【百合】短編百合SS集【短編】

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2 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:17:23.10 ID:j694+sJx0



〜WindowsXP百合〜



3 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:17:54.35 ID:j694+sJx0






ザザーン

ザーン


ロボ娘「わぁ……」

助手「やっと着いたぁー……いやぁ、結構距離あったなぁ」

ロボ娘「マスター……あの、これは……」

助手「これが海だよ、ロボ娘」

ロボ娘「ウミ――……、これが……」

助手「どう? 感想は?」

ロボ娘「……」
4 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:18:48.60 ID:j694+sJx0
助手「……キミのAIの人格モジュールの、そのモデルになったある人がいてね」

ロボ娘「はぁ……」

助手「ここは、その人の、大好きだった場所なんだ」

ロボ娘「……」

助手「どうかな? キミにも何か、感じるものがあるんじゃない?」

ロボ娘「――データベース内に、適合する感情ルーチンは見つかりませんでした」

助手「……そっか」

ロボ娘「新規演算を行います」

助手「……」

ロボ娘「……」

助手「……」
5 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:19:36.22 ID:j694+sJx0
ロボ娘「……」

助手「……」



ザザーン

ザーン



ロボ娘「そうですね……、青いです」

助手「あはは、普通か。他には?」

ロボ娘「他には……水の量は測定不能ですが、色は青く、一定のペースで青く揺らいでいます。青くて。青は遠くまで青いようですが、距離は不明で青い」

助手「……うん?」

ロボ娘「青は際限なく青くて空が青くその先も青いため境界も青く青と青が青い青に青の青は青青青青青青青青青青青青青」

助手「うわぁぁぁぁんブルースクリーンー!!!」

ロボ娘「aoaoaoaoaoaoaoaoaoaoaoaoaoaoaoaoao」



ザザーン
6 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:20:14.48 ID:j694+sJx0





テンテンテーン テンテーン







助手「はぁ……」

ロボ娘「失礼しました」

助手「うん……リブートしたからね、今度はゆっくり、一つずつやろう」

ロボ娘「了解しました、マスター」

助手「ゆっくりだよ……」

ロボ娘「……」

助手「……」

ロボ娘「……そうですね」

助手「……」

ロボ娘「……砂があります」

助手「うん……」
7 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:21:07.97 ID:j694+sJx0
ロボ娘「たくさんの砂が、地形を形成して。そして水が押し寄せてきます」

助手「波だよ」

ロボ娘「波が――……押し寄せて、また戻って――……少し泡立って――白くなって――」

助手「うん」

ロボ娘「聴覚信号を解析……、不思議な音が――……、騒がしいのに……何故だ静かで……」

助手「……」

ロボ娘「あぁ……」



ザザーン

ザーン



ロボ娘「あぁ……、なんて……」

助手「どうだい? ロボ娘?」

ロボ娘「……」

助手「見れてよかった」

ロボ娘「……」

助手「この景色を。海の……、よく晴れた春の海の景色……」
8 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:21:42.21 ID:j694+sJx0
ロボ娘「……」

助手「……あの人が」

ロボ娘「……」

助手「博士が大好きだった、この眺めを……」

ロボ娘「……」

助手「……」

ロボ娘「……」

助手「よかったよ」

ロボ娘「……」

助手「キミにも見せられて」

ロボ娘「えぇ……」

助手「……」

ロボ娘「本当に――……」

助手「……」

ロボ娘「綺麗だな、助手」

助手「……――は」
9 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:22:22.24 ID:j694+sJx0
ロボ娘「お前にも」

助手「……はか」

ロボ娘「見てもらえて、よかった……」

助手「博士…………?」

ロボ娘「……」ニコ

助手「博士――……? 博士……!? はか……っ……」

ロボ娘「……どうしましたか? マスター?」

助手「あ……」

ロボ娘「……マスター?」

助手「……なんでも……、ないよ……」

ロボ娘「おかしな人ですね」

助手「うるさいポンコツ……」

ロボ娘「マスター?」

助手「何でもないったら……目に砂が入っただけだ……っ!」

ロボ娘「そうですか」
10 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:23:55.84 ID:j694+sJx0
助手「そう、何でもない、何でもないんだ……」グイッ

ロボ娘「……」

助手「……」ゴシゴシ

ロボ娘「……ところで」

助手「……」

ロボ娘「ウミの水の情報が欲しいですね。冷たいのでしょうか。暖かいのでしょうか」トテトテ

助手「あっ、おいおい……! そんな急ぐと!」

ロボ娘「分かってますよー」トテテテ

助手「危ないから! 駄目だから! 海水ヘンなところに入るとヤバいからぁ!!」

ロボ娘「え?」グラッ

助手「あっ」

ロボ娘「あっ」



バシャーン!!




助手「あああああああああああああああああ」



ザザーン

ザーン





テンテンテーン テンテーン



11 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:24:24.69 ID:j694+sJx0



〜WindowsXP百合・終〜



12 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:25:15.97 ID:j694+sJx0



〜マシュマロ女子百合〜



13 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:25:44.94 ID:j694+sJx0






西川「ん〜、じゃあ……ヒメコちゃん?」

山田「ブー」

西川「高野さん」

山田「はずれ〜」

西川「えぇ〜……、じゃあ……坂本さん?」

山田「誰だよ」

西川「3年の。あの化学部の」

山田「あのって。知らないって。もう……はずれーっ!!」
14 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:26:45.22 ID:j694+sJx0
西川「わかんないってぇー……」

山田「なんで分かんないかなぁ」

西川「……セナぴょん(笑)??」

山田「ばっか、お前……あれはちょっと、もう違うじゃん。妖怪ちゃんじゃん」

西川「だからイチ推しなんでしょ? デブ専的には」

山田「デブ専じゃないですぅ〜! マシュマロ愛好家ですぅ〜〜!」

西川「くっそ知らんし」

山田「セナぴょんは分かるだろ。全然マシュマロって感じじゃないじゃん。なんか……ヨゴレだし。ほら、分かる? 分かれ」

西川「分からんのよ。変態山田のこだわりは」

山田「何で分からないかねぇ〜……、あのボリュームのミリョクが……。お肉ちゃんから溢れ出るラブリーな可愛さとセクシーな空気がぁぁ――……」ワキワキ
15 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:27:17.50 ID:j694+sJx0
西川「キモいってば、もう。……それで? 結局誰なの、アンタのイチ推しデb…………マシュマロちゃんは」

山田「……カオちゃん」

西川「……、えぇ〜……」

山田「えぇ〜って何だよ! なんだそのリアクションは!」

西川「だってさぁ……。普通だもん、変態のくせに。全然普通じゃんチョイスが」

山田「そう?」

西川「そうでしょ。カオちゃん普通に可愛いし。ポチャいけど。あと超イイコだし。優しくて」

山田「はっ」ハンッ

西川「一笑に付すなこの野郎」
16 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:28:20.07 ID:j694+sJx0
山田「あっっさはかだなぁ〜〜、西川クンよぉ〜〜〜」

西川「腹立つ顔だなぁ、変態のくせに」

山田「カオちゃんはなぁ、お前……カオちゃんはー……」

西川「……」

山田「……」

西川「……」

山田「…………」

西川「……」

山田「………………いいのよぉ?」ニチャア

西川「くっそキショい」

山田「ホントにね……、最初は超柔らかくて……指とかどこまでも沈んでいきそうなのに……、芯に弾力も感じられて……、揉むと――……」

西川「やめてーっ! 聞いてないからーっ! マジで聞かなくていいから変態の猥談はぁーっっ!」

山田「やわっこくて、あったかくて、イジめたいような甘やかされたいような…………」

西川「本気でやめれ!!」ビシッ

山田「あうっ」





17 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:28:52.34 ID:j694+sJx0





カオル「んふふ、それでね、妹と猫動画シェアしあっててねー」

西川「へぇ、いいなぁー」

カオル「それでこの間のが、すっごく可愛くて―!」

西川「はぁー……」


西川(はぁ……)

西川(この子がねぇ〜……)

西川(こんな子が山田のエジキになっちゃうなんてねぇ……)

18 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:29:20.05 ID:j694+sJx0
西川「……」ジー

カオル「――これこれ、ソマリっていうんだけど、西川さん知ってる?」

西川「え〜? 知らないぃ〜?」ジーーーー



西川(何がソマリだよぅ、すけべなことなんて一個も知らないみたいな顔して)

西川(乱れたのかい? あの日あの夜、それはもう乱れてしまったのかい????)



カオル「でね、見て見て……。この動画なんだけど……」

西川「……」ジー

19 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:30:09.71 ID:j694+sJx0
西川「……」



西川(あ〜……でも、山田の言うことも何となく分かるかもなぁ……)

西川(実際、カオちゃんめっちゃ抱き心地よさそうだなぁ……)



カオル「このね、この子猫が――……」

西川「……」ギュ

カオル「?」



西川(ほら、お手手も柔らかいしさぁ……)



カオル「……」

西川「……」ムニムニ
20 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:30:46.09 ID:j694+sJx0
カオル「あ、あの……」

西川「……」フニフニ



西川(……ってか、うわ……、すっごい体温高い……)

西川(あったけえ……)

西川(すべすべでモチモチで……、へぇぇ、手だけでこんな感じですかぁ……)



西川「……」サワサワ

カオル「……に、にし」

西川「……」サワワワ

カオル「にしかわさ……」



西川(フワフワ……、いやフカフカ……。なるほど、確かに山田の――……)



カオル「に、西川さんっ!」

西川「……!?」ハッ
21 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:31:17.42 ID:j694+sJx0
カオル「あっ、あの……」

西川「ごっ……! ごめんっ!!」パツ

カオル「や、いや……全然いいんだけどねぇ」

西川「いやいや、めっちゃボーっとしてた。ごめんね。ごめんごめん」

カオル「ううん、全然大丈夫。いきなりだから、びっくりしちゃっただけで」アハハ

西川「いやー……、ごめんなさいね、本当に」

カオル「ホントに大丈夫だから。……でも……」

西川「ん?」
22 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:32:09.08 ID:j694+sJx0
カオル「……西川さん、手つきちょっとヤラしくって、……ちょっと」

西川「……」

カオル「ドキドキしちゃった……」

西川「……」

カオル「な……、なぁんちゃってぇ〜? あはは〜」アセアセ

西川「……」





西川「……」ムラァ



23 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/13(日) 22:32:38.97 ID:j694+sJx0



〜マシュマロ女子百合・終〜



24 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/13(日) 22:33:33.39 ID:j694+sJx0
みたいなね?



今日はここまでです
こんな感じで書いていきます
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/14(月) 10:50:10.58 ID:vDTwCoD1o
期待
26 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:46:55.20 ID:VtvaxmMw0



〜赤ちゃんは泣くのが仕事百合〜



27 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:47:23.59 ID:VtvaxmMw0
夕子「……」

赤ん坊「ンミャ、ンミャ」

トモ「はぁい、いっぱいミルク飲めましたね〜、エラいでしゅね〜」

夕子「……」

赤ん坊「ダー、ウー!」

トモ「あらあら、もうオネムですかぁ〜? じゃあお昼寝しましょうね〜」

夕子「……」

赤ん坊「ゥー……、ムグク、ムー」

トモ「はぁい、いい子、いい子……。おやすみなさい……」ナデナデ

夕子「……」
28 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:48:00.78 ID:VtvaxmMw0
赤ん坊「……」

トモ「……」ナデナデ

夕子「……」

赤ん坊「……」Zzz

トモ「……」ナデ

夕子「……」

トモ「ごめんね、夕子。ちょっと、洗濯物畳みながらで悪いけど……」

夕子「はぁ〜……」

トモ「どうかした?」

夕子「いやぁ……、すっかりママさんだなって、思ってさ」
29 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:48:34.22 ID:VtvaxmMw0
トモ「やだ、何それぇ」

夕子「あのトモがねぇ……」

トモ「あのって何よう……。さてはちょっと、馬鹿にしてるな」

夕子「違う違う。実際すごいなって思ってさ。超がんばってるし、サマになってるし」

トモ「どうかなぁ……、全然だと思うけどね」

夕子「いやいや、偉いよ。さすがはスーパートモちゃん主将ですねぇ」

トモ「やっぱり馬鹿にしてるでしょ……もう」

夕子「してないってば、あはは」

トモ「久しぶりに会いたいなんて言って、遊びに来たかと思ったら、昔のネタで人をイジってさぁ。夕子の意地悪……」

夕子「ごめんって。拗ねないでよ、ね」
30 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:49:07.04 ID:VtvaxmMw0
トモ「……今日、こっち帰ってきたんだっけ? しばらくこっちにいるの?」

夕子「いや、明後日戻る」

トモ「そっかぁ……」

夕子「……」

トモ「……東京だっけ?」

夕子「うん」

トモ「東京かぁ……」

夕子「……正月には、一週間くらいこっちにいるつもりだけど」

トモ「正月は私、旦那の実家だなぁ……。ふぅ、ちょっと休憩……」
31 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:49:35.67 ID:VtvaxmMw0
夕子「……疲れた?」

トモ「ま、ちょっとね。何せ四六時中だから」

夕子「大変だなぁ」

トモ「大変よ」

夕子「……」

トモ「……」

夕子「……癒してあげよっか?」

トモ「何それ」

夕子「ストレス解消」グイ

トモ「あ――……」

夕子「ねぇ……トモもさ、溜まってるんじゃないの?」モゾ
32 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:50:18.12 ID:VtvaxmMw0
トモ「やだ……もう、ちょっと……、駄目だったら」

夕子「おっぱいいつも、吸われてばっかりだもんねぇ」モゾモゾ

トモ「……」

夕子「吸っていいよ? 私の。昔みたいに」

トモ「ば……バッカじゃないの……。やっ、夕子っ、ほんと……あっ」

夕子「トモ……。トモは昔のまんまだね。その顔も、声も」

トモ「……」

夕子「ねぇ、ほら……、昔みたいな声、聞かせて」

トモ「ゆ……、夕子ぉ……」

夕子「トモ――……」
33 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:51:10.39 ID:VtvaxmMw0


ンァァァーーーン ンァァーァン



トモ「っ!」バッ

夕子「ぁ……っ」

赤ん坊「アァァァーン! アァァー!」

トモ「ほ〜〜らよしよし、どうしましたかぁ〜? よしよし、ママはここですよ〜、よしよし〜」

夕子「……」

赤ん坊「ギャァァーン!! ンギャー!!」

トモ「お〜、いい子いい子。泣かないの……。オムツかな? あれ、違う?」

夕子「……」
34 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:51:59.57 ID:VtvaxmMw0
トモ「よしよし、泣かないで、泣かないの」

夕子「……」

赤ん坊「アァーーーン!!! ンアァァーァン!!」

トモ「いい子、いい子。泣かないで」




夕子「……ぁー」

夕子(……泣きたいのはこっちだよ)





赤ん坊「ムアーーーン!! ンアァァーーーー!!」

トモ「お腹すいちゃいましたかぁ? 違うの? あれぇ? 何かなぁ〜? どうしたんでちかぁ〜〜?」オロオロ



アァァーン ンアァーーンン



35 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:52:27.79 ID:VtvaxmMw0



〜赤ちゃんは泣くのが仕事百合・終〜



36 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:52:59.75 ID:VtvaxmMw0



〜雄鶏理論百合〜



37 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:54:15.87 ID:VtvaxmMw0






先輩「いや、だから違ぇって!」

後輩「……」

先輩「あぁ、もう……つまり……、あぁ! なーんて言えばいいかなぁー!」

後輩「……」

先輩「いいか、よく聞け。たとえば、たとえばだぞ!」

後輩「……」

先輩「今、お前の目の前に、オスのニワトリが二羽いたとして……」

後輩「いないですね」

先輩「たーとーえーばーーー!! っつってんだろぉー! もぉー!」
38 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:54:52.25 ID:VtvaxmMw0
後輩「はぁ……」

先輩「一羽が普通のオンドリでな。もう一羽の方のな、そのトサカが……」

後輩「……」

先輩「トサカが、こう……ぐわぁーっ!! ってなってたらだよ? めっっっちゃくちゃ大きいトサカが、バキーンってなってたらな、お前どっちに目が行くよ?」

後輩「別にどっちも見ないですね」

先輩「たとえばだっつってんのよ、本当にぃー!」

後輩「……」

先輩「つーかお前な! 想像してごらんなさいよ! マジでめちゃくちゃデカいトサカのオンドリをよぉ!」

後輩「……」
39 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:55:39.03 ID:VtvaxmMw0
先輩「想像の倍くらいのサイズだよ、お前! 多分ハネよりデカいんだぞ!? そんなトサカが、ビンッ! バン! ドーン!!ってなってるんだからな!?」

後輩「ビンバンドーンですか……」

先輩「ビンバンドーンだよ! そんなオンドリいたらな、そんなんお前、絶対見ないわけねぇだろ実際! 普通に!!」

後輩「……はぁ」

先輩「だろぉ!?」

後輩「まあ、そうかもしれませんけど……」

先輩「そうなんだよ! そういうもんなんだよ人間!」

後輩「そういうもんって、どういうもんですか」

先輩「オンドリのトサカが超デカかったら、絶対目が行くんだよ! ニワトリに何もキョーミなくても!」

後輩「はぁ……」
40 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:56:15.81 ID:VtvaxmMw0
先輩「見ちゃうんだよ、人間! 大きいものがイキナリ出てきたら、つい見ちゃうの!」

後輩「……」

先輩「電車にお相撲さん乗ってきたら見ちゃうだろ!? 散歩してるワンコがボルゾイだったら見ちゃうだろぉ!? そういうことなの!」

後輩「そういうことって、どういうことですか」

先輩「だから、つまり! 私がさっきの女の子のおっぱいジロジロ見てたのだって、おんなじことなの!」

後輩「……」

先輩「別にヤマしい気持ちで見てたんじゃねーのよ! オンドリのトサカと一緒!」

後輩「……」

先輩「つい! つい目が! 行っちゃう! だけなんだよ!」

後輩「……」
41 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/14(月) 20:56:52.87 ID:VtvaxmMw0
先輩「『うっわぁ、でっかいトサカだなぁ!!』それだけ! それだけのことなの! 別にお前が思ってるようなことは、全然何も――……

後輩「あっ、さっきのおっぱいちゃん」

先輩「えっ、嘘どこどこ?」キョロキョロ

後輩「……」

先輩「どこ? こっち? ど――……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……」

先輩「……」

後輩「……さよなら」

先輩「待って!! お願い待ってマイハニィィー!!!!」
42 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/14(月) 20:57:18.73 ID:VtvaxmMw0



〜雄鶏理論百合・終〜



43 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/14(月) 20:57:44.48 ID:VtvaxmMw0
今日はここまでです
なんかsageちゃってた
44 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/15(火) 08:48:54.00 ID:YTNAqAgio
45 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 20:52:54.23 ID:hJjKitel0



〜デスマーチ百合〜



46 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 20:54:09.09 ID:hJjKitel0
先輩「……」カタカタ カタタタ

先輩「……」カタカタ

先輩「……」カタ

先輩「…………」

先輩「……」カタカタ カタタタタ カタカタ

後輩「……あの、先輩……」

先輩「……うーん?」カタタ カタカタ

後輩「その……、営業の〇〇さんなんですけど、5-0601のチケット、いつ完了するか急ぎで教えてくれって……」

先輩「んん〜……?」カタ
47 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 20:54:41.35 ID:hJjKitel0
後輩「あの……、5の、0601……」

先輩「あー……、5-0601、0601……」

後輩「……」



先輩(えーと、確か……)

先輩(2-1179の、修正の修正の修正の機能追加の――……)

先輩(……あ、あれは5-0602か)



先輩「あとで確認しとくわ。メモ残しといて」カタカタ カタタ

後輩「あ……で、でも……、〇〇さん、急いでるって……」
48 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 20:55:25.98 ID:hJjKitel0
先輩「今、手ぇ放せないから。後で連絡する」カタタ

後輩「え、あの……、でもぉ……」

先輩「あーもう、うるさいなぁ!」

後輩「っ……」ビクッ

先輩「今それどころじゃないの! 見て分かんないかなぁ!」

後輩「……っ」
49 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 20:56:02.46 ID:hJjKitel0
先輩「あとで確認するって言ってるじゃん!」

後輩「……」

先輩「分かったらそこ、置いといて!」カタカタ カタカタカタ

後輩「……」

先輩「……」カタカタカタ

後輩「……はい……」

先輩「……」

後輩「……すみませんでした……」ペコリ

先輩「……」カタタ





50 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 20:56:41.49 ID:hJjKitel0





先輩「……」カタカタ

先輩「……」カタカタカタ

先輩「……ふぅ」



先輩(ちょっと……)

先輩(キツすぎた……かな、さっきの言い方……)

先輩(……あとでミルキー持ってって謝ろう)



先輩「……」カタ


51 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 20:57:26.09 ID:hJjKitel0



先輩(……)

先輩(……そういや)

先輩(ずっと、取れてなかったな、二人きりの時間……)

先輩(あの子にも、悪いことしてるな)

先輩(たまには、ちゃんと優しく――……)

先輩(……そうだ。今の仕事が一段落ついたら、温泉にでも誘ってみようか)

先輩(あの子と、二人きりで)
52 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 20:59:08.33 ID:hJjKitel0
先輩(ちょっといい宿選んで……、宿とディナーは、全部私モチでもいいかな……)

先輩(……)

先輩(喜んでくれるといいな……)

先輩(……提案してみよ)

先輩(この仕事が終わったら)

先輩(そう――……)






53 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 20:59:40.06 ID:hJjKitel0







後輩「……」

後輩「……」

後輩「……」グスッ



後輩(また怒鳴られた――……)

後輩(あんな風な言い方、しなくたって……)



後輩「……」



後輩(先輩……)

後輩(前までは、あんなに優しかったのに……)
54 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 21:00:29.97 ID:hJjKitel0
後輩(……この仕事のせいだ)

後輩(今のこの、地獄みたいな案件のせいで、先輩、変わっちゃったんだ……)

後輩(きっと、私も……)

後輩(うぅ……)

後輩(やめてやる、こんな会社……)

後輩(やめてやるんだ……。こんなところにいたら、もっと、ずっと酷いことになっちゃう)

後輩(……今の仕事が片付いたら、こんな仕事、すぐに辞めて)

後輩(会社のことも、友達のことも、……先輩の、ことだって……)

後輩(全部忘れて、投げ捨てて……、新しい生活を始めるんだ)
55 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 21:01:19.00 ID:hJjKitel0

後輩(……)

後輩(…………)

後輩(………………構うもんか、先輩なんて)

後輩(全部捨てて、新しい私になるんだ)

後輩(この仕事が終わったら)

後輩(そう――……)







56 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 21:01:53.31 ID:hJjKitel0






先輩(この仕事が終わったら――……)







後輩(この仕事が終わったら――……)






57 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/15(火) 21:02:21.08 ID:hJjKitel0



〜デスマーチ百合・終〜



58 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/15(火) 21:02:49.82 ID:hJjKitel0
今日はここまでです
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/16(水) 08:33:58.96 ID:v/cIkiMBo
いいね
60 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/17(木) 22:18:56.94 ID:nphE3VTp0



〜意識高い系百合〜



61 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/17(木) 22:19:23.83 ID:nphE3VTp0
女課長「えっ、新人ちゃん今日残業!?」

新人「はい、A社の〇〇さんから、本日のアポイントの際に、見積提案を急ぎでと依頼されましたので」

課長「あ〜、いやぁ〜、どうかなぁ〜……。あんまりその……残業とか、止めといたほうがいいよぉ」

新人「……」

課長「新人のうちはねぇ〜……、ウチは残業とかは、オススメしかねるけどなぁ……」

新人「……」

課長「そうだ、今回は主任クンに代わってもらったらどうかな? 私から彼に話つけておくけど――」

新人「……課長、お言葉ですが」
62 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/17(木) 22:20:45.71 ID:nphE3VTp0
課長「うん?」

新人「確かに私は、まだ入社したての未熟者です」

課長「いやぁ、そんなつもりで言ったわけじゃ……」

新人「ですが、一度仕事を任された以上、責任をもってやり遂げることが、社会人としての……プロとしてのあるべき姿ではないでしょうか?」キリッ

課長「あー……、ええと……」

新人「私も、そのプロの端くれとして、任された仕事を他人にそのまま投げるような真似は、したくありません。それに残業というものも――……」

課長「いや、いやね、君……」

新人「闇雲に時間ばかりかけるような仕事や、自分の能力を超えた量の仕事をこなす残業……、私もこういった無意味な残業なら、やらない方がいい、やるべきではないと思っています」

課長「……」
63 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/17(木) 22:22:18.81 ID:nphE3VTp0
新人「ですが、どうしてもやりきらなければならない仕事、果たすべき職務もあるのではないでしょうか?」

課長「……」

新人「一度引き受けた仕事を、責任持って果たす。そのためなら、多少の残業も進んで引き受けるべきだと、私はそう考えていますっ」キリリッ

課長「ぁ〜……」

新人「ですから課長、この残業申請にハンコを……」

課長「いやね……、うん。分かる! 分かるよ、君の言ってること! おっしゃる通りではあるんだよ……」

新人「……」ムッ

課長「そう、大変正しいのは分かるよ! 分かるんだけどねぇ……」

新人「なんですか! ちゃんと説明されないと、納得できません! 私じゃこの仕事は任せられないって言うんですか! 」ムスーッ
64 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/17(木) 22:23:09.70 ID:nphE3VTp0
課長「いや、そうじゃなくてぇ……はぁ、弱ったな……」

新人「課長!」

課長「あの……、出るんだよねぇ、このオフィス」

新人「……」

課長「夜中」

新人「……で――……」

課長「ほら、その換気口」クイッ

新人「……」ビクッ

課長「夜中になると、その換気口から視線を感じることがあって――……」

新人「……」
65 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/17(木) 22:23:49.43 ID:nphE3VTp0
課長「ふっ、と見ると……、換気口の隙間からこちらを睨む、血走った目が……!」

新人「……ヒッ」

課長「……とかね」

新人「……」プルプル

課長「それから、換気口の真下に、女の長い髪が大量に落ちてたこともあって……」

新人「や――……」

課長「や?」

新人「やだぁぁぁ……」ボロボロ

課長「ああもう、泣かない泣かない」

新人「うぇぇぇぇ……」ヒックヒック
66 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/17(木) 22:24:26.81 ID:nphE3VTp0
課長「ね、やでしょ?」

新人「やぁぁ……、怖いぃ……」グスングスン

課長「うんうん、だからね。今回は主任クンに任せましょ? カレお化けとか大好きな人だから」

新人「だめぇぇぇぇ……やらせてくださいぃぃ……」ボロボロ

課長「う〜ん、真面目かぁ〜」

新人「どうし……っ、どっ……どうしましょぉぉ〜〜……、課長ぉぉ〜〜〜」グスグス

課長「分かった分かった。私も一緒にやるから、その仕事。ね?」

新人「課長……、がち゛ょ゛お゛ぉ゛ぉ〜〜……」グスグス
67 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/17(木) 22:25:02.43 ID:nphE3VTp0
課長「うんうん、二人で残業がんばろうね」

新人「は゛いいぃぃ……」

課長「がんばって、10時までには帰ろうね?」

新人「はぃ。……10時ぃ……?」

課長「10時あたりから、変な声聞こえだすからね」

新人「う゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ」ボロボロ

課長「泣かない泣かない」ナデナデ
68 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/17(木) 22:25:49.06 ID:nphE3VTp0



〜意識高い系百合・終〜



69 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/17(木) 22:26:28.08 ID:nphE3VTp0
今日はここまでです
70 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:05:26.01 ID:TH6/Ty6w0



〜バレンタインデー百合〜



71 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:07:18.59 ID:TH6/Ty6w0
後輩「1、2、3、4……」

先輩「……」

後輩「5……うわ、マジですかこれ。ラッピングすごっ! イカツっ!」

先輩「あっはは、スゲーね」

後輩「こんなの絶対、ガチの本気のヤツじゃないですか……」

先輩「ん〜、そう?」

後輩「そうですって、えーと……。6、7、8……あれ、何だっけこれ……何……。先輩、何でしたっけコレ?」

先輩「クラッシュバンディクー」

後輩「……何で?」

先輩「ん〜……何でだろ? 多分、ツイッターの裏アカでずっとクラッシュバンディクー面白い面白い言ってたからじゃね?」

後輩「裏アカめっちゃバレてるじゃないですか……。おっかない……」

先輩「でもめちゃくちゃ上手いよな、このクッキー」

後輩「売ったら売れそうですけどね。……え〜……9。9個……うわ、9個ですかぁ」

先輩「うっへっへっへ……」
72 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:07:55.36 ID:TH6/Ty6w0

後輩「マンガ以外で初めて見ましたよ、紙袋バレンタインチョコで一杯にしてる人」

先輩「いやぁー、モテる女はツラいねぇー!かぁーっ!!」

後輩「はいはい……、大したモテ子でございますね、っと」

店員「ご注文、お決まりでしたでしょうかー?」

先輩「地野菜とマッシュルームのトマトクリームリゾット」

後輩「生」

店員「以上でよろしかったでしょうかー?」






73 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:08:27.83 ID:TH6/Ty6w0






先輩「……飲むなよ」

後輩「いいじゃん」

先輩「いいけどさ」

後輩「いやぁ……、しかし、9個ですかぁ……」

先輩「なぁ、後輩ちゃんよぉ」

後輩「はい?」

先輩「こーゆーのはな、いくつもらったかとか、何をもらったかじゃねぇんだよ……」

後輩「……」

先輩「誰っ! からっ! もらったか! それが一番重要! そうだろ?」

後輩「はぁ……、なんか、それっぽく聞こえますけど……」

先輩「そうなんだよ! そういうもんなの!」

後輩「はぁ……」
74 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:10:40.00 ID:TH6/Ty6w0
先輩「うっへっへっへっ……」ニコニコ

後輩「……」

先輩「な、そう思うだろぉ? 後輩もさぁ……」ニコニコ

後輩「なにニヤニヤしてるんですか。気持ち悪い」

先輩「……」

店員「ご注文お待たせしましたーっ」

後輩「お、来た来た」

先輩「……」

後輩「えへへっ! じゃ先輩、失礼して……。カンパァ〜イ!」

先輩「……」

後輩「グビグビグビグビ」

先輩「……」

後輩「……ぷっはぁ〜〜〜……! あ〜、この瞬間のため生きてる〜っ!」
75 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:11:23.43 ID:TH6/Ty6w0
先輩「……」

後輩「……」グビグビ

先輩「……後輩、後輩。後輩ちゃん」

後輩「はい?」

先輩「……ん゛ッ! ぅ゛ん゛ッ!」

後輩「……?」

先輩「……いくつもらったかじゃない――……。誰からもらったかが、重、要、なんだ……、ぜっ!」ニッ

後輩「……」

先輩「なっ?」ニコニコ

後輩「さっきも聞きましたよ?」

先輩「だぁ〜からさぁ〜〜〜?」

後輩「……」グビ
76 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:12:28.72 ID:TH6/Ty6w0
先輩「9個もらおうが100個もらおうが、そんなの比較にならないくらい大切な1個ってヤツが! ほしいってわけなのよ私は!」

後輩「はぁ……?」

先輩「だからぁ……、んっ!」ニコ

後輩「……?」

先輩「んんっ!」ニコニコ

後輩「……? ……、大切な1個って――……あ!」

先輩「うっへっへっへ」

後輩「……」

先輩「後輩ちゃ〜ん……! ん〜〜……んっ!」ニコォォ

後輩「……、いや、そんな顔されても、何も持ってきてないですよ私」

先輩「……え」

後輩「……」

先輩「えぇぇぇ〜〜〜」
77 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:14:00.09 ID:TH6/Ty6w0
後輩「えぇ〜、って……。いや、そういうの、キャラじゃないじゃないですか、私」

先輩「キャラが何だーっ! 壊していけよそういうあの、自分の殻をさぁぁ! 本当に? 本当になんもないの?」

後輩「はぁ」

先輩「あの……、アレでもいいよ? プレゼントはわ・た・し♪ ってやつ」

後輩「ラリってるんですか」

先輩「んんんんん〜〜〜〜〜〜」

後輩「そんなショック受けることないじゃないですか」

先輩「だってさぁぁ〜〜〜〜! この日をどれだけ、今か今かとねぇぇぇ〜〜〜〜!」

後輩「いや、でも先輩、そんな雰囲気出してなかったじゃないですか。全然、これっぽっちも」

先輩「それはさぁ……、ちょっとカッコつけたいっていうのさぁ……、あるじゃん……」
78 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:15:10.33 ID:TH6/Ty6w0
後輩「でもちょっとくらい、ちょびっとでもアピールあれば、さすがに用意してましたって! 『あ〜、甘いもんがほしいなぁ〜』とかでも言われてたら、絶対察してましたから!」

先輩「嘘だよぉ……、日中も酔っ払ってるもん後輩ちゃん……。察し力ゼロだもんよぉ……」

後輩「それ言ったら、先輩こそ」

先輩「あ?」

後輩「私にバレンタインの、何か用意してます?」

先輩「……ぁー」

後輩「ほらもう、完全にもらう気しかないじゃないですか!」

先輩「……」

後輩「あ〜ヤダヤダ、これだからモテ人間は。プレゼントはもらう側で当然ってハラですか。はーまったく……支配者階級かよ、まったくもう……やれやれ……」グビグビ

先輩「……ぷ」

後輩「はい……?」
79 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:15:57.31 ID:TH6/Ty6w0
先輩「ぷれぜんと……、は……」

後輩「……」

先輩「プレゼントは……、わ・た・s――……」

後輩「……」

先輩「言えるかぁあ!!」ドンッ

後輩「うわぁぁ! 何ですかもう!」

先輩「言えるかこんなこっ恥ずかしい台詞ーっ! ラリってんのか私はぁー!!」

後輩「誰も頼んでないですけどね」

先輩「あぁぁもぉお! 後輩のチョコぉぉぉぉ!!」ガツガツガツ

後輩「リゾットですけどね、それ」





80 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:16:39.44 ID:TH6/Ty6w0





ありがとうございましたー!!



先輩「ぁー……」

後輩「はぁ……、さむ……っ」

先輩「結構飲んだな、お前」

後輩「たった9杯ですよ」

先輩「十分だろ」

後輩「まぁ……」

先輩「大丈夫? 帰れる?」

後輩「あー……、えーっと……」

先輩「うん」
81 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:18:12.54 ID:TH6/Ty6w0
後輩「あの……、先輩……」

先輩「おう」

後輩「ぷれ、プレゼント――……」

先輩「ん?」

後輩「……プレゼントは……ワ・タ・シ♪」

先輩「……」

後輩「……なんつってー」

先輩「………………………………」

後輩「ち、ちょっと飲みすぎましたかねぇ、若干ラリってきて――……」

先輩「……」グイッ

後輩「ひゃっ! やっ、ちょっと、先輩……っ」

先輩「……」モゾモゾグイ

後輩「あっ、待……っ、先パ……! ちょっと! 駄目、こんなところでぇ……っ! あぁぁっ――……



82 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:18:38.94 ID:TH6/Ty6w0



〜バレンタインデー百合・終〜



83 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:19:09.17 ID:TH6/Ty6w0



〜広島の助っ人外国人百合〜



84 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:21:19.13 ID:TH6/Ty6w0
ジュン「そういや、お前さー」

莉緒「なんです、先輩?」

ジュン「なんでお前、あだ名ロサリオなの?」

莉緒「あー……、いやぁ……深い事情がありまして」

ジュン「なになに? 何だよ」

莉緒「私ほら、名前『莉緒』じゃないですか」

ジュン「うん、まぁ。そこは分かるけどよ」

莉緒「それで苗字、『白砂』じゃないですか」

ジュン「ああ、そうだっけ? 確か」

莉緒「それで、クラス替えの初日に――……」





85 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:21:51.90 ID:TH6/Ty6w0





先生「えー、では次、19番……、シロサ、リオさん」

莉緒「先生」

先生「はい?」

莉緒「あの……、シラサゴです。シラサゴ、リオ」

先生「あ、そうなのね。ごめんなさいね。じゃあ次、20番――……」

莉緒「……」







86 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:22:29.57 ID:TH6/Ty6w0





クラス友1「白砂さん〜!」

クラス友2「うぃ〜」

莉緒「あ……、どうも」

友1「やー、なんか疲れちゃうねー、自己紹介みたいなのってさぁー」

莉緒「あはは……、まぁ、分かるかも」

友2「てかさ、白砂さん、名前間違えられてたね!」

莉緒「ああ……、まぁ、マイナーな読み方だし。しょうがないかな……」

友1「でもさぁ」

友2「ね」

莉緒「……?」
87 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:23:17.91 ID:TH6/Ty6w0
友1「シロサ・リオだと――」

友2「ロサリオじゃーん!」

友1「キャー!」

友2「キャハー!!」

莉緒「ロサリオ……」

友1「ロサリオーッ! カープアカデミー!」

友2「サイクルヒットー!!」

莉緒「んん……?」

友1「ね、ロサリオって呼んでもいいっ!?」

莉緒「いや……、まぁ……、別にいいけど……」

友1「キャー! ロサリオー!!」

友2「キャハーッ!」

莉緒「きゃはー……?」





88 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:23:55.70 ID:TH6/Ty6w0





莉緒「……――ということがありまして」

ジュン「何だそりゃ」

莉緒「それが広まって、今では親からもロサリオと呼ばれることすらあって……」

ジュン「エグ……。……――でもまぁ、私的には、ちょっと嬉しい、かな……」

莉緒「何でですか……」

ジュン「だってさ、『莉緒』って呼ぶの……、私だけってことだろ?」

莉緒「あ……、それはまぁ、そう……、ですけど……」

ジュン「何かさ、特別な感じがして……、ちょっと――……気分いい……」

莉緒「……な、なな、何ですか、それぇ……」

ジュン「……」

莉緒「……あ、あは、や、やだなぁもう、先輩ったら……。そんな……、もう……」

ジュン「……」カァ

莉緒「……」カァァ
89 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:25:46.10 ID:TH6/Ty6w0
ジュン「……、莉緒……」ジッ

莉緒「あわわ……っ、あ……っ、その……っ! せ、先輩は、あの、あだ名とかって……ないんですか!?」

ジュン「……私?」

莉緒「えぇ!私いっつも、先輩ってしか呼んでないから、知らなくって。 えっと……先輩、木村ジュンだから……、ええと――…… 」

ジュン「ソリアーノ」

莉緒「……」

ジュン「……」

莉緒「……」

ジュン「……」

莉緒「……私に剃られたから?」

ジュン「……お前に剃られたから」
90 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/19(土) 22:26:13.87 ID:TH6/Ty6w0



〜広島の助っ人外国人百合・終〜



91 : ◆UhQaGpUR76 [sage saga]:2019/10/19(土) 22:27:59.13 ID:TH6/Ty6w0
今日はここまでです

あの……、はい……
92 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/20(日) 16:22:10.45 ID:ucAoaOIU0



〜落ちる百合〜



93 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/20(日) 16:24:16.93 ID:ucAoaOIU0
文緒「夜に、ベッドの中でウトウトしてるとき」

夏実「……」

文緒「急にさ、高いところから落ちる感じがして、ビクッてなることって、ない?」

夏実「あー、確かに……。ちっちゃいころ、たまにあったかも」

文緒「あれはね、ジャーキングっていう、筋肉が勝手に、ブルッて震える現象のせいで起こるらしいんだけど」

夏実「へぇ」

文緒「正確には、その筋肉の震えを、頭が……脳が無意識に、高いところから落ちたって、勘違いしちゃうからなんだって」

夏実「ふぅん……。なんか不思議だね」

文緒「不思議だよね」

夏実「うん」
94 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/20(日) 16:25:20.31 ID:ucAoaOIU0
文緒「……でさ、私の場合は」

夏実「……」

文緒「子供のころ、事故にあって」

夏実「へぇ」

文緒「トラックにはねられちゃって、10メートルくらい、ポーンってなって」

夏実「うぇぇ、マジでぇ!」

文緒「うん。……で、身体の方は奇跡的に何ともなかったんだけど……」

夏実「……」

文緒「頭の方がね、後遺症が残って」

夏実「うわぁ……」
95 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/20(日) 16:25:57.57 ID:ucAoaOIU0
文緒「さっき言った、夜ベッド中で起こる、落下してるような感じ」

夏実「脳のカンチガイってやつね」

文緒「うん。その勘違いが、常に起きてる状態なの」

夏実「常に?」

文緒「そう。普通の神経の信号を、傷ついた脳の細胞が、間違って受け取って……」

夏実「……」

文緒「高いところから落ちてると、錯覚しちゃってるんだって」

夏実「つ……常に?」

文緒「常に」

夏実「常に……落ちてる感じってこと?」

文緒「そう」

夏実「……」
96 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/20(日) 16:27:21.53 ID:ucAoaOIU0
文緒「ずっと、ずっと……、果てしなく落ち続けてる感じ」

夏実「……大丈夫なの、それ」

文緒「意識してると、意外と大丈夫なものなんだよ」

夏実「意識してるとねぇ……」

文緒「ちゃんと廊下がある、ちゃんと足がついてる、ちゃんと歩けてる、みたいに……一つ一つ、意識しておけば」

夏実「……」

文緒「落下しながらでも、意外と生活できるんだよね」

夏実「すごいなぁ」

文緒「ただね……、急なハプニングとかがあって」

夏実「……」

文緒「身体ビクッてなって、頭真っ白になっちゃうと、もう……」

夏実「ぁー……」
97 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/20(日) 16:28:11.92 ID:ucAoaOIU0
文緒「もう、完全に『墜落』しちゃって」

夏実「ごめん……」

文緒「特にいきなり大声で『だーれだ』やられたときなんか――……」

夏実「ごめんってー」

文緒「……あー、あーあ」

夏実「ごめんよー、クラスの友達と間違えたんだよー。そんなつもりじゃなかったんだよぉー……」

文緒「ふふ……怒ってないよ。冗談、冗談」

夏実「よかった……、でも、ごめん」

文緒「いいったら」

夏実「……立てる?」

文緒「ちょっと、まだ……。まだ腰抜けてて……」

夏実「そっか」
98 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/20(日) 16:29:21.93 ID:ucAoaOIU0
文緒「別に、一緒に居なくても大丈夫よ?」

夏実「や、立てない人放置しちゃうのは、さすがに忍びなさすぎるでしょ」

文緒「優しいんだね。……えっと」

夏実「普通だと思うけど……、あ、私、市川夏実ね。2組の」

文緒「市川さん」

夏実「夏実でいいよー」

文緒「私、5組の佐野文緒」

夏実「5組? 理数クラスだ」

文緒「うん」

夏実「頭いいんだねー!」

文緒「別に、普通だと思うけど……。……よいしょ」

夏実「あ、文緒もう大丈夫なん?」
99 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/20(日) 16:30:56.17 ID:ucAoaOIU0
文緒「うん……何とか。ありがと、夏実」フラフラ

夏実「まだフラついてますけど!? ……あ、そうだ!」

文緒「?」

夏実「はいっ!」ギュッ

文緒「……どうしたの?」

夏実「こうやって、手ぇつないでればさ」

文緒「……」

夏実「落っこちてても、誰かに引っ張り上げてもらってる感じするでしょ!」

文緒「……」
100 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/20(日) 16:32:06.67 ID:ucAoaOIU0
夏実「崖の上で、ファイト―! いっぱーつ! みたいなっ!」

文緒「……」

夏実「ねっ」ギュッ

文緒「ふふ……、そうかもね」ギュウ

夏実「ね〜♪」ニコニコ

文緒「……」ニコッ



文緒(本当は――……)

文緒(あなたと2人で、どこまでも落ちているみたいだって、伝えたら……)

文緒(そのときこの子は、どんな顔をするのでしょうか――……)



101 : ◆UhQaGpUR76 [saga]:2019/10/20(日) 16:32:43.90 ID:ucAoaOIU0



〜落ちる百合・終〜



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