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【BLEACH×ロンパV3】キーボ 「砕かれた先にある世界」【後編】
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373 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 22:51:02.11 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……百田君達もまた、苦しんでいるんだ」
真宮寺「自分達が、物であるかもしれないということに苦しんでいる」
真宮寺「それを証明しているかのような世界を前に、苦しんでいる」
真宮寺「自分達が、物であるということを裏付けるかような……大多数の認識に苦しんでいる」
真宮寺「まるで、世界全体が自分達を人と認めず……物だと言っているかのような感覚に、とても苦しんでいるんだ」
アンジー「………」
キーボ「………」
374 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 22:52:19.29 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……それで、物だと思い込まされて、終わりを迎えたが最後ーーー待っているは “ 死 ” なのだから」
真宮寺「そうした痛みに……死の恐怖に、百田君達は、心を呑まれそうになっている」
アンジー「………」
キーボ「………」
真宮寺「恐怖を退けるには、あの会話を見聞きして貰うのが一番」
真宮寺「そう判断したからこそ、撮影し、録音したものをーーーさっき百田君達に送ったというわけサ」
375 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 22:53:51.02 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……実際、あの会話は、心に響いた」
キーボ「!」
真宮寺「……どんな自分であろうと、その心と想いは本物」
真宮寺「どのような存在でも本物であり、そこに込められた心と想いもまた本物。その意味が変わることはない」
真宮寺「その言葉が響いたからこそ、君達のあの会話を、何度も繰り返しーーー再生した」
真宮寺「その果てに、僕は、心の底から信じられるようになった」
真宮寺「……たとえ、僕のような存在でもーーー心はあり、想いがある」
真宮寺「そんな僕の中にもーーー誰かの心と想いがある」
真宮寺「その全てが、信じられるものなのだと、誰もが『想い』として昇華しーーー僕の中に込められるものなのだと」
アンジー「………」
376 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 22:55:09.51 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……みんなは、こんな僕に、想いを向けてくれた」
真宮寺「こんな僕だって、変われると信じーーー『想い』を向けてくれたはずなんだ」
真宮寺「ならば、それは、絶対に意味あることだったんだって」
真宮寺「……自分がいかなる存在だろうと、それに心を呑まれなければーーー人を人として、大切にできるって」
真宮寺「そうやって信じれば、『想い』を背負うことができるーーー」
真宮寺「ーーーきっとみんなは、そう想ってくれた」
真宮寺「僕も……心の底からそう想えるようになったんだ」
377 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 22:55:44.42 ID:5pLn/D61O
キーボ「………」
アンジー「………」
378 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 22:56:54.42 ID:5pLn/D61O
真宮寺「断っておくけど……僕はもう、かつて僕の中にいた、 “ あの人 ” に頼る気はない」
真宮寺「かつての僕が、 “ あの人 ” を理由に為したことを、正当化する気もない」
真宮寺「……それでは、絶対に、誰にも報いることができないしーーー」
真宮寺「ーーーさよならは、したくないからネ」
キーボ&アンジー「「………?」」
真宮寺「……僕はきっと、浅ましくて、恥知らずなことを言っている」
真宮寺「だけど、それは、確かな僕の気持ちなんだ」
キーボ「………」
アンジー「………」
真宮寺「君達と、みんなと、さよならをしたく、ないんだヨ」
379 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 22:57:50.65 ID:5pLn/D61O
キーボ&アンジー「「!?」」
真宮寺「……僕は、みんなが、君達が、愛しくてたまらない」
真宮寺「……今日この日まで、関わることを認めてくれた信頼がーーー『想い』が、とても嬉しかったから」
真宮寺「僕さえも、人として扱い、大切にしてくれたその意志にーーー心を動かされたから」
真宮寺「……それを為すこともできる、人の心と想いが、とても美しいから」
キーボ「………」
アンジー「………」
380 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 22:58:38.16 ID:5pLn/D61O
真宮寺「だから、僕は、人の心と想い……その全てを、大切にできるようにならなくてはいけない」
真宮寺「……勝手な価値観や幻想をもって、想いを踏み躙ることーーー」
真宮寺「ーーーそんなことに、もう、 “ 意味は無い ”」
真宮寺「そうした “ 意味 ” を、見出さなくてはならない」
381 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 22:59:35.64 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……僕はもう “ あの人 ” に頼らない」
真宮寺「少なくとも……以前のような形で頼るわけにはいかない」
真宮寺「そう、君達が、以前とは違う形で、神さまと向き合うことにしたようにーーー」
キーボ「………」
アンジー「………」
真宮寺「ーーー僕も、 “ あの人 ” と、違う形で向き合わなくては、ならない」
真宮寺「これ以上、心を離したくない、から……」
382 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:02:17.52 ID:5pLn/D61O
真宮寺(……いずれーーー)
キーボ「………」
真宮寺(ーーーいずれ、別れるとしてもーーー)
アンジー「………」
真宮寺(ーーーそれでも、僕はーーーー)
383 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:03:13.13 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……わかってる。生前、あんなことをして、今さら何を言っているんだって話だヨ」
真宮寺「今回も……結局は勝手な考えで、おかしなことをした」
真宮寺「……生前や今回だけじゃない。他にも、間違えてるところがある、あるはずだ」
真宮寺「それもきっと、たくさん」
真宮寺「僕はどこかでーーー間違え続けているんだ……」
キーボ「………」
アンジー「………」
384 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:04:22.89 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……ごめんなさい」
キーボ&アンジー「「!?」」
真宮寺「夜長さん、キーボ君、ごめんなさい」
真宮寺「君達を……人を、人として、大切にできなくて、ごめんなさい」
真宮寺「君達を、見世物にして、ごめんなさい」
真宮寺「死んでも自分を変えられなくてごめんなさい。間違いばかりで、言い訳して、ごめんなさい」
真宮寺「人の心と想いに、報いることができなくて、ごめんなさい」
真宮寺「……君達の、みんなの信頼にーーー」
真宮寺「ーーー『想い』に、報いることができなくてーーー本当にごめんなさい」
385 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:06:01.09 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……ごめ、ん、なさい……っっ、!!」
386 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:07:32.23 ID:5pLn/D61O
キーボ「………」
アンジー「………」
387 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:09:20.69 ID:5pLn/D61O
アンジー「……是清?」
真宮寺「……夜長、さん、?」
アンジー「……謝るのは、アンジーたちにだけじゃないよね?」
真宮寺「!」
キーボ「………」
アンジー「……今日でなくても良い。時間がある時、いろいろ思い出したり、考えてからでも良い」
アンジー「……アンジーや他の人と、相談してからでも良い」
388 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:11:27.27 ID:5pLn/D61O
アンジー「……誰だって、間違える」
キーボ「………」
アンジー「そうなる理由は……いっぱいあるから」
真宮寺「………」
アンジー「……予想外なこと、誰かと一緒にいられる嬉しさ、そのふたつが混乱や油断を招くことだってあるしーーー」
アンジー「ーーーあるいは、望んだ “ 結果 ” を求めるあまり、おかしくもなってしまう」
キーボ「……!」
真宮寺「……っ、」
389 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:12:57.10 ID:5pLn/D61O
アンジー「……そうした間違いの何もかもに、自力で気づけるとは限らない」
真宮寺「……!」
アンジー「何がどこまでいけなかったのか? その上で、自分にこれから何ができるのか?」
アンジー「ひとりじゃ気づけないことだってある」
アンジー「 “ 死 ” という不安を前に、心が追い詰められていたのなら、なおさら……」
真宮寺「………っっ、!!」
キーボ「………」
アンジー「……だから、少し時間をかけても良いし、アンジーや他の人と相談してからでも良い……」
アンジー「……それから、いつか全員に、しっかり謝らないとねー?」
アンジー「でないと……罰が当たっちゃうんだよ?」
390 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:14:15.93 ID:5pLn/D61O
真宮寺「…………そう、だネ」
アンジー「………」
真宮寺「君の言う通りだヨ、夜長さん……」
キーボ「………」
真宮寺「……僕は、謝る」
真宮寺「自分の、何がどこまでいけなかったのか? その上で、自分にこれから何ができるのか? 考え続けなくてはならない……」
真宮寺「……そうして、いつか必ずーーーー」
391 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:15:04.93 ID:5pLn/D61O
真宮寺「ーーー謝る、ヨ……」
392 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:17:07.29 ID:5pLn/D61O
アンジー「……落ち着いたら、また 【鰤清劇場】お願いね?」
真宮寺「!」
キーボ「………」
アンジー「キーボが来る前にも言ったけどーーーアンジーは是清の劇場がとても嬉しい」
アンジー「……是清は、聴く人を想って、自分なりに、何かをわかりやすく説明しようとしてくれてる」
アンジー「それが、アンジーはとても嬉しいの」
真宮寺「……!」
アンジー「ーーーそれに、是清は、もっと人の心を……想いを大切にできるようになりたいんでしょ?」
アンジー「だったら、お客さんの期待を裏切ったらダメだよ?」
393 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:18:09.69 ID:5pLn/D61O
アンジー「……それも、一緒の家に住む、お客さんの期待でーーー」
アンジー「ーーーこれからも、一緒に住み続けるんだからーーー」
真宮寺「……!!」
アンジー「ーーー楽しみに、してるから……」
真宮寺「………」
394 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:20:25.67 ID:5pLn/D61O
キーボ「…………これだけは、言わせて貰います」
真宮寺「……キーボ、君、?」
キーボ「キミが見聞きしていたあの会話ーーー」
キーボ「ーーーそれができたのは、キミの気持ちが、ボクの心の奥深くに、残っていたからでもあるんです」
真宮寺「!!」
キーボ「生前のキミと、死後のキミーーー」
キーボ「ーーーその両方の、気持ちが残っていた」
キーボ「他ならない、今のボクの心の、奥深くに、です」
真宮寺「………」
アンジー「………」
395 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:21:28.68 ID:5pLn/D61O
キーボ「だからこそ、ボクはコトダマが時に “ 死 ” を招くと理解した上でーーー」
キーボ「ーーー【どう向き合い】【どう生きるか】ーーー」
キーボ「ーーー【その答えを見出し】【表現することができた】」
キーボ「……ボクは、これからも、そうあり続けようと思います」
キーボ「それが、報いることでもある」
真宮寺「………」
アンジー「………」
キーボ「……先ほど、この場に放たれた気持ちーーー」
キーボ「ーーーその全ては、既にもう、この心の中にーーーー」
396 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:22:25.14 ID:5pLn/D61O
アンジー「………」
真宮寺「……キーボ、君……」
キーボ「……それだけ、です」
397 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:22:59.26 ID:5pLn/D61O
真宮寺「………」
真宮寺「…………」
真宮寺「………………」
398 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:23:43.25 ID:5pLn/D61O
真宮寺(ーーーごめんなさい、キーボ君、夜長さんーーー)
真宮寺(ーーー本当にごめんなさい)
真宮寺(ーーーそして、ありがとう)
キーボ「………」
アンジー「………」
真宮寺(ーーー本当に、ありがとう)
399 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:27:11.57 ID:5pLn/D61O
キーボ「ーーー真宮寺クン」
真宮寺「ーーー?」
キーボ「さっき、今日中に、百田クン達が来ると言っていましたがーーー」
キーボ「ーーーそれは、今からどのくらい後になりますか?」
400 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:28:02.74 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……ちょっと待っててネ」ガサゴソ
真宮寺(さっきの返信メールの、全員での到着予定時刻と現在の時刻ーーー)カパッ
真宮寺(ーーーそれらを比較するとーーー)
キーボ「………」
真宮寺「ーーー伝令神機の時刻表示によれば、あと三十分近くはあるネ」
401 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:31:49.72 ID:5pLn/D61O
キーボ「ーーーなるほど」
アンジー「……うんうん、やっぱり、どんなに早く行こうとしてもーーー時間はかかっちゃうよ」
アンジー「……向こうも、忙しかったり、出かける準備だったりで、いろいろ大変だろうからねー……」
真宮寺「……それに加えて、瀞霊廷(向こう)では、空間転移装置の設置が “ 基本 ” 認められていない」
キーボ「………」
真宮寺(……そう、もし旧総隊長の危惧通り、装置を悪利用された場合ーーーその『責任』を取れる立場でなければ、設置も私的な利用も許されない……)
真宮寺「……それらを考慮すれば、移動に時間がかかってしまうのは、仕方のないことだと思うヨ」
402 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:33:17.49 ID:5pLn/D61O
キーボ「……それでは、今のうちに情報共有をしませんか?」
真宮寺「? 情報ーーー」
アンジー「ーーー共有?」
キーボ「……ボクは、この世界でキミ達に再会した時、嘘を言ってしまいましたから……」
403 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:34:11.72 ID:5pLn/D61O
真宮寺&アンジー「「!!」」
キーボ「……なぜ、【超高校級が集められて】【コロシアイをさせられたのか】ーーー」
キーボ「ーーーそれが、わからないという、嘘を」
キーボ「そのことは、もう、察しているはずです」
真宮寺「………」
アンジー「………」
キーボ「だから、空いている時間を使って、ボクの知っている真相を話したいんです」
404 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:36:23.46 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……このタイミングでそれをする理由は?」
キーボ「それは、主に二つあります」
アンジー「……ふたつ?」
キーボ「まず、一つ目の理由ですがーーー」
キーボ「ーーーここでボクが真相について話しても、現状それを共有するのが、ここにいるキミ達だけで済むということです」
真宮寺「………」
キーボ「ボクの聴力をもってしても、キミがこの天井裏部屋……修練場のすぐ近くの空間に潜伏していることには気づけませんでした」
キーボ「そう、キミの呼吸音などに、まったく気づくことができなかった」
キーボ「そのことから考えて、この空間の音は、絶対に外に漏れない仕組みのはずです」
キーボ「ならば、ここでボクが真相について話しても、現状それを共有するのは、ここにいるキミ達だけで済む」
キーボ「つまり、話している最中に百田クン達がこの家に到着したとしてもーーー彼らはこの空間の外にいるため、会話内容がうっかり伝わってしまう可能性はない」
アンジー「………」
405 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:38:15.07 ID:5pLn/D61O
キーボ(……もし、百田クン達が何らかの方法で、この空間内に入ったとしてもーーーこのくらいの広さの空間ならば、入って来た時点で気づけるはずです。ボクの聴力があれば)
キーボ(そして、気づいた時に、いったん話を切り上げれば、会話内容が伝わることはない……)
キーボ「……とにかく、ここでボクが真相について話しても、現状それを共有するのは、キミ達だけで済む 」
キーボ「そうではありませんか、真宮寺クン?」
406 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:41:03.57 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……その通りだヨ、キーボ君」
キーボ「………」
真宮寺「この空間の音が、外に漏れることは絶対にない」
アンジー「……それは、ここにいるアンジーたち、全員で話してもー?」
真宮寺「……そうだネ」
真宮寺「三人がかりでも……いや、それ以上の人がいたとしても、それらの声は決して外に漏れたりなどしない」
真宮寺「この空間から、下の修練場の音を聴くことはできても、逆は絶対にできない」
真宮寺「そこは、確かに保証するヨ」
407 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:43:42.28 ID:5pLn/D61O
キーボ(やはり、そうでしたか……)
キーボ(……しかし、そこまで音漏れ対策ができているとなると、空鶴さん達……アンジーさんを心配していただろう他の人達も潜伏していた可能性がーーー)
真宮寺「………」
キーボ(ーーーまあ、潜伏していたかどうかにつきましては、後で確認を取れば済む話。今どうこう言うべきことではありませんね)
キーボ(……もっとも、本当に空鶴さん達も潜伏していたのなら、流石に彼女達にもいろいろと物申さなくてはならなくなりますがーーー)
キーボ(ーーーその内容については、また後で考えるとしましょう)
キーボ(いま、やるべきことはーーーー)
408 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:44:15.43 ID:5pLn/D61O
アンジー「……それで、それで? ふたつ目はー?」
キーボ「………」
アンジー「ふたつ目の方は?」
キーボ「………」
アンジー「……キーボから、いま真相を話そうとするーーー」
アンジー「ーーーふたつ目の理由はー、何ー?」
409 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:49:43.89 ID:5pLn/D61O
キーボ「二つ目の理由……それは、備えるためです」
アンジー「備える……?」
キーボ「これから、全員に向けて、ボクの知る真相を伝える必要が出てくると思います」
真宮寺「………」
キーボ「それは、時間を置いてから実行した方が良い場合もあるでしょうしーーー」
キーボ「ーーー百田君達と再会してすぐ実行することになるかもしれません」
キーボ「百田君達が、真相を受け入れられる精神状態にあれば、きっとそうなるでしょう」
キーボ「……問題を、早めに解決できるに、越したことはありませんから」
アンジー「………」
410 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:51:26.00 ID:5pLn/D61O
キーボ「……それでもし本当にそうなった時、よろしければお二人には、合いの手を入れるなどサポートして欲しいのです」
真宮寺「サポート……」
キーボ「ええ、サポート」
キーボ「アンジーさんが、今日まで真宮寺クンの話に、合いの手を入れてくれた時のように、二人でボクの話をサポートして欲しいのです」
アンジー「………」
キーボ「お伝えする内容が内容なので、サポート……備えがあった方が、よりみんなも受け入れやすくなると判断しました」
キーボ「なので、よろしければ、そのためにもどうか聞いては頂けませんか?」
キーボ「ボクの知る、真相を」
411 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:52:26.59 ID:5pLn/D61O
真宮寺「………」
アンジー「………」
412 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:53:17.61 ID:5pLn/D61O
アンジー「……アンジーは、良いと思うよー?」
キーボ「アンジーさん……」
真宮寺「………」
アンジー「……きっとショックな話なんだろうけどーーー」
アンジー「ーーーそれでも、今の、アンジーが信じたいものが、きっと本物だろうから」
アンジー「それを思えば、大丈夫」
キーボ「………」
アンジー「だから、アンジーは聞く」
アンジー「そうして、アンジーは、キーボの、支えになりたいな」
413 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:54:11.22 ID:5pLn/D61O
真宮寺「……僕も、同意見だヨ」
アンジー「………」
キーボ「………」
真宮寺「……夜長さんがそう言ったから、僕もそうするとかじゃない」
真宮寺「僕は今回、夜長さんと同じことを思ったーーー」
真宮寺「ーーーただ、それだけ」
真宮寺「紛れもない、僕自身の責任だ」
真宮寺「その上で、ぜひ真相を、伝えて欲しい」
414 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/26(土) 23:54:49.25 ID:5pLn/D61O
キーボ「……わかりました」
キーボ「そして、ありがとうございます」
キーボ「覚悟して、頂いて」
アンジー「………」
真宮寺「………」
キーボ「……それでは、真相を、お伝えします」
キーボ「実はーーーーーー」
ーーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーー
ーー
415 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 01:58:17.12 ID:WKShCB+kO
キーボ「ーーーということなんです」
アンジー「………」
真宮寺「………」
キーボ「……以上が、ボクの知っていることの全てです」
416 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 01:59:55.63 ID:WKShCB+kO
アンジー「………」
真宮寺「………」
417 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:01:11.11 ID:WKShCB+kO
キーボ(……何も返事がない)
キーボ(無理もないことですね……)
キーボ(……ですが、アンジーさん達ならば、きっとーーー)
真宮寺「ーーー妙だネ」
418 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:02:04.86 ID:WKShCB+kO
キーボ「ーーーへ?」
アンジー「ーーーうん、おかしい」
真宮寺「どうなっているのだろうネ? これは?」
アンジー「うーん……」
キーボ「……ち、ちょっと待ってください」
アンジー「………」
真宮寺「………」
キーボ「どこがどう、おかしいんですか?」
419 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:04:22.22 ID:WKShCB+kO
真宮寺「……いや、もし君が述べた通りの内容が真相だとするならばーーー完全に矛盾するんだ」
真宮寺「そう、僕達が、尸魂界(こっち)に住んでいる人達から聞いた、現世の情報と」
アンジー「もし、キーボの言う通りなら、二ヶ月もここにいたアンジー達が、そのことを知れなかったのはおかしいよねー?」
キーボ「………」
真宮寺「……僕達が聞いた限りでは、現世は君が言うような世界じゃないはずだしーーー」
真宮寺「ーーーそれに加えて、君が終わらせたという “ それ ” も、まだ終わっていないはずだ」
キーボ「………!?」
真宮寺「 “ それ ” は、君が先ほど述べていたようなものですらなくーーー通常の遊戯として、今も続いているはずなんだ」
キーボ「………」
アンジー「……どうなってるんだろうねー?」
真宮寺「やはり、これはーーーー」
420 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:05:01.44 ID:WKShCB+kO
キーボ「ーーーやはり、死神が情報操作しているんでしょうか?」
421 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:08:18.20 ID:WKShCB+kO
真宮寺「ーーーうん?」
アンジー「……どういうことー?」
キーボ「ああ、いえ……」
キーボ「キミ達が述べた矛盾についてはーーー死神が死者に対し、記憶操作を施しているとすれば、説明のつくことだと思っています」
アンジー「!」
キーボ「死神達だって……『自分達』を支え続けてくれたこの世界が、大切で仕方ないはずです。きっと、より良い世界に築かれて欲しいはずなんです」
キーボ「ならば、今の世界の『在り方』が、異なり過ぎる倫理をもって破壊されていくことなど、あってはならないことでしょう」
キーボ「……死神達がボクらと同じ倫理観を持っていると仮定した場合ーーー尸魂界が、 “ 外の世界 ” のようになって欲しいはずがない」
キーボ「『自分達』が築き上げた世界を大切にするあまり、一線を超えることだってあり得ると思います」
キーボ「だから、死神達は、死者が現世で生きていた時の認識……記憶を作り変えてーーー」
真宮寺「ーーーなるほど、そういった考え方もあるんだネ」
422 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:09:06.81 ID:WKShCB+kO
キーボ「……?」
アンジー「………」
真宮寺「……それも考えられない話ではないけれど、僕は別に理由があると考えている」
キーボ「……どういうことですか?」
真宮寺「君達がまだ、辿り着けていない先があるということサ」
キーボ「………??」
423 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:10:19.16 ID:WKShCB+kO
真宮寺「……ひょっとしたら、死神の上層部はそれを知っているのかもしれないネ」
キーボ「……はい?」
真宮寺「詳細はわからないけれどーーーおそらく僕達は、霊なる存在が引き起こした事件に巻き込まれたんだ」
真宮寺「それも、死神の上層部しか知ることを許されないような……大事件に」
424 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:11:53.29 ID:WKShCB+kO
キーボ「……えっ、?」
真宮寺「……そうでも考えないと、説明のつかないことがある……」
キーボ「………」
アンジー「………」
真宮寺「……今の状況にしてもそうだ」
真宮寺「【僕達全員が霊力に目覚めた】この状況ーーーあまりにも不自然じゃないかな?」
425 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:14:57.80 ID:WKShCB+kO
キーボ「!」
アンジー「………」
真宮寺「……いや、DNAにもよるようだけどネ?」
真宮寺「当人のDNAによっては、尸魂界などの特殊な環境にいることで、霊力を得たり取り戻したりするケースもあるようだけどーーー」
真宮寺「ーーーある程度の条件を満たさない限り、一時的なものでしかないという話だ」
真宮寺「……僕達ほぼ全員が、恒久的な霊力に目覚めるなんて、どう考えても不自然なんだ」
キーボ「………」
真宮寺「しかも、キーボ君以外は、【尸魂界の同じ時間の同じ場所】に送られた」
真宮寺「心中したわけでもないのにネ」
真宮寺「これは、霊なる存在が僕達に何かしらの干渉をした結果としか思えない」
426 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:17:47.53 ID:WKShCB+kO
アンジー「…… “ あれ ” のファンの、悪い幽霊軍団の仕業かな?」
キーボ「!?」
アンジー「悪い幽霊軍団が、自分たちで楽しむために……アンジーたちを使ったのかな……?」
真宮寺「……そうだネ。そうした霊なる存在が、何らかの理由をもって、非公式に真似事を行った」
キーボ「………!!」
真宮寺「そして、それはキーボ君達が終わらせたわけだけどーーー」
真宮寺「ーーーそれこそが、霊なる存在の撃退に繋がり、今の状況に繋がったのかもしれない」
427 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:19:48.24 ID:WKShCB+kO
キーボ「ーーーはい?」
真宮寺「……僕らの巻き込まれた “ あの事件 ” ーーー」
真宮寺「ーーーそれは、【放っておけば】【尸魂界に甚大な被害をもたらすもの】だった」
キーボ「………!?」
真宮寺「死神の上層部は、それに気づいたんだ」
真宮寺「だから、それを終わらせた君達には、感謝している」
キーボ「………」
アンジー「………」
428 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:22:20.62 ID:WKShCB+kO
真宮寺「……本当は直接お礼を言いたいけどーーー “ あの事件 ” は、混乱防止のため、死神の上層部以外は知ることを許されない重大機密となっている」
真宮寺「それも、特別な場所でもない限り……口にすることすら許されない程の機密となってしまっている」
真宮寺「故に、直接的にお礼を言うことは叶わなくてーーー」
真宮寺「ーーーお礼は君達に対する厚遇という形だけで、行われることになった」
キーボ「………」
アンジー「………」
真宮寺「だからこそ、キーボ君達と親しい関係にあった夜長さんは、ここで雇われーーー恵まれた部類の生活を送ることが可能となった」
アンジー「………!」
キーボ「……!?」
真宮寺「だからこそ、キーボ君が瀞霊廷に住む申請が通った」
真宮寺「そういうこと、なんじゃないかな?」
429 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:23:06.35 ID:WKShCB+kO
キーボ「………」
アンジー「………」
430 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:24:01.51 ID:WKShCB+kO
真宮寺(……キーボ君と夜長さんが見たという “ 夢 ” ーーー)
真宮寺(ーーーあるいは、それも、何かしらの関係がーーーー)
431 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:25:21.25 ID:WKShCB+kO
アンジー「……うーん、なんかフワフワし過ぎてよくわかんないやー」
キーボ「ーーー確かにこの話、どうにも、全体的に、あやふやな印象を受けます」
キーボ「…… “ あの事件 ” が、【放っておけば】【尸魂界に甚大な被害をもたらすもの】という話ですがーーーあれで具体的にどんな被害をもたらすというんですか?」
真宮寺「………」
キーボ「……もし、あれのために、一年に百人ずつ亡くなったとしても、世界全体の魂魄バランスを揺るがすわけではないでしょう……」
キーボ「人は、何十億と生きているのですから」
キーボ「そうした観点から見て、尸魂界に甚大な被害が出るとは考えづらいのですがーーーー」
432 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:26:20.74 ID:WKShCB+kO
真宮寺「ーーーまァ、自分でもかなり飛躍した話だとは思っているヨ」
キーボ「………」
真宮寺「君の疑問に対する解も持っていない」
真宮寺「根拠に乏しい、虚構の推論と言わざるを得ないヨ」
433 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:27:28.73 ID:WKShCB+kO
真宮寺「……だけど、まったくあり得ない話ではない。違うかい?」
キーボ「……もちろん、絶対にあり得ないとは言いきれませんがーーー」
アンジー「………」
キーボ「ーーーそうだとしても、現状それが本当であるか確かめることはできないでしょう」
キーボ「……そういった、 “ 夢 ” のような、真相だったとしてもーーー」
真宮寺「!」
キーボ「ーーー確かめる術は、ない」チラッ…
アンジー「……?」キョトン
434 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:28:26.09 ID:WKShCB+kO
キーボ「……それでも、確かめようと言うのならばーーー相応の立場が、必要になる」
アンジー「………」
435 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:34:27.05 ID:WKShCB+kO
キーボ「たとえるなら、様々な人の心と想いを大切にできる『歯車』ーーー」
キーボ「ーーーそんな、立場が、必要になるでしょうね」
436 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:35:47.03 ID:WKShCB+kO
真宮寺「……?」
アンジー「………??」
キーボ「………」
真宮寺「……君は、何を企んでいるのかな?」
437 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:36:21.28 ID:WKShCB+kO
キーボ「……さあーーー?」
アンジー「………」
真宮寺「………」
キーボ「ーーーなんでしょうね?」
438 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:37:00.03 ID:WKShCB+kO
……ガチャガチャッ!
キーボ&アンジー「「!?」」
真宮寺「………」
バンバンバンッ!!
439 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:37:46.91 ID:WKShCB+kO
キーボ(……扉を、叩く音ーーー)
アンジー(ーーーガチャガチャバンバン…下からーーー)
キーボ(ーーーつまり、これはーーー)
真宮寺「ーーー来たようだネ」
440 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:38:50.43 ID:WKShCB+kO
真宮寺(……予定よりも早い到着だネ。それだけ急いで来てくれたってことなんだろうけどサ)
キーボ「………」
アンジー「………」
真宮寺(……とにかく、まずは、下まで降りてーーー)ピッ
キーボ&アンジー「「!!」」
ヒュウンッ……!
ーーーーーーーーーー
ーーーーーー
ーーーー
ーー
441 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 02:43:32.27 ID:WKShCB+kO
ー志波家の屋敷・修練場ー
キーボ「………」
アンジー「………」
ガチャガチャ……ダンダン!
真宮寺「ーーー今から、開けるヨ」ガチャッ…
バタン……!!
キーボ「………っ、!!」
ダダダッ……!!
赤松「……っ、キーボ、くん……!!」
442 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:10:17.48 ID:WKShCB+kO
キーボ「あっーーー」
アンジー「………」
ゴン太「……ああ! やっぱり、キーボくんだ!」
天海「……キーボ君……!」
赤松「また会えたね……! 私だよ! ピアノバカの、赤松楓だよ!」
キーボ(赤松さん、ゴン太クン、天海クン……!)
443 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:11:39.69 ID:WKShCB+kO
茶柱「ううっ……お久しぶりですね、キーボさん! 再会できて、転子は喜ぶべきなのか悲しむべきなのか……」
東条「それは難しい問題ではあるけれど……少なくとも茶柱さんには喜ぶ権利があると思うわ」
星「……それに、この尸魂界じゃ、生前の知り合いと再会なんて、なかなかにできることじゃねえからな」
星「喜んだって罰は当たらねえだろうよ」
茶柱「……そうですね! それでは、転子は全力で喜びます! 会えて嬉しいです、キーボさん!」
キーボ(茶柱さん、東条さん、星クン……!)
444 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:13:03.44 ID:WKShCB+kO
入間「……ひゃーっひゃっひゃっ! 久しぶりだなあ、キーボ!!」
キーボ(入間さん!)
ゴン太「……い、入間さん!? まだ目赤いよ!? 大丈夫!?!」
入間「うるせえぞ、ゴン太! ……んなことよりも、キーボ!どうだった? オレ様の発明の味は!」
入間「ロボのオメーでもイッちまったかあ?」
キーボ「……ええ!素晴らしい発明でしたよ、入間さん!」
入間「……ひううっ、マジメに返されたあ……!」
445 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:14:11.35 ID:WKShCB+kO
王馬「……うんうん、入間ちゃんって、本当に発明だけはすごいよねー!」
王馬「なんたって、ご飯食べられるようになったくらいでーーーロボの口からあんな血液ドロドロのクッサい台詞を吐き出せられるんだからさー!」
王馬「あっ、でもどっちにしろ、鉄クサイことは変わらないかー!」
キーボ(……王馬クン、キミって人は本当にーーー)
百田「ーーーよせ、王馬」
446 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:18:33.29 ID:WKShCB+kO
百田「ーーー入間もだ。こんな時くらい素直になったって良いんだぞ、お前ら?」
王馬「………」
入間「………」
百田「ここには、仲間しかいねーんだから……」
キーボ(百田クン……)
447 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:19:18.69 ID:WKShCB+kO
百田「……そういうこった、キーボ」
キーボ「………」
百田「オメーの『想い』……オレ達が確かに受け取った!」
448 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:20:07.03 ID:WKShCB+kO
キーボ「みな、さん……」
アンジー「………」
449 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:22:00.03 ID:WKShCB+kO
百田「……アンジーのことも、ありがとな」
キーボ「!」
アンジー「………」
百田「オレは、キーボみたいに、やれなかった」
茶柱「……っ、それを言うなら、転子は……! 転子は……!」
赤松「私は……っ、!!」
ゴン太「ゴン太は……っっ、!!」
東条「………」
星「………」
入間「………」
王馬「………」
天海「………」
真宮寺「………」
450 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:23:58.76 ID:WKShCB+kO
アンジー「……ごめんね、解斗、みんな」
アンジー「心配かけて、本当に、ごめんね」
茶柱「なっ、アンジーさんが謝ることじゃーーー」
アンジー「謝るよ」
茶柱「!」
アンジー「だって、アンジーは、差別していたから」
451 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:24:47.50 ID:WKShCB+kO
ゴン太「差別……?」
キーボ「………」
アンジー「……アンジーは、解斗たちのことを、『物』だって思ってた」
百田「………」
アンジー「『すごい才能』があって……そうでなくても瀞霊廷に住めるってだけでーーー」
アンジー「ーーー運良く、『人』になれた、『物』だって、思ってたんだよ」
天海「………」
王馬「………」
452 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:27:26.87 ID:WKShCB+kO
アンジー「……だから、解斗たちを差別して、キーボが来たことを教えなかった」
アンジー「キーボのことを教えないよう、是清にも、キーボにも、口止めさせた」
アンジー「解斗たちが忙しいのを理由に、口止めさせたんだ」
真宮寺「………」
キーボ「………」
アンジー「……勝手な話だよね」
アンジー「忙しくても、そうでなくても……キーボと会うか決めるのは、解斗たちなのに……」
453 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:28:40.53 ID:WKShCB+kO
茶柱「アンジーさん……」
赤松「………」
アンジー「……キーボと是清のことも『物』だってーーー」
アンジー「ーーーそれどころか、アンジーだけの『物』だって思ってた」
キーボ「………」
アンジー「……アンジーは、自分を、『人』だって想いたくて……物であることが嫌でーーー」
アンジー「ーーーそのために、ふたりを、アンジーだけの『物』にしたの」
真宮寺「………」
454 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:31:13.66 ID:WKShCB+kO
アンジー「……『物』だと思っている、だから、アンジーはみんなに黙って、キーボを独り占めしてーーー」
アンジー「ーーー是清の劇場を、聞き続けた……」
真宮寺「……!」
アンジー「……あの時、アンジーは、是清の劇場が嬉しかった」
アンジー「だけど、それはーーー “ 聴く人を想ってるから ” ……だけじゃなかった」
アンジー「……『超高校級の民族学者』は、短い時間で、これだけの知識を持てる、劇場もできる。そんな是清を思い通りにできる自分は『すごい』ーーー」
キーボ「!」
真宮寺「………」
アンジー「ーーーそんな風に思うことも、できたから」
455 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:34:55.08 ID:WKShCB+kO
アンジー「……是清がキーボに、この世界について説明していた時ーーー期待してた」
アンジー「……流魂街と瀞霊廷の違いだとか、それらを聴くことでーーー」
アンジー「ーーーキーボが、アンジーと同じ気持ちになることを……期待してたんだ」
キーボ「………」
真宮寺「………」
アンジー「……是清の説明を聴けば、キーボもアンジーと同じ気持ちになる」
アンジー「そうなれば、誰よりもアンジーを理解して、大切にしてくれるーーー『物』になるだろうって」
アンジー「……そんなことを、期待してたんだ……」
456 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:37:19.91 ID:WKShCB+kO
アンジー「……アンジーだけの『物』ーーー『すごいもの』があれば、誰かに自慢して、誇ることができる」
アンジー「そうして、自分を、『人』だって想える」
アンジー「……それなら、少なくとも人として死ぬことができる。それなら、痛くないし、こわくない。死んだって大丈夫ーーー」
アンジー「ーーーそんな風に “ 死 ” から目を逸らして逃げていた」
アンジー「……真剣に向き合おうとしなかった」
入間「………」
アンジー「……人を『物』にすること」
アンジー「それは、人を “ 死 ” に近づけることなのに……」
アンジー「…… “ 死 ” と向き合っていないから、簡単に踏み切れる……」
457 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:38:57.96 ID:WKShCB+kO
アンジー「……そうやって逃げてーーーキーボと是清を、アンジーだけの『物』にした」
アンジー「解斗たちのことも……運良く『人』になれた『物』だって、差別したままーーー」
アンジー「ーーーいや、自分の思い通りにしていい『物』をふたつも持てた、アンジーの方が『すごい』ーーー」
アンジー「ーーーきっと、そんな風にだって、思ってた」
アンジー「……アンジーは、そういうことをしていたんだよ……」
キーボ「………」
真宮寺「………」
458 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:41:00.16 ID:WKShCB+kO
アンジー「……そんなの、おかしいのに」
アンジー「キーボも、是清も、解斗たちもーーー人だったのに」
アンジー「だから、『物』にされることが、悲しかった」
アンジー「……気分ひとつで、価値のない物にされてしまうのがーーー嫌だった」
アンジー「……そのまま、終わりを迎えることの、痛みがわかる」
アンジー「……死の恐怖がわかる」
アンジー「わかるから、解斗たちも是清も、踏み出すことができなかったんだよ」
459 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:41:40.05 ID:WKShCB+kO
百田「………」
赤松「………」
茶柱「………」
天海「………」
ゴン太「………」
東条「………」
星「………」
入間「………」
王馬「………」
真宮寺「………」
キーボ「………」
460 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:44:16.29 ID:WKShCB+kO
アンジー「……そうした痛みとこわさーーー “ 死 ” に、耐えられそうになかった」
百田「………」
アンジー「……解斗たちも是清も、他の人から『超高校級』の意味を、聞いてしまってた」
アンジー「それで、自分達が、物かもしれない現実ーーー」
アンジー「ーーーそれを突き立てられた……」
茶柱「………」
アンジー「……そんなことされたら、苦しくてたまらない」
アンジー「自分を、しっかりと信じきれなくなって……耐えられなくなっても、おかしくない」
アンジー「耐えられないまま、間違えるのが嫌だった。踏み外してしまうことがこわかった」
アンジー「……言葉を大きく間違えれば、 “ 死 ” を招くことだってあるんだから……」
真宮寺「………」
461 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:45:42.16 ID:WKShCB+kO
アンジー「……みんな、それが嫌だった。優しい人だった」
アンジー「作り物だとか、そういうことに呑まれない。強い『人』だった」
アンジー「……だから、上手くやれなかった、踏み出せなかった」
赤松「………」
アンジー「……それでも、踏み出そうと、解斗は立ち上がってくれたけどーーー」
アンジー「ーーー解斗も、アンジーの言葉を前に踏み出せなかった」
百田「………」
アンジー「……今の自分から才能や立場がなくなっちゃえば、価値が減っちゃう感じがするからーーー」
アンジー「ーーーそうやって、もっと物にされる感じがして、 “ 死 ” がさらに近づいてしまうような気がしたんだよね?」
462 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:46:34.80 ID:WKShCB+kO
アンジー「……それが、すごく苦しかった」
アンジー「踏み外しそうになるくらい……こわかった」
百田「………」
アンジー「だから、解斗は “ あの時 ” 何も答えられなかったんだよ……」
463 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 13:56:47.54 ID:WKShCB+kO
アンジー「……なのに、アンジーは、隠した」
アンジー「…… “ あの時 ” 、解斗たちの気持ちが、言葉に込められてたはずなのに」
アンジー「……是清がアンジーのためにいろんなお話をする時だってーーー是清の気持ちが、言葉に込められてたはずなのに」
アンジー「そう、アンジーを、信じて必要としてくれた気持ちが、込められてたはずなのに」
アンジー「……こんなアンジーを! 人として扱ってくれた! 確かな気持ちが、込められていたはずなのに……!」
アンジー「……アンジーは、隠した」
アンジー「……昨日、アンジーが……! キーボの気持ちを踏みにじった時のように……! 隠した……!」
キーボ「………」
アンジー「みんなに嫉妬して差別してーーー雲で隠したんだ……!」
464 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 14:00:55.36 ID:WKShCB+kO
アンジー「……ごめんね」
百田「………」
キーボ「………」
真宮寺「………」
アンジー「……本当に、ごめんね……っっ、!!」
465 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 14:02:09.56 ID:WKShCB+kO
百田「………」
キーボ「………」
真宮寺「………」
茶柱「………」
赤松「………」
ゴン太「………」
天海「………」
東条「………」
星「………」
王馬「………」
入間「………」
466 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 14:02:53.35 ID:WKShCB+kO
百田「……オメーの言いたいことは、よくわかったぜ、アンジー」
アンジー「………」
百田「……だから、その答えを、今ここで言ってやる」
アンジー「……?」
百田「……ありがとよ」
467 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 14:07:30.58 ID:WKShCB+kO
アンジー「!?」
百田「オメーの気持ち、オレ達が確かに受け取った!」
アンジー「………?!?!」
百田「アンジー! オメーは謝った!」
百田「それは、自分の胸の痛みやこわい気持ちと……真剣に向き合ったってことだ!」
百田「……弱さと向き合って、苦しんで! それでも『自分』を信じてーーー」
百田「ーーーそうした勇気……『想い』と共に! オレ達の元に踏み出してくれたってことだ!」
百田「オレ達の全てを、大切にしてくれたってことなんだ!」
アンジー「……!」
468 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 14:09:28.15 ID:WKShCB+kO
百田「……そいつは、オレ達のことを、人として見ていたってことだ! だからこそ、できたことなんだ!」
百田「物でもなければ『物』でもねえ……かけがえのない人なんだって!」
百田「そう認める気持ちだって、オメーにはあった! だから、それを信じて、やってのけた!」
百田「だったら、ボスとして、礼を言わねえわけにはいかねえ!」
百田「そうだろ!」
アンジー「解斗……!」
キーボ(百田クン……!)
百田「オレ達はオメーを許すぜ、アンジー!」
469 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 14:10:09.41 ID:WKShCB+kO
アンジー「……っ、でも、アンジーはーーー」
百田「ーーーそれでも、オメーが納得できないってんならーーー」
アンジー「………」
百田「ーーーオメーもオレ達の『想い』、受け取ってくれ!」
470 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 14:11:21.79 ID:WKShCB+kO
アンジー「……解斗たちの、『想い』?」
百田「そうだ! オレ達と一緒に、何かやろうぜ!」
アンジー「!?」
百田「内容はなんでもありだ!」
百田「アンジーとキーボと一緒に! 絵を描いたりーーー」
百田「ーーーカルタや花札で遊んだりでも良い!」
百田「オレ達とも一緒に何かして、『想い』を残してくれ!」
百田「それが、オレ達の『想い』だ!」
471 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 14:21:00.48 ID:WKShCB+kO
王馬「……ホント、百田ちゃんってウザいよねー」
百田「!?」
アンジー「……小吉?」
王馬「勝手に、みんなのことまで決めちゃってさー」
キーボ「……ちょっと、王馬クンーーー」
王馬「……いくら、その答えが決まってるとはいえ、自分以外にもそれを言わせてあげないなんてーーー」
王馬「ーーーボスの名が泣くよ?」
472 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/10/27(日) 14:24:54.70 ID:WKShCB+kO
赤松「ーーーそうだよ、百田くん!」
赤松「私だって、アンジーさんを許すよ! アンジーさんは、友達で! みんなで、楽しく生きたいから!」
茶柱「転子も右に同じです! まったく、これだから男死は!」
キーボ「ボクも、アンジーさんを許します! 一緒に夜空を描きましょう! アンジーさん!」
ゴン太「ゴン太も、アンジーさんを許すよ! それから、みんなで一緒に、虫さんで和みたい!」
入間「む、虫プレイとかぁ……! 一緒にヤるんなら、はじめはもっと別のぉ……っ、!!」
真宮寺「……何をするかは、よく相談した上で決めた方が良さそうだネ」
星「……スポーツに関してなら、いくらか教えられるぜ」
東条「万が一、誰かが怪我するようなことがあれば、いつでも言ってちょうだい。応急処置は私がするわ」
王馬「キー坊の場合は、入間ちゃんに修理して貰うことになるだろうけどねー」
キーボ「なっ、王馬クン! ここでまたロボット差別ですか!?」
入間「ムシすんなよぉ……! それと、キーボは言われずとも直してやるからなぁ……!」
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