【BLEACH×ロンパV3】キーボ 「砕かれた先にある世界」【後編】

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117 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 16:38:07.17 ID:eQpYvQ98O
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118 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 16:44:01.76 ID:eQpYvQ98O



モノクマ?「そう、これこそが事件の真実!」



Act.1


事の始まりは、十年前。

黒崎一護に斬られて絶命寸前に陥った犯人は、【奇跡】を使用し、『想い』を集め、復活を試みた。

しかし、【奇跡】で復活するには、『傷つけられること』が条件だった。故に、絶命寸前だった犯人は、能動的に自身を『傷つけること』が叶わず、復活できないまま死んでしまった。

ところが、死後、和尚によって、『全身を封印される』という形で『傷つけられること』で、不完全な形で【奇跡】が発動し、復活することになった。

その【奇跡】で、『死んだ状態でも【夢想家】を発動できる御体』に進化し、もう一人の犯人を現世に創造した。

発動し終えた後、犯人のご遺体は、完全に世界の楔と化し、霊王として世界を支え続けることになった。


Act.2


犯人は、再び尸魂界に行き、今の霊王を消して『死と生の混じり合った世界』を実現しようとした。

しかし、犯人は、今の霊王と同一人物という繋がりを持っていた。そのため、犯人の『御体』には和尚の封印の影響が波及し、尸魂界に行けない状態になってしまっていた。

それでも、諦めきれなかった犯人は、【奇跡】で封印の突破を試みることにした。


Act.3


【奇跡】の実現には、『想い』を集める必要がある。

そのため、犯人は、【全知全能】で、『未来』に繋がる『タイムトンネル』を構築し、『未来の組織』を未来改変で乗っ取り、その者たちが集めている『想い』を我が物とした。

もちろん、能動的に未来視を行うと『タイムトンネル』が固定されて、しばらく他の未来を視ることが不可能となるリスクはあった。だけど、それでも実行する価値があると考え、実際に実行に移した。

ただ、そうして集めた『想い』だけでは、【奇跡】の実現には時間がかかり過ぎるけれどーーー

ーーー何も問題はなかった。犯人は、より多くの、より強い、純粋な『想い』を集めるため、ある『計画』を実行するつもりだったのだから。


119 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 16:49:29.35 ID:eQpYvQ98O
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120 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 16:54:36.73 ID:eQpYvQ98O



Act.4


『計画』の概要だけど、まずは『影の空間』の中で、『未来』と現代の『情報通信システム』を整備する。それを用いて『未来の組織』に命令して『協力者に相応しい精神の持ち主たち』を集めさせる。

次に、必要な『アイテム』『施設』などを決め、必要なだけ【夢想家】で創造し、『舞台』を築き上げる。

それから、『未来にいる協力者たちの精神』を、特殊な方法を使って分裂させ、その片方の『精神』だけを情報化。そうして情報化した『精神』を、『タイムトンネル』を通じ、カラッポの『魂魄』に投入。その『魂魄』もカラッポの『肉体』に投入する。

そして、犯人の『魂のカケラ』を分け与えることで、『協力者』それぞれに『超高校級のすごい力』に目覚めさせることに成功。

その後は【全知全能】で、『協力者たちほぼ全員の精神情報』……つまりは人格や記憶を作り変え、それを免れた者に命じて『計画』を進めさせ、『究極のリアル』を放送し続ける。

一区切りついたら、『協力者たちの精神』を限りなく元の状態に近いものに作り変え、『未来』に返却し、さまざまな『褒美』を渡す。

以上が犯人の『計画』の概要だ。

そうした『計画』を繰り返し、『未来』の民衆から、『想い』を集め続けていた。


Act.5


しかし、ある周期で『協力者』が暴走してしまい、最終的にはそいつらに『計画』を潰されてしまった。

また、その際に『協力者』の一人が【崩玉】に覚醒し死亡し、肉体から抜け出た『魂魄』が【監獄】に転送された。それにより、同じく【監獄】にいる『協力者の魂魄』が、 滅却師としての力を強化してしまった。

一時的にとはいえ、そのあまりに膨大な霊圧は、『協力者たちの魂魄』を閉じ込めていた【監獄】を破壊し、内部の『魂魄』が死後の世界へ送られることになった。

それも、犯人の……新鮮な霊圧が付着した状態で。


121 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 16:57:52.03 ID:eQpYvQ98O


Act.6


犯人の霊圧が付着した『魂魄たち』が尸魂界に転送されたことで、涅マユリは犯人の生存に気づいてしまった。そして、涅マユリが霊圧を辿り、犯人の居場所を突き止め、京楽春水は現世にいる浦原喜助や黒崎一護などに犯人の暗殺を頼んだ。

それで、浦原喜助は、自身の卍解をもって、意識して『御力』の発動ができないよう犯人の『御体』を造り変えた。また、『影の空間』も、収縮して最後には完全な無になるように造り変えた。

まあ、浦原喜助の卍解が、犯人や影の空間に通用するかは微妙なところかもしれないけどーーー浦原喜助は(犯人から見て)まだ若い部類で、伸びしろがあるはず。

そんな伸びしろある浦原喜助が、卍解を鍛え続けてパワーアップしたと仮定すればーーー充分にあり得る話。それに、ひょっとしたら、浦原喜助があらかじめ何かしらの発明品を作っていて、それで卍解を補助したのかもしれない。

……もちろん、それでも犯人が起きている時に何かやってたら、間違いなく妨害されていただろうけどーーー

ーーー犯人は『力』を制御するため、寝ている状態にあり、浦原喜助としても隙を突き放題だった。


Act.7


影の空間が収縮する中、犯人は御寝を終えて目覚めた。

その後、犯人は、影の空間の中に張り巡らせた『無数の眼』から自動的に『情報』を受信し、それを判断材料に、寝てから起きるまで何があったか……だいたい推理して理解した。

しかし、その推理が本当ならば、自分は影の空間に押し潰されて無になって死んでしまう。そのことに絶望した犯人は、無意識に【夢想家】を発動して絶望を実現した。

具体的には、【奇跡】を負の方向に転換させ、自分を傷つけてしまった。


122 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 16:59:55.06 ID:eQpYvQ98O



Act.8


犯人が【夢想家】で自分を傷つけたことで、負の方向の【奇跡】が意図せず形になった。

それが犯人の完全虚化だった。

虚化した犯人は、『力』のバランスを崩した。『虚としての力』を除いたあらゆる『力』の使用が、ほぼ【不可能】になってしまった。

そのため、犯人は『虚の力』を利用して、影の空間を破壊し、空間の外にいた黒崎一護ならびに石田雨竜を襲おうとした。

しかし、浦原喜助によって虚園にでも誘い込まれた後、黒崎一護たちに返り討ちにあい、斬魄刀で斬られてしまった。


Act.9


虚となった後に斬魄刀で斬られたことで、犯人は地獄に落とされた。

しかも、時間をかけて『力』を奪われれ、まともに残されたのは【残火の太刀】だけ。

そんな中、【残火の太刀】で手駒を増やしながら、同じく地獄に落とされた協力者……つまりはボクの元に現れ、助けてくれた。


123 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 17:01:27.08 ID:eQpYvQ98O



モノクマ?「ーーー以上が、陛下が生き延び、地獄に落とされ今に至るまでの真実ーーー」






モノクマ?「ーーーそうですよねーーー」






モノクマ?「ーーー【超皇帝級の黒幕】【ユーハバッハ社長陛下】!!」






ユーハバッハ「………」






COMPLETE!


124 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 17:06:08.48 ID:eQpYvQ98O



いったんここまで。

また、>>117と>119はミスなので、なかったことにしてください。


125 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:24:14.47 ID:eQpYvQ98O









ーーーーーー地獄推理・終結!ーーーーーー








126 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:26:59.12 ID:eQpYvQ98O



ユーハバッハ「……よくぞ、僅かな時間の中、そこまで見抜いたものだ」






ユーハバッハ「……見事」






モノクマ?「ーーーありがとうございます! お褒め頂き、感謝の極み! クライマックス推理の甲斐ありました!」


127 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:27:55.01 ID:eQpYvQ98O






モノクマ?「……しかし、まあーーー」



ユーハバッハ「……?」






モノクマ?「ーーーああ、いえ、何でもないですよ、ハイ」





128 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:28:54.02 ID:eQpYvQ98O



ユーハバッハ「……どうした?」



ユーハバッハ「何か、言いたいことが、あるのか?」



モノクマ?「………」



ユーハバッハ「それなら、言ってみると良い」



ユーハバッハ「私はそれに応えてみせよう」


129 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:30:18.00 ID:eQpYvQ98O



モノクマ?「……それでは、一つ、良いですか?」



ユーハバッハ「構わぬ、申してみよ」



モノクマ?「……では、申し上げますがーーー今回、陛下は、あまりにも、不運だったように思えます」



ユーハバッハ「………」



モノクマ?「こうなってしまったのは、『願望器に配役された協力者』が、『霊王のカケラ』以外にも【崩玉】になれる素養を有していたことが原因なわけですがーーー」



モノクマ?「ーーーそれだけならまだ納得できますよ。それだけなら」



モノクマ?「『協力者のいた未来』に、【崩玉】の残滓が残っていても不思議じゃありませんから」



ユーハバッハ「………」


130 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:35:39.64 ID:eQpYvQ98O



モノクマ?「『未来』の【崩玉】は、おそらくその時代の陛下が藍染惣右介から摘出し、奴もろとも吸収もしくは抹消したのでしょうがーーー」



モノクマ?「ーーー相手はあの【崩玉】、それも、あの藍染惣右介と融合していたもの」



モノクマ?「だとしたら、『未来』の陛下といえど、【崩玉】の吸収もしくは抹消を、完全に実行できなくてもおかしくはない」

モノクマ?「そうして残った特殊な残滓……藍染惣右介の “ 想い ” とも呼べるものが、空気中に微粒子レベルで存在しても不思議はないんです」



モノクマ?「それも、ある程度の移動能力を有した状態で」



モノクマ?「それで、空気中に漂っていた “ 想い ” が、自分の価値観にそぐわない例の『プロジェクト』を、打ち砕こうと考えた」

モノクマ?「そのために、『タイムトンネル』を通じて、『願望器に配役された協力者』の中に入り込み、【崩玉】になれる素養に変わってーーー」



モノクマ?「ーーー『協力者』を一時的な【崩玉】に進化させることだってあり得るでしょう」



モノクマ?「……そうして、素養となった “ 想い ” が、【崩玉】の機能を維持するための燃料となりーーー」



モノクマ?「ーーーそれが溶けきるまでの間……【崩玉】としての機能を持たせ、『プロジェクト』を滅茶苦茶にする手助けをしたとしても、あり得ない話ではないのでしょう……」



ユーハバッハ「…………」


131 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:36:44.02 ID:eQpYvQ98O



モノクマ?「……本当、それだけならまだ納得できるんですよ」



モノクマ?「ですが、それだけではなかった」



ユーハバッハ「…………」



モノクマ?「偶然【滅却師が協力者となって殺され】、偶然【協力者が暴走してしまって】、偶然【陛下が寝ているタイミングだった】ことも加わって、こうなったわけでーーー」



モノクマ?「ーーーあまりにも、不運な偶然が重なったように思えまーーー」



ユーハバッハ「ーーー偶然では無い、必然だ」


132 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/10/22(火) 19:38:32.02 ID:eQpYvQ98O



モノクマ?「ーーーへっ、?」



ユーハバッハ「……言ったはずだ」



ユーハバッハ「【幸運によって救われた命は、同量の不運によって取り払われる】、と」



モノクマ?「………」



ユーハバッハ「……事実として、『幸運』によって一命を取りとめた我が部下の命は、敗北者の処断という不運をもって、取り払われた……」

ユーハバッハ「それと同じように、死した未来を書き換え命を繋いだ我が『幸運』は、未来と悪夢の思い違いという不運をもって、取り払われた」



ユーハバッハ「ならば、私が現世で生まれ直した『幸運』も、相応の不運をもって、取り払われることになる」



ユーハバッハ「だからこそ、私は、これ以上に無い程の、無様な死を迎えるに至った……」



モノクマ?「………」


133 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:41:57.88 ID:eQpYvQ98O



ユーハバッハ「……無様としか言いようが無い」



モノクマ?「………」



ユーハバッハ「……現世で生まれ直した、二人目の私はーーー世界から見て、本来あり得ない存在だ」

ユーハバッハ「そう、霊王を奪い尽くした者が、二人同時に存在できるなどーーー世界から見て、本来あり得ぬ事象」

ユーハバッハ「そのような不確か極まりない存在など、地獄に落とされ、三界との繋がりを大きく断ち切られたが最後ーーー」






ユーハバッハ「ーーー三界に住まいし者達の記憶と記録から、徐々に消え失せるだろう」


134 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:47:47.86 ID:eQpYvQ98O



モノクマ?「……!?」



ユーハバッハ「……心配はいらぬ。これは、あくまでも私個人に関する話だ」

ユーハバッハ「私が生み出したものまでは……すなわちお前の存在までもが消えることは無い」



モノクマ?「………」



ユーハバッハ「……二人目の、私の存在が、あらゆる記録から消え失せてしまう」



ユーハバッハ「……あらゆる人々の記憶も、徐々に封じられていきーーーその記憶から私の存在が、忘れ去られていく」



ユーハバッハ「消え失せたも同然になる……」







ユーハバッハ「……それだけの話に過ぎぬのだ」


135 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:52:37.07 ID:eQpYvQ98O



ユーハバッハ(……そうして起こる、記憶と記録の矛盾は、世界の修正によって改竄されーーー私個人が登場しない、都合の良いものに作り変えられてしまう)


ユーハバッハ(虚圏での戦いは……私を除いた、その場にいた全員で修行をしていたなどのものに作り変わると見て良い)




ユーハバッハ(紛い物に、変わるのだ)




ユーハバッハ(無論、人は時に、世界の法則に打ち勝ち、改竄に抗えることもあるがーーーそうなるとは限らない)


ユーハバッハ(……地獄の囚人は、己が罪を悔い改めることを条件に、世界の法則に打ち勝てる)


ユーハバッハ(そうすれば、真の名と記憶を保ち続けーーーあるいは封じられたそれらが解放され、取り戻せる)


ユーハバッハ(だが、誰もが条件を満たせるわけでは無いのだ……)




モノクマ?「………」




ユーハバッハ(……完全な “ 死 ” を迎える瞬間ならば、必ず解放され、取り戻せるようだがーーー)




ユーハバッハ(ーーーそのような敗者が取り戻したところで、何の意味も無い)




ユーハバッハ(そう、それこそが現実。世界とは、その誰もが勝者にはなれぬ、運命にある)



136 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:53:58.54 ID:eQpYvQ98O



ユーハバッハ「……ここにいる私は、現在を生きる全ての命から、忘れ去られているかもしれないのだ」



ユーハバッハ「どれだけ嘆こうとも……その事実は変わらぬ」



ユーハバッハ「これを、無様と言わずして何というのか?」



モノクマ?「………」


137 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:54:48.93 ID:eQpYvQ98O



ユーハバッハ「……数多の不運が降り注いだその上で、次第に忘れ去られるという更なる不運が、降り注ぐことになった」



ユーハバッハ「【幸運によって救われた命は、同量の不運によって取り払われる】、それ故に……」



モノクマ?「………」



ユーハバッハ「……地獄に落ちたことで、私はそれをようやく理解した」



ユーハバッハ「全ては偶然などでは無い、起こるべくして起きた必然」



ユーハバッハ「……そういうことだったのだ」


138 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:55:33.19 ID:eQpYvQ98O






モノクマ?「……【幸運と不運】【希望と絶望】ーーー」






モノクマ?「ーーーなるほど、それこそが、『運命を決定付ける力』を持つことの、代償だったのかもしれませんね」





139 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:57:51.05 ID:eQpYvQ98O






モノクマ?「……しかし、それはそうと陛下ーーー」






ユーハバッハ「………」





140 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 19:58:46.57 ID:eQpYvQ98O









モノクマ?「ーーー『復讐』は、別に良いんですか?」








141 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:07:25.78 ID:Lvdsr++LO



ユーハバッハ「………」



モノクマ?「……そこにある『黒衣』ーーー」



黒衣『………』



モノクマ?「ーーーそう、限定的とはいえ、迷彩機能のあるらしい『黒衣』があればーーー」



モノクマ?「ーーー少しだけ監視から逃れ、地獄から抜け出ることも可能ですよね?」



モノクマ?「……まあ、尸魂界には行けないとしてもーーー現世にならそこそこの時間抜け出ることができますよね?」



ユーハバッハ「………」



モノクマ?「だったら、奴ら….…あの三人を探し出し、そこに向かうこともできますよね?」



モノクマ?「なぜ、そうしないのですか?」


142 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:09:10.44 ID:Lvdsr++LO



モノクマ?「……奴らが、終わらせることを選ばなければ、大人しく、目に見える『希望』を受け入れていればーーー」



モノクマ?「ーーーあの【希望】が、奴らを現世に解放することはなかった」



モノクマ?「そう、奴らは、陛下の『希望』をただ受け入れていれば良かった」

モノクマ?「なのに、奴らはそれを疑い、受け入れることはなかった」

モノクマ?「それどころか、終わりを迎えることに……終わりを迎えたその先に、全く別の “ 希望 ” を見出してしまった」

モノクマ?「その結果、陛下は、浦原喜助によって絶望をもたらされることになり、黒崎一護によって地獄行きの憂き目にあうことになった」



モノクマ?「……そうして、『理想の未来』は砕かれ、道は閉ざされた」



モノクマ?「今度こそ、永遠に」



ユーハバッハ「………」



モノクマ?「……それに対して、奴らは生き延び、現世に解放されたーーーー」


143 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:10:13.94 ID:Lvdsr++LO



モノクマ?「……憎くは、ないのですか?」



ユーハバッハ「………」



モノクマ?「奴らに、『復讐』したくはないのですか?」


144 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:11:07.46 ID:Lvdsr++LO









ユーハバッハ「…………」








145 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:12:19.65 ID:Lvdsr++LO



ドガアンッ……パリーンッ!!






モノクマ?「!?!」






クシャナーダ「ヴヴ……ルル……フフ……フハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」






ズシャアッ!!!


146 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:13:34.28 ID:Lvdsr++LO



モノクマ?「!?」



ユーハバッハ「……『結界』の効力が切れたようだな」



モノクマ?「あ、あ……!」




ユーハバッハ(……奴が相手では、効力も安定せぬかーーー)




モノクマ?「あ、あれはーーー」



ユーハバッハ「クシャナーダ、だな」


147 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:15:11.90 ID:Lvdsr++LO






クシャナーダ「……フハハハハハハハハ!!!」グググッ…






……ドガアンッ!!





148 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:16:09.25 ID:Lvdsr++LO



ヒュウンッ……



モノクマ?「!?」



……スタッ



ユーハバッハ「……怪我はないか、我が腹心よ」



モノクマ?「あっ、はい……」



ユーハバッハ「逃げるぞ」タタタッ



モノクマ?「えっ、あっ、?」



ユーハバッハ「人は誰であっても、死の恐怖から逃げる資格を持っている」タタタッ



モノクマ?「ち、ちょっと、陛下ーーー」



ユーハバッハ「私がその機会を与えよう」タタタッ



モノクマ?「お、お姫様だっことか、恥ずかしーーー」



クシャナーダ「……フハハハハハハハハ!!!」ダダダッ…!



……ドガアンッ!!


149 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:17:44.26 ID:Lvdsr++LO



ヒュウンッ……スタッ



ユーハバッハ「………」タタタッ



モノクマ?「あ、ううっ……」






クシャナーダ「……フハハハハハハハハ!!!」ゴキッゴキッ…


150 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:18:42.75 ID:Lvdsr++LO



タッタッタ……



ユーハバッハ「……先程お前は言ったな」



モノクマ?「……?」



ユーハバッハ「『復讐』したくはないか?……と」



モノクマ?「………」



ユーハバッハ「今ここで、その答えを与えようーーーー」


151 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:19:28.85 ID:Lvdsr++LO



ユーハバッハ「ーーー『復讐』など、必要無い」



モノクマ?「……えっ、?」



ユーハバッハ「……復讐など、無意味だ」タッタッタ…



モノクマ?「………」



クシャナーダ「……フハハハハハハハハ!!!」ダダダッ…!


152 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:22:22.21 ID:Lvdsr++LO



タッタッタ……



ユーハバッハ「……我等が動かずとも、此度の我が残滓と、十年前の残滓が混じり合い、奴らの始末に動くだろう」



モノクマ?「いや、ですが……」



ユーハバッハ「……それ以前に、奴らは既に罰を受けている」



モノクマ?「罰……?」



ユーハバッハ「……奴らの有していた『力』と『欠片』ーーー」







ユーハバッハ「ーーーそう、力と欠片が失われるという、罰を、な」


153 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:23:17.22 ID:Lvdsr++LO



クシャナーダ「……フハハハハハハハハ!!!」ビュウンッ…



……ドゴオオオンッッ!!



ユーハバッハ「………」



……シュタッ……



モノクマ?「………」



タッタッタ……


154 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:26:24.73 ID:Lvdsr++LO



ユーハバッハ(……『魂の欠片』を通じ、人間に与えし『力』ーーー)




ユーハバッハ(ーーーそれらは、決して永く保つものでは無い)




ユーハバッハ(一定期間を過ぎれば、徐々に老いて劣化しーーーいずれ、力も欠片も、跡形もなく消え失せる)


ユーハバッハ(無論、老いの速さには、個人差があるがーーーそれでも消え失せる運命にある)


ユーハバッハ(そうして失われた力は、容易に取り戻せるものではない。仮に、私のような滅却師に『新たな欠片』を与えられたとしても、一時的にしか取り戻すこと叶わぬだろう)


ユーハバッハ(『魂の欠片』は、通常の人間において、基本的に一度きりの代物。【崩玉】などを介さず、二度も与えられることあればーーー死に近づいてしまう)


ユーハバッハ(……『力』が戻った直後、『力』も『欠片』も引き剥がされ、死ぬ)


ユーハバッハ(自らに死を与えることなく、力を取り戻したくばーーー通常の努力をもって、己を磨き上げるしかない)


ユーハバッハ(そうした無力な人間へと、成り下がることになるのだ)



タッタッタ……



ユーハバッハ(魂魄となって、生身の束縛から解放された場合、『力』を維持できる時間は伸びるがーーー)


ユーハバッハ(ーーー所詮は数日の差でしかない。それは魂魄となった時、その身に『欠片』が残されていようといなかろうと変わらぬこと。必ず老いはやってくる)


ユーハバッハ(老いた果てに、力と欠片は消え去りーーー無力な人間の魂魄へと成り下がる)



タッタッタ……


155 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:29:44.18 ID:Lvdsr++LO



ユーハバッハ(『不死身の肉体』……もしくは、『霊力ある魂魄』を有しているのであれば、恒久的な維持は可能だがーーー)


ユーハバッハ(ーーー奴ら三人の魂魄と肉体は、どちらも脆弱なものだ)


ユーハバッハ(『力』を維持できず、老いて劣化し、力と欠片は消え失せる)



タッタッタ……



ユーハバッハ(……だからこそ、赤子の私に『力』を与えられた人間達は、永く保たなかったのだ)


ユーハバッハ(老いて力を失った……あるいは失われていくことを受け入れられず、そうした恐怖から狂気に呑まれてしまった)




ユーハバッハ(些細な言葉一つを切掛に、自死を選ぶ程までに)




ユーハバッハ(……奴らも自死を選ぶかどうかは知らぬがーーー少なくとも、現世に解放された瞬間、奴らの老いた力と欠片が消え去ったことは、確認済みだ)


ユーハバッハ(今の奴らは、何も無い、ただの人間に過ぎない)



タッタッタ……


156 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:32:51.87 ID:Lvdsr++LO



ユーハバッハ(また、霊力が無いということは、死後、瀞霊廷に住めぬことを意味する)


ユーハバッハ(……住めぬが故に、生前も、死後も、いつ “ 死 ” を迎えるかわからぬ恐怖に、怯え続けることになる)



タッタッタ……



ユーハバッハ(……その恐怖は消えぬ)


ユーハバッハ(いかなる『未来』を夢見ようと、いかなる『希望』をもって前に進もうとも)


ユーハバッハ(その『想い』は、いつか “ 死 ” によって、黒く塗り潰されーーー砕かれることになる)




ユーハバッハ(……砕かれし、希望、未来、想いーーー)




ユーハバッハ(ーーーそんなものに、意味など無い)




ユーハバッハ(……利用価値を見出されることはあれ、必要無くなれば、闇に消える)




ユーハバッハ( “ 死 ” は、全てを奪うのだ)




ユーハバッハ(…… “ 死 ” を迎えし時、奴らは気づくだろう。終焉は常に、一(はじ)まりの前からそこにあることに)


ユーハバッハ(どれだけ苦しもうとも、どれだけ祈ろうとも、決して変わることの無い真理)


ユーハバッハ(そう、どれほど世界が革新を遂げようと、 “ 死 ” ある限り、決して真理が変わることは無い)



タッタッタ……


157 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:33:48.82 ID:Lvdsr++LO



ユーハバッハ「……全ては、奴らのお陰だ」






モノクマ?「陛下……」






ユーハバッハ「哀れなり」






ユーハバッハ「奴らのお陰で、永き時間(とき)を得られぬ数多の命は、限られた可能性の中で、死の恐怖に怯え続けることになるのだ」






ユーハバッハ「永遠に」


158 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:34:46.28 ID:Lvdsr++LO









クシャナーダ「フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」








159 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 21:36:10.18 ID:Lvdsr++LO









グシャァッ!!!








160 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:24:24.27 ID:Lvdsr++LO



ー尸魂界・志波家の屋敷の修練場ー



……ガチャッ



アンジー「………」



キーボ「……来て頂いて、ありがとうございます。アンジーさん」



アンジー「……アンジーは、ヒマだからねー」



アンジー「おやすみまでの時間、何もやることないから……」


161 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:25:18.23 ID:Lvdsr++LO



キーボ「………」



アンジー「……それよりも、アンジーをここに呼んだ理由は何なのかな?」



キーボ「………」



アンジー「それを、教えてほしいかな……」


162 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:26:02.96 ID:Lvdsr++LO



キーボ「……それは、アンジーさんに伝えたいことがあるからです」



アンジー「……?」



キーボ「ただ、それを言う前に、聞かせて欲しいことがあります」


163 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:26:59.62 ID:Lvdsr++LO



キーボ「ーーーアンジーさんは、生まれ変わりがこわいですか?」



アンジー「………」



キーボ「生まれ変わりという、自己の喪失がこわいですか?」



キーボ「 “ 死 ” がこわいですか?」



アンジー「………」



キーボ「……それに、答えては、頂けませんか?」


164 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:27:53.59 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……キーボは、何を、言ってるのかなー?」



キーボ「………」



アンジー「死ぬのが、こわくないかー、だってー?」



アンジー「本当、何を言ってるのかなー?」



キーボ「………」



アンジー「……死ぬのが、こわくない、命、なんてーーー」









アンジー「ーーーいない、と、思うよ……?」


165 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:28:36.88 ID:Lvdsr++LO



キーボ「……ありがとうございます。答えて頂いて」



アンジー「………」



キーボ「ボクも同じです」



アンジー「……?」



キーボ「ボクも、 “ 死 ” は、こわいです」


166 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:30:00.33 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……何を言ってるのかな?」

キーボ「………」

アンジー「キーボは瀞霊廷に住めるよね?」

キーボ「……はい」

アンジー「……キーボはロボットだよね?」

キーボ「……その通りです」



アンジー「だったら、キーボは、『死なない』ーーー」



キーボ「ーーーそれは違います」


167 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:30:49.22 ID:Lvdsr++LO



キーボ「……確かに、ボクは瀞霊廷に住めますし、紛れもないロボットです。生き物としての寿命だってありません」



アンジー「………」



キーボ「ですが、それでも、死の恐怖はわかります」

キーボ「寿命がなくても、 “ 死 ” を迎えずに済むとは限りませんから」



アンジー「………」



キーボ「……ボクも、 “ 死 ” を迎えることになるかもしれません」



キーボ「敵の手によって、強制的に」


168 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:38:15.30 ID:Lvdsr++LO



アンジー「………」



キーボ「……瀞霊廷は、この世界を管理する者達の本拠地です。それだけに、今の世界を良しとしない者から、狙われる理由がある」

キーボ「……どんなに盤石なセキュリティを誇っていようと、外敵はそれを上回る方法で侵入し、攻撃してくるかもしれませんしーーー」

キーボ「ーーーあるいは、一部の死神が、藍染一派のように裏切り、敵側につく可能性もゼロではない……」

キーボ「これからずっと、決してあり得ないとは、誰にも言えないはずです……」



アンジー「………」



キーボ「それらを考慮すれば、瀞霊廷にいるからこそ、絶望的な “ 死 ” を迎えてしまうことだってーーーまったくあり得ない話ではないと思います」



キーボ「……事実として、瀞霊廷の死者はたくさんいます」



キーボ「特に、十年前の戦争においてーーーー」


169 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:40:30.49 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……!」



キーボ「ーーーいずれ、ボクも敵に襲われて、死ぬかもしれません」

キーボ「とても無念で……絶望的な “ 死 ” を迎えることになるかもしれません」

キーボ「……ボクは、この通り、ロボットですからね。そして、世の中は、ロボットを傷つけることに罪悪感を持てる人ばかりではない」



キーボ「……そうした世の流れのままに、身も心も傷つけられーーー」



キーボ「ーーーどんなに惨たらしい “ 死 ” を迎えることになるか……わかったものではないんです」



アンジー「………」


170 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:42:22.18 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……それで、キーボが伝えたいことって、結局、なんなのかなー?」

アンジー「……こわいのはみんな同じなんだから、ガマンしろってことー?」



キーボ「……そうではありません」

キーボ「 “ 死 ” に、怯える資格は、誰にだってあります」

キーボ「それを奪う権利など、誰にもありはしない」



アンジー「………」



キーボ「ただ、ボクは、誰にでも “ 死 ” の可能性があると理解しーーーその上で、やりたいことができたのです」


171 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:43:33.29 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……やりたいこと?」



キーボ「ええ、そうです」



キーボ「そして、それこそが、最初にアンジーさんにお伝えしようとしたことでもあります」



アンジー「……?」


172 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:47:50.26 ID:Lvdsr++LO



キーボ「……アンジーさん、どうかボクとーーー」



アンジー「………」



キーボ「ーーーボクと、一緒に、絵を描いては、頂けませんか?」


173 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:48:41.60 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……絵?」



キーボ「そう、絵です」



キーボ「テーマは、アンジーさんの望む形で大丈夫です」



アンジー「………」



キーボ「アンジーさん……」



キーボ「どうか、ボクと、一緒に絵を描いては頂けませんか?」


174 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:49:19.14 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……どうして、かな?」



キーボ「………」



アンジー「……どうして、そうしたいと思ったのかな?」


175 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:50:04.48 ID:Lvdsr++LO



キーボ「……それはーーー」






アンジー「………」






キーボ「ーーー残したいから、です」


176 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:50:45.93 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……何を?」



キーボ「……決まっています」



アンジー「………」



キーボ「アンジーさんとボクの想いをーーー」







キーボ「ーーー価値ある、『想い』を、です」


177 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:51:45.22 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……価値ある、『想い』?」



キーボ「はい、ボクらの『想い』を、残すんです」

アンジー「………」



キーボ「……何かに真剣に打ち込めば、そこに想いが募られていく」

キーボ「その想いに、価値があることを、実感できる」



キーボ「……想いの価値を、信じられる」


178 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:53:41.12 ID:Lvdsr++LO



キーボ「信じることができればーーー込められた想いは、より確かな『想い』に変わる。より深く絵の中に込められていく」

キーボ「そうして、『想い』を、自分の意志で残すことができる」

キーボ「赤松さんが、『想い』を残した時のように……」



アンジー「………」



キーボ「……それは、とても素晴らしいことだと思います」

キーボ「いずれ、終わりを迎えるとしてもーーー生きていて良かったと、心から喜ぶことのできることだと思います」

キーボ「その全てが、意味のある……価値あることだと思います」



キーボ「そのために、想いを込めて、真剣に描きたい絵を描くんです」


179 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:54:57.47 ID:Lvdsr++LO



キーボ「……お願いします、アンジーさんーーー」



アンジー「………」



キーボ「ーーーどうか、ボクと一緒にーーー」







キーボ「ーーー絵を描いては、頂けませんか?」


180 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:55:58.23 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……あー、悪いけど、アンジー、実はいま、絵の調子が悪くてねー?」



キーボ「………」



アンジー「だからーーー」



キーボ「ーーーそれでも、です」


181 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:57:08.84 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……!?」



キーボ「……確かに、絵のことを想えば、上手に描けるに、越したことはないでしょう」



アンジー「………」



キーボ「しかし、上手に描けなかったからと言って、価値がなくなるんですか?」


182 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:58:03.71 ID:Lvdsr++LO



アンジー(ああー……そういう話……)




キーボ「………」




アンジー(……話しちゃったんだね、アンジーのこと……)






アンジー(是清めーーー)






キーボ「ーーーたとえば!」


183 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:58:50.46 ID:Lvdsr++LO



アンジー「!」



キーボ「たとえば! 子供は家族を想い、その似顔絵を描くことだってあります」



アンジー「………」



キーボ「アンジーさんも、そういう事例は知っているのではありませんか?」


184 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/22(火) 23:59:20.32 ID:Lvdsr++LO



アンジー「……確かに、知らないわけじゃないけどーーー」



キーボ「!」



アンジー「ーーーそれが、何?」


185 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:01:30.45 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……お答え頂き、ありがとうございます」

アンジー「………」

キーボ「……子供が、家族のために、描いた絵ーーー」

キーボ「ーーーその出来栄えは、プロの視点から見れば、未熟と言わざるを得ないのかもしれない……」

アンジー「………」

キーボ「しかし、それで、絵の価値は、失われるのでしょうか?」

キーボ「もし、その絵を描き終わる前に、【家族と離れ離れになってしまったら】【二度と会えなくなってしまったら】ーーー」



キーボ「ーーーその似顔絵の価値は、失われるのでしょうか?」


186 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:02:58.20 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……そんなことはないはずです」

キーボ「その絵に、想いが込められているのであれば、込めた人にとっては、紛れもなく価値ある絵なんです」



アンジー「………」



キーボ「……プロの視点から見た出来がどうこうなどーーー関係がない」

キーボ「誰一人として、その絵の価値を、否定することなどできやしない」

キーボ「故に、想いを込めて、絵を描くことーーー」



キーボ「ーーーそれは、その出来に関係なく、紛れもなく価値あること」



キーボ「価値あると信じられるが故に、想いは、より確かな『想い』に変わる。より深く絵の中に込められていく」



キーボ「そうして、『想い』を残すことができる」



キーボ「ボクは、そう考えています」



アンジー「………」


187 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:04:03.43 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……アンジーさんはーーー」



アンジー「………」



キーボ「ーーーどう、思いますか?」


188 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:04:53.66 ID:gd3AZBiSO



アンジー「………」






アンジー「…………」









アンジー「………………」


189 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:05:31.40 ID:gd3AZBiSO



アンジー「……ごめんね、キーボ……」



キーボ「………」



アンジー「……アンジーには、よく、わかんないや……」


190 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:06:27.14 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……そうですか」



アンジー「……ごめんね、キーボ?」



アンジー「アンジーは、そのーーー」



アンジー「ーーーなんて言ったら良いか、わからなくて、上手く答えられない……」



キーボ「………」



アンジー「……ごめんね?」


191 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:07:41.51 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……大丈夫ですよ、アンジーさん」



キーボ「アンジーさんなら、きっとわかるはずです」



アンジー「………」



キーボ「……そう、雲さえーーー」



キーボ「ーーー雲さえ、取り払うことができればーーー」



キーボ「ーーーきっとーーーー」


192 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:08:32.87 ID:gd3AZBiSO



アンジー「……雲、?」



キーボ「ーーーええ、雲です」



アンジー「………」



キーボ「……ここで言う雲とは、 “ 眩しく見えないものに、意味など無い ” ーーー」







キーボ「ーーーそうした、考え方のことです」


193 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:53:52.66 ID:gd3AZBiSO



キーボ「ですが、そうした考え方……雲を取り払うことさえできれば、そこから星が見えてきます」



キーボ「人という名の星が」



アンジー「………」



キーボ「ああ、ここで言う星とは、空にある星という意味で、決して星クン個人のことではーーー」



アンジー「……そんなの、言わなくてもわかってるから」


194 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:54:35.06 ID:gd3AZBiSO



キーボ「ーーーすみません」シュン…



アンジー「……それよりも、なんだけどーーー」



キーボ「?」



アンジー「ーーーその続きーーー」



アンジー「ーーー聞かせて、くれる?」


195 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:55:09.30 ID:gd3AZBiSO



キーボ「!」



アンジー「……キーボの言う、その話が、どんな感じなのかーーー」







アンジー「ーーーちょっとだけ、気になるから……」


196 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:55:39.11 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……はい、わかりました!」



アンジー「………」



キーボ「さっそく、続きを、話させて頂きます!」


197 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:57:17.67 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……続きについてですがーーー」



キーボ「ーーー人は、きっと誰もが、星のような存在なんだと、思います」



キーボ「だからこそ、目の前にいる人が、星のように眩しく見えることもある」



アンジー「………」



キーボ「その眩しさは、その人の想いが、目に見える輝きとして現れたものでありーーー」



キーボ「ーーーその輝きに、人は価値を付けることもある」



アンジー「………」



キーボ「しかし、人の全てが、星のように眩しく見えるわけではない……」

キーボ「その中には、自分の眩しさを、こちらまで届かせることが叶わないものも、存在するのではないでしょうか?」

キーボ「もしくは、かつては眩しく光っていたもののーーーブラックホールか何かに呑まれ、砕け散り……消えてしまったとは考えられないでしょうか?」


198 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 00:58:06.88 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……それらを人は、姿の無い闇としか認識できませんがーーー」



アンジー「………」



キーボ「ーーー逆に言えば、闇として認識することはできるわけです」

キーボ「ならば、その闇に込められた想いの価値に、気づくことだってできる」

キーボ「価値ある『想い』なのだと、信じることもできる」



キーボ「ボクは、そのように思っています」



アンジー「………」


199 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 01:01:43.11 ID:gd3AZBiSO



キーボ「そう、人は、ものごとの出来に関わらず……そこに込められた想いの価値に、気づくことができる」

キーボ「変わらぬ価値があると、価値ある『想い』が残されていると、信じることもできる」

キーボ「それは、雲を取り払いさえすれば、できること」



キーボ「 “ 眩しく見えないものに、意味など無い ” ーーー」



キーボ「ーーーそうした考え方……雲を取り払い、闇と向き合えば、誰にだって、できることなんですよ」


200 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 01:03:09.48 ID:gd3AZBiSO



アンジー「……キーボも、なんだか、ロマンチックなこと言うんだねー?」

アンジー「本当に、キーボなのか、疑っちゃうよー」



キーボ「……確かに、ボクらしくない言葉かもしれません」

キーボ「ですが、それでも過去と向き合い、思考を重ねーーー」



キーボ「ーーー心のままに、想いを募らせ、選択した言葉であることに変わりはない」



キーボ「故に、ボクは、その価値を、信じている」



キーボ「……この言葉もまた、確かな『想い』なのだと、信じているんです」



アンジー「………」


201 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 01:03:59.43 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……改めて言わせて貰いますよ、アンジーさん」



アンジー「………」



キーボ「今のアンジーさんは、 “ 眩しく見えないものに、意味など無い ” という考え方……雲に覆われている」



キーボ「……そして、上手くいかなかったもの、すなわち闇の価値を見失っているーーー」



キーボ「ーーーただ、それだけなんです」


202 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 12:40:28.11 ID:gd3AZBiSO



アンジー「……何それ」



キーボ「………」



アンジー「闇の、価値って、何?」



キーボ「………」



アンジー「闇って、光すら届けられないものでしょ?」


203 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 12:41:42.34 ID:gd3AZBiSO



アンジー「そう、闇はーーー」



アンジー「ーーー上手くいかないもの」



キーボ「………」



アンジー「くらくて、こわいもの」



アンジー「それに、誰が価値を付けてくれるの?」



キーボ「………」



アンジー「……アンジーはねー? こう思ったりもするんだー」



アンジー「闇に価値なんてないーーー」



キーボ「ーーーそれは違います」


204 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 12:42:56.84 ID:gd3AZBiSO



キーボ「闇に価値がないなんて、そんなはずはありません」



アンジー「………」



キーボ「……ボクは、闇の価値を知っています」



キーボ「闇の価値を知る存在を、知っているんです」


205 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 12:44:35.08 ID:gd3AZBiSO



アンジー「……どういうこと?」



キーボ「……まずは、闇の価値を知る者、その肩書きを挙げましょうか、アンジーさん……」



アンジー「肩書き……?」



キーボ「そう、闇の価値を知る、肩書き、それはーーー」









キーボ「ーーー宇宙飛行士と花火師です」


206 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 12:46:52.20 ID:gd3AZBiSO



アンジー「宇宙飛行士と……花火師?」



キーボ「ーーーまずは、宇宙飛行士についてから説明しましょう」



アンジー「………」



キーボ「宇宙飛行士とは、決して、現在見える夜空の光と輝き……その星だけを求める存在ではありません」

キーボ「夜空の闇の先にある、まだ見ぬ星の輝き……もしくはかつてあった星の輝きーーー」



キーボ「ーーーすなわち、宇宙の闇に込められた想いを探求し、その価値を見出す存在でもあるのです」



アンジー「………」



キーボ「故に、宇宙飛行士は、闇に価値があることを知っている」

キーボ「だからこそ、 “ 上手くやれない人 ” を想い、信じることができる」

キーボ「その『想い』をもって、 “ 上手くやれない人 ” の想いに手を届かせることができる」

キーボ「その人に、自分を信じる気持ちを与え、輝かせることができる」



キーボ「……そうして、その人から湧き上がった『想い』を、他の人にも伝えーーー両者の架け橋を築くことだってできるのだと」



キーボ「少なくとも、ボクの知る宇宙飛行士は、そういう存在でした」



アンジー「………」


207 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 12:49:03.45 ID:gd3AZBiSO



キーボ「花火師も同じです」

キーボ「そう、花火師もまた、闇に価値あることを知っている存在なんです」

アンジー「……どうして?」

キーボ「花火師とは、決して地上に光を降り注がせるだけの存在ではないからです」

キーボ「花火師とは、星々が想いの果てに、闇に消えてしまったしてもーーーその闇の価値を見出す存在なんですよ」

アンジー「……?」

キーボ「闇の価値を見出すからこそ、闇を別の形で輝かせようと、己が意志をもって、光の波動を作り出す」

アンジー「………??」

キーボ「花火の光は、打ち上げるものにしろ、地上で持つものにしろ、夜空の闇があることで、輝きを生みます」

キーボ「それは、【花火の光によって】【夜空の闇が輝く】ということに他なりません」


208 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 12:50:22.00 ID:gd3AZBiSO



アンジー「闇が、輝く……?」



キーボ「そうです。闇が輝くんです」



アンジー「………」



キーボ「断っておきますが、これは、 “ 闇の暗さで光が引き立つ ” とか……そういう意味で言っているのではありません」



キーボ「…… “ 闇だって光のように輝くことができる ” ーーー」



キーボ「ーーーそういった意味で、ボクは言っているんです」


209 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 12:52:39.90 ID:gd3AZBiSO



アンジー「……?」



キーボ「……人の抱える心の闇が、花火の光で照らされーーー元気づけられることもある」

キーボ「花火を見た後に、勇気あふれる自分へと、変われることもある」



キーボ「【花火の光によって】【夜空の闇が輝く】から……」



アンジー「……!」



キーボ「……そうして、夜空の闇が、輝ける価値ある存在だと証明されたからこそ、同一性を持つ自分の心の闇もまた、同様の存在だと想えるようになる」



キーボ「……自分を信じることができる」



キーボ「そう、自分がどんなに闇を抱えていたとしてもーーーその想いを受け入れた上で、どんな自分になりたいか、前向きに想い描くことができる」



キーボ「……その『想い』をもって、輝かしい未来を、想い描くこともできる」



キーボ「そうすれば、そこに繋がるかもしれない道を、歩むこともできますしーーー」



キーボ「ーーーそうしている自分もまた、輝いた存在であると、想えるようになる」



キーボ「違いますか?」



アンジー「………」


210 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 12:54:29.00 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……光は輝くものであり、闇もまた輝くもの」



キーボ「そう、光と闇、どちらも価値は同じなんです」



キーボ「……事実として、生きているか、死んでいるかで、人の価値が変わったりはしない」

キーボ「ならば、光だろうと、闇だろうと、込められた想いの価値に、違いなどない」



キーボ「その全てに意味が……価値があるのだと」



キーボ「信じて、 価値ある『想い』として、世に残すこともできるのだと」



キーボ「花火師は、それを証明する存在でもあるんですよ」



アンジー「………」


211 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 13:21:30.66 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……それらは、宇宙飛行士と花火師に限ったことではありません」



キーボ「誰もが闇に価値を見出そうとしている」



アンジー「………」



キーボ「生前のボクと、現世に残ったみんなだって同じです」

キーボ「……ボクらは、その側で闇になってしまった人々とその想いの価値を知っています」



アンジー「……っ、」



キーボ「そして、その闇を形作るため、血と灰を残し、風に吹かれーーー」



キーボ「ーーーそのまま、風となった人々と想いに、価値があることを知っています」



キーボ「……その人を間近で見ている見ていないに関わらず、その全てに価値があるのだと、知っているのです」



アンジー「………」



キーボ「……繰り返されたその果てに、ボクらは、死んでいった全ての人達とその想いに価値を見出し、信じることができた」



キーボ「その『想い』のため、ボクらは、命をかけたんです」


212 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 13:25:53.10 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……この死後の世界にも、生前の自分達が迎えた終焉に……闇に価値を見出そうとする魂魄がいる」

キーボ「事実として、ここにいない百田クン達だって、かつて自分達の迎えた終焉に……闇に価値を見出そうとしています」



アンジー「………」



キーボ「だからこそ、百田クンは、宇宙があるかどうかもわからない世界……【宇宙に行く夢を叶えられないかもしれない世界で】【それでも夢を想い描いて】、実現することに決めた」

キーボ「だからこそ、入間さんは、百田クンを 【信じて】【支え合いながら】【共に生きて】、研究を行うことに決めた」

キーボ「だからこそ、茶柱さんと東条さんとゴン太クンは、【みんなで】【協力しあった上で】【人の心を恐怖から護ろうと】、死神を目指した」

キーボ「だからこそ、赤松さんは、【コロシアイを終わらせるために犯した罪で】【一人になってしまう道】【それを選ぼうとした】王馬クンを引き止めて、説得した」

キーボ「だからこそ、王馬クンは、赤松さんに応え、【みんなで】【人を本当の意味で笑わせる】道を選んだ」

キーボ「だからこそ、天海クンと星クンは、 【人を悲しませる結果】【それが生み出されないよう】、赤松さんと王馬クンを支えようとしている」



キーボ「……だからこそ、真宮寺クンは、【人の心を】【大切にできる人になる】ことを決めた」



アンジー「………」


213 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 13:26:54.01 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……アンジーさんだって、同じです」

キーボ「アンジーさんもまた、過去の闇に価値を見出そうとしている」



アンジー「………」



キーボ「だからこそ、アンジーさんは、【みんなを】【誰もが憧れる世界へと】、送り出したーーー」







キーボ「ーーーそうでしょう?」



アンジー「………」


214 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 13:29:35.36 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……そうして、アンジーさんを含めた誰もが、闇の価値を見出そうとしている」

キーボ「過去の自分達の迎えた闇に……価値を見出そうとしているんです」



キーボ「それは、闇が価値を見出せるだけの存在、すなわち闇に価値があるという証明に他なりません」



キーボ「自分達の過去は、決して、絶望を形作るだけの無意味なものではなかったのだと」

キーボ「そうした過去の経験を糧に、自分を輝いた存在へと昇華させることもできる……意味あるものだったのだと」

キーボ「過去に想ったことを通じ、輝かしい未来を想い描くこともできる……価値あるものだったのだと」

キーボ「過去の価値を信じて、そうしている現在の自分を信じて、生きていけるのだと」



キーボ「アンジーさん達の今の生き様が、それを証明しているんです」



アンジー「………」


215 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 13:32:20.07 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……もちろん、その結果、どうなるかまではわからない」

キーボ「どこまで上手くやれるか? それはその時の未来になってみないと、わからないことなのでしょう」



アンジー「………」



キーボ「ですが、それでも、価値を見出して生きていける」

キーボ「どんな過去であろうとーーーそれでも意味あるものだったのだと」



キーボ「過去を大切にできる」



キーボ「そうやって、過去を大切にするから、そこから生まれた現在の自分を大切にできる」



キーボ「それは、闇に価値があると理解すればできること」

キーボ「……その闇を形作るため、血と灰を残し、風と化した人の想いーーー」



キーボ「ーーーそれに、意味を持たせることも可能だと、理解すればできること」



キーボ「それほどの、価値ある『想い』だったと、信じ続けていればできること」


216 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/10/23(水) 13:35:46.83 ID:gd3AZBiSO



キーボ「……風となった想いにも価値があると信じ、どうすればそれに報いることができるかーーー探求し続ける」



キーボ「そうして、『想い』を背負い、大切にしていればーーー」



キーボ「ーーー雲を取り払うことだってできる」



アンジー「………」



キーボ「……もちろん、すぐに取り払えるとは限らない。時間をかけなければ、信じきれない場合もあるでしょう」



キーボ「ですが、それでも、『想い』の風で雲を取り払い……上手くいかなかったという闇を見つめられるのならーーー」



キーボ「ーーー闇と向き合えるのなら、誰にだって、闇の価値を見出せるんです」



アンジー「………」


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