエリの質問に、その子はこう返してきた。
『その、怖がられたいんですか?』
それにピエリは怖がられたくないって、素直に口にしていた。
素直にそう口にしたら、すごく悲しくなって涙が出る。声を出さないように頑張ったけど、口の中から漏れ出して自然と体が丸くなって動けなくなった。
だけど、こうやって泣いても気にしてくれないと思う。ピエリの事を知ってるなら関わらない方がいいってみんな知ってるから。だから、その子も声を掛けてくれない、そう思った。
『え、ちょ、ちょっと待ってください。なんで泣いてるんですか!?』
『え……』
『ご、ごめんなさい。その、突き放すために言ったわけじゃなくて、疑問に思ったことが口から出てしまったと言いますか……。その……』
『……』
『安心してください、私はピエリさんの事を怖がったりしませんから』
そう言って、その子はピエリの頭を優しく撫でてくれた。
昔、お母さんがそうしてくれたようにピエリが安心できるように優しく接してくれて、それがピエリの中の何かをもう一度動かしてくれたのだと思う。その子、リリスがしてくれたことが、もう一度、お母さんみたいになりたいって思う力になった。
だからかもしれないけど、ピエリはリリスが気にかけてくれる度に、お母さんのことを思い出す。
70 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/24(火) 20:04:00.52 ID:vF+jj9uO0
「駄目じゃないですか、今日の主役が何も言わずに外に出たりしたら。皆さん、探していましたよ」
「今日はピエリの誕生日で、ピエリが主役なの! だから問題ないはずなのよ」
「いいえ、何をしてもいいってわけじゃありませんよ。むしろ、準備してくれている皆さんを心配させたらだめです」
「ぶーっ、リリスは堅物なの」
「堅物で結構ですよ。ああ、頭にいっぱい雪が乗ってるじゃないですか」
さっきまで怒っていたのに、すぐにリリスはピエリを心配してくれる。ピエリの頭に乗った雪を優しく払ってくれて、それがとっても心地よくて嬉しくもあった。
出会ったあの日から、リリスはピエリのことを怖がったりしなかった。
一緒に星界を歩いてくれたし、外への買い出しの手伝いなどもしてくれた。
何より、間違ってることをピエリがしようとすると、止めようとしてくれて、だけどそれが原因で喧嘩になったりもした。でも、リリスはピエリを止めることをやめなかった。
ある日、本当に大喧嘩に発展したことがある。その喧嘩はピエリが勝ったけど、リリスはずっとピエリが間違ってるから止めるって言ってて、どうして止めるのって聞いた。
そしたら、『友達が間違ったことをしようとしているのに止められないのは、相手の事を怖がっているからです。私はピエリさんことを怖がったりしないって言ったじゃないですか。だから止めるんです』って言った。
そう言ってくれたことと、そういう思いを無視してわがままに振舞ってたことが情けなくなっていっぱい泣いた。そんなピエリのことをリリスは優しく撫でてくれて、そこに叱ったあとに優しくしてくれたお母さんを思い出せた。
ピエリの中に残ってるお母さんの記憶をリリスはいっぱい掘り起こしてくれる。何より、今も隣にいてくれることがとてもうれしく感じるくらいに、ピエリはリリスの事が好きだった。
71 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/24(火) 20:09:18.32 ID:vF+jj9uO0
「どうしたんですか、なんだか嬉しそうですけど」
「えへへ、リリスってお母さんみたいって思ったの」
「またですか。残念ですけど、私はあなたみたいな子供、知りませんよ」
「うう、酷いの。ピエリ、こんなにリリスのこと愛してるのに」
「はいはい、ピエリさんに愛されて私はとても幸せですよ。よし、これで雪は落ちましたね。あとは傘とマフラーを……」
リリスは傘を開くとピエリが入るように身を寄せてくれる。さらにマフラーも巻いてくれたから、首元がとっても暖かくなって思わず息が漏れた。
「ふぅ〜、あったかいの〜」
「ここで風邪を引いたら大変ですからね。今度からは防寒具を付けて外に出てください」
「はーい。だけど、一人で外に出たことは怒らないのね」
「い、いえ……まぁ、ピエリさんが一人でいてくれて助かったというのもありますから……」
「ん、どういうこと?」
「え、えっとですね…。ああ、その、こんなところで渡すのはどうかと思うのですが……」
そう言ってリリスは服のポケットから何かを取り出して、それをピエリに差し出してくる。それは小さな箱で奇麗にラッピングもされている。柄はピエリが好きなお気に入りのリボンと同じものだった。
「なにこれ?」
「ピエリさんへの誕生日プレゼントですよ」
72 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/24(火) 20:15:24.78 ID:vF+jj9uO0
「ピエリの?」
「はい。本当は他の皆さんと一緒にお渡しするべきでしょうけど、これから準備とか色々とあって渡す時間が無さそうだなって。なので、私だけズルしちゃうことにしました」
そうして差し出されたプレゼントを受け取ると、胸の奥がとても熱くなる。なんだか表現できない色々な思いが体の中を駆け巡るような感じがして、次第に顔も熱くなり始めた。
その熱を逃がすように顔を下げて、まずはお礼をと口が開いた。
「あ、ありがとう……なの」
「ふふっ、どういたしまして。これで一つ大人になりましたね」
そう言って、リリスはピエリの頭を優しく撫でてくれた。
『また大きくなったわね』
同時に記憶にあるお母さんを思い出す。いつの誕生日だったかはわからないけれど、それは確かにピエリが成長していることを喜んでいるお母さんの姿だ。
「ピエリ、大きくなれたの?」
二つの言葉に自然と言葉が出た。
それは記憶の中のお母さんに対してなのか、それともリリスに対して聞いたのかはわからない。だけど、答えてくれるのは今の成長したピエリを見てきた人だけだということはわかっていた。
「ふふっ、出会った頃に比べればいっぱい成長していますよ。この頃は余り癇癪も起こさなくなりましたし、大きくなってると思います」
「むー、リリスは一言多いの」
「だって事実ですからね。成長してなかったら、さきほどの言い合いで喧嘩が始まってましたよ、きっと」
「もう……。えへへ」
「ふふっ」
リリスは笑顔を返してくれる。記憶の中のお母さんも笑顔でピエリを見つめてくれた。
『お誕生日おめでとう、ピエリ』
「お誕生日おめでとうございます、ピエリさん」
記憶の中のお母さんと、大切なお友達。
二人のおめでとうに包まれながら、ピエリはまた一つ大人になるの。
-END-
73 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2019/12/24(火) 20:18:23.83 ID:vF+jj9uO0
今日はこれだけ
ピエリは守られるよりも一緒にいて、きちんと導いてくれる人がいればきっと素敵な大人になれる子だって思ってる。
リリスはああ見えて肝が据わってるはずだから、ピエリと一緒に歩んでいける友人になれると思う、そんなお話でした。
改めて、ピエリ誕生日おめでとう。
74 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:12:55.72 ID:YeOTlC7p0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区・大屋敷内部』―
マクベス「ノスフェラトゥは村内に戻ってきたようですね」
旧暗夜軍兵士「はい。ですが、西側へ回り込んだ群体は外周で待機していた敵軍と交戦、多くが撃破されたようです」
マクベス「そうですか、まあいいでしょう。障壁がある限り、敵が入ってくることはありえません。それに東側だけでもノスフェラトゥが戻ってきているのであれば上出来です。それよりも、南区域についての報告をおねがいします」
旧暗夜軍兵士「はい。敵は西区域より侵入した部隊が南区域の敵部隊と合流。残念ですが南の第一防衛線維持は不可能と判断し、現在第二防衛線を構築しつつ、最終防衛線での準備に取り掛かっています」
マクベス「そうですか。一部隊でも葬ることが出来ればと考えていましたが届きませんでしたか、西区域を守るノスフェラトゥやゴーレムの数を多くしておくべきでしたね。第一防衛線の破棄を決めたのはメイドですかな?」
旧暗夜軍兵士「はい。メイド殿の采配です」
マクベス「ふむ……」
旧暗夜軍兵士「マクベス様」
マクベス「いいえ、良い判断だと思っただけですよ。あのまま戦線の維持に努めたところで意味はありません。第一防衛線の瓦解が確実な以上、部隊を突出しさせておくべきではありませんから。となれば、当社の作戦は早々に破棄すべきですか。至急、合図を出してください」
旧暗夜軍兵士「はっ! 直ちに!」タタタタッ
マクベス(たしか南区域に入りこんだ敵はカミラ王女だと聞いていましたが)
マクベス「あの状況を切り抜けるとは、少なからずともガロン王様の血を引いているだけはあるということですか……」
マクベス(しかし、まだ戦いは終わってはいません。敵を分断し、王族を内部に捉えることが出来たのです。勝機はまだこちらに――)
マクベス「うっ、ゴホッ! ゴホゴホッ!」ビチャッ
ググッ
マクベス「はぁ……はぁ……」
マクベス(くっ、やはり障壁の維持は負担が大きい。ですが、この程度で倒れるわけにはいきません)
マクベス「ええ、そうです。暗夜王国、そしてガロン王様の軍師である私がこの程度で倒れてなるものか」
マクベス(まだ、多くの兵が奮戦する中で、先に倒れるわけにはいきませんよ)
マクベス「……東区域の撤退が完了次第、私も出るとしましょう」
マクベス(私を信じた者たちを裏切らないためにも、そして私自身が信じるガロン王様のためにこそ、私の命は……)
75 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:15:50.48 ID:YeOTlC7p0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『東区域・大通り』―
新生暗夜軍兵士「敵、十字路に向かって進軍中!」
新生暗夜軍兵士「怯むな、数ならばこちらが優勢だ。このまま十字路を抑えるぞ!」
新生暗夜軍兵士「前方、敵ジェネラル部隊が来ます!」
レオン「それは僕たちの役目だ。エリーゼ、頼む」
エリーゼ「うん、ライナロック! それっ!」シュオンッ
レオン「ブリュンヒルデ!」
ドゴンッ!
ザシュシュッ!
旧暗夜軍ジェネラル「ぐああああっ」ドササッ
旧暗夜軍兵士「敵、前面に魔術部隊を展開しています」
旧暗夜軍ジェネラル部隊長「ちっ、このまま迎撃してもいたずらに兵力を消費するだけか。遊撃隊を編成したはいいが、こうも戦力差が出てしまったか」
旧暗夜軍兵士「敵が十字路に展開開始。抑えられてしまえば、家屋密集地で戦う遊撃隊が孤立しかねません」
旧暗夜軍ジェネラル部隊長「南区域の戦いがどうなっているかはわからないが、援軍を待っている時間はない。合図が無い以上、しばらくはここを死守することに努め、合図があり次第下がるとしよう」
旧暗夜軍兵士「わかりました」
旧暗夜軍ジェネラル部隊長「よし、ノスフェラトゥと挟み打ちにできている今の優位を活かせ! 反魔法処置の済んでいるジェネラルは全面に展開、敵の魔術攻撃を牽制せよ!」
旧暗夜軍兵士たち『はっ!』
76 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:19:40.98 ID:YeOTlC7p0
レオン「敵の重装兵が増えたみたいだ」
エリーゼ「大丈夫、あたしの魔法でやっつけちゃうんだから!」
レオン「まて、おそらく魔法反射の特殊処置を施している奴らだろう。一撃で倒し切れないと手痛い返しを受けることになるよ」
エリーゼ「え、それじゃどうするの?」
レオン「今の目的は、サクラ王女たちを見つけ出して合流することだ。敵の意識を防衛にだけ集中させられればそれでいい。ジェネラル隊、すまないが仕掛けてくれるかい?」
新生暗夜軍ジェネラル部隊長「はい、お任せください。行くぞ、我らの力を見せつける時だ!」
新生暗夜ジェネラル部隊『おおおおおーーーっ!』
ドドドドドドドッ
旧暗夜軍ジェネラル部隊長「よし、迎え打て!!!」
旧暗夜軍ジェネラル部隊『うおおおおおーーーーっ!!!!』
ガキィンッ
ドゴンッ ドサッ!!
グアアアッ!! ウアアアッ……
リンカ「動きが拮抗し始めたぞ」
レオン「よし、行くなら今だ。散り散りになった部隊を救出に向かおう」
エリーゼ「おにいちゃん、あたしも行くよ!」
レオン「頼む。リンカ危険だが上空から周囲を探ってくれると助かる。何か見つけたら教えてくれ」
リンカ「わかった。それと状況が状況だったら攻撃を仕掛けるが、いいか?」
レオン「ああ、構わない。多くの者が路地を通じて合流を図ろうとしているはずだが、それが来ない以上敵と交戦している可能性が高い、みんな気を付けて捜索を――」
ヒュイイイイインッ!!!!
レオン「!?」
エリーゼ「え、何の音!?」
リンカ「方角からすると、ここの中心部からだな」
レオン「敵の合図みたいだ。何か動きがある前に、早くサクラ王女を見つけ出そう」
パカラパカラッ
バサバサバサッ
77 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:22:03.30 ID:YeOTlC7p0
◆◆◆◆◆◆
―渓谷出口の村『東区・家屋密集地帯』―
〜合図が出る少し前〜
ノスフェラトゥ「グオオオオオオォォォ!!!!!」
シャーロッテ「うるさい奴がいっぱい来たわね」
ルーナ「ええ、それでどうする?」
シャーロッテ「ノスフェラトゥを足止めしないといけない気もするけど、背中見せたら目の前の二人が飛んできそうね」
サクラ「シャーロッテさん、ルーナさん、後方は私が足止めします。距離が取れる分、私の方が有利なはずです」チャキッ
ルーナ「ちょっと、大丈夫なの?」
サクラ「はい、これでも弓の腕には自信がありますし、この細道なら外すこともありません。その代わり、前方のお二人の相手をお願いします」
シャーロッテ「……わかったよ。二人を叩きのめしたらすぐに合図するから」
サクラ「はい。お願いします」
ルーナ「もう、あたしを置いて話を進めないでよ」
シャーロッテ「なに、他に何か案でもあるわけ?」
ルーナ「……無いわ」
シャーロッテ「じゃあ、決まり。それじゃ、サクラ王女、背中任せたから」
サクラ「はい、お任せください」チャキッ
ルーナ「そ、そういうわけだから。サクラ王女様、その頼んだわよ」
サクラ「はい、ルーナさんもお気を付けて」ギュッ
ドゴンッ‼‼‼‼
ノスフェラトゥ「グオオオオオオオオオ!!!!!」ダッ
78 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:24:45.69 ID:YeOTlC7p0
サクラ(今、私に出来ることは目の前の敵を倒すことだけ。死なないためにも、この先続いて行く白夜王国の姿を見続けるためにも、こんなところで終われない!)
サクラ「行きます!」チャキッ ギリリッ
ノスフェラトゥ「グオオオオッ!!」ダダダダダッ
サクラ(私たちを見つけた以上、敵はまっすぐに向かってくるだけ。家屋を破壊する素振りもない。なら……)
サクラ「そこです!」パシュッ
ズビシャァ!
ノスフェラトゥ「グオオ……」ドサッ
ドゴンッ ガゴンッ!
ノスフェラトゥ「グオオオオッ!」ジタバタ
サクラ(後続を詰まらせれば、侵攻速度は遅くなります。これを続ければ、耐えられる!)
ググッ ドゴンッ!
ノスフェラトゥ「グオオオオオオオオオオッ!」ダッ!
サクラ「はっ!」パシュッ
ズビシャッ!
サクラ「そこ!」パシュッ
ドスリッ!
サクラ「やあああっ!!」パシュッ
ズシャリッ!
サクラ(これなら大丈夫、私は合図が来るまで敵を止め続ければいい。お二人を信じて)
サクラ「ここは絶対に通しません!」パシュッ!
79 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:26:16.18 ID:YeOTlC7p0
タタタタタタッ
シャーロッテ「はあああっ!!!」ブンッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふんっ!」グッ
キィンッ ガキィンッ
ルーナ「そこ!!!」ダッ
旧暗夜軍ランサー女「甘い!」サッ カキィンッ
ルーナ「ちっ!」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「今度はこちらからだ。はああっ!!」グッ ブンッ!
ザシュンッ
シャーロッテ「っ!」サッ
ポタタタッ
シャーロッテ(ちっ、少し入った……。でも、まだまだ!)チャキッ
ルーナ「シャーロッテ、大丈夫!?」
シャーロッテ「こんなのかすり傷よ。まったく、本当に相手にしたくない奴らね」
ルーナ「本当にね。だけど、退けないでしょ」ダッ
シャーロッテ「そうね」ダッ
ルーナ「今度はあたしが先に仕掛ける」
シャーロッテ「よし、援護は任せなさい」タタタタッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「来い、相手をしてやる」チャキッ
ルーナ「言われなくてもぶつかりに行ってやるわ! はああああああっ!」ブンッ
キィンッ!‼‼
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふん、この程度か?」
ルーナ「っ」
80 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:28:31.40 ID:YeOTlC7p0
ルーナ(純粋な剣技で倒すとなると骨が折れるわね、これ。なら、それ以外で崩すまでよ!)
ルーナ「これで、どう!」グッ
ゲシッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「なっ、蹴りだと!?」グラッ
ルーナ(よし、態勢が崩れた。今なら!)
ルーナ「はああああっ!」ブンッ
ズビシャアアッ!
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「がっ!」ポタタタッ
ルーナ「よし、入った!」
ルーナ(けど、浅い)
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「この!」グッ
シャーロッテ「まだ、こっちの攻撃は終わってねえんだよ!」ダッ
シャーロッテ(この距離、もらった!)
旧暗夜軍ランサー女「ブレイブ! させない!!!!」ダッ
ガキィンッ
シャーロッテ「ちっ!」
旧暗夜軍ランサー女「ブレイブ!」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「うおおおっ!」グッ!
シャーロッテ「ルーナ!」
ルーナ「っ!」
ブンッ
ルーナ「よっと!」サッ
ズサササーッ
81 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:31:56.91 ID:YeOTlC7p0
ルーナ「くそ、仕留め損ねたわね。あと少しだったのに……」
シャーロッテ「でも上々よ、男の傷はそれなりみたいだからな。あいつを倒せれば、ここを突破できるはず」
シャーロッテ(まぁ、この路地抜けた先が敵陣の中心って可能性は捨てきれねえけど……)
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」ポタタタタッ
旧暗夜軍ランサー女「どうする? 引いて手当てしたほうがいいと思うけど?」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「この程度の傷……どうとでもなる。今はこの三人を始末することが――」
ヒュイイイイインッ!!!!
ルーナ「な、なに!?」
シャーロッテ「何かの合図みたいだけど、私たちのじゃねえな……」
ルーナ「ってことは、敵のほうの合図ってことね」
旧暗夜軍ランサー女「……」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」
シャーロッテ(どっちだ? 総攻撃の合図なら、さっさとこいつらぶっ飛ばして合流しないとまずい。でも、これが撤退の合図なら……)
パカラパカラッ……
ルーナ「ん? この音、馬?」
シャーロッテ「敵の援軍か?」
……コダ! サ…ラオウジョ!
ルーナ「この声……」
シャーロッテ「……まったく、サクラ様は愛されて羨ましいわ」
82 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:33:37.04 ID:YeOTlC7p0
レオン「サクラ王女! どこだ、返事をしてくれ!」
エリーゼ「サクラー、どこー!」
シャーロッテ「へっ、形勢逆転ね。今度はあんたらがサンドイッチよ」
旧暗夜軍ランサー女「ブレイブ……」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ああ、ならば長居は無用だろう」
ルーナ「ふーん、逃げるわけ?」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ああ、そのつもりだ。もっとも……」グッ
旧暗夜軍ランサー女「……」グッ
ダッ
シャーロッテ「!?」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ただで逃げるつもりはない……」
シャーロッテ(向かってきた!? でも、これなら返り討ちに……)グッ
旧暗夜軍ランサー女「はあああっ!!!!」ダッ ブンッ
シャーロッテ「て、てめえ! ルーナ、男の方がそっちに行くよ!」
ルーナ「任せて! はあああっ!」チャキッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」フッ
ササッ
シャーロッテ「なっ!?」
ルーナ「抜かれた!?」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「さすがに一人くらいは倒しておかなくてはな……」チャキッ
シャーロッテ(しまった、奴らに詰め寄りすぎて背後ががら空きに!)
サクラ「はぁ、はぁ……まだ、諦めません!」チャキッ
シャーロッテ(サクラ様!)
83 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:36:58.63 ID:YeOTlC7p0
サクラ(今、確かにレオンさんとエリーゼさんの声が聴こえました。ノスフェラトゥの動きも遅くなっているから、あとはこのまま耐えきれれば――)
シャーロッテ「ちっ! 行かせねえ!」グッ
旧暗夜軍ランサー女「それはこっちの台詞だよ!」チャキッ シュパッ
キィンッ!
シャーロッテ「くそっ、サクラ様、逃げて!」
サクラ「え、シャーロッテさん?」クルッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……死ね。白夜の王女」チャキッ
サクラ(……敵? 迎撃を。でもこの距離じゃ、撃ちたくてもすぐに反応なんてできない。下がってもノスフェラトゥにぶつかるだけ……)
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」
サクラ(だめ、避けられない……)
シャーロッテ「サクラ様!!!!」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「はああああああっ」ググッ
バサバサッ
???「はあああああああっ‼‼‼‼」ブンッ
ガキィンッ!‼‼
サクラ「……あ、あれ?」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「な、馬鹿な!?」
ヒヒーンッ!
旧暗夜軍ランサー女「ダークファルコン!?」
サクラ「あ、あなたは……リンカさん」
リンカ「どうにか間に合ったみたいだな、よかった」
84 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:40:09.36 ID:YeOTlC7p0
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「くっ、まさか空から来るか。マクベス様の障壁があるというのに、何て真似をする」
リンカ「高くは飛べないだけの話だ」
ルーナ「な、なるほどね」
シャーロッテ「まさに命知らずって感じね。私は絶対にそんな真似しないわ」
リンカ「おまえら……」
シャーロッテ「まあいいわ、とりあえずこれで形勢逆転、まずはあんたからぶっ飛ばしてやるわ」ドゴッ!
旧暗夜軍ランサー女「っ!」ズササーッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ランサー!」ダッ
ルーナ「さすがに二度も通すと思って――」
ササッ
ルーナ「って、また抜かれた!?」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ランサー、退くぞ!」ダッ
旧暗夜軍ランサー女「わかった」ダッ!
シャーロッテ「逃がすか」チャキッ ブンッ!
ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!
シャーロッテ(このトマホークの軌道なら、どっちかには当たる!)
旧暗夜軍ランサー女「っ!」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「!!!!」ダキッ
シャーロッテ「もらった!」
シュオンッ!
バキッ カランカランッ……
85 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:44:21.43 ID:YeOTlC7p0
シャーロッテ「え!? 消えた!?」
ルーナ「消えた、っていうか誰かが魔法で回収したって感じね……」
シャーロッテ「ちっ、逃がしたってわけね……」
パカラパカラ
パカラパカラ!
レオン「ここにリンカが下りたみたいだけど……! シャーロッテにルーナ、無事だったんだね」
シャーロッテ「は、はい。なんとか無事ですぅ、レオン様」
レオン「負傷してるのか、エリーゼすぐに手当てを。それと他には……」
サクラ「レオンさん……」
レオン「サクラ王女! 無事でよかった」
サクラ「はい、シャーロッテさんとルーナさん、そしてリンカさんのおかげです」
レオン「二人ともありがとう、それとリンカもね」
リンカ「なに、この程度どうってことない。それでどうする? ここに居た敵は逃げていったようだが……追撃するか?」
レオン「いや、この人数で追撃に出ても返り討ちにされるだけだよ。今は部隊を集めて姉さんたちとの合流を目指そう。この村の構造を見る限り、敵は中心部で僕たちを迎え撃つつもりだ」
ルーナ「中心部?」
レオン「ああ、この村の中心部。マクベスが選んだ最後の場所、そこで奴は待っているはずだからね……」
86 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:47:10.55 ID:YeOTlC7p0
◆◆◆◆◆◆
―渓谷出口の村『東区・中央部に近い路地』―
シュオンッ ドササッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「がっ!」
旧暗夜軍ランサー女「いたっ!」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー(な、なんだ何が起きた……)
旧暗夜軍ランサー女「いたたたたっ、あれ敵が投げたトマホークは?」
???「もうありませんから、安心してください」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……メイドか?」
旧暗夜軍メイド「はい。救出が間に合ったようで何よりです。まさか、白夜の道具に頼ることになるとは思ってもいませんでしたが。これはドローと同じくらい便利なものですね」ポイッ カランカランッ
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「どちらにしてもありがとう、助かった」
旧暗夜軍メイド「いいえ、あなたがランサーさんを庇ったおかげです。もしも、そうしていなかったらどちらかはあの場所に置いて来なくてはなりませんでした」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「庇った?」
旧暗夜軍ランサー女「あのさブレイブ、もう放してもらっていいかな。流石に鎧が当って痛い」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「あ、すまん」サッ
旧暗夜軍ランサー女「いやいや、謝ることないから。それよりメイドちゃん、ちょっとブレイブの手当てをお願い」
旧暗夜軍メイド「はい、リライブ」シュオンッ
ポワァン
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「助かった。それで状況はどうなっているんだ? あの音が聞こえたと言う事は……」
旧暗夜軍メイド「はい、第一防衛線は放棄、第二防衛線で時間を稼ぎつつ、最終防衛線での総力戦の準備に取り掛かれということでしょう」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「そうか……。もう少し、時間を稼げるかと思っていたが」
旧暗夜軍メイド「やはり王族を中心に動いている以上、敵は強大なのでしょう。もっとも、それを理由に私は諦めたりはしませんが」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「わかっている。お前の頼みを聞いて、それを了承したのはこちらだ。マクベス様のための戦いはまだ終わってはいない」
旧暗夜軍ランサー女「マクベス様のための戦いは、結果的に暗夜王国の戦いだからね。それじゃ、さっさと移動しないと。ここに居ても、意味は無さそうだし」
旧暗夜軍メイド「ええ、それでは参りましょう――」
「マクベス様と共に駆ける事の出来る戦場へ」
87 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/05(日) 16:48:13.66 ID:YeOTlC7p0
今日はここまで
あけましておめでとうございます。
ゆっくりとした更新にはなりますが、今年もよろしくお願いいたします。
88 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 19:43:13.87 ID:k/CPEquV0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区域・南部』―
カムイ「……」
ブノワ「……」
カムイ「ブノワさん……」
ブノワ「ああ」ズズッ
シュパッ!
キィンッ!
ブノワ「!」
カムイ「ここも封鎖しているみたいですね」
アクア「主要な十字路に通じる路地はすべて抑えているみたい。さすがに村の内部構造を理解しているだけはあるわ」
マークス「やはり、一筋縄ではいかないようだな」
カムイ「どうしますか?」
マークス「敵の分断作戦はどうにか阻止したのだ。マクベスも各個撃破のために部隊を動かすつもりはないだろう。この状況なら……」
カミラ「全部隊の召集、そうでしょう兄様」
マークス「カミラ、戻ったのか」
カムイ「カミラ姉さん、敵の様子はどうでしたか?」
カミラ「敵はこの先の中央区域に集まっているみたい」
マークス「中央区域か。地図では大屋敷と広場がある場所のようだが……」
カミラ「ええ、とても開けた場所みたいね。ここで催し物とか市場を開いていたのかもしれないわ。今は弓砲台と魔道砲台の見本市ってところかしら?」
アクア「あまり見たくない催し物ね」
カミラ「ええ、それに遮蔽物もほとんどないようだから、攻撃を仕掛けるこっちとしては難しい戦いを強いられるでしょうね」
マークス「しかし、マクベスの作り上げた障壁を無効化しなければこの村から出られぬ以上、立ち向かう他あるまい。このまま中央区域へと向かいつつ、攻勢の準備を進めるよう全軍に伝えよ」
新生暗夜軍兵士「わかりました!」タタタタタッ
89 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 19:51:38.69 ID:k/CPEquV0
カムイ「中央区域へ入る前にレオンさん達の部隊も合流できるといいのですが」
マークス「敵全体が中央区域へ引き始めているから心配いらないだろう。それよりも、南東から入り込んでいる敵ノスフェラトゥの存在に注意が必要だ。敵本隊との戦闘が長引けば、奴らに後ろを取られかねん。中央広場へ攻撃を仕掛ける攻勢部隊の他、後方のノスフェラトゥの足止めをする少数の部隊も作り上げなくてはならないか」
カミラ「ともかく、まずは広場の手前まで進みましょう。まだ奴らが追いつくには時間が掛かるはずよ」
マークス「そうだな。カムイ、この先の路地の制圧を頼めるか?」
カムイ「分かりました、マークス兄さん。アクアさん、行きましょう」
アクア「ええ」
タタタタタッ
アクア「それで、この路地をどう抜ける?」
カムイ「後方からノスフェラトゥの大群が迫っているのですから、時間を掛けることはできません。真正面から叩きましょう。ブノワさん、フローラさん」
ブノワ「なんだ?」
フローラ「はい、カムイ様」
カムイ「この路地を抑える敵を排除します。お二人に先頭をお願いしたいのですが」
ブノワ「わかった……」
フローラ「はい、お任せください、カムイ様」
カムイ「お二人は敵の攻撃を受けることだけに専念してください。フェリシアさんは私とアクアさんに付いて来て、お二人が負傷したら治療をお願いします。敵への攻撃は私とアクアさんが行います」
フェリシア「わかりました」
フローラ「フェリシア、お願いね」
フェリシア「はい、姉さん。がんばります!」
カムイ「……よし、行きましょう」ダッ
90 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 19:56:11.93 ID:k/CPEquV0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
旧暗夜軍ボウナイト「よし、中央広場の準備は整いつつある。お前達は一足先に下がり、マクベス様の本隊と合流せよ。ここは我々に任せて大丈夫だ」
旧暗夜軍兵士「はっ、わかりました」タタタタタッ
旧暗夜軍ボウナイト(よし……本隊への合流は滞りなく行われている。敵に動きが無ければ、われわれも合流を……)
ガシャンガシャンッ!
旧暗夜軍兵士「敵、来ます!」
旧暗夜軍ボウナイト「来たか、編成は?」
旧暗夜軍兵士「重装兵を先頭に歩兵が数名、騎馬兵の姿はありません……。む、あれは――」
旧暗夜軍ボウナイト「どうした?」
旧暗夜軍兵士「か、カムイ王女の姿もあります」
旧暗夜軍ボウナイト「ほう、わざわざ前線に出てくるとは勇猛なことだ。だが、これはチャンスだ。奴を仕留めればマクベス様も喜ばれる。各員、奴を通すな!」
旧暗夜軍ジェネラル「了解、前に出ます」
旧暗夜軍ボウナイト「任せる。ふん、重装兵だけでここを抜けられると思っているようだが、考えが甘いな」チャキッ
旧暗夜軍ボウナイト(これの前ではそのような重装備、なんの意味もないのだからな)
91 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 20:00:14.90 ID:k/CPEquV0
フェリシア「敵が出てきました! 重装兵です」
カムイ「わかりました。アクアさん、アーマーキラーで切り掛りますので、援護をお願いします」
アクア「わかったわ。あなたがジェネラルを仕留めたら、一気に距離を詰めて奥の敵を仕留めるわ」
カムイ「はい。ブノワさん、敵にできる限り近づけますか?」
ブノワ「ああ、任せてくれ…。フローラ、俺が前に出る。お前はカムイ様達を守ってくれるか…」
フローラ「……」
ブノワ「フローラ?」
フローラ「いいえ、私が前に出るわ」ガシャンガシャンッ
ブノワ「フローラ!?」
フローラ「今、あのボウナイトが装備を変えたわ。おそらく、シャイニングボウよ」
カムイ「魔法武器ですか。仕方ありません、奴らの射程圏ぎりぎりで止まってください。そこから、攻撃を仕掛けますから」
フローラ「いいえ、大丈夫です。それに遠距離攻撃なら……」
フローラ(私の血が役に立つはずです)
フローラ「ですから、ここは私にお任せください、カムイ様」
カムイ「フローラさん……わかりました。あなたを信じます」
フローラ「はい……。フェリシア、悪いけど回復をお願いね」
フェリシア「姉さん……。うん、任せて!」
フローラ「行くわ。はああああっ!!!」ガシャンガシャンッ
92 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 20:02:37.81 ID:k/CPEquV0
旧暗夜軍兵士「敵一人、突出します」
旧暗夜軍ジェネラル「無謀にも向かってくるか、これでも喰らえ!」チャキッ ブンッ
フローラ(スレンドスピア……でも、この程度なら!)
チャキッ ガキィンッ!!!
フローラ「っ!」
旧暗夜軍ジェネラル「ちっ、ダメージは入っているようだが、この程度では止まらないか」
旧暗夜軍ボウナイト「装甲に頼って特攻をしかけてくるのだから物理への自信はあるのだろう。だが、その考えが命取りだ」チャキッ
フローラ(来る!)
旧暗夜軍ボウナイト「死ね!」パシュッ!!!
ズビシャアアッ!
フローラ「きゃっ!!!」
旧暗夜軍ボウナイト「よし、当たっ――」
ドクンッ!!!
旧暗夜軍ボウナイト「がっ!!!!!」グラッ
旧暗夜軍兵士「ど、どうしました!?」
旧暗夜軍ボウナイト「ぐっ、ううっ、さ、寒い……。なんで、こんな……ぐあああっ!!」
旧暗夜軍ボウナイト(な、なんだこれは、いきなり体が凍え始めて、くそ、一体何が起きたっていうんだ!?)
93 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 20:06:48.99 ID:k/CPEquV0
フローラ(血はちゃんと反応したみたい。これで私が受けた痛みと同じものが、奴にも伝わったはず。凍て付くほどの寒さとしてね)
フローラ「氷の血、たっぷりと味わうといいわ」
フェリシア「姉さん、今手当てしますから!」
フローラ「ええ。それよりもカムイ様、今です」
カムイ「フローラさん、感謝します! ブノワさんはフローラさんを守ってください」ダッ
ブノワ「わかった…」ガシャンッ
カムイ「アクアさん、仕掛けます!」
アクア「任せて」ダッ
旧暗夜軍ボウナイト「カムイ王女!」
旧暗夜軍ジェネラル「ちっ、死ねええ!!!」チャキッ ブンッ
カムイ「当たりませんよ」サッ
旧暗夜軍ジェネラル「しまっ――」
カムイ「はあああっ!」チャキッ ブンッ
ガッ ギギギギギギギギッ ガゴンッ!
ズビシャアアッ!!!
旧暗夜軍ジェネラル「ぐああああっ」ドサッ
旧暗夜軍兵士「この!」チャキッ
アクア「させないわ」タタタタッ チャキッ ブンッ
ザシュンッ
旧暗夜軍兵士「がはっ」ドサッ
94 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 20:23:59.69 ID:k/CPEquV0
旧暗夜軍ボウナイト(くそ、懐まで入り込まれた! だが、この距離なら!!!)チャキッ
カムイ「アクアさん!」
旧暗夜軍ボウナイト「外すか!」グッ
バシュッ!
サッ
旧暗夜軍ボウナイト(くそ、手が震えて、思うように動か――)
アクア「はあああっ!」チャキッ
ザシュッ!
旧暗夜軍ボウナイト「がっ……、マク……ベス様……。申し訳、ありま……」
ドサッ
旧暗夜軍ボウナイト「」
アクア「……」
カムイ「アクアさん、怪我はありませんか!?」
アクア「大丈夫よ、これでここの路地は制圧できたわね」
カムイ「はい。そうです、フローラさんは!」
アクア「敵の気配はないわ。ここは私に任せて」
カムイ「はい、お願いします!」タタタタタッ
95 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 20:29:26.17 ID:k/CPEquV0
フローラ「はぁ……はぁ……」
フェリシア「姉さん、無茶し過ぎです」
フローラ「ふふっ、そうかもね。でも、ブノワだとあの攻撃は受け切れなかったでしょう? だから私が出る以外の道は無かっただけよ」
ブノワ「面目ない……」
フローラ「謝らないで。それに生き残れたのは、あなたがくれたお守りのおかげかもしれないわ」
ブノワ「持っていてくれたのか…」
フローラ「ええ。案外、悪くないものね。少なくとも生き残った時にこれのおかげって思えるもの」
ブノワ「そうか……」フッ
カムイ「フローラさん、大丈夫ですか?」
フローラ「はい、怪我もフェリシアが治療してくれましたし、お守りの効力もありましたから」
カムイ「お守り?」
フローラ「はい、お守りです。ふふっ」
フェリシア「カムイ様、これからどうしますか?」
カムイ「もうそろそろ中央広場の入口に差し掛かります。そこで後続の部隊が到着するのを待ちましょう」
フェリシア「はい、わかりました。あ、姉さんは私より後ろにいてくださいね。まだ、傷は塞がってませんから」
96 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 20:31:08.49 ID:k/CPEquV0
フローラ「大丈夫よ、そんな心配しなくてもこの程度なら」
ブノワ「いや、まだ傷が塞がっていないのなら、少し下がっててくれ……。きちんとした治療が済むまで、俺がお前たちを守る盾になる……」
フローラ「ブノワ……」
ブノワ「……」
フローラ「……わかったわ。少しの間だけお願い」
ブノワ「ああ……。カムイ様、俺が先行する後に続いてくれ……」
カムイ「はい、よろしくお願いします」
タタタタタタッ
アクア「フローラは?」
カムイ「大丈夫、無事でした。それよりも敵はいましたか?」
アクア「路地の先を見たけどいないみたい。その代り、真新しい靴跡がいくつもあったから、ここら一帯の敵は中央広場に退いたのかもしれない」
カムイ「仕方ありません。まずはぎりぎりまで敵に詰め寄りましょう」
アクア「そうね……」
カムイ(この先、敵と相対するのは遮蔽物もまるでない広場。だとすれば小細工などほとんど通用しないそういう戦闘になるのかもしれません。でも、それはマクベスさんも同じはずです)
カムイ「それがマクベスさんの望む、最後の戦いということですか……」
97 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 20:34:44.86 ID:k/CPEquV0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―中央区域『大屋敷前・大広場』―
マクベス「陣の形成は間に合ったようですね」
旧暗夜軍兵士「はい、全部隊の通達が速かったおかげです」
マクベス「ええ、おかげで敵との戦力差はそれほどない状態です。ここからは守るのではなく撃滅する戦いになる。そして、もしも敵が戦線を突破し、この大屋敷に達したのであれば……」
旧暗夜軍兵士「村北部まで撤退でしたね」
マクベス「ええ、その通りです。それが、あなた方にここにいることを許した条件ですから。くれぐれも遅れないようにお願いしますよ」
旧暗夜軍兵士「分かっています。私はメイド殿と同じく、マクベス様のご命令が絶対ですので。では、最後の準備に取り掛かります」
マクベス「ええ、お願いします」
旧暗夜軍兵士「はっ!」タタタタタッ
マクベス「……」
タッタッタッタッ
マクベス「?」
旧暗夜軍メイド「マクベス様、ただいま戻りました」
マクベス「あなたですか。南西区域撤退の判断は見事でした。多くの兵を失わずに済みました」
旧暗夜軍メイド「いいえ、私の到着がもう少し早ければ南区域の敵に対処できていたはずです。申し訳ありません」
マクベス「それは違います。この部隊配置は私の判断によるもの、あなたの部隊を状況判断後に動かすと決めたのもそうです。ですので、気にすることはありません」
旧暗夜軍メイド「マクベス様……」
マクベス「それに、あなたは私の命令を守っています。そのように不安になる事はありません」
旧暗夜軍メイド「……ありがとうございます」
マクベス「では、行くとしましょう。もう、打つべき手は打ちました。あとはただ戦うだけです」
旧暗夜軍メイド「はい、マクベス様」
マクベス「部隊の再編も済んでいます。この単純な陣形では、奴らに選べる手などありはしません」
マクベス(もちろん、それはこちらとて同じこと。ですが、何も恐れることはありません。このような私個人の戦いであろうとも付いて来てくれる者がいる。だからこそ、私は今も信じ続けることができるのです)
マクベス(ガロン王様の描いた暗夜王国が全てを支配する世界という理想を……)
タッタッタッ
マクベス「……」
マクベス(ですが、同時に理解しなくてはいけないこともある)
98 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 20:36:15.25 ID:k/CPEquV0
旧暗夜軍ランサー女「……」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「……」
旧暗夜軍アドベンチャラー「……」
旧暗夜軍メイド「……」
旧暗夜軍兵士たち『……』
マクベス(それは、ここに居る多くの兵士、その多くが私にとっての戦いで失われるということ……。すでに犠牲が出ているように、この最後の攻勢でもっと多くの犠牲が出ることは避けられないことです)
マクベス「……」
マクベス(多くの人間の命を背負うことを辛いと思ったことは今までなかった。それは大きな目的の下だからこそ無視できた問題。でも今、ここに居る兵士の多くは私に仕えることを選んだ。それは私自身の思想に命が消費されると言うこと。そして、私にとっての戦う意味は、すでに……)
マクベス「……」
スッ
旧暗夜軍メイド「マクベス様、大丈夫です」
マクベス「な、なんのことですかな?」
旧暗夜軍メイド「誰もこの命を賭すことに疑問など抱いていません。マクベス様の力になりたいからこそ、私たちはここに居ます。だから、そのような顔をしないでください。その、似合いませんから」
マクベス「……ふん、分かったようなことを言いますね。たかが数ヶ月、私の付き人をしていただけだというのに」
旧暗夜軍メイド「ふふっ。マクベス様、この戦いに勝利したら、あの紅茶を淹れさせてください。きっと、この戦いの勝利は、あの紅茶に似合う大きな勝利のはずですから」
マクベス「……考えておきましょう」
旧暗夜軍メイド「はい」
マクベス「……」
マクベス「全軍、配置に着きなさい――」
「これより最後の攻撃を開始します」
99 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/12(日) 20:37:50.38 ID:k/CPEquV0
今日はここまで
フローラの氷の血が実際発動すると、こんな感じで冷気が相手に降りかかる感じになるのかなって思う。
100 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/20(月) 18:50:10.10 ID:kbGtA8lDO
乙
きれいなマクベス
101 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 12:48:07.61 ID:Kl0tq6hf0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷出口の村『中央区域・中央広場入口南側』―
マークス「やはり、マクベスの準備は整っているということか」
カミラ「ええ、砲台を中心にして敵の戦列は整っているわ。左右の砲台を騎馬で攻めるのも手だけど魔道砲台の前方には杭がいくつもあって通ることはできないから、中央を通って回り込むしかないわね」
マークス「中央の道幅は杭によって狭まれている、そこを抜ける瞬間に仕掛けてくるのは間違いないだろう」
カムイ「騎馬兵や重装備の方々以外でしたら、杭を越えて移動もできそうですが、近づくまでに多くの時間を要するでしょうね」
マークス「となれば、突破の鍵は竜騎兵か」
アクア「だけど、遮蔽物も何もない場所だからすぐに気付かれるわね」
マークス「ああ、さらに敵には長射程の砲台がある。無策で乗りこめば、返り討ちにされるだけだろう。砲台の破壊、制圧を行うには何かしらの手を考えるしかないか」
マークス「幸いにもカミラが砲台を一つ破壊してくれたおかげで、敵の砲台配置には一種の穴がある。敵の攻撃陣は全ての包囲をカバーしているようだが、砲台同士の射程が重なるようにはできていないようだからな」
カミラ「それが唯一の突破口になりそうね」
マークス「そこを打つ以外に手はないだろう。カミラ、すまないが残っている竜騎兵を招集しておいてくれるか?」
カミラ「わかったわ、みんなを集めておくわね」タタタタタッ
102 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 12:49:56.08 ID:Kl0tq6hf0
アクア「竜騎兵以外に突破口は無いのは確かね」
マークス「ああ、砲台に近づかなければならない以上、頼るしかあるまい。歩兵では距離が遠く、馬では杭を裂けて回り込まねばならん。それに、中央での猛攻を抜けて辿りつくことはできないだろう」
カムイ「そうですね。だとすると、竜騎兵の皆さんが素早く攻撃を行えるようにどう動くべきかを考えないといけませんね……」
マークス「ああ、それについてだが……」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
マークス「このように仕掛けようと考えている。最前線を支える兵たちの負担はかなりのものになるが……」
カムイ「いいえ、現状はこれくらいでしょう。敵としても陣を突破されることを無視できないでしょうから」
アクア「そうね。私もマークスの案を支持するわ」
マークス「ありがとう。カムイ、中央での戦闘を任せられるか?」
カムイ「はい、任せてください。マークス兄さんは先行して、敵の攻撃を引きつけてください。中央で敵が抑えに回ってきたら、そこからは私たちが何とかします」
マークス「ああ、頼む。よし、全軍進撃の準備に入る。レオンの部隊には到着次第東側に設置された砲台への攻撃を開始するように伝えよ。カミラにはこの書簡を渡してほしい」
新生暗夜軍兵士「はっ! わかりました!」タタタタタタッ
マークス「カムイ、行くぞ」
カムイ「はい、マークス兄さん」
103 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 12:53:45.48 ID:Kl0tq6hf0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―渓谷出口の村『中央区域・旧暗夜軍陣地』―
旧暗夜軍兵士「敵を確認、南部と西部より進軍を開始しました」
マクベス「敵の編成は?」
旧暗夜軍兵士「中央は重装兵と騎馬兵を主軸とした編成のようです。西部は魔法兵を中心に形成しているようです。杭を抜けて進むつもりかもしれませんが、兵力は中央ほどではありません」
マクベス「ふむ、魔道砲台に対してはまだ攻勢に出るつもりはないということですか。まぁいい、各砲台は敵が射程に入り次第攻撃を開始しなさい。アドベンチャラー、あなたには中央弓砲台の防衛を命じます」
旧暗夜軍アドベンチャラー「了解しました、マクベス様。よし、弓砲台の防衛に向かうぞ。俺に付いて来い!」
旧暗夜軍兵士たち『はっ!』タタタタタタッ
マクベス「西部の魔道砲台はあなた方で対応をお願いします。相手は魔法戦力が中心ですが、近づかせないよう気を配りなさい」
旧暗夜軍ボウナイトA「わかりました」パカラパカラッ
104 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 13:00:46.41 ID:Kl0tq6hf0
マクベス「ランサーとブレイブヒーローは東部の魔道砲台の防衛をお願いします。まだ敵の姿はありませんが、気を抜かぬように」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「わかった。行くぞ、ランサー」
旧暗夜軍ランサー女「はいはい。それより傷は大丈夫?」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ああ、メイドの治療のおかげでな。もうあのような無様な姿を、お前に見せることもないだろう」
旧暗夜軍ランサー女「そっか、それじゃお手並み再拝見させてもらおうかな」
旧暗夜軍ブレイブヒーロー「ふん」タタタタタタッ
マクベス「あなたは私と来るように」
旧暗夜軍メイド「はい、マクベス様」
マクベス「それで、最初に敵が到達する場所は?」
旧暗夜軍メイド「中央です。多くの戦力がここに集中していますが、道幅の狭くなったところを抑えれば、問題なく対処できるはずです」
マクベス「ふむ……」
旧暗夜軍メイド「いかがしますか?」
マクベス「まずは中央を抑え込みましょう。どうやら、先陣を切っているのはカムイ王女のようですからね。何か策があるのかもしれません」
旧暗夜軍メイド「わかりました」
マクベス(もっとも、どのような策であろうとも蹴散らすまでのこと)
マクベス「行きましょう」タタタタッ
旧暗夜軍メイド「はい、マクベス様」タタタタタッ
105 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 13:04:03.66 ID:Kl0tq6hf0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―渓谷出口の村「中央区域・中央部弓砲台付近」―
旧暗夜軍兵士「敵、さらに接近!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「よし、こっちから挨拶してやるぜ。全員、構えろ!」
旧暗夜軍兵士『……』チャキッ
旧暗夜軍アドベンチャラー「砲台は指示があるまで各自判断で攻撃、どんどん敵に矢を送ってやれ!」
旧暗夜軍弓砲台兵「わかりました、攻撃開始します」ガシャコンッ!
バシュシュンッ!
旧暗夜軍アドベンチャラー「俺たちも攻撃開始だ! 一斉射!」
旧暗夜軍兵士『!!!!』バシュッ!
新生暗夜軍兵士「敵の攻撃、来ます!」
マークス「騎馬隊は散開しつつ、敵の攻撃を引きつけに入る。カムイ、進軍は任せたぞ!」
カムイ「はい、マークス兄さん。フローラさん、ブノワさん、敵の攻撃が来ます!」
フローラ「はい、カムイ様」
ブノワ「ああ、防御陣形に入る……各自、防御姿勢で待機しろ…」
新生暗夜軍ジェネラルA「わかりました、敵の攻撃が来るぞ。歩兵は我々の陰に隠れるんだ!」
ヒュン!
ヒュンッ ガッ ドスススススッ
新生暗夜軍ジェネラルB「この程度の攻撃なら、なんとも――」
ヒューンッ ドゴンッ
新生暗夜軍ジェネラルB「がっ!!!!」グラッ
106 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 13:10:35.87 ID:Kl0tq6hf0
カムイ「! 大丈夫ですか」
新生暗夜軍ジェネラルB「ぐっ、だ、大丈夫です。さすがに砲台ですね、そこらの矢と比べ物にならないくらいに重い……」
カムイ「フェリシアさん、この方の手当てを」
フェリシア「はい、わかりました」
カムイ(やはり、砲台の破壊力は侮れませんね。ですが、発射間隔はそれほど速いわけでは無いようですね。どうにか装填の合間に距離を詰めて中央を越えましょう。こちらが中央を越えようとすれば、敵はこちらを抑えに出てこなくてはいけなくなりますからね)
カムイ「進軍を続けます。フローラさん、先行をお願いできますか?」
フローラ「はい、お任せくださいカムイ様。フェリシア、援護をお願いね」
フェリシア「はい、姉さん!」
旧暗夜軍兵士「敵部隊、進軍を再開!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「敵がそろそろ中央に差し掛かるか。なら、こっちも出るしかねえ。砲台は後方への攻撃に専念しろ」
旧暗夜軍アドベンチャラー「重装兵隊と騎馬隊はあの一団に攻撃を仕掛けろ。一気に叩き潰して敵の戦力を削ってやれ!」
旧暗夜軍アドベンチャラー(柵と杭を避けてきた奴らを騎馬隊と重装兵で抑えれば、それで敵の進軍は止まる。あとは、それを叩けば終わりだ)
旧暗夜軍ジェネラル隊長「はっ! 全員進め!」
旧暗夜軍パラディン隊長「各員、突出した敵側面へ撃を仕掛けよ」
ザッ ザッ ザッ
パカラパカラッ!
旧暗夜軍アドベンチャラー「俺達はこのまま援護を続ける。間違えても味方に矢を当てたりするんじゃねえぞ」
旧暗夜軍弓兵「はっ!」
旧暗夜軍アドベンチャラー(へっ、そう簡単に中央を越えられると思うなよ)
旧暗夜軍アドベンチャラー「蜂の巣にしてやるぜ」
107 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 13:13:39.28 ID:Kl0tq6hf0
ヒュン!
キィンッ カァンッ!
カムイ「っ、攻撃が激しくなってきましたね。フローラさん、大丈夫ですか?」
フローラ「大丈夫、他の皆は問題ありませんか?」
新生暗夜軍ジェネラルA「はい、こちらは問題ありません。まだまだいけます」
アクア「カムイ、正面から敵の重装兵と騎馬隊がやってくるわ」
カムイ「マークス兄さんの予想通りですね。敵の動きは?」
フローラ「前方からジェネラルの分隊、敵の騎馬隊は左右に展開しています」
アクア「ジェネラルで正面から押さえつけて、側面をパラディンで狙うつもりね」
カムイ「ええ、でも敵は同士討ちを避けて弓による攻撃を弱めるはずです。それにここで重要なのは壁を築いて時間を稼ぐことですから。みなさん、踏ん張りどころです、がんばってください」
新生暗夜軍ジェネラルA「はっ!」
ブノワ「む、敵が来るぞ…!」
新生暗夜軍ジェネラルA「全員、何が何でも受け切れ!」
新生暗夜軍ジェネラル部隊『おーーーっ!!』ザッ
ザッ ザッ ザッ!
旧暗夜軍ジェネラル「掛れ!!!」
旧暗夜軍兵士たち『うおおおおおーーーっ!!!』ガシャンガシャンッ!
新生暗夜軍ジェネラルA「来るぞ!!!」
ドゴンッ
バゴンッ
グアアアアッ!
108 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 13:17:54.95 ID:Kl0tq6hf0
ブノワ「ぐっ!!!」ググッ
フローラ「ふんっ」ガッ
旧暗夜軍兵士「ちっ、崩せないか」
カムイ「どうにか耐え切りましたね。フェリシアさん、今です!」
フェリシア「はい! それっ!」チャキッ シュパッ
ザシュッ!!!
旧暗夜軍兵士「がっ、目が、うがああっ!」
新生暗夜軍ジェネラルA「はああっ」ググッ ドゴンッ!!!
旧暗夜軍兵士「が……、この!!!!!」ググッ
フローラ「くっ、この程度で!」チャキッ
フローラ(重装兵だからと言って、受け切るだけが能ではありませんよ!)
フローラ「はああああっ」ブンッ
バギィッ!!!
旧暗夜軍兵士「ぐおおおおあああっ……」ドササッ
フローラ「はぁはぁ……」
カムイ「フローラさん、お怪我は?」
フローラ「大丈夫です。それよりも、カムイ様は指示に専念をお願いします。今、ここで私たちの事を気にされては、敵に隙を許しかねません」
カムイ「わかりました。フェリシアさん、重装兵の方々への治療を最優先にお願いします」
フェリシア「わかりました!」
109 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 13:27:26.41 ID:Kl0tq6hf0
カムイ(どうにか重装兵の正面攻撃を耐えることはできました。なら、次に来る敵の攻撃は……)
アクア「カムイ、左右から敵の騎馬隊がくるわ」
カムイ「皆さん、側面からの攻撃に備えてください! 何としてでも騎馬の突撃を喰い止めるんです!」
ブノワ「わかった。フローラ、ここは任せるぞ…」
フローラ「ええ、お願い!」
旧暗夜軍パラディン隊隊長「よし、側面の敵防備はまだ済んでいない。この機を逃すな!」
ヒヒーンッ
パカラパカラッ
新生暗夜軍兵士「敵、来ます」
ブノワ「牽制する。全員、構えろ!」ザッ
新生暗夜軍兵士『!』ザザッ
旧暗夜軍パラディン隊隊長「怯むことはない、このまま敵を蹴散らせ!」
ドドドドドドドッ!!!
ブノワ「今だ!」ブンッ
新生暗夜軍兵士「当たれ!!!」チャキッ ブンッ!
ヒュン ヒュンッ
ザシュッ! ザシュシュッ!
ヒヒーンッ ドササッ
旧暗夜軍パラディン「攻撃が激しく、速度が出せません!」
旧暗夜軍パラディン隊隊長「ちっ! 小癪な真似を!」キィンッ
カムイ(ふぅ、なんとか敵騎馬隊の初撃は耐えきれましたか。ですが、何度も受け切れるものではありません。あとは、例の手がうまく行くのを待つしかありませんね……)
カムイ「頼みましたよ、カミラ姉さん」
110 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 13:33:32.77 ID:Kl0tq6hf0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―中央区域・西部『魔道砲台周辺』―
旧暗夜軍兵士「中央の戦闘が続いています」
旧暗夜軍ボウナイトA「敵は中央から攻める選択をしたか。なるほど、重装兵を駆使して弓砲台の攻撃を受け切り距離を詰めたということか」
旧暗夜軍兵士「こちらはどうしますか?」
旧暗夜軍ボウナイトA「マクベス様からここを死守ように命を受けている。現状はここを守ることに専念するだけでいい。それで、敵の動きは?」
旧暗夜軍兵士「まだ砲台の射程外です。じりじりと距離を詰めつつあります」
旧暗夜軍ボウナイトA「そうか」
旧暗夜軍ボウナイトA(中央での戦いは苛烈を極めているようだな。さすがに敵の戦力のほぼ全てが集中しているのだ、それも仕方あるまい。しかし、最も気になるのは敵の竜騎兵がまだ姿を見せていないことだ)
旧暗夜軍ボウナイトA「中央突破のために投入する機会を伺っているということか?」
旧暗夜軍兵士「敵、増援を確認! 竜騎兵部隊のようです」
旧暗夜軍ボウナイトA「きたか、予想進路は?」
旧暗夜軍兵士「はい、現在中央に向けて進軍しています」
旧暗夜軍ボウナイトA「やはり敵の狙いは中央か。敵魔法部隊の状況は?」
旧暗夜軍兵士「はい、進軍の速度をあげたようです」
旧暗夜軍ボウナイトA「同時に侵攻して我々を釘付けにし、中央への援護に向かわせないつもりか。仕方あるまい、これより向かってくる敵を迎え撃つ。機を見て別働部隊を形成し、中央の援護に向かわせるぞ」ザッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カミラ「敵の様子はどう?」
ベルカ「……左奥の魔道砲台周辺の敵は進軍速度をあげた魔法部隊を迎撃することにしたみたい…。すぐに中央にやって来るわけではなさそうね」
カミラ「そう」
ニュクス「中央の方は、私達を迎撃するために弓兵を使うつもりみたい。みんな、構えて待っているわよ」
カミラ「あらあら、準備がいいものね」
カザハナ「うぇ〜、あそこに突撃したら、一溜まりもないわね」
アシュラ「まぁ、あれに飛び込みたくはねえな」
ツバキ「ほんとうだねー」
カミラ「ええ、あそこに飛び込むのは難しいわ。もっとも――」
「狙いが中央だったらの話だけどね?」
111 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/01/23(木) 13:40:59.12 ID:Kl0tq6hf0
今日はここまで
FEHで投票が行われてますね。対象に#FEも追加されてよかった。
ところでチキ嫁Pが投票対象にいないのはなぜなのか……
112 :
◆P2J2qxwRPm2A
[sage saga]:2020/02/19(水) 22:45:15.33 ID:SYavcY//0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―中央区域・西部『魔道砲台周辺』―
旧暗夜軍兵士「敵部隊、杭を通過しました」
旧暗夜軍ボウナイトA「よし、魔道砲台は攻撃を開始せよ」
旧暗夜軍砲台兵「はっ! 攻撃を開始します!」シュオンッ
旧暗夜軍ボウナイトA「砲台の護衛は最小限でいい。群がる敵を討ち、側面から中央突破を計る敵へ攻撃を仕掛ける。行け!」
ウオオオオオーーーッ!
新生暗夜軍兵士「敵、魔道砲台の動作を確認」
新生暗夜軍ソーサラー隊長「砲台の広域魔法に気を付けつつ、前進します。敵迎撃部隊の殲滅は騎馬兵を優先しなさい。近づかせてはなりませんよ」
新生暗夜軍兵士「砲台から広域魔法の詠唱痕確認!」
新生暗夜軍ソーサラー隊長「砲台の攻撃に当たらないよう注意しなさい」
新生暗夜軍兵士「はっ!」
ヒュオオオオオッ! ドゴンッ!
新生暗夜軍兵士「広域魔法着弾を確認、続いて敵部隊接近します!」
新生暗夜軍ソーサラー隊長「各員、迎撃開始! はあっ!」シュオンッ
ドゴンッ!
113 :
◆P2J2qxwRPm2A
[sage saga]:2020/02/19(水) 22:50:54.73 ID:SYavcY//0
旧暗夜軍メイド「マクベス様、西部区域でも戦闘が始まったと報告がありました」
マクベス「おそらく魔道砲台へ向かった敵の目的は中央への援軍を断つことでしょう。中央突破を成し遂げるために、こちらの援軍を阻止したいはず、最小限の足止めを狙っているだけでしょう、現状西部に問題はないはずです」
旧暗夜軍メイド「敵もそれは承知で足止めを狙っているはずですから、戦力差で負けることは無いかと……」
マクベス「ならば、向こうは彼らに任せて大丈夫でしょう。注意しなくてはならないのは、奴らの動向です」
旧暗夜軍メイド「敵の竜騎兵ですね」
マクベス「ええ、中央を騎馬や歩兵で抜けるのは困難ですが。竜騎兵となれば話は別です。急襲しこちらの陣を瓦解させ、中央突破が狙いでしょう。おそらく、竜騎兵の攻撃と共に拮抗しているこの状況を敵は打開するために動くはず、何としてでも耐えなければなりません」
旧暗夜軍メイド「迎撃準備は整っています。敵竜騎兵部隊を指揮しているのがカミラ王女ですと、手強いでしょうね」
マクベス「だとしても、敵の要は間違いなく竜騎兵部隊による急襲制圧戦術であることに間違いはありませんし、カミラ王女もそれを狙っているでしょう。崩されなければ、こちらは勝利に向け一歩進むことができます」
旧暗夜軍メイド「はい、マクベス様」
マクベス(そうです、竜騎兵部隊が消え去れば敵の侵攻は打ち止めになることでしょう。未だに東部魔道砲台への敵侵攻が確認されていないことは気になりますが、敵の飛行戦力はほぼ今見えているものだけでしょう。ならば、これさえ打つことができれば……)
マクベス「……」
旧暗夜軍兵士「マクベス様。敵竜騎兵部隊が動き始めました。まっすぐ向かって来ます!」
旧暗夜軍兵士「中央激戦区の敵集団は重装兵が中央へと集結しつつあります。おそらく強行突破の準備だと思われます」
マクベス「予想通りに来ましたか。ならば、こちらも出るまでです。あなたは第二魔法部隊を指揮しなさい」
旧暗夜軍メイド「わかりました、マクベス様」
マクベス「では、行きますよ」
オオオオーーーーッ
ドドドドドドドッ
114 :
◆P2J2qxwRPm2A
[sage saga]:2020/02/19(水) 23:03:04.71 ID:SYavcY//0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―中央区域・『中央南部』―
新生暗夜軍レヴナントナイトA「前方、弓砲台後方より、敵部隊の移動を確認。マクベスが率いる部隊のようです」
ニュクス「中央攻撃を見越した動きね。動きが速いわ」
カミラ「ええ、こっちも急いで手を打ちましょう。いくらカムイやマークスお兄様がいても、あの軍勢を受け続けることはできないわ」
カザハナ「冷静に分析してる場合じゃないと思うんだけど……」
カミラ「その通りね。それじゃ、こっちも動くわよ。ベルカ、先行をお願いできる?」
ベルカ「わかったわ……。ニュクス、捕まっていて」
ニュクス「ええ、きちんとエスコートしてちょうだい」
ベルカ「ええ、任せて。あなた達も付いて来て……」バサバサッ
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「わかりました。よしお前ら、落されるなよ!」
新生暗夜軍ドラゴンマスター部隊員『はっ!』バサバサッ!
カミラ「私達は先行した部隊が右翼からの攻撃を仕掛けるタイミングに合わせて、侵攻するわ」
新生暗夜軍レヴナントナイトA「了解です!」バサバサッ
カザハナ「それにしても、この作戦、本当に大丈夫なのかな? 途中で落とされたりとかは勘弁してほしいんだけど」
新生暗夜軍レヴナントナイトB「お任せください! 必ずや、送り届けてみせます」
カザハナ「わかった、頼んだからね」
新生暗夜軍レヴナントナイトB「はい、しっかり捕まっていてください!」バサバサッ
ツバキ「アシュラ、到着したら頼むよー」
アシュラ「ああ、任せておけ。さっさと無力化してやるさ」バサバサ
115 :
◆P2J2qxwRPm2A
[sage saga]:2020/02/19(水) 23:07:54.61 ID:SYavcY//0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
旧暗夜軍弓砲台兵「敵竜騎兵部隊、接近してきます!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「来やがったな! 弓を構えろ!」
旧暗夜軍アドベンチャラー(かなりの量だが、マクベス様の部隊も向かってる。ある程度減らせればこっちの勝ちだ)
旧暗夜軍弓兵「射程に入りました!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「……放て!!」
バシュンッ
パシュシュッ!!!
ザシュッ ザシュシュッ!
旧暗夜軍弓兵「くそ、落ちねえ」
旧暗夜軍アドベンチャラー(ちっ、攻撃が当たってる奴もいるが、撃墜までには至らねえか……。中央で戦ってる味方を攻撃するつもりなら、その背中を撃ち抜いてやれるんだが……」
旧暗夜軍弓兵「敵竜騎兵部隊、さらに前進を開始! こちらに向かってきます!
旧暗夜軍アドベンチャラー「照準を合わせておけ、接近してくる奴らを迎え撃つぞ。十分に引きつけろ!」
116 :
◆P2J2qxwRPm2A
[sage saga]:2020/02/19(水) 23:09:03.35 ID:SYavcY//0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「敵、第二射の準備に入りました」
ベルカ「わかった……。右翼からの攻撃、頼んだわ」
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「はい。お任せください! 右翼へ展開する部隊は私に続け!」
新生暗夜軍ドラゴンマスター部隊「了解しました!」バサバサッ
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
旧暗夜軍弓兵「敵、射程に入ります!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「射て!!!」
パシュッ
バシュンッ!!!
バサバサッ
旧暗夜軍弓兵「敵、左右に展開します」
旧暗夜軍アドベンチャラー「ちっ、側面から攻撃するつもりか!」
旧暗夜軍弓兵「東に逃れた敵が攻撃態勢に入りました」
旧暗夜軍アドベンチャラー「東から対処しろ。西の奴らは弓砲台で牽制、近づけさせるな!」
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「いくぞ! うおおおおおっ!!!」バサバサッ
新生暗夜軍ドラゴンマスター部隊『おおおおおっ!!!』 バサバサッ
旧暗夜軍アドベンチャラー「各自、迎撃しろ!」
旧暗夜軍弓兵「喰らえ!!!」チャキッ パシュッ
ズビシャッ! グオオオオッ ドスンッ
旧暗夜軍アドベンチャラー(中央部の拮抗地帯への攻撃より、こっちの砲台を落としに来やがったってことか。ここを抑えて、中央への支援が出来ないようにするのが狙いか)
新生暗夜軍ドラゴンマスターB「くらえっ!」チャキ ブンッ
サッ
旧暗夜軍アドベンチャラー「甘いんだよ!」チャキッ パシュッ
ザシュリッ
新生暗夜軍ドラゴンマスターB「がっ……」ドササッ
117 :
◆P2J2qxwRPm2A
[sage saga]:2020/02/19(水) 23:11:51.72 ID:SYavcY//0
旧暗夜軍アドベンチャラー「どうにか、なったか」
旧暗夜軍アドベンチャラー(だが、このままじゃまずい。西側に分散した敵と、まだ向かってきてるレヴナントナイトの部隊が残ってる。この状況で、攻撃を仕掛けられたら……)
旧暗夜軍弓兵「! 後続の敵、こちらに向かって移動を開始!」
旧暗夜軍アドベンチャラー「くそ、思ったらすぐこうなるか!? 正面の襲撃に備えろ。西側もだ!」
旧暗夜軍弓兵「駄目です、人員が足りません」
旧暗夜軍アドベンチャラー「人員に余裕がないのはわかってる。だが、ここを落とされれば、中央への支援個所を一つ失うことになる。どうにかして守り抜くんだ」
旧暗夜軍弓兵「しかし、現実的に人数が、一方向守るのでも手一杯の状況では……」
???「ならば、正面を私が受け持ちましょう」
旧暗夜軍アドベンチャラー「マ、マクベス様……」
マクベス「どうにか間に合ったようですね。話は後です、正面は私に任せて、あなた方は側面の対処に当たるように」
旧暗夜軍アドベンチャラー「わかりました! よし、形勢逆転だ。向かってくる奴らを一匹残らず打ち落とすぞ」
旧暗夜軍弓兵「はっ!」
旧暗夜軍メイド「マクベス様、私はもう一方の弓砲台へ向かいます」
マクベス「はい、東部の魔道砲台へ向かう敵の部隊が確認されています。状況によっては、そちらへの援護に出てください」
旧暗夜軍メイド「わかりました」タタタタタッ
マクベス「もっとも、この急襲を耐えきれば、敵に打てる策は無いも同然ですがね」
旧暗夜軍ソーサラーA「マクベス様、敵竜騎兵の後続が来ます」
マクベス「ふっ、空を飛んでいることを有利だと思っているのかもしれませんが、それは間違いというものです」スッ
マクベス(この魔法の前ではその優位こそが敗北に繋がることを――)
(その身で知ってもらうとしましょう……)
118 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/02/19(水) 23:12:51.38 ID:SYavcY//0
今日はここまで
119 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:17:00.86 ID:iwOQrGqD0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷入口の村内部『中央区・左弓砲台周辺』―
新生暗夜軍レヴナントナイトA「弓砲台正面に敵部隊展開を確認。マクベスの部隊です!」
カミラ「ベルカ達が展開した後で良かった。あの子たちじゃ、魔法攻撃に対処し続けるのは厳しいもの」
新生暗夜軍レヴナントナイトA「はい。ですが、敵は全方位に対処できる形になっています。このままでは……」
カミラ「……」
カミラ(おそらくだけど、こちらの動きにマクベスはいち早く勘付くはず、そうなってしまったらおしまいね。なら……)
カミラ「カザハナ、ツバキ、アシュラは先に進みなさい。私が敵を引きつけるわ」
カザハナ「え、それってすごく危険なんじゃ……」
カミラ「大丈夫、私を信じなさい。それよりも、本命をあなた達に任せることになるのだから、しっかり決めてちょうだい」
ツバキ「わかった。こっちは俺達に任せてください、カミラ王女」
アシュラ「ああ、きっちり決めてやるさ」
カミラ「ふふっ、頼りにしているわ。あなたたち、私と一緒に来てくれる?」
新生暗夜軍レヴナントナイトA「はい、カミラ様。仰せのままに」
新生暗夜軍レヴナントナイトB「お任せください、カミラ王女」
カミラ「他は手筈通りに進みなさい。さぁ、私達の力を見せつけるわよ」
新生暗夜軍兵士一同『はっ!』
バサバサバサッ
120 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:19:34.98 ID:iwOQrGqD0
旧暗夜軍ソーサラーA「マクベス様、敵接近します」
マクベス「砲台に近づかせてはなりません、各自迎撃を開始しなさい」
旧暗夜軍魔法部隊『はっ!!!』
シュオオオンッ バシュンッ!
シュオオオオンッ ドゴンッ!
新生暗夜軍竜騎兵「っ、なんて魔法の量だ」
新生暗夜軍竜騎兵「だが、動いていればそう当たるものでは無い。このまま先を目指すぞ」
旧暗夜軍魔法部隊「ちっ、ちょこまかと……」
バサバサバサッ
マクベス(さすがに高速で飛翔する相手に直撃させるのは難しいことを敵もわかっている。ですが、この魔法に直撃などという概念はありません。ただ、巻き込むだけでいいのです)
マクベス「その力、暗夜を語る裏切り者たちに示す時です」シュオオオオオオオオンッ
ヒュオオ……
マクベス「エクスカリバー!!!」ヒュオオオオオッ!
新生暗夜軍竜騎兵「な、なんだ。これは風?」
新生暗夜軍兵士「風の渦、一体なにが――」
ヒュオオオオオオオッ
ギギッ ザシュシュッ!
新生暗夜軍竜騎兵「がっ、ぎっ、が、がらだが―――」
新生暗夜軍兵士「ひき、ちぎられ――」
ブチャッ! ドササッ
新生暗夜軍兵士「」
新生暗夜軍竜騎兵「」
マクベス「まず一騎……」
121 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:23:19.59 ID:iwOQrGqD0
新生暗夜軍レヴナントナイトA「カミラ様、あの魔法は……」
カミラ「初めて見るわ。出し惜しみをするつもりはないということね」
新生暗夜軍レヴナントナイトB「広範囲を巻き込む強力な魔法なようです。進軍方角に出されれば、多くの味方が巻き込まれてしまいます」
カミラ「先を行くあの子たちを落とさせるわけにはいかない。マクベスに攻撃を仕掛けるから、あなた達は周囲の兵をお願い」
新生暗夜軍レヴナントナイトB「分かりました、カミラ王女」
新生暗夜軍レヴナントナイトA「了解です」バサバサッ
カミラ「……行くわよ」
マクベス「はあっ! 死ねぇ!!!」シュオオオンッ
ヒュオオオオオッ!
ギャアアアアッ!!
ドササッ
マクベス「ふっ、簡単に落ちるものですね。暗夜王国の名を騙る裏切り者共にふさわしい最後です」
バサバサッ
マクベス「む?」
カミラ「マクベス!」チャキッ
マクベス「!」サッ
カミラ「はあああああっ!」チャキッ ブンッ
ドゴンッ
マクベス「おやおや、まさか王女ご自身から殺されに来るとは。犯した罪の重さに、ようやく気が付きましたか?」
カミラ「あら、その罪に気づいたのなら見逃してくれるのかしら?」
122 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:24:57.19 ID:iwOQrGqD0
マクベス「おかしなことを口にされる。ガロン王様が築いた暗夜王国を裏切った罪は、死をもって清算される以外の道などありえはしません!」バッ
ヒュオオオッ
カミラ(来る!)バササッ
ヒュオオオオオオオオオオオッッ!!!!
グオオオオオッ! バサッバサッバサッ
カミラ「っ!」
カミラ(なんて力、少しでも力を緩めたら渦に巻き込まれない)
カミラ「だけど、この距離なら」
バサササッ
マクベス「ちっ」
カミラ(あぶなかった。直撃を狙わなくて大丈夫なくらい、広範囲を巻き込む魔法の類のようね……)
カミラ「面倒なものを隠していたのね、あなた」
マクベス「ふん、ガロン王様の忠実なる臣下である私が使う最上級の魔法です。貧弱なものであっていいわけがないのですよ。もっとも、それをこのような形で使うことになるとは思ってもいませんでしたが!」シュオンッ
ヒュオオオオッ!
カミラ(風の流れ、左から来る)バササッ
ビュオオオオオオオオオオッ!
カミラ「っ!」
グオオオオオッ
カミラ(詠唱から渦が出来上がるまでの時間が早い、巻き込まれる!)
ザシュシュッ
グオオオオオオッ!!!
123 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:26:09.58 ID:iwOQrGqD0
カミラ「ぐっ!」ザシュシュッ
マクベス「くくっ、これで終わりです、カミラ王女」
カミラ「っ、そうはいかないのよ!」チャキッ ブンッ
ヒュンヒュンヒュンッ!
マクベス「なっ!」
ザシュッ
マクベス「ぐっ!」ポタタッ
旧暗夜軍ソーサラー「マクベス様!」
シュオオオオ……
カミラ(風がわずかに弱まった、今なら!)
カミラ「はああああっ!」ググッ
グオオオッ
バサバサバサッ!
マクベス「っ、逃がしましたか。足掻くことなく諦めてしまえばいいものを……」
カミラ「生憎だけど、生きている間は諦めない事に決めたのよ」
マクベス「ガロン王様の築いた暗夜を裏切ることで得た覚悟に価値などあってなるものか……」
カミラ「マクベス……」
マクベス「っ、なるものか。くらえ――」スッ
新生暗夜軍レヴナントナイトB「ムーンライト!」シュオンッ
マクベス「!」
124 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:27:48.11 ID:iwOQrGqD0
バシュッ!
マクベス「ぐっ!」フラッ
新生暗夜軍レヴナントナイトA「カミラ様、こちらです」
カミラ「ありがとう」
マクベス「っ、逃がすか!」シュオンッ
ヒュオオオオオッ!
新生暗夜軍レヴナントナイトA「退け!」
新生暗夜軍レヴナントナイトB「はっ!」
バサバサッ!
マクベス「逃がしましたか……。あと少しだったというのに、っ……」ポタタタッ
マクベス(苦し紛れとはいえ正確に当ててきますか……。しかし、あの状況になっても諦めずに抗うとは……)
マクベス「まったく、本当に嫌になりますね。そういったところに、ガロン王様の子だという事実を感じてしまうというのは……」
マクベス(傷口は思ったよりも浅い、この程度の傷ならば応急処置だけで十分……)
マクベス「はぁ、はぁ……。よし、まだ大丈夫ですね」
旧暗夜軍ソーサラー「マクベス様、大丈夫ですか!?」タタタタッ
マクベス「ええ、問題ありません。すでに処置は済ませましたので。そんなことより、敵が再度攻撃を仕掛けてくるでしょうから備えなければ……」
旧暗夜軍ソーサラー「それなのですが、敵竜騎兵は回避行動を取りつつ、西へと向かっているようなのです」
マクベス「西……!」
マクベス(そうか、カミラ王女がわざわざ向かってきたのは……)
マクベス「………アドベンチャラー」
旧暗夜軍アドベンチャラー「はい、マクベス様」
マクベス「至急、お願いしたいことがあります」
125 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:30:58.29 ID:iwOQrGqD0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―渓谷入口の村内部『中央西区域・魔道砲台周辺』―
バサバサッ
バサバサッ
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「敵、魔道砲台の射程まであとわずかです」
ベルカ「魔法部隊を迎撃に向かった敵部隊は?」
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「彼らもこちらに気づいたようですが、魔法部隊に妨害されてまだ動き出せてはいないようです」
ニュクス「仕掛けるなら今ね」
ベルカ「ええ、一気に距離を詰めて砲台周辺を制圧するわ。突撃!」バサバサッ
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「いくぞ!」バサバサッ
バササササッ!
旧暗夜軍兵士「敵竜騎兵、こちらに向かって前進してきます!」
旧暗夜軍ボウナイトB「ちっ、奴らの本命はこっちだったということか。戦線に上がった味方が戻って来るまでなんとしても守り抜く。砲台は標的を向かってくる竜騎兵を攻撃しろ!」
旧暗夜軍魔道砲台兵「はい、攻撃開始します!」
シュオンッ ゴオオオッ!!!
ニュクス「砲台から攻撃が来るわね。どうする?」
ベルカ「私達を狙っているみたい。あなた達はこの隙に前進して」
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「わかりました!」バサバサッ
ニュクス「来るわ!」
ベルカ「回避する、しっかり捕まって」ググッ
バシュンッ!
ザシュッ!
ベルカ「っ!」
126 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:36:50.44 ID:iwOQrGqD0
ニュクス「ベルカ、大丈夫!?」
ベルカ「かすり傷よ。懐に入ってさっさと無力化するわ。後方のレヴナント部隊の状況は?」
ニュクス「安心して、もう合流したわ」
バサバサッ
新生暗夜軍レヴナントナイトC「すまない、少し遅れたようだ」
ベルカ「いいえ、問題ないわ。カミラ様は?」
新生暗夜軍レヴナントナイトC「カミラ様は敵部隊の注意を引くと、中央区域に攻撃を……」
ベルカ「そう……わかったわ。カミラ様ならきっと大丈夫、私たちは私たちの役割を果たすわ」
新生暗夜軍レヴナントナイトC「はい」バサバサッ
ベルカ「……」
ニュクス「心配?」
ベルカ「……少しだけ」
ニュクス「少しだけ、ね?」
ベルカ「ええ、少しくらいでいいの。カミラ様はそんな簡単に死ぬような人じゃないことくらいわかっているから。それよりも、言われた通りの仕事を熟せなかった時のことが心配ね」
ニュクス「もしかして、酷いお仕置きをされるのかしら」
ベルカ「ええ、お風呂でもみくちゃにされるのは慣れないわ……」
ニュクス「え、それだけ?」
ベルカ「それだけ、じゃないわ。あなたは知らないからそう言えるだけよ」
ニュクス「そうね、体験していないからわからないけど」
ベルカ「体験しない方がいいと思うわ。そういうわけだから、さっさと制圧に向かいましょう。成功させて後顧の憂いは経たないといけない」
ニュクス「ふふ、そうね。さっさとそうしましょう」
バサバサッ
127 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:38:05.02 ID:iwOQrGqD0
旧暗夜軍兵士「この!」
新生暗夜軍ドラゴンマスターB「くらえ!!!」
キィンッ!
カキィン ザシュンッ!
旧暗夜軍兵士「ぐああああっ!」ドサッ
新生暗夜軍ドラゴンマスターB「よし、やったぞ!」
旧暗夜軍弓兵「くそっ、当たれ! 当たれ!!!」チャキッ パシュンッ
ザシュンッ
新生暗夜軍ドラゴンマスターB「ぐああああっ!」ドササッ!
旧暗夜軍弓兵「よし、一人やったぞ! このまま、もう一騎――」
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「はあああっ!!!」ググッ ブンッ
ヒュンヒュンッ ザシュンッ!!!
旧暗夜軍弓兵「ぐえっ……」ドサッ
新生暗夜軍ドラゴンマスターA「レヴナントの後続部隊も合流した。恐れることは無い、このまま押し切れ!」バサバサッ
ウオオオオッ!
バサバサッ!
旧暗夜軍ボウナイトB「ちっ、増援はまだなのか!」
旧暗夜軍兵士「もう少しです。ですが、多くの兵を中央部への支援部隊として送ることにしていたこともあって、もうここにいる戦力で守り切るのは……」
旧暗夜軍ボウナイトB「悲観してる暇があるなら手を動かせ、敵はどんどん迫っているんだ。マクベス様のために、この戦い負けるわけには!」
バサバサッ
旧暗夜軍弓兵「くそっ、ちょこまかと動きやがって、素直に落ちろ!」パシュンッ!
スカッ
旧暗夜軍弓兵「っ、また避けやがった! 今度こそ当てて――」
ザシュッ……
128 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:40:03.51 ID:iwOQrGqD0
旧暗夜軍弓兵「がっ……」ポタッ ポタタッ
アシュラ「すまねえが、当てる機会はもうねえよ」
ズシュリッ
ドサッ
旧暗夜軍弓兵「」
アシュラ「……悪いな」
新生暗夜軍兵士「アシュラ様。地上戦部隊合流しました」
アシュラ「よし、それじゃさっさと奪い取るぞ。逃げる敵は放っておいていい、向かってくる奴は倒す。敵の援軍が到達するよりも前に終わらせるんだ。進め!」
ワアアアアアッ!
ドドドドドドドッ!
旧暗夜軍ボウナイトB「! 敵の地上戦部隊!?」
旧暗夜軍兵士「は、はい。竜騎兵と共に移動してきたようで……」
旧暗夜軍ボウナイトB「くそ!」
旧暗夜軍ボウナイトB(だめだ、この敵の数では押し切られる。味方の援護は間に合わない……。ここは落ちる)
旧暗夜軍ボウナイトB「ここまでか……」
ヒュイイイイイィィンンッ!‼‼‼
旧暗夜軍ボウナイトB「この音は?」
旧暗夜軍兵士「中央からの合図です! この合図は……」
旧暗夜軍ボウナイトB「マクベス様……」
129 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:42:58.63 ID:iwOQrGqD0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
◆◆◆◆◆◆
―白夜王国・渓谷入口の村内部『中央区・左弓砲台周辺』―
旧暗夜軍アドベンチャラー「合図あげましたよ、マクベス様」
マクベス「わかりました。あなた方は引き続き中央区への攻撃を継続しなさい」
旧暗夜軍アドベンチャラー「了解しました。よし、弓砲台は引き続き敵の先頭を攻撃し続けろ!」
旧暗夜軍弓砲台兵「はっ!」
マクベス「くっ、このような初歩的な策に乗せられるとは……」
マクベス(カミラ王女を含めた少数の飛竜兵の攻撃が陽動だと気づいていれば、西部に向かう本命への挟撃が成功していたというのに……)
マクベス「西部砲台周辺は破棄します。あなた方は中央へ撤退してくる仲間の援護に向かいなさい」
旧暗夜軍兵士「わかりました、マクベス様!」タタタタタッ
旧暗夜軍ソーサラー「マクベス様、我々はいかがします?」
マクベス「西部の奪還は不要です。西部を失う事で敵に選択を与えるのは癪ですが、ほぼすべての飛竜部隊は西側に集結しています。こちらの動きに横槍を入れられる敵はいません」
マクベス(二方面から圧力を掛けていく算段なのでしょうが、その準備が整っていない今は唯一の隙、付け入ることのできる絶好の機会でしょう)
マクベス「敵の戦力は分散しているいまが、中央戦況を掌握する最大のチャンスです。敵の戦列を薙ぎ払い勝利を手にするときです」ザッ
旧暗夜軍魔法部隊『はい!』ザッ!
マクベス「進軍!」タタタタタッ
旧暗夜軍魔法部隊『オオオオーーーッ』ドドドドド
130 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:46:50.99 ID:iwOQrGqD0
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
カムイ「アクアさん、戦況の方は?」
アクア「カミラ達はうまくやってくれたみたい、西部の砲台陣地から敵が撤退しているようだわ。だけど、少しまずいことになったわね」
カムイ「というと?」
アクア「中央に到達した敵援軍が、こちらに向かっているわ。残念だけど西部奪還のために敵が動くというシナリオではなくなったみたいね」
マークス「そうか、読みが外れてしまったようだな」
カムイ「ええ、敵が西部砲台の奪還に動くと同時に戦線を押し上げるつもりでしたが、そう、うまくはいきませんか……」
マークス「フローラ、敵部隊の構成は?」
フローラ「魔法を中心としているようです。こちらの部隊構成では厳しい相手になります」
カムイ「中々に厳しい戦況ですね」
ブノワ「それと西部の戦線にいた敵も、こちらに向かってきている。敵の攻撃はさらに激しくなるだろう…」
フェリシア「だ、大丈夫でしょうか?」
カムイ「マークス兄さん、どうします。先ほどの比ではない敵が迫っているようですが」
マークス「ああ、こちらは消耗も激しくなっている。あと耐えられるのも一度くらいだろう。一度下がれば、そのまま押し潰されかねない」
カムイ「カミラ姉さんたちの攻撃が始まって、敵が退くまで耐えるしかありませんか」
マークス「いや、まだ手が無いわけではない」
カムイ「え?」
マークス「作戦の手順を変えるまでだ。至急、東部に向け合図を出してほしい」
新生暗夜軍兵士「わかりました」
カムイ「東部……ということは」
マークス「ああ、今できることはこれだけだ。あとは、それが実を結ぶように信じよう」
カムイ「はい、マークス兄さん」
マークス「全員聞いてくれ、西部砲台周辺の制圧は成功した。援軍到着もあと少しで到着する、ここが雌雄を決する正念場だ。私と共に勝利を掴むため、戦ってほしい」
新生暗夜軍兵士たち『オーーーーーッ!』
フローラ「敵援軍、もうすぐ接触します!」
マークス「新しき暗夜の力、存分に見せつけるのだ!」スッ
「迎撃開始!」バッ
131 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/03/16(月) 10:47:54.09 ID:iwOQrGqD0
今日はここまで
この頃更新頻度が下がって申し訳ないです。
煤闇、中々に難易度高かった。
132 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
:2020/04/03(金) 21:36:29.41 ID:2dOYBKmTO
乙
リリス実装おめでとう!
133 :
◆P2J2qxwRPm2A
[saga]:2020/04/13(月) 20:24:45.38 ID:+9HC/zcb0
◆◆◆◆◆◆
―渓谷入口の村内部・中央区『中央戦線』―
旧暗夜軍弓兵「くらえっ!」パシュッ
キィンキィンッ!
新生暗夜軍ジェネラルA「ふん、その程度の攻撃でこちらが退くと思うか!」
フローラ「正面の敵にだけ気を取られないで、側面から敵の騎馬隊が来るわ。ほとんどがアーマーキラーを装備しているみたい」
新生暗夜軍ジェネラルA「ほとんどって……」
フローラ「こんなに露骨な隊列を組んでいる以上、それに対処しに来るのは当然ということね……」
ブノワ「ああ、気を抜くはわけにはいかない……」
マークス「弓兵隊、側面から迫る騎馬隊に集中攻撃せよ!」
新生暗夜軍兵士「はい、マークス様!」チャキッ
旧暗夜軍パラディンA「敵の防御も揺らぎ始めている。マクベス様の到着まであとわずか、あと一手まで敵を追い込むぞ!」
旧暗夜軍パラディン隊『おーーーっ!』
新生暗夜軍兵士「敵部隊左右に展開!」
マークス「攻撃せよ!」チャキッ
新生暗夜軍兵士「くらえっ!!!」パシュッ!
グアアアアッ ヒヒーンッ ドササッ
370.73 KB
Speed:0.1
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)