他の閲覧方法【
専用ブラウザ
ガラケー版リーダー
スマホ版リーダー
BBS2ch
DAT
】
↓
VIP Service
SS速報VIP
更新
検索
全部
最新50
このスレッドは950レスを超えています。そろそろ次スレを建てないと書き込みができなくなりますよ。
【艦これ】艦娘「ショタ提督に好かれたい」照月「その35!」【安価】
Check
Tweet
745 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/02(木) 20:28:52.02 ID:h7aoNFy80
少し休憩します。21:30〜22:30頃再開予定です。
吹雪達の進水日(?)が現実と違っていますが、この世界ではこういう歴史だと考えていただければ幸いです。
746 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/02(木) 22:32:42.61 ID:h7aoNFy80
再開します。
747 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/02(木) 22:35:45.46 ID:h7aoNFy80
その後、元帥は吹雪達を「艦娘」と名付け、妖精達と共に旧15周目鎮守府や一部の鎮守府に派遣する。
そこで活動させることで深海棲艦にどこまで戦えるかを見極めようとしたのだ。
ショタ提督「………」
ショタ提督(良かった……旧15周目提督が、艦娘達を人として扱ってくれる良い人で……)
元々が船だった艦娘を不気味に思うことなく、1人の人間として受け入れてくれるかどうかが彼の不安だった。
しかしその心配は杞憂に終わる。旧15周目鎮守府に所属する旧15周目提督は、吹雪達や妖精達を温かく迎え入れたのだ。
―――
旧15周目提督(以下・旧提督)「見ろ!これが我が鎮守府自慢の艦娘だ!」
15周目提督「艦娘とな?」
吹雪「あの、司令官。この子は一体……?」
叢雲(随分とボロボロの服を着てるのね)
漣「うはっ!ショタktkr!」
五月雨(ネットすら存在しない時代でネットスラングを使うなんて……)
電(五月雨ちゃんのその台詞もアウトなのです……)
しばらくすると、かつて彼女によって不老不死となってしまった15周目提督が旧15周目鎮守府を訪れた。
その様子を"見ていた"彼は当然、15周目提督に宿された力の正体を看破する。
―――
ショタ提督「ッ!?あ、あれは……まさか……!」
ショタ提督(あの子の魂から、"僕"の怨念を感じる……魂が肉体と雁字搦めになっていて、絶対に死なないように……それも、数百年以上の間……)
彼女と同じく魂に干渉出来る彼は、15周目提督が過ごして来た時間を瞬時に理解した。
同時に、15周目提督が抱き続けて来た絶望と孤独感も見抜いてしまう。
ショタ提督「……っ」グッ…!
ショタ提督(くっ……僕が先に目覚めていれば、こんな悲劇を防ぐことが出来たかもしれないのに……っ!)
ショタ提督(だけど、今の僕にあの子の呪いを解く程の力が無い……"僕"が込めた"憎しみ"の力が、あまりにも強過ぎる……)
ショタ提督(……ごめんなさい。"僕"のせいで……!)
だが、そんな彼に追い打ちをかけるような悲劇が起きてしまう。
そう。15周目提督が現代にこの地へ赴く理由となった、あの悲しい出来事が……
748 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/02(木) 22:55:01.45 ID:h7aoNFy80
―――
15周目提督「………」
旧提督「」ゴボボ…
15周目提督「……っ!」ギリッ
吹雪達や旧提督が深海棲艦相手に応戦するも、数の暴力には敵わず……敗北してしまう。
否、ただ負けただけならまだ良い方だっただろう。だが、この戦いで旧提督は……死亡してしまった。
15周目提督「……こんな……こんなことって……っ!」
無論、15周目提督は呪われた不死の力を宿している為、ただ1人生還した。生還"してしまった"。
15周目提督「くそッ!!ワシは……ワシは子供の頃から何も変わっとらんじゃないか!親しい者1人助けることが出来ないなんて……っ!」プルプル
旧提督「」
だが、それが15周目提督の心をより追い詰める結果となってしまった。彼は再び絶望したのだ。
無限の命を持つ15周目提督では、後を追うことさえ許されない。常にただ1人……この世に取り残されてしまう。
―――
ショタ提督「そ、そんな……」
一方、海から様子を"伺っていた"彼も、この敗戦に驚愕していた。
確かに苦戦することは想定内だった。相手が大人数で攻め込むことも考慮していた。
しかし……最初こそ善戦していたが、相手に数隻増援が来ただけでここまで惨敗するとは思ってもいなかったのだ。
ショタ提督(僕は確かに、吹雪達……いや、吹雪さん達に、妖精達を通じて僕の力を注いだはず、なのに……)
―――
吹雪(駆逐艦)「」ゴボゴボ…
五月雨(駆逐艦)「」ゴボゴボ…
漣(駆逐艦)「」ゴボゴボ…
叢雲(駆逐艦)「」ゴボゴボ…
電(駆逐艦)「」ゴボゴボ…
ヲ級「あの駆逐艦達……案外弱かった」
レ級「そりゃあ5対10じゃね〜!」
ル級「私達の圧勝でしょ!」
吹雪達は戦いに敗れ、海の底へと沈み……"人の姿から、傷付いた軍艦の姿へと戻った"。
現代の艦娘とは異なり、吹雪達は"既存の船に彼の力を宿した存在"……故に、その命が尽きた瞬間、"元の軍艦の姿へと戻ってしまう"。
―――
ショタ提督「………」
ショタ提督(……ごめん、なさい……僕のせいで……そして、"僕"のせいで……ごめんなさい……っ!)
彼には謝罪することしか出来なかった。自らが生み出した存在が傷付き、命を落とす光景に……胸が締め付けられる。
だが、彼はその光景から目を背けることはしなかった。出来なかった。せめて、沈みゆく吹雪達の姿を……心に焼き付ける。
この先、このようなことが起こらない等という楽観的思考は許されない。この現実を噛み締めて、彼はそれでも……人類を守る。
ショタ提督(……だけど、ここで止まる訳にはいかない。ここで全てを投げ出してしまえば……"僕"や深海棲艦が、何をするか……分からない……!)
ショタ提督(僕が食い止めないと……それが出来るのは、僕しかいないんだ……っ!)グッ…!
749 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/02(木) 22:58:13.60 ID:h7aoNFy80
「……ふぅん。あいつ、ついに目を覚ましたんだ」
「何やら私の真似をして、よく分からない奴らを生み出してるけど……そんなガラクタで私を止められると思ってる訳?」
「私が感じた苦しみや絶望は、その程度なんかじゃない……お前如きが、理解出来るはずが無い……!」
「これ以上、邪魔をするというのなら……潰す。潰してやる……ぶっ潰してやる……!」
「そして、今度こそ……お前をこの世から葬り去ってやる……ッ!!」
750 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/02(木) 23:22:01.96 ID:h7aoNFy80
その後、人類は深海棲艦との戦いだけでなく、世界規模の大戦争を引き起こすこととなる。
彼女が人間の悪意を刺激し、その度に彼が人間の善意を刺激するも……数百年間の重みが、彼にハンデとして圧し掛かる。
大日本帝国海軍は、連合国及び深海棲艦との戦争に対し、少しでも技術的に優位に立とうと妖精達を総動員させて軍艦を艦娘に変えてゆく。
しかし、そうすればそうするほど……当然だが、犠牲も増えてゆく。人となった艦娘が傷付き、海底に沈んでは大破した船へと変貌する。
当然、彼もその光景を目の当たりにしていた。そして彼にとって、最も辛かったのは……
―――
妖精達「完成!」
名取「………」キラキラ…
軍人「よし!お前にも早速戦ってもらう!」
名取「は、はい……!」
―――
ショタ提督「……!」
ショタ提督(な、ナトリ……いや、違う。彼女は……名取さんは、ナトリとほぼ同じ姿だけど、別人なんだ……"宿っている魂が違う")
軽巡洋艦『名取』が……彼にとっての最愛の人、ナトリと非常に似ていたことだ。
愛する者と瓜二つな少女を戦場に出さなければならない……その事実が、彼の心をより締め付ける。
ショタ提督「……っ」フルフル
ショタ提督(いけない……私情を挟んではならない。"僕"や深海棲艦から、人類を守らなければ……)
だが、彼は彼女と深海棲艦の暴走を食い止める為、妖精を通じて軍艦に己の力を注ぎ込み続ける。
そしてその度に、艦娘達は深海棲艦と戦い、傷付き……犠牲となった者が増えてゆく。
それだけでは無い。元は深海棲艦から人類を守る為に艦娘を生み出したというのに、人類同士の戦争にまで利用されてしまっている。
ショタ提督「………」
ショタ提督(……まさか、"僕"の仕業……なのか……?"僕"が誘導したからか……?)
彼はその可能性に気が付く。深海棲艦や人類同士の争いは、目覚めた時から既に彼女の仕業だと把握していた。
しかし彼女はそれに加えて、彼が生み出した艦娘さえ人類同士の争いに利用し、人々の絶望を生み出す手段として活用しているのだ。
ショタ提督「………」
ショタ提督(……いずれにしても、このままではダメだ。深海棲艦との戦いだけでなく、人類の戦争の被害にまで……)
彼は彼で人間に干渉し、少しずつだが確実に人々の人生を幸福に向かわせ、その都度"善意"や"温かい気持ち"を吸収している。
そして彼女による"悪意"の誘導も、可能な限り横から介入して阻止している。だが、それでも限界がある。
この状況が続けば、艦娘達は深海棲艦と世界大戦の板挟みとなり、犠牲者が増えてゆく一方となってしまう。
751 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/02(木) 23:50:19.06 ID:h7aoNFy80
ショタ提督「………」グッ…
ショタ提督(これ以上、僕の力を争いに利用したくない……利用されたくない……)
ショタ提督(だけど、そんな我儘を言っている状況ではない……艦娘達を、今までよりも"強く"しなければ……)
彼は"善意"を集め続けたお陰で、現在は目覚めた時よりも多くの力を宿している。
すなわち、艦娘達に注ぎ込む力を増やすことが可能となったのだ。
ショタ提督(最初は人類が生み出した兵器に力を宿せば、僕の力の節約になると考えていたけれど……それが間違いだったんだ)
ショタ提督(そのせいで艦娘達は少ない力で深海棲艦と戦い、消耗しているところに人類同士の戦争にまで巻き込まれてしまった)
ショタ提督(理想を言えば艦娘を戦わせず深海棲艦の暴走を鎮めることだけど、それが不可能である以上……艦娘達を強化するしかない)
彼は大いに悩んだが、罪の無い人々を深海棲艦から守る為と考え……苦渋の選択で艦娘達を強化することを選ぶ。
今までは既存の船に力を注いでいたが、それでは宿す力が少ない為、艦娘達は真価を発揮することが出来ない。
ショタ提督「………」スッ…
ショタ提督(……"0から生み出す"。それでいて、"注ぐ力の量を増やす")カッ
―――
妖精達「……っ!」ドクンッ…
軍人「……どうした?」
妖精達「……作らなきゃ」
軍人「え?」
妖精達「艦娘達を"0から生み出す"為の設備を……作らなきゃ……!」ダッ
軍人「あっ、おい!?どこへ行く!?お前達にはまだ改造して欲しい船が……!」ダッ
―――
ショタ提督「……成功、か」
ショタ提督(本当なら、その場で艦娘を生み出すことも出来たけれど……少しでも自然な形にする為に、設備を開発するところから始めた)
ショタ提督(僕が干渉すれば、その技術に疑問を持たないようにすることは可能だ。でも、その手段を乱用すれば……やっていることが、"僕"と同じになる)
ショタ提督(後は設備が完成次第、僕がその都度妖精達に力を注ぎ……生み出された艦娘達にも、僕が力を注ぐ)
ショタ提督(そうすれば、以前よりも飛躍的に強い艦娘達を沢山生み出すことが出来る。もちろん、無暗に増やす訳にはいかないけれど……)
ショタ提督(僕が持つ力にも……限界がある。せめて、人類同士の戦争が終わらないと……多くの艦娘達を生み出すことは……)
妖精達が迅速に工廠を改造し、以後は既存の船が無くとも艦娘を"建造"出来るようになった。魂も安定し、轟沈さえしなければ不老の存在となった。
それだけでなく、艦娘達がいつか戦いを終えて自由となった時、あるいは愛する者と人生を歩むことを誓った時、限りなく"人間"に近い存在になれるようにもした。
艦娘達の艤装を"解体"すれば、すかさず彼が艦娘に宿った力の一部を回収し……不老の効果を無くし、人間として余生を歩めるようにしたのだ。
何故"一部"なのかと言うと、力の全てを回収してしまった場合、艦娘は人としての姿を保てなくなり、その存在が消滅してしまう為だ。
これにより大日本帝国海軍の戦力は飛躍的に向上し、深海棲艦に対しても以前より善戦するようになる。
もっとも、世界大戦に関しては既に大日本帝国は敗戦寸前まで追い込まれていた為、そこから事態を好転させることは出来なかったが。
だが、これで戦力の問題は解決したとしても……新たな問題が浮上することとなる。
752 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/02(木) 23:55:38.46 ID:h7aoNFy80
今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
次回、あるいは次の次の更新で、ようやく回想パートが終了すると思います。
文中に入れ忘れましたが、50周目提督は「艦娘の生みの親」です。
今月の末で5周年を迎えるこのスレですが、ここまで来たら5周年に合わせて完結出来るよう努力したいと思います。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
753 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/03(金) 00:13:31.97 ID:VHm6PxePO
あけおめ&乙
スケールがデカい話になってきたな
754 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/03(金) 02:14:03.10 ID:ZwE7YDj10
乙
これも全て42週目提督って奴の仕業なんだ
こいつのせいでどんだけの被害が出たんだよっていうww
755 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/03(金) 08:01:11.27 ID:GG5gtD1L0
乙
756 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/03(金) 08:43:35.38 ID:U46eJsba0
42週目は色々と本シリーズの分岐点になったねえ
757 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/06(月) 17:39:33.54 ID:XHUDUPaW0
考えてみたら42週目提督ってある意味この世界の創造神見たいなもんだよな
758 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/06(月) 18:20:50.32 ID:dM7mF/JFO
潮と羽黒がその事実知ったら深海堕ちしそう
いやこいつらなら深海堕ちしてもいつも通り42週目提督をボコるだけか
759 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/06(月) 19:20:51.03 ID:RVGGuozQO
ということは42周目がいないと世界が誕生しないしかし世界がないと42周目が誕生しない
42周目が先か世界が先か?
760 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/06(月) 19:50:02.99 ID:pZXL5xcW0
「ギャグ補正ヤバすぎる提督」で安価取った人は
自分の安価から生まれた提督が創造神みたいになってて今どんな心情か気になる
761 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/08(水) 07:09:12.07 ID:KA32Rc+ZO
今回とか40周目見てて思うが
>>1
の引き出しの多さに驚くわ
しかも後付け設定的なこと言いつつ15周目の設定とかくっつけて書いてるの凄い
762 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/10(金) 20:43:38.45 ID:Bqp2pxgV0
22:30〜23:30頃開始予定です。
763 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/10(金) 23:09:04.23 ID:Bqp2pxgV0
始めます。
764 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/10(金) 23:12:13.46 ID:Bqp2pxgV0
―――
元帥「……これだけの鎮守府を同時に建設するのか?」
軍人「はい!深海棲艦の脅威を減らす為にも、戦力の強化は不可欠です!」
元帥「だが、戦争で焼け落ちてしまった建物等の復旧が……」
軍人「確かにそれも大切です!だからと言って無防備のままでいれば、それこそ日本は更なる被害を負うことになりかねません!」
元帥「う、うむ……」
軍人「とりあえず鎮守府を建設し、一通りの艦娘を用意さえしておけば、最悪の事態だけは防ぐことが出来ます!違いますか!?」
元帥「……分かった。鎮守府の増設を許可しよう」
軍人「ありがとうございます!」
日本はアメリカからの指示により、武装することは出来なくなった。しかし、深海棲艦の被害は既に世界各国に広がり……
例外として、深海棲艦からの脅威に対抗することを目的とするならば、日本が艦娘を保有することを許可されたのだ。
だが、日本は数年前までの世界大戦により、戦争に対して非常に恐怖心を持っていた。
その為、政府や海軍は鎮守府を日本各地に増設し、いつでも深海棲艦に応戦出来るよう準備を整えたのだ。
しかし、彼らは知らなかった。艦娘を増やすだけ増やすということが、彼女らにどれ程の苦痛を与えるのかを……
―――
名取「……提督、いつになったら来てくれるのかな」
長良「あ、諦めちゃダメだよ!待ち続ければ、いずれは……ね?五十鈴っ!」
五十鈴「………」
長良「……五十鈴?ちょっと、ねぇ?」
五十鈴「………」
長良「……っ」ジワッ…
とある鎮守府は、建設後から10年間放置され続け……既に艦娘達の精神崩壊が始まってしまっていた。
五十鈴もその1人であり、彼女の心はもう壊れてしまった。姉妹がどれだけ声をかけようと、返事が返って来ることは無い。
名取「……もう、無理だよ。ずっと、待ち続けて……期待を裏切られ続けて……限界、だよ……」
長良「……うっ、うぅっ……あぁっ……」ポロポロ…
―――
ショタ提督「……っ」
ショタ提督(鎮守府や艦娘を増やし過ぎたせいで、どの鎮守府も提督が不足している……そのせいで、艦娘達が……)
その光景を"見ていた"彼は、やはり胸を痛めていた。自分が生み出した艦娘達が、そのような絶望を感じてしまっていることに。
艦娘達は彼の力によって具現化された存在であり、力の源は"人が持つ温かい気持ち"……言うなれば"善意"だ。
彼が人の善意を取り込んで力を発揮するように、艦娘達もまた、同じ性質を持っている。
すなわち、艦娘達は身近な存在……この場合は"提督と触れ合い、優しい気持ちを受け取らなければならない"。
そうでなければ、艦娘達は己の存在や魂を保ち続けることが出来ず……いずれはその力が弱まり、魂が消滅してしまうのだ。
人間や艦娘達は精神崩壊と考えていたが、実際には"魂の死"……艦娘達は人の温もりを与えられないと、その身体は魂の"抜け殻"となってしまう。
こうなってしまえば、2度と正気に戻ることは無い。仮に彼が新たに力を込めたとしても、1度消滅した魂が蘇ることは無い。
ショタ提督(……それだけでは無い。中には、心無い提督が着任してしまった鎮守府の艦娘達は……)
765 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/10(金) 23:22:48.46 ID:Bqp2pxgV0
―――
駆逐グ級「よくも……よくも私達をこんな目に……!」グイッ
ブラック提督「うぐっ……ゆ、許してくれ!命だけは!」
駆逐ア級「はぁ?今更命乞い?馬鹿にしてるの?」ガシャッ
潜水ユ級「……私達と同じ痛みを、味合わせてあげる……覚悟、して……!」ガシャッ
ブラック提督「ヒッ!?い、嫌だ!嫌だ嫌だ嫌だっ!誰か!誰か助けてくれええええええええッ!?」
ズドオオオオォォォォンッ!!
ブラック提督「ぎゃあああああああああああああああああああああああああッ!?」
―――
ショタ提督「………」
ショタ提督(例え提督が着任したとしても、深い絶望を持って沈んでしまった艦娘達は……そのまま消滅してしまうか、あるいは……)
ショタ提督(……魂の性質が反転して、この世を憎む存在となり……"僕"が生み出す、深海棲艦となってしまう……)
艦娘も深海棲艦も、元は同一の存在であった彼と彼女から生み出された。すなわち、艦娘と深海棲艦は表裏一体の関係と言える。
故に艦娘の心が憎しみで染まってしまえば、彼が注ぎ込んだ力そのものが反転し……深海棲艦として生まれ変わってしまう。
だが、深い絶望を抱いた彼女が生み出した為に存在が安定している純粋な深海棲艦とは違い、艦娘から変異した深海棲艦は、その存在そのものが不安定なのだ。
これは数百年早く彼女が目覚めたことと、彼女が抱く"絶望"の大きさが彼が持つ"善意"の大きさを上回ることが深く関係する。
通常の深海棲艦は轟沈してもいずれは復活するが、艦娘や艦娘から変異した深海棲艦は……轟沈した場合、そのまま消滅する。
艦娘の場合は魂までは消滅せず、あの世へ旅立つか転生を果たすが……1度深海棲艦となってしまった者は、肉体だけでなく魂まで消滅してしまう。
もっとも、深海棲艦とて無敵という訳では無く、正反対の力を宿した艦娘達の攻撃には多かれ少なかれダメージを受ける。
しかし、彼女が人の悪意を吸収し続ける限り……人間の醜い欲が消えない限り、深海棲艦は何度沈められたとしても復活してしまう。
ショタ提督「……ごめんなさい。僕のせいで……"僕"のせいで、辛い思いをさせてしまって……ごめんなさい……」グッ…
ショタ提督(……心無い提督が着任してしまうのも、"僕"が干渉しているせいだ。僕がそれを食い止めたとしても、"僕"はすぐに他の人間に干渉して……)
彼女が人類や艦娘を陥れようとすれば、すかさず彼がそれを制止する。しかし彼女はまた別の人間へ干渉し、それを彼が制止……
実に100年近くの間、彼と彼女の海底での攻防が繰り広げられることとなる。その中には、彼女のせいで不幸な人生を歩む者もいれば……
彼が干渉したことで、不幸な人生から抜け出すことが出来た者もいる。だが、当の本人らはそのようなことは当然知らない。
766 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/10(金) 23:34:55.25 ID:Bqp2pxgV0
その後も彼は、自らが目覚めた浜辺の底に留まり続けながら……人知れず艦娘達や妖精達に力を与え続けてきた。
同時に、多くの人々や動植物が持つ活力や温かい気持ちを分け与えてもらいながら、彼女の暴走を食い止める為に行動し続けた。
ショタ提督「……!」
ショタ提督(あの深海棲艦、通常の深海棲艦よりも憎悪が強く宿っている……これではますます犠牲者が……!)
767 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/10(金) 23:35:33.47 ID:Bqp2pxgV0
「艦娘とかいう奴ら、少し前までは雑魚だった癖に……最近になって、急激に強くなってくるなんて……」
当然、彼が人の幸福を願うなら、彼女は人の破滅を望む。
彼の行動により、彼女は目的や力の吸収を邪魔されることとなる。無論、そのような状況で黙っている彼女ではない。
「だったらこっちもより凶悪な深海棲艦を生み出すまでよ!あいつとは違って、私には大いなる絶望の力がある!」
「あんなゴミ同然の奴らにやられるような失敗作なんかじゃない……もっと、全てを殺し、破壊出来るだけの強さを……!」カッ…!
「いや、それだけじゃダメ。あのガラクタ共が所属する場所の人間共にも干渉して……!なんなら、あのガラクタ共も利用して……!」
(あいつらが絶望で消滅すれば、それだけで私が優位に立てる。いや、上手くいけば、そいつらからも悪意を吸収出来るかもしれない……!)
これにより、通常の深海棲艦よりも"残虐かつ冷酷な"深海棲艦が生み出されることとなる。
彼女らは後に様々な被害を出すが、彼と彼女がそれを知ることとなるのは……まだ先の話である。
768 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/10(金) 23:38:11.98 ID:Bqp2pxgV0
―――
22周目提督「」ゴボゴボ…
リベッチオ「あ……!」
照月「……え?」
赤城「そ、そんな……!」
大鳳「……て」
22周目提督「」ブクブク…
トプン…
22周目ヒロイン「提督(提督さん)ッ!!」
―――
ショタ提督「……っ」グッ…
ショタ提督(大本営が提督に艦娘達の戦闘を視察するよう命令したせいで、1人の男の子が瀕死に……どうしてそんな無茶な命令を……)
ショタ提督「……!」
ショタ提督(まさか、"僕"が……人を不幸に誘導するだけでなく、艦娘達を絶望させる為に……!)
彼女の妨害は、決して無視出来るものでは無かった。
時にはこうして、本来なら何事も無く人生を歩むはずだった者さえ……絶望に叩き落されてしまう。
彼は己の無力さと、彼女の身勝手な行動に怒りを覚える。
ショタ提督「……どう、して」
ショタ提督(いくら自分が辛い思いをしたからって、無関係な人間を陥れるだなんて……こんなこと、許されるはずが無い……!)
瀕死となった少年……22周目提督を見ていた艦娘達は、当然のことながら魂を絶望が支配してゆく。
しかし一部の艦娘……大鳳達は決して諦めず、その少年が再び目を開ける可能性を信じ続けた。
およそ半世紀後、艦娘達が抱いていた希望が無駄では無かったことが証明されることとなるが、彼と彼女がそれを知るのは……やはりまだ先の話である。
769 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/10(金) 23:42:53.60 ID:Bqp2pxgV0
だが、その間にも彼女による被害者は増える。増え続けてゆく。
これ以上彼女の被害者を増やさない為にも、彼は出来る限り彼女の干渉を妨害し、人々を不幸から救おうと努力し続ける。
だが、それでも彼女の妨害は牙を剥く。どれだけ彼が死力を尽くそうとも、犠牲者は必ず出てしまう。
ショタ提督「………」
ショタ提督(一部の鎮守府に、心無い提督ばかりが着任している……やはり"僕"の仕業か……)
ショタ提督(艦娘達は度重なる提督の悪行で、精神が疲労困憊している……このままでは、魂の消滅か、深海棲艦となってしまう……!)
人格に問題がある提督ばかりが着任してしまい、"呪われた鎮守府"と呼ばれた……43周目鎮守府。
彼女による干渉は、このような形でも人々や艦娘を不幸にしようと襲い掛かって来る。
ショタ提督(僕がいくら干渉しても、その度に"僕"がそれを上回る干渉で……元は同じ存在なのに、こんなことって……!)
その後、43周目鎮守府には43周目提督が着任し、愛宕や加賀を始めとする艦娘達の冷え切った心を溶かすこととなる。
しかし、その時代に至るまでに……彼と彼女は、ある現象を"知覚"することとなる。
ショタ提督「………」
ショタ提督(また、新たな生命が生まれようとしている……どうか、あの子には"僕"が干渉せず……幸せな人生を歩んで欲しいけど……)
彼は生物の善意を司る存在であり、新たな生命が生まれれば……即座にそれを把握することが出来る。
そして、そのようなことを繰り返していれば……このようなケースも存在する。
―――
36周目提督「……うわあああああああああああん!」
36周目父「お、おぉ!泣いた!ちゃんと泣いたぞ!ほら!」
36周目母「……えぇ。本当に……元気な声で……!」
36周目提督「うわあああああああああああああああああああああんっ!」
36周目提督(会いたかったよ……ずっと、ずうっと……会いたかった……っ!)
―――
カッ…!
ショタ提督「……!今、心に何かがよぎって……これは……」
ショタ提督(あの子が"かつて歩んだ"25年の記憶……いや、時間……そうか。あの子も"転生"したのか……)
ショタ提督("僕"のせいで、悪意を増大させられた心無い提督や……深海棲艦に、絶望に陥れられて……!)
そう。転生し、大和を始めとする艦娘達の運命を変えた……36周目提督。彼は36周目提督が転生した事実をその場で見抜いたのだ。
同時に、"本来の"歴史で36周目提督がどのような末路を迎えてしまったのか……それらも全て把握し、理解した。
ショタ提督「………」
ショタ提督(ごめんなさい……僕のせいで……"僕"のせいで、それほどまでに辛い思いをさせてしまって……)
ショタ提督(だけど、今の君なら……きっと大丈夫。君の魂は輝いている……強い想いを宿している)
ショタ提督(これなら絶対に、"僕"の干渉を退けて……艦娘達の運命を変えられる。僕が保証する……!)
770 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/10(金) 23:58:52.01 ID:Bqp2pxgV0
「所詮はガラクタね。ちょ〜っと糞野郎を送り込めば、簡単に絶望して追い詰められてくれるもの」
「あんな奴らなんかが人類を守る?あははっ、寝言は寝て言いなさいよ!そんなんだから私が生み出した深海棲艦にボロボロにされるのよ!」
(もっとも、ガラクタの分際で妙に強い奴らがいることも事実……糞ッ!全部あいつが私の邪魔をするから……!)
カッ…!
「ん?この感覚は……チッ、また転生者か。それもこいつ、私が干渉したことで自殺まで追い詰められただなんて……やっぱりゴミはゴミね」
(ただ、転生者の厄介なところは、同じ手段が通用しないところなのよね……ゴミの分際で汚らわしい。大人しく死んでくれれば良かったのに)
同時刻。彼女もまた、36周目提督が転生した事実を見抜いていた。同時に、自分が干渉することで得られる絶望が僅かに減少したことを嘆いていた。
しかし、彼女は転んでもただでは起き上がらない。彼女は既に、36周目提督の転生が起こす"代償"を掴んでいたのだ。
「……でも、こいつが転生したお陰で、ゴミ共の絶望以上に素晴らしい力が手に入ったわ」
(輪廻転生であれば、私にとっては何も影響しない……単に前世の記憶を持つ輩が現れたところで、別の人間に生まれ変わっているならいつも通り絶望に染め上げれば良いだけ)
(だけど、今回のような……同じ存在として生まれて来る転生であれば、多かれ少なかれ因果に矛盾が生じる。その歪みを糧にすれば……!)
36周目提督の場合、過去の自分の身体に魂を宿すことで転生を遂げた。言わば魂を通じたタイムスリップだ。
そして彼は死に物狂いで過去を変える。本来なら全滅していた艦娘達を、全員が生存する歴史へと改変する。
その際、歴史に歪みが生じてしまう。彼女はその歪みさえ、己の力として取り込むことが出来るのだ。
更に、歪みによる力は、人間の絶望よりも遥かに強く……影響力は計り知れない。何せ"時間"という、この世の摂理を覆すほどの力なのだから。
「……こいつのお陰で、下手に絶望を集めるよりも大きな力を吸収出来たわ。もちろんお礼なんて言わないけど」
(いずれ私が完全復活を遂げたら、せめて功労者として楽に殺してあげようかしら。あははっ!)
そして、因果の矛盾は転生だけに留まらない。
いずれこの時代へとやって来る16周目提督のように、タイムマシン等による過去改変も因果の歪みを生じてしまう。
それだけでなく、30周目提督や49周目提督のように"次元の壁を越えて"現れ……
本来であれば交わることの無かった世界に、強引な手段で干渉する者の存在。
過去改変ほどでは無いものの、異なる次元からの干渉も……多かれ少なかれ、この世の摂理に影響を及ぼしてしまう。
そして、次元干渉と歴史改変、2つの特性を合わせ持つ8周目提督……
彼がこの世界の、この時代に現れた瞬間、因果に大きな歪みを引き起こし、彼女はそれを全て吸収することとなる。
もっとも、どちらの歪みも……いずれは新たな歴史として刻まれ安定する。よって、重大な問題を引き起こすことは無い。
「今に見てなさい……この力で、何もかもぶっ壊してやる……!」
無論、それは彼女が存在しなければの話だが。彼女がいることにより、因果の歪みは最悪な形で人類に襲い掛かろうとしていたのだ。
771 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 00:05:07.71 ID:btZXsrl/0
しかし、何も悪いことばかりが起きた訳では無い。
覚えているだろうか?彼と彼女が合体したことで拒絶反応が起こり、互いの力をばら撒いてしまったことを。
その力はあらゆる場所に飛び散り、時には人間に、時には艦娘に宿り、そして……深海棲艦とて例外では無いのだ。
―――
21周目父「……ショタ提督を見守る会、か」
戦艦棲姫「そんな組織が発足してたのね……」
ヲ級(見守る会)「……はい」
レ級(見守る会)「争おうとする深海棲艦が馬鹿なんですよ!」
カ級(見守る会)「………」
―――
ショタ提督「……まさか、争いを好まない深海棲艦が生まれるだなんて」
ショタ提督(最初は驚いたけれど、彼女達の魂を見て……納得した。彼女達には、僕の力の欠片が宿っている……)
そう。『ショタ提督を見守る会』を発足した深海棲艦達の魂は、彼がかつてばら撒いた……温かくて優しい力で包み込まれている。
そのお陰で、彼女らは憎しみに囚われることなく……人類や艦娘の味方となってくれた。
彼女により生み出された存在が、憎悪以外の感情を持って生きてくれる……それだけでも、彼は嬉しかったのだ。
ショタ提督「………」ギュッ
ショタ提督(それだけじゃない。人間と深海棲艦が、共に分かり合い……それどころか、子を成すことさえやってのけただなんて……)
ショタ提督(やはり僕の考えは間違えていなかった。優しさと温かい気持ちを持っていれば……気持ちを通じ合うことが出来るんだ……!)
後に彼女らは、絶望により深海棲艦となってしまった元艦娘達を救うこととなる。
彼女らがいたお陰で、元艦娘達は消滅を免れ……姿こそ深海棲艦であるものの、艦娘だった頃の……
絶望に支配される前の、温かい心を取り戻すことが出来たのだ。
772 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/11(土) 00:07:32.72 ID:btZXsrl/0
「……ッ!」ギリッ
(どうしてよ……どうして、こうなるのよ……どうしてよッ!お前らは私が生み出した破壊兵器なのよ!?どうしてゴミやガラクタを攻撃しないの!?)
(よりによって"あいつ"の力が宿るなんて!それでまんまと生温い性格になってしまうだなんて……!)
(それどころか、あんなゴミと餓鬼を作るなんて……!許せない。許せない許せない許せないッ!!)
「……見守る会だか何だか知らないけど、私の意に反する行動を取るというのなら……そんな失敗作、私の手で潰してやる……!」
(今に見てなさい……私が全盛期の力を取り戻した時が、お前達の最期よ……生みの親である私の顔に泥を塗ったことを、後悔させてやる……ッ!)
773 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 00:16:47.86 ID:btZXsrl/0
だが、彼の力が宿るということは……当然、彼女の力が宿る者も現れるということ。
それどころか、彼と彼女は元が同一の存在。当初は善悪の区別が無い力だったとしても、宿主の思考次第で……その力はいかようにも性質を変える。
彼はそのような者が不幸な人生を歩んでしまう様子も……この目で見届けていた。
―――
12周目提督(ま、万引きなんて嫌だよぉ……うぅ、どうして僕ばっかり……いっそ"いじめっ子達が酷い目に遭っちゃえば"いいのに……)
男子1「ほらさっさと歩けよ!」
男子2「ったく……あんまりボスを怒らせない方がいいぜ?」
男子3「………」
ヒュウウウウゥゥゥ…
男子1・2・3「ん?」
ズシャアアアアアアアアアアアン!!
12周目提督「っ!?」クルッ
男子1・2・3「」
12周目提督「あ……あぁ……」ガクガク
おっちゃん「おい!大丈夫か!?うわっ!てーへんだ!早く救急車を……!」ピポパ
12周目提督「ま、まただ……また僕のせいで……あぁ……あああああっ!!」
―――
ショタ提督「……っ」
ショタ提督(あの子は……"僕"の力の欠片が宿ってしまったせいで、自らの望みが歪んだ形で叶ってしまう……)
ショタ提督(これも、僕のせいだ……"僕"のせい、なんだ……ごめんなさい……本当に、ごめんなさい……!)
呪われた幸運の持ち主……12周目提督には、正しく彼女の力の欠片が宿ってしまっていた。
増して12周目提督の父親が心無い人間だったせいで、彼女の欠片は……12周目提督に牙を剥く。
仮に12周目提督の父親が真っ当な人間だったとしたら、その力は親からの愛で性質が逆転し……彼が持つ力と同じ性質を持つはずだった。
しかし、現実は甘くなかった。父親が歪んでいたせいで、12周目提督は周囲の人々を不幸にする呪われた力を発現してしまったのだ。
もし12周目提督が秋月達と出会わなければ……自殺を望んだ時、自らに力が発揮され……そのまま命を落としていたことだろう。
774 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 00:24:58.55 ID:btZXsrl/0
一方、己に宿った力を上手く利用する者も存在する。
炎の力に目覚めた13周目提督、プラズマを生み出せるようになった28周目提督、忍術を扱うことが出来る39周目提督……
彼らのように、何かしらの特殊な力を持つ人間はほぼ全員、彼及び彼女の力を宿していると言えるだろう。
無論、24周目提督や49周目提督のように、彼や彼女の力とは無関係に特殊な能力を発揮する者もいるが。
そして中には、このような珍しい者も現れる。
―――
いじめっ子A・B「うええええええええん!」
先生「こら!45周目提督君!どうしてそんなことをしたの!」
45周目提督「そ、その……」オロオロ
先生「お兄ちゃん達を殴るなんてダメじゃない!」
45周目提督「うぅ……――」カッ
裏45周目提督「……は?何言ってんだお前」
先生「えっ……」
裏45周目提督「表の俺が大人しく遊んでいた時所に、年上だからどけと言いながら先に殴ってきたのはこいつらだぞ?」
裏45周目提督「俺はやり返しただけだ。何も知らない癖に表を責めるんじゃねえよ」ギロ
先生「ヒッ……!?」ビクッ!
先生(な、何この子……!?急に態度が……それに、怖い……!)ビクビク
―――
ショタ提督「………」
ショタ提督(僕と"僕"、両方の力の欠片を宿している子が現れるなんて……)
二重人格である45周目提督。その原因は、現代医学で"解離性人格障害"とされている病では無い。
文字通り、2つの魂……彼の力を宿した45周目提督自身の魂と、彼女の力により具現化された魂の2つを持っていたのだ。
それだけでなく、彼女の力により具現化された魂は……彼の力により、憎悪が取り除かれ……45周目提督を思いやる性格となった。
そして極め付けは……ある2人の少年。彼らこそが、彼にとっても、そして彼女にとっても……非常に稀なケースだった。
775 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 00:32:01.41 ID:btZXsrl/0
―――
27周目提督「………」シュパッ
42周目提督「んー!宇宙遊泳も悪くないけど、やっぱ地球の空気が1番だな!ガハハハハ!」
27周目提督「……こいつは」ガクッ
42周目提督「何だよぅ。今回の地球滅亡は俺のせいじゃないだろぅ」ブーブー
27周目提督「ふざけんな!元はと言えばお前がバナナの皮を捨てなかったからだろ!?」
42周目提督「あ、そだっけ?反省〜」
27周目提督「………」アタマカカエ
―――
ショタ提督「……し、信じられない」
ショタ提督(僕や"僕"の欠片では無く、僕がまだ"完全な存在"だった頃にばら撒いた欠片を宿している子がいるなんて……)
ショタ提督(いや、それだけならまだ可能性の範囲内だ。それ以上に驚いたのは……"僕"の力を、ここまで使いこなす子が現れるなんて……)
ショタ提督(しかも先祖代々、魂と遺伝子で受け継がれて来たせいか……とてつもなく強化されている。27周目提督でなければ、彼を止めることは難しい……)
彼が文字通り、万物を司る存在であった時に持っていた力の欠片を宿した27周目提督。
欠片とはいえ、その力は凄まじく……正に不可能を可能にする、"全知全能"の力と言って良いだろう。
それに対し、彼と彼女を分裂させ、この世の全てを創造する原因の1つとなった42周目提督は……彼女の力を宿していた。
先祖の魂と遺伝子により、力の欠片が受け継がれて来たことで……その力が長い時を経て、非常に強力なものと化した。
42周目提督もまた、あらゆる可能性を実現出来る力を持つ存在と言えるだろう。
だがしかし、42周目提督が持つ力はあくまでも彼女が宿していたもの。全能の欠片を持つ27周目提督を上回ることは決して無い。
そして27周目提督も、全能の力と言えど所詮は欠片。それすら上回る力の前には、抗うことさえ困難なのだ。
ショタ提督「………」
ショタ提督(27周目提督が、綺麗な魂の持ち主で本当に良かった……)
ショタ提督(万が一、この子が己の力で暴走していれば……今の僕と"僕"が結託しなければ、止めることが出来なかっただろうから……)
ショタ提督(もっとも、既に42周目提督が己の力で暴走しているけれど……けれど、やはり本当に恐ろしい存在なのは……"僕"だ)
ショタ提督(もし"僕"が全盛期の力を取り戻してしまえば……いや、悲観的になるのはやめよう。それを防ぐ為に、僕が存在するのだから)
776 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 00:43:15.51 ID:btZXsrl/0
やがて彼女により生み出された、通常よりも残虐な深海棲艦達は……あろうことか、外道とも言える手段に出る。
―――
31周目父「」
31周目母「」
レ級「残り2人は、見るも無残なことになってるけど♪」
ヲ級「……私達じゃなかったら、目に映った瞬間気絶してるかも」
レ級「だねぇ……よし!他の奴らに見つかる前に、とっとと赤ちゃん連れて退散しよっか!」
ヲ級「うん」
31周目提督「うわぁぁん!うわぁぁん!」
ヲ級「………」ニヤッ
レ級「………」ニヤリ
ヲ級(この子を使って、あいつらを……!)
レ級(徹底的に叩き潰してやろっと♪)
―――
レ級「……ふふっ」
3周目提督「!?」
レ級「それっ!」ブンッ
ズガッ
3周目提督「」バタッ
運転手「っ!どうした坊主……なっ!?」
レ級「じゃあねー♪」
運転手「……あの野郎!坊主、しっかりしろ坊主!」
―――
ショタ提督「……っ」グッ
ショタ提督(酷い……生まれたばかりの子供にまで……!)
相手が小さな子供、あるいは生まれたばかりの生命であろうと容赦をしない。
彼女は人類を、生命を滅ぼす為……憎しみを集める為には、手段を選ばないのだ。
人々の幸福を願う彼にとって、彼女の行為は……許されざることだった。
ショタ提督(これ以上、"僕"のせいで不幸な人間を増やす訳にはいかない……絶対に、僕が何とかしなければ……!)
だが、およそ9年後、彼女や深海棲艦達は予想だにしない形で手痛い反撃を受けることとなる。
777 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 00:46:26.25 ID:btZXsrl/0
―――
空母棲姫「……ね、ねぇ。これって……」
集積地棲姫「……私達、絶体絶命なんじゃ」
ヲ級「っく……ひるまないで!数はこっちの方が上!」ヨロヨロ
レ級「そ、そうそう!片っ端からやっつけっちゃえ!」ヨロヨロ
全深海棲艦「う、うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
4周目提督「き、来ました……!」
1周目提督「よ〜うし!皆で31周目提督君達を全力で守るよー!」
歴代提督&見守る会「おー!」
―――
ショタ提督「す、凄い……!皆が31周目提督の為に、そこまでするなんて……!」
ショタ提督(友達を想う温かい気持ちと、明石さんや夕張さんが生み出した技術が……奇跡を起こしたんだ……!)
31周目提督を救う為に駆け付けた少年提督と見守る会所属の深海棲艦達。それから先は、正にワンサイドゲームだった。
彼の力を宿した少年達による攻撃と、見守る会所属の深海棲艦による攻撃、そして明石と夕張が開発した武器による攻撃。
それらが全て、31周目提督を守る為に繰り出され……残虐な深海棲艦達は、無残に敗北した。
ショタ提督「………」ギュッ
ショタ提督("僕"、見ているのだろう?人の想いは、そう簡単に壊せるものでは無いんだ。だから、もうこんなことはやめて欲しい……)
ショタ提督(君がどのような仕打ちを受けてきたかは、僕もよく"知っている"……だけど、こんなことは……絶対に、間違っている……!)
778 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/11(土) 00:47:32.10 ID:btZXsrl/0
「糞ッ!糞糞糞ッ!糞ったれがああああぁぁぁぁッ!!」
(どうして!?どうして負けるのよッ!?あれだけ私が憎悪を込めた傑作だったのに、あろうことかゴミ共とガラクタ、しかも失敗作に負けるだなんてッ!!)
同時刻、彼女も彼と同じ光景を目にして……憤慨した。己が生み出した深海棲艦が、なす術も無く無様に負けたのだ。
そのような事実を突きつけられて、人類の破滅を望む彼女が怒りを抑えられないはずが無い。
「これも全部あいつのせいよ!あいつがあんなガラクタを生み出すから……あいつが変な力をばら撒くから……ッ!」
「それに、あいつらが使っていた謎の道具……ゴミとガラクタの分際で、あんな得体のしれない物を作り出すなんて……!」
27周目提督や42周目提督でさえ、その力に打ち勝つことが出来ないとされる……"ひみつ道具"。
人類の最新技術と、明石と夕張が持つ"彼の力"を組み合わせて生み出された……人知を超えた力を持つ"神器"とも呼べる代物。
彼女はその力を、これでもかとばかりに見せつけられた。このような物を使用されれば、恐らく全盛期の力をもってしても……全く歯が立たないだろう。
「……でも、奴らは気が付いていない。どれ程凄まじい力を持っていたとしても、所詮は"道具"。その気になればいくらでも対処出来る」
(私が完全復活を遂げる時には、この厄介な物を封じておかないと……それを知ることが出来たと考えれば、この惨めな敗北も……無駄では無い)
(……だけど、それで私の怒りが静まるはずが無い。見てなさい……次に戦う時は、地獄を見せてやる……!)
779 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 00:49:40.38 ID:btZXsrl/0
その後も彼と彼女の、海の底からの攻防は続いてゆく。人が善意を持つ限り、人が悪意を持つ限り……その争いが終わることは無い。
彼女の絶望を支配する力は日に日に強くなっていき、同時に彼が宿す希望を司る力も強くなってゆく。
深海棲艦の脅威も激しさを増していき、艦娘達の精神も不安定になるが……それを彼が食い止め、艦娘達の希望を繋ぎ止める。
そしてようやく、彼にとって……待ち望んでいた、運命の瞬間がやって来る。
ショタ提督「………」
ショタ提督(……まさか、僕とナトリが初めて出会った場所に……鎮守府が建設されるだなんて)
ショタ提督(僕がこの地に具現化して、もうどれ程の時が経ったことだろう……だけど、はっきりと思い出せる……)
ナトリ『貴方のことを考えると、胸がドキドキして……貴方の顔を見ると、嬉しくなって……』
ナトリ『……一緒に過ごす内に、貴方のことが……好きになっちゃったみたい』ギュッ
ナトリ『ずっと、一緒にいたい……この温かさを、ず〜っと感じていたい……』
ショタ提督「……っ」ジワッ
ショタ提督(ナトリ……僕、信じているから……きっと、いつか……再会出来ることを……)
ショタ提督「……!」
ショタ提督(早速、ここで新たな艦娘が生まれたようだ。よし、僕の力を…………ッ!?)
彼は目を疑った。生み出された艦娘は名取、グレカーレ、朝風、U-511。ここまではただの偶然で片付けることが出来た。
しかし彼は名取達に、妖精達を通じて己の力を込めようとした時……その魂を見て、気が付いたのだ。
―――
朝風「……?」キョロキョロ
U-511「………」キョロキョロ
名取「……?」キョロキョロ
グレカーレ「………」キョロキョロ
妖精達「どうして、周りを見てるの?」
名取「……そう、いえば」
グレカーレ「どうして、かな……」
妖精達「……まさか、自分達が艦娘という自覚が無かったりは……しないよね?」
朝風「いや、それは大丈夫だけど……」
U-511「……うん。私は、艦娘……」
名取「……艦娘、だよね。うん……」
グレカーレ「深海棲艦と戦う為に、生み出されて……」
50周目ヒロイン「………」
50周目ヒロイン(……やっぱり、引っかかる。私は、艦娘……それは間違いない……)
50周目ヒロイン(だけど、違う……そうじゃなくて、えっと……)
50周目ヒロイン(……あれ?私、今……そもそも、何を探そうとして……?)
―――
ショタ提督「……同じ、だ」ウルッ
ショタ提督(僕が出会った、グレ、アサカゼ、ユー……そして、ずっと会いたかった……ナトリと……同じ"魂"だ……)ウルウル
ショタ提督(見間違えるはずが、無い……あの魂は、僕に温かい気持ちを注いでくれた……ナトリ達だ……)ウルウル
ショタ提督(僕が初めて恋愛感情を抱いた……ナトリの魂だ……やっと、会えたんだ……!)ウルウル
そう。名取達は、正しく輪廻転生を遂げた……ナトリ達だったのだ。彼は気が遠くなる程の時を待ち続け、ようやく再会を果たすことが出来たのだ。
780 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/11(土) 00:51:04.24 ID:btZXsrl/0
――――――しかし、現実は甘くなかった。
781 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 00:55:44.74 ID:btZXsrl/0
ショタ提督「……ッ!」ズキッ
ショタ提督(ナトリ達……名取さん達の魂は、綺麗に……"洗い流されている"……)
名取達の魂は、転生する時に彼女の呪いを洗い流したことで……記憶も流れ落ちてしまっていた。
彼はそれを、一目見ただけで気が付いた。伊達に彼女と長くの間戦い続けて来た訳では無い。
ショタ提督「………」フルフル
ショタ提督(……いや、悲しんではダメだ。こうして、再び出会うことが出来ただけでも……紛れも無く、奇跡なのだから……!)
ショタ提督(せめて……名取さん達と触れ合いたい。もう1度、あの時のように……名取さん達との日々を過ごしたい……!)カッ…!
そう考えた瞬間、彼と名取達の魂が"共鳴"し……彼の身体が完全に具現化され、海の底から地上へと引き込まれてゆく。
―――
ショタ提督「………」スタッ…
50周目ヒロイン「……!」
妖精達「あっ……」
ショタ提督(……肉体の感覚が鮮明になっている。そうか、僕は……また、完全に具現化して……)
ショタ提督(それも、あの頃の姿と全く同じ……僕の記憶が再現したのか、名取達が無意識の内に再現してくれたのか……どちらでも良い)
ショタ提督(これでまた、名取さん達と……あの頃と同じように、同じ時を歩むことが出来るんだ……)
ショタ提督(例え記憶を失っていても、名取さんは……ナトリは、きっと……僕のことを想ってくれていた気持ちは、忘れていないはず……)
妖精達「……もしかして、ここに着任してくれる……新しい、提督……?」
ショタ提督「……うん」
ショタ提督(幸い、この鎮守府にはまだ提督が着任していない。だからこそ、僕が提督となって……名取さんや、皆を……守るんだ……!)
ショタ提督(そして、今度こそ……"僕"の暴走を、食い止めなければ……これ以上、"僕"の好きにさせる訳にはいかない……!)
50周目ヒロイン「………」ジッ
朝風(何かしら……この、既視感……)
U-511(この子が現れてから……急に……)
名取(さっきまでの、不思議な感覚が……強くなったような……)
グレカーレ(でも、私とこの子は……今、初めて会ったばかりで……)
ショタ提督「………」
ショタ提督(……やっぱり、そうか。いや、贅沢は言えない……十分、奇跡と呼ぶに相応しい……!)
ショタ提督(記憶は失っていても……名取さん達の魂に刻まれた想いまでは無くなっていない。これなら、いずれは……)
自らが生み出した艦娘であり、名取達とは魂で繋がっている彼は、名取達が何も言わずともその心情を感じ取ることが出来る。
故に彼は、名取達が記憶を失っていたとしても、その想いが消えていなかったことを瞬時に"把握"した。
782 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 00:57:11.37 ID:btZXsrl/0
ショタ提督(……だけど、そんなことをしたら……今、まだ生まれたばかりの名取さん達を……混乱させてしまうのではないか?)
ショタ提督(それこそ、僕が無理に思い出してもらうよう誘導すれば……転生したばかりの魂に、負担を与えてしまうのではないか?)
彼は不安だった。名取達に全てを思い出してもらいたいのが本音だが、強引に促して名取達の心を苦しめてしまえば本末転倒だ。
増して自分の私利私欲で、人の魂に干渉するような真似をしてしまえば……それこそ、彼女と同じ立場まで落ちぶれてしまうこととなる。
ショタ提督「………」
ショタ提督(……名取さん達が思い出してくれるまで、待つしかない)
ショタ提督(こうして、再び出会えただけでもありがたいのだから……これ以上を求めるのは、贅沢だ)
彼は名取達が記憶を取り戻すその日まで、待ち続けることにした。
大丈夫、きっと思い出してくれる……彼は心の中で、そう言い聞かせる。
再会出来たことの嬉しさで、相手を思いやる気持ちを忘れてはいけない。自分の気持ちを押し付けるようでは、彼女と同じなのだから。
ショタ提督「……"初めまして"。今日からここで提督として活動させていただく……“50周目提督”です」ペコッ
50周目ヒロイン「……っ」ピクッ
50周目ヒロイン(50周目、提督……今、また……あの感覚が……)
ショタ提督(僕には、"この名前"しか無い。他の名前なんて、存在しない……)
ショタ提督(……ナトリが付けてくれた、この名前こそが……僕の、ただ1つの名前なのだから)
50周目ヒロイン「……えぇ(うん)(はい)、よろしくね(よろしくお願いします)」
妖精達「……うん。今日からよろしくね」
ショタ提督「………」コクリ
ショタ提督(グレカーレちゃん、朝風ちゃん、ユーちゃん……そして、名取さん……僕の最愛の人、ナトリ……)
ショタ提督(今度こそ、皆を守るから……"僕"から、皆を……必ず、守ってみせるから……!)
彼は固く決心した。もう、あの時のような過ちは犯さないと。
彼女の魔の手から、名取達を……ナトリ達を、守り切ってみせると。
名取達から、温かい気持ちを分け与えてもらって……彼女の企みを、阻止してみせると。
783 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 00:59:29.07 ID:btZXsrl/0
名取(――――――……)
ショタ提督「………」
名取「……ぁ」
名取(そう、だ……そう、だよ……私、どうして……こんな、大事なこと……忘れて……)
名取(あれだけ、絶対に忘れないと言い聞かせたのに……それなのに、私は……)
ショタ提督「……ナトリ?」
名取「……思い、出しました……ううん、思い出したよ……」ジワッ…
ショタ提督「……!」
ショタ提督(ナトリの魂から、とてつもない力を感じる……!温かくて、優しくて……それでいて、決して揺るがない強さを……!)
名取「それだけじゃない……貴方に何があったかも、全部……"分かった"の……」ウルウル
ショタ提督「……まさか、"共鳴"して……?」
名取「………」コクリ
名取(私より、ずっと先に意識を取り戻して……その間、ずっと……1人で、戦い続けて……)ポロポロ
名取(孤独で、暗い海の底で……たった1人で、人類を守る為に……)ポロポロ
名取(……私と、再会出来ることを……信じ続けて……)ポロポロ
名取「……っ!」ダキッ
ショタ提督「あ……」
名取「ごめんね……ずっと、待たせちゃって……ごめんね……っ!」ギュウッ
ショタ提督「………」
名取「もう1度会おうって、約束したのに……私、全部……忘れちゃってて……!」ポロポロ
名取「しかも、提督を……50周目提督を、長い間……凄く、長い間……1人にしちゃって……!」ポロポロ
ショタ提督「………」
ショタ提督(ナトリ……)
784 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 01:00:48.30 ID:btZXsrl/0
ショタ提督「……っ!」ギュッ
名取「あっ……」ポロポロ
ショタ提督「僕こそ、ごめんなさい……あの時、ナトリのことを……守ってあげられなくて……」ジワッ
名取「……!」ポロポロ
ショタ提督「ずっと、後悔していたんだ……どうして、ナトリ達を守ることが出来なかったんだ、って……」ウルッ
ショタ提督「そのせいで、大好きな人を失って……しかも、それは……もう1人の"僕"のせいで……」ポロポロ
名取「………」ポロポロ
ショタ提督「本当なら、ナトリ達が転生したと気が付いた時……すぐにでも、思い出してもらいたかった……だけど、出来なかったんだ……」ポロポロ
ショタ提督「魂に干渉して、強引に記憶を呼び戻そうとするなんて……そんなことをしたら、やっていることが"僕"と同じじゃないかって……」ポロポロ
ショタ提督「だけど、そのせいで……ナトリ達を、返って苦しめることになってしまって……!」ポロポロ
名取「……っ」ギュッ
ショタ提督「……!」ポロポロ
名取「謝らないで……貴方は、何も悪くないよ……それは、私達のことを考えてくれたから、でしょ……?」ポロポロ
ショタ提督「だけどっ……!」ポロポロ
名取「確かに、私達は1度死んじゃったけど……それは貴方のせいじゃない」
名取「貴方はあの子から私達を守ろうとしてくれた……それだけで、凄く嬉しかったの……!」ポロポロ
名取「それに、こうしてまた出会えたでしょ……?だからもう、良いの……!これ以上、自分を責めないで……!」ポロポロ
名取「悪いのは……貴方を待たせてしまった、私だから……!」ポロポロ
ショタ提督「そんなことない!ナトリは何も悪くない!悪いのは僕で……!」ポロポロ
名取「ううん!私が悪いの!私が貴方をずっと独りぼっちにしちゃったから……!」ポロポロ
ショタ提督「………」ポロポロ
名取「………」ポロポロ
785 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 01:03:36.89 ID:btZXsrl/0
ショタ提督「……初めて、だね」ポロポロ
名取「……うん」ポロポロ
ショタ提督名取(僕〈私〉が言い争いをしたのって……)ポロポロ
名取「あっ……今、50周目提督の声が……」ポロポロ
ショタ提督「……僕達はもう、魂同士で共鳴しているから。お互いの気持ちが、常に通じ合うんだ」ポロポロ
名取「……だから、かな」ポロポロ
ショタ提督「……うん」ポロポロ
ショタ提督名取(ナトリ〈50周目提督〉の、強い想いが……僕〈私〉の心に、注ぎ込まれていく……)ポロポロ
名取「……50周目提督。もう、大丈夫だよ……」ポロポロ
ショタ提督「……うん」ポロポロ
名取「私はもう、貴方を1人にしない……ずっと、貴方の傍にいるから……」ポロポロ
名取(解体なんてしない……未来永劫、この世の終わりまで……50周目提督と一緒に居続ける……!)ポロポロ
ショタ提督「……!」ポロポロ
名取「今まで離れ離れになっていた分、これからは……離れないからね……?」ポロポロ
ショタ提督「……僕も、今度こそ……ナトリや皆を、守ってみせる……必ず……!」ポロポロ
ショタ提督「そして……ナトリ達が笑って過ごせる世界に、してみせるから……!」ポロポロ
名取「……だから、そうやって自分を追い込んじゃダメ」ギュッ
ショタ提督「あっ……」ポロポロ
名取「"ずっと一緒"って言ったよね……?貴方はもう、1人じゃない……私もいるから、ね……?」
ショタ提督「……うんっ」ポロポロ
786 :
◆0I2Ir6M9cc
[!美鳥_res saga]:2020/01/11(土) 01:05:12.06 ID:btZXsrl/0
("死"という壁さえ乗り越え、再会することが出来た私と50周目提督の"絆"は……誰にも、壊させはしない……!)
(あの時も、今も……こうしてナトリと出会えたことが、僕にとって……1番の奇跡なんだ。僕とナトリの"絆"の力……"僕"に、見せてやる……!)
―― ----との---:50/--
――[シュパァッ…!]50/--
――[パシュン…!]50/-- ――
――"提督との絆":∞/∞
787 :
◆0I2Ir6M9cc
[!美鳥_res saga]:2020/01/11(土) 01:06:23.29 ID:btZXsrl/0
《-- "魂"の"共鳴"がより強くなったことで、名取の"魂"に刻まれた"記憶"が……完全に蘇った --》
《-- 名取と想いが通じ合い、互いの"魂"が"共鳴"したことにより……提督の"神通力"が非常に強まった --》
788 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/11(土) 01:10:04.14 ID:btZXsrl/0
「……あはっ、あははっ。あはははははははっ!」
(ついに……ついに集まった!何百年も時間をかけた甲斐があった!ようやく集めることが出来た……!)
(ゴミ共に干渉を重ねて……時にはガラクタ共に干渉して、ゴミに絶望を植え付けることもして……ま、それはあいつに邪魔されちゃったんだけど……)
(それでもめげずにゴミ共の醜い感情を拾い集めて……ついに待ち望んだ日がやって来た……!)
「これであいつを葬れる……人間は優しいなんてほざく、あの目障りな糞野郎を葬り去ることが出来る……!」
「それだけじゃない……憎い人間共や、艦娘とかいうガラクタ共もまとめてぶっ殺すことが出来る……!」
「この世のありとあらゆる生物を破滅に追い込むことが出来る……!あぁ、長かった……本当に長かったわ……!」
(……今の私は、あの時以上の力を宿すことが出来た。正しく全盛期と言って良いでしょうね……これで、これで……!)
「……くふっ。あはっ、あははっ!あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ!」
789 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/11(土) 01:11:25.28 ID:btZXsrl/0
今回はここまでです。遅くまでお付き合いいただきありがとうございました!
これにてようやく長い回想パートが終了です。怒涛の伏線回収もとい後付け設定のオンパレードとなってしまいました。
正直、この回想だけでは全て説明出来た感じがしない為、何か質問や疑問等がありましたら随時受け付けます。可能な限り答えます。
回想パートで語り切れなかった部分はエピローグで明らかにする予定ですが、それでもカバーし切れない部分が出てしまいそうなので……
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
790 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/11(土) 01:13:59.72 ID:PtS9Z6wZO
おつ
791 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/11(土) 05:22:48.86 ID:Y//E/3IGO
乙
回想だけでも今までの集大成みたいで凄いと思いました(小並感)あとはグレカーレが滑りこめるかどうか・・・
ていうか42週目提督がやらかしたこと見てると聖人の43週目提督でも助走つけて殴るレベルに思えてきた
792 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/15(水) 14:39:29.41 ID:kpIUkcdo0
1週目〜49週目は50週目に繋がる壮大なプロローグだったんだろうな
793 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/17(金) 20:28:33.00 ID:2SchH1zg0
22:00〜23:00頃開始予定です。
794 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/17(金) 22:21:43.32 ID:2SchH1zg0
始めます。
795 :
長くなってしまいましたので、複数に分けて投下します。
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/17(金) 22:23:52.71 ID:2SchH1zg0
《-- 20 --》
――41周目鎮守府・食堂
37周目提督「はぐはぐっ!やっぱ41しゅうめていとくが作るケーキはうまいなぁ〜!」
44周目提督「ふふっ……同感です。私に味覚を搭載して下さった明石様と夕張様、そしてこのようなケーキを提供していただいた42周目提督様に、心から感謝しています」
41周目提督「喜んでいただけて何よりです。お代わりもあるから、沢山食べてね?」ニコッ
49周目提督(ふぇ?50周目提督さんから、凄く温かい力を感じる……村雨お姉さん以上に……!)
40周目提督(……あの世界では、こんなに美味しい物……ずっと、食べられなかったっけ……)モグモグ
ロリ46周目提督「はい、あーん♪」
那智(46周目)「あーん……はむぅっ、美味しいよ、ママぁ……♪」
47周目提督(……46周目鎮守府の那智さん、一体どうしてこうなっちゃったんだろう)
名取「………」チラッ
ショタ提督「………」コクッ
彼と名取は、近隣に住む提督の様子を見に来ていた。ただし、彼と名取が知る真実を伝えることはしない。
名取(本当に、話さないんだね……?)
ショタ提督(……うん。皆を巻き込んで、危険な目に遭わせる訳にはいかないから……)
無論、彼と名取とて分かっていた。友人らに事情を話し、協力を得た方が彼女を抑えやすくなることを。
だが、それは友人らを危険に巻き込むこととなってしまう。ただでさえ彼女のせいで犠牲者が出てしまっているのだ。
全てを知る彼と名取は、これ以上の犠牲を出すことなど許されないと考えた。2人の意見は一致していた。
名取(それにしても……本当に、言葉を交わさずとも意思疎通が出来るなんて……)
ショタ提督(それだけ、僕とナトリが互いを想い合っているからこそだよ)
名取(……うんっ)ギュッ
ショタ提督(それにしても……何の因果か、僕や彼女の力の欠片を宿した子が近くに集まるなんて……)チラッ
39周目提督「こ、このみたらし団子……格別でござる!手が止まらないでござるぅ……!」
45周目提督「この肉まん、凄く美味しい……♪」
裏45周目提督『確かにこれは……1度食べたら病み付きになるな……♪』
名取(忍者に、二重人格……どちらも50周目提督の欠片の力、なんだよね……)
名取「……あれ?そういえば、42周目提督君は……」
43周目提督「42周目提督君なら、さっき潮さんと羽黒さんに連れられて行きましたけど……」
38周目提督「何だか凄く怒っていたようだけど、また42周目提督君が何か大変なことをしちゃったのかな?」
名取(大変どころじゃ済まないことをしでかしてるけどね……はぁ……)
ショタ提督「………」
ショタ提督(うん。確かに、ここから離れた場所から……42周目提督に宿っている、"僕"の力の気配を感じる。同時に、潮ちゃんと羽黒さんの気配も……)
796 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/17(金) 22:26:03.43 ID:2SchH1zg0
――42周目鎮守府
潮(42周目)「何してくれてんですか?何しちゃってくれてんですか!?」ズイッ!
羽黒(42周目)「司令官さんのせいで私達が深海棲艦の祖先にされちゃったじゃないですかッ!!」ズイッ!
狭霧「深wwww海wwww棲wwww艦wwwwのwwww祖wwww先wwwwクッソワロタwwwwまさかの妹が深海棲艦の元ネタwwwwダメwwwwお腹痛いwwww」バンバン
潮「………」ズドドドドッ!ズガアアアアァァァァンッ!
狭霧「ほげえええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーッ!?」チュドーンッ!!
42周目提督「いや〜すまんすまんwwwwあまりにも暇だったもんでひと暴れしたら、まさかこんなことになるとは思わなくてさぁwwww」
潮「笑いごとじゃないですッ!!提督のせいで何もかもが滅茶苦茶になってんですよ!?」
羽黒「回想でいかにもヤバそうな人が出てるじゃないですか!!」
42周目提督「その代わり俺のお陰で天地創造出来たじゃん。むしろ感謝してほしいくらいなんだが?」フンス
潮羽黒「は?(威圧)」
42周目提督「だってさぁ?俺いなかったらお前達生まれて無い訳じゃん?だとしたら俺はお前達の生みの親になる訳じゃん?ほら今すぐ感謝しろよほらぁwwww」
潮羽黒「死にたいようですね([∩∩])」ガシャッ
42周目提督「おっいいのかなぁ?生みの親にそんな態度を取って?」ニヤニヤ
潮「それは50周目提督君……さん?そういえばあの子何歳なんだろう……とにかく!50周目提督さんこそが私達の生みの親でしょうが!!」
羽黒「今すぐ
>>752
を百万回見直して下さい!貴方の目は腐ってるんですか!?」
42周目提督「細かいこと気にしてるとハゲるぞ。ん?ちょっと待てよ?俺と潮姉ちゃん達って付き合って」
潮羽黒「監視役」
42周目提督「アッハイ。それってある意味さぁ、親(※もちろん俺こと42周目提督様のことな?)と子供(※潮姉ちゃんと羽黒姉ちゃんのことだゾ)がガチで付き合ってる的な?ヨスガっちゃってる感じに」
潮羽黒「おうえええええええええええええっ!」ビチャビチャ
42周目提督「うわ汚ねッ!?マジで吐いてんじゃねーよゲロインかお前らは!?あっでもそう考えると俺も気持ち悪くヴォエエエエエエエエエエエエッ!」ビチャビチャ
潮「いきなりそんな壮絶に気持ち悪いこと言うからでしょーがッ!!」
羽黒「何度でも言いますけど貴方はただの人格破綻者ですから!生みの親でも何でもありませんからッ!!」
42周目提督「お前達がそう思うんならそうなんだろう。お前達ん中ではな」キリッ
潮羽黒「………」ズドドドドッ!ズガアアアアァァァァンッ!
42周目提督「おぉっとぉ!お前達の攻撃なんざお見通しだぜ!」つハリセン スパパパパッ!
潮羽黒「大人しく死んで下さいッ!!」ズドドドドドドドドッ!
42周目提督「やなこったぁ!」スパパパパッ!
狭霧「」プスプス
速吸「………」
速吸(失恋してて良かったぁ……もし自分が敵対組織の祖先なんかになっちゃったら、絶対ネタにされまくってたでしょうし……)ホッ
――
ショタ提督「………」
名取「………」
ショタ提督(……本当にあの子は規格外だよ)
名取(42周目提督君のせいで50周目提督が苦労したのに、そのことに反省すらしていないなんて……)
ショタ提督名取(それ以上に今までのことを当然のように知っていることが1番驚きだけど)
42周目提督に常識は通用しないのだ。無論、傍にいる潮と羽黒も同じことが言えるだろう。
42周目提督「ナレーションよく分かってるじゃねーか!ギャグ時空のキャラに常識なんざ求めちゃいけねーんだよ!」
潮羽黒「ただでさえ最終回でシリアス路線なんだからメタ発言は自重しなさいッ!」
ショタ提督名取「……はぁ」
……このように、第4の壁を平気で突き破ってくるのだから。
797 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/17(金) 22:27:21.77 ID:2SchH1zg0
――
グレカーレ「………」
グレカーレ(最近、提督と名取さん……今までより、一緒にいることが多くなったような……)
グレカーレ(それも、名取さんは提督を心配してるというより……何だろ。上手く言えないけど……深い仲になってる感じ……)
グレカーレ「………」
グレカーレ(良いことのはず、だけど……何だか、変な感じ……頭のモヤモヤが消えないだけじゃなくて……2人を見ていると……)
グレカーレ「……っ」ズキッ
グレカーレ(あ、あれ?私、どうして……胸が痛くなって……)
――悔しいから。
グレカーレ「……!?」
――自分は何も分からず遠巻きに眺めているだけなのに、名取は提督の傍を陣取っている。
グレカーレ(な、何、この声……頭の中に、いや、心の中に響いてくる……)
――自分だけ指を咥えて見ているだけなんて、そんなの……耐えられないでしょ?
――だからさ、奪っちゃえば良い。
グレカーレ「ッ!」
――提督と名取が一緒にいて嫌な気分になるのなら、自分が提督の隣にいれば良い。
――邪魔な奴は消してしまえば良い。そうすれば、私が提督と一緒にいられる。
グレカーレ「………」
――誤魔化しても無駄。自分の気持ちに嘘は……付けないでしょう?
グレカーレ(……確かに、そう……かも)
――簡単なことよ。名取を消して、私が提督を支えれば良い。たったそれだけのことよ。
グレカーレ(名取さんさえどうにかしてしまえば、私が提督の傍に――)
グレカーレ「――ッ!」フルフル
グレカーレ(い、いけない……私、今……何を考えて……!)ガクガク
グレカーレ(名取さんを、消す……?そんなことをして、提督が喜ぶはずが無い……!なのに、私は……そんな、怖いことを……!)ガクガク
グレカーレ(まるで"自分以外の誰かが囁いて来て、それに身を委ねる"かのように……!)
↓1朝風のコンマ ----との---:32/--
↓2U-511のコンマ ----との---:18/--
↓3名取のコンマ 提督との絆:∞/∞ 《-- END開放 --》
↓4グレカーレのコンマ ----との---:41/-- 《-- リーチ --》
反転コンマが最大の艦娘が提督と交流します
ただし名取が最大値の場合、その時点で終了します
798 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/17(金) 22:28:34.96 ID:q6QJXNYDO
あ
799 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/17(金) 22:40:40.79 ID:gHtWR886O
この流れで失恋は辛いな
800 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/17(金) 22:41:56.64 ID:2tDtqtJA0
はい
801 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/17(金) 22:43:47.43 ID:SGZgY4w60
あ
802 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/17(金) 22:56:16.27 ID:2SchH1zg0
呂500「提督、最近少しずつ元気になってきたと思わない?」
U-511「……うん。名取さんが一緒にいるからかな……」
U-511と呂500は同一人物でありながら、生み出されたタイミングは違う。
故にU-511は"ユー"の魂を受け継いでいるが、呂500は新たに生み出された魂であり、その存在は別人と言えるだろう。
呂500「そうそう!名取さんも、提督といる時はどことなく嬉しそうだし……これはもしかして……」
U-511「……もしかして?」
呂500「付き合っちゃってたりするのかな?」
U-511「付き合う……」
U-511(admiralと、名取さんが……付き合って……)
U-511「……?」
U-511(あれ……何だか、随分前にも……そんなことが、あったような……?)
呂500「……ユーちゃん?」
U-511「……え?」
呂500「どうしたの?急に考えこんじゃって……」
U-511「あ……何でも、ない……」
呂500「?」
U-511(……気のせい、かな)
全てを思い出した名取とは違い、U-511はまだ記憶が蘇っていない。
しかし、その魂には50周目提督と過ごした日々が宿っている。
いつ思い出すかは、50周目提督とどれだけ交流し、魂の共鳴を強く出来るかにかかっている。
提督や名取は何をしていた?
直下
※回想にて50周目提督及び50周目ヒロインの設定を明らかにしましたので、ここからは通常通りの形式で進行致します。
ただ、取っていただいた安価の場合によっては、展開をアレンジさせていただくこともあるかもしれません。
803 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/17(金) 22:57:08.51 ID:2SchH1zg0
すみません!赤字を解除し忘れていました!
呂500「提督、最近少しずつ元気になってきたと思わない?」
U-511「……うん。名取さんが一緒にいるからかな……」
U-511と呂500は同一人物でありながら、生み出されたタイミングは違う。
故にU-511は"ユー"の魂を受け継いでいるが、呂500は新たに生み出された魂であり、その存在は別人と言えるだろう。
呂500「そうそう!名取さんも、提督といる時はどことなく嬉しそうだし……これはもしかして……」
U-511「……もしかして?」
呂500「付き合っちゃってたりするのかな?」
U-511「付き合う……」
U-511(admiralと、名取さんが……付き合って……)
U-511「……?」
U-511(あれ……何だか、随分前にも……そんなことが、あったような……?)
呂500「……ユーちゃん?」
U-511「……え?」
呂500「どうしたの?急に考えこんじゃって……」
U-511「あ……何でも、ない……」
呂500「?」
U-511(……気のせい、かな)
全てを思い出した名取とは違い、U-511はまだ記憶が蘇っていない。
しかし、その魂には50周目提督と過ごした日々が宿っている。
いつ思い出すかは、50周目提督とどれだけ交流し、魂の共鳴を強く出来るかにかかっている。
提督や名取は何をしていた?
直下
※回想にて50周目提督及びヒロインの設定を明らかにしましたので、ここからは通常通りの形式で進行致します。
ただ、取っていただいた安価の場合によっては、展開をアレンジさせていただくこともあるかもしれません。
804 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/17(金) 23:15:15.98 ID:gHtWR886O
改二の存在について色々と調べていた
(存在する娘の有無や正にゆーちゃんとろーちゃんのような別人のようになる存在など)
805 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/17(金) 23:36:22.21 ID:2SchH1zg0
ショタ提督「………」カキカキ
名取「………」
U-511「………」
U-511(あ、やっぱり部屋でお仕事してる……admiralの表情も、前よりも穏やか……)
ショタ提督(……ゆーちゃんが部屋を覗いている)
名取(みたいだね。となると、ここからは"提督"と"艦娘"として接し合った方が良いかな?)
ショタ提督「………」コクリ
彼はもちろん、魂で通じ合った名取もまた、彼や艦娘達を知覚することが出来るようになっている。
自分達が特別な関係だと思われるのは構わないが、まだ記憶が完全に蘇っていないグレカーレ達や無関係な艦娘に……真実を知られるのはまずい。
そう考えた彼と名取は、鎮守府では今まで通りの接し方をしていこうと決めていたのだ。
名取「……ところで提督。少し良いですか?」
ショタ提督「……うん。何?」
名取「私達のルーツは理解しましたけど……"改二"はどういう仕組みなんですか?」
U-511「……?」
U-511(改二……それって、ろーちゃんみたいな子のこと……?そんなことを聞いて、どうするんだろう……)
全てを知った名取は、既に彼の干渉による魂のプロテクトの影響を受けていない。
それに対しU-511は、未だ自身についてを深く考えないプロテクトをかけられた状態にある。
だからこそ、U-511は名取がどうしてそのようなことを疑問に思うかが理解出来ない。
ショタ提督「……力の突然変異、かな」
名取「突然変異?」
ショタ提督「人の善意を元にした力。だからこそ、艦娘が『誰かを守りたい!』と強く願えば……稀に力の性質が強化されることがある」
ショタ提督「もちろん、全てのケースに当てはまる訳じゃない。こればかりは僕も予測不能だから……艦娘や人間の凄さを実感したんだ」
名取「それで改二になれたり、なれない人が……」
ショタ提督「そして1度"改二"を発現した艦娘は、改めて力を宿すと……その性質を共有し、他の同じ艦娘も同様の姿になることが出来る」
ショタ提督「ただ、力の変異の仕方によっては、本人の人格にまで影響を及ぼすことがあるけれど……それでも、今までの気持ちを忘れることは無い」
名取「……はい。それは由良ちゃん達を見ていると分かります」
ショタ提督「人間や艦娘の想いの強さを侮ってはいけない。だからこそ、僕は……"僕"がしていることを、止めなければならない」
名取「同感です」
U-511「……?」
U-511(さっきから何を言ってるんだろ……?全然、分からないよ……)
全てを知る名取にとっては、今の会話だけで意味を全て理解し……彼の目的の為に、共に戦おうと決意する。
しかし、外から覗いているU-511には……彼が施したプロテクトの影響もあり、2人の話が頭に入ってこない。
否、頭に入ってきたとしても……それを考え、理解することが出来ないのだ。
ショタ提督「………」
名取「………」
ショタ提督(……やっぱり、ゆーちゃんには伝わっていないようだね)
名取(それだけ50周目提督のプロテクトが強力なんだと思う。私もこの前まで、違和感こそ抱いていても……深く疑問に思うことは無かったから……)
提督達orU-511の行動
直下
806 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/18(土) 00:07:03.86 ID:fUDOw7/mO
提督と名取に何の話をしてたか聞いてみる
807 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/18(土) 00:09:12.93 ID:caPQ6YZO0
短くてすみませんが今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
808 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/18(土) 02:52:16.89 ID:P6B+/otMO
乙
なんかグレカーレにヤバイ感じに・・・そして案の定狭霧が爆笑からの炭にされてて草
809 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/29(水) 01:18:55.59 ID:IiMH2SCU0
もう少し42週目提督は反省した方がいいと思うの
それにしても速吸は失恋したお陰でちょうど笑いのネタにもされず42週目提督の被害も回避する能力が付いている上に狭霧みたいに消し炭担当からも外れた安全地帯にしれっと居るのもさりげなに草かも
810 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/30(木) 00:38:14.51 ID:uGSVDMYDO
5周年おめ!
1週目からリアルタイムで見てきたがこんなに続くとはなあ
811 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/30(木) 18:42:18.25 ID:aVLGXrNT0
22:30〜23:30頃開始予定です。
812 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/30(木) 22:59:20.95 ID:aVLGXrNT0
始めます。
813 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/30(木) 23:02:27.91 ID:aVLGXrNT0
U-511「………」
U-511(2人に、聞いてみよう……かな。もしかしたら、私やろーちゃんに関係することかも……)
ショタ提督「………」
名取「………」
名取(……どうする?)
ショタ提督(……上手く誤魔化すしかない。今の彼女には正確に説明したとしても、恐らく理解出来ないはずだから)
名取「………」コクリ
彼と名取は無言で心を通わせ、U-511に対してどう対応するかを決める。
プロテクトはもちろん、まだ記憶を取り戻す兆候さえ見せていないU-511に包み隠さず話すのは危険を伴うと判断した為である。
U-511「……admiral」
ショタ提督「……ゆーちゃん」
名取「ゆーちゃん?どうしたの?」
U-511「えっと……今、改二について……話してなかった……?」
名取「うん。ちょっとだけ気になって」
U-511「それって、私やろーちゃんと関係……ありますか……?」
ショタ提督「いや、そういう訳じゃないけど……」
U-511「あ……そう、ですか……」シュン
U-511(じゃあ、やっぱり……無関係なんだ……)
ショタ提督「………」
名取「………」
ショタ提督(ごめんなさい、ゆーちゃん……だけど、今はまだ話す訳にはいかないんだ……)
名取(私でさえ、記憶を取り戻すまでかなりモヤモヤしたし……取り戻した直後も、混乱していたから……)
彼と名取は罪悪感を抱くが、これもU-511のことを考えての結論なのだ。
無理に真実を伝え、激しい混乱を引き起こすと……前世の魂を受け継いだU-511に、何が起こるか予想が付かない。
増して、その隙を"彼女"に狙われれば……最悪のケースに繋がってしまう。
U-511「………」
反転コンマ判定:U-511の反応は?
01〜49:少し違和感を抱きながらも部屋に戻る
提督との絆上昇率:小 ×1.0
50〜98:提督と名取に何か考えがあるのではと無意識の内に納得する
提督との絆上昇率:中 ×1.5
ゾロ目:一瞬だけ前世の記憶が蘇りかける
提督との絆上昇率:大 ×2.0
直下
814 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/30(木) 23:05:04.56 ID:BFygwb8h0
あ
815 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/30(木) 23:15:53.15 ID:aVLGXrNT0
《-- 52 --》――惜しい
U-511「………」
U-511(よく、分かんないけど……もしかして、admiralと名取さん……私に、気を遣ってくれてる……?)
ショタ提督「……!」
名取「……!」
U-511は彼らの様子を見て、何故かそのような考えが頭に浮かんでいた。
それもそのはず、現在もU-511の魂は彼と共鳴しており……彼のU-511を心配する気持ちを、U-511は潜在意識で感じ取っていたのだ。
そして、U-511がそのような考えに至ったことを……彼と名取も、確かに心で感じていた。
U-511「………」
U-511(あまり、踏み込まない方が……良い、のかな……?)
ショタ提督「………」
名取「………」
ショタ提督(僕との距離が近ければ近い程、やはり影響を受けてしまうか……)
名取(みたい、だね……でも、幸い記憶を無理に呼び起こさせるようなことにはならなかったけど……)
U-511「………」
U-511(……うん。また、今度……聞いてみよう。admiralの、都合が良い時に……)
ショタ提督「……っ」グッ
ショタ提督(いずれは、本当のことを話す時が来る……その時には、必ず……全てを伝えるから……)
提督との絆 コンマ一の位×1.5 上昇
直下
816 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/30(木) 23:18:41.62 ID:BTt6xJfQ0
a
817 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/30(木) 23:31:30.68 ID:aVLGXrNT0
2×1.5=3 3+18=21/--
U-511「えっと、それじゃ……失礼、しました……」
スタスタ…
ショタ提督「………」
名取「……大丈夫?」
ショタ提督「……うん。それに、本当に辛いのは……僕のせいで命を落としてしまった、ナトリやユー達だから……」
名取「だからそれは貴方のせいじゃ……」
ショタ提督「ううん。僕のせいであり、"僕"のせいでもある」
名取「………」
ショタ提督「……っ」グッ
ショタ提督(守らなきゃ……今度は、必ず……皆を……!)
名取「………」ギュッ
ショタ提督「あ……」
名取「あまり思い詰めないで?私は本当に気にしてないし……こうして再会出来ただけでも、本当に嬉しい……!」
ショタ提督「………」
ショタ提督(ナトリ……)
名取「………」
名取(50周目提督ばかりに全てを背負わせる訳にはいかない。私も一緒に戦わないと……50周目提督を、守らないと……!)
U-511「………」スタスタ…
U-511(改二……ろーちゃんのように、強くなること……)
U-511(だとしたら、私は……弱い……?)
U-511「………」フルフル
U-511(……違う。admiralは、ろーちゃんだけじゃなくて……私にも、出撃させてくれてる……)
U-511(私は決して、弱いだけの存在じゃない……!それは、admiralがいつも教えてくれてる……)
U-511(あの時だって、私達を守る為に……一生懸命……)
U-511「……?」
U-511("あの時"……?私、今……一瞬、何を考えて……)
U-511「………」
U-511(……疲れてるのかな)スタスタ…
《-- 提督と交流を深め、互いの魂が共鳴したことにより……提督の神通力が強まった --》
818 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/30(木) 23:48:08.85 ID:aVLGXrNT0
《-- 21 --》
グレカーレ『………』
名取『や、やめて……』ガクガク
グレカーレ『………』
――邪魔者は殺してしまえ。
グレカーレ『……お前さえ、いなければ』キラン…
名取『ヒッ……!?』
グレカーレ『お前を消し去れば、提督の隣にいられるのは……私だけになる……』
――自分の進むべき道に立ちはだかるというのなら、始末してしまえ。
名取『嫌……嫌ぁ……!』ガクガク
グレカーレ『だからさぁ……死んで?』ダッ
ザクゥッ…!
名取『あっ……かはっ……!』
グレカーレ『あはっ……血だぁ……すっごく血が出てる……!』
――全てを真っ赤に染め上げてしまえ。
グレカーレ『憎い奴を潰すのって、こ〜んなにスッキリするんだぁ。あははははっ!』
ショタ提督『何をしているんだ!』
グレカーレ『ッ!?て、提……督……?』
名取『うぐぅっ……』
ショタ提督『な、何てことだ……グレカーレちゃん!どうして名取さんを……!』
グレカーレ『こ、これは……違……』オロオロ
――自分のことを受け入れてくれない奴なんて、いらない。
グレカーレ『……!』キッ
ショタ提督『……っ!?ど、どうして刃物を僕に……まさか……!』
グレカーレ『……私のことを好きになってくれない提督なんて、いらないッ!!』ダッ
ショタ提督『や、やめるんだ!こっちへ来るな!うわああああああああああっ!?』
グレカーレ「ッ!?」ガバァッ
グレカーレ「はぁはぁはぁはぁはぁはぁ……ゆ、夢……!?」
グレカーレ(わ、私……また、あんな夢を……違う!そんなこと考えてない!あんなのただの悪夢で、私の考えじゃ……!)フルフル
――そんなことはない。紛れも無く、私の……
グレカーレ(うるさい黙れッ!!私の頭の中で囁かないでよッ!!そんなこと、無い……絶対、違う……!)フルフル
グレカーレ「………」
グレカーレ(……落ち着け、私……名取さんはともかく、提督を傷つけるような真似をする訳……)
グレカーレ(……"名取さんはともかく"?違うでしょ私ッ!名取さんも傷つけちゃダメに決まってる!)
グレカーレ(変な夢を見たせいだ!早く夢の内容を忘れなきゃ……でないと、夢と現実がごっちゃに……!)フルフル
↓1朝風のコンマ ----との---:32/--
↓2U-511のコンマ ----との---:21/--
↓3名取のコンマ 提督との絆:∞/∞ 《-- END開放 --》
↓4グレカーレのコンマ ----との---:41/-- 《-- リーチ --》
反転コンマが最大の艦娘が提督と交流します
ただし名取が最大値の場合、その時点で終了します
819 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/30(木) 23:48:59.92 ID:depoKlBJO
ほい
820 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/30(木) 23:49:31.83 ID:1tsxg6d0O
この周失恋したらどうなるんだろな
821 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/30(木) 23:49:39.22 ID:h6ANS8O+O
あ
822 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/30(木) 23:49:49.49 ID:b7Mg+1ijO
ぬ
823 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/30(木) 23:55:03.57 ID:FlVqyh1n0
おおいった
824 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/31(金) 00:03:48.75 ID:M9Mmfnpi0
グレカーレ「………」
グレカーレ(私……どう考えても、おかしいよ……ずっと、悪い考えばかり浮かんできて……)
グレカーレ(酷い時には、夢にまで……名取さんを排除するとか、思い通りにならない提督を傷付けるとか……)
グレカーレは追い詰められていた。彼を意識するようになってから、突然湧き出るようになった黒い感情。
まるで自分以外の誰かが、自分に悪魔の囁きの如く……思考を悪い方向へ誘導しているかのような錯覚さえ抱く。
グレカーレ「………」
グレカーレ(どうしよう……こんなことが、これからもずっと続いたら……私、どうにかなっちゃうよ……)
グレカーレ(仲間であるはずの名取さんに手をかけて……提督にまで、手を出すようになってしまったら……!)
恐怖でグレカーレの身体が震え上がる。思考が自分でなくなっていく感覚。
日に日にグレカーレは、思考が何かに上書きされつつあると考えていた。
グレカーレ「………」
グレカーレ(誰に相談すべき?明石さん?夕張さん?いや、ダメ……相談しても、どうせ何とかできっこない……)
グレカーレ(後は……頼れるのは、提督しかいない……だけど、提督に相談したところで……)
――相談しても無駄。誰にも解決出来やしない。
グレカーレ(うるさい!こんな時まで……あぁ、どうしよう……怖い、怖いよぉ……!)
姉妹にさえ相談出来なかった深刻な悩み。実のところ、これを解決出来るのは……正しく彼である。
しかし、グレカーレは己の囁きと精神の消耗により……正常な判断が出来なくなりつつあったのだ。
それだけではない。己の囁きにより、取り戻しつつあった前世の記憶さえ……再び忘れ去られていってしまう。
《-- 1 --》――勇気を出して提督に打ち明ける 《-- END開放 --》
《-- 2 --》――怖くて何も出来ない 《-- 好感度上昇コンマ判定へ --》
直下
※1を選んだ場合、反転コンマ90〜98で名取による妨害が入ります
825 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:04:16.97 ID:laQiUMhP0
2
826 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:04:28.98 ID:HTYWh+dc0
2
827 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:07:01.19 ID:I8tq1/QeO
ワロタ
828 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:08:09.57 ID:ZcfqI4ZJO
2を選ぼうと思ったら選ばれてた
俺も人のこと言えないがわざと失恋させようとしてないか?wwww
829 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:08:57.45 ID:+gqWxPhOO
なんだこれはたまげたなあ
830 :
◆0I2Ir6M9cc
[!red_res saga]:2020/01/31(金) 00:19:02.31 ID:M9Mmfnpi0
――怖くて何も出来ない
グレカーレ「……っ」
グレカーレ(ダメ……こんなこと、話せない……話せる訳が無い……!)
グレカーレ(提督に、変な子を見る目で見られちゃったら……絶対、立ち直れなくなる……!)ガクガク
グレカーレは彼に相談することよりも、彼に軽蔑されてしまうという恐怖が勝ってしまう。
ただでさえ心がすり減っていたグレカーレだが、彼に嫌われるかもしれないという恐怖心が一層心を締め付ける。
故にグレカーレは身動きが取れなくなってしまった。このまま震えているしかなかったのだ。
グレカーレ「うぅ……」
グレカーレ(……自分で、何とかしなきゃ……自力で、克服しなきゃ……)
――自分が苦しんでいる時に助けてくれない奴らなんか……
グレカーレ(うるさいって言ってるでしょ!?いつになったらこの声は止まるのよ!もう嫌ぁっ!)
――だったら周りを巻き込んで心中でも……
グレカーレ(うるさい……うるさいうるさい、うるさぁいッ!!)ボカボカボカッ!
グレカーレ「はぁはぁ……」
グレカーレ(頭が、痛い……だけど、お陰で少し落ち着けた……)
彼を想えば想うほど、隣に立つ名取に嫉妬し……その度に、心の奥底からドス黒い感情が込み上がってくる。
だが、それでも彼を憎いと思うはずが無い。思えるはずが無い。グレカーレはまだ完全には思い出していないが……
グレカーレにとって、彼は……最後の瞬間まで、自分の為に戦ってくれた……大切な人なのだから。
提督との絆 コンマ一の位×1.0 上昇
直下
※50到達時のみ、反転コンマ90〜98で好感度が49でストップします
831 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:19:13.63 ID:oFJRgVZzO
やべえよ…やべえよ……
832 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/31(金) 00:29:03.72 ID:M9Mmfnpi0
3×1.0=3 3+41=44/-- 《-- リーチ --》
――
《-- 22 --》
グレカーレ「………」
――こんなに辛いのに、誰も手を差し伸べてくれない。仲間なんて、実際には薄情で酷い奴ばかりなんだ。
グレカーレ「………」
グレカーレ(あぁ、また聞こえる……心の声のはずなのに、誰かに囁かれているような感覚で……)
グレカーレ(毎日毎日、嫌になる……それに、何だか今までよりも身体に力が入らないような……)
グレカーレ「……っ!」フルフル
グレカーレ(いや、気のせい。きっと気のせい。絶対に気のせい!だから私はいつも通り頑張るだけ!)
グレカーレ(提督に迷惑はかけられない!絶対に悟られないようにしなきゃ……!)
ショタ提督「………」
名取「………」
ショタ提督(……気付いた?)
名取(……うん)
ショタ提督(グレカーレちゃん……グレ、最近、目に見えて顔色が悪いはずなのに……)
名取(私達が声をかけても『大丈夫だってば!』としか言ってくれないし……)
ショタ提督「………」チラッ
名取「………」コクッ
ショタ提督(心にノイズがかかっているみたいで……今までのように、グレの心情を感じ取ることが出来ない)
名取(こんなこと、今まで無かったんだよね?)
ショタ提督「………」コクリ
ショタ提督(まさか……いや、でも……そんな……)
名取「………」
名取(マエストラーレちゃん達にも相談していないみたいだし……せめて私達が気にかけてあげないと……)
↓1朝風のコンマ ----との---:32/--
↓2U-511のコンマ ----との---:21/--
↓3名取のコンマ 提督との絆:∞/∞ 《-- END開放 --》
↓4グレカーレのコンマ ----との---:44/-- 《-- リーチ --》
反転コンマが最大の艦娘が提督と交流します
ただし名取が最大値の場合、その時点で終了します
833 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:30:20.33 ID:g4Nz6UJYO
えいさ
834 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:31:36.73 ID:X01Y51ZYO
ぽい
835 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:31:47.97 ID:laQiUMhP0
あ
836 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:31:48.69 ID:yJYVY/RiO
ぬるぽ
837 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:31:53.60 ID:3uQxqiRs0
ええい
838 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:36:53.21 ID:rbErh3DEO
住民の妨害に負けず意地でも提督と結ばれるんだという執念を感じた
839 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:40:40.81 ID:VuVghh1DO
前の時から単発末尾O速取りグレ以外値が低いしなんか怪しく感じる…
840 :
◆0I2Ir6M9cc
[saga]:2020/01/31(金) 00:47:20.39 ID:M9Mmfnpi0
名取「エピローグまだかな〜」ワクワク
〜〜現時点では超えられるか分からない壁〜〜
グレカーレ「ふんぬ!ふんぬ!ふんぬううううぅぅぅぅッ!!」ググググッ!
グレカーレ(今回が最終回……これを逃したら最初で最後の出番なのに失恋したという汚名が語り継がれちゃう!それだけは嫌ぁッ!)
朝風「流石に厳しいかも……いや、まだチャンスは……う〜ん……」ブツブツ
U-511「………」つジョイコン ピコピコ
U-511(ここからの逆転は……無理、だよね……はぁ……)ピコピコ
今回はここまでです。お付き合いいただきありがとうございました!
え〜、昨日で『ショタ提督に好かれたい』がついに5周年を迎えることとなりました。
ここまで応援して下さった読者の皆様、本当にありがとうございます!
実を言うと5周年(2020年1月30日)と同時に最終回を描いてスレを綺麗に〆る予定でしたが……無理でした(白目)。
残りしばらくの間、エピローグまで最後までお付き合いいただけると幸いです。
ただ、もしかすると今後の展開やエピローグの長さ次第では次スレまでまたいでしまうかもしれません。
それではまた次回の更新でお会いしましょう。
841 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:48:44.13 ID:7qqJ8V8eO
乙
842 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:50:06.26 ID:GLw36b9Oo
おつおつ
ゲーム勢はドイツに逃げるのやめなさいw
5年、思えば沢山の出来事があったなあ
最後までよろしくお願いします
843 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 00:51:11.98 ID:qlkuYe9TO
おつおつ
ゆーちゃんも朝風も名取以外全員失恋させようぜ(ゲス顔)
844 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2020/01/31(金) 01:10:52.24 ID:xIsk5DnaO
>>815
って反転コンマなら52じゃなくて65じゃないの?
742.19 KB
Speed:0.5
[ Aramaki★
クオリティの高いサービスを貴方に
VIPService!]
↑
VIP Service
SS速報VIP
更新
専用ブラウザ
検索
全部
前100
次100
最新50
続きを読む
名前:
E-mail
(省略可)
:
書き込み後にスレをトップに移動しません
特殊変換を無効
本文を赤くします
本文を蒼くします
本文をピンクにします
本文を緑にします
本文を紫にします
256ビットSSL暗号化送信っぽいです
最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!
(http://fsmから始まる
ひらめアップローダ
からの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)
スポンサードリンク
Check
Tweet
荒巻@中の人 ★
VIP(Powered By VIP Service)
read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By
http://www.toshinari.net/
@Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)