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絵里「例え偽物だとしても」
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702 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 20:44:01.80 ID:dIWqa2t10
千歌『果南ちゃん! っあ……』
善子『…ぁっ!?』
果南『あ…れっ……?』
絵里(…私の始めた戦争でもう三人死んだ。だからその死を無駄にはしたくない)
絵里(元はといえば私は亜里沙の姉————姉である私が妹に負けるわけにはいかない)
絵里(可愛い姿だけど、強さはきっと並外れたモノだ。だからそう——)
絵里「————お手並み拝見と行きましょうか」
絵里(そう言い鳴らす始まりの合図。スコーピオンのトリガーを引けば亜里沙は跳躍をするんだけど穂乃果や果南ほど跳躍は鋭くないしその時の亜里沙の顔は苦しそうで他の新型ほど余裕が感じられなかった)
703 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 20:46:55.63 ID:dIWqa2t10
絵里「リロード! ルビィ!」
ルビィ「任せてっ!」ドオーン!
亜里沙「くっ…」シュツ
絵里(ルビィに宿った才能は全部で四つあった)
絵里(一つは射撃術、一つは空間認識能力、一つは近接戦闘センス)
雪穂「私と戦ってる合間に…!しかもスナイパーで…」
ルビィ「出し惜しみなんて器用なことルビィ出来ないから」
絵里(そして最後が親譲りの判断力よ)
絵里(黒澤家は銃が主流の現代でも剣術を嗜むところよ、私は武道をよく知らないから何とも言えないのだけど武士は迷わないらしい)
絵里(それは死ぬことも厭わぬ覚悟を持った行動を常に行うという意味であり、ルビィは私の声を聞き多少の無理をしてでも亜里沙へスナイパーの発砲を行った。ルビィの百発百中の腕前とこの肯定まっしらぐらな判断力は相性が良すぎる)
絵里(…正直、私たちレジスタンスの中で一番強いのは穂乃果でもなければ曜でもなく)
絵里(ルビィなんだと思う)
絵里(…少なくとも私はルビィを敵に回したら勝てる自信がないわ)
704 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 20:48:59.40 ID:dIWqa2t10
絵里「はっ!」バリバリバリバリ!
亜里沙「んっ!きつっ…!」
雪穂「亜里沙!」
亜里沙「きっ…」シュッ
絵里(物陰やアンドロイド特有の瞬発力でスコーピオンの弾を回避するけど、それでも私の放つ銃弾は亜里沙の皮膚を剥いでいく。腿、腕、横っ腹、頬と様々なところから赤い涙が出てきているのが確認出来た)
亜里沙「亜里沙だって負けてないよお姉ちゃん!」ドドドド!
絵里「ええっ!でも曜や凛と比べたらまだまだね亜里沙っ!」ダッ
絵里(向かう射線は随分と分かりやすいもので、私の頭に一直線だった。亜里沙がトリガーを引けば私に銃弾が飛んでくるんだけどそれも変則撃ちでもなければ偏差撃ちでもないただ動く私へ向けての射撃)
絵里「…?」
絵里(…あれ?私今Y.O.L.Oを守るアンドロイドと戦ってるのよね?)
絵里(なんだろう…亜里沙の行動があまりにも普通すぎて何かおかしく感じてしまう)
705 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/05(土) 20:51:49.41 ID:dIWqa2t10
絵里「接近戦はどう?亜里沙!」ブンッ!
亜里沙「全然いけるよ!」シュッ
絵里(腰にかけてたマチェットを横に振れば亜里沙は姿勢を低くして回避する、そして次に亜里沙がやるのは私のお腹に向かっての掌底だった)
絵里「!!」
絵里(…なんだろう、この既視感。どこかで見たことある気がする)
絵里(なんでか分からないけど、でもこれは気のせいじゃない。絶対にどこかで見たことある)
絵里「ふっ」
絵里(…まぁ何はともあれ私はその掌底をヒット直前に、両手で手首を掴むことで止めた)
706 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 20:52:51.11 ID:dIWqa2t10
絵里「随分と分かりやすいのね!」ドカッ!
亜里沙「がっ…!」
絵里(そしてお返しとして間髪入れずにお腹に向かって飛び膝蹴りで亜里沙を後方へ吹っ飛ばした)
亜里沙「うっ…げほっ…」
絵里「………」
絵里(跳ね飛ばされ機械に叩きつけられだらしなく涎を垂らす亜里沙を見ると心が痛くなる。愛すべき妹を痛めつけてるというのだからとてもそこで普通にしてはいられない)
絵里「…亜里沙?もうやめにしない?きっと他の道があるはずよ、私と亜里沙は戦うべきじゃないでしょ?」
亜里沙「おね…げほっ……お姉ちゃんが降伏してくれるならそうだね、戦うべきじゃない」
絵里「……それは無理ね」
亜里沙「ならこの話は無しだね、亜里沙がY.O.L.Oを守るアンドロイドで、お姉ちゃんがそれを倒すべく動いてるなら亜里沙とお姉ちゃんは一生敵のままだよ」
絵里「………」
707 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 20:53:52.77 ID:dIWqa2t10
亜里沙「にしてもお姉ちゃんは強いね、亜里沙びっくりしちゃったよ」
亜里沙「亜里沙一応戦闘型アンドロイドなのに押され気味でどうしようって今必死に考えてるんだよ?」ウーン
絵里「…!」
絵里(…そうだ、亜里沙は戦闘型アンドロイド。なのにどうして動きがこんなにも鈍いの?)
絵里(確かに戦闘型アンドロイドは強さに個体差がある、けどそれ以前にこれじゃあY.O.L.Oを守るどころか自分を守ることすらできない)
絵里(それに亜里沙は私より後に生まれた私より性能の良いアンドロイド、なのになんでこうも私が一方的に勝ってるの?)
絵里「…いいわ、なら再開しましょう。待たせてたら向こうでやってるルビィに申し訳ないからね!」ダッ
絵里(こうして会話をして亜里沙の体力が回復するのはよくない、決めるなら即行——これに限る。だってその方が亜里沙が苦しむ姿を見ずに済む)
708 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 20:55:19.51 ID:dIWqa2t10
タッタッタッタッ
絵里(走りながら弾倉に約20発残ったスコーピオンの銃弾を放つ、連射するとすぐに弾がきれるけどその短い時間で近づければ何の問題もない。私の中で攻めるなら近接と亜里沙への戦い方が決まってるからね)
絵里「はっ!」
絵里(亜里沙へ近づいた私は上段回し蹴りで一気にノックアウトを狙った)
亜里沙「それくらいなら亜里沙も躱せるよ!」
絵里「ええ、そうよね」
絵里「だからこそそれは読めてたわ」
絵里(私の上段蹴りに対して亜里沙はしゃがみの一手、だけどそんなよく見る回避の仕方をするんならこっちにだって対処法がある)
絵里「こっちは躱せるかしらッ!!」
絵里(躱された直後に後ろ回し蹴り——亜里沙がしゃがんだ直後だったから狙わずとも私の蹴りは亜里沙の頭に当たる)
709 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 20:56:55.20 ID:dIWqa2t10
亜里沙「ッ…!」クラッ
絵里(多少の躊躇はあったけどそれでも強烈だった私の蹴りは亜里沙に脳震盪を与えた。戦闘型アンドロイドの戦闘センスとも言われるモノは頭に蹴りを食らっても切り返しの早さと絶妙なバランス感覚で倒れないけど、脳震盪による怯みは避けれない)
絵里(片手で頭を押さえる亜里沙を見れば勝利はほぼ確実だった、次に私はマチェットを取り出して心臓目掛けてマチェットを突き出した)
亜里沙「んくっ…!」シュッ
絵里「!」
絵里(でも亜里沙は苦し紛れに横方向への跳躍を行い私の突き刺しを躱し、頭を押さえながらもう片方の手に持ってたサブマシンガンのトリガーを引いた)
絵里「浅いわね…」
絵里(しかし思わず言葉に出してしまうほど亜里沙の射撃は拙かった、脳震盪で麻痺してるのは分かる。けどいくらなんでも動かなくて大丈夫っていうのは少しまずい気がする)
絵里「…もういいわ」
絵里(これ以上亜里沙の苦しむ姿を見たくない。だからもう楽にしてあげようと思った…いや、峰打ちで済ませようと思った。これくらいの相手なら峰打ちだって可能なはず、だからスコーピオンのリロードをして亜里沙に向かって走ればばらつく射線が飛んでくるけどほとんどが回避する必要のない射線でその射線をかいくぐりながらスコーピオンで亜里沙の足元に向かって発砲した)
710 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 20:57:57.33 ID:dIWqa2t10
亜里沙「んっ…」シュツ
絵里「! また……」
絵里(そろそろ脳震盪の影響も軽くはなると思うんだけど、それでもまだ目眩とか起こるはず、それなのにスコーピオンの弾をなんとか回避して機械の物陰に隠れてみせた。やけに粘るわね…)
絵里「隠れても無駄よ!」
亜里沙「そんなの分かってる!」
絵里(でも隠れて場が膠着するほど緊張感はない、あるのはむしろ緊張感を切り裂く戦いへのボルテージだ。その熱に巻かれた私は隠れた亜里沙の元へ突っ走って跳躍と同時に決め撃ちをした)
亜里沙「えいっ!」ポイッ!
絵里「甘いっ!」
ピカーン!
絵里「くっ…」
絵里(私と亜里沙が目が合う頃に飛んできたスタングレネードは私のスコーピオンで跳ね飛ばした、けど着弾と同時に強い閃光を辺りにばらまき一時的に私と亜里沙の動きを止めた)
711 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:00:01.34 ID:dIWqa2t10
タッタッタッタッ
亜里沙「そこだ!」
絵里「っ!?亜里沙っ!?」
亜里沙「亜里沙だってやれば出来るんだからねッ!」
絵里(だけど閃光の中で私の元へ突っ走ってくる亜里沙に焦らずにはいられない、足を止めるほど眩い閃光の中でどうやってここまで来たのか確かめるために腕と腕の隙間から前を見れば亜里沙は目を瞑ってた。だから音だけでここまで来たんだろう)
亜里沙「まずは一撃っ!」ドカッ!
絵里「っ……けはっ…」
絵里(ゼロ距離で姿を現した亜里沙を前に回避の術はなくて、未だに私の視界を奪う閃光に腕を奪われ無防備な私のお腹に入る強烈なパンチはとても可愛い亜里沙からは想像できない威力だった)
絵里(しかしそれで倒れてなんかいられない、痛いなんて感じていれば次の瞬間には上段回し蹴りが飛んできてそれを回避するためにしゃがめば追撃に後ろ回し蹴りが飛んできた)
712 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:02:03.45 ID:dIWqa2t10
絵里「ッ…!!」
亜里沙「今度は亜里沙のターンだね!」
絵里(…なんだろう、この違和感。亜里沙の蹴りは私の頬にヒットし頭にダメージが入りさっきの亜里沙と同じように脳震盪を起こした。けどそんな中で感じるこの何とも言い難い感覚は何?)
絵里(ここまで戦って亜里沙はそこまで強くないと思った、けど後一歩——殺すまでがなぜか遠く感じる。それは殺すことへの躊躇いとかではなく後一歩のところで亜里沙が謎の粘りを見せてくるから中々仕留められない)
絵里(それに違和感はそれだけじゃない……でも、その違和感が何なのかが全く分からない。亜里沙と戦ってると何かがおかしいと感じる、でもその正体がずっと掴めないままでいる)
亜里沙「亜里沙は耐えたんだもん!お姉ちゃんも耐えてよね!」
亜里沙「雪穂!手伝って!」
雪穂「はいはいっ」バンッ!
絵里「くっ…!」シュッ
絵里(亜里沙とは別に雪穂から飛んでくる銃弾を苦し紛れに躱した、けどここで私はイヤな感覚を覚える)
713 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:03:02.33 ID:dIWqa2t10
絵里「あっ…」ズコッ
絵里(跳躍の着地際で酷い目眩が起こり私のバランス感覚が決壊した。その結果目眩と相まって立ってるのが困難になり這いつくばるような状態で私は倒れた)
亜里沙「チャンス!亜里沙のヒッサツの一撃をお見舞いしてあげる!」ダッ
絵里(すぐに起き上がろうとしながら後ろを振り返れば刃渡り十数センチのナイフを両手で持った亜里沙が宙に浮いていて死のタイミングが近いと察した)
絵里「…!!」
絵里(まただ、この違和感。なんなのかしら……)
凛『これは凛の全てを込めたお返しだよッ!!!』
絵里「…見たことある」
絵里「その攻撃は見たことあるッ!!」バンッ!
亜里沙「っ!?」
絵里(酷い既視感だった。記憶を辿った時に見える凛のあの時の姿と今の亜里沙の姿は酷似してる)
絵里(それ故に、私は一方的にはやられなかった。一回見たことがあったから対処法が分かった、ほとばしる違和感からの解放感が私の脳震盪を一瞬でかき消した。目眩が消えた瞬間定まる亜里沙への心臓のフォーカスに私は銃弾を放った)
714 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:06:38.53 ID:dIWqa2t10
亜里沙「っ!でもこれならっ!」ブンッ!
絵里「!!!」
果南『でも私相手じゃ“いつも通り”は通用しない!絵里には絶対に戦ってもらうよ!』ブンッ!
絵里「またっ…!」
絵里(まただ。宙に浮く亜里沙は咄嗟に体を捻り横方向へ高速回転し、空中で体が横方向へ動く慣性を作り銃弾を回避した、そしてその慣性を利用して横方向にもう一回転し、振り向きざまに既に持ってたナイフと回転途中腰にかけてた二本のナイフの計三本を指と指の間に挟んで投げてきた)
絵里(そうして感じるのは回避の意識ではなくて激しい既視感。ナイフを投げるまでの行動は違えど投げる時の姿は果南そのものでそんな姿を見れば飛んでくるナイフを見ずともナイフの場所が分かってしまう)
絵里「ならこうすればよかったのね果南!」
絵里(あの時は暗かったのもあって超すれすれで避けた、けど一度見た後だとこの時の対処法が自然と浮かんでくる、分かっている)
絵里(飛んでくる三本のナイフに対してする行動はこうよ)
715 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:08:44.44 ID:dIWqa2t10
絵里「銃に比べたら弾速が遅すぎるわね!」ズサー
亜里沙「なんでっ!?なんでそれを避けれるの!?」
絵里(スライディングで躱す、きっとあの時もこれで対処して発砲していれば私は勝っていただろう)
絵里(そしてそうと分かってるこの状況ではこのフィールドは私のモノ。スライディングと同時に残弾数10発のスコーピオンを発砲、そうすればどうなったかしら、その銃弾は亜里沙の胸を————)
亜里沙「まだ終わってない!」
絵里「それはっ…!」
絵里『まだ終わってないッ!』
絵里「………」
絵里(あの時の私と全く同じだった。丁度左手がハンドガンがかけてある左腰にあったのを良いことに、着地際で右へ跳躍し左方向へハンドガンを発砲。そうすれば“あの時”と同じように跳躍にブーストがかかりその後の着地は困難なものにはなるものの銃弾は避けれるモノへと変わる)
716 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:10:23.45 ID:dIWqa2t10
亜里沙「ぐっ…」
絵里(跳躍した後の展開も私と全く同じだ、力んだ顔が固まって背中から地面へと不時着した)
絵里「亜里沙…!」
亜里沙「はぁ…はぁ…はぁ…」
絵里「…一つ聞いてもいいかしら?」
絵里(しかし私は追撃にいかなかった、亜里沙が起き上がる時間にスコーピオンをリロードして亜里沙の息が落ち着くのを待った)
絵里(…それが舐めた行動だったとか慈悲だったとかそういうのではなかった)
絵里(死人に口なし————ここで知っておきたいことを知る為に私は今亜里沙に問う)
亜里沙「はぁ…はぁ………何?」
絵里「…今のハンドガンで跳躍にブーストをかける技術、どこかで学んだの?」
亜里沙「まさか、亜里沙のアドリブだよ。いくら相手が亜里沙より強いお姉ちゃんとはいえこんなすぐには終わりたくないもん、だから例え無理だとしても強引にやらなきゃお姉ちゃんには勝てないよ」
絵里「………」
亜里沙「それに諦めたくないんだよ、最後の最後まで抗ってカッコいいままでいたい」
亜里沙「一人の妹として、お姉ちゃんに負けたくない」
絵里「…そう」
絵里(…ダメ、何も分からない。何か掴めそうだったにも関わらず掴めたのは疑問符だけ、こんなことなら追撃すればよかった————なんて言うわけじゃないけどリターンが無さすぎるのは何とももったいない気持ちになる)
717 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:11:20.93 ID:dIWqa2t10
絵里「…ふぅ」
絵里(しかし切り替えは大事、こんな相手にチャンスを与えるような甘いことをしてるけどこれは遊びなんかじゃない、正真正銘の殺し合いなんだから次に放つのは私の言葉じゃなくて殺意のこもった銃弾でしょう)
ルビィ「隙ありっ!」バァン!
絵里(小休止する亜里沙に飛んでくるのはルビィのスナイパー弾、スナイパーにとって——いや、銃火器を持つ者にとって動かない相手はただの的。不意をつけばそれに反応してすぐさま対応しないといけなくなるので余分な体力を使わせることが出来るから当たっても当たらなくても出し得だったでしょうに)
絵里(…でも、次の瞬間は何かがおかしかった)
亜里沙「それはさっき見た!」シュッ
バンッ!
ルビィ「っ!?」シュッ
絵里「ルビィ!」
雪穂「ナイス亜里沙!私も負けてられないね!」ババババッ!
ルビィ「この子……!」ダッ
絵里(アンドロイドは射線が見えるとはいえ完全な不意打ちだった。それなのに亜里沙は回避と同時に射撃という完璧な対応をしてみせた)
絵里(これにはルビィもビックリしてた上に、回避もかなりギリギリだった。これは曜の跳躍ブーストの靴がなければおそらくルビィは死んでたでしょう)
718 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:12:05.62 ID:dIWqa2t10
絵里「…いや」
絵里(…違う、そんなことを言いたいわけじゃない)
絵里(今一番焦点を当てるべき点はどう考えても————)
亜里沙『それはさっき見た!』
絵里(——亜里沙のその驚異的な対応力だろう)
絵里(見たかも怪しいくらいの攻撃を一回で回避し、攻撃に転じるまでした。最初こそ予想を大きく下回る実力に浅い考えが出てきてたけどこの潜在的な力には少し目を配る必要がありそうね…)
絵里『その攻撃は見たことあるッ!!』
絵里「……あれ?」
絵里(待って、違う。見たことある、その亜里沙の様さえも見たことがある)
絵里(一度見た行動を次見た時には完璧な対応で対処するその様……)
719 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:13:08.52 ID:dIWqa2t10
亜里沙『今度は亜里沙のターンだね!』
絵里(それにあの亜里沙の上段回し蹴りからの後ろ回し蹴りは私が最初にやった攻撃……)
絵里『こっちは躱せるかしらッ!!』
絵里(さっき私がやった攻撃パターンにそっくり……)
絵里「…!!」
亜里沙「…?」
絵里「A-0613…!!」
絵里(いや分かってた、亜里沙の識別コードくらいはね。でもそうよ、識別コードの英語の次の数字が0だとそれは誰かの後継機とされていて、その後継機のオリジナルは0の後のコードと花丸は言っていた)
絵里(それに従えばもちろん亜里沙は私の後継機になる、私のコードはF-613——亜里沙のコードはA-0613…それが何を意味するのかといえば)
絵里(私と亜里沙は同じなんだ、やることや特徴、そして性能が)
720 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:14:45.55 ID:dIWqa2t10
絵里「!!!」
亜里沙「…お姉ちゃん?」
絵里(あぁ…まずい…気付けば気付くほど新たな真実が見えてくる)
千歌『絵里さんは何かやってたんですか?武術とか』
絵里『んー特にそういうのは』
真姫『じゃあ生まれつきであんな動きが出来たってこと?』
絵里(…そうよ、そうじゃない。私は標準型アンドロイド、なのに戦闘型アンドロイドや対アンドロイド特殊部隊の人間と戦える。それは何故?何故なのか?)
曜『標準型アンドロイドなのに、どうして戦闘型アンドロイドや高い戦闘力を有した人間と戦えるの?』
絵里(…その答えは)
絵里(私が今まで色んな人の戦いを見てきたから色んな人の戦法や武術が使えるんだ)
絵里(…それは銃を持つことになったこのレジスタンスの一件で私の強さは一気に加速したのよ)
721 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:15:32.75 ID:dIWqa2t10
ことり『強くてごめんねっ!』
絵里(ことりの中国拳法やアサルトライフルの射撃術)
希『あなた面白いやんねっ!』
絵里(希のショットガン裁きや手品のような技術)
曜『ふふふっ分かってるよ、あなたがそれをやるのだって』
絵里(曜の体術や先読みの意識)
凛『躱さないでちゃんと受け止めてよ!』
絵里(凛の本能的な動きやアクロバティックな身のこなし)
果南『スコーピオンなんて怖くないね!』
絵里(…果南のクライミング術や強引なその姿勢)
絵里(…なんで私気付かなかったんだろう、真似してみたら出来たとかそんな人が持ってる技術を簡単に真似出来るわけないじゃない………)
絵里(ことりの中国拳法も曜の先読みの意識も、凛のアクロバティックな身のこなし希のショットガン裁きも試したことないけどきっと使えるんだろう)
絵里(…だって見たことあるもの)
722 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/05(土) 21:17:17.04 ID:dIWqa2t10
果南『絵里は色んな面を含めて最強なんだよ?絵里もよく考えてみてよ』
絵里(…あの時、果南はそう言った。そうよね、悔しいけど、認めたくないけど今なら肯定できるわ)
絵里(だって…だって……)
絵里(例えば私に、一度見た動きをコピー出来る機能なんかが搭載されてたら最強の他なんでもないでしょ?)
絵里(…私がアンドロイドである故に銃弾を回避し、窮地に立たされてもそれをなんとか出来る術がある。物事を数値化出来る、ピンチ脱却ルートを知ることが出来る)
絵里(だから格上でも粘れる、そうして粘った間に見た動きをコピーする)
絵里(そしてそれをすぐに自分のモノにする)
723 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:18:17.65 ID:dIWqa2t10
絵里(…つまり私、人間じゃない)
絵里(人間を元に造られたアンドロイドだ、でも人間じゃない……)
絵里(私は人を模して造られたアンドロイドじゃない!)
絵里「あ、え、あ……え…?えっ……?」
亜里沙「お、お姉ちゃんどうしたの…?」
絵里「あぅ…あ…うっ…」
絵里(上手く言葉が話せなかった。自分が何者なのか、それを知った途端私という存在が怖くなった)
絵里(市民権を得るために、人間と平等でありたいと願って色々起こしたというのに私が人間として設計されてないんじゃ千歌も善子も果南も、そしてにこも凛も海未も希って人も全て全て死んだ意味がない)
絵里(私が引いた始まりのトリガーは相対的にも直接的にも様々な人を殺した、その中で私自身がクロとなるの?)
絵里(私、何の為に戦ってるの?)
724 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:19:06.61 ID:dIWqa2t10
ポロポロ…
亜里沙「な、なんでお姉ちゃんが泣くの?ねえなんで?」
絵里(アンドロイドであり、多少人間より優れた点があるというのを考慮した上で私は人間であることにこだわりを持っていた。例えばそれは日常的に人間らしい——高校生らしい会話をして過ごしたり、一緒にお昼を食べたり)
絵里(例えばそれは、誰かと恋愛をしたり。例えばそれは、誰かとゲームで遊んだり)
絵里(例えばそれは、色んな面で優れた私が悪い行いを正す非人道的行為を無くす正義でありたかった)
絵里(標準型アンドロイドという人間に最も近いアンドロイドだったけど私は戦えた、だから戦った。でも、そうなのね、その正義感溢れる戦いすら私は八百長をしてたのね)
絵里(そう気づいた瞬間、冷めた。生きる?戦う?ううん、全てに対する熱を失った)
725 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:20:15.10 ID:dIWqa2t10
カチャッ
亜里沙「っ!?お姉ちゃん何してるの!?」
雪穂「!」
ルビィ「絵里さん…!?」
絵里(恐怖が混乱を招き、混乱が絶望を招く。絶望が退廃を招き、退廃が死を招く)
絵里(その場にいる全員が戦うことをやめて私に注目を集めた)
絵里「……ごめんなさい、ルビィ。そして亜里沙」
絵里(スコーピオンを手放して、腰にかけてたハンドガンの銃口に私の頭に当てた)
絵里(目を瞑るとより鮮明に感じる射線にはもう何の恐怖もない。今まであんなに必死に当たらないようにと避けてたのに、こんなにも潔く射線を貫かれる私がいるんだ。正直驚いた)
絵里「…こんな弱い私を許して」
726 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:20:50.27 ID:dIWqa2t10
絵里(そこからは時が止まった、世界が動かなくなった。真空に包まれたみたいに音が聞こえなくなって、まるで私が絵本の一ページであったかのように動かなくなった)
絵里(その中で微かな動きを見せる赤く染め上げられたその記憶は一体どれだけ禍々しかったんだろう、今となってはもう分からない)
絵里(…次にその世界はどんな動きを見せるのかしら、それももう分からない)
絵里(…ただ、きっと次この世界で最初に鳴る音はこんな音でしょう————)
バンッ!
絵里(——終わりのトリガーの音)
727 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/05(土) 21:21:23.23 ID:dIWqa2t10
今日はここで中断。
再開は明日か明後日にします
728 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 18:54:49.80 ID:hEQnKdja0
〜
梨子「…はぁ」
果林「ちょっとまた私の溜め息吐かないでよ」
梨子「……そりゃあ吐きたくなりますよ」
果林「ええそうね、吐きたくなるわね」
歩夢「次はどういう手で来る?」
果林「死なないわねこの子」
梨子「死にませんね」
729 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/07(月) 18:55:35.95 ID:hEQnKdja0
果林「どうする?」
梨子「私にどうするって言われましても……」
果林「完璧に開き直ってるわね、撃たれても死なないことを良いことにグレネードにだけ当たらないようにしてる」
梨子「銃が銃として機能してないですね」
果林「ええ、というか一つ聞いてもいいかしら?」
梨子「なんですか?」
果林「なんでさっきからそんな冷静なの?もっと“どうすればいいんですか!?”とか“これじゃあ私たち負けちゃうじゃない!”とか言わないの?」
梨子「私にそう言ってほしいんですか?」
果林「そりゃあ言ってほしいわよ、年中不敵な笑み浮かべて変な事考えてる梨子が切羽詰まったセリフ言ってたら面白いじゃない」
梨子「…果林さんも充分冷静ですよね、無感情」
果林「えぇ酷い、私も一応人間なのよ?」
梨子「一応って何ですか…」
730 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/07(月) 18:56:44.14 ID:hEQnKdja0
果林「人殺すのに慣れちゃうとその刺激を上回る出来事が無くなって大して驚くことがなくなっちゃうのよね、最近の悩みだわ」
梨子「銃で撃たれても死なないってすごい驚くところだと思うんですけど…」
果林「死なない生き物自体は既にいるしそれがようやくアンドロイドにも行き渡ったって考えると案外すぐに受け入れられたわよ、鞠莉から初めて聞いた時は驚いたけど…あ、これ内緒ね♪」
梨子「あ、はい……」
曜「…何してるの?」
歩夢「!」
果林「あら、曜じゃない」
梨子「曜ちゃん!!」キラキラ
曜「誰かがべらべら何か言ってるなーって思って来たらまさか梨子ちゃんと果林さんがいるなんて…」
731 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/07(月) 18:57:17.28 ID:hEQnKdja0
ことり「………」カチャッ
曜「いいよことりちゃん、銃を下げて」
ことり「えっ…でも…」
曜「いいよ、なんか状況的に今は敵じゃないっぽいから」
梨子「…誰その女」
曜「…あ、やっぱり敵かも」
732 :
◆iEoVz.17Z2
[sage saga]:2019/10/07(月) 18:58:33.73 ID:hEQnKdja0
果林「こんなところで会うなんて奇遇ね、そっちの調子はどう?」
曜「バッチリ…と言いたいところだけど絵里さんとルビィちゃんの連絡が取れなくて困ってるところだよ」
ことり「………」
果林「絵里?絵里なら四人目と五人目のアンドロイドを倒しに行ったわよ」
曜「四人目と五人目のアンドロイド…」
果林「Y.O.L.Oには三人のアンドロイドがいるのは知ってるでしょ?それとは別に実は四人目と五人目がいるらしいの、元々絵里とルビィって子は今そこにいる不死身のアンドロイドと戦う予定だったんだけど私と梨子が役を変わってその四人目と五人目のアンドロイドを倒しに行ってもらったわけ」
ことり「……最低」
果林「え?なんで?」
ことり「もしその話が本当なら絵里ちゃんたちは今頃あなたの実験体にされてるわけじゃん、何の情報も出てないアンドロイドを相手するより不死身って分かってるこのアンドロイドを相手にする方が勝率はいいでしょ?しかも人数の有利を取れるし」
果林「…別にそんなつもりはなかったのだけどね。鞠莉が一番危険視してたのはこのアンドロイドだったからこいつをやれって言われただけなんだけど」
733 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 18:59:27.05 ID:hEQnKdja0
梨子「…一つ言っていい?」
曜「ん?何?」
梨子「曜ちゃんには悪いんだけど…その絵里さんとルビィちゃんって子、連絡取れないんだよね?」
曜「えっうん」
梨子「それって————」
梨子「——死んでるんじゃないの?」
ことり「黙って」カチャッ
曜「…そうだね、ごめん。今はそれを言わないでほしい」
梨子「……ごめんなさい」
果林「………」
果林(あの梨子がナチュラルに謝った…)
734 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:00:51.56 ID:hEQnKdja0
果林「…私ことりのこともよく知ってるわ、やけにプライドが高い一匹狼だったからね。対アンドロイド特殊部隊に所属してからはイヤというほどことりという名前を聞いたわ」
果林「そんなことりが背中を追いかけ、曜までを従わせるその絵里ってやつは何者なの?」
曜「…希ちゃんの寛容さと鞠莉さんに似た意志を持った人かな」
果林「うわなにそれ最強じゃない」
曜「そう思うでしょ?」
果林「なるほど、絵里というアンドロイドがよく分かったわ」
ことり「分かったんだ……」
果林「…なら曜とことりがやるべきことは一つでしょ?」
曜「…うん」
735 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:02:02.03 ID:hEQnKdja0
曜「絵里さんのところへ行く」果林「絵里のところへ行く」
梨子「………」
果林「答えが出てるなら早く行ったら?しんで……おっとごめんなさい、なんでもないわ」
曜「あははっ果林さんが気遣ってくれるなんて珍しいね」
果林「私も人間だからね」エッヘン
梨子「一応をつけろ一応を」
果林「先輩に向かってその口の利き方は何かしら?」
梨子「はいっ!ごめんなさい!」
ことり「……漫才?」
歩夢「というか私を置いて話を進めないで…」
果林「あららごめんなさい、じゃあやりましょうか」
カチャッ
果林「最終ラウンド————そろそろいたちごっこも飽き飽きだわ」
736 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:02:45.44 ID:hEQnKdja0
曜「…じゃあ私たちは行くね」
果林「ええ、行ってらっしゃい」
曜「…勝ってね」
果林「えっ?う、うんもちろんよ!」
梨子「何戸惑ってるんですか…」
曜「じゃあ行こう、ことりちゃん」ダッ
ことり「うんっ」ダッ
梨子「はぁ…最悪」
果林「何がよ?」
梨子「曜ちゃんに距離置かれた…」
果林「自業自得じゃない」
梨子「…それは素直に認めます、だからこの怒りはあなたにぶつけるよ」
歩夢「…そんなとばっちりなんだけど」
737 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:04:47.26 ID:hEQnKdja0
梨子「…それについてはごめんと思う、だけど私とあなたは敵同士、戦って勝負を決めよっか」
果林「なんかやけにやらかくなってない?気のせい?」
梨子「気のせいですよ、やりましょうよ」カチャッ
果林「…気のせいじゃない気がするけどまぁいいわ、やりましょうか」
歩夢「望むところ!」
果林「……梨子、仕方ないけど対絢瀬絵里用にとっておいたEMPグレネードを使いましょう」
梨子「え、いいんですか?」
果林「さっきの曜とことりを見て絢瀬絵里は私たちの敵ではないことを確信した、もちろん私たちが絵里とその愉快な仲間たちを殺しに行けば敵になってしまうんでしょうけど、攻めない限りは敵じゃない」
梨子「……分かりました、でも本当にいいんですか?曜ちゃんが味方じゃないからEMPグレネードは量産できないので数が限られてくる。果林さんが敵じゃないとはいえ、未来なんて予想できるものじゃないですし、万が一あの金髪美人のアンドロイドや穂乃果ちゃんと戦うことになった時、有効手段が無くなって厳しい戦いを迫られると思うんですけど」
果林「…その時はその時よ!」
梨子「何も考えてないんですね……」
果林「いいじゃない!絵里だって穂乃果だって死ぬのよ?それに対してこのアンドロイドは死なない、つまりEMPグレネードはこのアンドロイドを殺す為にあるの、つまりはそういうことよ」
梨子「…はぁ、分かりましたよ」
738 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:06:22.27 ID:hEQnKdja0
梨子「じゃあ————」
梨子「——私は先に行かせてもらいますね!」
果林「ええ!私も続くわ!」
果林(サブマシンガンを持ち果敢に突っ込む梨子の背中を追った、曜に距離を置かれたせいか、それとも何かが梨子の奮いを立たせたのかいつにも増して梨子の踏み込みは強くやる気に満ち溢れているようだった)
梨子「はぁっ!」バババッ!
歩夢「ほっと」シュッ
果林(工夫も何も施していない銃弾はアンドロイド相手には利かない、でもいいの。EMPグレネードを使うと決めたなら銃弾なんか当たらなくていい、避けさせることに意味があるのだから)
タッタッタッ!
果林「梨子!カバーよろしくっ!」
梨子「任せてください!」
果林(そうして梨子の背中から飛び出して避けた直後の相手に接近戦を仕掛けた、EMPグレネードは貴重よ、だから使うなら絶対にEMPグレネードが当たる状況に使わなきゃいけない、その為に準備を今からしようじゃないの)
739 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:07:56.01 ID:hEQnKdja0
果林「せいっ!」
歩夢「よっと、まだあのぶどう色の髪した人の方が鋭い近接攻撃持ってたよ!」
果林「生憎私は近接戦闘を得意としていないのよっ!」
果林(私はダイヤや梨子と比べて近接戦闘に対する理解が乏しい為に、とりあえず適当に回し蹴りをして何かアクションを待つことにした。この相手がアンドロイドだろうと人間だろうと、流石にこんな浅い私の蹴りは当たらなかっただろうけど、基本的に私の攻撃は当たらなくていいのよね)
梨子「もらったぁー!」
歩夢「何っ!?」
果林(————だって、私より優れた仲間がいるんだもの)
果林(梨子はアンドロイドに親を殺されてからアンドロイドを殺すことしか考えてないような狂ったやつよ、そのせいで名誉も称号も何もかもを必要とせず、ただ貪欲に強さだけを求めてきた)
果林(だからこそ梨子はまだ気づけていない、梨子は私よりも強いということに)
740 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:09:04.22 ID:hEQnKdja0
果林(梨子は狂ったところがよく目立つけど、案外優しいところもある。それは戦いの中で仲間を心配出来る思いやりがあったり、アンドロイドに親を殺された故に仲間を失うことの恐怖からカバーは必ずする必死さがある)
果林(対アンドロイド特殊部隊に入ってからは曜に優しくされたり曜に誕生日プレゼントを貰ったり曜にお手製の武器を授かったり曜に命を助けてもらったりでそれ以来ずっと曜にゾッコンだけど、そんなところから梨子との関わりが増えたりして曜も分かってるんじゃないのかしら)
果林(本当は梨子って優しい子なんだって)
果林(だからそう、結局梨子も)
果林(自分の——そして誰かの命を守るために、命を奪っているだけに過ぎないというわけよ)
果林(アンドロイドへの復讐とかよく言われてるけど、ただ単に梨子は自分と知り合いの命を失うのが怖いだけなのよ)
果林(それに免じて私は死んじゃいけないし、梨子を守らないといけない)
果林(表には一切出さないけど、凛やにこを失い、精神をすり減らす梨子はきっと私が死ぬことでその弱弱しい心が決壊してしまう。だからこそこの戦いは勝たなきゃいけないのよ)
741 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:11:36.34 ID:hEQnKdja0
歩夢「っ!」
梨子「くっ…!」
果林(横からやってきた梨子は歩夢の腕を掴もうとしたけど、歩夢は掴まれそうになった腕を素早く曲げ肘を前に突き出し梨子の手を弾いて攻撃にまで転じて見せた。その驚くべき対応力はやはり能力値の高いアンドロイドならではの行動よね)
果林「隙ありっ!」
果林(けど、梨子がカバーに来てくれたおかげで歩夢は梨子へヘイトを向けた、するとどうなるのかしら?私へ向いていたヘイトが消えて歩夢は梨子への対応を迫られる)
果林(至近距離で二体一をしてる以上有利なのは私たち、だから私は梨子の対応に追われる歩夢のお腹に向かって蹴りをいれた)
歩夢「ぁっ!?」
果林「一気に行くわよ梨子ッ!」
梨子「っ!はいっ!」
果林(歩夢と梨子の間に入り追撃に右肘でもう一度歩夢のお腹に打ち、打つ為に肘を動かしたその慣性をそのままに左回転し左肘で歩夢の胸に向かって鋭い打撃を与え、その後すぐに歩夢の真正面から離れた)
742 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:13:10.81 ID:hEQnKdja0
歩夢「かはっ…!?」
梨子「これで終わりッ!」
果林(そうして私の後ろからやってきた梨子の牙がようやく光った)
果林「決めて!」
梨子「いけーっ!」
果林(梨子はEMPグレネードの起動スイッチを押して怯む歩夢のお腹に押し付けた)
ビリビリッ!
梨子「うっ…!」
果林「くっ…」
果林(歩夢のお腹にEMPグレネードを押し込んだ瞬間その辺りには強力な電撃と風が弾けて歩夢を飲んだ、この時の風ときたらかなりの強風で、ついでに飛ぶ閃光も相まって梨子も私も思わず腕で顔を隠し少しの間その場から動くことが出来なかった)
歩夢「ぁ………」
バタッ
果林(そうしてEMPグレネードから飛び散った粒子をゼロ距離で吸い込んだ歩夢は電撃に巻かれながら俯けになって倒れた)
743 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:13:58.48 ID:hEQnKdja0
梨子「……終わった」ホッ
果林「…終わったわね」
果林(緊張感と謎に包まれた戦いにようやく終止符が打てたことをキッカケに梨子はその場にへたり込んだ、だから私はそっと梨子の傍に行き、梨子の隣に座った)
果林「お疲れ様」
梨子「お疲れ様でした…」
果林「…よく頑張ったわね」
梨子「……帰ったらゆっくり休みたいな」
744 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:14:39.35 ID:hEQnKdja0
果林「…今日くらいは私が奢ってあげるわよ」
梨子「どうしたんですか?急に優しくなって気持ち悪いですよ?」
果林「えぇ酷い、私はいつも優しいわよ?」フフンッ
梨子「……そうかもしれません、だから今は甘えておきます」
果林「…ええ、それがいいわ」
果林(梨子も疲れたんでしょう、もうそれは色んな意味で)
果林(普段は弱いところなんて見せない子だけど、そっと抱きしめてあげたら強く抱き返してくれてやっぱり仲間の死が精神に来てるんだろうな、なんてちょっと思った。やっぱり今の梨子は少しまいってるみたい)
745 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:16:53.55 ID:hEQnKdja0
果林「…絵里の下につくつもりはないの?」
梨子「あの金髪美人はアンドロイドですよ?私がアンドロイドと共同戦線すると思いますか?」
果林「……まぁ、それが出来るんだったら今頃梨子はこんなとち狂った部隊になんか入ってないわよね」
梨子「そうですよ」
梨子「……でも、狂った部隊なんだとしても…やっぱり私はここが恋しいな……」
果林「…そうね、なんだかんだみんな面白い人だったもの」
果林(今やその全てが過去形になってしまった)
果林(海未も、凛も、にこも死んで、ダイヤは精神的にまいってしまって、曜は敵であった絵里の元へ行ってしまった。でも、部隊っていうのはいえば一つのチームなのよ、仲が良くて楽しいことがあって笑える環境下であるからこそこの部隊は消滅することがなかった)
果林(だけどもうそんな面白い部隊も、ないのよ)
746 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:18:57.92 ID:hEQnKdja0
梨子「…もう、何が何だか分からなくなってきました」
果林「どうしたの?急に」
梨子「曜ちゃんがアンドロイドと仲良くやってるのを見てると、きっと私のお母さんとお父さんと……後私の犬を殺したアンドロイドが悪かっただけなんだろうなって思うんです。私はアンドロイドの事が今でも憎いけど……盲目的じゃない」
梨子「だからきっとアンドロイドには私の事気遣ってくれたり仲良くしてくれる子もいるんだろうなって思うんです。でも、そんなことを考えると私が今までしてきたことの意味が分からなく…なるんです」
果林「……難しく考える必要はないと思うわよ」
果林「アンドロイドは結局人間と同じなのよ、人間にも悪はいるしもちろんアンドロイドにも悪はいる。だから梨子の親を殺したのが人間だったとしても別に不思議な話じゃない」
果林「…私は梨子本人じゃないわ。梨子がこれからも復習に努めるんだったらそれはそれでいいし私は喜んで肯定するわ」
果林「……だけど、もし梨子がアンドロイドの事、信じてみようって思うならそれも私は喜んで肯定する」
果林「…元々、私はアンドロイドの事好きなのよ?ただそれ以上に殺すことが好きだからこの部隊に入ってるだけ、だから私としてはアンドロイドを信じてみるのも選択の内に全然入ってくるかなって思うの」
果林(もしこれから梨子がアンドロイドの事を信じて仲良くやってくれるんだったら、私も幸せだ。そこからアンドロイドへの復讐以外の生きがいを見つけてほしい、私は梨子の親じゃないけど、抱いている気持ちは梨子の親と変わりないんだと思う)
果林(私は殺すのが好きだけど、逆に言えば殺すのが好きなだけでそれ以外は普通の女だと思ってる。だから私の心の中で迸るこの優しさだって本物だし、梨子を救いたいと思うこの気持ちももちろん本物だ)
747 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:20:41.16 ID:hEQnKdja0
梨子「ぅ…うあああああああぁああぁ……!」
ポロポロ…
果林「………」ギュッ
果林(梨子は答えを出すことなく、私の服に顔を埋めて泣き出した)
果林(今、梨子の心の中ではアンドロイドを肯定したい気持ちと否定したい気持ちの両方が存在している、だからこそ梨子の心はぐちゃぐちゃなのだ)
果林「……鞠莉?聞こえる?」
鞠莉『ええ、聞こえるわよ』
果林「とりあえず不死身のアンドロイドはEMPグレネードで無力化したわ、これからどうすればいい?」
鞠莉『そいつは放置してもらって結構よ、それよりも今は向かってほしいところがあるの』
果林「向かってほしいところ?」
鞠莉『ええ、それは————』
果林「…分かったわ。その代わりこの戦いが終わったら私も梨子も休暇を貰うとするわ」
鞠莉『…そう、分かったわ。じゃあラストワーキングを頑張ってちょうだい』
果林「了解、それじゃあね」
ブツッ
748 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:21:33.53 ID:hEQnKdja0
果林「……本当、東京って騒がしいわね」
果林(鞠莉から受けた新たな仕事を胸に秘めて、私は梨子の手を取った)
果林(どんな時も弱音は吐かないつもりだったけど、正直私も梨子と同じで疲れちゃったわ。殺すことに全てを置きすぎて辛いという感情も嬉しいという感情も悲しいという感情も全てを置き去りにしてここまで来ちゃったみたいだから、今感じてるこの胸が痛まれるこの感情は何とも懐かしくて、なんだかイヤが気分だ)
梨子「うぅうう……ひっく……」
果林「………」
果林(…梨子が泣き止むまで動くはやめましょうか)
果林(仕事も大事だけど、今は何より……)
果林(梨子の命が大切だと感じているから)
749 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:22:33.17 ID:hEQnKdja0
〜
タッタッタッタッ
ことり「…結局敵になっても仲いいんだね」
曜「まぁ希ちゃんと私みたいなものだよ、お互いちょっかいかけていいことないって分かってるから」
ことり「そっか…」
曜「……どう思う?」
ことり「…絵里ちゃんのこと?」
曜「うん……」
曜(果林さんが指さしてくれた方向にことりちゃんと一緒に走る、その中で想像する絵里さんとルビィちゃんの現状はあまりいいモノではなかった)
750 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:23:31.44 ID:hEQnKdja0
ことり「………」
曜「…言いたくないならいいよ」
ことり「うん…」
曜(きっとことりちゃんも分かってるんだろう、まさか絵里さんが死ぬとは思ってないだろうけど死んでるんじゃないかって可能性が頭の中で出てきてしまうのはすごく分かる)
曜(ことりちゃんは絵里さんに命を助けてもらった身だから絵里さんのことを大切にしたい気持ちは分かる、だからこそ苛立ってた。何回連絡をいれても繋がらない事態は初めてじゃないし二回目という今度はどんな危険性があるか分からない)
曜(だから私もことりちゃんも絵里さんが生存してる事を願ってた、Y.O.L.Oに戻ってくれば扉が少しだけ開いてるところがあってなんとなく絵里さんたちがここから入ったんだなって言うのが分かった)
曜「……なにこれ」
曜(…だけど、その先で待っていたのは私たちの考えていた“最悪”を超越してた)
751 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:24:56.26 ID:hEQnKdja0
ことり「あ……ぁ……」クラッ
曜「ちょ、ちょっとことりちゃん!」ギュッ
曜(これが現実なんだ、目の前にある光景を見てそう思う)
曜(その光景は実にここ東京らしいモノで、赤だけだというのに極彩色に見えてしまうトラジック。そんな極彩色の姿を見てかことりちゃんは涙を流しながら膝をついて何も喋らなくなった)
曜「………」
スタスタスタ
曜(だからことりちゃんはその場に置いといて私はその先——その奥へ向かった。ことりちゃんに背を向けながら歩けばことりちゃんの嗚咽が聞こえてきて、なんで私はこんな冷静なんだろうと少し疑問に思った)
曜(こんな状況なのにまだ私は現実を理解出来てないのかも、いや…理解したくないのかも。目に見えてても頭と心で理解しなきゃ何も始まらない)
曜(…じゃあ整理しよう、したくないけど)
752 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:26:45.53 ID:hEQnKdja0
スタスタスタ
曜(…私の前で倒れてる人が四人、それぞれがそれぞれの血溜まりを形成して倒れていた)
曜「………ことりちゃん」
ことり「うっ…ひっく…おえっ……な、な…に……?」
曜「………死んでる」
ことり「…あ、あはっ……うわあああああああああああぁ……!」
曜(すすり泣くことりちゃんに現実をつきつけた)
曜(倒れる絵里さんの脈と心臓を触っても聞こえない鼓動は紛れもない死の証拠で、少し振り返ってことりちゃんを見れば赤子のように大きな声を出して泣く姿が瞳に映る。ことりちゃんがこうも泣くなんて誰が想像したんだろう、ことりちゃんを前から知る私からしたらあり得ない話だ)
曜「………」
曜(…それだけ絵里さんの存在はみんなにとって大きかった。私やことりちゃんだけじゃなくて穂乃果ちゃんやせつ菜ちゃんまで引率していった寛大でとても強い人だった)
曜(これからどうすればいいんだろう、絵里さんを失った私たちがやるべきことはなんだろう。少し考えたけど、出てきそうにない)
曜(あぁ…お先が真っ暗すぎてこの現実がイヤになる。自国の大将を討ち取られた武士の気持ちっていうのはきっとこういう気分なんだろう、自分だけじゃどうすればいいのか、どう生きていけばいいのかも分からないまま時間が経とうとしてるんだ)
753 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:27:44.64 ID:hEQnKdja0
ルビィ「ん…ん……」
曜「!」
ことり「!!!」
曜(ことりちゃんが大声で泣く中で絵里さんの隣で倒れていたルビィちゃんが微かな声をあげた、次の瞬間にはむずむずと動いて目をゆっくり開けて起き上がった)
ことり「…まただ」
ルビィ「………」
曜「…また?」
曜(起き上がって周りを一回見渡すルビィちゃんと目が合ったことりちゃんはよく分からないことを言った。それに対してルビィちゃんは顔を下げて何も言わなかった)
754 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:28:40.91 ID:hEQnKdja0
ことり「…また、あなただけが生き残ったんだね」
ルビィ「………」
ことり「あの時もそう、善子ちゃんが死に、絵里ちゃんは重傷。松浦果南は首謀者だったから死んで当然だったけどあなたは無傷だった」
ルビィ「…それは」
ことり「知ってる、後から来たからギリギリ絵里ちゃんを助けられたんでしょ?」
ことり「…でもあなたが生きて、絵里ちゃんが死ぬなんて納得できない」
ルビィ「………」
ことり「………のせいだ」
曜「…?」
ことり「お前のせいだッ!!!」バンッ!
ルビィ「っ!」シュッ
曜「ちょ、ことりちゃん!?」
755 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:30:15.76 ID:hEQnKdja0
ことり「なんで絵里ちゃんを守らなかったの!?なんで絵里ちゃんを死なせたの!?」
ことり「絵里ちゃんが死んだら私たち何も出来ないって分かってたはずだよ!?これからどうする気!?私たちだけで小原鞠莉を倒しに行くの!?」
ルビィ「………」
ことり「そんなの…そんなの……!!」
ことり「そんなのやだよぉ……!」ポロポロ
曜「ことりちゃん……」
曜(常識外れだけど、当然の行為だと思う。絵里さんの近くにいたルビィちゃんに当たりたくなるのは絵里さんの背中を追う者の性だよ、ここにいるのが穂乃果ちゃんやせつ菜ちゃんだとしてもことりちゃんと同じ反応を見せたと思う)
ルビィ「…………じゃあ」
曜「ん……」
ルビィ「じゃあことりさんなら絵里さんを守れたの!!?!?!」バンッ!
ことり「!」シュッ
756 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:30:53.23 ID:hEQnKdja0
ルビィ「あんなの守れるわけないじゃん!“あれ”をどう止めろっていうの!?」
ルビィ「なんで…なんでルビィが絵里さんにごめんなんて言葉を言われなきゃいけないのぉ…!」ポロポロ…
ルビィ「うぇええええええええええええぇぇ……!」
ことり「うっ…うぅ…うあああああああああぁ…」
曜「ふ、二人とも……」
曜(幼稚園児のように涙は伝染していった。手を目にあて口を大きく開けて泣く二人を前に、私はどうすることも出来なくて、こんな自分が悔しかった。泣かない私でいるなら何かしてあげたかった、でも二人にかける言葉がなかった)
757 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:31:21.17 ID:hEQnKdja0
曜「絵里さん…!」
曜「……うぅ」
曜「うぅうううう……うわあああぁ…あああああああああああああ…!!」
曜(私って弱い人間なんだなぁ)
曜(泣く二人を見てたら色んな感情が巡りに巡ってきた。さっきここを出る前に爆薬は仕込んだから後はこのボタンを押せば爆発してY.O.L.Oは終わりなのに、このボタンが押せないや)
曜(…これから私たち、どうすればいいんだろうなぁ……)
758 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:32:53.88 ID:hEQnKdja0
〜???
絵里「ん……」
絵里「こ、こは…」
絵里「…どこ?」
絵里(目が覚めて見える景色、それは辺り一面真っ暗な世界。建物もなければ地面も空も真っ黒。それは到底現世とは呼べなかった)
絵里「私…死んだの…?」
絵里(両手を開いて、閉じて自分の状態を確認した。体は動く、目も正常なはず、頭も回ってる。確認すればするほど異常なところはこの景色だけだと分かってくる)
「…そう、あなたは死んだの」
絵里「!!」
絵里(不意に聞こえる声はどこかで聞いたことのある声で、声の成る後ろへ向けばそこには“私”が立ってた)
759 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:34:23.97 ID:hEQnKdja0
絵里「私…!?」
「…私を見ても分からない?」
絵里「…! まさか…!!」
えりち「そう、えりちよ」
絵里「やっぱり…!どうしてここに…」
えりち「…やっぱりあなたは自殺で生涯を終わらせたのね」
絵里「やっぱり?」
えりち「あなたは最強に最も近いアンドロイド、敵の技術を全て吸収する兵器————そして強い正義感を持っていることで様々な者を引っ張っていく守られ愛されるリーダーのような存在を自分に確立させる人との生き方が分かっているアンドロイド」
えりち「あなたには死ぬ要素がない、亜里沙の動きを見て思ったでしょ?これを野放しにさせとくとまずいって」
絵里「………」
えりち「自分のした動きを吸収してリベンジしてくるんだもの、早めに決めたいって思うでしょ?でもあなたは諦めが悪い人、それは亜里沙も同じで粘ってくるのよ。だからみんなあなたと戦うと負けてしまうの」
760 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:35:34.11 ID:hEQnKdja0
絵里「…果南には負けたけど?」
えりち「果南は対策を積んできたのよ、あなたの最強は少し特殊だもの。一度見た動きをコピーするのだから初めてだらけで勝負した果南にその最強は通じないの」
えりち「…でも、ああやって生き延びてしまったあなたは更に強くなってしまった」
絵里「………」
えりち「そんなあなたが死ぬのなら、自殺しかないと思ったの。あなたを殺す為に一番有効な手が精神攻撃なんだから」
絵里「精神攻撃…」
えりち「そう、正義感が強いあなたは人一倍感受性に優れたアンドロイド。一つのテーマで複数の感情を抱くのも案外普通なアンドロイド」
えりち「あなたは自分の正体に気付いた途端、自殺した。それは何故かしら?」
絵里「…私が人間を模したアンドロイドではないからよ、人間じゃないアンドロイドがアンドロイドと人間を平等にしろなんて言うのはおかしいでしょ?」
えりち「…どうかしらね、それは返答し兼ねる問いかしら」
絵里「そう、とにかく私に生きる意味はもうなかったのよ」
761 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:36:27.41 ID:hEQnKdja0
えりち「……違うかしら」
絵里「…どうして?」
えりち「あなたは大きな勘違いをしているわ」
絵里「勘違い?」
えりち「ええ、あなたはそれを知る権利がある」
絵里「…つまりそれは何?」
えりち「もし死ぬのであればあなたには真実を知ってから死んでほしい、その真実こそがあなたにとって存在証明にもなるし、自殺のトリガーにもなる」
絵里「ねえ話聞いてた?その勘違いって言うのは何?」
えりち「…知りたいの?」
絵里「知りたいわ」
えりち「無理ね、あなたはもう死んだのよ」
絵里「…生きてれば分かったの?」
えりち「分かったと私は思うわよ、でもあなたは死んだ」
762 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:37:21.22 ID:hEQnKdja0
絵里「…じゃあこれからはあなたが私として生きるの?」
えりち「いやそれはないかしら、まだ」
絵里「まだ?」
えりち「いずれはそうなるかもしれない、けど今の私にはあなたの身体を乗っ取ることは出来ない」
絵里「それは技術的な意味で?」
えりち「ノーね、感情的な意味で、よ」
えりち「乗っ取ることが出来ないというよりかは乗っ取りたくないが正しいわ」
絵里「どうして?私は死んだんでしょ?あなたが今度から絢瀬絵里として生きればいいじゃない」
えりち「…本当にそう思ってる?」
絵里「………」
えりち「いくら自分が常識外れの何かを持ってたとしてもそれで死んでいい理由にはならないと私は思うんだけど?」
絵里「…そうね、でも今更悔しがったって何もならないじゃない」
763 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:40:01.15 ID:hEQnKdja0
えりち「…園田海未は分かるかしら?」
絵里「園田海未?あぁあの青い髪の…」
えりち「そう、あの子はとても真面目で何事にも真摯で、とっても可愛い子だったわ」
絵里「…なんであなたがそんなことを知ってるの?」
えりち「いいから聞いて、そんな可愛い海未だったけど、海未は人間に存在する生命力を否定するようなモンスターのような生命力を有していた。銃弾を腹に貫かれても死なないくらいにね」
絵里「…聞いたことあるわ」
えりち「ええ、海未は人間だった、けど人間染みたモノではなかった。故に蔑まれた存在だった」
えりち「だけど海未が青色のシャツを着て、灰色のスカートを穿いて街中を歩き、時に無邪気に笑う姿を見れば彼女もやっぱり人間なんだって思ったの」
絵里「………」
えりち「人間じゃないっていうのはね、あからさまなの」
えりち「人の心を持っていて、ちゃんと笑うこと怒ること泣くことが出来て、そして中身も含めて人の形をしてることが人間なの」
えりち「それに従えばあなたは人間でしょ?あなたは人のために自分を犠牲にすることが出来る心優しき人間でしょ?」
えりち「というかむしろ、誰かを守れる力があなたにはあるのだからそれを誇りに思うべきだと私は思うの」
絵里「………」
764 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:40:43.85 ID:hEQnKdja0
えりち「…あなたは生きるべきだったのよ」
絵里「…そんなこと言われたら死んだ私がバカみたいじゃない……」
えりち「……ええ、あなたはバカよ。大馬鹿者よ」
絵里「…うぅ……!」
えりち「…やっぱりあなたは私なのね」
絵里「ううう…どういうこと…?」メソメソ
えりち「……ねえ」
えりち「私とバトルしない?」
絵里「ば、バトル…?」
えりち「文字通りよ、今は銃が無いから格闘だけだけどね」
765 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:41:54.64 ID:hEQnKdja0
絵里「バトルなんかして何になるの…?」
えりち「最後に確かめたいの、あなたの意志を」
えりち「この東京に住んでたのなら戦いの意味は分かるでしょ?」
絵里「…生きたいと思う意思の表れ」
えりち「そう、例え力不足でも必死に抗って変わる未来もある。だからあなたの意志を確かめたいの」
絵里「……わかったわ、いいわよやりましょう。私も最後くらいは本気で殴り合いをしたいわ」
えりち「…あなたも生粋のアンドロイドなのね」
絵里「溜まった感情を吐き出すにはこういうことをしないと出ないのよ」
えりち「そうね…その通りだわ」
絵里(そう言った直後に高まる緊張感を感じないわけない、張り詰めた空気が鼓動を早くしてうるさい、うるさすぎる)
絵里(始まりの合図はきっともう鳴ってるのでしょう、相手のその一言が始まりで、だけど始まってるというのに私も相手も動こうとはしなかった)
766 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:43:23.44 ID:hEQnKdja0
絵里「………」
えりち「…来ないの?なら私から行くわね!!」ダッ
絵里「!」
絵里(そう言って始まった戦いは銃が無いというのに銃撃戦のように凄まじい勢いを秘めたものだった)
タッタッタッタッ
えりち「先手必勝!攻撃が最大の防御よ!」ブンッ!
絵里「おっと」シュッ
絵里(走り込みで私に近づき最大火力と言ってもいいくらいの右ストレートが飛んできたから私は素早く左へ回避して、私の横を通り抜ける相手に対して回し蹴りで後頭部へ狙いを定め脳震盪を与えようとした)
えりち「それは見たことある」ガッ
絵里「!!」
767 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:45:58.70 ID:hEQnKdja0
えりち「そしてこれは見たことある?」
絵里(左上腕で私の蹴りをガードし、右ストレートで伸ばした右腕を戻しそのまま私の喉元に向かって肘打ちをしてきた、だけどそのくらいなら見えるし反応速度だけでなんとかなる)
絵里「はっ!」ガシッ
絵里(私は咄嗟に右手で肘打ちを受け止める————けど攻撃は止むことはなかった)
えりち「そう、あなたはそれを受け止めるのよね、だからわざわざ受け止められる選択を取ったの…よっ!」ドカッ!
絵里(相手はどれだけ計算高かったのかしら。回し蹴りにより右足を高く上げたまま、右手で肘打ちを受け止める私に、次来る突き蹴りを躱す術はない)
絵里「くっ…!」
えりち「よい、しょっとっ!」ドカッ!
絵里「ッ…!!」
絵里(少し弱めに調整された控えめな突き蹴りは私を倒すことなくよろめかせるだけにとどまった、しかしそれがいけなかった。次、よろめく私に歯向かうのは鋭い上段蹴りで、これには死を悟った)
768 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:46:51.18 ID:hEQnKdja0
えりち「…やはりあなたは強くなりすぎてる、私の計算なら今の三連撃で勝負はついてたはず」
えりち「そして驚いたわ、今の一瞬で顔じゃなくて首に命中するよう角度を変えるなんて」
絵里「亜里沙の蹴りをもろに食らったものでね、あの時も回避は出来ない状況だったしせめての対処法をしたまでよ」
えりち「…私の蹴りも見たことがあったってことね」
絵里「……そうなるわね」
絵里(これが私なんだ、ただそう思った)
絵里(見たことあるから対応されて、自分のやった攻撃でやり返される…そんな相手が弱いはずがない。実際今の私は強い、蹴りを首に当たるようにしたその一瞬の判断はきっと今までの戦いがなきゃ出来なかった)
絵里(だから今となっては私は戦いの道を選ばないほうが幸せだったのかもしれない)
769 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:48:18.15 ID:hEQnKdja0
えりち「そうなのね、でも私が有利なのは変わらないことよ!」ダッ
絵里(さきほどの走り込みとは違い、両手を下げて私の元へと来る相手——それを見るに戦法を変えてきたみたいね)
えりち「ほらほらっ!私の舞は躱せるかしらっ?」
絵里「っ!その動き…!!」
絵里(チョップや掌底、後ろ回し蹴りや跳び膝蹴り、ローキック、肘打ち、スライディングなど技の種類問わずとにかく鋭い一撃が私に歯向かう、それを避けようと飛び退くと相手も引っ付いてくるように跳躍で私との距離を開かせず逃げる隙を与えてくれなかった)
絵里「…っ!それって!?」
絵里(よくよく見れば分かることだった。その速度や打ち方だけでなく指先まで整っているキレのいい掌底や肘打ちはどう見てもことりのモノよ、だけどその身軽で、本能的で、戦闘を楽しむような姿は凛そのものだ。しかもこの何度も何度も鋭い一撃を繰り返して相手を寄せ付けない上に死を全く恐れてなさそうな勢いで相手との距離を放さないその戦法————それはまさしく希のショットガンの舞だった)
えりち「気付いた?そうよ、こうやって応用だって出来るのよ!」
絵里「くっ…そんな反則でしょ!」シュッ
えりち「あなたにも使えるのよ?文句は言えないはずよ」
絵里「だからってそんな…!」
絵里(やっぱり私にも使えるのね、今も希のショットガンの舞を格闘だけで疑似的に再現してる相手を見てるとこの力がどれだけとんでもないものかを痛いほど感じさせてくれる)
770 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:49:29.15 ID:hEQnKdja0
絵里「………」
絵里(ここで私は一つ思う、このまま戦いを続けててもそれぞれが見たものを返し合ういたちごっこになる。それは不毛であり意味のない戦いに過ぎない、なら短期決着が望ましい)
絵里「……よしっ」
絵里(その時私は一つの道を見つけた、この相手に————私に勝つ方法を)
絵里(私一人じゃ勝てなくても、“みんなの力”を使えば勝てるのよね、私にだって)
絵里「…じゃあラストスパートと行きましょうか」
絵里(私個人の始まりのトリガーは今引かれた、ショットガンの舞をしながら近づく相手に私は姿勢を低くして近づいた)
えりち「っ!この舞に近づくの?」
絵里「ええ、私はそれが良いと思ったから」
771 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:50:14.47 ID:hEQnKdja0
絵里(あの時の希の動きは双方にショットガンを持つことで片方でトリガーを引いてももう片方を撃つことで反動を相殺する仕組みで、銃があってこそのよく出来た戦術だ)
絵里(ただしそれは力業でもなければ希だけが出来る業でもなく、工夫を何重にも施し、メリットとデメリットを計算しつくした希の有する力でも出来るようにした業であったと思う)
絵里(この動きのメリットは相手を寄せ付けない、相手を無理矢理動かすことが出来る、手数で勝つことが出来たりと火力面では強い)
絵里(だけどその動きは————)
絵里「片方の足を上げないと成立しないのよね!!」
えりち「!!」
絵里「もらったぁ!」ズサー
絵里(あの動きは重心をどちらかの足に置いてバレエのような舞を射撃と共にするまさにダンスそのもの、片足を上げることで次へのステップをすぐに行えるように、そしてそれを連鎖的に行えるようにした最大の特徴であり最大の弱点)
絵里(銃が無い今は近づくことも不可能ではない、あの片足を————重心を弾くことが勝利への第一歩なのよ)
772 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:54:36.64 ID:hEQnKdja0
えりち「あっ……」
絵里「これがことりの力よ!」ドカッ
絵里(バランスの要であった片足をスライディングで崩して宙に浮かせ、その後すぐにスライディングを解除して飛び膝蹴りをした)
ことり『強くてごめんねっ!』
絵里(あの時ことりが見せてくれた飛び膝蹴りを真似た、右足から天を統べる鳳凰のよう凛々しく飛んで、左膝で“打撃”を行うのではなくこの左膝を相手の背中に“めり込ませて”相手を吹き飛ばす。中国拳法で鍛えられたキレの良さは他の人の飛び膝蹴りとはまた違う強さがあった)
えりち「っあぁ…!がっ………」
絵里「えっ…ちょっと……」
絵里(背中から私の蹴りを受けた相手は派手に宙を舞い横へ吹っ飛ぶのではなくて上へと吹っ飛び胸から地面へと叩きつけられ、大量の血を口から吐き出して動かなくなった)
絵里(…これは相手がアンドロイドだから分かるけど、私の蹴りは確実に背中辺りにある何か重要なシステムを担う何かを壊した。その結果機能が一時停止してる可能性が高くみんなの力を使わずともことりの力だけでKOさせてしまった)
773 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:55:52.02 ID:hEQnKdja0
絵里「……やっぱり私…」
絵里(目を開けたまま、口を開けたまま動かない相手…ううん私を見て思うのはやはりこの力は使うべきものではないというのが分かる)
絵里(拳銃も持ってなかった私が今では格闘だけでこんなことができるなんて思いもしなかった)
絵里「………」
絵里(確かに相手が言う通り、誰かを守る為の力があるのは誇らしいことだと思うけどこの力はいくらなんでも人間離れしすぎてるし、ましてやアンドロイドの括りにも到底嵌められたモノじゃない)
絵里(この力を持って私は何を全うするのだろう、この力の存在を知っていながら私はどういう生き方をするのだろう)
絵里(分からないけど…分からないけど私という化け物が死んで私は心底安心した)
『…やっぱりあなたは自殺で生涯を終わらせたのね』
絵里(…そう、そうなってしまうのよ。今ならよく分かるわ)
絵里(だって私は死にたくないもの、死にそうになったら必死に抗って逃げたり戦ったりして生き延びたい生き物なんだもの)
絵里(だけど生き延びた分強くなっていく私はあのまま生き続ければきっと軍神と謳われた穂乃果以上にアンドロイドという歴史に名を深く刻むことになるのでしょう。だからそんな物語がここで止まってよかった、正義感という私が、私という正義感が私の死を心から喜んでいた)
774 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:57:14.02 ID:hEQnKdja0
えりち「…ぷはっ」
絵里「!」
えりち「はー…負けたわ」
絵里「…私の勝ちね」
えりち「ええ」
えりち「…さっきも言ったけどあなたは強くなりすぎてる」
絵里「ええそうよ、だから私は平和を崩さない為に死ぬ運命にあるのよ?よく分かったでしょ?」
えりち「いいや、あなたは生きる運命にある。何故ならあなたには守るべき人がいて、知るべき真実があるから」
絵里「…あなたは一体何を知っているの?」
えりち「……少なくとも、あなたよりかは遥かに知っていることが多いはずよ」
775 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 19:58:32.83 ID:hEQnKdja0
絵里「…じゃあ聞くわ」
絵里「私の知るべき真実っていうのはどこにあるの?」
えりち「ええ、答えてあげる。それは————」
えりち「——小原鞠莉がいるあのホテルの最上階よ」
絵里「………」
えりち「そこにあなたが一番知りたい真実があるわ、あなたはそこでこれまでとこれから全部を含めたとしても最大となる選択に迫られる」
えりち「あなたは死ぬ前にターニングポイントを作りなさい、死を語るのはそれからよ」
776 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:00:21.92 ID:hEQnKdja0
絵里「…まるで私が生きていてそこに行けって言ってるような口振りね」
えりち「ええ、生きてるもの」
えりち「…いや、具体的には死んでるけどね」
絵里「…何を言ってるの?」
えりち「あなたは死んだわ、人間の脳に当たる記憶保存領域に鉛玉を撃ち込んだからね、記憶保存領域の内部を破壊したことによりあなたの記憶は機械的に保持が出来なくなる。壊れた記憶保存領域からしちゃあなたの記憶は存在不明、解析不能なモノになってしまうからまさにTHE ENDって感じ」
えりち「でもおかしいと思わない?記憶保存領域が壊れてるのになんであなたの記憶は今もこうして保持されてるの?」
絵里「それは…」
絵里「………」
えりち「…分からないでしょ?当然よ、だって知るはずがないもの」
絵里「…どういうこと?」
777 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:01:33.72 ID:hEQnKdja0
えりち「あなたは私————私はあなた」
えりち「ここまで言えば分かる?」
絵里「………分かりたくない」
えりち「正直ね、でもごめんなさい。分かってもらうわ」
えりち「私という存在が生きてるからあなたはまだ記憶を保持していられるのよ」
えりち「あなたには真実を知る権利があるの、だからその真実を知ってもらうまで私はあなたを殺さない」
絵里「…じゃあ私があなたを今ここで殺せば私は死ぬの?」
えりち「ええ、死ぬわ」
絵里「………」
778 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:02:29.22 ID:hEQnKdja0
えりち「さっき戦って分かったわ、まだあなたには戦う気力がある。生きる力を完全に失ったわけじゃない」
えりち「勝ちたいって思えるならもうそれでいいわ、小原鞠莉のところに往って小原鞠莉に勝ってきなさい」
絵里「…無茶言うわね」
えりち「でも、その無茶をやろうとしてたのはあなたでしょう?」
絵里「………」
えりち「…残念だけど今ここで私を殺そうとは思わないほうがいいわよ、私とあなたは平行線の存在。今という状態じゃあ何をしたって変わらないわ」
えりち「だって同じ存在なんだもの」
絵里「………」
えりち「元々私はあなたが死んだ時に埋め込まれる新しい記憶だった、けどいいわ。私の命をあなたにあげる」
えりち「この命こそが最後の命。私とあなたは一心同体なの」
えりち「だからこの私が託した命で退廃した世界を変えなさい、あなた自身の力で」
絵里「………」
779 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:04:06.56 ID:hEQnKdja0
えりち「返事は?」
絵里「…何故私にそこまでするの?」
えりち「あなたは私だけど、私はあなたではないからよ」
絵里「……意味が分からないしさっきと言ってることが違うんだけど」
えりち「同じ存在でも、違う私たち————でも今の本当のあなたっていうのは生まれた時から記憶を保持してるあなたでしょう?あなたが生きている以上私はあなたを応援するわ」
えりち「これは“私”としてのけじめなの」
えりち「私、命に盲目じゃないから」
絵里「……そう、分かったわ」
780 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:04:55.11 ID:hEQnKdja0
絵里「なら初代絢瀬絵里に免じてここはあなたの命を貰うわ」
えりち「ええ、ありがとう」
絵里「…お礼を言うのは私なんだけど?」
えりち「あなたは私、私はあなた。だから嬉しいのよ」
絵里「………」
絵里(私という人物はこういう人なのかしら…少し考える)
絵里(確かに私は正義感の強いアンドロイドよ、決して自分の持つ強さを曲がらせることのない自分を強く持った人格が備わってる)
絵里(でも、自分の命をあげる?私が?当事者でもなんでもないしこれに関しては考えたくもないから一概には何とも言えないけど私はそんな人が良いアンドロイドだとは思わない)
絵里(……これが“次の私”なのかしら)
781 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:06:07.69 ID:hEQnKdja0
えりち「とにかくあなたは後数分後には現実へとトリップする、記憶保存領域は壊れてるしおそらく頭には穴が空いたまま、だけどあなたはそれでも正常よ」
絵里「…なんなのそれ」
えりち「私のおかげよ、だからあなたは諦めるまでは最後まで強く生きていきなさい」
絵里「……ええ、分かったわよ」
えりち「素直でよろしい、じゃあね」
えりち「私は常に私でありなさい」
絵里「……なにそれ」
えりち「偽物の命なんて、この世にはないんだから————!」
絵里(その言葉はよく木霊した、この何もない世界で、この穴の開いた私の頭の中で、何重にもなって木霊した)
絵里(————視界が真っ白になった、そう感じた一瞬を最後に私の感覚全てが消えた)
絵里(それは現実へ向かう為の動作であり、臨死体験とでも言っておきましょうか、ある意味仮死を体験した瞬間でもあった)
782 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:07:23.22 ID:hEQnKdja0
絵里「ん……んん……」
絵里(次に意識が戻ってきた時は目を開ける前から自覚した)
絵里(私、生きてるって)
絵里「…はっ」
絵里(だから強く目を見開いた)
絵里「……ここって」
絵里(匂いだけでも分かるこの懐かしい感じ、レジスタンスであったみんなと生活を共にして、時には刃物にもなり兼ねない言葉が飛び交った小さな戦場でもあり、みんなの笑いが集う楽園でもあったこの場所…)
絵里「…家だ」
絵里(明かりが何一つついてない真っ暗なリビング、いつも回ってるはずの天井扇も回ってなくて、横になっていたイスから降りて真っ暗な地面を歩けば当たる金属の感覚)
絵里「これ……」
絵里(せつ菜の武器だ、リビングのテーブルには曜のハンドガンがあり、このリビング・ダイニングに無造作にみんなの武器が散らばってた)
783 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:08:29.47 ID:hEQnKdja0
絵里「………」
絵里(…荒れたんだ、なんとなく想像がつく)
絵里(私がリーダーなんだから、その私が死んだら統率が取れなくなって何をすればいいのか分からなくなるのよね、もし私がことりや曜の立場だったら私だって荒れるもの、ずっと泣くもの)
絵里(…でも、そんなみんなが今ここにいない)
絵里「…みんなっ!」
絵里「………」
絵里(返事は無かった。寂しさを誤魔化す為に完全に閉じられたカーテンを少し開ければ月明かりが私の視界を奪う。だから眩い月明かりから外れればここら辺に転がってる武器が照らされてこのリビングにみんなの持つ武器全てがあることが分かった)
絵里「……っ」ダッ
絵里(家中を駆け回った、私や曜がいつも寝てる寝室、お風呂、図書室、ことりや善子が寝てた寝室、トイレ、この家全てを回ったけど誰もいなかった)
絵里「………」ジワッ
絵里(みんないなくなっちゃった)
絵里(私がいなくなってみんな戦う意味がなくなったのかしら…そう思うと私の物語ももう、終わってしまったのかも)
784 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:11:04.77 ID:hEQnKdja0
絵里「うううぅううううっ………」
絵里(ただ単純に悲しかった、今まで戦線を共にした仲間全員が消えた。それに私は実質ルビィを殺した、私の無駄な死が人数不利を作ってルビィを死へ一気に近づけた)
絵里(二代目の私からエールを貰ったのはすごい励みになったけど、現実がこうじゃ見えるのは絶望だけ)
絵里(……いや、自業自得なのは分かってるんだけどまさか自殺してから現実へ戻ってくるなんて考えてるわけないでしょ?)
絵里(それにあの時の私は本当に死を望んでいた、あの時ほど自分がイヤになったことはない)
絵里(…事実、今でも私は人間離れを起こしているわけだし)
785 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:12:33.14 ID:hEQnKdja0
絵里「うぅ…うぇえええあああああああ…!!」ポロポロ
絵里(戻ってきた現実は相変わらず退廃的で、死にたくなるほど絶望的でどうすればいいか分からなくてただ泣いた。涙を我慢する必要なんてなくて募りに募った悲しみ全てが赤子のように泣く私の口から出てた)
絵里(これからどうすればいいんだろう、私一人で鞠莉のところへ行けるのかしら?)
絵里(…否、無理があるわ)
絵里(ならどうすればいいの?私は私に問う)
絵里(……ダメね、他の方法も見つかるはずがない)
絵里(こんなお先真っ暗じゃ涙も枯れることを知らないままでいるようで、今はただ…ただただ泣き続けるだけだった)
786 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:14:19.54 ID:hEQnKdja0
「絵里…ちゃん…!?」
絵里「!!」
絵里(それは突然声が聞こえた。昨日聞いた…いや今日聞いたばっかなのに数年ぶりくらいの懐かしさを感じるこの声————その声に私は目を丸くした)
絵里「こ、ことり…?」
ことり「絵里ちゃんなの…?絵里ちゃんなの!?」
絵里「ええ!ことりなのよね…!?」
ことり「うんっ!ことりだよ!絵里ちゃんに助けてもらったことりだよ!」
絵里「うぅ…うわああああああああああん!」
ギューッ
ことり「わぁ!?ど、どうして絵里ちゃんが…?」
絵里「帰ってきちゃったのよぉ…!」
787 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:14:49.79 ID:hEQnKdja0
曜「ことりちゃんどうし————って絵里さん!?」
絵里「曜!曜よね!?」
曜「な、なんで絵里さんが……」
タッタッタッタッ
穂乃果「絵里ちゃん!?」
絵里「みんな…!」
絵里(ことりの存在に気が付けば玄関の方の扉が開いててそこから曜や穂乃果がやってきた。それを見て安心した、仲違いを起こしたり分裂したりしたわけじゃないんだって)
788 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:15:56.01 ID:hEQnKdja0
ルビィ「…絵里さん」
絵里「ルビィ…ごめんなさい……」
ルビィ「…どうして、あんなことしたんですか?」
絵里「…そうよね、言わなきゃダメよね」
穂乃果「…何があったの?」
曜「私も気になる、そして絵里さんがこうして今ここにいる理由も」
ことり「私も」
絵里「ええ、話すわ。全てを」
絵里(私は私自身の機能について、自殺してから今に至るまでの事、そしてこれから行うべきことの三つを話した。どれもこの世界では初めて話すことで聞いてる誰もが驚きを隠せないようでいた)
曜「それじゃあ希ちゃんの探してた標準型アンドロイドXっていうのは……」
絵里「…ええ、多分私の事」
ことり「私の中国拳法が使えるって…」
絵里「実際使ったけどよく真似出来てたわ」
ルビィ「…絵里さんは人間だよ、ちゃんとした人なんだから」
絵里「…ありがとう、ルビィ」
絵里(しかしみんなのその後の反応といえば驚きもあったけど何より温かった。こんな大罪を犯した私でも許してくれるみんなの優しさが逆に痛かった)
789 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:16:40.01 ID:hEQnKdja0
えりち『あなたは最強に最も近いアンドロイド、敵の技術を全て吸収する兵器————そして強い正義感を持っていることで様々な者を引っ張っていく守られ愛されるリーダーのような存在を自分に確立させる人との生き方が分かっているアンドロイド』
絵里「………」
絵里(分かる気がする)
絵里(……いや、自分を優しいとかそういう風に思うつもりはないけど、私ってちゃんとリーダーをしてて引っ張っていってるんだなって自覚はある)
絵里(人間関係に恵まれてるんじゃなくて、人間関係を上手いように操ってるのが私なんだ)
絵里(そしてそれが本能的に、感情的に行ってるから私は私を憎めない。私が心から思うことがその人にとって最高の選択になるんだから改めて私の存在が強く見えた)
790 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:18:12.11 ID:hEQnKdja0
絵里「…あれ?花丸とせつ菜は?」
ことり「え、それはぁ……」
ルビィ「………」
絵里「…何?」
絵里(…だけど現実が良いことばかりじゃないのはもう知ってる、今まで笑顔やら安堵の息をついてたみんなが急に顔を曇らせた時には何かを察した)
穂乃果「…花丸ちゃんは死んだ、せつ菜ちゃんは意識不明の重体」
絵里「えっ……」
穂乃果「…花丸ちゃん、自爆特攻をしたんだ。私とせつ菜ちゃんだけじゃあの二人に勝てないからって」
絵里「……そんなことが」
曜「…だから、そんな花丸ちゃんの死や絵里さんの今まで繋いでくれた道を無駄にしない為にも最後まで頑張ろうって私たち決めたんだよ」
ことり「…多分、私たちの銃はもう敵に割れてる。街中で銃声がしたならそれは私たちだってすぐにばれちゃうからまだ知られていない武器でせつ菜ちゃんを真姫ちゃんのところへ連れてくために外へ行こうって言って武器を整えたんだ」
絵里「…あ、じゃあこの武器は……」
曜「そうだよ、とりあえずここの武器庫にあった武器をいっぱい持ってきて自分に合う武器を取っていったんだ」
絵里「なるほど……」
791 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:19:20.87 ID:hEQnKdja0
絵里「…花丸が死んでせつ菜が目覚めない……」
絵里「…となると残り戦えるのは私たちだけになるのかしら?」
ルビィ「…そうだね」
ことり「…うん」
穂乃果「随分と減ったね……」
曜「五人か……」
絵里「…こうなっては仕方ないわ、この五人で鞠莉のいるホテルの最上階を目指しましょう」
絵里(戦いは増えるモノと減るモノが一緒な出来事だ)
絵里(生きてる人が減り、死人が増えるこの出来事では時間によってもたらされる変化がとてもよく分かった)
絵里(最初こそたくさんいた、敵も味方もね)
絵里(でも今は敵も味方もほとんどいない、千歌も善子も果南も…凛も海未もにこもいない)
絵里(やはりこの東京では——ううん、東京のせいにはしない)
絵里(この戦いという出来事には死と正面から向き合わないといけないらしい)
絵里(…そんなこと分かってたけどね。でも気付くと周りは死んだ人たちばっかりだったから少し過去が淡く見えた)
792 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:20:08.41 ID:hEQnKdja0
穂乃果「……小原鞠莉のいるホテルの最上階に行くならどう考えても実行は今日の夜だよ、Y.O.L.Oまで破壊したんだ、流石に政府も黙っちゃいないよもう」
曜「その通りだよ、政府が戦いに絡むとなると逃げることは可能だけど挑むのはかなり難しい」
曜「だからおそらく今日が最初で最後のチャンスだよ」
ルビィ「…うん、ルビィもそう思う。ホントなら今すぐにでも行きたいけどそれだと準備不足だからね、明日ならまだ政府も対応に追われる頃だからまだ間に合うと思う」
ことり「…じゃあいよいよなんだね」
絵里「……ええ、果林と梨子がY.O.L.Oのアンドロイドを殺しに動いてたのも一枚鞠莉が噛んでるらしいわ、だから今この混沌の時に行くべきよ」
穂乃果「…うん」
793 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:22:15.85 ID:hEQnKdja0
絵里「……ってあれ?そういえば果林と梨子はどうなったの?」
曜「それならY.O.L.OのアンドロイドにEMPグレネードを当てて終わったよ」
絵里「え?」
曜「一番最初に戦った時私が銃弾を避けることに驚いてたからEMPグレネードの知識も無いんだろうなぁって思ってたけど案の定やっぱりなかったよ」
ことり「…死んだ絵里ちゃんを連れて帰る時に会ったけど“私たち必要なくない?”みたいなこと言いあってて人生楽しそうだなって思ったよ」
曜「…まぁ私たちに対して敵意が無いのはすごくいいことなんだけどね」
絵里「やっぱりEMPグレネードって強いのね……」
曜「まぁね、でもアンドロイド相手に投擲物は基本当たらないからそれを当てることが出来た二人の腕は本当にすごいよ」
曜「絵里さんにも勘違いしてほしくないんだけど、EMPグレネードは万能武器じゃないからね」
曜「コストが高くて量産も出来ないからちゃんと使い時を見極めないといけないよ」
絵里「難しいのね…」
794 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:27:39.74 ID:hEQnKdja0
ルビィ「…亜里沙ちゃんと雪穂ちゃんは私が殺した」
絵里「!!!」
ルビィ「……ごめんなさい」
絵里「…そう、いいわ。気にしないで、元々私が殺す相手だったんだから」
絵里「……それにしてもよく亜里沙を殺せたわね?」
ルビィ「…ルビィもあの時は狂ってたよ、絵里さんが死んで泣いてた亜里沙ちゃんを狂った衝動で殺してその後雪穂ちゃんとタイマンをして勝った」
穂乃果「狂ってたって何?」
曜「それは同じ事思ったかな」
ルビィ「…絵里さんが死んだショックみたいなものだよ、自然と笑いが出てきて目の前にいる生き物を殺したくなっちゃって……」
絵里「……ダイヤもそうだったわ、ダイヤという名前に恥じない壊れない精神を持っていたものけど、ルビィの件で一度壊れてしまうと心の修復が利かなくなって性格がどんどん曲がっていった」
絵里「…私はそこまでダイヤとは関わりがなかったけど、ルビィが目覚めなくなってからのダイヤは一目見て変わってしまったというのが分かった」
絵里「だから遺伝…なんだと思うの」
穂乃果「……そっか」
曜「そうなんだ……」
795 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:28:29.44 ID:hEQnKdja0
絵里「……ええ」
絵里(…まぁ覚悟はしてたけどやはりきついものがあった)
絵里(あんな純粋無垢な妹の死に様を見なくて済んだのが不幸中の幸いと言っておきましょう、戦闘型アンドロイドなのに一度も戦闘をしたことがないというのは嘘偽りもなく、それ故に亜里沙は戦いのリスクをもろに受けて死んだ)
絵里(…もし、次の亜里沙が私の元へつくとしたら今度はどんな亜里沙なのかしら)
絵里(そしてそれを愛せるのか————今の私には新しい亜里沙を愛することが出来る自信がない)
絵里(……やっぱり、東京は道徳が廃れた場所だ)
絵里(東京のせいにはしたくないけど、東京じゃなかったらきっとこうじゃなかったのよ)
796 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:29:41.19 ID:hEQnKdja0
ことり「……とにかく準備しようよ、今こんな話してても誰も得しないよ?」
絵里「…その通りね、準備しましょう?またあの時みたいに楽しく生きていかなきゃ!」
曜「うんっ!よしっ!準備しよう!もう出し惜しみは無しだよ!使える物は全部使っていこう!」
穂乃果「…分かったよ、やるよ!勝利を取るよ!」
ルビィ「…うんっ!」
絵里(あぁ良かった、自分が使う武器を整え始めるみんなを見て私は強く思った)
絵里(————この五人で戦っていく)
絵里(…いや、正確には六人よね。真姫も入れなきゃいけないもの)
絵里(最後の戦いで歴史を変える人物として選ばれた私たちはどこまで往けるのかしら)
797 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:31:06.94 ID:hEQnKdja0
ガチャッ
絵里「!」
真姫「…!絵里…!?」
絵里「真姫!」
真姫「し、死んだって聞いてたのにどうして…?」
絵里「まだ死んでなかったの!だから…今日——今日の夜に決めにいくわ」
絵里(準備が始まると同時に、選ばれし人物の六人目がやってきた)
真姫「…よかった、私絵里が死んだ時私も死のうって思った、私も絵里の仲間として生きていくと決めた以上、絵里が死んでもうやれることはなかったから」
真姫「……でも死ねなかった、怖くて、怖くて…」
真姫「…絵里、あなたが生きているのなら私もまだ生きれるわ」
真姫「…本当に良かった」ギューッ
絵里「……私も真姫に会えてよかったわ」ギュッ
絵里(私と真姫はお互い強く抱き合って、気が済むまで相手の温もりを感じたところでようやくツッコミが入った)
ことり「…重くない?真姫ちゃんの愛」
穂乃果「私も同じ事思った」
798 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:32:31.54 ID:hEQnKdja0
曜「うーんアリだと思うけどなー真姫ちゃんは絵里さんに尽くしてるし」
ルビィ「うんうん、ルビィも良いと思う」
真姫「ちょっ…尽くしてるってなによ!」
曜「違うの?」
真姫「ちが…うと思うわ」
ことり「そこ迷うんだ…」
絵里「…まぁいいわ、とにかく各自準備をしましょう、今回の戦いでは爆発物は最低限でいいわ、ホテルの最上階を目指すからグレネードは正直使えない、今回の作戦では屋内戦を強いるから動きやすい軽装でいいわ」
ことり「了解だよ」
絵里(ことりがお風呂へと向かうのを見てそれぞれ自分のやることをやり始めるのを見て私も動き出す、真姫も機材をたくさん持ってきたらしく最後の戦いではオペレーターになるらしい)
絵里(曜とルビィは銃器のチェックをし、穂乃果は目的地の情報を集めてた)
絵里(そんな私は夏真っ只中の夜に戦いをすれば汗はべとべと、だからそれを洗い流す為にことりと一緒でお風呂に入ったのだけど、そんな時思った)
絵里「……本当に穴が空いてる」
絵里(9mmの弾が私の頭を突き抜けたことによって空いた穴が気になった、この様子じゃ記憶保存領域が壊れてるっていうのもウソではなさそうだしますます私の存在が意味不明になってくる)
絵里(あの新型アンドロイドも複数命があるとは言ってたけど、じゃあその複数の命はどのような意味があって複数の命とされてるのかしら…)
絵里(…頭と胸を撃っても死なないとなると、後はお腹と足と肩を撃てば死ぬのかしら?いや、そんな単純じゃないのかしら…?)
絵里(考えれば考えるほど深みにハマっていって謎が解けそうにないわね…)
799 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:34:28.51 ID:hEQnKdja0
絵里「…いや、分かるのよね」
絵里(そう、それが知りたきゃ鞠莉のいるホテルの最上階へ向かえばいいのよね)
絵里(そこに全ての真実が眠ってる、私はそれを知りたいからこの現実へ戻ってきた)
絵里「……待ってなさい、鞠莉」
絵里(これは私からあなたへの————宣戦布告よ)
ことり「……あのー」
絵里「ひゃああ!?!?」
ことり「いやなんで驚くの!?最初から私いたよ!?」
絵里「い、いや全然気付かなかったわ…」
ことり「えぇ…気配隠してたわけじゃないのに……」
絵里「ご、ごめんなさいね、ちょっと今日の夜のことで集中してて……」
800 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:35:41.27 ID:hEQnKdja0
ことり「……まさか絵里ちゃんとこんなことするなんて思いもしなかったよ」
絵里「私もよ、最初は敵だったのにね」
ことり「…今も分からないの?」
絵里「えっ?」
ことり「…私を助けた理由だよ、あの時絵里ちゃんは自分でも分からないって答えたじゃん」
ことり「私を助けても意味なんてなかったはずだよ、曜ちゃんや矢澤にこには見つかるし死ぬ危険性も充分にあった、それなのになんで?」
絵里「……私が助けるべきだと思ったから助けたのよ」
絵里「例え敵だろうと、目の前でことりが殺されそうになってたなら助けるべきだと私は思ったの」
絵里「あそこで見殺しにしたら私は一生後悔する、必死に逃げることりの姿を見てられなくて、私が助けなくて誰がことりを助けるんだって自分を奮い立たせたの」
絵里「…今ならよく分かるの」
絵里「私、人が殺せないんだって」
ことり「………」
絵里「人が殺せないから、ことりを見殺しになんか出来ないの」
絵里「またことりが死にそうになった時はきっと…いや絶対に助けるわ」
801 :
◆iEoVz.17Z2
[saga]:2019/10/07(月) 20:36:20.70 ID:hEQnKdja0
ことり「…うぅ……!」ジワッ
絵里「えっちょっとことり!?」
ことり「うぅうううう…!ぅ絵里ちゃん優しすぎるよぉ…!」
絵里「そ、そうかしら……」
ことり「…よかった、私絵里ちゃんの背中を追いかけることが出来て」
ことり「苦しいことはたくさんあったけど、それと同じくらい嬉しいことや楽しいこともあった」
ことり「私、この戦いが成功に終わったら絵里ちゃんの学校に通ってみたい!」ニコッ
絵里「…!」
ことり「…なんて、無理かなぁ?」エヘヘ
絵里「…ううん、無理じゃないわ。あそこはアンドロイドを平たく見てくれる人がいっぱいいるからきっと楽しいわよ」
ことり「うんっ!」
絵里(…今、この上ないくらいに幸せを感じた)
絵里(…なんでかって?)
絵里(考えれば分かるでしょ?ことりが笑ったのよ?)
絵里(感情保管領域に欠如が見られることりが、笑ったのよ?)
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