【バンドリ】白鷺千聖「百合度を測定する機械」【コンマとか】

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135 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 17:25:31.35 ID:VhboQHxbO
ひまり
136 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 17:44:39.33 ID:opgk45K30

彩「つぐみちゃんとひまりちゃんだね。こんにちはーっ!」

羽沢つぐみ「あ、彩さんに千聖さん。こんにちは」

上原ひまり「こんにちはー!」

千聖「ええ、こんにちは」

彩「ふたりとも、どこかに遊びに行ってたの?」

ひまり「はい! 一緒にショッピングしてました!」

彩「へー、そうなんだ! 可愛いお洋服とか見つかった?」

ひまり「ばっちりですよ! ただ……お値段はちょっと可愛くなくて……」

彩「あはは、よくあるよね。私も欲しいお洋服に限って立派なお値段してることが多いなぁ」

つぐみ「……あれ? 彩さん、ちょっと目が赤くないですか?」

彩「えっ!? あ、え、ええーっと、ちょっとさっき目にゴミが入っちゃって……」

つぐみ「そうなんですね。私、目薬持ってますけど……使いますか?」

彩「う、ううん、大丈夫だよ。ありがとね、つぐみちゃん」
137 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 17:46:05.52 ID:opgk45K30

千聖「…………」

千聖(つぐみちゃんもひまりちゃんも、あの巴ちゃんには慣れているのかしら……)

ひまり「千聖さん? なんだか眉間に皺が寄ってますけど、どうかしました?」

千聖「……いいえ、なんでもないわ。それよりふたりとも、ちょっと申し訳ないんだけど、私の仕事を手伝ってくれないかしら?」

つぐみ「千聖さんのお仕事を?」

ひまり「いいですよ! 千聖さんにはフリマの時にもお世話になりましたからね!」

ひまり「私たちに出来ることだったらなんでもやりますよー! ね、つぐ!」

つぐみ「そうだね。ウチのお店も千聖さんにはお世話になってますから」

千聖「ありがとう、ふたりとも」

千聖(……出来れば、その気持ちをこの機械の数値にも出してくれますように)

千聖(もう最大値なんて出ませんように……)ポチ、ポチ


羽沢つぐみの百合度 ↓1

上原ひまりの百合度 ↓2

138 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/18(水) 18:05:01.25 ID:QVv/fj92O
まあそうそう出ないし
139 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 18:05:30.00 ID:A8K2uuSe0
はい
140 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 18:08:56.91 ID:VhboQHxbO
さすがに草
141 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 18:22:19.93 ID:opgk45K30

羽沢つぐみ 【25】

千聖「ほっ……」

千聖(よかった、アフターグロウの子たちはみんな高めだったけれど、ちょっと偏りというかそういうのが出ていただけよね)

千聖(つぐみちゃんもひまりちゃんも、とっても純粋な女の)

上原ひまり 【100】

千聖( ゚д゚)
142 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 18:23:01.32 ID:opgk45K30

ひまり「あれ、千聖さん? 今度はなんだか魂が抜けたような顔になってますよ?」

つぐみ「大丈夫ですか?」

千聖「……大丈夫。ちょっと、なんていうか……アフターグロウの在り方について疑問を抱いただけだから……」

ひまり「私たちはいつでも“いつも通り”ですよ?」

千聖(平均百合度【71】の“いつも通り”ってなんなのかしらね……)

彩「そういえば、ひまりちゃんって色んな女の子とお買い物に行ったりお出かけするよね」

ひまり「はい! 一緒にお出かけするのは楽しいですからね!」

彩「最近は誰と一緒によくいるなぁとか、そういうのってある?」

ひまり「最近ですか? 最近だと↓1と一緒が多いですね!」
143 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 18:24:24.30 ID:b0l4HwhZo
日菜
144 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 18:53:34.76 ID:opgk45K30

ひまり「日菜先輩と一緒が多いですね!」

千聖「え、ひ、日菜ちゃんと?」

ひまり「はい! 日菜先輩、ちょっとだけよく分からないところがありますけど、お話してると結構気が合うんですよ!」

千聖「そ、そう……珍しいわね、日菜ちゃんと波長が合うのは……」

彩「日菜ちゃん、未だに私たちでも何を考えてるのか分からない部分があるもんね。私なんて振り回されてばっかりだよ」

ひまり「もーっ、そこがいいんじゃないですか、彩さん!」

彩「え、そうなの?」

ひまり「はい! 掴みどころがなくて、猫みたいで、こっちに来たなーって思ったら他のことに興味を引かれてサッと離れてく姿! 心がくすぐられるなぁ」

千聖「……そうね、日菜ちゃんのそういうところが好きっていうファンの人も多いわね」

ひまり「ですよね!」
145 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 18:55:31.44 ID:opgk45K30

ひまり「それに日菜先輩、やっぱりアイドルなだけあってとっても可愛いじゃないですか!」

ひまり「いつも好奇心にキラキラ輝いてるぱっちりした瞳……ショートカットの緩くウェーブの入った髪がですね、よく動き回ってるからぴょんぴょん跳ねて、ちらりちらりとのぞく白いうなじが……うぇへへへ……」

千聖「……!?」

ひまり「それとそれと! 身長は普通ですけど、あれで意外とスタイルもいいですよね! スキンシップが多いですから、抱き着かれたりすると特に分かります! 健康的で、柔らかくて、とっても形のいい身体つき……ステージ衣装の丈だってあーんなに短いのに、いつも激しく動き回るから……眩しい太ももが……えへっ」

千聖「あ、あの、ひまりちゃん……?」

ひまり「でもでも本人にはそんな自覚がいーっさいなくて! よくギターソロとかの前にする舌なめずりをして、『あれ〜? ひまりちゃん、どうしたの? あたしのどこを見てるのかなぁ〜?』なーんて意地悪く言われるんだけど、中身はピュアっピュアで!」

ひまり「一緒にお出かけするたびにそんな風だから……もう辛抱堪らないですよね……もしも私からアクションをかけたらって思うだけで……ふへ、ふへへ……」ウットリ

千聖(まずい、日菜ちゃんが、百合度たったの3の日菜ちゃんが、カンストしている猛獣にロックオンされている)

彩「へぇ〜、ひまりちゃんって私たちのライブ、よく見てくれてるんだね!」

ひまり「そりゃあもう……毎晩毎夜、穴が開くくらいに……えへっ」

彩「ありがと! ひまりちゃんの期待に応えられるようにもっともっと頑張るね!」

千聖(止めないと……え、でもどうやって……?)

ひまり「あ、それからですね! 最近は日菜先輩だけじゃなくて↓1とも仲良しです!」

千聖「え」

146 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 19:07:40.73 ID:+SSfbB7ho
香澄
147 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 19:12:26.80 ID:h6RNBEImo
ノンケだって構わず襲っちゃう系女子
じゃなくて
ノンケを狙って襲っちゃう系女子
148 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 19:51:00.46 ID:opgk45K30

ひまり「香澄とも仲良しです!」

千聖「え……え!?」

つぐみ「あ、そういえば最近よく香澄ちゃんと一緒に遊びに行くよね、ひまりちゃん」

ひまり「うん! 香澄とも気が合うっていうか、一緒にいるのが楽しいっていうか、そそられるというか……」

彩「そそられる?」

千聖「彩ちゃんは聞かないで。お願い」

ひまり「香澄の“ザ・女の子”っていう部分、いいよね〜」

ひまり「いつでも明るくてさ、一緒にいると笑いが絶えないし、スキンシップもどんどん取ってくれるし?」

ひまり「元々人懐っこいけど、踏み込んでいくともっともっと懐いてくれて、商店街でばったり会うとその度その度抱き着いてきたりじゃれついてきたり……」

ひまり「香澄ってば本当に無用心だしガードが緩いし、もしかして誘ってるのかな? ってよく思うなぁ!」

つぐみ「誘う? いつも遊びにはひまりちゃんから誘ってない?」

千聖「つぐみちゃんも耳を塞いでいて。おねがい」

ひまり「ふふふっ。つぐのそういうところ、好きだよっ」

千聖「…………」
149 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 19:51:59.43 ID:opgk45K30

ひまり「日菜先輩も香澄も無邪気ですよね〜。あんなに魅力的な女の子なのに、すっごい無防備で。そんな可愛くて明るい女の子が攻められたらどうなるんだろうなぁ」

ひまり「きっと私のこともいい友達とか可愛い後輩とかって思ってくれてるんだろうけど、そんな私がちょっと迫ったらどんな顔するのかなぁ」

ひまり「人気の少ない路地とかで壁ドンとかしちゃって……顔を近づけたら、照れるかな? それとも……怖がってくれるかな?」

ひまり「いつもの明るい瞳に、好奇心でキラキラしてる瞳に、ちょっと涙なんて貯めて……ふふ、そんなシーンを想像するだけで……えへへへへ……」

彩「さっきからひまりちゃんの言ってることがよく分かんない……」

つぐみ「あ、彩さんもですか? アフターグロウの中ではこういう話がたまにあるんですけど、実は私もあんまりよく分かってないんですよ」

千聖「ふたりはそのままでいて。いつまでも純粋でいて。おねがいだから」

ひまり「もー! それじゃあまるで私が不純な女の子みたいじゃないですか、千聖さん!」

千聖「今の話を聞いてどこをどう純粋だと捉えろと……?」
150 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 19:53:29.44 ID:opgk45K30

つぐみ「あ、ひまりちゃん。そろそろ行かないと……」

ひまり「あっ、そうだね!」

彩「これからどこかに行くの?」

つぐみ「はい。隣駅に猫カフェがオープンしたみたいで……ふたりで行ってみようって話をしてたんです」

彩「へー! いいよね、猫ちゃん。癒されるだろうなぁ」

ひまり「えへへ、可愛いですよね、ネコって!」

彩「うん!」

千聖(……どうしてかしら、ひまりちゃんだけ何か違う言葉を使っているような気が……)

つぐみ「ちょっと行くまでに時間がかかっちゃうので……千聖さんのお手伝いはどうすればいいですか?」

千聖「……もう大丈夫よ」

つぐみ「え、まだ何もしてませんけど……」

千聖「いえ、もう大丈夫。本当、お腹いっぱいだから」

つぐみ「そ、そうですか? それじゃあここで失礼しますね」

ひまり「それでは!」

彩「うん、またねっ!」

千聖「ええ、また……」
151 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/18(水) 19:54:29.21 ID:opgk45K30

彩「日菜ちゃんとひまりちゃんが仲良しって意外だったね」

千聖「……ええ。日菜ちゃんと香澄ちゃんにはもっとガードを固くするように強く言っておかないと」

彩「ガード?」

千聖「彩ちゃんもあんまり無防備でいちゃダメよ?」

彩「うーん……分かったよ?」

千聖(絶対に分かってないわね。……でも分かってもらうのもちょっと嫌だわ……)

↓1「あれ……?」

152 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 19:55:21.69 ID:oMQWKoX70
まりな
153 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 20:08:57.66 ID:opgk45K30

月島まりな「彩ちゃんに千聖ちゃん」

彩「あ、まりなさん! こんにちは!」

千聖「こんにちは、まりなさん」

まりな「うん、こんにちは。……千聖ちゃん?」

千聖「はい?」

まりな「少し顔色が悪いみたいだけど……大丈夫?」

千聖「……ええ、大丈夫です。少し心労のようなものが重なっただけで……」

まりな「本当? もし辛いならCiRCLEで休んでいく?」

彩「千聖ちゃん、あんまり無理したら駄目だよ。せっかくだし少し寄って行こうよ」

千聖「そう……ね。少しお邪魔しますね、まりさなん」

まりな「うん。千聖ちゃんたちならいつでも歓迎だよ」


……………………
154 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 20:10:03.05 ID:opgk45K30

――CiRCLE ラウンジ――

まりな「ここなら使ってくれて大丈夫だからね」

千聖「ありがとうございます、まりなさん」

彩「ありがとうございます!」

まりな「それにしても珍しいね、千聖ちゃんが疲れた顔してるなんて」

千聖「ええ、ちょっと……仕事に精を出し過ぎたみたいで」

まりな「あぁ……千聖ちゃん、いつでもお仕事に一生懸命だもんね。もし私に手伝えることがあったらなんでも言ってね?」

千聖「いえ、それは流石に悪いですから……」

まりな「気にしないでいいよ。ウチを使ってくれる子はみんな妹みたいなものなんだから。辛い時くらい、お姉さんをどんどん頼って?」

千聖「……ありがとうございます」

千聖(正直に言えば、そのセリフだけで私は随分助けられている訳だけど……)

千聖(まりなさんもお世話になってる人と言えるし、こんなふざけた機械の餌食にする訳にはいかない……)

千聖(けれど、そんな意思とは裏腹に、早く終わらせたいという私の願望が勝手に指を動かしていた)ポチ


月島まりなの百合度↓1

155 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 20:11:40.64 ID:KWpldnqt0
はい
156 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 20:54:58.64 ID:opgk45K30

月島まりな 【64】

千聖「…………」

千聖(なんて反応すればいいのかしら……)

千聖(アフターグロウに比べれば全然普通の数値だけど、一般的に見たら少し高め)

千聖(……アレよね、きっと大人の人ってみんなこれくらいなんでしょうね)

彩「あ、ラウンジに私たちの写真飾ってあるんですね」

まりな「うん。ウチでライブしてくれた時の写真だよ」

彩「わー、懐かしいなぁ……この時は結構音外したりしてたような……うぅ、なんだか恥ずかしいな」

まりな「ふふ、そういうのもライブの醍醐味だよ。その場その場でしか聞けない音楽を聞けることに価値があるんだから」

まりな「きっと彩ちゃんのファンの人も、そういうのが聞けて喜んでるよ」

彩「そ、そうですか? えへへ、ありがとうございます」

千聖「まりなさんの言うことはもっともだけど、彩ちゃんはもう少しリズムに気をつけるべきじゃないかしら? 今日のレッスンでも走りがちだったし」

彩「うっ……」

千聖「なんて、ごめんなさいね。ちょっと意地悪な言い方になってしまったわ」

千聖「彩ちゃんのそういうところは持ち味だから、のびのび歌っていてくれる方がきっとファンのみなさんも喜ぶはずよ」

彩「うん、ありがと。でもやっぱりもう少し気をつけて歌うよ……」
157 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 20:57:16.26 ID:opgk45K30

まりな「……ふふ」

千聖「まりなさん? どうかしましたか?」

まりな「ううん。やっぱりウチを使ってくれる子たちのやり取り、いいなぁって」

彩「そ、そうですか?」

まりな「うん。セイシュンしてるなぁ、若いなぁーって。なんだか眩しいよ」

まりな「このライブの写真に映ってる姿もキラキラしてるし……お肌だってすごく綺麗で髪もツヤツヤ、弾ける汗すらいい匂いがしそうで……」

千聖「……まりなさん?」

まりな「……はっ!? ご、ごめん、なんでもないよ!」

まりな「え、えーっと、とにかく若いっていいなぁって! それだけだから!」

彩「まりなさんだってすごく綺麗ですよ! 近くにいると安心する匂いがするし、わぁー、大人の女の人だーって思いますから!」

まりな「彩ちゃん……ありがとね。あーもう、本当にウチを使ってくれる子はみんな可愛くてすごくイイ子なんだから。お姉さん、なんだか嬉しくなっちゃうなっ」
158 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 20:58:41.37 ID:opgk45K30

「まりなさーん! どこですかー!」

まりな「あれ、スタッフくんの声……あ、そっか。もう音響メーカーの人が来る時間だ」

まりな「私は仕事に戻るけど、千聖ちゃんと彩ちゃんは好きなだけここにいていいからね」

彩「ありがとうございます!」

千聖「お言葉に甘えます」

まりな「うん、ゆっくりしていってね。それじゃ!」


彩「千聖ちゃん、お水飲む?」

千聖「ええ、そうね。頂こうかしら」

彩「それじゃあサーバーで入れてくるね」

千聖「ありがとう、彩ちゃん」

↓1「こんにちは」

↓2「お邪魔します」
159 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/18(水) 21:00:56.26 ID:SJXTXBBDo
友希那
160 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 21:04:05.97 ID:Zhjir/2lo
あこ

って出たっけ
161 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 21:10:10.19 ID:KWpldnqt0
>>160
>>134
162 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 21:20:23.53 ID:Zhjir/2lo
じゃあ改めてあこで
163 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 21:58:26.84 ID:opgk45K30

湊友希那「こんにちは」

宇田川あこ「お邪魔しまーす!」

千聖「あら、友希那ちゃんに……あこ、ちゃん……」

あこ「こんにちはー!」

千聖「ええ、こんにちは……」

彩「はい、お水だよ……あ、友希那ちゃんとあこちゃん!」

友希那「こんにちは、丸山さん。白鷺さんと練習に来たのかしら?」

彩「ううん、千聖ちゃんのお仕事を手伝ってて、今は休憩中なんだ」

友希那「そうなのね。暑い中、お疲れさま」

彩「うん、ありがと」
164 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 22:00:13.12 ID:opgk45K30

千聖「ふたりは練習……に来たのかしら?」

あこ「ううん。あこたちはねー、新曲のヒントを探して回ってるんだ!」

彩「新曲のヒント?」

友希那「ええ。私たちが普段何気なく触れているものにこそ、誰かに感動を与えるような何かが宿っている。そんな気がするのよ」

友希那「音楽は感性が生み出す旋律。日常の中で、何てことない顔をしている見慣れたものたちに改めて顔を突き合わせてみれば、新しい発見があると思ったの」

彩「へぇ……。友希那ちゃんたちってやっぱりすごいなぁ。それで、今はCiRCLEに来たんだ?」

友希那「ええ。ここにも私たちの日常が、これまで積み重ねてきた旅路の軌跡がたくさんあるから」

千聖「ここに来るまで、何かいい発見はあったのかしら?」

友希那「たくさんあったわ。ありすぎて、ここに来る時間が遅れてしまうほど……私は……いえ、私たちロゼリアは、たくさんの大切なものに出会っていたんだと改めて認識させられたわ」フッ

彩「わー、カッコいいなぁ」

あこ「友希那さん、野良猫のたまり場から1時間くらい離れようとしませんでしたもんね!」

友希那「……あこ。それは今言わなくてもいいことよ」

千聖(友希那ちゃん……せっかく決まってたのに……)

彩(ちょっと顔が赤くなってる。かわいい)
165 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 22:02:20.84 ID:opgk45K30

友希那「……コホン。外を歩き詰めだったし、私たちも少し休憩していきましょうか」

あこ「はーい、賛成です!」

友希那「ソファーにお邪魔するわね」

千聖「どうぞお構いなく」

あこ「あやさんたちはどんなお仕事をしてたんですか?」

彩「あーうん、実は私もどんな仕事なのか知らなくて……」

友希那「そうなの?」

彩「うん。パスパレのお仕事じゃなくて千聖ちゃんのお仕事だから、詳しい内容は知らないんだ」

千聖「……まぁ、これは説明するようなものでもないから」

千聖(というか、おおっぴらに説明したくない)

あこ「へー、そうなんだ」

千聖「よかったら友希那ちゃんとあこちゃんも手伝ってくれないかしら?」

あこ「あこはいいですよ! 友希那さんはどうしますか?」

友希那「そうね。何事も経験だし……そんなに難しいことじゃなければ」

彩「やることは特にないみたいだよ。千聖ちゃん、そこにいるだけでいいってみんなに言ってたから」

友希那「そうなのね。それなら私も手伝うことはやぶさかではないわ」

千聖「ええ、ありがとう」

千聖(……ロゼリア、燐子ちゃんがかなり危なかったわよね)

千聖(それでもアフターグロウよりはマシだけど……あこちゃんは巴ちゃんの愛――あれを愛と表現していいのか分からないけど、とにかく愛を一身に受けている訳だし、果たしてどうなるのか)

千聖(……考えていても仕方ないわね。もうどうにでもなれ)ポチ、ポチ


湊友希那の百合度 ↓1

宇田川あこの百合度 ↓2

166 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 22:03:06.18 ID:oEGIwszAo
しゅらば
167 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 22:03:20.93 ID:2uYyCpV/o
はい
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/18(水) 22:13:05.29 ID:opgk45K30

湊友希那 【18】

宇田川あこ 【93】

千聖「…………」

千聖(宇田川姉妹ェ……)

千聖(商店街組とアフターグロウに関わる人たちには何かそういう風になってしまう呪いでもかかっているのかしら……)ゲンナリ

友希那「……? どうしたのかしら、白鷺さん。急に疲れた顔になったわよ?」

千聖「気にしないで……友希那ちゃんもあこちゃんも、なんとなく分かってたことだから……」

友希那「?」

あこ「はー……暑い中を歩いた後だと、お水でもすっごく美味しく感じるなぁー」

彩「うん。美味しいよね、冷たいお水」

千聖「……ねぇ、あこちゃん?」

あこ「ん、なぁに?」

千聖「あのね? ちょっと聞きたいんだけど……こう、あこちゃんが一番仲良くしてる女の子って、誰が一番に思い浮かぶかしら……」

あこ「んーっと……↓1かな!」

169 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/18(水) 22:15:31.58 ID:A8K2uuSe0
紗夜
170 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/19(木) 01:33:53.75 ID:1JrZnz4lO
紗夜さん大人気かよw
171 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/21(土) 10:42:57.72 ID:fBILbhsj0

あこ「紗夜さんかな!」

千聖「!?」

千聖「えっ……と、巴ちゃんじゃなくて?」

あこ「紗夜さん!」

千聖「…………」

千聖「……?」

千聖(…………)

千聖「!?!?」

友希那「そういえば、最近のあこはよく紗夜と一緒にいるわね」

あこ「紗夜さんはNFO仲間でもありますからね!」

彩「NFO?」

友希那「そういうパソコンのゲームがあるのよ。元々はあこと燐子しかやっていなかったんだけど、ちょっとロゼリアの全員でやることがあって、それからは紗夜もちょこちょこやってるみたいなの」

彩「へぇ〜」
172 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/21(土) 10:44:28.34 ID:fBILbhsj0

千聖「え、えっと……あこちゃん?」

あこ「なんですか?」

千聖「その、あこちゃんって燐子ちゃんとも仲が良い……わよね?」

あこ「はい! りんりんはあこの大親友です!」

千聖「え、でも紗夜ちゃんと仲良くすることの方が多いの……?」

あこ「んーっとね、りんりんと紗夜さんはちょっと違うっていうか……あのね?」

あこ「紗夜さんがギターを弾いてる時とかね、すっごい速さで左手が動くんだ。コードを押さえたり、ギターソロでひとつひとつの弦を押さえたりとか」

千聖「……そうよね、ベースよりもギターの方が細かく速く動かすことが多いわよね」
173 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/21(土) 10:45:16.95 ID:fBILbhsj0

あこ「でね、紗夜さんの指ってすっごく細くて綺麗で……もしもあの指であこの髪を撫でたりしてくれたらなぁって思うと……」

千聖「お、思うと……?」

あこ「なんかね、背中の辺りがぞくぞく〜って!」

千聖「……え」

あこ「えへへっ。それにね、髪の毛だけじゃなくて、もしも背中とか首筋とかふとももとか……いろんな場所に紗夜さんのあの綺麗な指が触ってくれたらなって思うと……えへへへ……」ウットリ

千聖「」

あこ「ギターソロを弾くとこを見てて、もしもあこが紗夜さんのギターだったら、あの綺麗な指で身体中を撫でまわされて、時には激しくストロークされたり、時には切ないアルペジオを奏でられたりしたらって思うだけで……もうあこは……あこは……!」

友希那「ふふ、あこは音楽そのものを身体で感じ取っているのね」

あこ「はい! カラダでカンジてます!」

彩「わー、すごいなぁあこちゃん」

あこ「えへ、褒められちゃった」

千聖「……えぇ」

千聖(宇田川家の教育方針は一体どうなっているの……?)
174 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/21(土) 10:45:58.95 ID:fBILbhsj0

友希那「けど、あまり紗夜にばかり懐いているから、最近燐子が寂しげな顔をしていたわよ」

千聖(そうよ、それも問題よ。燐子ちゃんは紗夜ちゃんのことが……あれ、でもあこちゃんと燐子ちゃんは親友で……?)

あこ「あ、それは大丈夫ですよ! ちゃーんとりんりんとは話し合って決めてますから!」

千聖「え、話……えっ!?」

あこ「りんりんは『あこちゃんとなら……うん、ちょっとだけ嫉妬しちゃうかもしれないけど……いいよ……?』って言ってくれてますし、あこも『りんりんと紗夜さんとあこが一緒って素敵だよね!』って思いますから!」

千聖「」

友希那「よく分からないけど、3人の間で何か決まりがあるのね」

彩「仲が良いっていいことだよね!」

あこ「うんっ!」
175 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/21(土) 10:46:41.94 ID:fBILbhsj0

千聖「…………」

千聖(ちょっと整理しましょう)

千聖(えぇっと、まず燐子ちゃんは紗夜ちゃんが好き。恋愛的な意味で)

千聖(で、はぐみちゃんも紗夜ちゃんが好き。恋愛的な意味で)

千聖(そしてあこちゃんも紗夜ちゃんが好き。ガチ的な意味で)

千聖「…………」

千聖(それで、そんなはぐみちゃんをモカちゃんが好き。恋愛的な意味で)

千聖(……で、悪鬼羅刹な巴ちゃんもあこちゃんを愛してる。ガチ的な意味で)

千聖(最後に、その渦中にいる紗夜ちゃんは特に誰がどうってこともなく、ただ、【雰囲気に流されるレベル】の女の子……)
176 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/21(土) 10:47:09.69 ID:fBILbhsj0

友希那「かーなーしーみのー むこーうーへとー たどりーつけーるならぁー♪」

彩「何の歌?」

友希那「よく知らないけれど、最近、燐子がよく口ずさんでいるのよ。なんでもある学校の日々を題材にしたアニメの名曲らしいわ」

彩「へぇ〜」
177 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/21(土) 10:47:40.44 ID:fBILbhsj0

千聖「…………」

千聖(巴ちゃんなんて確実に愧死機構がないし……もしも紗夜ちゃんに危害が及ぶなら、あの燐子ちゃんがただ手をこまねいてる訳がない……)

千聖(モカちゃんだってあの様子じゃ何をしでかすか分からないし……花女の生徒会室や商店街、CiRCLEがいつ劫火に見舞われても不思議じゃないわ……)
178 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/21(土) 10:48:10.44 ID:fBILbhsj0

友希那「〜♪」ポロンポロン♪

彩「友希那ちゃん、ピアノでなにを弾いてるの?」

友希那「ドヴォルザークの交響曲第9番、『新世界より』の第2楽章よ。最近燐子がよく弾いているから耳に残っているのよね」

彩「クラシック? そういうのが弾けるってカッコいいなぁ」

千聖(ああ……考えれば考えるほど、今日の業をなし終えても心かろく安らえない……安寧の家路が遠い……)
179 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/21(土) 10:49:22.19 ID:fBILbhsj0

あこ「あ、友希那さん。そろそろCiRCLEの違う場所も見て回りませんか?」

友希那「そうね。ひと口にCiRCLEと言っても、色々な場所に想い出が落ちているものだわ。ラウンジ、ロビー、スタジオ、ライブステージ……」

友希那「そこにいる人たちの表情や仕草からも感じ取れるものがあるはずだわ」

あこ「よーっし、それじゃあ行きましょうーっ!」

友希那「ええ。休憩中のところに騒がしくしてしまってごめんなさい、丸山さん、白鷺さん」

彩「ううん。全然大丈夫だよ」

千聖「…………」

千聖(どうしよう、彩ちゃんの言葉に素直に頷けないわ……)

あこ「それじゃあまたね、あやさん、ちさとさん!」

友希那「また」

彩「じゃあね、友希那ちゃん、あこちゃん!」

千聖「ええ、また……無事に会えることを祈っているわ……」

千聖(ロゼリア――というか、紗夜ちゃんをめぐる色恋沙汰と呼ぶにはあまりに煮詰まり過ぎた人間関係には、何もない平和な時間に会えますように……)

180 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/21(土) 10:50:03.03 ID:fBILbhsj0

―しばらくして―

彩「なんだか千聖ちゃん、ここに来る前より疲れてない?」

千聖「ええ、そうね……ちょっと色々と参ってしまいそうだわ……」

彩「大丈夫? お水以外にも、何か元気が出るようなもの買ってこようか?」

千聖「いえ、大丈夫よ……しばらくゆっくりしてれば……多分……」

彩「そう? 無理そうなら早めに言ってね?」

千聖「ええ、ありがとう」

千聖(正直もうギブアップしたい。誰か、こう、癒しを振りまいてくれる人でも来ないかしら……)

↓1「こ、こんにちは……」

181 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/21(土) 11:32:55.29 ID:sAUwsWIiO
花音
182 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 09:40:48.75 ID:xiL817+H0

松原花音「こ、こんにちは……」

彩「あ、花音ちゃん!」

千聖「花音! よく来たわね、さぁさぁ、ここに座っていいわよ」

花音「え、あ、うん……それじゃあ、お邪魔するね」トテトテ、ポス

千聖(花音のふわふわぽやぽやした空気がすぐ隣に……)

花音「どうしたの、千聖ちゃん? なんだか疲れた顔になってない?」

千聖「ええ、ちょっとね。色々と心労じみたものが溜まる仕事をしていたから」

花音「そうなんだ……。大変だね、千聖ちゃん。お疲れさま」

千聖「ありがとう、花音」

千聖(癒されるわ……)
183 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 09:41:24.05 ID:xiL817+H0

彩「花音ちゃんはあれかな、みんなに笑顔を届けに来たの?」

花音「うん、そうだよ。こころちゃんたちに聞いたの?」

彩「うん! ミッシェルキャンディーもたくさんもらったよ!」

花音「そっか。私も持ってるんだけど……もういらないかな?」

千聖「いいえ、もらうわ。ちょうど甘いものが欲しかったのよ」

彩「キャンディー、可愛いからいくつでももらうよ!」

花音「それじゃあはい、どうぞ」つキャンディー

千聖「ありがとう」

彩「花音ちゃん、ありがと!」

花音「どういたしまして。えへへ、ふたりが喜んでくれたならよかった」ホニャ

千聖(ああ……ほにゃっとした笑顔が素晴らしいわね……花音は心の清涼剤よ)
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/22(日) 09:42:37.98 ID:xiL817+H0

彩「花音ちゃんはひとりで回ってるの?」

花音「うん。私だってハロハピの中ならお姉さんだし……ひとりで出来るよって」

千聖「大丈夫? 迷子にならなかった?」

花音「大丈夫……って言いたいけど、ちょっとだけ……」

彩「お外暑いし、無理しちゃダメだよ?」

花音「ありがと、彩ちゃん」ニコ

千聖「ふふ、花音がこんなに頑張ってるんだもの……私も頑張らなくちゃね」

彩「あ、千聖ちゃん。元気出てきた?」

千聖「ええ。こんなことでめげてちゃいけないわね」

彩「元気が出たみたいでよかったっ」

花音「私でも笑顔を届けられたかな……?」

千聖「もちろんよ。花音は人を笑顔にさせる天才ね」

花音「そ、それはほめ過ぎだよ……えへへ」

千聖(照れてるけど満更でもなさそうな顔だわ)

千聖(ふふっ、やっぱり花音は癒し系ね。これならきっと、このヘンテコな機械の数値もパスパレやポピパの平均値くらいしかないはずよ)

千聖(信じてるわよ、花音)ポチ


松原花音の百合度↓1

185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 09:45:38.35 ID:Ge3PBOJho
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 10:52:13.90 ID:xiL817+H0


松原花音の百合度 【35】


千聖(思っていたよりは高かったけれど……でも、あの愛憎をぎっとぎとに煮詰めた相関関係からしたら、全然普通ね)

千聖(それに花音がそういうことにちょっと素質があるって思うと……こう、なんだか、言葉に出来ない感情が胸に宿るわ)

千聖(だからセーフ。誰がなんと言おうとセーフなのよ)

花音「……? なんだか嬉しそうだね、千聖ちゃん」

千聖「ええ、そうね。やっぱり花音は花音なんだなって思って、少し嬉しくなっちゃったのよ」

花音「うーん、よく分からないけど……千聖ちゃんが嬉しいなら私も嬉しいよ」ニコ

彩「千聖ちゃんが嬉しくて花音ちゃんが嬉しいなら、なんだか私も嬉しいなっ」

千聖「ふふ、そうね。幸せの連鎖って素敵よね」

花音「うん」

彩「そうだね!」

千聖「うふふ」

花音「えへへ」

彩「あはは」
187 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 10:53:07.64 ID:xiL817+H0

千聖「花音はまだまだみんなに笑顔を配りに行くのかしら?」

花音「えっと、私の担当はCiRCLEだけで終わりだから……あとでまりなさんたちにも挨拶しに行くくらいかな」

彩「あれ、そうなんだ? こころちゃんと美咲ちゃんはすっごくたくさんの場所に行ってるみたいだったけど」

花音「美咲ちゃんがね、私が迷子になっても大丈夫なようにって、担当する場所を減らしてくれたんだ」

千聖「そうなのね」

花音「でもね……気付いたら電車に乗ってたり、隣町にいたりして……」

彩「あー……迷子になっちゃったんだ」

花音「うん……。でも、せっかくだからそこで会った人たちにも笑顔を配ってきたんだ。だから、迷子になって逆によかったのかなぁって思えたよ」

花音「きっと美咲ちゃんもそれを見越して担当場所をCiRCLEだけにしてくれたんだと思うな」

千聖「ふふ、花音のそういうところ、とても素敵だと思うわよ」

花音「そ、そう? えへへ、ありがとね」
188 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 10:53:58.76 ID:xiL817+H0

彩「こっちに戻ってくる時は迷わずにこれた?」

花音「うん。ちょうど隣駅でひまりちゃんとつぐみちゃんに会って……こっちの駅まで案内してもらったんだ」

彩「あ、そういえば隣駅の猫カフェに行くって言ってたね、ひまりちゃんたち」

千聖「……ええ、そうだったわね」

花音「ふたりともすっごく親切でね、特にひまりちゃんなんて……」

ひまり『それじゃあ駅まで案内しますよ! 私が花音さんの手を引いてあげますから、遠慮せずに頼ってください!』

花音「って笑顔で言ってくれてね?」

千聖「……そ、そう……」

花音「私ってけっこう、あっちにふらふらこっちにふらふら〜ってしやすいんだけど、道から逸れそうになるたびにひまりちゃんは……」

ひまり『花音さん、こっちですよこっち! もうっ、手だけじゃ危ないんで、腰にも手を回しちゃいますねっ、えへへ!』

花音「って、嬉しそうに私を案内してくれたんだ。つぐみちゃんも私が迷わないように先導してくれたし……」

彩「へぇ〜。ひまりちゃんとつぐみちゃんってやっぱりとってもいい子だね!」

花音「うん」

千聖「…………」
189 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 10:55:03.50 ID:xiL817+H0

千聖「ね、ねぇ、花音?」

花音「どうしたの?」

千聖「その……ひまりちゃん、何か変なこととか言ってなかったわよね……?」

花音「へんなこと……? うーん……あ」

千聖(やっぱり心当たりが……?)

花音「えっとね、変なことかは分からないけど……道案内をしてくれたお礼を言った時に、」

ひまり『気にしないでください! 私と花音さんの仲じゃないですか!』

ひまり『それに私、花音さんみたいな女の子、だいだいだーい好きですからっ!』

花音「って。それから……」

千聖「そ、それから?」

ひまり『やっぱり花音さんって何気にスタイルいいですよね。腰回りのぽわぽわ感なんてまさに女の子って感じですし……これでスキンシップが多いタイプだったら、私、花音さんを誘拐――じゃなくて、花音さんに恋しちゃってましたよ!』

花音「なんて言われちゃって……」

千聖「…………」

花音「女の子同士だけど、そういう風に褒められると……嬉しいけどちょっと照れちゃうよね。えへへ」

千聖「……花音」ガシッ

花音「ひゃっ。ど、どうしたの、急に私の肩を掴んで……」

千聖「お願い、お願いだからもっとガードを硬くして」

花音「え、ど、どういう意味……?」

千聖「お願い。どうか、あなただけはいつまでもいつまでもあの手のガチな人たちとは無縁でいて欲しいの。おねがい」

花音「よ、よく分からないけど……頑張るね……?」

190 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 10:55:55.51 ID:xiL817+H0

―しばらくして―

花音「それじゃあ、そろそろCiRCLEにいる他の人のところにも行ってくるね」

彩「うん。キャンディありがとね、花音ちゃん」

千聖「もう迷子になることはないとは思うけど、気をつけてね」

花音「うん」

千聖「特に紗夜ちゃんを取り巻く世界の人々に出くわしたら、無理せずすぐに逃げるのよ」

花音「う、うん……?」

千聖「辛いことや困ったことがあったらすぐに連絡してちょうだいね。出来るだけ早く花音を助けに行くから」

千聖「それと、彩ちゃんがさっき言った通り、外はまだまだ暑いわ。熱中症になって倒れないように……それと、危ない人についていかないようにするのよ。特にひまりちゃんみたいなタイプには気をつけなさい」

花音「え、えっと……」

千聖「水分はちゃんと摂った? 摂れるうちに摂っておかないと後で苦労するかもしれないからね、もし不安ならここのサーバーのお水を飲んでおきなさいね。それから――」

花音「だ、大丈夫だよ、千聖ちゃん」
191 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 10:56:44.11 ID:xiL817+H0

千聖「そ、そう? ごめんなさい、ちょっと口うるさくなってしまったわね」

花音「ううん。私のことを心配してくれるんだなって思うと嬉しいし、その……」

彩「なんだかお母さんみたいだよね、千聖ちゃんって」

花音「……うん。お母さんとお話してるみたいで、ちょっとホッとしたから」

千聖「花音にまでお母さんっぽいって思われてしまったわ……」

花音「あ、ご、ごめんね? 同い年なのに……」

千聖「……いいえ。それで花音がホッとするなら構わないわ」

彩「あれ、私の時と対応が違うような……」

千聖「気のせいよ。とにかく、花音。無理はしないようにね?」

花音「うん、ありがとう。千聖ちゃんと彩ちゃんも、お仕事頑張ってね」

千聖「ええ、ありがとう」

彩「花音ちゃんも頑張ってね!」

花音「うん。それじゃあね、ふたりとも」

192 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 10:57:26.60 ID:xiL817+H0

彩「花音ちゃんも頑張ってるんだね」

千聖「そうね。私たちももうひと頑張りしないといけないわ」

彩「うんっ! って言っても、未だに私、千聖ちゃんがどんなお仕事してるのか分かってないんだけどね」

千聖「彩ちゃんは気にしなくていいの。あなたも花音と同じ側の人間なんだから」

彩「花音ちゃんと同じ側……?」

千聖「気にしないで。さ、休憩も終わりにして、そろそろ行きましょうか」

彩「あ、待ってよー千聖ちゃーん!」

193 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/22(日) 11:09:43.80 ID:xiL817+H0

――駅前――

千聖(CiRCLEで休憩しつつ、まりなさん、友希那ちゃん、あこちゃん、花音の百合度をなんてものを測定して……これで合計が24人)

千聖(あとひとり計れば四捨五入で30人。そしてちょうどあとひとり、よく顔を合わせる女の子がいる訳だけど……)

千聖「そう簡単に出会えないわよね……」

彩「あ、りみちゃんだ」

千聖「え」

彩「おーい、りみちゃーん!」

牛込りみ「あ、彩先輩に千聖先輩。こんにちは」

彩「こんにちはっ」

千聖「……こんにちは、りみちゃん」

千聖(渡りに船……あまりにもご都合主義的な邂逅だけれど……気にしたら負けね)
194 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 11:10:51.31 ID:xiL817+H0

彩「どこかにお出かけしてきたの?」

りみ「はい。ショッピングモールの映画館で、新作のホラー映画を見てきたんですよ」

千聖「りみちゃんからホラー映画って聞くと、あの時のことを思い出すわね」

りみ「あの時……あっ、美咲ちゃんと一緒にドッキリを仕掛けられた時のことですか?」

千聖「ええ」

彩「あー、あったね。ふふ、あの時はちょっと楽しかったな」

りみ「私も楽しかったです。ああいうドッキリならまた体験してみたいなぁ」

千聖「驚かせてしまっただけかと思っていたけれど、楽しんでもらえたのなら何よりよ」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 11:11:49.97 ID:xiL817+H0

りみ「ふたりはこれからどこかへ行くんですか?」

彩「ううん、私たちはお仕事中なんだ」

りみ「お仕事……こんなに暑い中、大変ですね。お疲れさまです」

千聖「ええ、ありがとう。よければりみちゃんにも手伝ってほしいんだけど……」

りみ「えっ、でも私、そんなに難しいことは……」

彩「大丈夫だよ。ポピパの他のみんなにも手伝ってもらったし、みんな私たちとお話するだけだったから」

りみ「そ、それなら……が、頑張ります……!」

千聖「ありがとう、りみちゃん」

千聖(これで最後……のハズよね)

千聖(みんな純粋だったポピパ、その中でも大人しくて小動物みたいなりみちゃん。……ふふ、これで高い数値が出る訳がないわ)

千聖(りみちゃん、信じているわよ)ポチ


牛込りみの百合度 ↓1

196 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 11:12:36.94 ID:/DdYbiNP0
えいっ
197 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 11:14:32.30 ID:1Pu2i0M20
人それをフラグと呼ぶ
198 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 12:01:13.90 ID:xiL817+H0


牛込りみの百合度 【94】


千聖「」

千聖(【94】)

千聖(【94】ってなんなのよ)

千聖(どうして各バンドにひとりはガチ側の人間がいるのよ)

千聖(りみちゃん、信じていたのに……)

199 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 12:06:40.65 ID:xiL817+H0


「おねえちゃん、信じるってどういうことか、わかる?」

 私の頭の中に響いた言葉。それがある夏の情景を想起させ、妹の澄ました声が浮かび上がらせる。あれはいつのことだったか……確か、妹が中二病を絶賛拗らせ中の、何年か前の夏の日だったと思う。

 私は自分の部屋でドラマの台本を読んでいて、彼女が言葉を吐き出しつつ扉を開いた拍子に部屋の空気が規則的に揺れ動いて、生まれた時からそういう風に仕組まれていたかのように、白いカーテンも揺れ動いた。その隙間から射した夏の陽光だとか、それが作るカーテンの影だとか、そういったものに何か感傷的な気持ちも揺れ動いたような気がしたけれど、言葉の通り気のせいだろう。雨の匂いに懐かしくなるような、夕焼け空に泣きたくなるようなことと一緒だ。子供のころによく遊んだ公園の大きな遊具たちが、気付いたら自分の身体よりずっと小さくなっていた時に覚える感傷と一緒だ。人間はそういう風に出来ている。何でもないことに何か意味をこじつけ、綺麗な自分を演出したがるものだ。それはからっぽの空き瓶を指して、「ここには何も入ってない? 何を言っている、空気が入っているじゃないか」と得意気に鼻を鳴らすのと同じことで、他人に言葉を尽くして伝えたところで何の意味もない。ただ鼻で笑われて一蹴されるだけのことだろう。

 だから私は妹の言葉に対して鼻で笑って返した。ああ、また何かに影響されたのね、生意気だけどやっぱり可愛いところがあるのね……とは言葉にせずに。

 妹の右手に手をやれば、そこには彼女のお気に入りの幾何学模様の刺繍が施されたブックカバーを纏った分厚い文庫本があった。ああ、なるほど、今日は何かの小説に啓蒙されたのね。ふふ、あなたはいつまでも純粋ね……と思いながら、私は女優の笑みを作って見せる。その笑顔の構成要素は愛想が八割、慈しみが一割、億劫が一割。最近は億劫を割増しにして見せているけれど、可愛い可愛い愚妹は今日も今日とてその色だけには気付かない。本当に能天気で微笑ましい性格だ。

「さぁ……信じる、よね?」

「ええ、そうよ。分からないかしら?」

 仰々しく畏まった口調に息が漏れそうになるのを堪える。まだ変声期を迎えて間もない少女が、まるで死刑囚に対して「今日はお前の執行日だ」と伝えるような、世界を征服せしめんとする魔王が「世界の半分をお前にやろう」とそそのかすような、カリスマに溢れた指導者が「立てよ国民!」と雄弁を振るうかのような、そんな声を精一杯出そうとしている。それが滑稽で可愛らしくて、私の仮面に混ぜた億劫はいつも途中で消えてしまう。

「ええ、分からないわね。よかったら教えてくれるかしら?」

 その言葉を待ってました、と言わんばかりに妹が鼻を鳴らす。今にも空瓶を指して、「そこには空気が入っているわ!」と言いそうだった。

「ふふ、いいわよ。信じるということはね」

 もったいつける口振りだ。きっとその焦らしが大切なんだろう。勝利を確信したあとの余韻を噛みしめるような、そんな得意げな顔をして、「まったく、おねえちゃんは仕方ないんだから」と言いたげに口角を上げて、かけてもいないエア眼鏡を掌で押し上げるような仕草をして、私が噴き出しそうになるのを堪えているのに気付きもしないで、とうとう彼女は答えを口にする。

「裏切られてもいいと思うこと。裏切られても後悔しないということ。そういうことよ」

「そうなのね。またひとつ勉強になったわ」

 妹は目を細める。それから得意気に瞳を閉じて、胸を張る。そうして、私の笑顔が慈しみ十割になっていることに気付かないまま、恐らくその小説の主人公か何かの決め台詞だろう言葉をクールに、すごくカッコつけて吐き出した。

「まぁ、戯言だけどね」

 私は堪えきれずにとうとう噴き出した。

200 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/22(日) 12:07:27.67 ID:xiL817+H0


彩「――ちゃん、千聖ちゃん?」

千聖「はっ!?」

りみ「大丈夫ですか? なんだかすごいボーっとしてましたけど……」

千聖「え、ええ、大丈夫……ちょっとね、現実逃避というか、妹とのハートフルな思い出が脳裏に蘇っただけだから……」

彩「え、それって本当に大丈夫なの……?」

千聖「大丈夫、問題ないわ。あの頃のあの子は可愛らしかったし、あの後ずっと相手をしてあげたし」

りみ「え……?」

千聖「……ごめんなさい、なんでもないわ」

りみ「そ、そうですか……」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/22(日) 12:08:16.98 ID:xiL817+H0

千聖「それより、りみちゃん……ちょっと聞きたいんだけど」

りみ「は、はいっ」

千聖「他意はないんだけど……あの、あのね? 最近……こう、特別に仲良くしてるなぁーって女の子……誰かいるかしら……?」

りみ「特別に仲良く……あ、↓1ですね」

202 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 12:08:31.62 ID:idCN/vsYO
203 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 12:35:28.73 ID:InvTNzK2o
これは感染源ですね
204 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/22(日) 21:29:55.00 ID:Ub8dTAjGO
そういや千聖さん本人はどうなんすか。
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/23(月) 09:53:26.06 ID:PEZtvYx+0

りみ「巴ちゃんですね」

千聖「聞き間違いよね」

りみ「えっ」

千聖「私の聞き間違いよね。ふふ、やっぱり少し疲れてるのかもしれないわ」

千聖(そんな、りみちゃんが悪鬼羅刹な巴ちゃんにガチ恋勢だなんて、ふふ、悪い冗談だわ。今日は帰りに妹へお土産でも買っていってあげましょう。何かこう、幾何学的なものでも)

千聖「ふふ、ふふふ……」

彩「へぇー、りみちゃんって巴ちゃんと仲が良いんだ?」

りみ「はい」

彩「なんだか意外だなぁ」

りみ「ちょっと前から蘭ちゃんとひまりちゃんとも交流があって……アフターグロウのみんなとも仲良しになりました」

彩「なるほどね! いいよね、そうやって友達の輪が広がってくの!」サークリングノポーズ

千聖「…………」
206 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 09:54:19.58 ID:PEZtvYx+0

千聖(彩ちゃんがどんどん事実を確定させていく……)

千聖(……私の聞き間違いじゃなかったのね……)

彩「でも、なんだろう……」

りみ「はい?」

彩「なんていうか、りみちゃんが巴ちゃんと並んで歩いてると……身長差がすごくて、兄妹みたいに見えそうだなぁって」

千聖「兄妹って、巴ちゃんは一応女の子――」

りみ「そうっ、それなんです!」

千聖「え」

りみ「巴ちゃんと一緒にいて、スラリとした長身から見下ろされると……すっごくきゅんってするんですよ! 彩先輩は分かりませんかっ?」

彩「あー……分かるような、分からないような?」

りみ「千聖先輩はっ?」

千聖「えーっと……ごめんなさい、薫と並ぶことが多いけど、全然まったくそんなことは感じないわ」

りみ「そっかぁ……」
207 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 09:55:54.05 ID:PEZtvYx+0

千聖「見下ろされるのが好きなの?」

千聖(……あれ、なんでこんなことを聞いてしまったんだろう)

りみ「はい、好きです!」

りみ「薫さんもそうなんですけど、背の高い人って素敵じゃないですか。すごくしっかりしてて、私の全部に覆いかぶさってくれそうで……」

彩「りみちゃん、薫さんのファンだもんね」

りみ「はい。でも、薫さんはやっぱり王子様なんです」

彩「王子様……みんなに平等に優しい的な?」

りみ「それですね。すごくカッコイイですけど、やっぱり高嶺の花っていうか……棘が足りないっていうか……」

彩「棘?」

りみ「その点、巴ちゃんはすごいんですよっ。見るからにワイルドなオラオラ系で、ちょっとだけぶっきらぼうなところがあるんだけどでも実は優しくて……」

千聖「……けど巴ちゃん、その……本気になるとすごく怖いわよ」

彩「…………」コクコク

千聖(あ、彩ちゃん、多分さっきの悪鬼羅刹を思い出してるわね……また慰めないといえけないわ……)

りみ「そこです!!」

千聖「わっ」
208 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 09:56:44.31 ID:PEZtvYx+0

りみ「ああ見えて優しい、でも怒るとすごく怖い……それがいいんです!!」

りみ「機嫌が悪い時とかに近くにて、最初はきっと優しく諭してくれるんですよ。『わりぃ、今は相手できねぇや。ごめんな』って。それでもしつこく傍にいようとすると、段々言葉が荒くなっていって……」

巴『あのなぁ、分かるだろ? お前もアタシとの付き合いがなげーんだし』

巴『今な、イラついてんだよ。分かったら離れろ。どうなっても知らねぇぞ』

りみ「……って、怒るんですよ。相手を傷付けないようにって!」

千聖「え、ええ……」

りみ「それでもなお傍にいようとすると、とうとう巴ちゃんの堪忍袋の緒も切れて……」

<壁ドーンッ

巴『お前さ、いい加減にしろよ? あんだけ言ってアタシの傍にいるってことは、そういうことだよな? あぁ?』

巴『いいよ、お前がその気なら。もう後悔してもおせーぞ。どうなっても知らないからな』

りみ「……そして壁ドンとか床ドンとか股ドンで逃げ場を塞がれて、あの大きな身体が私に覆いかぶさって……荒ぶった巴ちゃんの気の向くままに……えへへへへ……」ウットリ

彩「千聖ちゃん、どうして私の耳を塞いでるの?」

千聖「気にしないで。彩ちゃんにはちょっと……まだ早いことだから」

彩「なに言ってるのか全然聞こえないよ〜」
209 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 09:57:24.15 ID:PEZtvYx+0

りみ「そういうのって……素敵ですよねっ」

千聖「流石に頷けないわ、りみちゃん……」

りみ「そうですか……やっと誰かに話せたって思ったのに……」

千聖「出来ればその想いは誰にも打ち明けない方がよかったと思うわよ……というか、それより、りみちゃん」

りみ「はい?」

千聖「その、こう言っては何だけど……巴ちゃんはあこちゃんのことを溺愛――いえもういっそパラノイアってくらいにアレしてるけど」

りみ「知ってますよ?」

千聖「え」

千聖「…………」

千聖「えっ!?」
210 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 09:58:49.65 ID:PEZtvYx+0

りみ「決してこちらに向くことがない羅針盤の針……だけど、何かの間違いや、一時の気の迷いでフラフラとこちらを向くこともあるかもしれません」

りみ「その一瞬だけでいいんです。気まぐれな風に回り続ける風見鶏が、一瞬だけ私の方を向いてくれた。ただその一瞬でいいんです」

りみ「“The course of true love never did run smooth.”」

りみ「つまり……そういうことです」

千聖(『真の恋の道は、茨の道である』……だったかしら)

千聖(薫がしたり顔で言うよりよっぽど真に迫っているわね……)

千聖「えぇと、りみちゃん? そんな、まるでDVから逃れられない被虐者の呪いじみた考えはよくないわよ……?」

りみ「被虐者の呪い……えへへ、ホラー映画のタイトルみたいでいいですね!」

千聖(なんでそんな反応になるのよ……!?)

りみ「……心配してくれるんですか?」

千聖「え、ええ、それはもちろん。巴ちゃん周りの修羅場はもうこれ以上ないくらいに危ういバランスの上だし……」

りみ「ありがとうございます。でも、平気ですよ。巴ちゃん、本当の本当は、心の根っこの部分は誰も傷付けようとしない優しい性格だって知ってますから」

りみ「じゃなかったら好きになりませんもん」ニコリ

千聖「…………」
211 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 10:00:07.08 ID:PEZtvYx+0

千聖(そのセリフはまさにDV男に引っかかる女性そのものだけど……今まで見た中で一番純粋な笑顔を浮かべているわね)

千聖(はぁ……どうしてこう、私たちの周りのガチな女の子は一癖も二癖も……)

千聖「……りみちゃん」

りみ「はい」

千聖「もう止めはしないけれど、ひとつだけ言葉を送るわ」

千聖「愛はお互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである。……とあるフランスの作家の言葉よ」

りみ「…………」

千聖「私は人の恋路にとやかく言えるような人間ではないけれど……頭の片隅にでも置いておいてくれると嬉しいわ」

りみ「……なるほど、分かりました。アドバイスありがとうございます、千聖先輩」

千聖「いえ……偉そうなことを言ったりしてごめんな――」

りみ「私も巴ちゃんと一緒にあこちゃんを愛せば解決ってことですね!」

千聖「だからどうしてそうなるのっ!?」

彩「千聖ちゃーん、そろそろ耳が痛いよー私ー……」


……………………
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 10:01:12.41 ID:PEZtvYx+0

――芸能事務所――

千聖「はぁ……なんとか終わったわね……」

彩「お疲れさまでした、千聖ちゃん」

千聖「ええ。今日は一日中付き合ってくれてありがとうね、彩ちゃん」

彩「ううん。何をやってるのか最後まで分からなかったけど……千聖ちゃんの役に立てたなら何よりだよ!」

千聖「正直なことを言ってしまうと、彩ちゃんがいなかったら今日は確実にめげていたと思うの。あなたが手伝ってくれてすごく助かったわ」

彩「そ、そう? えへへ……そんなに褒められたら照れちゃうよ」

千聖「今度一緒に甘いものでも食べに行きましょうか。ご馳走するわよ」

彩「え、いいの? わーいっ!」

千聖「ドラマのお仕事で知り合った方が教えてくれたお店があるの。知る人ぞ知る隠れた名店らしいから、楽しみにしていてね」

彩「うんっ、楽しみにしてる!」

千聖「今日は本当にありがとう、彩ちゃん」

彩「どういたしまして!」

213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 10:02:19.27 ID:PEZtvYx+0

――レッスンルーム――

千聖「さて、と……」ペラ

千聖(彩ちゃんもお家に帰って、今は私ひとり)

千聖(この機械の説明書を読み進めていくと、今回のモニターについての説明がある)

千聖(数値は25人のものを測定した。これが何の役に立つのかは微塵も分からないけれど、とりあえず測定結果は自動で弦巻技研に送信されている……らしい)

千聖(個人情報は一切表示されないので安心してくれ、という旨の但し書きもあって、だけどこの機械のおかげで私は今日からとんでもないストレスを抱えることになってしまうというのは確定的に明らかな訳であって……)

千聖(……今から行うことは、そのストレスがうっかり私にそうさせたのだ、ということにしておこう。気になってしまったものは仕方がないのだ)

千聖(レッスンルームの壁一面に備えられた鏡には白鷺千聖の立ち姿)

千聖「…………」

千聖(私はそれに向かって、機械のボタンを押した)


白鷺千聖の百合度 ↓1

214 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 10:02:40.23 ID:B6+GsJll0
どや
215 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 11:13:56.88 ID:316DERBzO
真人間でほっとしたよ
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 11:43:19.36 ID:PEZtvYx+0


白鷺千聖の百合度 【23】


千聖「ほっ……としたような、してないような……」

千聖(というのが一番最初の印象だった)

千聖(私は一般女子レベル)

千聖(つまり、私が思う百合というものに対しての印象は、この世界の女の子のほとんどが抱えているものだということになる)

千聖「私は普通の一般的女子、なのよね」
217 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 11:46:38.86 ID:PEZtvYx+0

千聖(……この機械でこのおかしな度数を計って回るうちに、ひとつだけ引っかかっていたことがあった)

千聖(例えば、私が彩ちゃんやイヴちゃん、日菜ちゃん、麻弥ちゃんに抱える気持ち)

千聖(大切な親友であり仲間であるけれど、色々と危なっかしくて心配で、どこかで転んだりして怪我をしていないかとか気になってしまうこと)

千聖(例えば、有咲ちゃんやたえちゃんのような可愛い後輩に対しての気持ち)

千聖(ウチの妹のように純粋で、多少の悪さなら可愛いものだと受け止めてあげられるし、もし何か困っているならなんとかしてあげたいと思ってしまうこと)

千聖(例えば、蘭ちゃんや美咲ちゃん、リサちゃんのように、なんだか素直じゃなさそうな感じの女の子に対しての感想)

千聖(臆面もなくあーんしたり、『好き』という言葉を異様に意識してしまうけれど……それも普通のことだと思うこと)

千聖(例えば、紗夜ちゃんをめぐるヤバい相関図に対する印象)

千聖(いやに心臓が跳ねて冷や汗が滲んで、一歩間違えたら辺り一面が焼け野原と化す可能性を秘めた爆弾。出来るだけ彼女たちとは関わり合いになりたくないと思うこと)

千聖(それらは別にいい。きっと誰しもが抱くだろうまっとうな気持ちだ)
218 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 11:48:58.85 ID:PEZtvYx+0

千聖「…………」

千聖(だけど、花音の数字を見て胸に抱いた言葉に出来ない感情は……なんだろう)

千聖(花音もそういうことに興味があるんだ、素質があるんだ……と分かった時に抱いた気持ちは……)

千聖「……なんて、親友相手に何をおかしなことを考えているのかしらね」

千聖(フッと息を吐き出して、頭を振る。それから見据えた鏡の中の白鷺千聖の顔が少しだけ赤らんでいたから、私は苦笑を投げかけてみせた)

千聖(なんともないように鏡に背を向ける。なんとはなしに天を仰げば、音を逃がすために高く作られたレッスンルームの天井。そこに備え付けられたLEDの蛍光灯はやんわりと白んだ明かりを灯しているから、私も白々しい顔で口を開く)

千聖「……彩ちゃんとのスイーツ、花音も誘おうかしら」

千聖(彩ちゃんと花音と、私。3人でテーブルを囲む場面を想像して、小さく笑みをこぼす)

千聖「――――」

千聖(防振、防音。その後に続けた言葉は誰に聞かれることもなく、レッスンルームの高い天井へそっと吸い込まれていった)


おわり
219 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/23(月) 11:50:17.21 ID:PEZtvYx+0

数値一覧表
https://i.imgur.com/BPlvkC7.png

この話の主成分は「チュチュと一緒にBanG Dream! FILM LIVE」(ミニトークショー付き)のチケット一般販売開始時間をバンドリ公式に謀られたと知った瞬間の辛みと不戦敗の悔しさです。

そんな見切り発車感満載の色々ぶれっぶれのアレな話でしたが、お付き合い頂きまして誠にありがとうございます。

そしてオチをまったく思いつきませんでしたのでどなたか卑しい私めに才能かアイデアをください
220 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 11:57:28.66 ID:B6+GsJll0
おつん
221 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/23(月) 19:07:48.11 ID:/r4CxsAno
おつ。この人物関係がこの先どうなるか気になる。
222 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 07:59:46.37 ID:4eZiFAKi0
おつ

もう一度百合度でやっても面白いと思うけど、同じ安価・コンマでやるなら清純度とか?
223 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/09/28(土) 20:14:57.13 ID:/TnOWcpU0

後日の話


☆スイーツ日和


――都内某所 喫茶店――

彩「ん〜っ! ここのスイーツ、とっても美味しいよ!」

千聖「ええ、そうね。隠れた名店だと言われたけれど、その評価に恥じない美味しさだわ」

花音「うん、すごく美味しいね。……けど、私もお呼ばれしちゃってよかったのかな。今日はこの前の千聖ちゃんのお仕事のお疲れさま会、なんだよね?」

千聖「そんなこと気にしないでいいのよ。彩ちゃんに助けられたのはもちろんだし、花音のおかげで最後のショックをどうにか乗り切れたんだから」

花音「ショック……?」

彩「そうだよ、花音ちゃん。一緒にお茶会を楽しもうよ!」

花音「う、うん……ありがとね、千聖ちゃん、彩ちゃん」

千聖「ええ」

彩「……ところで、花音ちゃんのレモンケーキ……なんだかすっごく美味しそうに見えるなぁ」

花音「うん。甘さ控えめで、すごくさっぱりしてて、とっても美味しいよ。少し食べてみる?」

彩「いいのっ?」

花音「いいよ。はい、あーん」

彩「ありがとー! あーん……ああ、これも美味しいなぁ〜」

花音「えへへ、そうでしょ?」

彩「私のチーズケーキも食べる?」

花音「いいの?」

彩「もちろん! はい、あーん!」

花音「それじゃあ……あーん」

彩「どう? 美味しい?」

花音「うん。チーズがすごい濃厚で……紅茶によく合うね」

彩「でしょ〜!」
224 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:15:38.45 ID:/TnOWcpU0

千聖「ふふっ……」

千聖(やっぱり花音も誘って正解だったわね)

千聖(彩ちゃんと花音のふたりがぽやぽやしてるだけで癒されるわ)

彩「んー……」ジーッ

千聖「あら、彩ちゃん……もしかして私のガトーショコラも食べたいのかしら?」

彩「あ、バレちゃった?」

千聖「そんな物欲しげな目をされたら誰だって分かるわよ」

花音「くすっ、そうだね」

彩「あ、あはは……ここのケーキ、本当に美味しいからさ……ついついいろんなのを食べたくなっちゃうんだ」

千聖「仕方ないわね。はい、ひと口どうぞ」

彩「ありがと、千聖ちゃん。……あーんは?」

千聖「しないわよ?」

彩「そっかぁ」

千聖「花音も食べるかしら?」

花音「うん、ちょっとだけもらおうかな」

千聖「あーん、しましょうか?」

彩「ちょ、千聖ちゃんっ! どうして花音ちゃんにはそう言うの!」

千聖「日頃の行いの差ね」

彩「そ、それどういうこと〜っ!?」

花音「ふふふ……」

千聖「うふふ……」

彩「も〜……あはは」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:16:05.95 ID:/TnOWcpU0

千聖(平和だ)

千聖(平和そのものの、のんびりした空気だ)

千聖(ふふ、こうしていると……ついこの間の百合度がどうとか紗夜ちゃんがどうとかそんなアレは遠い別の世界の出来事のように)

彩「あ、そうだ! 花音ちゃん、二学期になったらお弁当パーティーやるんだ!」

花音「お弁当パーティー?」

彩「うん! 燐子ちゃんが紗夜ちゃんにお弁当作ってあげててね? みんなでお弁当作っていっておかず交換とかしたら楽しそうだなって!」

彩「私と千聖ちゃん、それに燐子ちゃんと紗夜ちゃんが参加するから、花音ちゃんも一緒にどう?」

花音「ふふ、楽しそうだね。私も参加するよ」

彩「やった! それじゃあ、日にちは決まり次第また教えるね!」

花音「うん」

千聖「…………」

千聖(そう、よね……アレは夢じゃなかったのよね……)

千聖(いろんな因果が重なり合った今となっては、辺り一面地雷原の中で開かれるパーティーなのよね……)

彩「あれ、千聖ちゃん……どうかした?」

花音「なんだか暗い顔になってるよ?」

千聖「……いいえ、なんでもないわ」

千聖(まぁ、それもまだまだ先のこと)

千聖(それにその場には燐子ちゃんしか起爆剤がないし……うん、そうよね。彩ちゃんと花音もいるんだし、きっと何事もなく平穏に終わるはずよ)

千聖(今はこの癒し空間を存分に堪能していましょう)
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:17:43.13 ID:/TnOWcpU0

☆白金会長の暗躍


――白金家 燐子の部屋――

燐子(……お弁当パーティー)

燐子(ふふ……丸山さんにはいい機会を提案してもらったな……)

燐子(目立つ場所で、目立つ人たちと一緒に、氷川さんの隣に座ってお弁当を食べる……)

燐子(これ以上の既成事実は……ないよね……?)

燐子(そうして氷川さんとわたしが花咲川女子学園公認ベストカップルって風評が立てば……)

燐子「……えへへ」

燐子(っと、いけないいけない……いずれ必ず確定する定めの未来だけど……まだまだ不安要素はあるんだった……)

燐子(少しでも不安要素を除いて……明るい未来を創るために……出来ることは全部やらなくちゃ……)

燐子(そのための、この……)

【秘密の作戦ノート】

燐子(ここに……当日までに解決しなければいけない問題……氷川さんとの既成事実を作るためのミッションを書き記します……)

燐子(それから……今時点で分かっていることも……書き記します……)

燐子(千里の道も一歩から……デイリーミッションを重ねて、石を貯めることが大切……)
227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:18:09.64 ID:/TnOWcpU0

燐子「まず最初に……氷川さんにわたしの好物を伝えること、氷川さんの好物をわたしが知ること……これはクリア……」カキカキ

燐子(これで必ず氷川さんは……わたしの好物を作って来てくれる……)

燐子「互いの好きなものを知り合い、作り合う関係……素敵だなぁ……ふふっ」ニヘラ

燐子(っとと、いけないいけない……まだこんなことで笑ってちゃダメだ……)キリッ

燐子(氷川さんは魅力的過ぎて……周りにはわたしから彼女を掠め取ろうとする泥棒猫さんが……たくさんいるんだから……)

燐子(あこちゃんなら許せるけど……それ以外の人が氷川さんに触れるのは……我慢できない……)

燐子(少しでも不確定要素を削って、確実に……明るい未来を築かなくちゃ……)

燐子「氷川さんの隣はわたしのもの……氷川さんの隣はわたしのもの……」カキカキカキカキ...

燐子「氷川さ……いや……」ピタ

燐子(……いずれ夫婦になるなら……やっぱり今からでも下の名前で呼んだ方が……いいかな……?)

燐子(ちょっと練習しようかな……氷川さんの写真にそう呼びかけてみよう……えぇと、今日は……)

燐子(わたあめを頬張ってる無邪気なところ……うーん、これの気分じゃないかな……)

燐子(雨に打たれて憔悴してるところ……だめ、そういう顔はわたしの前で出来ればして欲しくない……)

燐子(廊下の掲示物を貼り代えてるところ……ああ、これがいいかな……)
228 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:18:40.36 ID:/TnOWcpU0

燐子「それじゃあ……コホン」

燐子「…………」ジッ

燐子「ひ、氷川さ……じゃなくて、さ、さ……あの、さ……」

燐子「……うぅ、えぇと、その……」

燐子「すー、はー……よ、よしっ」

燐子「さ、っ、さ、さ……紗夜、さん……っ!」

燐子「……っ、はぁー……な、なんとか言えた……」

燐子(こ、これでひとつステップアップ……)

燐子(……写真相手だけど……初めて名前で呼んじゃった……)

燐子「えへ……えへへ……しあわせ……」
229 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:19:12.91 ID:/TnOWcpU0

☆モカちゃんやっちゃうよー


――商店街――

モカ(あたしの心の中にはひとつの懸念があったぁー)

モカ(あたしははぐが大好きで、好きで好きで堪らないワケだけど、どーにもはぐには好きな人がいるらしいー)

モカ(そのお相手とは……なんと、氷川紗夜さん)

モカ(まぁ、確かに? あの人は何気にめちゃ優しいし、面倒見もよくて、しっかりしてる人だから? はぐが好きになるのも違和感ないけどー?)

モカ(……けど、だからと言って大人しく身を退けるほど、モカちゃんは諦めがよくないのだった)

モカ(だってそうでしょ〜? アフターグロウと商店街組は切っても切り離せない縁で繋がっているんだから)

モカ(小さな頃からいろんな想い出を積み重ねてきて、一緒のお布団で寝た回数も一緒にお風呂に入った回数も、紗夜さんとは比べることすら出来ないほど多いのだー)

モカ(なのに、いきなり横から出てきた人に、はぐを盗られちゃうなんて……そんなのヤだよ)

モカ(そうなるくらいなら、いっそ無理矢理にでも……あ、やっぱダメ、ソレダメ。はぐの傷付いた顔とか泣き顔なんて見たくもないや)

モカ(……でも、このままじゃなぁ……)

「……という風に……スキルを使うんです……」

「なるほど……無価値に見えても他のものと合わせれば、有用性が見えてくるという訳ね……」

モカ(あれぇ、前からやってくるのは……ロゼリアのギターさんとキーボードさん)サッ

モカ(……おや? どうしてモカちゃんは咄嗟に身を隠してしまったのでしょう?)
230 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:19:58.06 ID:/TnOWcpU0

燐子「…………」

紗夜「どうかしましたか、白金さん?」

燐子「いえ……気まぐれな猫さんが……隠れたなぁって……」

紗夜「……はい?」

モカ(あー……これ、燐子さんにはバレてるっぽいなぁ……)

モカ(ここからなんて言って登場しようかなぁ……)

燐子「……けど、猫ってそういうものですよね……気にしないでいいと思います……」

モカ(……おや?)

紗夜「そうですね。湊さんならそうはいかないと思うけれど」

燐子「そう……ですね……」

モカ(燐子さん……一体どういうつもりなんだろー?)

燐子「…………」ウーン

紗夜「白金さん? 何か考え込んでいますが……どうしました?」

燐子「いえ……何か利用できないかな、って……」

紗夜「利用……さっきのNFOの話ですか?」

燐子「似たような……ものです……」

紗夜「そうですか。本当に好きなんですね」

燐子「はい、愛してます」

紗夜(そこまで言い切るなんて、よっぽどゲームが好きなのね)

燐子(確か……青葉さんは北沢さんが……それなら……)
231 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:20:30.18 ID:/TnOWcpU0

燐子「……よし、決めました……」

紗夜「ああ、NFOといえば、この前今井さんが……」

燐子「氷川さん……」

紗夜「はい?」

燐子「……出来ればいいので……わたしの前で……他の女(ひと)の名前を出さないでください……」

紗夜「……はい?」

燐子「ずっと見てて欲しいんです……こういう時くらいは……」

紗夜「あの、言ってる意味がよく分からないのですが……」

燐子「いずれ……分かりますよ……例えば、そう……二学期のお弁当パーティーの時とかに……」

燐子「そのために……わたしは頑張っていますから……」

紗夜「ああ、お弁当パーティー。丸山さんに言われてから、私も少し料理の腕を磨いているわよ」

燐子「ふふ、そうなんですね……楽しみです……氷川さんの手料理を食べられるのが……」

紗夜「あまり期待されても、それに応えられるかどうか……」

燐子「氷川さんが……わたしのために作ってくれたというだけで……いいんですよ……」

紗夜「そういうものなのかしら」

燐子「そういうものなんです……」

紗夜「そうなのね。あ、料理と言えば羽沢さんに――」スタスタ

燐子「……氷川さん……また他の女(ひと)の名前を――」スタスタ
232 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:20:59.06 ID:/TnOWcpU0

モカ「…………」

モカ「なるほど、なるほどなるほどぉー」

モカ(そういうことですね、燐子さん)

モカ(どうやってモカちゃんとはぐのことを知ったのかは分からないけど……分かりましたよ)

モカ(それが一番世界を丸く収める方法だって言うなら、あたしもちょーっとだけ悪い子になりますよ)

モカ「……よーし、モカちゃんやっちゃうよー」
233 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:22:02.17 ID:/TnOWcpU0

☆千聖さんの心配事


――芸能事務所――

千聖「……ねぇ、日菜ちゃん。ちょっといいかしら」

日菜「うん、いいよー。どしたの?」

千聖「ええ、少し聞きたいことがあってね……その……」

日菜「珍しく歯切れが悪いね。いつもみたいになんでもズバッと聞いていーよ!」

千聖「……それじゃあ、あのね?」

日菜「うん」

千聖「最近の日菜ちゃんの交友関係なんだけど……ひまりちゃんとよく遊ぶって本当?」

日菜「ホントだよー。ひまりちゃんってば彩ちゃんみたいで面白いんだよ、なんか頑張ってるのに空回っててさ」

千聖「そ、そう……本当なのね……」

日菜「それがどうかしたの?」

千聖「いえ、ちょっと……どんなことをして遊んでいるのかちょっと気になったっていうか……」

日菜「んー、別に普通だよ? 一緒にご飯いったり、プリクラ撮ったり」

千聖「……それくらいなら普通ね」

日菜「あ、あとね、最近ダイエット始めたんだって、ひまりちゃん」

日菜「えー、またすぐ終わっちゃうんじゃないの〜? って言ったら、」

ひまり『そんなことないですー! 今度の今度は本気ですから! だから日菜先輩、少し運動に付き合ってください!』

日菜「って言われて、よく運動に付き合うよ」
234 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga sage]:2019/09/28(土) 20:22:40.00 ID:/TnOWcpU0

千聖「運動って……例えば?」

千聖(運動(意味深)とかじゃない……わよね?)

日菜「一緒にお散歩したり、テニスしたり、ラウンド〇ンのス〇ッチャ行ったりとか?」

千聖「……健全ね、よかった……」

日菜「あと、パスパレの曲のダンスを教えてあげてるよ。ひまりちゃん、最近毎日パスパレのライブ動画見てくれてるって言ってたし」

千聖「え」

日菜「意外と勉強熱心なんだよね、ひまりちゃん。この前学校で踊ってあげたけど、すっごい顔で食い入るようにあたしのこと見るんだ」

千聖「学校でって……もしかして、制服で?」

日菜「うん。学校なんだから当たり前じゃん」

千聖「…………」

千聖(そのひまりちゃん……絶対に恍惚とした顔で日菜ちゃんを見てるわよね……)

日菜「どしたの、千聖ちゃん? なんか難しい顔になってるよ」

千聖「……日菜ちゃん、一応……ね? 制服で激しい踊りを踊るのは、はしたないじゃない?」

日菜「あはは、女子校なんだからそんなの気にする人なんていないよー。変な千聖ちゃんだなぁ」

千聖(いるのよ、そのあなたのすぐそばに……ものすごい獰猛な獣が……)

千聖(なんて言っても中身が純粋そのものの日菜ちゃんには伝わらないでしょうし……)

千聖「折を見て紗夜ちゃんに相談しようかしらね……あんまりあそこの地雷原には近づきたくないけれど……」
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