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とあるシリーズ(禁書目録&超電磁砲)SS雑談スレpart21
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/16(水) 18:38:46.50 ID:mUnlvxPa0 オリキャラに自己投影してる人はこの手のSSが大好きなんだろうな 理解し難い神経だが
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:15:44.43 ID:NvR0Tfn20 F1 ID:EYbP0TXs 2019年06月14日(金) 14:51 (Good:2/Bad:0) 報告 魔神なんぞただの雑魚といわんばかりに原作よりもインフレというか規模がすごいですね 鎌池作品から白き女王でも連れてこなきゃどうにもならないんでは・・・ww 返信:一二三四五六 2019年06月17日(月) 00:13 感想ありがとうございます! ああああああああ、本当にごめんなさい更新が出来なくて!色々とリアルの方で色々とあって、ここで詳しく言う事ではないので詳細は控えますが、もしかしたら秋ごろまで更新は無理かもしれない……。でも更新が完全に途絶えることはないので!それは絶対にしないので! 万万が一1年間更新できなかったらその時は前から言ってますが設定資料集の方を公開します。申し訳ないが、そうさせていただきます。 そしてここからが感想返信です。 魔神が雑魚ってことはありませんのでご安心を。魔神に基礎スペックから勝てる存在は理外人外12名のみです。これは絶対に揺らがないので。 まぁ木原五行やパトリシア=バードウェイは|王の遺産《レガリア》を持っているので魔神に対抗は出来ますし、空白の主は絶対値で張り合う事は出来ますが。 白き女王は■■■■によって■■することは一応可能ですが、正直白き女王はこの|■■■《■■■■■■■■■■》では[ピーーー ]ことが出来ます。なぜならば『穢れなき真実の剣持つ「白き」女王《iu・nu・fb・a・wuh・ei・kx・eu・pl・vjz》』は既に『|■■《■■■■■》』で――――――。 いえ、これは一応ネタバレになるので避けておきましょうか。 むしろ理外人外に対抗できるのは現状ならばアンナ=シュプンゲルが最有力候補ですかね。あるいはドラゴンキラー。あるいは東川守。あるいは俺。あるいは『ウミガメもどき』。あるいは『編み物のヒツジ』。 最も、本当の意味での最有力候補は『訪れた者の願いを歪んだ形で叶えてしまう街』から脱出した1人の少年と1人の少女ですが。 これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。
146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:16:29.66 ID:NvR0Tfn20 https://syosetu.org/novel/56774/176.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 176 / 178 キャラ崩壊っていうかキャラ消失した。 いや、予定通りなんだけども。 上条当麻と瞬瞬A 例え世界が違っても、2人の運命は変わらない 世界物語キャラクターストーリー理論。 それは風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長、白白白が提唱する世界の在り方に関する理論の事だ。端的に言えば、世界を1つの物語として見る理論。ファンタジー、ミステリー、デスゲーム、サイエンスフィクション、コメディ、ホラー、群像劇などなど、世界をいくつかのジャンルに、もっと言えば物語に見立てる理論。物語の筋書きにそった形で、物語上において有利になるように、自意識的な行動を行えば、世界は思い通りに動く、という理論。 具体的に語ろう。 絶海の孤島にある別荘に複数人の初対面の人とツアーで訪れた。その状況下で1人の人間が殺された。島の通信手段は全て断たれ、もちろん携帯も繋がらない。なおかつ島は台風に巻き込まれた影響で脱出不可能であると。そんな状況下で『こんなところにいたくない!私部屋に戻る!』といった人間がどうなるか、簡単に想像がつくだろう?逆にいかにもな風体で死体を調べ始めた人間がいれば、多くの場合そんな人間は物・語・的・に・は・最後まで生き残り、そして島から救助されるだろう? 具体的に語ろう。 夜道を歩いている時に意味の分からないほど巨体で強大な明らかな化物に襲われた。必死に逃げているその時に、その化物を一刀のもとに切り捨てる少女が現れた。少女は言うだろう。『このことは忘れなさい』と。この時『分かった』と答えれば物語ストーリーはそこで途切れる。だが『忘れられるわけないだろ!』と、そう答えれば?もちろん物語は続く。いいや、むしろそこから物語は始まるのだ。 つまり世界物語キャラクターストーリー理論とは、そういう理論である。 そしてその世界物語キャラクターストーリー理論における重要要素が称号キャラクター性。 称号キャラクター性とはその人間の根幹を表すものである。行動に付属するものでもあり、それでいて魂に由来するものでもある。外部と隔絶された空間で殺人事件が起こった際、犯人を見つけようと積極的に行動する人間は探偵ホームズだ。その人間を手伝う人間は助手ワトソンだ。登場人物キャラクターはその行動によって、その行動に沿った称号キャラクター性を得ることが出来る。 だが、それだけではない。それは世界物語キャラクターストーリー理論の一要素に過ぎない。確かに、行動によって新たな称号キャラクター性を得ることは可能だ。だが、少なくともこの世界■■においては、最初から固有の称号キャラクター性を持っている存在が複数いる。それは例えば主人公ヒーローという称号キャラクター性。あるいは最終敵ラスボスという称号キャラクター性。もしくは好敵手ライバルという称号キャラクター性。他にも他にも、最初から称号キャラクター性を持っている存在が多々いる。 それはこの世界■■が■■■■だからである。 故に、最初からそうであるものはただそうある。 対照的で対称的な2つの世界■■。■■と■■■■。縺昴%縺ォ螻槭☆繧九Δ繝朱#縺ッ、譬ケ譛ャ逧?↓逶ク縺?l縺ェ縺。つまりは■だ。上条当麻と白白白。御坂美琴と木原五行。アレイスター=クロウリーとGE13。コロンゾンとAdam。 核があるモノとないモノ。格が高いモノと低いモノ。 だからバックアップが欲しい。 だからこそ、勝ちたい。 故にこそ、いやあるいはだからこそ、それは最初から決着のついている勝負であるのであろうが。
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:17:30.93 ID:NvR0Tfn20 例えば、大切な人を目の前で失ったとして、どれだけの人間が冷静でいられるだろうか?恋人が死んだ、両親が死んだ、親友が死んだ。それを『ふぅん』の一言で片づけられる人間は、人間として適していない。人間なら誰であろうと涙を流す。涙を流さずとも悲しんでいる。 上条だって、もちろんそうで、そうなる。 はずがないだろう? 「おい!イン、デックス!?」 その呼称を使うのに躊躇いが無かったわけではない。上条の中ではもうインデックスという少女は『死んで』いる。人間という存在の個体識別性を外見ハードで見るか人格ソフトで見るかという問題には、多くの人は後者を選ぶだろう。 外見ハードと人格ソフト。それが2つ揃ってこその同一人物だ。少なくとも、人間の定義とはそういうモノのはずなのだ。 だからこそ異常なのは御坂美琴だ。御坂美琴は二重に異常だ。まずもって、劣化量産品クローンの身体に御坂美琴の個人データを入れた程度でそれを自身で御坂美琴であると再認識している。これは通常あり得ないことだ。自分がコピーされた存在であることに人間は耐えられない。変わりがいるということはいてもいなくとも変わらないという事。コピーであるということはいつでも消去できて、いつでも作り直せるという事。いくら切羽詰まった状況だったとしても、それを実行し、あまつさえ安定状態にあるなどあり得ない。 そしてもう1つ異常なのが、御坂美琴が外見ハードと人格ソフトを完全に個別で見ていて、御坂美琴にとっての『人間』というモノが人格ソフト単体であるということだ。つまり、人格が同じならば誰でもいいのだ。地球上に存在していなくても、ただの電子データでも構わない。御坂は人間を再定義して見せた。だから、御坂は妹達シスターズを1人も殺していない。それどころか妹達シスターズは今も2万人全員がちゃんと『生きて』いる。 それを分かっていなければ、誰も御坂を攻略することなどできはしない。 つまり、御坂美琴はもはや人間ではない。 そして、だ。 「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ぅ」 救済者であるならば、人間であってはいけない。 誰でも平等に手を差し伸べるということは、実の所誰も見ていないに等しい。 魔術的な意味ではなく、本当の意味での聖人は気持ち悪いモノなのだ。 『右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ』。『汝の敵を愛せよ』。かつて神の子はそういったという。意味は分かるだろう?つまり争いは何も生まないと言っている。あるいは平和的な争いについて言っている。 だが、だ。 なるほど言葉の意味は分かる。大いに納得し、そして実行すべきことだろう。 だが、だ。 それを言えるとは、いったいどんな精神構造をしているのだ? コロンブスの卵。追従ではなく率先することはとても難しい。言えるか?はたして?『右の頬を殴られたら左の頬を差し出せ』。『汝の敵を愛せよ』。そんな言葉を一番初めに言えるか? だから神の子は神の子であり、それはもはや人間でありながら人間ではない。気持ち悪くて気味が悪い。 上条当麻という、いや神浄討魔という人間は、そこに片足を突っ込んでいる。 してきたことが信仰を生み、期待を生み、そして狂信を生んだ。今の上条では絶対に気付けないそれは、しかし確かに上条を縛っているのだ。 「ぁ、ああ?うん???……、……?????」 安全地帯、と■■は言った。 人を片っ端から救いあげる性質、と科学者は言った。 誰に教えられなくても、自身の内から湧く感情に従って真っ直ぐに進もうとする者、と天使は言った。 探してごらんよ。君らが思っているよりも、この世界物語はずっと歪んでいるから。 「えっ、と……?ごめんなさい。あなた、誰ですか?」 「――――――ぁ」 最も、だからこそ上条は主人公ヒーロー足りえるのだろうが。 世界物語キャラクターストーリー理論とは、運命論の一種である。ただし、世界を物語ととらえるのはあくまでも白白白の世界に対する見方の1つであり、それが絶対的に正しい解であるとは限らない。 例えば、だ。 運命論には世界物語キャラクターストーリー理論の他にも時間収斂バックノズルと代替可能ジェイルオルタナティヴという理論がある。 時間収斂バックノズルとは簡単に言ってしまえば時間軸と空間軸に捕らわれずに事象を確約する理論だ。時間跳躍や運命操作、因果律改変に上位存在による干渉を行ったとしても初めからそうであると決まっていることはそうであるようになるということ。特定の時間にそれが起きなくとも、起きると決まっている事象は些細な違いはあれど必ず違う場所違う時間で絶対に起こるというものであり、それを避けることはできないという事。 そして代替可能ジェイルオルタナティヴとは簡単に言ってしまえば特定個体論に捕らわれずに事象を書く託する理論だ。時間跳躍や運命操作、因果律改変に上位存在による干渉を行ったとしても起こることは絶対に起こるということ。誰かがやらなければならないことは、必ず誰かがやる。本来の誰かが懸命に固辞したとしても、その時は変わりの誰かがやるという事。
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:18:18.73 ID:NvR0Tfn20 つまりは二重の意味で、決まりきったことは絶対的に変えられないという理論。すでに起こったことを変えることは難しい。あらゆる物事は外界によって客観的に観測されないと確定しない。個体による認識の確定には限度がある。それが多くの存在に認識されればされるほど、それは絶対的な核を持ち、不変の事実となる。 例えば、だ。 仮に時間跳躍によって世界が滅んだという事実を回避したとする。だが、世界が滅んだという事実は仮に時間跳躍による世界滅亡回避を行ったとしてもより上位の時間軸では消せるものではない。タイムリープモノの本を読んでいる時、ページをめくり返せばそこには世界が滅んだ事実があるだろう。つまりは観測されている。世界の滅亡は回避されていない。仮・に・世・界・を・物・語・と・し・て・見・る・の・で・あ・れ・ば・、既・に・起・こ・っ・た・事・を・回・避・す・る・の・は・あ・ら・ゆ・る・手・段・を・賭・し・て・も・不・可・能・に・近・い・の・だ・。 故に、それは起こった。 時間は違った。場所も違った。状況すらも違った。 しかし、それは過去に確かに起こった出来事で既に大多数に観測されていた出来事だ。例・え・既・に・切・り・捨・て・ら・れ・た・世・界・の・出・来・事・で・あ・ろ・う・と・も・起・こ・っ・た・こ・と・は・嘘・に・は・で・き・な・い・。世界というものは帳尻を合わせようとするものだ。 戦いは起こる。和解はなされる。負けを認める。勝敗は明確な形ではつかない。 だから、運命は残酷であった。 唐突に、だ。 カツン、と空間を音が渡ってきた。 「ッ!?」 その音に、誰よりも先に反応したのは上条であった。ビクリ、と身体を振るわせて恐る恐ると扉の方を振り返る。といっても現在上条たちがいるのはただの廃墟ビルだ。扉なんてないし、もっといえば窓にガラスすらも嵌っていない。だから正確に言えば、ドアを設置していたであろう場所を、と言った方が正しいか。 カツンカツン、と連続して音が響いた。 「あの、えっと、あなたは誰なんですか?……それにここは、……わたし、あれ……?わたしって、わたし、……わた、し……は?」 (どうする!?) 足音の主が気になる。だがそれ以上に、今のインデックス、いやもはやインデックスではない少女を放置しておくことはできない。修道服を着た少女は今非常に混乱している。錯乱していると言い換えてもいいかもしれないくらいには。 「わたし、なに……ひ、や、わたしって、だれなの!?なに、これ、やだ、やだやだ!!!なんで何もわからないの!?こんなッ、なんなの!!!???あなたは、っ、あなたがっ、わたしはなんなの!?」 「っ、落ち着いてくれ。……大丈夫だから!」 「大丈夫な訳ないでしょッ!!!何か、何か変な本が私に迫ってくるの!やだ、怖いよぉ!!!助けてよ、誰か!」 「俺はお前を知ってるから!」 少女に何が起きたかなど上条には分からなかった。ただ、少女がとても混乱していて、とても錯乱していて、とても怯えていて、とても正気ではなくなっていることは分かった。何が原因なのかはわからない。複数の人格を植え付けられていたはずの魔導書図書館Index-Librorum-Prohibitorumがどうしてこうなったかなど皆目見当がつかない。 だからもちろんかける言葉の全ては気休めで、解決策などなりはしない。 けれど、少女は縋れる人を見つけてしまった。 「あ、あなた、わたしのことを知ってるの!ちゃんと知ってるの!?ねぇ、わたしは『誰』なの!?なんで、わたしはわたしのことを何も知らないの!なんでわたしはわたしのことを何も知らないのに、変な本の、魔道書?の知識だけは全部わかるの!?」 「……知らない?」 「分からない。分からないのよ!なんで、なんでっ、なんで!!!全然分からないの!!!」 発狂した様にその長い銀髪を振り回し、何十本もの安全ピンで布地を固定しただけの修道服を思いっきり握りしめ、かつて上条にインデックスと呼ばれていた少女は喚く。 分からないから怖い。自分のことが何も分からないのに、妙な知識だけは十二分に分かるから。 「ううん。魔道書だけじゃない。魔術?っていうのも全部分かる!わたしは、わたしがわからないのにっ!!!」 動揺を隠そうともせず、少女はひたすらに訴える。全てはリセットされた。ゼロになった。初期化された。 今の少女には、魔術の知識しかない。 「ねぇ、わたしって誰?わたしって、どんな人だったの!?ねぇ、ねぇっ、ねぇっっっ!!!!!」 「お前、……記憶が、ない、……のか?」 「ないのよ!わたし、わたしは!」 「さっきまでの、ことも……?」 「さっきまで、っ……わたし、あなたと一緒にいたの?」 「あぁ、俺達はさっきまで」 「馬鹿、な」 静かな声だった。 目の前の少女の声にかき消されてしまいそうなほどに、小さい声だった。 でもなぜか上条の耳には聞こえた。 ずっと響いていた足音は止まっていた。 その声は上条の向いている方向とは逆方向、つまりは扉の方向から聞こえた。後方20メートルくらいの距離から聞こえた。 その声を、上条は知っていた。 「――――――」 上条は再び振り返った。修道服を着た少女から目を逸らすことはきっと少女を不安がらせるからしたくなかったが、それ以上にその声の主を無視できなかった。 だって、上条の予想通りならばそこにいるのは。 「……唖然。お前、は」 「な」 そこにいたのは、知り合いだった。 かつて をめぐって路地裏で戦い、 を守るために病院の屋上で戦い、そして一緒に屋上から落下した少年。 瞳で捉えた指定物体を捻じ曲げる能力を持つ、学園都市の『闇』の住人。 「瞬、瞬!?」 「……疑問。お前何故俺の名を知っている!?」 彼らは再び、いや三度であった。 まるで運命に導かれているように、出会った。
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:19:00.03 ID:NvR0Tfn20 さて、ルート選択の時間だ。 君達の知っているインデックスは死んだ。 だから、魔術知識と魔道書知識以外の全てを喪った可哀想な少女に君達が施しを与えてあげよう。 個人を識別するための最重要要素、名前を。 『彼』の言う通り、未来は決まっているように思える。 だけど、『彼』はとても大切なことを見落としている。 もうこの世界は『彼』だけのモノではないということを。 調子に乗って、『彼』はやりすぎたんだ。 もはや黄金の真実を使うまでもない。最も、僕らは黄金の真実は使えないのだけどね。 さぁ、もう一度問おう。 選択の時間だ。 よく考えろ。 何十本もの安全ピンで布地を固定しただけの修道服を着た少女の新たな名前は何だ? あくまでも『上』から目線で、君達が名前を付けろ。 記憶喪失コンビ結成です。良かったですね上条当麻。これでインデックスに自分は記憶喪失だっていう必要はなくなるよ! しかし26話はよかったですね。アレイスターのアレイスターらしさはよく出ていたと思います。あの終わり方なら新約を買う新規さんも増えそうなので、その点ではJCSには感謝ですね。 次の更新は4月中には。 ちなみに今回の上条の選択は完全に正しい選択です。もし上条が修道服の少女を放置して足音の主を確認しに行ったら全てが終わっていました。文字通りに。 アンケートは↓だ。 https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=212103&uid=15850 活動報告からたどってもいけるけどね。
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:19:47.58 ID:NvR0Tfn20 https://syosetu.org/novel/56774/177.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 177 / 178 このための瞬瞬であったとも言える。 上条当麻と瞬瞬B 死者との再会 ひょっとしたら、その再会に一番驚いているのは瞬の方かもしれなかった。 「……唖然。どういう、ことだ?」 柄にもなく、そして非常に珍しいことに、瞬は一瞬躊躇った。普段の瞬であれば問答無用に攻撃していた。先手を取ることの重要さを知っている。後手にまわる人間は絶対にイニシアチブをとれない。先手を取る人間がいつも勝利する。 だが動けない。 考えることがあった。 「……逡巡。いや、まさか、だが」 超能力者予備集団セブンバックアップ序列第七位、視線歪曲オッキョクールヴァの大能力者レベル4、元十二暦計画カレンダプロジェクト第十計画『崩壊の十月実験』被験者ナンバー008、人類絶対悪ビースト位階総序列第三位全能存在パントクラトール木原五行によって整備された道人生をそうと知らずに歩いている瞬瞬は、自身の上にいるモノの意図を考えていた。 あれは、偶然ではなかった? いったいどこから誘導されていた? 「……詰問。お前、天埜郭夜を知っているか?」 「天埜、郭夜?」 それは、上条の知らない名前であった。上条はま・だ・、天埜郭夜という極大にして極限の異常者には出会っていない。存在すらも知らない。 今は、まだ。 「……納得。そうか、……そういうことか」 瞬は納得した。前も、今も、この出会いは偶然だ。少なくとも上条にとっては偶然だ。そして瞬にとっても偶然。だが、これは仕組まれた偶然で、作為的な邂逅だ。そもそもがあり得ない。なぜ、瞬は8月28日のあの時あの裏路地で上条と白井に出会った?あの時の瞬は を誘拐していた。つまり表の人間には見つかるはずの無い絶対安全なルートを通っていた。なのに、捕捉された。その理由は何だ? 簡単だ。あまりにも簡単な答えだ。 だが、その簡単すぎる解答に今の今まで辿り着けなかった。瞬が馬鹿だったのではない。黒幕が賢すぎるのだ。そうと悟られずに演出した。いや、ひょっとしたらここで瞬が黒幕の意図に気付くことさえも策の内かもしれない。 常軌を逸した天才の考えることなど瞬には分からない。だがそれでも抗うと決めたのは瞬自身だ。 「……提案。話をしよう。俺達の間には、きっと誤解がある」 筋書きから外れて見せよう。 運命を覆そう。 蒼穹そらの彼方から瞬を見下すお姫様を嗤ってやろう。 まだ、何も終わってはいないのだから。 「誤解、だって?お前がフェブリのことを利用しようとしているのは事実だろうが!?」 「 ……?誰の事だそれは?マーチのことなら、お前達が冥土帰しヘヴンキャンセラーの病院に匿っているんだろう?」 「マーチ……?」 それは上条の知らない名前だった。病院にいるのは のはずだ。マーチ?誰だそれは?マーチなんて名前、上条には聞き覚えがない。 「……強引。まぁいい、そもそもお前はマーチをなぜ守ろうとしている。お前にとってマーチなどただの赤の他人にすぎないはずだろう?加えて言えばマーチは人間ではない。薬品を合成して造られた人外に過ぎん。ただ人の形をしているだけの存在だ。そもそもマーチの寿命はどれだけ長くとも後半年もない。そんな存在のために命を懸けるなど馬鹿らしいとは思わないか?」 それは限りなく本音に近い言葉だった。少なくとも、瞬ならば助けない。現在の瞬であれば、助けない。 一方で、上条は極大の違和感をもっていた。 (……マーチって誰だよ!) 何度でも言うが、上条が助けたのはマーチではなく である。少なくとも、上条の認識上ではそうなっている。そして、どうしてズレが生じたのか上条には分からない。前の世界で瞬が狙っていたのは で間違いない。だって、瞬が話していた。 と言っていた。なのに、今回の世界では瞬が狙っていたのはマーチだと? (同じじゃ、ない?細部が、違う?) この世界は、違うのかもしれないと思ってしまった。 もしかしたらこの世界は、 (前・に・い・た・世・界・と・は・違・う・?) だが、それを深く考えている時間はない。そして1人で考え続けても答えの出るモノではない。その答えを知りたいのならば、犯人を見つける必要がある。世界を巻き戻した犯人を見つける必要がある。 とにかく今は目の前のことに集中するしかない。1つ1つ乗り越えていこう。順番に片づけていこう。そうして、必ず世界を救うのだ。 他でもない上条当麻が。 故に、まずは答える。 「だから引けって?随分勝手な理屈だな。赤の他人だろうが人間じゃなかろうが、目の前で泣いてるヤツを助けるのに、ごたいそうな理由がいるのかよ」 「……疑問。マーチはお前が命を懸けるのに値する存在だと?」 「当然だろ」 前も、同じような質問に同じような答えを返した。そして何度問われても上条の答えは変わらない。主人公ヒーローとはそういうものだ。 「……思案。そうか…………ならば」 そして上条がそう答えるであろうことは瞬も分かっていた。 青すぎるくらいに青い、絶望を知らない『表』の人間。きっと、信じているのだろう。全てを救えると。きっと、決意をしているのだろう。全てを救うと。だが、瞬は知っている。それがどれだけ荒唐無稽で不可能な砂上の楼閣の如き絵空事であると。 この世には、努力では届かない壁がある。 才能という名の壁が。 だから瞬は――――――。 「……立言。ならばこちらが引こう」 「は……?」 「正直な話、割に合わないと俺は思っている。俺達の新世界ジャイアントキリング計画にとってマーチは絶対必須のパーツではない」 嘘は言っていない。だが真実も言っていない。 瞬達の計画を達成するうえで『ケミカロイド計画』の産物は絶対に必要だ。だがそれは別にマーチでなくても構わない。現在『ケミカロイド計画』によって生産された個体はジャーニーとマーチの2人だけだ。しかし別に3人目を造れないわけではない。ジャーニーかマーチ、あるいは『ケミカロイド計画』のノウハウさえ手に入ればもう『スタディ』は用済みだ。 マーチは絶対必須のパーツではない。必要なのは、『ケミカロイド計画』の産物なのだから。 「俺達はマーチから、そして『スタディ』の革命未明サイレントパーティから手を引く。だからお前ももう俺達位階超越オーバーステップには関わるな」 「そんなんで、俺が納得するとでも思ってんのか!?」 「……冷静。ならどうするんだ?ここで戦うか?この俺と?」 両目を大きく見開いて、瞬は上条を威圧する。その視線が、わずかに上条の後ろにいる少女の方に向く。 そう、この場にいるのは上条と瞬の2人だけではない。明らかに場違いな少女がこの場にはいるのだ。
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:21:17.57 ID:NvR0Tfn20 「……人質。お前がどれだけ強いかなど俺は知らない。だが、お前の後ろにいるその女。その女は真実ただの一般人だろう。先ほどから明らかに怯えている。……そんな奴を、お前は巻き込むつもりか?」 「っ、お前!!!」 「……解明。俺の能力は視線歪曲オッキョクールヴァ。瞳でとらえた物体を捻じ曲げる力だ。そして俺の強度レベルは大能力者レベル4。右目でお前を牽制しながら左目で女を捻じ曲げることなど簡単にできる」 「っ」 その脅威を上条は理解していた。前の世界で白井と2人で戦った時は瞬によって白井の四肢を千切られたのだ。上条も決して小さくはない傷を負ったのだ。そして何よりも脅威なのは、瞬の能力チカラは瞬の全身に埋め込まれた98の眼球にも適用されているということだ。 自覚する。瞬の言っていることは正しい。上条では守れない。上条の攻撃手段に遠距離攻撃はない。つまり瞬と戦うのならば上条は嫌でも瞬に近づかなくてはならない。あの時のように、閃光手榴弾フラッシュグレネードなど持っていないのだから当然だ。そして上条が瞬に近づけば、必然上条とかつてインデックスだった少女の距離は離れる。まさか戦っている最中も常に近くにいろなんていえるわけがないし、今のインデックス、いや記憶を無くした少女にそれが出来るとは思えない。距離が離れれば瞬の少女に対する攻撃は防げなくなる。 つまり戦えばかつてインデックスと呼ばれていた少女が傷つくのは必至。 「……脅迫。お前の能力チカラももう分かっている。無効化系能力……、ただし範囲は右手のみ。確かに珍しい。能力チカラに頼りきっている雑魚では相手にはならないだろう。だが、その程度の能力チカラで俺に勝てると思うか?その女を守れると思うか?……種はもう、割れている」 「瞬!」 「……和解。引け、一般人。俺とお前が戦う理由など、もはやないはずだ」 理屈は理解できる。 記憶を無くした少女を守るためならば、それは最適解。 だから大人しくここは引くべき。 それが最善の解答。 だが、 (見捨てられるか) 別に上条は瞬瞬という人間の事を詳しく知っているわけではない。だが、少なくとも瞬が、多少の迷いはあれども幼女を誘拐できる人間というのは間違いない事実だ。マーチから手を引いたとしても、『スタディ』と手を切ったとしても、絶対に瞬はまた何かを始める。 新世界ジャイアントキリング計画。 その詳細など上条はもちろん知らない。だけどきっと、何か大きな企みのはずだ。何か大きな犠牲を伴う計画のはずだ。絶対に止めなければならない。つまり瞬を野放しには出来ない。ここで戦わなければならない。1周目では出来なかったが、瞬の心を変えなければならない。 だが、だがそれでは後ろにいる全てを喪った少女の安全が脅かされる。 だから上条は臆病になる。いつもなら踏み出せていたはずの足が踏み出せない。 故に、 「だめ」 そのバックアップは運命的な必然だった。 「っ」 その一言を絞り出すのに、はたしてどれほどの度胸が必要だったのだろう。 そのたった2音を言うのに、いったいどれだけの勇気が必要だったのだろうか。 本人ではない上条には決してわからないけれど、その横顔だけでも感じ取れるものはあった。 まるで、楽な方向に流れようとする上条を殴りつけるかのように未だ名の無き少女は上条の袖を引っ張りながら言ったのだ。 「それは、だめ、だよ」 口調は違った。雰囲気は違った。行動は違った。表情は違った。態度は違った。対応は違った。空気は違った。音程は違った。 だけど被った。思い起こされた。 「イン」 「わたし、何も知らないけど!確かにあなたの言う通り部外者だけど!」 きッ、と、 名と記憶を喪った少女は宣戦を布告した。 「でも違う。そうじゃない。あなた、間違ってる!」 はっきりと断言した。善悪を判断したのではない。好悪で判断したのだ。お前が嫌いだと、少女は突きつける。 今この時の主人公ヒーローが上条当麻だとするのならば、 今この時の庇護対象ヒロインは間違いなく名を喪った少女だった。 そして、 そして、 そして、 初めて、瞬の興味が少女に向いた。 「……憮然。随分とまぁ、ボロクソに否定してくれる。何も知らない、部外者ごと」 瞬が、 瞬の瞳が、 かつてインデックスと呼ばれていた少女を、 今では魔術知識と魔道書知識外の全てを無くしてしまった少女を、 捉えた。 「…………………………………………………………………………………………………………………」 捉えてしまった。 「―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ぇ」 か細い声だった。 動揺に揺れていた。 それは、数年ぶりの感情。 それは、数年ぶりの感傷。 仕組まれた邂逅であると、瞬は思っていた。上条と瞬は、黒幕によって出会うように仕組まれていたのだと。だが、違う。いや、間違ってはいないがそれでも違う。天才とは凡人の予想の範疇に収まるモノではなく、凡人の想像の範疇に収まる者でもない。 改めて、歓迎しよう。 その邂逅は、仕組まれた偶然必然だった。
152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:21:52.07 ID:NvR0Tfn20 「――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――目め、次つぎ?」 瞬瞬という人間も、過去は善人であった。 だが過去は人間という存在の核を変え得るものだ。 親は強盗に殺された。 妹は自殺した。 訪れた街は燃えた。 木原五行はそれを瞬の体質のせいだと言った。なるようにならない最悪If nothing is bad、その不完全版のようなものだと。事故頻発性体質だと。 瞬は、それを信じてしまった。それほどまでに瞬は不幸で、弱かった。 「お前、」 焦がれる様に、熱い顔。 求める様に、伸ばした手。 灼かれる様に、罪深き声。 「お前、――――――生きて、いた、……のか」 蒼穹宇宙の果て彼方で、 瓶竹の中から生産まれた天埜郭夜輝夜姫が、 嗤っていた泣いていた。 忙しくて小説が書けない→クオリティが落ちる→出来に納得がいかない→修正→忙しくて小説が書けない……のループに陥ってしまっている。 このままではダメだ。どこかで挽回しないと……。
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:22:19.70 ID:NvR0Tfn20 https://syosetu.org/novel/56774/178.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 × 178 / 178 終わらないよ。完結させるまでは終わらない。まだ、まだまだ書きたいことは幾等でもあるんだからな! というわけで遅れましたごめんなさい。待っててくれた人は本当にありがとう。どのくらいのペースで投稿できるかは分かりませんが、これからも書き続けていきますよ! 廃墟での戦い@ 再会は銃声と共に イギリス@ 人が人外と共にある国 それが仕組まれたことなのかなど瞬にとってはどうでもよかった。重要なのは、もう絶対に会えないはずの人間と会えたことだ。 奇蹟。とても簡単にそう言ってしまってもいいのかもしれない。 策謀。その果てにある結果なのかもしれない。 しかしそれでも全然構わなかった。利用されている?構わない。踊らされている?問題ない。嗤われている?気にしない。だって、今目の前にいる。後悔の源泉。過ちの過去の象徴。助けられなかった最愛。 瞬瞬は、数年前に実の妹を喪った。 目に入れても痛くないくらい可愛い妹だった。両親を強盗に殺されて以降、たった2人の家族だった。だが、妹は自殺した。ありふれた理由だった。親の死んだ瞬兄妹を引き取った孤児院の院長による性的暴行。くだらない。どこにでもあるような話だ。 瞬は、気付かなかった。気づくことが出来なかった。全てが終わった後に思い返せば、予兆はいくらでもあったというのに。大切だという言葉は口先だけだった。大事にしたいと思いながら行動が伴っていなかった。愛していながら真正面から見ていなかった。 そして人は時を越えられない。故に瞬の時間は止まったまま。失った喪ったウシナッタモノが戻らないから、代替原理の代わりを求めて幽鬼のように彷徨った。 だがしかし、もうそれをする必要はない。 いる。 確かに、 会えないはずの、死んだはずの、救えなかったはずの、瞬の実の妹。 家族。 「は「は「は」 ふらふらと、一歩。 くらくらと、二歩。 はらはらと、三歩。 顔を手で覆い、泪を流して、狂ったように、 笑う。 笑う。 笑う。 「は!「はは!「ははは!「はははは!「ははははは!「はははははは!」 怯える少女が瞬の目には映っていないのか。 竦んでいる少女の姿が瞬の眼には映っていないのか。 少女を守るように立つ上条のことが瞬の眼には映っていないのか。 ただ、求めるだけ。 「……感激。生きて、いたのか」 一方的な愛はただの執着だ。 一方向の愛はただの妄執だ。 互いに思いあってこその家族。互いに満たし合ってこその家族。絶対に、押し付ける様な事があってはならない。 「目次めつぎ!」 瞬瞬。 現超能力者予備集団セブンバックアップ第七位。視線歪曲オッキョクールヴァの大能力者レベル4。 闇の中で絶望の海に浸かる子供達を救うために、新世界ジャイアントキリング計画を実行している悪党。だがその根源には善性がある。あの時、燃え盛る街の中で現人類絶対悪ビースト位階総序列第3位、木原五行にさえ出会わなければ瞬はこんな風にはならなかっただろう。 妹を救えなかったという後悔をつかれ、五行に誘導された結果だ。だがその責任は瞬にある。転嫁してはならない。純粋な善意は時に純朴な悪意に転じる。自覚無自覚は関係ない。ただ、そういう結果があるのだ。 故に恐怖。 「ひっ!」 かつてインデックスと呼ばれた少女、今はエピソード記憶の全てを喪ってしまった名も無き少女からすれば、瞬は初対面の誰かさんに過ぎない。なぜ、これほどまでに自分に執着しているのか分からない。目次?誰の事だそれは?自分の事なのか?それさえも分からないから、ただ只管に怖い。 アイドルに纏わりつくストーカー犯罪者と変わらない。知らない誰かの狂気的な瞳。その瞳を向けられるだけで、膝が崩れる、身体が震える、涙が出て来る。何もない少女、全てを喪った少女、名前の無い少女。 少女は弱かった。 思わず、隣にいる上条に抱き着いてしまうほどに。
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:23:01.67 ID:NvR0Tfn20 「っ……!?」 そんな目次の行動を見て、瞬はひどくショックを受けたような表情をした。避けられたという事実、そして目次が頼ったのが瞬ではなく上条であったという事実にひどく打ちのめされる。 瞬は少女の事情を知らない。少女が記憶喪失であることを知らない。だから、とてもショックを受けた。肉親よりも敵を頼った。少女の行動は瞬を否定するモノだった。 だが、めげない。 それでも、求める。 「……紹介。目次、俺だ。瞬だ。……分からないか?確かに、俺もひどく変わったからな」 その変わり身に突破口を感じたのは上条だった。理由は全く分からないが、瞬は少女を求めている。つまり、逆説的に考えれば少女こそが瞬を説得するための切り札カード。 話が通じるということは、心を変えられるということ。 か・つ・て・偽善使いフォックスワードと・自・称・し・て・い・た・上・条・は・そ・の・や・り・口・を・使・う・こ・と・が・出・来・る・。 記憶はなくとも、魂には刻まれているから。 「……瞬。お前は、コイツの……いや、インデックスの何なんだ?」 「……懐疑。インデックス?それは、目次のことを言っているのか」 「……………………?」 食い違いが発生していた。上条はインデックスと呼ばれていた時代の少女を知っていて、瞬は目次と呼ばれていた時代の少女を知っている。そして2人は共に、少女が目次でもインデックスでも無かった時代の事を知らない。 少女がどれだけ過酷な人生を歩んできたのか、2人は知らないのだ。 「……返答。俺は目次の兄だ」 「兄!?ちょっと待て、ならお前もイギリス清教の魔術師なのか!?」 「……不明。魔術師?何のことを言っている、とにかく目次は俺の妹だ。お前と目次にどんな関係があるかなど知らないが、目次を返してもらおう」 「兄…………?」 名前を持たない少女が呟く。それは驚くほどに空虚で現実感の無い妄想染みた言葉だった。兄、兄貴、お兄ちゃん……。どれも、しっくりこない。 分からないのだ。 思い出を喪ってしまった少女には、何もないから。 「お兄、ちゃん……?」 だが、思い出を喪ったのならまた紡げばいい。少女には未来があるのだから。少し前に全てを喪った少女。しかし、少女には頼れる人がいる。目を覚ました時に傍にいた上条は少女に優しくしてくれたし、自らを兄と名乗る男も雰囲気や目つきこそ怖いが、少女に優しくしてくれるだろうことが分かる。 だから、少女はそっと顔を上げた。 そして、右手で上条の服を掴んだまま瞬の事を見る。 「……歓喜。帰ろう、目次。お前に何があったのか、俺には分からない。だが、俺が!今度こそお前の事を必ず幸せにしてやるから!!!」 「ぁ」 死別したと思っていた家族との再会。もう二度と会えない人と会えた奇蹟。求めて縋って恋焦がれ、暴走した果てに手に入れた結末。 それなのに、現実は過酷だった。 「残念だ、カミやん」 ドン、と、 一発の銃声が、鳴り響いた。
155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:23:36.67 ID:NvR0Tfn20 一般的には知られていないことではあるが、ヨーロッパはもう死滅している。 比喩ではない。単なる事実だ。イギリス、アイルランド、フィンランド、ドイツ、イタリア、フランス、ベラルーシ、オーストリアなどなど、一般的にヨーロッパ圏といわれている国々は壊滅状態に陥っている。懸命な復興と必死な隠蔽によって幸いにも表には出ていないが――まぁ、何の意味もない事実であろう。 無論、その原因はヨーロッパ全土を舞台に起こった最悪最低のデスゲーム――善悪生存戦争デッドエンドゲーム=DEGだ。 8年前に第一回DEGが起こり1人が勝ち残った。 7年前に第二回DEGが起こり1人が勝ち残った。 6年前に第三回DEGが起こり1人が勝ち残った。 5年前に第四回DEGが起こり1人が勝ち残った。 4年前に第五回DEGが起こり1人が勝ち残った。 3年前に第六回DEGが起こり1人が勝ち残った。 2年前に第七回DEGが起こり1人が勝ち残った。 そして1年前、善悪最終生存戦争ファイナルデッドエンドゲームが起こりヨーロッパが滅んだ。 『ひひ』 ウィンザー城。 英国イギリスが誇る、ヨーロッパ全体から見ても長きに渡る歴史を持つ英国君主の公邸。その中を、奇妙な生物が徘徊していた。 『いひひ。いひひひひひ』 その生物は全体的に透けていて、その上で背中に翼をはやしていて、さらにはしっぽのようなものまで持っていた。塵クズを寄せ集めて作った不格好な汚らしいロングスカートドレスに、触手のようなうねうね蠢く髪。その癖中途半端な人型を保っているから、見る人間を余計に不快にさせてしまう。 その生命の種族名は悪魔。 固体名はクリファパズル545。 本・来・で・あ・れ・ば・ア・レ・イ・ス・タ・ー・に・よ・る・英・国・襲・撃・を・防・ぐ・た・め・に・コ・ロ・ン・ゾ・ン・が・用・意・し・て・い・て・防・衛・機・構・の・1・つ・。 そしてその隣を歩く人物こそが、現在のイギリスの核の1つ。 「くそ」 『いひひひひ。いい加減に受け入れたらどうですう?こうすることでしか、生き残る道はないって』 「っ、黙れ!!!」 第二王女、キャーリサ。現在の『騎士派』の事実上のトップであり、イギリス三王女の中でも『軍事』の才に秀でし傑物。 しかし、その才を振るう暇もなく、ヨーロッパは壊滅した。 「…………くそっ!」 口汚く罵りっても現状が回復しないことはもう知っている。だからこそ、求めているのはこの災厄を覆すことの出来る切り札カードだ。キャーリサは今、その切り札カードを作ることの出来る人物の部屋を訪れるところだった。 「もどったし」 扉の前に立ち、そう言葉を投げかける。最高レベルの魔術的防御と最高レベルの科学的防御。趣の違う2種類の防御を無理やりぶち破って部屋の中に入ることなど、キャーリサにも出来ない。 『山と言えば』 「海の方がいいし」 合言葉によって扉が開く。そしてキャーリサは若干の楽観的希望論をもって部屋の中に入った。 部屋の中には既に女性が1人いた。 「なんだ、お前も来ていたか。ヴィリアン」 「姉上……。やはり、私は…………」 「お前の妄想は聞き飽きたし。具体的なプランもなく、この事態を『仕方ない』なんて甘受するだけなら、とっととここから去るがいいし」 「姉上ッ!?」 信じられない言葉だった。少なくとも、今のヴィリアンにとっては。 だって、キャーリサは知っているはずだ。今のヴィリアンがどういう存在なのか、より正確に言うのであれば今のヴィリアンに何が憑りついているのか。 『それ』は、キャーリサとヴィリアンの間にある齟齬に敏感に反応した。――キャーリサはヴィリアンを遠ざけたいと思っており、そしてヴィリアンはキャーリサ達を手伝いたいと思っていた。2人の間にある無理解と不寛容。それが即座に物理現象として現実世界に出力される。 「ぐッ!!!???」 キャーリサの肌に蛇が噛みつく。それも1匹ではない。10匹、100匹、いいやそれ以上の数。ヴ・ィ・リ・ア・ン・の・髪・の・毛・の・本・数・分・の・蛇・が・キ・ャ・ー・リ・サ・に・噛・み・つ・く・。
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:24:12.15 ID:NvR0Tfn20 「まっ、やめてぇ!!!」 制止の声を上げるヴィリアンだが、そんな命令を蛇たちが従うはずがない。10万匹以上の蛇たちはヴィリアンの命令に従うではなく、ただ作られた機能を果たすだけなのだ。 蛇たちの攻撃が終わる頃にはキャーリサの身体は噛み傷だらけになっていた。 「っ、姉上!大丈夫ですか姉上!」 「この程度の不理解にも反応するか……」 『いひひひひひひひひひひひひひひひ。優しいですう、ご主人様は☆』 10万の蛇。うねうねと蠢くヴィリアンの髪の毛。1年前の善悪最終生存戦争ファイナルデッドエンドゲーム以来、イギリスは変わってしまった。人が生きられない土地になってしまった。だから、ヴィリアンも変わるしかなかった。その身にある全ての髪の毛を蛇に変えてでも、生きるしかなかった。 それはとても簡単な結論であった。 世界が現在の人類では適応できない環境に変化したというのならば、人類の在り方そのものを変えてしまえばいい。ある意味では諦め、ある意味では縋りつき。だが、その解決策がイギリスに住む人間を救ったのも事実であった。 ワ・チ・ェ・ッ・ト・=・レ・ト・。 大悪魔コロンゾンが用意した対アレイスター用霊装神威混淆ディバインミクスチャの1つ。 その霊装をイギリス第三王女ヴィリアンは使ったのだ。 生き延びるために、生き残るために。 「ぅぅう、……どうして、こんなことに」 『泣き言はもう聞き飽きたわ。だから、そろそろ本題に入ってもいいかしら』 けれど、だ。 悪魔クリファパズル545と契約して生き延びた『軍事』の第二王女キャーリサ。 神威混淆ディバインミクスチャにその身を捧げて生き延びた『人徳』の第三王女ヴィリアン。 彼女達2人はまだ、肉の器を保っているという意味でマシな方である。 このレベルの悪意でさえ、まだ薄味。 少なくとも、医学的な観点では死んでしまったと言えるリメエアよりはマシなのだ。 『最も、そのまま姉妹仲良く乳繰り合うというのならば私は別の『鏡』に身を映すけれど』 「ほざくな姉上。いいから早く本題に入ったらどうなの」 『あらそう?』 鏡に映るリメエアの姿に向かって、キャーリサがそう答える。 最も、鏡に映るといっても、この部屋の中にリメエアはいない。それどころか、リメエアはもうこの世に存在しない。 善悪最終生存戦争ファイナルデッドエンドゲーム。1年前に起きた最悪のゲーム遊戯に『明け色の陽射し』サブリーダーパトリシア=バードウェイと共に立ち向かったリメエアはそこで国境なきテロリストTerroristes Sans Frontièresに殺された。 だが、リメエアはただでは殺されなかった。己の肉体をもとにパトリシアに善悪最終生存戦争FDEGを終わらせるだけの力を与え、そして余った魂を身魂の別離アナザーディメイションという魔術を使って鏡の中に映したのだ 身魂の別離アナザーディメイション。 古来より鏡の映る像というのは神聖視されるものである。『白雪姫』における『魔法の鏡』などはそれを表す筆頭だろう。鏡に映る像が、元となった人間とは別の行動をとる。身魂の別離アナザーディメイションはそういうあいまいな伝説をもとにした魔術だ。 肉体が滅んだ彩、鏡の中に魂を映す移す。リメエアはそのようにして、ヨーロッパ壊滅から生き延びた。故に、リメエアは鏡の中でしか生きられない。あらかじめ術式を仕掛けておいた鏡にはリメエア自身の意志で映ることが出来るが、仮に術式を仕掛けた鏡が1つもなくなってしまえば、その時がリメエアの魂の死と言えるだろう。 「…………………できたのか?」 『大まかには』 「そうか、……なら、私は行く」 「姉上っ!」 「私が、行く」 血だらけの身体に、傷ついた心。諦観と絶望に満たされそうになる魂を、それでも誇りと自負、そしてイギリスという国にそこに暮らす6000万以上の人々を想って繋ぎ止める。 あの日、何でもすると決めた。 何をしてでも国を、国民を守ると決めた。 例え世界最低の悪となり果てようとも、それでも守ると決めたのだ。 少女1人の犠牲でイギリスを救えるのであれば、安いモノだろう? 「新たなる魔導書図書館インデックス、……この国を守るために、せいぜい使い潰させてもらうぞ」 外部からのあらゆる干渉を拒絶する鋼鉄の意志を持って、英国第二王女キャーリサはそう宣言した。 久し振りの投稿で伏線を増やしていくスタイル。 学園都市書くの飽きたからしばらくは佐天さんサイドか上里サイドを書くことになるかもしれないです……。
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/16(水) 19:52:53.63 ID:NvR0Tfn20 ちかま ID:EYbP0TXs 2019年06月18日(火) 10:26 (Good:0/Bad:0) 報告 そんなのが12人いるんじゃ未踏級以下の禁書勢は蹂躙されるだけですね 返信:一二三四五六 2019年07月21日(日) 22:15 感想ありがとうございます! 理外人外はマジで生きる世界が違うからしょうがないですね……。奴らはステージが違う。といってもパトリシアや能兎黒栗がやろうとしてるみたいに|物語の破綻《ロジックエラー》によって対抗することはできますが。 これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 05:17:16.82 ID:Wwc1Y7nt0 こんな物より上条さんが無双するSSが読みたいわ
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 18:06:12.63 ID:q4kmqJxf0 作中の女キャラは全て上条さんの物だ
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 19:05:49.69 ID:E68TXkFso 禁書のss見るといつも上条さんはこんなことしてられるほどスケジュールに空きがあるのか?って思っちゃう 原作の上条さんのスケジュールにオフの日ってどっかあったっけ?
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 19:10:21.92 ID:E8PWYGZK0 上条さんは戦場か病院のベッドの上でクリスマスやお正月やバレンタインデー迎えそう
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:12:38.52 ID:l6aSQntV0 https://syosetu.org/novel/158074/71.html とある暗部の御坂美琴(1周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 71 / 74 13のルールE 佐天涙子の左手親指 手の指というモノは基本的に3つの骨で構成されている。爪が付属している末節骨、中節骨、基節骨である。ただ、そのうち中節骨は5本の指「ぎっ、い゛じっ!あ゛ばげッ!?」の内の4本にしか存在しない。つまり母指には中節骨は存在しないのだ。この理由は母指、すなわち親指の関節の自由度を上げるための構成である。親指は2つの指節骨しか持たない故に「ああああああああああああああああああああああッッッ!!!!!」母指端を使って円を描くような動きを与えられる。他の指は中手骨同士の関節を含むためにこの動きは親指がもっとも得意なのだ。(ぶっ、くァ!か、噛め噛め゛噛め躊躇う゛なッ!!!) そして人間が痛みというモノを感じるシステムだが、これは案外複雑に出来ている。まず、人は痛みを感じたとしても傷つけられた部位で痛みを感じているわけではない。痛みを感じる部位は脳だ。まず、傷ついた「いだい゛い゛だい痛いぎだ遺体イタイ゛い゛だい゛い゛いいぃぃいいぃ゛ぃぃぃい゛い゛ぃぃいッッッッッ!!!!!」部分に存在する末梢神経の先端にある侵害受容器が刺激を感じ、そこから末梢神経へと刺激が伝わる。そしてAδ線維とC繊維がその刺激を中枢神経へと伝え、脳の視床、体性感覚野、帯状回、前頭葉、小脳などに刺激を伝えることで初めて人は痛みを感じることが出来る。つまり連鎖反応なのだ。連鎖反応だからこそ、その連『口の中に人肉がある口の中に人肉がある口の中に人肉がある口の中に人肉がある口の中に人肉がある口の中に人肉がある口の中に人肉がある口の中に人肉がある』鎖の一部でも断絶させてしまえば人は簡単に痛みを感じなくなるのだが人体に関して造詣が深い人間ならばそんな馬鹿なことはしないし出来ないだろう。なぜなら痛みは重要なセンサーだから。痛みというのは重要な感覚だから。痛い、痛み、痛覚というのは自身の存在を自覚する上で必要不可欠の事象なのだ。仮に痛覚が存在しなくなれば人は己の身体を認識できない。人間は『口の中に佐天の肉がある口の中に佐天の肉がある口の中に佐天の肉がある口の中に佐天の肉がある口の中に佐天の肉がある口の中に佐天の肉がある口の中に佐天の肉がある』己の身体を認識するのに視覚でも聴覚でも味覚でも嗅覚でもなく触覚を使っている。触覚、つまりは痛覚だ。ここにいる、ここにある、と認識するためには痛覚は必須なのだ。でなければ狂う。モノを触ってい『口の中が佐天の血液で満ちる口の中が佐天の血液で満ちる口の中が佐天の血液で満ちる口の中が佐天の血液で満ちる口の中が佐天の血液で満ちる口の中が佐天の血液で満ちる』るのに触れている感覚がないのであればモノを触っていないも同じだ。痛覚がないのならば歩いている時に足は地面からの反発を感じず、傷を負っても気付けない。ステージ4の癌を患っていたとしても死んでも気付けず、後ろから切りつけられても見えてないから何をされたか分からず、見えず聞こえないなら全てないも同然。それが(熱い厚いあつい篤い暑いあついアツい温井熱い厚いあつい熱い熱い熱い熱い熱い熱い!!!!!) 痛覚を喪うということだ。だからどんな人間でも正気であるのならば痛覚の除去は行わない。だが一方で痛覚を消してしまいたいと思ってしまうような状況がないわけでもないのだ。極限下の痛みに襲われている時、左手親指を噛み千切られている真っ最中なんかはまさしく痛覚を消し(ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!) てしまいたいと思う事だろう。つまり今の佐天のような状況なら。さて、では痛みに関する講義が一通り終わったところで次は歯についてにでも語ろうか。歯。人間の歯というのは基本的には28本ある。永久歯が28本という意味だ。そしてこの歯にもしっかりと感覚はある。神経が通っている。いや、正確に言えば神経ではないが、歯髄と呼ばれる疎線維性結合組織が俗に歯の神経と呼ばれているのだ。この歯髄は象牙質の産生や『違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感違和感』刺激に対する修復象牙質の産生、さらには歯牙の感覚などの機能が存在している。そして歯髄は刺激に対して疼痛の反応を示す。といっても歯髄には圧覚や温覚などは存在しないので、熱さや冷たさなどは全て疼痛として処理されるが。なお、完全に余談だが、人類が体験可能な最高の痛みは歯にフッ化水素酸(気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い) を直接塗られることだ、という話がある。
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:13:19.44 ID:l6aSQntV0 この事象は現実に起こっており、実際に歯にフッ化水素酸をぬられた人間は2メートルも飛び上がり、後日死亡したという。話は逸れたが歯についての話を続けてみよう。永久歯は3種類が存在する。モノを噛み切る切歯。切歯には中切歯と側切歯の2種類がある。モノを切り裂く犬歯。これは犬歯の1種類のみだ。モノを磨り潰す臼歯。この臼歯には第1小『不快不快不快不快腐海深い深い腐海不快不快不快不快不快腐海深い深い腐海不快不快不快不快不快腐海深い深い腐海不快不快不快不快不快腐海深い深い腐海不快不快不快不快不快腐海深い深い腐海不快不快不快不快不快腐海深い深い腐海不快不快不快不快不快腐海深い深い腐海不快不快不快』臼歯、第2小臼歯、第1大臼歯、第2大臼歯、第3大臼歯の5種類がある。そしてこれらはそれぞれ上顎と下顎、左右に存在する。故に上条が佐天の指を噛み千切るのだとすれば、使うのは切歯か犬歯がいいだろう。指を噛み千切ると言っているのに磨り潰す歯である臼歯を使うのはいただけない。いただけないが、果たしてこの極限状況下でそんな冷静な判断を下せる人間がどれほど存(硬ッ、噛み切れな――――――)在するだろうか。よほど冷酷な人間かはたまた慣れている人間でない限り、どうしたってどの歯で噛み千切ろうなんて考えは出ないだろう。とはいえ普通に指を噛み千切ろとするのならば自動的に切歯か犬歯を使うことになるのも事実ではある。臼歯はイコールで奥歯だ。実際に指を口に突っ込んでみれば分かるだろうが、指を噛み千切「いいいいぎぃぃぃぃいぃぃいぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいがあああああああああああああッ、ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァッッッッッ!!!!!…………!?………………………、――――――あ?」る部分は指の第二関節あたりになる。そうすると当然切歯か犬歯が第二関節あたりに接触することになる。故に臼歯は指を噛み千切る部分に接触しない。だから実はどの歯で噛み千切ろうなどと考えなくてもいいのだ。とはいえまぁ、だからといって簡単に噛み千切れるかといえばもちろんそうではない。一番問題となるのは指を噛み千切(くち、あい……?おわ、っ……ひゃ?)る際の口内の感触だろう。指を歯で噛み千切ろうとすれば当然噛み千切ろうとしている指の断面から出血が起こる。つまり噛み千切ろうとする人の口内が噛み千切られている人の血で満たされるとはいかないまでも侵されるということだ。血を舐めたことくらいなら誰しもあるかもしれない。し(これ噛み千切れるのか!?……もう1回、……[ピーーー ]気で……ッ!?)かしコップに満たされた血液をトマトジュースのように一気飲みしたことがある人はなかなかいないだろう。指の断面から起きた出血は口内を容易く血液で満たせるほどに大量で、多量だ。そしてそ「かみ、じょさ」の感覚はよほど逸脱した精神性を持っている人間でない限り絶対に不快感を催す。血液の味、これは何とも形容しがたいモノで、どうしたって非日常故に。そして血液だけではない。噛み千切る側は噛み千切られる側の肉を喰うことになるのだ。肉、肉片、皮膚片といってもいいだろう。噛み千切る際に出た人肉を喰らう『だからもう1度噛んだ。今度こそ噛み千切れるように、全身全霊で噛んだ』とになる。もちろんそれは血液ほど口内を侵すモノではないが、しかし絶対に不快感はでる。それ以上に歯で肉を喰らう感覚。ブチブチと千切れる筋線維。皮膚の絶妙な柔らかさと反発感。すぐ下にある骨の硬さ。全て全てが一度に歯髄を通して脳に殺到するのだ。
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:13:55.38 ID:l6aSQntV0 『噛み噛み咬みかみ咬み噛みカミ噛みかみ咬みかみカミかみ噛み噛み噛み噛み咬みかみ咬み噛みカミ噛みかみ咬みかみカミかみ噛み噛み噛み噛み咬みかみ咬み噛みカミ噛みかみ咬みかみカミかみ噛み噛み噛み噛み咬みかみ咬み噛みカミ噛みかみ咬みかみカミかみ噛み噛み噛み噛み咬みかみ咬み噛みカミ噛みかみ咬みかみカミかみ噛み噛み噛み噛み咬みかみ咬み噛みカミ噛みかみ咬みかみカミかみ噛み噛み』人の指を噛む、噛み千切る。皮膚を切り裂き、筋肉を断ち切り、骨を砕く。噛み千切る側にとっても悪夢、いやまだ悪夢の方がましだろう。等活地獄に落ちるのと同等の精神的苦しみを味わうようなモノだ。そしてきっと噛み「い゛ッ!?ぎぃ、ぎょべびふ゛ッ、あ゛ひばびゃあぁぁあぁ゛ぁぁああ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ああぁああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁあぁあああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああ゛あああ゛あああああああああ゛あ゛あ゛ああああああああああああああああああああッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!?????????????」千切られる側は噛み千切る側よりも圧倒的に苦しい。自分の指が手から離れていく感覚。その痛みをゆっくりじっくりまじまじと堪能することになり、五指が四指になる過程を痛覚で体感することになる。どれほどのショックを受け、どれほどのトラウマになるだろうか。しかもそれが自分から進んでではなく強制的になのだからそれは当然痛い痛い死にたい死にたくなるだろう。『終わってなかった上条は1回じゃ佐天の指を噛み千切りきれなかった躊躇があったのかもしれない躊躇いがあったのかもしれないふざけた気遣いがあったのかもしれない絶叫で口を閉じる力が弱まったのかもしれないだから2回目があった。2回口を閉じることになった』落差。10メートルの高所から落ちるのと100メートルの高所から落ちるのでは当然後者の方が落下ダメージが大きい。では精神的なダメージの話をしよう。虐められている人間は心に傷を負う。誰も助けてくれない現状に悲観して自[ピーーー ]る。では誰かが助けてくれれば心の傷は治るのか。いや治らない。精神に負ったダメージは必ず残るモノだ。記憶は消えない。想い出は無くならない。そして1度(今度こそ噛み切れ、えッ!)は助けてくれた人がなぜか裏切って虐める側に加担することになればたぶんもう2度と立ち直れない。偽りの希望に縋ればそれに頼らざるを得なくなり依存するから。最底辺から救い上げて高所に登らせてあげた。そこからもう1度最底辺に落ちる。極上の逸品を食べなれた人間がファーストフードをまずいと感じるように、金持ちが貧乏人になっても金持ち時代の金銭感覚を忘れられないように。それはそういうモノで、そういったモノだ。だから佐天はもう二度と上条の友達にはなれないかもしれない。事実はどうでもよくて、ただ客観的に上条に裏切られたと感じてしまったのならば。
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:14:26.72 ID:l6aSQntV0 「あああああああああAAAAAAAAAAAAAAAAAaaああああああああああああああああああああああああああああああaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaあああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」 ([ピーーー ]シネシね[ピーーー ]シネ[ピーーー ][ピーーー ][ピーーー ][ピーーー ]「[ピーーー ]う!」ぅがああああああああああああああ!!!!![ピーーー ][ピーーー ]シネシね[ピーーー ]シネ[ピーーー ][ピーーー ][ピーーー ]シネシね[ピーーー ]シネ[ピーーー ][ピーーー ][ピーーー ]シネシね[ピーーー ]シネ[ピーーー ][ピーーー ][ピーーー ]シネシね[ピーーー ]シネ[ピーーー ][ピーーー ][ピーーー ]シネシね[ピーーー ]シネ[ピーーー ]死「許さないィ、いぎッ!!!」ね[ピーーー ][ピーーー ][ピーーー ]) (死んじゃう!死んじゃう!死んじゃう!死んじゃう!) (なんであたしがなんであたし「助けて」がなんであたしが) なんでアたし難であた死が) なんであたし仮名んであたしが) なんで亞たしがなんであた「助けて」しが) なんであたしがなんであたしが) なんであた歯牙なんであたしが) なんであたしが「助けて」なんであたしが) なんであたしヶ何であたしが) なんであたしがなんであたしが)なんであたしが) 「助けて」 「助けて」 「助けて」 「助けて」 「助けて」 「助けて」 「助けて」 「助けて!」 「助けて!」 (千切れる千切れちゃうよお……曲がる曲がる曲がる指がッ!?) (あっあうっあああ指があああふヴば「指!」ヴぁののののののう指の左が左みたいだ ゆびが ゆが びが ゆびぃ のあうをあられた ああああぁ「指!」どあ どうな なるど なる なうら あうるのか「指!」? あおばる のか あ? はっはっ えが はっ えが「指!」 ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!!!) (助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて(HELPHELPHELPHELPHELPHELPHELPHELPHERPHELPHELPHERPHERPHERPHERPHELPHELPHERPMEMEMEMEMEMEMEMEMEME)助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて(救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って救って)助けて助けて助けて助けて助けて)
166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:15:03.48 ID:l6aSQntV0 https://syosetu.org/novel/158074/72.html とある暗部の御坂美琴(1周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 72 / 74 惨劇最悪バッドエンドA あなた達が間違えた選択の果てに、世界は滅亡しました 終わった。 (終わった) 終わった。終わった。終わった。 (終わった。終わった!終わったあァァっっっ!) だが、はたして何が終わった? 佐天の歯を噛み千切ることが? もちろんそれは終わった。 佐天との間にあった信頼関係が? それは修復は可能なほどに終わってしまった。 上条の精神性は? それもまた、終わってしまったモノの1つだろう。 いくつもの出来事が終わり、モノとして存在しない目に見えない何かもまたいくつも終わってしまった。 それが良いか悪いかはまだ分からない。もしかしたら上条の行動が後の災厄に繋がるのかもしれない。 けれど、確かに此処に1つの事象は終了したのだ。 上条が終わらせた。 「はっ、はふっ……はぁーっ、ははっ!はぶ、げふッ!…………あ゛、…………ぁ゛」 唾液と血液でぐちゃぐちゃになった佐天の左手親指を掌の上に吐き出して、上条は荒い息のまま何とか佐天に話しかけた。 「さ、てん……大丈夫、か……?」 「……………………………」 返答はない。 「佐天……?」 膝に手をついて息を落ち着けながら、上条は顔を上げて佐天を見上げた。 佐天は、恐怖に歪んだ顔のままぐったりと頭を下にしていた。 「っ!……ぅ」 ピクリとも動かない佐天。 気絶している、のだろう。 全身から力が抜けている。だらりと下がった四肢に半開きになった口、開いた瞳孔。全てが佐天が正常ではない状態であることを示している。 言うまでもなく、上条がそうした。 (仕方なかった……仕方なかったんだ!) そう、思うしかない。今はまだ、罪悪感を抱くわけにはいかない。 やらなければならないことがある。 佐天の痛みを、その犠牲を、無駄にするわけにはいかない。 「Aえー!」 と上条は食蜂を呼んだ。 佐天の左手親指が手に入った以上、後必要なのは刀夜の右目だけだ。つまり食蜂が刀夜の右目を抉りだせていれば、事態の全ては解決する。 はずなのに、 「何してるんだ……?」 奇妙なことに、食蜂は刀夜の右目に手を伸ばしたまま静止していた。 「大丈夫、か?」 緊張しているのだろうか。 躊躇しているのだろうか。 それも仕方ないと思う。上条だって、躊躇いの中で覚悟を決めて佐天の指を噛み千切ったのだ。だから食蜂が出来なくても仕方ない。 (いざとなったら) いざとなったら、上条が食蜂の代わりをやるしかないだろう。 けれどまず、上条は食蜂を励ますためにその左肩に手を置いた。 「変わろうか?」 と声をかけて、 ドン、と食蜂の身体が倒れた。 「……………………………………………………………………………………………は?」 一瞬、停止。 だが、すぐに動き出す。 「食蜂!?」 倒れ伏した食蜂に上条はすぐさま駆け寄った。 何だ?何が起きている?どうして食蜂が倒れた? 「おいっ、どうした!?しっか」 呼吸が、停止していた。 心拍が、無かった。 「――――――――――――――――――――――しょく、ほう?」 一般的には、呼吸をせず心臓も停止している人間のことは死体と呼ぶ。 つまり、食蜂は死んでいた。 「待てよ」 死んでいた。 「起きろよ!何、何で……食蜂ッ!」 ガチャリと音がして、誰かが上条の背に凭れ掛かってきた。
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:15:38.53 ID:l6aSQntV0 「ぐっ、痛ッ!?」 背中に奔った衝撃を振り払うかのように、上条は食蜂の身体を支えたまま片腕を背に手をやった。 何かが上条の背中に墜ちてきた。 何かが上条の背中に降ってきた。 それを背中から降ろして、上条は降ってきた何かを確認し、 上条刀夜が死んでいた。 「……、…………?」 今度は言葉すらも出なかった。ただ、ふらふらと開いている方の手が刀夜の頬に伸びた。ふらふら、ふらふら、ふらふらと。 「父、さん……?」 動かない。 ピクリとも、動かない。 触らなくても分かる。 触れなくても分かる。 上条刀夜は死んでいる。 「あ」 呆けたように口を開きっぱなしにして、食蜂を横たえ、上条は立ち上がった。何が起こっているのかわからない。何が起こっているのか分からない。何が起こっているのか分からない。 でも何かが起こってるのなら、と上条は立ち上がった。 四つの枷から解放され、倒れ伏した佐天が視界に入った。 「は」 確かにそうだ。食蜂が死んだ。刀夜が死んだ。ならば佐天だって死んでいるだろう。全くそうだ。非常に納得できる。 「なら、ジャーニーも……」 佐天と刀夜が解放されたなら、もちろんジャーニーも死んでいる。見る必要もない。だって、12のルールにはこうあった。『ジャーニーが培養器の外に出るか、ジャーニーが死亡した時点で2人の拘束は解かれる。』、なら当然ジャーニーは死んでいる。 4人とも死んだ。 此処で生きているのは上条だけだ。 「……外に」 なら、もう此処に居ても意味はない。外に出て、助けを呼ばなければ……。 ふらふらと頼りない足取りで階段を上り、部屋を出る。 その部屋の外では、少女が死んでいた。 「…………………、蜜蟻、……か?」 その顔には見覚えがあった。 蜜蟻と名乗る少女と同じ顔をしていた。 ……待っていた、のだろうか。 ジャーニーを救出した後の上条に会いに来るつもりだったのだろうか。 死体は黙して語らないから、真実はもう分からない。 「……………………………、…………」 歩く。 ただ、歩く。 とにかく外に行かなければ何も始まらない。外に行けば助けを呼べる。助けを呼んで駆動鎧パワードスーツを止められる。だから、まずスタジアムの地下から出なければならない。 「…………もう、ちょっと」 後数歩でスタジアムの外に出られる。 後2歩でスタジアムの外に出られる。 スタジアムの外に出られた。 「っ」 太陽光の眩しさで僅かに目が眩む。だが徐々にその明るさに慣れて、視界が開けた。 インデックスが死んでいた。
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:16:13.89 ID:l6aSQntV0 「――――――――――――――――――――――――――――――」 ひどい、酷い様だった。 片腕を切り落とされ、半ばまで切断された胴からは内臓が零れ落ちている。白を基調とした修道服はあちこち裂かれ、穴が空き、そこから今もなお流れ出る血が、修道服を赤黒く変色させていた。数えることすらも馬鹿馬鹿しくなるほどにインデックスの体の傷は多かった。 何度も、何度も、何度も。 誰かがインデックスの体を切り裂き、斬り付け、痛めつけ、命を弄び、尊厳を凌辱し、生き様を侮辱し、そして突き立てて、消えない傷を残したのだろう。 永遠に消えない、傷跡を。 どうして、そこまでされなければならなかったのか。 どうして、そこまでしなければならなかったのか。 「―――――――――――――――――――――――」 苦痛に満ちた顔を、 恐怖に歪んだ顔を、 せめて、せめて、せめて、少しくらい安らかにしたい。 だから上条は死にきったインデックスに近づいて、その瞳を閉じさせてあげた。 それくらいしか、出来なかった。 「……………………」 そうして、上条は携帯電話を取り出して病院に電話した。119番。死体を病院に渡さないといけない。 通話がつながる。 「あの」 自分でも驚くほどに冷たい声が出た。 なのに、 『―――――――――――――――――――』 「あの!」 通話口からの返答がない。 話しかけてこない。 「……仕事してくれよ」 119番からの返答がないなら自分で歩いて病院に行くしかない。 どこの病院が良いだろうか?一番近い所なら、やはりカエル顔の医者の所か? 「歩けば、いつか辿り着くか」 そう言って、上条はスタジアムの外に出る。 スタジアムの外には、輝の死体があった。 「……勝てなかったのか」 それだけ言って、上条は大通りに向けて歩き始める。大丈夫だ。死体が1つ増えただけだ。病院に連絡する手間が増えたけれど、それぐらい上条が負担するべきだろう。 10分ほど歩き、上条はようやく大通りに出た。 燃え盛る炎がいくつもあった。 「熱っ!」 炎上しているのは車だ。 交通事故が起こっているのだ。この大通りだけで何件も。 「……警察に、連絡しないと」 もう一度、上条は携帯電話を取り出して警察に電話した。 110番。 通話がつながる。 「あの」 『―――――――――――――――――――』 通話口からの返答がない。 話しかけてこない。 「……………………」 仕方がないから上条は電話を切って再び歩きだした。 どいつもこいつも仕事をせずにさぼっていて、学園都市は大丈夫なのだろうか? 「…………………………」 歩き続ける。 車の中で見知らぬ誰かが死んでいた。 歩き続ける。 歩道にある椅子の上で誰かが寝転がっていた。 歩き続ける。 道端でカップルが抱き合ったまま動かずにいた。 歩き続ける。 青髪ピアスが家に寄り掛かっていた。 歩き続ける。 炎の中に誰かが立っていた。 歩き続け、 「青髪ピアス……?」 振り返った上条は来た道を戻って青髪ピアスに近づいた。 近づいて、その瞳が何も映していないことに気が付いた。
169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 19:16:17.69 ID:IL2pbg5Q0 上条さんには最終的に美琴か操祈と結ばれて欲しい あの二人は上条さんに対して特に献身的だから好印象 恩知らずで役立たずのインなんとかさんは絶対にNG
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:17:02.76 ID:l6aSQntV0 「―――――――――――――――――――――――う」 一歩、下がる。 足が誰かの肉に当たる。 下を見る。 倒れ伏した吹寄と目が合った。 「うあああああぁぁぁぁぁぁぁッ――――――!!!」」 もう、我慢できなかった。 無茶苦茶に走り回る。 滅茶苦茶に叫ぶ。 「あああああああああああああああああっ!!!!!くがあああああああああああああああ!!!!!ぎあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 両の目から流れ落ちる涙が視界を歪ませる。 あらゆるところにある血液がびちゃびちゃと上条の足元で跳ねる。 どうしようもない。 もう、どうしようも、ない。 「何なんだよ、これ…………」 全て、死んでいた。 「何なんだよ、これっ!?」 死が、溢れていた。 「何なんだよ!これは!?」 ここには死しか、なかった。 「誰か、誰かいないのかよ!!!」 もう恥も外聞もなく上条は走り回った。ようやく、脳が現実を直視した。 死んでいる。死んでいる。死んでいる。 「誰か!誰かァッ!誰でもいいから、返事してくれよ!!!」 死んでいる。死んでいる。死んでいる。 「ふざけんなよ!どうしてこんなことになってるんだよ!!!俺が、俺……ああああああああああああっ!」 死んでいる。死んでいる。死んでいる。 「なんで、……なんで……っ、インデックス……インデックスぅ……うああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」 全てが終わって滅んでいる。 視界を埋め尽くす赫と無数の死体だけが、上条が今ここにいる証明だった。 膝をつく。 何もかもが死に尽くした世界で、徐々に上条の正気が薄れていく。 なにもわからない。 なにもかんがえたくない。 精神を犯し尽す絶望が上条の中から希望を消し去っていき、五感すら奪い去ってく。 消える。消える。消え失せる。 意識が、思考が、感情が、何も残らない。 はずだったのに。 ざっ、と上条の後ろで足音がした。 「ッ!?」 その音を聞いた上条はまるで今にでも消えそうな蝋燭の明かりを必死に維持しようとするかのように振り向いた。 生きている人がいる? 誰かがまだ、生きている? そう思って、上条は振り向いて、 白過ぎる腕に、首を掴まれた。 「あぎぃッ!?」 絞まる。しまる。しまっていく。 首が徐々に絞めつけられていき、呼吸が出来なくなっていく。 「だ……に……」 誰が上条の首を絞めているのか分からない。 何で上条が首を絞められなければならないのか分からない。 だが、 「時間、掛けすぎだよ」 全てが死に犯された世界に色を喪った呟きが響き、 ――――――上条当麻の生命活動は、完全に停止した。 これで『とある暗部の御坂美琴』は完結となります! 3年モノ長い期間の連載となりましたが、今まで付き合ってくれた方には非常に感謝です。本当にありがとう! 後日にあとがきを投稿させてもらいますが、本編はこれで終わりです。 本当に、本当に、ありがとうございました! セーブデータをロードしますか? はい← いいえ
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:18:01.70 ID:l6aSQntV0 https://syosetu.org/novel/158074/73.html とある暗部の御坂美琴(1周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 73 / 74 1周目における第一部第二章は惨劇最悪バッドエンドで終了したため現段階においては取得ポイントを計上できません。 ご了承下さい。 とある暗部の御坂美琴(1周目) 総合評価 第一部第一章 評価 第1評価 話数 111話……条件未達成。 合計文字数 562569文字……条件未達成。 平均文字数 5114文字……条件達成。 UA 57781……条件達成。 お気に入り 157件……条件達成。 感想 104件……条件達成。 総合評価 266pt……条件達成。 平均評価 6.41……条件達成。 調整平均 6.60……条件達成。 第1評価値算出 ―111―5625―114+5778+157×10+104×10+266×10+6.41×100+6.60×100=6499 条件達成 7 条件未達成 2 二章開始時における難易度がハードになりました。 条件達成と認定。 取得ポイント 6499SP
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:18:41.13 ID:l6aSQntV0 第2評価 誤字指摘……54箇所。 読者による設定不備指摘……8箇所。 能力名が四文字では無いモノがあることに関する伏線……指摘済み。 アレイスター=クロウリーによる絶対能力進化実験レベル6シフトの干渉に関する伏線……指摘済み。 初まりの領域に関する伏線……指摘済み。 全体個体『御坂美琴』に関する伏線……指摘済み。 世界物語理論に関する伏線……指摘済み。 裂ヶ淵瞑娥さくがぶちめいがによる位相斬りに関する伏線……指摘済み。 千疋百目の地下下水道脱出行動に関する伏線……指摘済み。 木葉桜十五夜の召喚した武装に関する伏線……指摘済み。 『神』になった一方通行アクセラレータに関する伏線……指摘済み。 もう1つの絶対能力進化実験レベル6シフトに関する伏線……指摘済み。 千疋百目が地下下水道の崩落から白井黒子を助けた理由に関する伏線……指摘済み。 伏線を『貼る』が誤字ではない理由に関する伏線……指摘済み。 【】に関する伏線……指摘済み。 初春飾利の所属に関する伏線……指摘済み。 一方通行アクセラレータの魔神化を想定内とした存在に関する伏線……指摘済み。 御坂美琴が一方通行アクセラレータを拷問した理由に関する伏線……指摘済み。 アレイスター=クロウリーの進める『計画プラン』に関する伏線……指摘済み。 『死』の定義に関する伏線……指摘済み。 上条当麻が敗北したことに関する伏線……指摘済み。 風紀委員本部セントラルジャッジメントに所属する人間に関する伏線……指摘済み。 全体個体『御坂美琴』の思考矛盾に関する伏線……指摘済み。 風紀委員本部セントラルジャッジメントという組織構造に関する伏線……指摘済み。 見捨てられた女グレイレディの正体に関する伏線……指摘済み。 ミサカネットワーク総体の気付きに関する伏線……指摘済み。 風紀委員本部セントラルジャッジメントと滞空回線アンダーラインに関する伏線……指摘済み。 原作では気づくことのできたぬいぐるみに関する伏線……指摘済み。 上里翔流に関する伏線……指摘済み。 アルフの発言に関する伏線……指摘済み。 占卜卜占に関する伏線……指摘済み。 アレイスター=クロウリーの上条達へのバックアップに関する伏線……指摘済み。 第2評価値算出 54×0.5+8×5+30×1=97 『真実解明トゥルーエンド』ルートへルート分岐。 ――――――世界物語キャラクターストーリー理論による正史認定を行いました。 以下、第一部第一章は『真実解明トゥルーエンド』ルートで固定されます。 条件達成と認定。 取得ポイント 9700SP 第3評価 御坂美琴VS死縁鬼苦罠……勝者 死縁鬼苦罠 御坂美琴VS一方通行アクセラレータ……勝者 全体個体『御坂美琴』 木葉桜十五夜VS罪罰贖&波並波狂濤……勝者 木葉桜十五夜 木葉桜十五夜VS矛盾矛盾&鳳仙花蝶々……勝者 木葉桜十五夜 木葉桜十五夜VS一本線点々……勝者 一本線点々 ミサカ10032号VS一方通行アクセラレータ……勝者 一方通行アクセラレータ 白井黒子VS千疋百目……勝者 千疋百目 白白白VSアレイスター=クロウリー……勝者 不明 上条当麻VS扼ヶ淵埋娥……勝者 扼ヶ淵埋娥 神亡島刹威VS浣熊四不象……勝者 浣熊四不象 一方通行アクセラレータVS『空白の主』……勝者 『空白の主』 常世涯最果VS木原脳幹……決着つかず 木葉桜十五夜VS『空白の主』……決着つかず 木葉桜十五夜VS『空白の主』VS木原脳幹……引き分け 常世涯最果VS裂ヶ淵瞑娥……勝者 常世涯最果 ミサカ19090号&ミサカネットワーク総体VS死縁鬼苦罠&天埜郭夜……勝負中 アレイスタークロウリーVS白白白……勝負中 佐天涙子……敗北者
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/17(木) 19:19:03.73 ID:n6MRq9y1o でも上条さんはインデックスが上条さんにキスされかけたらぶちギレるくらいにはインデックスのこと大好きなんだよな
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:19:23.38 ID:l6aSQntV0 第3評価値算出 ―1+0+0+0+0+0―1+0―1+0―1+0+0+0.5+0+0.5+0.5+1=−1.5 侵略者インベーダーによる侵蝕が1段階進みました。 条件未達成と認定。 取得ポイント ―1500SP 第一部第一章総合取得ポイント算出 6499+9700−1500=14699 合計取得ポイント 14699SP 上条当麻のステータスを表示します 上条当麻……性別 男 年齢 15歳 特殊能力 幻想殺しイマジンブレイカー 称号 主役級メインキャラクター、主人公ヒーロー、救済者ヒーロー(未覚醒状態) 称号スキル 主人公補正(真)、なるようにならない最悪If nothing is bad、カリスマ(弱) 固有スキル 前兆の感知(兆)、不幸、不撓不屈(弱) 買い物 何を買いますか? 特殊文字(認識不可状態)の可視化(第一部第一章のみ)……100000SP イベント絵……各50000SP スキル……各10000SP 記憶の引継ぎ……10000SP サブストーリー……各5000SP アイテムの引継ぎ……5000SP 経験値の引継ぎ……1000SP 友好度の引継ぎ……1000SP TIPS……各100SP イベント絵詳細 頂にて君臨する風紀委員本部セントラルジャッジメント 汝、人を捨てても護りたいモノがあるか?
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:20:13.38 ID:l6aSQntV0 スキル詳細 前兆の感知 説得 女たらし サブストーリー詳細 御坂美琴初めてのお仕事 たぶん最終章にならないと意味の分からない会話劇 上里勢力結成譚 第一幕 TIPS詳細 オリジナル単語1つに付き100SP 記憶の引継ぎ……10000SP ← 記憶の引継ぎ……10000SP を買いますか? はい ← いいえ 使ったSPは二度と戻りません。それでも 記憶の引継ぎ……10000SP を買いますか? はい ← いいえ 記憶の引継ぎ……10000SP を買いました。1周目の記憶が2周目に引き継がれます。 取得ポイントが4699SPに減少しました。 他には何を買いますか? 特殊文字(認識不可状態)の可視化……100000SP ← 特殊文字(認識不可状態)の可視化……100000SP を買いますか? はい ← いいえ 特殊文字(認識不可状態)の可視化……100000SP を買うためにはSPが足りません。 取得ポイントは4699SPのままです。 他に何を買いますか?
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:20:48.26 ID:l6aSQntV0 https://syosetu.org/novel/158074/74.html とある暗部の御坂美琴(1周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 × 74 / 74 私はいつも一人だった。 だから願った。愛されたいと。 私は多くの人から愛された。 だから思った。一人がいいと。 そして私は独りになった。 だから悟った。これが幸福だと。 ――――――二九七 それでも僕は、明日が欲しかった 裏お茶会~1周目~ 崩れ落ちる上条ヒーローの身体を睥睨しながら、230万の死体で溢れる学園都市の中で僕は溜息をついた。 「わりと、期待してたんだけどね……」 言葉にすることで僕は僕自身の考えを再認識する。 そう、期待していた。本当に期待していたんだ。 上条当麻なら、あるいはこの僕を上回ることが出来るかもしれない、と。 「いや、……矛盾だな」 僕の世界の人類を護るためには、いずれ上条当麻は必ず[ピーーー]ことになる。それが早いか遅いかの違いだ。 「…………遅かったね、アレイスター」 「殺したのか」 「どのみち、間に合わなかったさ。彼はあまりにも遅すぎた」 男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも見える『人間』、そう評されるアレイスターの方に視線を投げかけて、僕はこの全てが終わった世界を見通す。 70億の、そして数百の死体しか存在しないこの世界でただ1人、僕だけは違うから。 結局すべてが絵空事の虚言でしかないと知っているから。 「それを分かっていたからこそ、君も滅亡齎す七の子羊セプテム・アニュスの対策を発動させなかったんだろ」 「あの程度の術式に気付けないのならば、どのみちヤツは救済者ヒーローには相応しくないだろう」 「随分な言い様だ……。君の、君達の主人公ヒーローだろう?」 「違うな。私達の主人公ヒーローは彼ではない。上条当麻だ」 「厳しいね……。彼だって、僕がいる中頑張ってると思うけど」 「結果世界が滅んだが?」 「……………………もう少し、サポートしてあげれば良かったのに」 フラグが立たなかったのは確かに上条の責任だが、たった1回で完全な救済を為せだなんて難易度が高すぎるだろう。今回は解決しなければならなかったことが多すぎる。瞬を倒して、蜜蟻をどうにかして、学究会防衛作戦を成功させ、咎負虐殺を止める。 そんなの無理だ。 僕だって、サポートなしで出来るとは思ってなかった。 「それは」 「呼ばれてないのにじゃんじゃじゃ〜〜〜ん!!!」 空から純正の人類絶対悪が降ってきた。 「五行……。今結構重要な話してたんだけど」 「あぁ、あぁ、あ〜あ。まさかこんな結末になっちゃうなんてなぁ〜」 「聞けよ」 いや、五行が人の話を聞かないのはいつものことなんだけど、今だけは邪魔しないでほしかった。アレイスターと一対一で、互いの本当の立場を曝け出して話せるのなんて、今ぐらいしかないだろうから。 「木原五行、全能存在パントクラトールか」 ほら話が次に移った。 「……………はぁ」 僕の隣に立つ少女を見て、アレイスターが言った。 当然、調べられている、か。 「くきっ、くききッ!!!ま〜さっか!第六物語シックススストーリーの主人公ヒーローが死んじゃうなんて。フラグの立て方ミスっちゃった?」 「あぁ、ラスボスとの交戦フラグを立てないでサブイベントに入れ込んだんだ。馬鹿なことにね」 「くきっ!なら私のしたことの意味がなくなっちゃうな〜。せっかく、第七物語セブンスストーリーの主人公ヒーロー連れてきて物語交錯クロスオーバーさせてあげようと思ったのに」 わざとらしい口調でアレイスターを挑発する五行を僕は止められない。権限自体は僕の方が上だし、立場も僕の方が上だけど、物語を進める役トリックスターの自発的な動きを止めることは僕には出来ないし、しようとも思わない。 そういう称号キャラクター性の持ち主の行動はどのみち止められないモノだし。 「ふん、たかが全能如きが私と の話を邪魔をするのか」 だいたい、物語を進める役トリックスターは自由だからこそ意味があるんだ。 「くきぃ!たかがっ、たかがだってさリーダー!……このあてをたかがだなんて、さすがにムカつくかなあああああああああああああ!!!!!」 だからほら、また勝手に手の内を晒す。 「超克科学オルディニスクレアーレ――――――完全無欠ウルトラ、十全十美スーパー、常勝不敗アンリミテッド、絶対究極パーフェクトガール、故に私は全知全能の絶対神イズミー!」 超克科学オルディニスクレアーレ。覚醒ブルートソウルした極点突破者デスペラードのみが使う事の出来る世界物語キャラクターストーリー理論の最終到達地点。人類最終到達地点候補生たちの目指すべき場所。 といっても今回五行が使ったのは見る限りただの即興術に過ぎないのだけれど、出来れば勝手に使わないでほしかったなぁ……。 「あれ?発動しない……?……うん?」 まぁ、当然邪魔されるんだけど。 「全能の逆説オムニポテント・パラドックス。……まさか知らないわけではあるまい」 二言だった。そして、その事実がアレイスター=クロウリーという魔術師にして科学者の強さを示しているんだ。 「……ぶ〜、つまんなぁ〜い」 がっかりと肩を下げて、興がそがれたように超克科学オルディニスクレアーレの発動を止めた五行。まさか、全能の逆説オムニポテント・パラドックスを、全能者は全能であるが故に全能ではないという一学説を忘れたわけではないだろうに。 いや、五行のことだから本当に忘れていたのかもしれないけど。 「殺しちゃう?殺っちゃう?ねぇリーダー!」 「落ち着けよ五行。いや頼むから落ち着いてくれ。だいたい彼を殺したところで」 空から剣が降ってきた。
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:21:40.50 ID:l6aSQntV0 「死を晒せよ、侵略者インベーダー」 そんな声と共に、全長数十キロメートルにもわたる長大な剣が五行の脳天に向かって振り下ろされる。誰が、どうやって?そんな疑問が浮かぶ……、 「痛い」 だなんてことは当然なかった。 当たり前のことだ。僕は知っている。僕は識しっている。その剣がどんなもので、その剣を操るのが誰なのかを。 「痛い痛い痛い!痛いよリーダー助けて!」 「はいはい。ちょっと待ってろ」 剣が直撃してるのに傷一つついてないくせにそんな泣き言を言う五行に呆れながら僕は軽く剣に触れる。それだけで、剣は消え去る。 干渉。 無限に修正され続ける罪深き世界5Re:worldbreakerを使う僕からすればこの程度のことは当然だ。 「出てきなよ。いるんだろ?」 「無傷か」 いつの間にかアレイスター=クロウリーの隣に立っている男を僕は知っている。 「右方のフィアンマ。あいつの下位互換程度が今更何の用?というか、この大絶滅リセットから生き残ってたんだ」 「……俺様も舐められたモノだ」 僕のあからさまな挑発に、右方のフィアンマはあからさまに怒りを見せた。まぁ、下位互換と言われていい気になるような人間はいないだろう。 「あいつ、それって僕様のこと言ってるの、主あるじ?」 そいつは右方のフィアンマと同じように突然現れた。 これで3VS2。 「『神の代行人』GE13か」 「……下位互換程度が僕様に話しかけるなよ。ウザいんだよ代替品」 GE13が右方のフィアンマを睨みつける。仕方がない事とはいえこの2人は相変わらず相性が悪い。といっても聖なる右を持つ右方のフィアンマが『神の代行人』であるGE13の劣化レプリカなのは周知の事実だ。そして自分の劣化レプリカ、クローンのようなモノが勝手に造られたというのは確かに気分の良いモノではないだろう。 「なんだ、還してほしいか?GE13オリジナル?」 誰が見ても分かるくらい上から目線だった。 その挑発には、当然GE13は耐えられない。 「――――――調子にっ」 「やめろ」 だから僕は止めに入った。やれやれ、いくら『核』が固まっていないとはいえ、安易に行動するのはやめてほしいモノだ。 「あひゃひゃ!怒られてやんの〜!」 「……主」 縋るように目を向ける13を、それでも僕は静止する。 「13、別に聖なる右を使われたところで君がオリジナルであるという事実は揺らがないさ。だから簡単な挑発に乗るなよ。……まだ、底を見せるな」 「了承したよ、主」 底が知られても強さが変わらない先住民センチネルにとって強さを示すことは恐怖ではない。彼らの強さの限界点は1度知られている、だからこそその『上』にいけるんだ。底が暴かれれば弱くなる僕ら侵略者インベーダーとは違う。僕らは安易に力を晒せない。そうすれば、終わってしまうから。 「それにしても、本当に君達はこれで良かったのかい?」 「何がだ」 「大絶滅リセットで利するのは言うまでもなく侵略者インベーダーたる僕らだ。先住民センチネルたる君達からしたら、大絶滅リセットだけはどんな手段を使っても回避したかったんじゃないのかい?」 少しの沈黙の後にアレイスター=クロウリーが口を開いた。 「ある意味ではそうかもしれない」 肯定が返ってきた。 「だがある意味ではそうではないだろう」 否定も返ってきた。 そして後に続くように右方のフィアンマが言った。 「俺様達ももはや純粋な先住民センチネルとは言えまい。ならば妥協はするべきだ、というのが俺様達の出した結論だ。大絶滅リセット程度ならば、完全閉鎖アーカイブスルーや中断事象リアルが起きないのならば、やりようはいくらでもある」 「ふぅん……そう。だったらまぁ、初お披露目はこの程度でいいかな」 そう言って僕は、諦めたように言う。そういうしかないから、言う。 「愛し子よMary、愛し子よMary、僕の愛するMy fair愛しき世界よMary Sue。 その運命を改変しておくれCambiare il destino、 その物語を書き換えておくれFare una storia。 我が神のお望みとあらばWenn es meines Gottes Wille、 我らが神のお望みとあらばWenn es unsere Gottes Wille、 過去など無いに等しいのだDie Vergangenheit ist vorbei。 すべての可能性を内包した書の中でO mundo onde há esperança e o desespero ただ一つの意志のみがEle destruiu何もかもを無に帰すのだo mundo」 何度も言ってきた初めての詠唱を、僕は紡ぐ。 「絶対不変の絶対法則アンチェンジナブルラウ――――――無限に修正され続ける罪深き世界5Re:worldbreaker」 「さあ、やり直そうか」 「次は、失敗しないようにね」 一つ言っておこうか。 愛がないのならば、この物語の真実には辿り着けない。
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/17(木) 19:22:16.15 ID:l6aSQntV0 一方通行が魔神にされた後無様に死ぬからおすすめ
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/18(金) 17:05:40.88 ID:2noQKD4e0 どうでもいい 一方通行は大嫌いだけど興味ない
180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/18(金) 20:26:17.11 ID:wj/EPCyv0 原作でそうなってくれたら面白いんだけどねえ つーかもう原作は何すりゃゴールなのか分からん状態だし
181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/18(金) 20:28:46.75 ID:jANa4d/Fo 悪党の美学がとか俺は悪党とか言ってた頃よりクリファパズルを必死に救おうとした今の一方通行の方が好き
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/19(土) 00:19:24.21 ID:PtFgOiUt0 自分を倒して実験を潰した上条さんを尊敬している点は好き
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:03:37.94 ID:rjguaOC00 https://syosetu.org/novel/56774/76.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 76 / 178 いつもよりちょっとだけ長いです。 気付いた二人@ 神速の対応 一方通行と『空白の主』@ 『空白の主』 『それ』を真に正しく理解できた人間は学園都市内に二人いた。 まず一人目は学園都市の主アレイスター=クロウリー。 彼は、『それ』に強く関わっているが故に、『その領域』の人間と敵対しているが故に、『その行為』に気付くことが出来た。 「…………………………………………………………………………………………………………………………、」 ほんの一瞬だけ、 刹那の時間だけアレイスターは逡巡した。 そして、 「頼めるか」 短い問いかけがあった。 『任せておけ、アレイスター』 その問いかけに短い返答があった。 そして、問いを答えたヤツはすぐに『窓のないビル』から去り準備を始めた。 さらにもう一人。 学園都市第一学区に存在する風紀委員本部セントラルジャッジメントの最上階天秤の間にて風紀委員長白白白も『それ』に気付いていた。 「さすがに、予想外だな……」 確かに、見る程度ならできるかもしれないとは思っていた。それを見ることは可能かもしれないとは考えた。 だがまさか操れるとは、操作できるとは思っていなかった。 認識が甘かったと言えばそれまでだが、おそらくこの事態を予想できた人間は世界に一人もいないだろう。 かの統括理事長もこの事態は予測できないはずだと思った。 だから、これは後手に周っているわけでは無い。挽回はまだ可能だ。 「まさか、このタイミングで切り札を切ることになるとは……」 椅子に座ったまま受話器を取り、特殊なリズムで特別な番号を押した。 風紀委員本部セントラルジャッジメント。その地下第11層を住みかとする存在に、『切り札』に、命令を与えるために。 プルルというワンコールの音すらならずに電話がつながった。 「最果さいはて、出番だ」 意識を引きずられないようにしながら白は声をかける。 「おやぁ」 妙に間延びした声で、電話口の人間は答えた。 「私が表に出るのは大覇星祭の時ではなかったんじゃ?」 「事情が変わった」 「事情がぁ?」 「あぁ」 心の準備を決めてから、白は通話の相手である最果にその事情を話す。 下手をしたらそれだけで死ぬかもしれないという緊張感をまとわせ、風紀委員本部セントラルジャッジメントの切り札の一人に、白は言った。 「学園都市第一位の超能力者レベルファイブ、一方通行アクセラレータが位」 「行こう」 白の台詞は最後まで言われることはなかった。 電話相手の最果が一方通行アクセラレータが何をしたのかに気付いたからだ。 「座標は?」 「ポイントA18だ。だが、その前にポイントX000で『彼』とぶつかるはずだ。君には『彼』を足止めしてほしい」 「………………………ほぉ」 ほんの少しだけ不満の色が見られた。とはいえ、ほぼ軟禁状態の最果にとって外にきちんと出られる機会を逃す気はない。 一方通行アクセラレータがいじった後を見ることが出来ないのは残念だが、『彼』と戦えるというのならば、そこまであからさまに反抗する必要もないだろう。 「装備は?」 「全部許可する」 「専用武器も?」 「あぁ」 「………………………ふふ、了解ぃ」 楽しそうに笑いながら、間延びした声で最果は笑った。 本当に、楽しそうに。 「迎えは奇鬼喜きききに行かせる。速やかに行動しろ」 それだけ言って白は電話を切った。 天秤の間を沈黙が満たす。 その沈黙の中でもう一度白は受話器を手に取った。今度は、十五夜につなげるために。 予期してはしないだろうが一方通行アクセラレータは世界の理に干渉してしまっていた。 だからこそ、この二人は全力を挙げて動いたいた。 これ以上、もうこれ以上いじられてはたまらない。 世界の強度がどれくらいもつのかはわからないのだから。 学園都市統括理事長、風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長。 非常に珍しいことだが、この時二人の思惑は一致していた。 まぁ、だからといって協力できるということにはならないのだから。
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:04:11.99 ID:rjguaOC00 「…………………………………………………………………………………………………ぁ?????」 気がつけば白い空間に立っていた。 「こ、……こは?」 白。 白く白く白い。 ただひたすらに白しかないこの空間。 上を見ても下を見ても右を見ても左を見ても前を見ても後ろを見ても白。 白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白白。 そんな空間に一方通行アクセラレータはいた。 「なンだ?俺は、確か…………」 記憶をたどる。 今を理解するために、過去を探る。 一つ一つ順番に、たど その時だった。 「お・や・」 声が、かけられた。 「ここ二に人間が来るとは珍四一しい」 声をかけられる。日常的な何も不思議ではないことだ。 ただそれだけだったのに、 それなのに、 「ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!??????????」 全身が泡立った。 肌が、脳が、身体の全てが無意識に緊張状態に陥った。 「誰だッッッ!!!!!」 声をかけたのが誰かなど知らない。そんなことは分からない。 ただ一つわかる。 理解できる。 学園都市第一位の超能力者レベルファイブ、一方通行アクセラレータで理解できる。 「オマエは……っっっ」 わかる。 これがそうだ。 これが、これこそが、 恐怖。 人が抱く根源の衝動。 恐・怖・。 「誰だ……っっっ……!!!!!」 その問いに、彼女は答えた。 「私か一い」 目の前の存在は見た目だけを見れば極一般的な少女の姿をしていた。 「私は、そうだね」 だが違う。 見ればわかる。感じる。認識できる。 こいつは、 こいつは、 こいつは、 絶・対・に・人・間・じ・ゃ・な・い・!!!!!!!! 「『空白の主』。そう、呼ばれる存在さ」 敵だ。 あきらかに、絶対に敵だ。 敵。 それも、一方通行アクセラレータの敵という意味では無い。 そんな小さな意味では無い。 危機感が絶望が終焉の気配が迫って募って嗤っている。 この目の前の女は、 人・類・の・敵・だ・!!!!! 「『空白の主』……………………」 ヤバい、と体感で分かる。 強さの質が違う。 言うならば運動会の徒競走で勝つために、参加者全員の足をへし折るようなものだ。 立っているステージが違う。 存在の位階が違う。 これはそう、 神とか呼ばれる存在だ。 現に、 現に現に現に。 「本名自体は別二あるけどね。けれど、君は見た十五六私の名を呼べる段階では七一ようだ四、『空白の主』十呼んで九零たまえ」 この存在は一方通行アクセラレータを見ていながらにして、一方通行アクセラレータを見ていない。 視線は確かに一方通行アクセラレータの方を向いていながらも一方通行アクセラレータをとらえてはいない。 もっと別の何かを見ている。 もっと奥の何かを見ている。 もっと違うモノを見ている。 見られている。見られている。見られている。 「―――――――っ、ぁ」
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:04:51.44 ID:rjguaOC00 怖い。恐怖。 御坂と戦っている時だってここまではっきりとは感じなかった。 心臓を直接握られているような、脳に爆発物を入れられたような、そんな恐怖心。 対抗しようと思えること自体が奇跡とさえも思える、そんな感情。 なんなんだこいつは? そもそもどこなんだここは? 御坂美琴は、あの戦いはどうなった? 「ん?」 いつのまにか『空白の主』と名乗る女(?)が一方通行アクセラレータの目の前に来ていた。 「ッッッ!!!!!」 グイッ!顎を持ち上げられて、 「何を恐零る必要があるんだ一?五五二来たと一う事八程度の差八あ零世界の仕組三を理解四十一ると一う事だ六う?」 などと言われた。 「五の世界の深奥の秘密。秘匿さ零た最奥の領域。明かさ零十八七ら七一その存在を知ったのだ六う」 続けて『空白の主』はこう言う。 「魔術の領域二住ま一、そ四十五五二至零たのだ。君二も何か明確七願一があるのだ六う?言っ十三七三一。何、遠慮する必要七ど七一」 願い? 願いだと? 「ね――――――がい……?」 「そうだ。願一だ」 一方通行アクセラレータは思考する。 願い。たしかにそれはある。もともと絶対能力進化実験レべルシックスシフトなんて馬鹿げた計画に参加したのは一方通行アクセラレータ自身が絶対能力者レベルシックスという領域を目指していたからだ。 絶対能力者レベルシックス。現状の学園都市に存在する超能力者レベルファイブよりも上の強度の、おそらく神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くものSYSTEMに至ることすら可能なその領域に至ること。 それが目的だった。願いだった。 本当に? 「ね………………が、――――――い?」 高純度の麻薬を吸ったように脳がくらくらする。とめどない思考が体中をめぐる。 目的、目的、目的。 一方通行アクセラレータは思考を続ける。 絶対能力進化実験レべルシックスシフトに参加し絶対能力者レベルシックスに至る。それが一方通行アクセラレータの目的であったことは間違いがない。 でなければ劣化量産品クローンを二万体も[ピーーー ]などという怠い作業を続けるわけがない。 だがしかし、そもそもなぜ一方通行アクセラレータは絶対能力者レベルシックスになろうと思ったのか。 絶対能力者レベルシックスになりたいと思っていた? 違う。一方通行アクセラレータは別に絶対能力者レベルシックスになりたいとは思っていない。 研究者の実験を断れなかった? まさか、一方通行アクセラレータは学園都市第一位の超能力者レベルファイブにして闇の中の住人だ。その気になれば参加する実験など取捨選択は容易だ。 では単純に絶対能力者レベルシックスという領域に興味があったのか? (…………………………………………………………………………………………いや) それも違う。確かに絶対能力者レベルシックスには興味があった。この力はどこまで行くことが出来るのか、自分はどこまで強くなれるのか、そういうことに興味がなかったと言えば嘘だ。 でもそれは絶対能力進化実験レべルシックスシフトに参加する理由としては弱いように思えた。力への執着のみで絶対能力進化実験レべルシックスシフトに参加したわけでは無いのは直感的に理解できた。 であれば、いったいどうして一方通行アクセラレータは絶対能力進化実験レべルシックスシフトに参加したのだろうか。 思考する。 答えは出ない。 思考する。 答えは出ない。 思考し続ける。 答えは出ない。 答えは出ない。 答えは分からない。 学園都市一の頭脳を持っている一方通行アクセラレータでも、その問いに対する答えは、自らが絶対能力者レベルシックスを目指そうと思った理由が、その始原の衝動がわからなかった。 黙っている一方通行アクセラレータを不可解な思い出見つめていた『空白の主』はいつまでたっても黙して語らない一方通行アクセラレータを前に一つの事実に気付いた。 「……………………ま三か七一のか?」 驚愕の表情で『空白の主』は呟く。 ありえない、と内心で『空白の主』は思った。 『この場所』に来る生命が何の願いも持たないなどあり得ない。ただの興味や好奇心や偶然で来れる場所ではないのだこの場所は。 確固たる意志があり、絶対に達成したい目的があり、そのために死に物狂いで行動し、死をいとわずに動き、それでやっと至ることのできる場所なのだ。 確かにその『位階』に至ったのであれば『願い』は叶ったといってもいのかもしれない。だが、『この場所』に至るという事はそもそも世界の根幹自体を作り直したいと思ったはずだ。 ならば、願いがないなどあり得ない。 「なら仕方が七一。願一を口二四七一のであ零ば、強制的二見せ十もらうまでだ」 数年ぶりに『この領域』に来た生命がいるのだ。その生命の願いを知りたいと思うのは『空白の主』にとって自然なことだった。 なにせ、この領域に来れたという事は世界の仕組みを、重なった位相を理解したという事なのだから。 最・初・の・一・人・として長き時を生きる『空白の主』の興味を引くのも当然だった。 スッと一方通行アクセラレータの顎に手を当てたまま、『空白の主』は一方通行アクセラレータの瞳をじっと見つめた。 その瞳の奥にある一方通行アクセラレータの記憶を覗き見るように。 だが、
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:05:59.02 ID:rjguaOC00 「……………………………………………へ?」 明らかな戸惑いの声が『空白の主』からもれた。 予想もしていなかった事態が起きたのだ。 「超能力者……?ま三か、魔術師で八七一のか……!?」 『空白の主』にはとある先入観があった。それは『この領域』に来る生命は程度の差はあれ『魔術師』であるというものだ。 『魔術師』でなければこの場所には来れない。これは永き時を生きる『空白の主』にとってほとんど確定事項であった。数少ない、それこそ数人の例外を除けば『科学』に属する人間が『この領域』に来れるはずがないのだ。 だからこそ『空白の主』は一方通行アクセラレータの内面を覗き込んだ時戸惑いをあらわにした。 一方通行アクセラレータが科学の街の総本山、アレイスター=クロウリーが作り出し、支配する学園都市に属する超能力者であることに気付いたから。 「八っ、からからからからから!!!!!そうか、至零たのか!!!」 それに気づき、だから連鎖的に『空白の主』はもう一つの事実に気付いた。 つまり、魔術師では無い科学の側の人間が、超能力者がここに至るという事の意味だ。 「うん?気付一十一七一のか?なら、私が教え十あげよう」 アレイスター=クロウリーが目指したいたものの終着の形の一つ。それが、もうすでに再現されていたのだ。 つまり、 「おめで十一方通行ア九セラ零ータ。君八もう絶対能力者零ベル四ッ九ス二至っ十一るよ」 あまりにも簡単に『空白の主』は言った。 二万を殺してなれるはずの絶対能力者レベルシックスに一方通行アクセラレータはなっていると。 「そ四十、その先の領域二もね」 そのあまりにも簡単な言い草に一方通行アクセラレータは逆に確信を思えてしまった。絶対能力者レベルシックスになっているという確信を。 「ふむ、だが五のまま君が帰っ十四まうのも面白九七一七」 だから一方通行アクセラレータは一瞬戸惑った。一方通行アクセラレータは絶対能力者レベルシックスを目指していたが絶対能力者レベルシックスになりたかったわけでは無い。それを先ほど確認したばかりだ。 ならば、これから先は何を目指すのか、どうすればいいのか。 「気乗り四七一が、うん久四ぶり二戦う十するか」 そんな思考を巡らせていると唐突に『空白の主』が戦闘の意思を示してきた。 「さぁ構えたまえ一方通行ア九セラ零ータ。その力を私二向かっ十ふるっ十九零」 自然体だった。 あくまで自然体で『空白の主』はそういった。攻撃をしろ、と。 だが動けない。 明らかに隙だらけなのに感覚として感じる明確な『圧』のせいで体が動かない。 「来七一の七らば五ちらから行九ぞ?」 いつまでたっても攻撃してこない一方通行アクセラレータに辟易したのか、『空白の主』はボクシングのようなファインティングポーズをとり明確に攻撃態勢を作った。 そして、その超絶至近距離から『空白の主』の軽いジャブが一方通行アクセラレータに振るわれ、 「そこまでです」 いつのまにか現れていた風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長補佐木葉桜十五夜が『空白の主』の手を掴んでいた。 新キャラ『空白の主』。 この物語の中枢に位置する生命体です。 いまさらと言えば今更すぎるんだけど…… この作品、オリジナルでやった方がいいような気がしてきた……。 いやっ!最後まで書きますけどね!!! 作者の最大の罪は作品を完結させないことですから!!!!!
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:07:04.05 ID:rjguaOC00 https://syosetu.org/novel/56774/76.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 76 / 178 いつもよりちょっとだけ長いです。 気付いた二人@ 神速の対応 一方通行と『空白の主』@ 『空白の主』 『それ』を真に正しく理解できた人間は学園都市内に二人いた。 まず一人目は学園都市の主アレイスター=クロウリー。 彼は、『それ』に強く関わっているが故に、『その領域』の人間と敵対しているが故に、『その行為』に気付くことが出来た。 「…………………………………………………………………………………………………………………………、」 ほんの一瞬だけ、 刹那の時間だけアレイスターは逡巡した。 そして、 「頼めるか」 短い問いかけがあった。 『任せておけ、アレイスター』 その問いかけに短い返答があった。 そして、問いを答えたヤツはすぐに『窓のないビル』から去り準備を始めた。 さらにもう一人。 学園都市第一学区に存在する風紀委員本部セントラルジャッジメントの最上階天秤の間にて風紀委員長白白白も『それ』に気付いていた。 「さすがに、予想外だな……」 確かに、見る程度ならできるかもしれないとは思っていた。それを見ることは可能かもしれないとは考えた。 だがまさか操れるとは、操作できるとは思っていなかった。 認識が甘かったと言えばそれまでだが、おそらくこの事態を予想できた人間は世界に一人もいないだろう。 かの統括理事長もこの事態は予測できないはずだと思った。 だから、これは後手に周っているわけでは無い。挽回はまだ可能だ。 「まさか、このタイミングで切り札を切ることになるとは……」 椅子に座ったまま受話器を取り、特殊なリズムで特別な番号を押した。 風紀委員本部セントラルジャッジメント。その地下第11層を住みかとする存在に、『切り札』に、命令を与えるために。 プルルというワンコールの音すらならずに電話がつながった。 「最果さいはて、出番だ」 意識を引きずられないようにしながら白は声をかける。 「おやぁ」 妙に間延びした声で、電話口の人間は答えた。 「私が表に出るのは大覇星祭の時ではなかったんじゃ?」 「事情が変わった」 「事情がぁ?」 「あぁ」 心の準備を決めてから、白は通話の相手である最果にその事情を話す。 下手をしたらそれだけで死ぬかもしれないという緊張感をまとわせ、風紀委員本部セントラルジャッジメントの切り札の一人に、白は言った。 「学園都市第一位の超能力者レベルファイブ、一方通行アクセラレータが位」 「行こう」 白の台詞は最後まで言われることはなかった。 電話相手の最果が一方通行アクセラレータが何をしたのかに気付いたからだ。 「座標は?」 「ポイントA18だ。だが、その前にポイントX000で『彼』とぶつかるはずだ。君には『彼』を足止めしてほしい」 「………………………ほぉ」 ほんの少しだけ不満の色が見られた。とはいえ、ほぼ軟禁状態の最果にとって外にきちんと出られる機会を逃す気はない。 一方通行アクセラレータがいじった後を見ることが出来ないのは残念だが、『彼』と戦えるというのならば、そこまであからさまに反抗する必要もないだろう。 「装備は?」 「全部許可する」 「専用武器も?」 「あぁ」 「………………………ふふ、了解ぃ」 楽しそうに笑いながら、間延びした声で最果は笑った。 本当に、楽しそうに。 「迎えは奇鬼喜きききに行かせる。速やかに行動しろ」 それだけ言って白は電話を切った。 天秤の間を沈黙が満たす。 その沈黙の中でもう一度白は受話器を手に取った。今度は、十五夜につなげるために。 予期してはしないだろうが一方通行アクセラレータは世界の理に干渉してしまっていた。 だからこそ、この二人は全力を挙げて動いたいた。 これ以上、もうこれ以上いじられてはたまらない。 世界の強度がどれくらいもつのかはわからないのだから。 学園都市統括理事長、風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長。 非常に珍しいことだが、この時二人の思惑は一致していた。 まぁ、だからといって協力できるということにはならないのだから。
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:08:39.90 ID:rjguaOC00 https://syosetu.org/novel/56774/109.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 109 / 178 第一部第一章 最終話 『空白の主』とアルフ@ 仲間 ここはどこでもないどこか。どこかにあるどこか。世界のどこにも存在せず、観測されず、けれど確かにそこにある。そんな真っ白な場所。 初まりの領域。 「からからから。一件落着十一った十五六か七」 その場所で一人の女がワラッテいた。 その女の名前は『空白の主』。もちろん真の名前は、真名とでも言うべき別の名前はきちんと存在する。だが、それを知っている人間は世界のどこにも存在しない。 今の世界にはどこにもいない。 「すべ十が全部予定通りの筋書き通り。からから、本当二すご一ね、あ一つ八」 その声にこたえる人は誰もいない。その声を聴き届ける人は誰もいない。 『空白の主』は独り、初まりの領域にただ独りですんでいた。 『空白の主』以外誰もいないはずの空間。『空白の主』以外誰も存在しないはずの場所。 だから、『空白の主』はしゃべり続ける。 「絶対能力進化実験零べル四ッ九ス四フ十。一方通行ア九セラ零ータ。『神』。……からからからから!!!何も、なーん二も知ら七一んだね。一つの物語第一章が終わり次の物語第一章が始まるの二」 「なら、次は私が動く番deathですか?」 いきなり、 いきなり、いた。 『空白の主』以外のの誰も存在しないはずの初まりの領域に。 誰もいなかったはずのその空間に。 誰も存在しなかったはずなのに。 「おや、珍四一ね。君が五五二来る七ん十。『最終血戦城カス十ルル・ブラン』の方八一一のか一?」 「いいdeathいいdeath。どうせそろそろ準備をしなければならないdeathし」 その人物は驚くべきことに『空白の主』と親し気に話をしていた。友好的な関係になどなれるはずがない『空白の主』と親し気に。 つまり、初まりの領域に突如として現れたこの人物はすくなくとも『空白の主』が友好関係にならなければならない人物であると推察できる。 「からから。次の次の次だったっけ?君が物語に絡んでくるのは?」 「そうdeath。次の次の次、第二章の侵食される日常聖域ディスピアザサンクチュアリdeath。私が動くのは。今日はその前に挨拶をと思ったのdeath」 「相変わらず義理堅一ね、アルフ。そ零が君が君たる由縁なのかも四零七一」 アルフ――――――と『空白の主』はその人物のことをよんだ。アルフの恰好は一般的に見ればかなり異質で異形、そう思えるようなものである。 全体の色は黒で統一されている。黒のスーツ、黒のズボン、黒のマント、黒の指輪、黒の靴、黒の髪、黒の手袋、黒の襟、黒のモノクル。 その中で唯一黒以外の部分は露出された顔のみ。白い肌、紅い唇と瞳。 そのすべてが、彼が、アルフが人間では無いという事実を示していたが、その事実をもっとも端的に示しているのはアルフの恰好では無い。その雰囲気である。 夜闇のように黒に染められた格好よりもなお深く、アルフの雰囲気は陰鬱としていた。墨汁よりも漆黒に、暗黒よりも純黒に、この世のすべての悪を凝縮したようなその黒がアルフが人間でないというただ一つの事実を指し示していた。 『空白の主』と同じように。 「七らちょっ十復習二付き合っ十九零七一か七?今回の絶対能力進化実験零べル四ッ九ス四フ二十の件二つ一十」 「いいdeath。私もただあなたに会うだけでは味気ないと思っていたのdeath」 そうして、人類ではない二人の生命体は今回の出来事について話し合いを始めた。といっても、彼彼女にとってこの話し合いは復習以外の意味を全く持たない。上の位相を話など、彼彼女はすべて把握しているのだから。 極々一部分は例外となるが。 「そうだね。なら、あ零十かどうか七。一方通行ア九セラ零ータが『魔神化』四たプロセス十四十発動三せた魔術十か。代償八大き一け零ど、正式七モノ七ら私達の域まで来零る可能性があるかも四零七一」 「十三夜の星カウントサーティーンdeathね。地・脈・や・龍・脈・を・代・償・に・捧・げ・る・必・要・は・あ・る・d・e・a・t・h・が・確・か・に・あ・れ・な・ら・ば・私・達・の・領・域・に・来・れ・る・か・も・し・れ・な・い・d・e・a・t・h・」 「厳密二八違うが、天使の力十零ズマ十言一換え十も一一ね。あ零八、人間から四たらた一四た違一は無一だろう四」 十三夜の星カウントサーティーン。 地球と呼ばれる位相世界で風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長白白白は一方通行アクセラレータが発動させた魔術を十三夜の星カウントサーティーンの簡易版として一夜の輝きミッドナイトブルースカイと名付けたが、『空白の主』とアルフの二人からすればたいした違いはない。『魔神』になれるという結果だけを重視している彼彼女に、『魔神』になれる時間はどうでもいいのだ。 十三夜の星カウントサーティーンも一夜の輝きミッドナイトブルースカイもその場にある地脈、龍脈、天使の力テレズマ、世界の力をすべて食いつぶして発動させることに代わりはないのだから。 「十三夜の星カウントサーティーンが使われた土地はいつもなら『死んで』いるのdeathが、今回は違ったようdeathね」 「そこら辺八ほら、例の『人間』アレイスター=クロウリーがどう二か四たようだよ。土地とか地形十かを引っ張りまわ四十七んとかかん十かうま一具合二『脈』をなお四たみた一」 「それはすごいdeathね。わざわざ『死んだ脈』をなおすとは、面倒な手間をかけたのdeathね」 「そ零だけ『人間』二とってあの学園都市十か一う場所八重要っ十ことだね」 地脈、龍脈、天使の力テレズマを使って発動する十三夜の星カウントサーティーンは土地を『[ピーーー ]』魔術である。 そもそも、地脈、龍脈は惑星の中を絶えず循環している土地に起因するエネルギーの一種である。個人の魔翌力以外で魔術に利用できるので魔術師にはよく使われ、力の流れを勘案すれば『人払い』のような魔術を使用することもできる。 また、土地に起因するエネルギーであるため土地そのものをかえてしまえば、つまり無理やり地形を変えてしまえば地脈、龍脈の流れも変わる。これを応用したものが風水と呼ばれ、古来風水術師たちはその地脈、龍脈をよんで「特定の建物を建てるのに最適の場所」を割り出したりもした。 さて、では『空白の主』やアルフが話した『土地が死ぬ』とはどういうことなのか。 土地が死ぬ。 死ぬ。 それはいったいどういう意味なのか? 「『死んだ土地』二八人が行か七一――――――行け七一からね。そ四十その影響は周囲にも拡散する。放っ十おけばあの街が全体『死ぬ』の二も時間八かから七一だろうね」 。
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:09:44.28 ID:rjguaOC00 「確かにそうdeathね。放置すれば100年くらいで『死ぬ』deathから、早めに対処したのはさすが『人間』deathか」 端的に、一言で言ってしまえば、 『土地が死ぬ』とは『その土地に誰もいけなくなる』という事である。 地脈、龍脈はその力の流れによって「居心地の良い場所」と「そうでない場所」というモノが出来る。前述したように、それを利用した魔術が『人払い』なのだが、この力の流れが生み出す性質はもう一段階目が存在する。 「居心地の良い場所」と「そうでない場所」、そして「行けない場所」である。 この「行けない場所」というのは「そうでない場所」をより突き詰めたモノである。 「そうでない場所」というのは言い換えれば「居心地の悪い場所」であると言える。これは地脈、龍脈の流れから出来るわけだが、仮にその場所に地脈、龍脈が存在しないのであれば、人はその場所のことをどう認識するのか。 エネルギーが全くないその場所。脈の通らないその場所をどう認識するのか。 その答えが「行けない場所」である。 「龍脈、地脈が途切零たその場所、天使の力テレズマの存在四七一その場所、世界の力が消失四たその場所を人八認識でき七一」 「「居心地の悪い場所」の究極系は「行きたいとも思わない場所」もっと言えば「行けない場所」、「認識できない場所」deathからね。『土地が死ぬ』とは『その土地を忘れる』というようなものdeathし」 『死んだ土地』には人の意識が向かない。つまり、『死んだ土地』を通常の人は認識できない。これは魔術師でも超能力者でも原石でも例外はない。一定以上の力を持つ存在、『魔神』や『魔神』の成り損ない、『空白の主』にアレイスター=クロウリーは別だが。 そう、『土地が死ぬ』とは文字通り『その土地が世界から断絶される』ということなのだ。 そしてそれを意図的に起こしてしまうのが十三夜の星カウントサーティーン及びそれの派生魔術である。 「そういえばdeathが、十五夜まんげつとのバトルはどうでしたか?」 「……………………見十たん七ら手伝っ十ほ四かった七ぁ。君も知っ十一る通り、私弱一んだ四」 「それはすいませんdeath。あなたは十二分に戦えているように思えたのdeathが」 「………………………五の場所七ら、そりゃ一方的二負ける五十八七一けどね」 憮然としながら『空白の主』はアルフのことを責めた。確かに死ぬことはないとはいえ風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長補佐木葉桜十五夜の原石『世界支配ワールドイズマイン』による攻撃を受けるのは全くもって冗談ではないのだ。 『空白の主』は戦闘が得意ではない。むしろアルフの方が直接的戦闘能力でいえば『空白の主』の何倍も強い。 「それにdeath、あなたがこの初まりの領域であんなにも手こずる相手を相手にするなんて私でも無理deathよ。勝てないdeath」 十五夜の原石『世界支配ワールドイズマイン』による『局地的位相操作』攻撃は当然のように位相操作能力を持つアルフでも防ぐことは難しい。おそらく、『空白の主』と協力しても万全に防ぐことは難しいだろうとアルフは思っていった。 最大限まで過大評価してまだ過小評価。それがアルフの感じる十五夜の原石の力、実力である。 「でも手伝っ十ほ四かった四。あの後、私八十五夜と木原脳幹の二人を一っぺん二相手二する羽目二七ったんだ四。死んだらどうする二もりだったんだ一」 ちょっと拗ねたように『空白の主』はいった。実際あの三つ巴のバトルでは一番『空白の主』が不利だった。世界支配ワールドイズマインも対魔術式駆動鎧アンチアートアタッチメントも、双方共に『空白の主』にダメージを与えることのできる力なのだから。 「さすがに死にそうになったら介入しますdeathよ。私もあなたに死なれてはこまりますし。友人ではないdeathか」 「そうだね。……志を同四十する仲間、だ四ね」 その言葉にはきっと、何よりも深く、苦しく、尊く、貴重な意味が込められたいた。たぶんすべてが偽りだったとしても、誰かに操られたものだとしても、自分の意思では無かったとしても、それだけは、その言葉だけはただ一つの真実で、本物だった。 「では、そろそろ私は最終血戦城カステルル・ブランに帰りますdeath。あまり長く離れていると反乱がおきるかもしれないdeathし」 「そうだね。それじゃあまた」 「death。またdeathdeath」 そうして、アルフは去っていった。この初まりの領域から消え去った。上の、別の位相へと。 最終血戦城カステルル・ブランへと。 「…………………………………………からから。―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――独り、か」 『空白の主』はそう、寂しそうに呟いた。 第一部第一章 終了 第一章 すべての初まりPandora Blackbox、開けられた箱庭Open The Sanctuary 完 今後の予定 まず二日後にオリジナルキャラクター設定を投稿します。 その後さらに二日後にあとがき&次回予告を投稿します。 その後は、申し訳ないですが少し休みをください。 ここの所の隔日更新でストックが限界になりました。 ですので、二章の開始は今日から2週間後、9月22日となります。申し訳ありません! 君達は何も知らない。 そして何も知らなくていい。 無知でいることはとても幸せだから。 少なくとも、知ってしまった人よりは。
190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:10:23.40 ID:rjguaOC00 https://syosetu.org/novel/56774/110.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 110 / 178 不明の項目多すぎワロタ オリジナルキャラクター紹介 白白白はくびゃくしろ……性別 男 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 委員長のため無し 特殊能力 不明 二つ名 造られた子供たちプログラムチルドレン 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 風紀委員本部セントラルジャッジメントの委員長。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの件では風紀委員本部セントラルジャッジメントに所属している部下を使って暗躍した。 木葉桜十五夜このはざくらまんげつ……性別 女 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長補佐、学園都市特記戦力 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 委員長補佐のため無し 特殊能力 原石 世界支配ワールドイズマイン 二つ名 最強原石 風紀委員本部セントラルジャッジメント最後の切り札 委員長の懐刀 意思無き人形 正義の尖兵等 所持武器 専用武器懐中時計型万能毒製造霊装『シスラウの時計』 戦闘スタイル 位相操作、万能型 風紀委員本部セントラルジャッジメント委員長補佐。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの件では白の指示に従い暗躍した。基本的に白には絶対服従である。原石世界支配ワールドイズマインは局地的位相操作を行うことのできる力であり、基本的に戦闘で負けることはない。十のリミッターがかけられており、普段の力は大幅に制限されている。 扼ヶ淵埋娥やくがぶちまいが……性別 男 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント攻撃部隊総隊長 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 攻撃部隊総隊長のため無し 特殊能力 不明 二つ名 数の無い槍ロストオブランス 所持武器 火炎放射器 戦闘スタイル 近接格闘、遠距離火炎放射 風紀委員本部セントラルジャッジメントの攻撃部隊総隊長。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの件では白の指示に従い上条当麻と戦闘を行い勝利した。過去に何らかの出来事があったことが示唆されるが詳細は不明。能力は現段階では不明だが、地下下水道の崩落から身を守るために能力を使ったように描写がされている。 魅隠罠明みかくれみんみん……性別 女 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント開発部隊総隊長 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 開発部隊総隊長のため無し 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 作ったモノ 懐中時計型万能毒製造霊装『シスラウの時計』等 風紀委員本部セントラルジャッジメントの開発部隊総隊長。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの件で動いた様子はないが、開発部隊総隊長だけあって武器や防具、兵器、道具類を作ることに天才的能力をほこる。ただし、自分の製作したモノを馬鹿にされたと感じるとヒステリー気味に怒鳴る。罠明の製作したモノを馬鹿にするのは止めた方が賢明である。過去に何らかの出来事があったことが示唆されるが詳細は不明。ただし、白が別組織から引き抜いたような描写がなされる。懐中時計型万能毒製造霊装『シスラウの時計』の製作者は彼女であるが、霊装をつくれるという事は魔術師なのかもしれない。
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:10:57.91 ID:rjguaOC00 千疋百目せんひきひゃくめ……性別 女 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント攻撃部隊第二班班長 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 第10位→第8位 特殊能力 超能力『反転世界パラレルワールド』 強度 大能力者レベルフォー 二つ名 逆さまに狂う世界オセロゲーム 所持武器 不明(本来なら武器は所持しているようだ) 戦闘スタイル 近接格闘、投擲 称号 宿敵ライバル 風紀委員本部セントラルジャッジメントの攻撃部隊第二班班長。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの件では白の指示に従い白井黒子と戦闘を行い勝利した。。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの一件終了後白の指示によってに風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキングが二つ上がった。傷を負うことを恐れており、本人は少なくとも風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング五位になるまで無傷でいなければならないと思っている。第八拘束リミッターまでを解除した十五夜の姿を見て気絶ですんだことからも、百目自身の強さがうかがえる。 無何有峠妃むかいとおげきさき……性別 女 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント諜報部隊総隊長 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 諜報部隊総隊長のため無し 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 風紀委員本部セントラルジャッジメントの諜報部隊総隊長。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの件では白の指示に従い白井黒子と上条当麻の監視を行っていた。両名が地下下水道に入ったのを見てから撤退を行った。 五寸釘匕首ごすんくぎあいくち……性別 女 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント諜報部隊第一班班長 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 不明 特殊能力 超能力一方念話ワンサイドテレパス 強度 強能力者レベルスリー 二つ名 無し 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 風紀委員本部セントラルジャッジメントの諜報部隊第一班班長。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの件では白と妃の指示に従い白井黒子と上条当麻の監視を行っていた。また、同時に連絡要員として能力を使用し埋娥や百目に指示をした。 浣熊四不象あらいぐましふぞう……性別 男 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント諜報部隊第■班■■ 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 不明 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 不明 戦闘スタイル 爆弾使用、銃?使用 風紀委員本部セントラルジャッジメントの諜報部隊第■班■■。。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの件では白の指示に従い空中の戦力への対応、人員の回収を行った。『HsAFH-18』に追いつき、侵入できるほどの能力を持っている。空を飛ぶ姿を確認できるが、何らかの道具によるものなのかそれとも能力によるものなのかは不明。 常世涯最果とこよのはてさいはて……性別 男 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント封印戦力 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 封印戦力のため無し 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 専用武器体内保存式緊急自殺用超威力爆弾『オメガジエンド』 戦闘スタイル 自爆 風紀委員本部セントラルジャッジメントの封印戦力。最果のことは苦罠らも表に出てくるまで知らなかった。能力は不明ながら擬似的な不死のようなものだと推察できる。脳幹は『封印』という手段で楽に対処できると語った。普段は 風紀委員本部セントラルジャッジメントの地下第11層にいる。白さえもなるべく使いたくないと思う戦力であるが、自爆戦法を使えるという点ではほかの何物にもできない唯一の戦力ではある。 常闇燕獅とこやみえんし……性別 男 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント防衛部隊総隊長 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 防衛部隊総隊長のため無し 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 風紀委員本部セントラルジャッジメントの防衛部隊総隊長。それ以外のデータは現段階では一切不明。
192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:11:28.74 ID:rjguaOC00 白神九十九つくもがみつくも……性別 女 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント支援部隊総隊長 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 支援部隊総隊長のため無し 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 風紀委員本部セントラルジャッジメントの支援部隊総隊長。白は十五夜を通してこの人物に百目の風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキングを上げるように命令した。 五安城安土城いなぎあづちじょう……性別 男 所属 風紀委員本部セントラルジャッジメント 役職 風紀委員本部セントラルジャッジメント■■■■■■■■■ 風紀委員本部セントラルジャッジメント序列ランキング 不明 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 詳細一切不明。白曰く外のことを任せているらしい。 死縁鬼苦罠しえんきくわな……性別 男 所属 学園都市統括理事会 役職 学園都市統括理事会メンバー 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 ブレイン 天埜郭夜 学園都市統括理事会メンバーの一人。絶対能力進化実験レべルシックスシフトの件では天埜郭夜と共に暗躍した。計画プロジェクトと呼ばれる計画を進めているようだが詳細不明。交渉力、部下の豊富さ、知略に富んだ頭脳、どれをとっても敵にまわしたくない存在である。木原幻生とのつながりがあり、大覇星祭中に御坂美琴の絶対能力者レベルシックス化を行う予定だったようだが、何のためかは不明。彼がここまで御坂美琴にこだわる理由はいったい何なのだろうか……。 神亡島刹威かみなきじまさつい……性別 女 所属 学園都市統括理事会メンバー死縁鬼苦罠勢力 役職 死縁鬼苦罠直属の部下 特殊能力 超能力交点爆撃チェックボンバー 強度 無能力者レベルゼロ 二つ名 無し 所持武器 無し 戦闘スタイル 近接戦闘型 死縁鬼苦罠の部下の一人。といってもいくらでもいる消耗品としての部下であり本人もそれは自覚している。それでも苦罠に尽くすのはかつて苦罠に『闇』から救われたから。浣熊四不象によって殺害され、『HsAFH-18』の爆破と共に死体も消失した。実は見捨てられた女グレイレディによって操られていたが本人は当然自覚していない。交点爆撃チェックボンバーは定めた人物と自身の視線の交わった部分を一直線として、その直線の中間部分を爆破する能力。ただし無能力者レベルゼロ のため実用性は皆無。完全に死亡しているため今後登場することはない。 巳神蔵豈唖みかぐらあにあ……性別 女 所属 学園都市統括理事会メンバー死縁鬼苦罠勢力 役職 死縁鬼苦罠直属の部下 特殊能力 超能力水分生成クウォータージェネレーション 強度 大能力者レベルフォー 二つ名 無し 所持武器 無し 戦闘スタイル 能力使用 死縁鬼苦罠の部下の一人。替えはききにくいレア度☆3くらいの存在。御坂美琴と交渉するときの苦罠の護衛として選ばれた。
193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:12:05.14 ID:rjguaOC00 波並波狂濤なみなみなみきょうとう……性別 男 所属 彼者誰時に輝く月シャイニングムーン 役職 第一級大隊長 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 急速冷却機構内臓型窒素弾丸生成狙撃銃HsSR-04 戦闘スタイル 狙撃 彼者誰時に輝く月シャイニングムーンの第一級大隊長。十五夜足止めのために戦った人間の一人。超々一流の狙撃手であり二キロ先の獲物を確実に狙撃することが出来る。狙撃時のペアは贖である。 屑爬劉くずのはりゅう……性別 男 所属 彼者誰時に輝く月シャイニングムーン 役職 第三級大隊長 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 何やら苦罠らが動かしていた存在。現在の所、何をしたのかは不明。 一本線点々いっぽんせんてんてん……性別 男 所属 無し 役職 個人傭兵、学園都市特記戦力 特殊能力 不明 二つ名 三千世界武神 所持武器 剣(名称不明) 流派 天下無双流 学園都市に三人しかいない個人傭兵の一人。苦罠の依頼で十五夜の足止めを行った。戦いに飢えているというよりは強さを求める類の戦闘狂であり、かつては全能神トールと戦い引き分けたこともある。位相を操る十五夜に一撃を与えたことからもその戦力の強大さがわかる。 『空白の主』……性別 不明 所属 不明 役職 不明 特殊能力 位相操作、神器創造、神器属性混合 二つ名 空白の主 所持武器 不明 戦闘スタイル 武器投影及び投擲 初まりの領域と呼ばれる場所に住む異形の存在。一方通行アクセラレータは直感的に人類の敵と感じた。位相操作能力を持つが、濃度で十五夜に劣るため戦いでは押し負ける。ただし、人類の生み出した魔術は効かない、初まりの領域では死なない、一方通行アクセラレータを上の位相世界に送り届けるなど隔絶した実力を持つことは変わりない。 アルフ……性別 不明 所属 不明 役職 不明 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 『空白の主』と親しげに話す正体不明の存在。普段は最終血戦城カステルル・ブランという場所にいるらしい。 占卜卜占せんぼくぼくせん……性別 女 所属 不明 役職 不明 特殊能力 不明 二つ名 不明 所持武器 不明 戦闘スタイル 不明 佐天涙子を占った占い師。ただの一般人のようにも思えるが……? たぶんこれで全員だと思います。漏れがあったら教えてください。 あっ、モブキャラは書いてませんのであしからず。
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:13:52.73 ID:rjguaOC00 https://syosetu.org/novel/56774/66.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 66 / 178 ちょっと休憩回です。 白白白と『彼』@ 独白、またの名を独り言 「世界物語キャラクターストーリー理論」 学園都市第一学区に存在する風紀委員本部セントラルジャッジメントの最上階特別会議室天秤の間において白白白は独り言をつぶやいていた。 「君も知っているだろう?これは僕の提唱する世界の成り立ちに関する理論なんだがね」 ただし、独り言といってもこの場合の独り言とは会話の相手がいないという意味での独り言では無い。どちらかというと一人で勝手にしゃべっているという意味での独り言だ。 「この世界はどこかの誰かが書いている物語にすぎない。だから、物語の登場人物になりきったような行動をとれば、自然に自分の望むように物語が進む、という理論だ」 しかし白は誰に向かって話しているのだろうか。天秤の間には白以外の人間は誰もいない。十五夜は上条たちにストロビラを埋め込むために操車場に向かっていってしまったし、罠明はとっくに退出している。 「誰かを救いたいのならば主人公ヒーロー的な行動をとればいい。犯罪を犯した後に討たれたいのならば悪人ヒール的な行動をとればいい。たった一人のために大勢を[ピーーー ]のならば悪の主人公ダークヒーロー的な行動をとればいい。世界を滅ぼしたいのならば絶対悪オールマーダー的な行動をとればいい。主人公ヒーローに守られたいのならば主人公の恋人ヒロイン的な行動をとればいい」 その後も、白はただ淡々と『誰か』に向かって言葉を並べていく。白の言葉を聞いている『誰か』に向かって。 「そして、世界を救いたいのなら救済者ヒーロー的な行動をとればいい。そう、救済者ヒーロー的な行動をね」 にやにやと不気味に無邪気に笑い嗤い哂いながら、まだまだ白は言葉を連ねる。『誰か』に向かって一方的に話す話す話す。 「なぁ、気付いているか?それとも気づいていないのか?あるいは、気付いていてなお無視しているのか?もしかして、気付いた時にはすでに後戻りできなかったのか?」 返答はないが白は必ず聞こえていると確信していた。この学園都市において『彼』の目を逃れるのは、耳を封じるのは、至難の技だ。それは『最強原石』木葉桜十五夜を所有して、さらに十五夜のほかにも強大な戦力を多数保有している白も例外ではない。
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:14:26.87 ID:rjguaOC00 とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 66 / 178 ちょっと休憩回です。 白白白と『彼』@ 独白、またの名を独り言 「世界物語キャラクターストーリー理論」 学園都市第一学区に存在する風紀委員本部セントラルジャッジメントの最上階特別会議室天秤の間において白白白は独り言をつぶやいていた。 「君も知っているだろう?これは僕の提唱する世界の成り立ちに関する理論なんだがね」 ただし、独り言といってもこの場合の独り言とは会話の相手がいないという意味での独り言では無い。どちらかというと一人で勝手にしゃべっているという意味での独り言だ。 「この世界はどこかの誰かが書いている物語にすぎない。だから、物語の登場人物になりきったような行動をとれば、自然に自分の望むように物語が進む、という理論だ」 しかし白は誰に向かって話しているのだろうか。天秤の間には白以外の人間は誰もいない。十五夜は上条たちにストロビラを埋め込むために操車場に向かっていってしまったし、罠明はとっくに退出している。 「誰かを救いたいのならば主人公ヒーロー的な行動をとればいい。犯罪を犯した後に討たれたいのならば悪人ヒール的な行動をとればいい。たった一人のために大勢を[ピーーー ]のならば悪の主人公ダークヒーロー的な行動をとればいい。世界を滅ぼしたいのならば絶対悪オールマーダー的な行動をとればいい。主人公ヒーローに守られたいのならば主人公の恋人ヒロイン的な行動をとればいい」 その後も、白はただ淡々と『誰か』に向かって言葉を並べていく。白の言葉を聞いている『誰か』に向かって。 「そして、世界を救いたいのなら救済者ヒーロー的な行動をとればいい。そう、救済者ヒーロー的な行動をね」 にやにやと不気味に無邪気に笑い嗤い哂いながら、まだまだ白は言葉を連ねる。『誰か』に向かって一方的に話す話す話す。 「なぁ、気付いているか?それとも気づいていないのか?あるいは、気付いていてなお無視しているのか?もしかして、気付いた時にはすでに後戻りできなかったのか?」 返答はないが白は必ず聞こえていると確信していた。この学園都市において『彼』の目を逃れるのは、耳を封じるのは、至難の技だ。それは『最強原石』木葉桜十五夜を所有して、さらに十五夜のほかにも強大な戦力を多数保有している白も例外ではない。
196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:15:12.84 ID:rjguaOC00 『彼』はそれだけの力を持っているし、『彼の友』はそんな『彼』の命令を忠実に遂行できるだけの能力を持っている。 『彼』と『彼の友』の関係は白と十五夜の関係にとてもとてもとても近いものだから。 「君のその行動は世界を救う救済者ヒーローのものではなく、主人公に討伐されるべき黒幕ストーリーテラーのものだぞ。そんなざまじゃ、何千年たったって世界は救えない」 呆れたように、憐れむように、ただ淡々と白は告げる。告げる。『彼』に告げる。 「君のその計画は欠陥が多すぎる。例えば、そう上条当麻についてだ。幻想殺しイマジンブレイカー、そしてその奥にあるモノ。あるいは『上条当麻』という存在の根源、本質について君は少し過信しているのではないかな?」 白は『彼』のことをよく知っていた。おそらくは世界中の誰よりも『彼』のことを知っていた。 それはイギリス有数の魔術結社である『カリスマを研究する組織』のボスよりも深く、出現すれば世界が一瞬で崩壊してしまうほどの力を持った存在達よりも深く知っていた。 「確かに彼は強い。特段に力が強いうというわけでは無いが、それとは別種のところで強い。『絆』あるいは『繋がり』、そういった『生物に対する影響力』はおそらくこの世の誰よりも強いんだろう。もちろん、それは『正』の意味でだが」 別に白は昔『彼』の友だったとか、しつこくしつこく『彼』のことを嗅ぎまわっていたとか、『彼』のただ唯一の理解者であるとかでは無い。 むしろ逆だろう。『彼』は白のことを警戒している。得体のしれない存在だと、気味の悪い存在だと警戒している。 そして同時に評価している。正しく『恐れ』、ただしく実力を評価している。 「そう、上条当麻は、いや『神浄討魔』は強い。その称号キャラクター性からも明らかだが、何せあの引きこもり共にさえ特別視される存在だ。弱いわけがない。だが逆説、上条当麻は別に最強ではないし、無敵でもない。その『強さ』だけでは頂点には絶対に届かない」 上条当麻。そして、神浄討魔。 上条当麻は救済者ヒーローである。これは白と『彼』の共通認識事項だ。といっても、上条当麻は別にご都合主義に恵まれているわけでは無い。 敵の攻撃がたまたま急所を外れる。 敵の気まぐれで生き残る。 運よく敵の家族と知り合う。 土壇場で逆転の秘策が思いつく。 ピンチに偶然味方が通りかかる。 旅先でたまたま事件に遭遇する。 毎日毎日世界の危機にぶつかる。 成功率1パーセントの作戦が成功する。 理由もなく急にモテモテになる。 偶然女の子の裸を見る。 かつての敵がツンデレ気味に助けに来る。 組織のトップと都合よく知りあう。 そんなご都合主義が上条当麻には訪れない。 絶対に訪れない。 敵の攻撃がたまたま急所を外れない。上条は重傷を負ったまま戦闘を続行する。 敵の気まぐれで生き残ったりしない。上条は生き残らせられるのは敵にとって利用価値があるから、又はここで上条を[ピーーー ]と敵によってマイナスになるからだ。 運よく敵の家族と知り合わない。敵の妹が「もうやめて!お兄ちゃん!!!」とか言って割り込んでこない 土壇場で逆転の秘策が思いつかない。逆転の秘策は土壇場で急に思いつくものではなく、上条の経験と今までの情報を総合してなんとか導き出すものだ。 ピンチに偶然味方が通りかかったりしない。もしも、味方が通りかかるのならば、その味方はずっと上条のことを探していたのだろう。 旅先でたまたま事件に遭遇しない。仮に事件が複数回連続して起こるのならば、それは誰かが作為的に上条の周りで事件を起こしているということだ。 毎日毎日世界の危機にぶつからない。というかそんな簡単に世界の危機は訪れない。 成功率1パーセントの作戦が成功しない。奇跡はそんなに簡単に怒るものではない。確かな努力と、必要な伏線があれば話は別だが。 理由もなく急にモテモテにならない。そんな簡単にモテモテになるのならばまずはハニートラップを疑うべきだ。 偶然女の子の裸を見たりしない。上条当麻にそんな偶然は起こらない。起きるとしたら偶然ではなく事件を解決したご褒美だ。 かつての敵がツンデレ気味に助けに来ない。スタンバっていたのなら話は別だが。 組織のトップと都合よく知りあわない。組織のトップは打算なく動かない。知り合ったのならそれは都合がいいのではなく、『上条と知り合えば利益がある』と組織のトップが判断した結果だ。 「頂点。つまり世界最強の存在達。特別で特異で特殊で特記的な『最強』。平たく言ってしまえば異なる位相に住む化物共のことだが、はたして上条当麻は彼らに勝てるのか?魔神共に、吸血鬼共に、もしくは『空白の主』に勝てるのか?上条当麻の称号キャラクター性は、その救済者ヒーローの力は、度合いは、奴らに届くのか?」
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:16:20.60 ID:rjguaOC00 上条当麻に才能はない。そして、上条当麻の右手に宿る幻想殺しイマジンブレイカーもそれだけではたいしたものではない。 確かに幻想殺しイマジンブレイカーはほとんどすべての異能を無効化できる究極のアンチだが効果範囲は右手のみと非常に限定されている。極端な話、右手に触れないように能力を使えば何の問題もないのだ。 「まぁ、言いたいこと自体は分かる。君の計画も決して無謀というわけではない。むしろ綿密に練られているというべきだろう。しかし、だ」 しかも圧倒的な物量や世界そのものを改変する力は上条には防ぎようがない。そのまま対応も出来ずに圧殺され、圧倒されるだけだ。 「君は少し人間を信じすぎているのではないかな?少し人という種を信頼しすぎているのではないかな?何も上条当麻という存在に限ることではなく、例えば計画の中核に存在する一方通行アクセラレータや最悪の科学者たち『木原』についても」 無論、これ以上上条らが成長できないというわけでは無い。むしろ逆、『彼』は出来うる限り上条のことを成長させようとしている。この絶対能力進化実験レべルシックスシフトも上条の成長計画の一環ですらあるのだ。 「信じ、信頼し、信用する。確かに『人間』として大事なことだ。しかし、それが盲信の域に達し、根拠もなく『彼ならできる』と信じ込んでしまうのは危険だ。それはもはや信頼や信用ではなく、依存や狂信の域になってしまう」 けれども、やはり『彼』の計画は穴がある。そもそも人という存在は、特に上条当麻という称号キャラクター性は、『彼』程度に御せる器ではない、と白は考える。 「話が長い?いやもう少しで終わるさ。そろそろ私の話も終盤だ。なにしろ私は君のことを心配しているんだ。後から嘆き、憂い、憤ってからでは遅いだろう?もうあの時みたいな涙は流したくないだろう?」 その言葉に対応するように空気が揺れた。空間自体に震動が起こっているように、白のいる天秤の間の空気が不自然に蠢いた。 『彼』の怒りに、あるいは嘆きに対応するかのように。 「おおっと、今の発言は不用意だった。すまない。忘れてくれ」 それを敏感に察知した白はすぐさま謝罪した。『彼』と白の間にはあまりにも高すぎる壁がある。白が『彼』と戦っても勝てる確率はほとんどない。というか零だろう。組織同士で戦えば別だが、個人間での戦いは戦力差が明確だ。 「まぁ、前置きが長くなったが何が言いたいかというとだ」 風紀委員本部セントラルジャッジメントという組織を従える白白白と学園都市という街を作りだした『彼』。 しかし、忠実な部下の豊富さという意味では白に軍配が上がる。『彼』を本当の意味で理解し、『彼』が本当の意味で信頼している味方なんて片手の指で足りるほどしかいないのだ。 「アレイスター。君は早めに計画プランを修正したほうがいい。君が長年かけて育てた一方通行アクセラレータは、君の思っているよりもはるかに幼稚で幼い精神の持ち主だぞ」 「…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………」
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:17:02.72 ID:rjguaOC00 その言葉に、 窓のないビルの中にいる『人間』は、 静かに、 その手の中に握られたねじくれた銀の杖プラスティングロッドを振るって、 直後に、天秤の間を暴虐が満たした。 ごめんなさい。ずっと戦闘シーン書いてると疲れるんです。 作中でも書いてますけど力の強さはアレイスター>白です。 嘘です 白は禁書キャラ皆殺しにできます
199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/19(土) 14:17:17.59 ID:TD8Ux5A/o まだやってんのか スレチだからやめよ
200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/19(土) 14:24:16.89 ID:rjguaOC00 オリキャラが 【褒めてくれ、干渉に成功できたんだ。ひょっとしたらこのまま『勝てる』かもしれない……っ!是非証拠を残して僕を援護してくれ。頼むよ。】 【忘れてくれ。忘れてくれ!忘れてくれっ!】 【僕を、記憶してくれ】 【これで4人目。少しずつ範囲が広がっていってるぞ!】 【世界を救う。友を助ける。同志を導く。】 【これはそのための戦いだ。】 【干渉しやすいからね。気付かれにくいし。】 【君達のおかげで僕の力も増してるしね。ありがたいことだよ。】 って読者に言ってきてるから
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/19(土) 18:59:45.81 ID:VHwY42nB0 >>181 つか一方周辺の喜び組って打ち止めとかエステルとかクリパとか、何の魂も入ってない舞台装置っぽくてキモイんだよなあ なろう小説に出てくる奴隷ヒロイン並みの空っぽ感ある
202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 01:00:00.69 ID:JNx/elkN0 >>201 黄泉川は一方通行の事は何処まで知ってるんだっけ?
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 03:42:08.90 ID:XjEjC6qk0 知らんがな
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 04:24:21.59 ID:JNx/elkN0 知らねーのかよ!そこは知ってろよ!まぁ俺も知らねーから聞いてんだけどな
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 04:35:56.73 ID:XjEjC6qk0 作者がきちんと書いてないから仕方ない たぶん何も知らんと思うが 一方通行が統括理事長になるがこれも知らんままかな
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 10:31:49.60 ID:sdyWVfp0o ssではクリスマスやバレンタインを平穏に過ごすけどあいつらが平穏に過ごせるわけないよな 上条さんならあらゆるイベントを病院のベッドの上で迎えるよ
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 19:10:48.72 ID:9G/t5IWd0 https://syosetu.org/novel/56774/161.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 161 / 178 解説回です。 物語は進みません。 パトリシア=バードウェイ@ 斃たおすべき『敵』の名は 初まりは一通のメールだった。 それがパトリシアの全てを狂わせた。 送り主不明のメールを無警戒にも開いてしまったあの時から、パトリシアの運命は普通から外れた。 『第七回DEG』への招待状。 始まったのは7人の人間によるイギリス全土を舞台にした殺し合い。 正しく常軌を逸していた。 誰もが狂って、正常じゃなくなっていた。 生き残るために何だってしていた。 家族を、恋人を、友人を、見知らぬ誰かを、通りかかっただけの他人を護るために、本当に出来ることをした。 ある男はたった一人の人間を[ピーーー ]ためだけに最新式対空ミサイルで300人の罪の無い一般人がのる飛行機を撃ち落とした。 ある母は隠れ潜んだ敵を[ピーーー ]ためだけに致死率90パーセント越えの細菌をイギリスの首都、ロンドンにばら撒いた。 ある少女はわずかとなったタイムリミットに自暴自棄になって水道の水に猛毒を混ぜ込んだ。 どうしようもなかった、とパトリシアは思う。 今でもそう思う。 それぞれがそれぞれの最善を尽くすために戦って、抗って、願って、それでも――――――。 それでも、終わらなかったのだから。 曰く、『さぁ、FDEGを始めようか』。 七分の一の、四十九分の一の生存者。 欧州全土を1000年は再起不可能なまでに破滅させた終滅の第四物語フォースストーリー。 そのメインテーマは『犠牲』。 その系統は『デスゲーム』。 そのタイトルは『とある少女の喪失話譚』 そしてラスボスの役割ポジションを担っていたのは、 「………………………人類絶対悪ビースト」 人類絶対悪ビーストと呼ばれる存在達がいる。 『人類』という種に対して『絶対』的な『悪』を為す存在達。 国際連合によって秘密裏に認定された最重要指名手配EX存在。 現在の世界では17の存在がその認定を受けている。
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 19:11:18.69 ID:9G/t5IWd0 人類絶対悪ビースト位階総序列第一位T。 『悪意』の悪徳を体現する人類絶対悪。世界で起きる大事件の半数以上に関わっているとされる地球誕生以後最悪にして最低の生命。罪状、第一次及び第二次世界大戦の扇動、シチリア島沈没事件の実行、世界最悪のテロ組織『国境なきテロリストTerroristes Sans Frontières』への『皇帝イワン』密輸未遂、マダガスカル島両断の実行など。 人の不幸を嗤い、悲劇に耽美し、涙を流す人間を観劇する、初まり罪に犯されし絶対悪。 本名は不明、それ故に仮称が『根源悪ディープ・ブラック』。 何をしてでも滅すべき、人類の敵。 人類絶対悪ビースト位階総序列第二位U。 『欲望』の悪徳を体現する人類絶対悪。人の願いを欲望のままに叶え、その失敗を嘲笑することを生き甲斐とする人外。罪状(なお全て間接罪)、地球温暖化の実行、一秒の定義の改竄、現行科学を遥かに凌駕した超超々越兵器『亜空の使者』の創造など。 欲望を叶えるだけ叶えてその責任をとらない、他の人類絶対悪ビーストからすら嫌われる最低の絶対悪。 故にその名は『ガイア・ジ・アース』。 星が生み出した、星の癌。 人類絶対悪ビースト位階総序列第三位V。 『終焉』の悪徳を体現する人類絶対悪。過去現在未来に存在し得る全ての可能性を全て観測し、あらゆる『終わり』を現実にできる天才を超える天災。罪状(一切の証拠無し)、最低でも1870人の才人の廃人化、人口衛星USA-224墜落事件の実行、パリ全インフラ停止事件の実行、インペリアルパッケージ強奪未遂など。 あらゆる全てをすることができ、あらゆる全てを識っている全能の絶対悪。 故にその名は『木原五行』。 木原一族の最高傑作にして、最大の失敗作。 人類絶対悪ビースト位階総序列第四位W。 『錯乱』の悪徳を体現する人類絶対悪。人が混乱し、混迷し、理不尽に必死に抗う様を高みから見ることで優越感に浸る、人間の根幹にある感情を最も端的に表す人間達。罪状、国際宇宙ステーションISSクラッキング事件の実行、全世界同時多発的海底パイプライン切断事件の実行、三原色喪失事件の実行など。 柔軟な発想と存在しない禁則をもって人に仇為す最悪の災厄、他者の努力と対策を嘲笑う絶対悪。 故にその名は『原初たる混沌宇宙』。 誰にも制御することのできない、破滅快楽主義者の集まり。 人類絶対悪ビースト位階総序列第五位X。 『代替』の悪徳を体現する人類絶対悪。唯一にして絶対の『人が人形になった存在』であり、量子学的にゼロパーセントと断言されたはずの『完全な人形』の完成品。人形村の人形師達が辿り着いた、夢想の夢の産物。罪状、四十三カ国の指導者たちの拉致及び殺害、数多の国の政治家に成り代わったこと、ロシア連邦核ミサイル発射未遂事件の命令など。 本物となることのできる影、見破れない嘘、見分けの使い偽物、今あなたの隣にいるかもしれない最も身近な絶対悪。 故にその名は『人形ひとかた人形にんぎょう』。 この世で唯一の、完全なる人形型人間アリス。
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 19:11:47.48 ID:9G/t5IWd0 人類絶対悪ビースト位階総序列第六位Y。 『殺人』の悪徳を体現する人類絶対悪。その魂魄に『殺人因子』を宿し、己が性質に従って無限の殺戮を繰り返す名を喪った殺人鬼の組織。罪悪感も罪責感も感じず、時に享楽をもって、時に悲哀をもってただただひたすらに殺し尽す血みどろの悪。罪状、第二次世界大戦における人道に対する罪(多数)、中国における民衆大虐殺事件の後押し、滅亡級魔術致死病療666ウイルス発動未遂など。 歴史上最も多くの同族を殺した、絶対に和解することのできない絶対悪。 故にその名は『不思議の国の御伽噺フェアリーテイルワンダーランド』。 史上最も多くの人間の殺戮した、人殺しの組織。 人類絶対悪ビースト位階総序列第七位Z。 『救済』の悪徳を体現する人類絶対悪。魔術という神秘を極め切り、究め切り、窮め切った白痴の賢人。かの『黄金』すら上回る、魔術の基礎の基礎、魔術体系そのものを確立した始祖にして原初の魔術結社マジックキャバル。罪状、南極大陸地脈枯渇事件の実行、冥王星準惑星降格の主犯、小規模な世界法則改竄による科学法則に対する反逆など。 人を救うことに執着した結果人を滅ぼすという結論に辿り着いてしまった、最も優しき絶対悪。 故にその名は『断罪の七大罪』。 変えられない現実を前に嘆き狂ってしまった、英雄の成れの果て。 人類絶対悪ビースト位階総序列第八位[。 『異端』の悪徳を体現する人類絶対悪。人の身でありながら神に成り代わろうとし、歴史を、因果を、当たり前を覆す、『黄金』と同等の魔術組織。そのあまりにも苛烈で過激で加虐な思想から地球上全魔術組織から『異端認定』を受けた最悪の魔術組織。罪状、老若男女879520人を用いた魔術的人体実験の実行、既存の魔術体系に対する反逆、十字教三大宗派本部襲撃など。 神を求めるがあまり神をすら[ピーーー ]、本末転倒な組織。 故にその名は『大いなる業の憲章アルス=マグナ=カルタ』。 凡ての神を否定する、黄金の錬金術師の魔術結社。 人類絶対悪ビースト位階総序列第九位\。 『虐待』の悪徳を体現する人類絶対悪。無意味に力を揮い、無作為に命を消費し、無駄に血を流す、残酷で残虐で残忍なテロ集団。世界各地でテロ行為を行う目的の全く見えない組織。罪状、善悪最終生存戦争ファイナルデッドエンドゲームの表向きの首魁、スレブレニツァの虐殺及びジョージア民族浄化等多数の虐殺事件の扇動、他の人類絶対悪ビーストに対する人員、武器、殺人ノウハウ等の輸出など。 人の数を減らすことそのものを目的とした人間の形をした異星人エイリアン、会話は出来ても話の通じない絶対悪。 故にその名は『国境なきテロリストTerroristes Sans Frontières』。 自らの心しか信じない、極悪非道な絶対正義。 人類絶対悪ビースト位階総序列第十位]。 『復讐』の悪徳を体現する人類絶対悪。人類史史上最大の謎といわれる『幻想島フィクションアイランド』の謎の答えを探すためだけに生きているたった5人のダークヒーロー。罪状(なお全て間接罪)、ベルリンの壁再建事件の教唆、米国所属空母ロナルド・レーガン強奪事件教唆、ストックホルム大炎上事件教唆など。 命の尊さを他の誰よりも知っていながら、己のエゴで人殺しを強要する善の皮を被った絶対悪。 故にその名は『復讐同盟』。 誰かの復讐を教唆する、外道の集まり。 人類絶対悪ビースト位階総序列第十一位Ⅺ。 『冒涜』の悪徳を体現する人類絶対悪。生命というモノを完全に理解し、命を、魂を、魂魄を、生きるということそのものを数式化した空前絶後の大天才。そしてその天才性を誤った方向に成長させた未曽有の大天災。罪状、ラスベガスゾンビ出現事件の実行、複数の死体を繋ぎ合わせた新生命体『ドリット・メンシュハイト』の制作、全世界同時生放送での人体解体の実行など。 死を恐れるがあまり死を拒絶した、人類最後の夢である不死を現実にした絶対悪。 故にその名は『死体繋したいつなぎ屍しかばね』。 終わりを終わりで終わらせない、永遠の呪いを与える屑。 人類絶対悪ビースト位階総序列第十二位Ⅻ。 『進化』の悪徳を体現する人類絶対悪。人でない故がに存在する永遠の時間をもって自己進化を繰り返し、ついには開発者自身ですら制御不可能になった0と1の産物。罪状、G7各国全インフラ一斉混乱事件の実行、多数の国家の機密情報の外部流出の実行、新生命体『シュタール・ゲシュペンスト』の創造など。 人でないが故にどうあっても人を理解できない、無限の平行線の果てにいる絶対悪。 故にその名は『電脳生命体α』。 人の傲慢が生み出した、電子の怪物。
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 19:12:23.60 ID:9G/t5IWd0 人類絶対悪ビースト位階総序列第十三位XIII。 『蒐集』の悪徳を体現する人類絶対悪。物欲に支配された、最も人間らしき集団。奪い、盗み、集め、観賞し、そして満足する甚だ迷惑な強盗集団。罪状、霊装カーテナ=セカンド強奪事件の実行、紀元前観測断絶事件の実行、三原色喪失事件の実行など。 盗むことに特化した、この世の全てを不確かにする絶対悪。 故にその名は『極悪博物館』。 積み重ねてきた歴史をすら盗む、断絶した資料館。 人類絶対悪ビースト位階総序列第十四位XIV。 『暴力』の悪徳を体現する人類絶対悪。子供のお使いから大規模テロの鎮圧、要人警護、ゴーストライター、無差別殺人、戦争行為、大虐殺、暗殺まで依頼されればなんでもこなす傭兵組織。罪状、ホワイトハウス襲撃事件の実働部隊、スエズ運河封鎖事件の実行、魔科学融合兵器『FAMSFusion Arm of Magic and Science』の開発など。 あらゆる行為の前提条件に『暴力』が存在する、血の雨の中でしか生きられない絶対悪。 故にその名は『悪意と殺意の傭兵団デッドエンドレッド』。 善も悪も同列に扱う、大戦が生み出した負の遺産。 人類絶対悪ビースト位階総序列第十五位XV。 『選別』の悪徳を体現する人類絶対悪。自分たちに都合の良いことだけを信じ、自分たちに都合の悪いことは一切聞く耳を持たない永遠の弱者。罪状、善悪最終生存競争ファイナルデッドエンドゲームの補佐、偽最終審判判定未遂事件の実行、陸海往来断絶事件の主犯など。 なまじ力を持ったばかりに世界を見なくなった、成長できない子供のままの絶対悪。 故にその名は『聖なるカナン』。 神に選ばれた使徒を自称する、自意識過剰な現実逃避者。 人類絶対悪ビースト位階総序列第十六位XVI。 『廃頽』の悪徳を体現する人類絶対悪。便利になった現世界よりも不便だった過去を尊ぶ時代遅れの老害。反論できない詭弁と反論を許さない欺瞞で正論を煙に巻く、回想に浸る集団。罪状、全国家一斉インフラ停止事件の実行、超広域電磁パルスEMP攻撃未遂事件の実行、文明のゆりかご再誕事件の実行など。 現代の人類を否定する、積み重ねてきた歴史を否定する絶対悪。 故にその名は『神時代へ逆行する古代人』。 過ぎ去った栄光に縋りつく、置いていかれた古代人。 人類絶対悪ビースト位階総序列第十七位XVII。 『偽悪』の悪徳を体現する人類絶対悪。まだ誕生していない唯一の人類絶対悪ビースト。誰かのための自己犠牲で人の歩みを阻害する、高貴な者の義務ノブレス・オブリージュを理由に全ての責任を被る、傷つきながらも笑う悪。罪状、彼は罪を犯した、彼は罪を犯した、彼は罪を犯したなど。 しなくてもいいことをして誰かの成長を妨げる、正義の皮を被った絶対悪。 故にその名は『上×勢力』。 存在しない8つ目の罪の象徴、平和のための尊い犠牲。 人の生み出した、人の業。
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 19:13:10.47 ID:9G/t5IWd0 以上、十一の組織と三の人外、三の人間をもって全人類絶対悪ビーストとされた。 この絶望こそが、パトリシアのような主人公ヒーローが戦うべき最終敵ラスボスであった。 「人類絶対悪ビースト、かぁ…………」 とはいっても第四物語フォースストーリーの主人公ヒーロー、誰も救えない英雄ガラクタヒーローパトリシア=バードウェイといえども全ての人類絶対悪ビーストに関わったことはない。パトリシアが関わったことがあるのは善悪最終生存戦争ファイナルデッドエンドゲームの時に敵対した国境なきテロリストTerroristes Sans Frontièresと聖なるカナンと極悪博物館の連中、そしてそれが『完結』した後の世界を旅する間に出会った断罪の七大罪、不思議の国の御伽噺フェアリーテイルワンダーランド、電脳生命体α、復讐同盟の連中くらいだ。 それも結局パトリシアはどの人類絶対悪ビーストも殺しきることができていない。 それはパトリシアが弱いからではなく、人類絶対悪ビーストが強いからではなく、世界に護れている、『加護』がある状態の登場人物キャラクターは条件が調わないと勝負すら出来ないからだ。 だから、 「…………………やっと終われるよ、お姉さん」 だから、パトリシアは微笑む。 確信していた。 やっと、ようやく、ついに、『物語』が『始まった』。 七連物語セブンスストーリーズの第七物語セブンスストーリー、全ての物語を本当の『完結』へ導く最後の物語ファイナルストーリーが始まった。 これで人類絶対悪ビーストが持っていた『加護』は消える。人類絶対悪ビーストの絶対性はなくなる。勝てるようになる。 本当に、やっとだ。 待っていた。 待っていた。 ずっと、待っていた。 この瞬間を、この時間を、このトキを。 「私はきっと、お姉さんたちと同じ所にはいけないけど」 呟く。 語る。 話す。 灰・色・の・墓・石・の・前・で・パ・ト・リ・シ・ア・=・バ・ー・ド・ウ・ェ・イ・は・涙・を・流・さ・ず・泣・い・て・い・た・。 「それでも、ね」 天国や地獄の概念を信じているわけではない。善行を為したモノは楽園へ行き、悪行を為したモノは煉獄に堕ちる。そんなことを盲信しているわけではない。 しかしやはり自分のようなゴミクズと姉のような指導者が同じ場所に行くのはおかしいとパトリシアは思うのだ。 努力すれば成果が出る。怠惰ならば成功しない。当然のことだ。 だから、仮に死後の世界があっても転生しても自分と姉が出会うことはない。 パトリシア=バードウェイという少女は罪を犯し過ぎた。 パトリシア=バードウェイという女はあまりにも弱すぎた。 パトリシア=バードウェイという個人はどうしようもなく愚かだった。 「全部終わったら、少しくらいは褒めてほしいかな」 だから、パトリシアは泣く。 この戯言が姉の魂に届いていないことを、願いながら。 矛盾した言動で、泣く。 十七の人類絶対悪ビースト。 人類が人類である限り避けられない、滅亡の使者。 終焉の擬人化、破滅の具体化、絶望の具現化。 彼ら彼女らが斃すべき、『悪』の御名。
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 19:14:07.96 ID:9G/t5IWd0 https://syosetu.org/novel/56774/175.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 175 / 178 ついにエタったか……と思いました? 私は思った。危ない所だった。 空白の主と大悪魔@ 原初の0.5 初まりの領域において『空白の主』が根本的な敗北をすることはあり得ない。初まりの領域は原初の世界であり、全ての基礎である場所だ。そして『空白の主』は初まりの領域の住人。全てが繋がっている初まりの領域の住人である『空白の主』を[ピーーー ]ということは、つまり全時間軸に存在する全人類を全滅させるということに他ならない。 故に、『空白の主』を殺したいのであれば全時間軸に存在する全人類を全滅を許容するするしかない。それを否定したいのであれば、絶対に不可能であるが初まりの領域から『空白の主』を引き離すしかない。全時間軸の全人類の生存は逆説的かつ無条件に『空白の主』の生存を証明し、しかしながら『空白の主』の生存は人類の生存を証明しない。理不尽な相互依存関係がそこにはあるのだ。 「から、からから、からからから!」 ただ、もちろんの事、単純な実力のみで考えれば現イギリス清教最大主教アークビショップである大悪魔コロンゾンは『空白の主』に勝まさる。アレイスター=クロウリーの原型制御アーキタイプコントローラーによって区分けされた時代アイオーン。イシス、オシリス、そしてホルスの時代アイオーンすらも超越した、さらに先の世界に存在する存在。 全力の魔神複数柱からすらも逃れることの出来る、別位相ですらない『新たな天地』という新世界から地力で脱出可能な力を持つ存在。 大悪魔コロンゾン。 拡散の本質を持つ、真なる邪悪。 神話上の存在でありながらあくまでも人間でしかない『空白の主』では決して勝てない敵。 にも拘らず。 「可哀想。可哀想。七ん十可哀想七奴だ。大悪魔五六ンゾン」 這い蹲っていたのは、膝をついたのは、汗を流しているのははローラ=スチュアートだった。 「ぎ、ぐ」 その様を、 かの黄金夜明S∴M∴の創設者の1人であるサミュエル=リデル=マグレガー=メイザースが目にすれば、驚愕のあまり心臓を停止させたかもしれない。 その様を、 近代西洋魔術という形式を作り上げた学園都市の王であるアレイスター=クロウリーが目にすれば、幻と断じたかもしれない。 だって、想像できるか? あの大悪魔が、あの大悪魔コロンゾンが、 アレイスターですら制御できなかった、メイザースをも出し抜いたあの大悪魔コロンゾンが、 たかが『空白の主』程度に敗北しているなど。 「人類七ん十見捨十十四まえば、私七ん十、五の『空白の主』程度、楽二殺せるの二」
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 19:14:40.34 ID:9G/t5IWd0 (アルフは何を四十一るのか七……。五の化物を相手二出来るの八、同じ化物の君四か一七一の二) アルフ。 『空白の主』の友人であり同類。 秘匿された真名はbyucgjビュックグジュール・dqsディクェス・finprovzフィンプロブズ・mekhatwxメカトゥウィークス。 ともすれば、魔術側の最高戦力である魔神すらも凌駕するかもしれない存在。 来てくれれば、心強い。
214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 19:35:55.83 ID:9G/t5IWd0 (T-T) ID:H5GhpVy. 2018年08月16日(木) 07:02 (Good:0/Bad:0) 報告 少し遅れてしまいましたが、更新お疲れさまです! 今回は、色文字の中で【黄金の餞】について考察的な何かがあるので、書かせてもらいます。 最近、この物語を最初から読ませていただきました。理由としては、色文字考察というのと、改めて御坂美琴が狂っていく最初の段階が見たくなったからですね。 【黄金の餞】が使用されている箇所が意外と少なかったため、かなり憶測が混じります。 結論として、【黄金の餞】が使われる事柄には、《称号》が関わっていると思います。 例えば、禁書目録《ヒロイン》の復活を巡る争いでローラが条件を満たせば【黄金の餞】によって復活できる的なことを言っていました。 また、これは憶測ですが、一方通行戦の中でも【黄金の餞】が使われていましたが、個人的に一方通行にも《称号》が割り振られていると思います。 例えば、御坂美琴に対する『│強敵《ボス》』とかですかね。 一方通行があそこで御坂美琴と戦うことは、御坂美琴という『│主人公《ヒーロー》』が闇に墜ちるきっかけです。『│主人公《ヒーロー》』が変わるきっかけとしては、強敵と対峙したときが多いと感じています。なので、一方通行にもなんかしらの 《称号》が与えられていると思います。 まだまだ、色文字も含めて分からないことだらけですが、今後も一人の読者として応援していきたいと思います。 これからも頑張ってください! 返信:一二三四五六 2018年08月16日(木) 08:13 いつも感想ありがとうございます! 『黄金の餞』は本来もっと先で導入する予定のシステムだったので手掛かりが少ないのは申し訳ない。 そして端的に結論を回答しましょう。 全然違います。称号は全く関係ありません。 というかその『視点』である限り(T-T)様は永遠をかけても『黄金の餞』の真実に至ることはできません。見方を変えてください、視点を広く持ってください、見下さず、対等に見て下さい。 愛がなければ、真実は見えないのです。 まぁ、この段階で真実が分かるのならばもう私がこの物語を紡ぐ必要はないのですがね。 これからも精進して参りますのでどうかよろしくお願いいたします。
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 19:40:07.24 ID:9G/t5IWd0 【NO!今回の道はルート占い屋ではなくルート第三の道だよ!】 【ルート占い屋だったらパトリシアなんかとは出会えないからね。くくっ、皆が頑張ってくれたおかげと言ったろう?】 【理外人外についての情報か、僕は機密情報アクセスレベルの制限には引っかからないから答えてあげよう。】 【理外人外は僕も含めて12人いる。】 【神の代行者、全能存在、原初の片割、曠野の匪、そして僕でまず5人。】 【Rきの右、無限輪廻の転生者、純黒の破滅光、願えない罪人、永劫の敗北者で次の5人。】 【最下の絶対、観測者ωで2人。】 【合計12人が理外人外だよ。……………………今のところは、ね?】 【くす、だけどまぁ、何処かの誰か曰く『何も信用できない、赤くない言葉は何も信用できない…!!』らしいよ!?】 【あはっ、あははははははっ、いひいひふひゃはははははは!!!!!!!!!!!!!!】 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。 愛がなければ、真実は見えないのです。
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 19:43:43.85 ID:JNx/elkN0 >>173 怖いよな あそこまで上条さんがインデックスに執着する理由が分からん 如何せん心理描写が足りない >>205 不都合な出来事はカットか 黄泉川の性格的に一方通行の過去の所業を聞いたら激怒しそうなもんだけどな
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 21:36:02.47 ID:ypwY1HeR0 どっちであろうが黄泉川の擁護なんかもう不可能だよ 一方通行の所業をよく知りもせず「つまらないものの積み重ねが負債を返すジャン」とか寝言言ってるなら無責任で見当外れな能なしバカ女 一方通行の所業を知った上で芳川ともども匿ってるなら犯罪者隠匿して職権濫用しながらぬけぬけと小悪党狩りや教職やって悦に入ってるサイコパス屑女 どっちにしろ一方の擁護メンバーにされた時点でキャラとして詰んでる 悪党をメインキャラに後付けした弊害の被害者キャラとも言えるが
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/20(日) 22:14:36.42 ID:JNx/elkN0 >>217 悲しいなぁ……
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/20(日) 22:31:11.95 ID:XjEjC6qk0 こういう時叩かれるのはいつも黄泉川で芳川は言及されねえな 得な女
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/21(月) 00:52:52.75 ID:o7lPO4Qv0 自分の事を100%肯定してくれる脳内お花畑の馬鹿女共を囲って過去の悪行には自己満足のファッション贖罪 現在は地位を手に入れ更にはのうのうと日常生活を謳歌 これが一方通行の糞みたいな人生 羨ましい限りだ
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/21(月) 21:11:37.33 ID:mIsSr+QY0 >>219 言及もなにも、芳川は最初から研究者と同じ穴のムジナでクズ確定って立場だしなあ 黄泉川みたいに善人コスプレと立場利用でツッコミ所満載のダブスタやってるわけじゃないし
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/10/22(火) 01:12:56.61 ID:sUq3Fccz0 とあるシリーズ読んでると倫理観おかしくなる 誰が善で誰が悪なのか分からなくなって混乱する
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/22(火) 20:21:52.51 ID:ylnfj1fj0 >>222 言い方悪いが、作者のスゴロクの駒だからなあ。悪党上がりの周辺は特に 打ち止めも黄泉川もエステルも、言ってる事やってる事を冷静に検分したら相当にグロテスクなキャラだぞ 一方スピンオフでは隠そうともしてないレベルだが、内容そのものが見向きもされないから話題にならないだけ 下位の妹達がどれだけピンチでも完全に見ないフリして頭カラッポの幼女アピールしかしない上位個体()とか エステルが悲劇のヒロインヅラしながらやってる事の本質がキ○ガイ先祖と全く同じ件とか 周りで同僚がバラバラにされてる渦中でも「子供は撃たないジャン!」とか自分流貫いてるイカレ警備員とかな もう善悪を通り越して特定のビョーキっぽい
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/22(火) 20:50:28.29 ID:71VIYkuA0 とある暗部の御坂美琴(1周目) 作:一二三四五六 × 目 次 次の話 >> 1 / 74 この世界は分岐された。 この宇宙は隔離された。 この物語は否定された。 第一部 第二章 第四節 革命未明《サイレントパーティー》〜諦めた者と諦めなかった者〜 獄天の扉ヘヴンズフィール事件@ 『表』での概要 作戦会議E 救出作戦 四年前。 四年前、獄天の扉ヘヴンズフィール事件と呼ばれる事件があった。 学園都市の人口の2パーセント、すなわち4万6000人もの人間を完膚なきまで壊し、警備員アンチスキルでも、風紀委員ジャッジメントでも、そして一般的には知られていないが『暗部』の組織でも解決までには至らせることが出来なかった。 『表』の世界で公表されている獄天の扉ヘヴンズフィール事件についての話はこうなっている。 『ある日から学園都市内で獄天の扉ヘヴンズフィールと呼ばれる薬についての噂が広がった。その獄天の扉ヘヴンズフィールには『一定時間のみ願いを叶える』効果があると言われ、好奇心旺盛な学生の間で獄天の扉ヘヴンズフィールについての話が広がっていった。 そしてある日ネット上で獄天の扉ヘヴンズフィールを使用したという人物が現れる。その人物が言うに、特定の日に、特定の場所で、特定の時間に、特定の人物が、特定の行動をとると獄天の扉ヘヴンズフィールが手に入るらしい。 そしてその情報をもとに獄天の扉ヘヴンズフィールを手に入れたという人物が次々と現れ、ついにはネット上に獄天の扉ヘヴンズフィールの写真もはられるようになる。 最初は眉唾物の噂だった獄天の扉ヘヴンズフィールについての話は噂の域を超えて広がり始め、学園都市に存在するほぼすべての人間が知るようになった。 その後しばらくは獄天の扉ヘヴンズフィールの話題がありつつも平穏が続いたが、ある日を境に事態は一変する。 獄天の扉ヘヴンズフィールをめぐって争いが起きたのだ。それもただの争いではなく殺人が。 『一定時間のみ願いを叶える』という獄天の扉ヘヴンズフィールの効果は本物で獄天の扉ヘヴンズフィールを使用した人間は『願いを叶えた』。 大金持ちになりたいという願いも、超能力者レベルファイブになりたいという願いも、世界を思うがままに操りたいという願いも、死んだ人間を蘇らせたいという願いも、真実を知りたいという願いも、復讐をしたいという願いも、分け隔てなくすべて『叶った』。嘘偽りなく、本当に一切の例外なく、すべて。 そして、だから問題だったのだ。 獄天の扉ヘヴンズフィールの効果はあくまで『一・定・時・間・のみ願いを叶える』というモノ。そう、一定時間。願いが『叶う』時間は無限ではない。 大金持ちになりたいという願いも、超能力者レベルファイブになりたいという願いも、世界を思うがままに操りたいという願いも、死んだ人間を蘇らせたいという願いも、真実を知りたいという願いも、復讐をしたいという願いも、分け隔てなくすべて『叶った』が、それは時間制限が存在した。 だから獄天の扉ヘヴンズフィールの使用者たちは次の獄天の扉ヘヴンズフィールを求めた。二回目の使用が終わればさらにその次の獄天の扉ヘヴンズフィールを、三回目の使用が終わればさらに、四回目の使用が終わればさらに、と。 次々と新たな獄天の扉ヘヴンズフィールを求めていった。 さながら飢餓の中で天から降ってきたパンに群がる暴徒の如く、あるいは麻薬中毒者のように。 獄天の扉ヘヴンズフィールに中毒症状が現れる様な物質は一切入ってない。しかし、それでも人々が獄天の扉ヘヴンズフィールを求めることはやめられない。『幸福』という楔からは誰も逃れられないのだ。 だから、誰もが限りのあるかもしれない獄天の扉ヘヴンズフィールを求めて走り、戦い、望み、狂っていった。無能力者レベルゼロから大能力者レベルフォーまで、限りなく。 さらにまずかったのは獄天の扉ヘヴンズフィールには麻薬のような目に見える禁断症状や中毒症状、痙攣、気分の高翌揚、顔面蒼白などなどのモノが見られなかったこと。思考の鈍化も、身体の異常も見られなかったこと。 故に、一見するだけでは獄天の扉ヘヴンズフィールを使用しているかどうかは分からなかった。そして狡猾な人間は表で正常者を装って裏で獄天の扉ヘヴンズフィールを使用していた。 徐々に、しかし確実に、学園都市は蝕まれていった。 獄天の扉ヘヴンズフィールを求めて戦うモノ、金で獄天の扉ヘヴンズフィールを取引しようとしている人間を集団で襲うモノ、治安は荒れ果てて、もはや獄天の扉ヘヴンズフィールを作ったモノでさえ制御できなくなっていただろう。 そして最もまずかったのはこの事態を止める人間、つまり警備員アンチスキルや風紀委員ジャッジメントの中にも獄天の扉ヘヴンズフィールを使用していた人間が多々いたこと。治安を正す側の人間が、欲望に耐え切れず『幸福』を求めて組織内部で暗躍したこと。 彼らからすれば獄天の扉ヘヴンズフィールの供給が止まるのは、あるいは使用が規制されるのは言語道断だったからその行動は当然ともいえるだろう。何せ、その気になれば検挙と称して獄天の扉ヘヴンズフィールを手に入れることも可能だったのだから。 獄天の扉ヘヴンズフィールを求める人はもう止まらず、治安を正す手段もなくなり、もうどうしようもない事態に陥ってしまった。 はずだったのだ。
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/22(火) 20:51:12.15 ID:71VIYkuA0 事態が起きてから数日が過ぎて急速にその事態は収束していった。 獄天の扉ヘヴンズフィールを使用した人間は例外なく何らかの対処がなされ、元となった獄天の扉ヘヴンズフィールもどんな方法かもう現れなくなった。 そして獄天の扉ヘヴンズフィールの噂が立ってから一か月半。学園都市の人口の2パーセントを壊したこの事態は幕を閉じた。 のちにこの事件は使用された薬の名前を取って、獄天の扉ヘヴンズフィール事件と呼ばれるようになった。 そして獄天の扉ヘヴンズフィール事件が収束して2週間後、ある文書がネット上に投稿され、学園都市中にばれ撒かれる。『HFHeaven'sFeelCCCaseClosed文書』と呼ばれたそれは獄天の扉ヘヴンズフィール事件を収束させたのが風紀委員本部セントラルジャッジメントであることが示されていた。 どうやって収束させたのかは『HFHeaven'sFeelCCCaseClosed文書』には書かれていなかったが、風紀委員本部セントラルジャッジメントは一躍時の組織となった。最も風紀委員本部セントラルジャッジメントの閉塞具合は相変わらずだったので、特に何が起こったわけでもないが。 時同じくして不思議の国の御伽噺フェアリーテイルワンダーランドと呼ばれる組織の噂も流れた。この組織が獄天の扉ヘヴンズフィール事件の首謀者だという噂だ。最もこれに関しては誰も何も言わなかったので、確証は存在しなかったが。 そして最後に学園都市中に統括理事長の名で獄天の扉ヘヴンズフィールの所持、使用を禁止する声明が出され、破ったモノは厳罰に処すとされ、この一連の出来事は完全に収束を迎えた』 これが『表』で一般的に知られている獄天の扉ヘヴンズフィール事件の概要である。 も・ち・ろ・ん・重・要・な・真・実・の・ほ・と・ん・ど・は・隠・蔽・さ・れ・て・い・る・わ・け・だ・が・。 「不思議の国の御伽噺フェアリーテイルワンダーランド?」 上条にとっては聞き覚えの無いその名前は、しかし白井にとっては記憶にある名前だった。 (不思議の国の御伽噺フェアリーテイルワンダーランド。確か獄天の扉ヘヴンズフィール事件の首謀者と一時期噂された組織。でもこの話は結局何の手掛かりも見つからなかったことで流れたはずですわよね……。まさか、本当だったとでも?) 情報が足りない。だからここで判断をすることは出来ない。今白井がすべきなのはただひたすらに情報を収集する事であり、その真偽を判断することだ。 そして何よりも。 「……いや、この話はやめておきましょう。いくらなんでも本筋からずれ過ぎてる」 今話すべきことは獄天の扉ヘヴンズフィール事件のことではない。フェブリの、そして『スタディ』についてのことだ。『結界』が作動している時間はあと18分。それまでに作戦を伝えなければならない。 「それよりも、フェブリの話をしましょう。もうあなたの疑問はすべて解消されたでしょう?」 脳裏に響く声はある。それを話したいという欲求も存在する。しかしそれを出すべきは今ではない。すべきことをして序列ランキングをあげる。そうすればいずれは頂点序列者トップランカーになって、機密情報アクセスレベル5の情報を、獄天の扉ヘヴンズフィール事件の本当の真実を、不思議の国の御伽噺フェアリーテイルワンダーランドの情報を得られるのだから。 『それが、霞のような幻想まぼろしだと知っていてもね、人は『幸福しあわせ』を追い求めずにはいられないの』 想起されるのはあの日の絶望。 『重軽には、きっと、わからないだろうね』 目の前で学校の屋上から飛び降りた彼女恋人の姿。 悟ったように話す少女だった。 覚ったように話す少女だった。 だが死んだ。 でも自殺した。 だから重軽石は――――――。 「重軽?」 「っ!?」 あの頃の地獄を思い出してしまっていた重軽に上条から声がかけられた。 (いけない……っ!) 過去に浸りそうだった自分自身を叱咤する。自分の役割を、役目を、今何をすべきなのかを忘れてはならない。 「……フェブリの話でしたよね。現状フェブリの容態は私が与えた飴のおかげで安定してると思いますけど」 「あぁ、そのことには感謝してる。俺達じゃあの子を治すことは出来なかったからな……」 「……ちょっと勘違いしてるようですけど、フェブリは治ってませんよ?」 「………………え?」 それはどういう意味なのだろうか、と上条の中にまた新たな疑問が生れた。飴を与えたフェブリは体調がよくなり、見るからに元気になっていた。大事をとってしばらくは病院に預ける気でいたが、その気になれば一緒に出歩くこともできるはずだ。 「正確にいうなら、まだ完全に治っていないというべきか」 「どういう、事だよ」 「すごく簡単に言えばあの飴はフェブリの命そのものなんです。だから、もしも飴がなくなればその時点でフェブリはまた倒れることになる」 「なっ!?」 「だから『スタディ』を捕まえる必要があるんですよ。彼らから、根本的な治療法を聞くために、あるいはあの飴の製造法を知るために」
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/22(火) 20:52:53.31 ID:71VIYkuA0 知らせれた情報は絶望をもたらすものだった。フェブリが完全に治っていないというのなら、今のフェブリはいつ再び倒れてもおかしくないという事になる。確かに悪意をもって造られたその身体は飴が無くては生きられないモノだったのだ。 だが同時に希望も生まれる。治療法が存在しないわけでは無いという、かすかすぎる希望が。 「あの飴は、お前達が作ったモノじゃないのか?」 「あの飴は『上』から渡されたもので、その『上』も製法までは知らないはず。おそらくはフェブリが落としたモノを拾ったか何かしたんでしょう」 「………………………」 だとすれば本当に方法は一つしかない。 「フェブリを造った『スタディ』から、治療法を聞き出す」 「やっとここまで来たか……。私がしたいのはそのための作戦会議なんですよ」 上条当麻をあらゆる意味で納得させるための下準備、地に落ちた信用を回復させるための前準備、疑問点を解消し作戦を円滑に伝えるための土台作り。それがおうやく終わった。ここまでくれば後は作戦を説明するだけ、そして協力してもらうだけ。 「『スタディ』が企んでいる悪事を止めて人々を救い、造られた身体に苦しむフェブリを治す。協力してくれますよね」 こんな問い掛けをしているが、協力してくれると重軽は確信していた。なぜなら上条当麻はヒーロー。困っている人を見捨てられない性質を持っている。 世界物語キャラクターストーリー理論に基づけば、それは自明の理だ。 「あぁ、『スタディ』が企んでる悪事っていうのは解らないけど、どのみちフェブリを助けるためには『スタディ』に会わなきゃならないんだろ?だったらいやでも協力するさ」 「なら今から話しますよ。よく覚悟して聞いていてください。『スタディ』の学園都市研究発表会同時襲撃計画のことを」 「学園都市研究発表会同時襲撃計画?」 ふっと小さく笑って、重軽は告げた。 「学園都市研究発表会同時襲撃計画というのは――――――」 さぁ、 確定された終わり滅亡に向かって突き進むといい。 上条当麻ヒーロー 喪った後に読みたいだなんて、滅亡した世界をチェック死体だなんて、傲慢だね。読者共。 死 ね よ
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 01:21:19.86 ID:GS+DLjA70 http://dic.pixiv.net/a/%E9%BB%84%E6%B3%89%E5%B7%9D%E5%AE%B6 黄泉川家ほんと嫌い
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 01:27:47.65 ID:UaDtfbEa0 さいですか
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 01:28:27.67 ID:UaDtfbEa0 さいですか
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/10/23(水) 01:30:07.39 ID:GS+DLjA70 家族愛(笑)ってwwwwwwwwwwwwwwww
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:50:37.75 ID:cKUxJcBb0 https://syosetu.org/novel/56774/ とある暗部の御坂美琴(2周目) 作者:一二三四五六 原作:とある魔術の禁書目録 タグ:R-15 残酷な描写 とある科学の超電磁砲 暗部 上条当麻 鬱 独自設定 中二病 闇堕ち 群像劇 執着 依存 オリジナル展開 原作キャラ死亡 御坂美琴 絶望 シリアス 狂気 オリキャラ多数 裏切り 策略 ▼下部メニューに飛ぶ 大切なモノを護るために、あなたは何処どこまで捨てられますか? 大切な人を助けるために、あなたは己の命身体を棄すてられますか? 自分の魂魄凡てを捧げても喪うしないたくないモノ、ありますか? 無明の闇に堕おちていけ。罪に穢けがれし気高き魂よ、汝なんじが生に幾多の禍難かなんが在あらんことを希こいねがって。 ※亀の歩みよりも展開が遅いです。スピーディーな展開を求める人には確実に合いません ※多数の視点で物語が進むため展開が非常に遅いです。 ※この小説は本編最新刊はもとより超電磁砲最新話、マンガ一方通行最新話、超電磁砲PSP、蛇足またはとある事件の終幕 、クロスオーバー小説、偽典・超電磁砲 、アニメ超電磁砲一期二期オリジナルエピソード、エンデュミオン、頂点決戦、群奏活劇、バーチャロン、とある魔術の禁書目録SP、一番くじ限定電撃鎌池和馬10周年文庫、学芸都市SS、能力実演旅行SS、とある魔術の禁書目録PSP、画集小説、下敷き小説、コールドゲーム、アストラル・バディの設定が入り混じっています。 ※『白衣の男』と御坂美琴J 脅迫までは一話2500文字それ以降は一話5000文字になっております。 ※あらすじがver5になりました。前のあらすじが見たい人は活動報告の方へどうぞ。 ※題名を『とある闇の中の超能力者』から『とある暗部の御坂美琴』に変更しました。 ※ネット小説だからこそ出来るギミックを各所に取り込んでいます。 ※前書きとあとがきには重要な伏線を仕込んでいます。必ず表示させてください。
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:53:23.40 ID:cKUxJcBb0 https://syosetu.org/novel/56774/168.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 168 / 178 Q.なぜ世界は滅んだのか? 学園都市統括理事会@ 襲来の人類絶対悪ビースト 8月29日午前9時33分 学園都市第一学区地下秘匿区画『蠍の間』にて 学園都市統括理事会は学園都市に存在する暗部の一つである。そして同時に学園都市の最高機関でもある。 所属するメンバーは統括理事長を除いて12人。そのほとんどが一癖も二癖もある『悪』人であり、自身の利益のために他者を平気で糾弾する屑だ。善人といえるのははそう、貝継と親船の二人くらいのモノだろう。 純粋な善が割を食い純黒の悪が栄えるのは世の常。いつもいつも良い人はいつも損をするものだ。 だが、だからといって常に悪人が栄え続けるのもまたあり得ない。栄枯盛衰、諸行無常。変わらないものなどないのが世の中なのだから、学園都市統括理事会のメンバーもまた、さらに強大な『悪』に叩き潰される時が来る。 多くの統括理事会メンバーはそれが分かっていない。自分だけは安泰で、最後に嗤うのは自分だと思ってる。それがただの妄想だと気づきもせずに。 いつかその時が来るとしても、なんだかんだで自分だけは例外だなんて思ってる。 だから苦罠は郭夜からの報告に焦っていた。苦罠もまた、結局の所自分だけは安全位置にいると思っていたから。 その平穏が一瞬で終わるだなんて、思いもしなかったから。 「とりあえず、集まってくれたようで安心したよ」 学園都市第一学区地下秘匿区画『蠍さそりの間』。統括理事会メンバー同士が秘密の会談を行う際に使用される学園都市の中でも最もセキュリティの厳しい場所の一つ。その『蠍の間』に今、10人の人間が集っていた。 死縁鬼苦罠。 トマス=プラチナバーグ。 親船最中。 潮岸 。 貝積継敏。 薬味久子。 亡本裏蔵。 アラン・スミシー。 ロード・アンドレイ。 奈落ならく奈波ななみ。 以上10人。全員が全員統括理事会メンバーだ。 「ふん」 「まだ、二人ほど来ていないようですが」 「全くだぜ。あの潔癖症と重病人はどうしたっつうんだ?」 これはもはや奇蹟に等しい会合だった。いがみ合い争い合い憎しみ合う統括理事会の人間が10人も一堂に会するなど飛行機が墜落するくらいあり得ない。彼らは自分以外のメンバーを追い落とすのに全てを懸けるほどの悪人。彼女たちは誰よりも自己中心的で世界が自分を中心に廻っていなければ気が済まないような狂人。 けれど今、この場に10人もの統括理事会メンバーがいる。 それはひとえに苦罠が連絡したからだ。 死縁鬼苦罠という男が、彼らを集めた。 「潔癖症の彼女には先に動いてもらっている。彼女もどうやら私と同じ情報を得ていたようだからね。そしてあの重病人について私も知らないな。割と緊急性の高い事態だから出来れば参加してほしかった、というのが本音だが」 「緊急性?」 アランが馬鹿にしたように言う。 「緊急性?何がだ?今この学園都市で、どんな緊急事態が起こってるっていうんだ?統括理事会全員を招集しなけりゃいけないほどの緊急事態が起こってるなんて、俺にはとても思えんがね」 「それならなぜあなたはきたのそれなら何故あなたは来たの?がくえんとしのぼうえい学園都市の防衛をまかされているあなたがきたということは任されているあなたが来たということは、なにかだいじ何か大事があったんじゃないかとおもったのだけれど思ったのだけれど」 「別に対した理由なんてねぇよ。ただ時間はあるし、同類の緊急要請に応えないほど俺は狭量じゃねぇ」 「ふん、ただこれ幸いと死肉を漁りに来ただけではないかね?」 煽り合い。罵り合い。マウントの取り合い。 ほんのわずかでもイニシアチブをとり優位に立とうと彼らは言葉という名の武器を交わし合う。 言葉。そう、あくまで言葉だけだ。間違ってもここで武器を交わすようなことはない。そのリスクは全員が承知している。 「はっ、あいにく腐った肉を喰らう趣味はねぇな。そこの美食家気取りでもあるまいし」 「それは私のことかな?『ネクター』は君が思っているよりもはるかに素晴らしき美酒だなんだがね」 「別に『ネクター』をどうこういうつもりはねぇが、つまるところ『ネクター』は人肉だろう?食人鬼に成り下がるつもりは、俺にはねぇなぁ」 「『ネクター』を人肉などというモノと一緒にしないでれ。あれはもっと高尚な」 「どちらにしろ、下賤なモノであることには変わりないと思いますがね」 亡本とアランの軽い、統括理事会メンバーとしてはあまりにも軽い言い合いですらない『話し合い』に親船が割り込む。生来争いを嫌う性質である、統括理事会メンバーの中でも数少ない『善人』である親船。彼女の未来はそれ故に閉ざされているが、しかし彼女だからこそ使える手というのもある。 かつて『平和的な侵略行為』を行うと恐れられた親船。その刃は今はしまわれているが、しかししっかりと砥がれている。 『善人』であるからといって、『弱い』という事にはならない。 親船はくさっても統括理事会の一員だ。
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:54:06.66 ID:cKUxJcBb0 「でも、いま今はそんなことどうでもいい。くわな苦罠、そろそろおしえて教えてくれてもいいでしょう?ぜんいん全員、ふたりたりない二人足りないけどほぼぜんいんあつまったんだし全員集まったんだし」 「そうだな……、あいつは結局来なかった、か」 来るとはそこまで思っていなかったが来てほしいというのが苦罠の本音だった。今起きている最悪の非常事態には統括理事会の全員で立ち向かう必要がある。それほどの敵、悪がいる。 全員で戦わなければ勝てない。とても敵わない。 4年前のようなことをもう一度起こすわけにはいかない。 「まず初めに言っておこうか。私が今から言うことは全て真実で、事実だ。一切の偽りはないことを、まぁ、意味はないだろうが神にでも誓っておくとしよう」 「神、ですか」 小馬鹿にしたようにアンドレイが言う。神、神、神。神様?なんだそれは?宗教家でもない苦罠がその存在に誓いをするなんて、無意味を通り越して滑稽ですらある。 「そしてもう一つ、潮岸、アラン、奈波。私にお前達を責め立てるつもりは一切ない。そんな時間もないし、だいいち責めたところでもうどうにもならないからな」 「せめる?わたしたちを?」 「見えねぇな。何についての話だよ?」 「………………」 その返答は言葉ではなく画像で示された。 スッ、と苦罠の後ろの壁にプロジェクターで4枚の画像が映し出される。どれも学園都市の街中の画像で、それは一見をすれば何の変哲もない、学園都市の日常の画像。往来を行きかう人々、掃除用ロボット、自販機、建物。一般人がみれば、いや『闇』の人間が見ても違和感などないだろう。だが、だがしかし、見る人が見ればその4枚の画像がどれだけとんでもないモノか分かる。 そしてその画像に超速の反応を見せたのが1人。 「なっっっっっ!!!!!?????」 奈落ならく奈波ななみが大きな音を立てて椅子から立ちあがっていた。ポーカーフェイスをむねとする奈波の顔が驚愕に染まっている。演技?いやそんなわけがないしそんな意味はない。だからこれは素。しかしだとしたらなぜ? 奈落奈波はこの画像のどこに驚愕した? 「流石に、お前は分かるか。奈波」 「ばかな、そんなっ!」 それはあり得ない画像だった。 九家くげが一家、奈落家の人間として様々な情報に精通している奈波だからこそ気付けた。そこに映っていた人間がどれだけあり得ないのか。 「現在」 そして、彼らも知っていた。 潮岸。 親船。 貝積。 薬味。 亡本。 彼ら5人も、知っていた。 「現在、この街に4人の――正確に言えば2組織と1人と1体の人類絶対悪ビーストが侵入している。彼らからこの街を守るために、お前達の力を貸してほしい」 その悪を、知っていた。 その沈黙には動揺と困惑が混ざっていた。 動揺は6人、困惑は2人。 「……………苦罠クン」 「何か?」 「冗談だとしたらあまりにも性質が悪すぎるし、嘘だとしたらあまりにも質たちが悪いぞ」 「こんな冗談や嘘を、私がつくと思うか?本気で」 それは潮岸とて分かっている。だからあくまで確認だ。確認で、出来ればそうあってほしくはないという願望だ。 それは否定された。 そして否定された以上、真剣に向き合わなければならない。 人類絶対悪ビースト。 その脅威を、潮岸達は知っている。 4年前の獄天の扉ヘヴンズフィール事件。その事件を生き延びた7人の統括理事会メンバー。 苦罠。 親船。 潮岸。 貝積。 薬味。 亡本。 そして潔癖症の彼女。 7人は人類絶対悪ビーストの恐怖を、その狂気を知っている。だから速断だった。当然苦罠が嘘をついている可能性もあったが、それよりも。 それよりもだった。 「それで緊急事態……か。くそっ、どうやってすり抜けた」 「奈波クン、君は見覚えがあるようだな。詳細はわかるかね?」 「わたし私は4まいのがぞう枚の画像のうち2まいしかしらない内2枚しか知らないわ」 「それでも十二分だろう。人類絶対悪ビースト……。もう4年前のようなことを起こさせるわけにはいかない。情報は少しでもほしいのだから」 「画像を出したのは私だが、人類絶対悪ビーストに関しては私よりも君の方が、九家が一家、奈落家の人間である君の方が詳しいはずだ。後で私も捕捉するから、説明を頼む」 奈波は純粋な統括理事会メンバーではない。奈波は外の、学園都市外の人間だ。奈波が統括理事会のメンバーとしていられるのは奈波が外部との折衝の役割を担っているからであり、学園都市の運営に参加しない立場をとっているからだ。 そういう意味では奈波は親船以上に権力がない。だが本人もそれをよしとしている。立場的にも奈波はそういうことをするべきではないからだ。 そしてその立場故に、奈波は人類絶対悪ビーストについてとても詳しく知っている。
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:54:56.69 ID:cKUxJcBb0 「いちばんひだりのがぞうにうつっているのは一番左の画像に映っているのはじんるいぜったいあく人類絶対悪いかいそうじょれつだいきゅうい位階総序列第九位の『こっきょうなきてろりすとTerroristes Sans Frontières』のめんばーたちメンバー達よ。『ぎゃくたい虐待』のあくとくをたいげんするやつらで悪徳を体現する奴らで、せかいさいあくのてろりすとしゅうだん世界最悪のテロリスト集団でもあるわ。ばくやく爆薬、どくがす毒ガス、しゅうだんひすてりーのゆうはつ集団ヒステリーの誘発――。そういうだいきぼなあくいてきこうどうをするやつら大規模な悪意的行動をする奴ら」 左の画像が拡大される。拡大された先に映っているのは6人。男性2人と女性4人。 「なまえはわからない名前は分からないけど、たぶんたちばてきにはそうたかくないとおもう立場的にはそう高くないと思うわ。『こっきょうなきてろりすとTerroristes Sans Frontières』のじょうそうぶのにんげんたち上層部の人間達はげんばにこない現場に来ないから」 詳細な説明。けれど画像だけで分かることはやはり少ない。不確かな情報と不確かな言動。 「がぞうだけじゃだんていはできない画像だけじゃ断定は出来ないけど、けいかいしんがあまりみえない警戒心があまり見えない。とっこうよういんだとおもう特攻要員だと思う」 「特攻……っ」 「厄介な」 もっと詳細な情報を言うことは出来るが、奈波は一度『国境なきテロリストTerroristes Sans Frontières』の説明を打ち切った。今求められるのは詳細の説明じゃない。迅速な説明だ。 「いちばんみぎのがぞうにうつっているのは一番右の画像に映っているのはじんるいぜったいあく人類絶対悪いかいそうじょれつだいじゅんよんい位階総序列第十四位の『あくいとさついのようへいだんでっどえんどれっど』のいちしょうたい一小隊よ。『ぼうりょく暴力』のあくとくをたいげんするやつら悪徳を体現する奴らで、だいにじせかいたいせん第二次世界大戦さいだいのふのいさん最大の負の遺産。かねさえはらえばなんでもする金さえ払えば何でもするせかいさいきょうのようへいそしき世界最強の傭兵組織。2ねんまえのほわいとはうす年前のホワイトハウスしゅうげきじけんのじっこうはん襲撃事件の実行犯、ってい言えばわかるかしら」 右の画像が拡大される。拡大された先に映っているのは16人。男性12人と女性4人。 「しょうたいちょうはみおぼえがあるわ小隊長は見覚えがあるわ。まるてぃねすマルティネスってなまえ名前よ。せっきょくせい積極性としんちょうせいが慎重性がわるいいみであわさった悪い意味で合わさった、むのうのなかではゆうのうなにんげん無能の中では有能な人間」 「装備は分かるの?」 「がくえんとし学園都市のぶそうであっしょうできるれべる武装で圧勝できるレベルのはず。そもそも『あくいとさついのようへいだんでっどえんどれっど』のこわいところ怖い所はそのようしゃのなさとじんどう容赦の無さ人道をためらいなくふみはずすところ躊躇いなく踏み外すところだし。ちょくせつせんとうになればよゆうでかてる直接戦闘になれば余裕で勝てるはず」 強い弱いで言えば弱い。けれど強い弱いだけじゃ語れないからこその人類絶対悪ビースト。 「でもたぶんこの16にんはさぽーとよういん人はサポート要員よ。ほかのさんそしき他の3組織のどこかがやとった雇ったんじゃない?」 『悪意と殺意の傭兵団デッドエンドレッド』はその名が示す通りあくまで傭兵。つまり他者からの依頼によって動く存在だ。自意識では動かない。 「あと後の2がぞうはわたし画像は私にもわからないわ。くわな苦罠、あなたは?」 「ならそこは私が説明しよう。といっても僕も郭夜から得た情報なんだけどね」 そういって、苦罠は左から2枚目の画像の一部を拡大した。 映し出されたのはとある少女。茶髪のショートヘアに白カチューシャをした少女――の手元。 「ポータブルデバイスPD……?これが、人類絶対悪ビースト?」 「正確に言えば、ポータブルデバイスPDの中にいる存在、だ」 感の良い貝積はそれで気付いた。 「っ、電脳生命体αアルファか!?」 「ああ」 電脳生命体α。 その名の意味が分かる者の焦りはこれまでとは全く違った。 「アランっ、学園都市の電子防衛関連は君が担当していたな。何か君の部下から報告はあがってないかっ!」 「あ?別に目立った報告なんてあがってねぇが……?」 「ならもう完全に落ちているんでしょうね」 「書庫バンクはどうだ?最暗部の情報はのっていないとはいえあれまで掌握されていたら学園都市は落ちたも同然だぞ!」 「いえ、外部と完全に独立したネットワーク以外はすべて落ちているとみるべきよ。くそ、この分だとここに来る前にした電話も怪しくなってくるわね」 「っ、電波も乗っ取られて……っ、なら連絡を取り合う時は精神感応テレパス系の能力者で中継する必要が」 「ちょっ、ちょっと待ってください!どういう」 「落ち着けッッッ!!!!!!!!」 一機に混乱する状況を前に苦罠が一喝した。分かる。とてもよくわかる。何も知らない立場なら当然そうなる。現代社会において電脳生命体αの脅威は分かり知れない。だからそうなるのも分かるが、それでも今は大丈夫なのだ。 誰でもない。この事態に最初に気づき、動き出したのは、他の誰でもないあの天埜郭夜輝夜姫だ。 「落ち着け、大丈夫だ。今のところ電脳生命体αの侵攻は抑えられている。まだ後2日は問題ないはずだ」 「君は馬鹿か?」 思いっきり馬鹿にした表情で亡本が言った。 信じられないような表情を薬味はしていた。 狂人を見るような目で親船は苦罠を見ていた。
235 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:55:38.54 ID:cKUxJcBb0 「侵攻は抑えられている?出来るわけがないだろう!それがっ、出来る人材がいるのならっ、統括理事会はこうなっていないはずだ!!!」 「出来ている」 「誰が!?」 「守護神ゴールキーパーだ」 「っ」 その名はこの場の全員が知っていた。 守護神ゴールキーパー。 学園都市に存在する超一流のハッカーの1人。 その素性はこの場にいる全員が知っている。 風紀委員ジャッジメント第一七七支部所属の風紀委員ジャッジメントにして超能力者予備集団セブンバックアップ序列第1位、十二暦計画カレンダープロジェクト第九実験『漆黒の九月実験』邪道『マルチソウル』成功例。 初春飾利。 「本当に対抗できているのですか?誤魔化しも何もなく?偽装も何もなく?ダミーでもなく?他の誰でもないあの電脳生命体αの侵攻を、抑えられているのですか?」 「そもそもこの4枚の画像だってネットワーク経由で送られたものだ。この会合だってそうだろう?だから問題ない。今のところは、な」 「そのリミットが、2日か」 どれだけ有能な人間だとしても所詮は人間。行動の限界というモノは必ず来る。それが人類と人外の差であり、人類が人外を根絶できない理由だ。 電脳生命体α。電子の海に生きる人外の怪物。人が生み出した人の業。無限の学習で無限に進化する絶望。 単純な武力だけではどうにもできない人類絶対悪ビースト。 「分かった。なら出来ていると盲信しよう。だが個人的な対策はいくつかさせてもらうぞ」 「当然だな。私自身が言ったことではあるが、守護神ゴールキーパーがいつまでもつかのは、……微妙だしな」 慌ただしく外部と連絡を取り合う幾人か。構築されたネットワークの保護や兵力の確保、情報の収集などやるべきことはいくらでもある。潜在的な敵ではあるが、こういう場面では非常に頼もしい。 悪、悪、悪。人類絶対悪ビースト。 勝たなければならない。 「そして4枚目の画像を説明する前に本題に入ろう。分かっているとは思うが、な」 今度こそは。 「この人類絶対悪ビースト共をどうにかする。そのための力をかしてくれ」 いがみ合い、争いあい、憎み合う。それが統括理事会の在り方で、それはどうにもならない。けれどそれだけではない。本当にそれだけなら彼女達は統括理事会メンバーであり続けてはいられない。 裏切りも騙し合いもする。けれどその『先』があるからこそ、彼らは統括理事会のメンバーなのだ。 Q.なぜ世界は滅んだのか? Q.なぜ世界は滅んだのか? Q.なぜ世界は滅んだのか? 次の更新は年度末までには。 A.みんなが無能だったから。
236 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:56:05.20 ID:cKUxJcBb0 https://syosetu.org/novel/56774/169.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 169 / 178 学園都市統括理事会A 彼らは愚者ではない 「それで、どうする気だ」 「どうにかする、というのは簡単ですが、具体的な策はあるのですか?」 「確かに、人類絶対悪ビースト……、生半可な『力』では敵わないだろうなぁ」 「もちろん、だから私はお前達に協力を要請しているんだ」 「何か策があるのですか?」 「策というほどのモノでもない。ただ単に、暴力でぶっ潰そうって話だよ」 「その暴力を私達に提供しろと?」 「もちろん私も出来る限り提供するさ。伏せ札はともかくとして切り札くらいまではきってもいいと良いと思っているし、お前達にもきってもらわなければ困る。見せ札だけでどうにかできるほど、人類絶対悪ビーストが弱くないことはお前達も知っているだろう?」 「確かにね、4年前の獄天の扉ヘヴンズフィール事件でそれは嫌って程知ってるけど」 「獄天の扉ヘヴンズフィール事件……?ちょっと待て、まさかあの事件には更なる裏があるっつうんじゃねぇだろうな!?」 「……そうか、そういえば君は獄天の扉ヘヴンズフィール事件をきっかけに入れ替わった人間の1人だったな」 「しかし今そのことについて説明している時間はないでしょうね」 「じかん時間、じかん時間、じかん時間。まったくいやになる全く嫌になる。いつだってわたしたちにたりないのはじかん私達に足りないのは時間よね」 「アラン、アンドレイ。お前達には後で私から資料を送ってやる。獄天の扉ヘヴンズフィール事件の詳細と人類絶対悪ビーストの危険性についてな。だから今は全霊で協力しろ。対応を間違えれば最低でも学園都市は滅ぶ」 「っ、それほーどの、存在ですーと?」 「承ったぜクソが。ガチでやべぇのは事実みてぇだし、今は大人しく協力してやるよ」 「あぁ、そうしてくれるとありがたいな」 「それで苦罠クン、詳細は?」 「今映す」 「……しかしよく気づいたな。君は別にこの街の防衛を担当してはいなかっただろう」 「私の担当分野は航空宇宙産業だよ?そして私のブレインはひこぼしU号の中に住んでいる」 「じんこうえいせいのかんしきのう人工衛星の監視機能ね」 「地上の監視網は逃れられても宇宙の監視網から逃れることは不可能だったようだな」 「………………………………」 「はっ、わざと干渉しなかったって可能性もあるだろうが」 「だから別に責めつもりはないといってるだろう……。と、情報出るぞ」 「『悪意と殺意の傭兵団デッドエンドレッド』、国境なきテロリストTerroristes Sans Frontières、『電脳生命体αアルファ』……なぁっっっっ!!!???」 「帰ってきたのか、彼女がっ!?」 「……禁忌の木原」 「全能存在パントクラトールっ!」 「木原五行……っっっ!!!!!」 「その名前は流石に新入りの俺でも知ってるぜぇ。あの悪名高き木原一族ですら放逐せざるを得なかった、木原一族の中の木原一族ってなぁ」 「はっ、そんなレベルではないよ……。あれは、1つの災害だ。いや、災害すら超えている。もはや天罰とでも言うべきだ。人間が対抗できるレベルを超越している」 「ですが、どうにかしなければならないでしょう。どうにかしなければ、この街は終わりです」 「……、しかーし、なぜ誰も気がつかなかーった?」 「先に言っとくぞ。『穴』はある。だがその『穴』を通ったとしても俺の監視網からは逃れられねぇ。だから見逃した訳じゃねぇ」 「ならわたし私からもさきにひとつ先に1つ、そとからのぞうえんはだせない外からの増援は出せないわよ。そのぞうえんにまぎれて増援に紛れて、さらなるじんるいぜったいあくビーストがこないともかぎらない来ないとも限らないから」
237 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:56:37.75 ID:cKUxJcBb0 「増援がないのは仕方がない。そしてどうやって侵入したかは二の次だ。今私たちが話すべきなのは過去じゃない。未来についてだ」 「電脳生命体αへの対応は問題ないのだな?」 「私のブレインによれば、な。最も、サポートできるというのならばしてほしいが」 「無理無理、守護神ゴールキーパーレベルのハッカーじゃなきゃ対抗できない電脳生命体αに対して、生半可な増援なんて足手まといになるだけよ」 「どうかん同感。でんのうせいめいたいあるふぁ電脳生命体αにかんして関してはしゅごしんゴールキーパーにまかせた任せたほうがいい」 「なた木原五行に関してはどうする?」 「そんなのもちろん……」 「そこで私を見られても困るぞ」 「だが、君のブレイン以外にいるかね?かの全能存在パントクラトールに対抗できる存在が」 「……はっきり言うぞ。郭夜は動けない」 「ふざけているのかな?」 「至って真面目さ」 「だったらどうして動かないの!あの全能存在パントクラトールに対抗できるのなんて、この統括理事会の中じゃ同じ造られた子供たちプログラムチルドレンの天埜郭夜ぐらいじゃないの!?」 「よく聞け。動けない、じゃない。動かない、と言ったんだ」 「つまーり?」 「伝言だよ。ふざけた伝言だ。郭夜曰く、木・原・五・行・の・目・的・は・私・を・引・き・摺・り・だ・す・こ・と・、だそうだ」 「それを、信じたのか?」 「私は郭夜を信頼している。郭夜がそういうのならば、本当にそうなんだろう」 「ならどうしろというんだ。あの木原五行に対抗できる存在など他にいないだろう」 「そうでもないと思うが、な。もちろん、」 「なにをばかな何を馬鹿な。きはらごぎょうにたいこうする木原五行に対抗するためにひつよう必要なのはぼうりょくじゃなくてちりゃく暴力じゃなくて知略。そしてそのちりゃくをもってるのはわたしたちのなか知略を持ってるのは私達の中じゃあなたのぶれいんブレインだけでしょ」 「そうでもないさ。確かに知略という面ではそうだろうが、別にわざわざ禁忌の木原と知恵比べをする必要はないだろう?」 「と言うと?」 「雪風宗谷。彼女は造られた子供たちプログラムチルドレンでこそないが、忌まわしきブレインの1人なんだから対抗ぐらい出来るだろう?」 「無茶だ。いくらあいつの運が良いつっても限界ってもんがある」 「別に倒せと言っているんじゃない。足止めくらいなら」 「ふざけんなよテメェ。本当に足止め出来るっていうんなら喜んで生贄にしてやるが、無駄死にするって分かってるのにいかせると思うか?」 「いいや、出来るかもしれん」 「……どういう意味だよ。貝積?」 「確かに、彼女1人では不可能だろう。だが、そこに私のブレインを加えればどうだ」 「忌まわしきブレインが2人、……ですか」 「いや、足りねぇな。それでも足りねぇだろ。木原五行に対するには」 「ならば私のブレインも加えよう」 「ついーでに、私の高貴なる一族ブルーブラッドからも人員をだーそう」 「おっ、それならいけるんじゃない?まぁでも〜、もうちょっと武力面はプラスしたいけど」 「武力……、それはあなたが出せるのではないですか?」 「冗談を言ってくれるな。確かに私は兵器関連に強い権限を持っているが、必要となる武力は兵器ではなく人員だろう。つまり強力な能力者。科学兵器をメインにしている私では派遣できんよ」 「だとしたら、人員を出すべきは私か」 「あはは、確かに貴男なら派遣できるだろ〜ね。この能力開発分野に強い影響力を持ってる君なら」
238 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:57:09.39 ID:cKUxJcBb0 「……分かった。超能力者予備集団セブンバックアップから1人だそう。私の息のかかってる人間だ」 「そのレベルだったら私の恋査ちゃんを派遣したほうがましじゃない?」 「ならばどうしろと?」 「いい加減にしたまえ。なぜ、一級品の料理を持っているのにそれを私達に振る舞わない。今は、そんな場面ではないだろう」 「………………非公式超能力者アウターレベル5、か」 「それ以上を、君は持っているはずだがな」 「………………………………………………………」 「言わなきゃわかんないかな?超越能力者レベル5.5って」 「………………………分かっていない」 「何が?」 「超越能力者レベル5.5は、一級品の料理などではない。あれの危険性を、君達は何も分かっていない」 「上から目線のご高説は結構だがな、今は差し迫った危機から目を背けている場合ではないだろう」 「核ミサイルを発射された。だから、私達も報復として核ミサイルを発射する。……そんなことをして何になる?」 「何を恐れているーんだ?」 「同じ結末なのさ。超越能力者レベル5.5を解き放つなど、それでは結局人類絶対悪ビーストを斃せたとしても意味がない。結局の所は全ては終わる。何も変わらないのさ」 「超越能力者レベル5.5とは、それほどの存在だと」 「何のために私が彼を保護監禁していると思っているんだ。外に出すことで起きる被害が、私達の許容を遥かに超えているからだ」 「であれば?」 「さっきも言っただろう。非公式超能力者アウターレベル5を出す。非公式超能力者アウターレベル5ならまだ許容できる」 「でもさ〜、所詮は超能力者レベル5になれなかった非公式アウターな連中でしょ?ほんとに大丈夫な訳?」 「いや、非公式アウターだからってその強さが公式な超能力者レベル5に劣るわけじゃあねぇだろ。確か非公式超能力者アウターレベル5は切り捨てられた枝ってだけじゃなかったか?」 「……しらじらしいですね。再利用リサイクルと言ってしまえばいいではないですか」 「可能性があるモノを伸ばすのは、悪い選択肢ではないはずなのだがな」 「あはは、齎されるかどうかも分からない被害を想像して、戦力を温存してる場合じゃないと思うんだけどな〜。出しちゃえばいいのに」 「先ほども言っただろう」 「まっ、そうはいっても、妾わらわからしたら赭あかつち鰰はたはたなんてそこまでの脅威でもないんだけどね〜」 「……は?なぜ、君がその名、を………………」
239 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:57:58.38 ID:cKUxJcBb0 「「「「「「「「「ッッッッッッッッッッッ!!!!!!!???????」」」」」」」」」 「あはっ!やっと気づいたの?初めまして久し振り!統括理事会の諸君!!!」
240 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:59:12.09 ID:cKUxJcBb0 https://syosetu.org/novel/56774/170.html 携帯版 小説情報 一括表示 縦書き しおりを挟む お気に入り登録 評価 感想 推薦 誤字 閲覧設定 固定 とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 170 / 178 おかしい……、なんでこんな展開になったんだ? 学園都市統括理事会B 絶対的な敗北 いつからそこにいたのか。 いつから会話に参加していたのか。 いったいいつから。 「ご、ぎょう……?」 呆然と、誰かが口にするその言葉。 この場にはいないはずの、たった今話題にしていた、人類絶対悪ビースト位階総序列第三位の名前。 「木原、……五行?」 「そう!あたしの名前は木原五行!人類絶対悪ビースト位階総序列第三位にして全能存在パントクラトールの二つ名を持つ禁忌の木原!木原一族の中の木原一族!」 「……冗談だーろ」 アンドレイが呟く。それは木原五行を除いたこの場の全員が思っていることだった。 気付かなかった。 誰も、誰一人として気づかなかった。 「……トマスはどこだ?」 苦罠がそういった。 「その席には、トマス=プラチナバーグが座っていたはずだ!」 はっ、と複数人が顔を上げた。そう、苦罠の言う通りだ。今五行が座っている席には統括理事会メンバーの1人であるトマス=プラチナバーグが座っていたはずだ。それは会議を始める前に全員が確認している。 潮岸は目線だけで周囲を見渡した。 いない。いない。いない。上下左右前のどこにもトマスはいない。そして自分の後ろにもトマスがいないのは他のメンバーの視線で分かる。ならばどこに、トマスはいったいどこにいった? 「ん〜?あれ〜、どこにいっちゃんたんだろうね〜?」 「お、まえ」 誰かの心拍数が早くなる。 誰かの頬に汗がつたう。 誰かの喉がカラカラに乾く。 そんな中で、苦罠が怒鳴った。 「トマス=プラチナバーグをどうしたんだッ!?」 「分かってるくせに」 泰然自若に五行は答えた。たったそれだけの言葉でトマスの末路が想像できる。 「殺したのですか」 それを実際に口に出したのは親船だった。もっとも端的に想像できる末路。死という名の結末。だが、仮にそんな末路を辿ったのだとすれば違和感がある。 それは、 「死体はどこにいったのか、分かる人いるかな〜?」 「余裕じゃねぇか、随分と」 五行を睨みつけながらアランはそういった。立場が分かっていないわけではない。五行が上で統括理事会が下。既に格付けは成されている。 だから覆す。 統括理事会を舐めるなと、アランは五行を挑発する。 「ここがどこだか分かってんのか?禁忌の木原だか人類絶対悪ビーストだか知らねぇが、俺達の前に姿を現して五体満足で帰れるとでも思ってんのか?」 「くららららら!!!強がり言っちゃって、か〜わいいっ!」 身体を艶めかし気にくねらせながら、五行はあくまでも上から目線で告げた。主導権争いをするつもりは五行にはない。そんなことをしなくても、誰も五行には勝てないと知っているから。 「それとも注目を自分1人に集めさせて、その間に他のメンバーに何か準備をさせるつもりかな?くすくす、でも不思議にさぁ、思わない?はたしてうちはどうやってこの『蠍の間』にきたのだろうかや?」 牽制……、いや五行からすれば牽制ですらない言葉に、裏で準備を進めていた幾人かの動きが止まる。当然、いくら統括理事会メンバーだけの会議とはいえ完全に無防備な状態で来ている人間などいない。親船でさえ最低限の防備をしている。潮岸は駆動鎧パワードスーツ『シェルター』を周囲同化服カメレオンスーツで隠した状態で着ているし、薬味は予あらかじめ己の身体に薬物投与を行って身体能力をあげているし、アランは己のブレインである雪谷宗風からお墨付きをいただいている。 武器はある。 動けるのだ。 人ひとりくらいなら、殺せる。 ただ、 「おかしくないでしょうか?この『蠍の間』はランダムに地下空間を移動するいわば動く密室。会議が始まったら出入口は完全に閉鎖され、外部からの親友も内部からの脱出も不可能になるのに……。あてはいったいぜんたいどうやって『蠍の間』に来たんだよ!?分かる人は手をあ〜げ〜て〜!今なら五行ポイントを100ポイント分あげますよ!」 楽しそうに、心底楽しそうにどうでもいいことを話す五行。 五行がどうやって『蠍の間』に来たのか?なぜトマスが消えたことに誰も気づかなかったのか?トマスの死体はどこにいったのか?確かに気になる。気になるが、それらの優先度は低い。はっきりいってこの場においてそれらの問題はどうでもいい。 今はそんなことよりも、五行にどう対するかという事を議論するべきだ。 (隙だからけだ) 潮岸は思う。潮岸は別に一流の戦士などではない。けれど分かる。偽装でも何でもなく五行は明らかに隙だらけ。その隙は潮岸ならばつける。駆動鎧パワードスーツ『シェルター』を纏っている潮岸ならば、いける。 本当にそうか? (くそ……) 苦罠は思う。こういう事態も完全に想定していなかったわけではない。忠告はもらっていた。郭夜はこういう事態も想定していた。だから、武器はある。だから、生き残れるはずだ。 本当にそうか? (どうしようかな) 奈波は思う。木原五行。人類絶対悪ビースト位階総序列第三位。その脅威は学園都市に来る前から知っている。人口衛星USA-224墜落事件、パリ全インフラ停止事件、他にも多数の大犯罪を犯した人間。そんな彼女が今、手が届くほどに近い距離にいる。どうするべきだ。いくべきか?出来るのか?世界に対する、人類に対する、日本に対する脅威を今、取り除けるのか? 本当にそうか? 「あれ?今笑う所さかいな」 「そうだな……。空間移動テレポート系統……、それも座標指定タイプではなく目印アンカーを設置して移動するタイプ、か?」 言いながら、苦罠は目配せした。統括理事会。学園都市の最上層部にして最暗部。混沌とした悪意の渦巻く屑の巣窟。他人を出し抜き蹴落とすことしか考えていない屑共。 普段は敵同士。どうしようもなく相いれない。 「惜しい!でも外」
241 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 12:59:49.88 ID:cKUxJcBb0 けれどだからこそ分かる。 だからこそ、彼らはある意味で通じ合えている。 最初に動いたのは薬味だった。 「っ!」 薬物による身体強化を施している薬味は100メートル走の世界記録をはるかに超える速度で五行との距離を詰める。瞬きをする瞬間には、とまではいかないが、しかし一般人では到底反応できないような速度。 テーブルの上に乗りあげ、最短距離で五行のもとまでいく。 そんな速さじゃ遅すぎる。 「短慮過ぎない?」 とん、と。 軽くステップを踏んで、本当にほんの少しだけ身体をずらして、五行は薬味の攻撃から逃れた。薬味と五行の距離は今や10センチメートルほどしかない。近すぎる。近すぎるが故に、薬味は五行に攻撃できない。殴るにしても蹴るにしてもある程度の距離は必要なのだ。密着状態では攻撃などできない。 そして五行の位置取りは完璧だった。 (射線が、っ) 亡本も当然動いていた。懐に偲ばせていた半自動組み立て式拳銃を五行に向かって発射しようとしていた。そして実際に発射しただろう。 薬味の身体が五行を庇うような位置に無ければ、だが。 「ちっ!」 「おおお!!!」 薬味の動きにスリーテンポほど遅れてからアランと潮岸が動き始めた。 ……語るまでもない事ではあるが、ここにいる統括理事会メンバーは全員戦う人間ではない。彼ら彼女らは策を練り、指示を出し、上に立つ人間であり、現場で動く人間ではない。 だから言うまでもなく弱い。連係も下手で、数の利を全くいかせていない。 駆動鎧パワードスーツ『シェルター』を着ている潮岸。 雪谷宗風からお墨付きを頂いているアラン・スミシー。 しかしそれでも普通、普通ならば、いかに戦士でないと言えども人一人に勝てないわけがないのだ。 相手が普通の人間であれば、どれだけよかったか。 「な」 「あ?」 何をされたのかもわからなかった。 気が付いた時には2人とも無傷のまま地に這い蹲つくばっていた。 (……た、……てねぇ、だと?) 身体に異常は感じられない。精神操作系能力を使われた形跡もない。外傷はなく、内傷もない。重力の異常も感じられない。拘束されている感覚もない。 にも関わらず全く動けない。 「這い蹲ってろよ雑魚」 嘲り。 それは普段、アランが他者に向けている声色。 だから屈辱だ。 これが人類絶対悪ビースト。 だが、 「…………」 だが、 (そんなことは分かっている) そもそもだ、と潮岸は思う。 そもそも、今潮岸が生きている事自体がおかしいのだ。いや、それを言えばもっと前、五行がわざわざ姿を現したことがおかしい。 [ピーーー]つもりなら殺せたはずだ。いくらでもできたはずだ。だがそれをしなかった。 つまり五行は潮岸たちを[ピーーー]つもりはない……はずだ。 あくまでこの考えは潮岸の推論。だが当たっているだろうと潮岸は考える。でなければとっくに逃げている。最も、逃げられる可能性は0に等しいだろうが。 だからこれはあくまでパフォーマンス。 「そしてさようなら」 瞬きする暇もなかった。 衝撃すら感じなかった。 なのに、いつの間にか吹き飛ばされていた。 「っ!?」 更なる攻撃を行おうとしていた薬味は自分の身体がいきなり宙を滑空していることに驚愕した。 (待っ) 予備動作どころか攻撃後の余韻すら完全に存在しなかった。それが示すところはつまり、木原五行は薬味に対して何もしていないという事、か? いや、いや、いや。 だったらなぜ薬味は吹き飛ばされた? 誰が薬味を吹き飛ばした? 「っ」 何も分からないまま、薬味は吹き飛ばされた勢いで壁に叩きつけられ、 (……………………は?) ダメージが無かった。 確かに薬味は壁にものすごい勢いでぶつかった。壁がスポンジのように衝撃を吸収したわけではない。もちろん薬味側に何らかの保護が生じたわけでもない。勢いを緩めることは愚か、受け身をとろうとすることさえできなかった。 にも拘らず、薬味の身体には一切の外傷が存在しなかった。ちょっとした擦り傷すらも。
242 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 13:00:28.14 ID:cKUxJcBb0 そして射線が開いた。 「――――――」 一段と大きい音が響いて、亡本の持っている拳銃から銃弾が放たれる。その弾丸は一瞬で五行のもとに辿り着き、五行の頭を貫い、 いいや、 「残念!」 「なぁ!?」 あり得ないことに超音速の銃弾を五行は噛んで止めた。そして口の中から弾丸を吐き出して五行は右手でそれをつまんだ。 「べっ〜、まじゅいのぉ……。きゃぴ♡銃弾なんて効くわけないのに、そんなことも分からないの?せっかくだし、返すよ」 指で弾いた。 「ごっ、ぶ」 まず感じたのは痛みではなく熱さだった。熱い、熱い、熱い。燃える様な灼熱の痛みが亡本の脇腹を襲っていた。 信じられないような思いで亡本は視線を下げる。 血濡れていた。貫かれていた。 何に? 「指弾。まぁこれくらいわねぇ?」 言葉の通りだったのだ。亡本が放った銃弾を噛んで受け止めた五行は、今度はそれを指で弾いて亡本に返した。そしてその返された弾丸は見事に亡本の脇腹を貫いた。 久しぶりに感じた痛み。強く感じる命の危機。しかし、と亡本は薄く笑う。 これでいい。これがいい。 潮岸も亡本も薬味もアランだって分かっていた。敵わないことくらい知っていた。亡本たちは戦闘においては素人未満だ。そんな亡本達が禁忌の木原に勝てるわけがない。 だから、敗北したのは全然かまわない。オーケーだ。 (思った未満に、上手くいったわね……。だから上手くやってくれないと困っちゃう) 壁に寄り掛かったまま薬味は動かないでいた4人に意識を向けた。薬味にダメージはない。立ちあがろうとすれば立ち上がれる。でもそれはしない。あたかも酷いダメージを負って立ち上がれないような演技をしつつ、薬味は事態の推移を見守る。 「………………化物が」 「………………………」 「…………じょうだん」 「…………やはり、か」 残ったのは4人だけだった。 統括理事会の中でもアレイスターに次ぐ権力を持っている諦めてしまった賢人、死縁鬼苦罠。 かつては交渉術の達人であったが娘を危険にさらしてしまったことで一線を引いた勇気無き善人、親船最中。 九家が一家、奈落家より学園都市と日本の仲介役としてやってきた日本の守り手、奈落奈波。 中途半端な善性を持つが故に常に苦悩する老人、貝積継敏。 「来 な い の ?」 「無駄な戦いは、しない主義なんだ」 全てを諦めたように苦罠は言った。 勝てない。勝てるわけがない。こうなることは相対した時点で分かっていた。だから秘密裏に作戦を練ろうとしていたのに。 「我々を[ピーーー]つもりならばとっくにそうしているでしょう?何が、目的なのですか?」 「何が目的?何が目的?目的は同窓会だ」 「同窓会?」 「うん、あのね、ごぎょうね、ひさしぶりね、みんなにあいたいなって」 「……みんな?みんなって、まさか……」 「はぁ!皆つったら造られた子供たちプログラムチルドレンの皆に決まってんだろうが!!!アァ!?」 「ならばなぜここに来たのだね。ここには、その皆はいないぞ」 「……そんなことは分かってますよ。…………………でも13サーティーンは相変わらずどこにいるか分からないし、白は私の事嫌ってるし、だから郭夜に接触しようと思ったんですけど、電脳生命体αアルファにハッキングさせてメッセージ送ろうとしたらあやつまさかの物理的回線切断したし、だから輝夜姫の上司経由で同窓会の案内状を送ってもらおうかなって」 「つまりわざわざ『蠍の間』に来たのは、私に会いに来たかったからだと?」 「そうじゃよ」 「ならばどうしてトマスを殺したのですか?いえ、そもそも彼に会いに来ただけというならこの場でなくてもよかったはずでは」 「なるはやだよ。なるは」 とん、と、 木原五行の首が、落ちた。 何で統括理事会メンバーがそろいもそろって戦ってるんですかねぇ……? お前ら戦闘能力ほとんどない設定のはずだろう? 【じゃあ殺しちゃう? 統括理事会メンバーはあたしが全員ころしちゃいました!なんてね☆ さて質問なんだよ! 私、生きてると思う?】
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/10/23(水) 13:01:30.68 ID:cKUxJcBb0 https://syosetu.org/novel/56774/171.html とある暗部の御坂美琴(2周目) 作:一二三四五六 << 前の話 目 次 次の話 >> 171 / 178 いや更新遅くなってごめんなさい。リアルの方で色々忙しくて。 学園都市統括理事会➃ 不死の研究 木原五行の首が胴から分離した。 「………………………………」 沈黙。 それが起きたということは8人全員が把握した。木原五行の首が胴から分離した。誰かが何かをした結果としてそれは起きた。ただ、ただその程度で安心できるのかといえばそれは偽だ。 「ころせた、の?」 「――――――――――――」 奈落の呟きには誰も答えられなかった。 それは何も奈落に意地悪をしているという訳ではなく、分からなかったからだ。 誰も、木原五行の死に確信が持てなかった。 「首を落とした程度で死ぬとは、到底思えませんが」 「同感だな。あの木原五行が、この程度で死ぬとは思えない」 数十秒が過ぎ、やっと口を開いたのは親船と苦罠だ。4年前の獄天の扉ヘヴンズフィール事件――第一次人類絶対悪ビースト侵攻事件の生き残りである2人は当然人類絶対悪ビーストの脅威を知っている。人類絶対悪ビーストは残虐で、残酷で、残忍で、残刻な……そして何よりも厄介なのだ。 「だがよ、確かに首は落ちてるし血はでてるぜ?これで死んでないっていうのはおかしくねぇか?」 「油断するな、アラン。新人のお前は知らないだろうが、人類絶対悪ビーストが、あの木原五行がこの程度で死ぬとは私には思えない。何度でも言うけど、な」 「人類絶対悪ビースト、ねぇ」 「……ぐっ、流石に、そろそろ意識が朦朧としてきたなぁ」 亡本がそうぼやく。8人の中で一番重傷なのが亡本だった。薬味は壁に叩きつけられただけでノーダメージ。アランと潮岸は謎の力に押さえつけられてはいたがノーダメージ。対して亡本は五行から指弾による攻撃を受け、脇腹を弾丸が貫通してしまっている。数分後には死ぬ、などという出血量ではないが、しかし早めに処置をしなければ命が危ないことは間違いないだろう。 「……薬味クン、君なら軽く処置が出来るのではないかな」 「んー、いくら私が医療関係に太いパイプをもってるっていっても、私自身は別に医者でも何でもないんだけど」 「だが簡易的な治療くらいは出来るだろう?」 「んー」 薬味は亡本の治療にそこまでの積極性と緊急性を感じなかった。別に亡本が死んでも構わないのだ。統括理事会メンバーが減れば、その分だけ利権が増える。だから亡本は死んでも構わない。いや、むしろ死んだ方がいい。 その消極性を感じ取った亡本は、だから提案する。 「貸し1、ということでどうだね?」 「……一応伏せてたんだけど」 そう言って、薬味は亡本に近づいた。 亡本の生存と死亡。貸し1と増える利権。それらを天秤に乗せれば、わずかに亡本を生かす方に傾く。 「……問題は山積みだな」 「後2つに関してはどうしますか?」 「……超能力者予備集団セブンバックアップが人類絶対悪ビーストを確実に殺せるのならば、その議論は必要がなくなるのだがな」 「無理だろ。あいつらは所詮、超能力者レベル5の成り損ないだ。切り捨てられた枝ですらねぇ」 「……恋査を動かすーかな?」 「それは」 別に油断していたわけではない。特に第一次人類絶対悪ビースト侵攻事件の生き残りである6人は、苦罠と親船と貝積と潮岸と亡本と薬味の6人はきちんと警戒していた。 木原五行の死。胴から首が分離した木原五行。首の落ちた木原五行。けれど、本当に木原五行が死んだのかはまだ判断がつかない。 影武者だったのかもしれない。偽物だったのかもしれない。幻覚なのかもしれない。ホログラムを使っているかもしれない。他にも、他にも、他にも。様々な可能性が考えられた。 だから、ちゃんと疑っていた。木原五行はまだ死んでいない――その可能性を、きちんと考慮していた。 会話を続けながらも、警戒はしていた。 けれど、しかし、それでも、だ。 一瞬だった。 確かに全員が目を離した。 重傷を負った亡本に視線が注目した。
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