【BLEACH×ロンパV3】キーボ 「砕かれた先にある世界」【前編】

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

1 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:09:10.91 ID:Jp5iERLWO



このSSは、キーボ 「砕かれた先にある世界」【BLEACH】【ロンパV3】
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1551624206/ の修正バージョンです。

大まかな話の内容は修正前と同じですが、細かい部分が変わってたりします。

構成としては、主に前編・後編に分かれており、このスレでは前編を投下します。

BLEACHとニューダンガンロンパV3のネタバレ及び独自解釈や独自設定があるので、注意をお願いします。




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1568030950
2 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:14:35.55 ID:Jp5iERLWO



ー尸魂界・流魂街ー



キーボ「………」




ガヤガヤ……ワイワイ……




キーボ「…………」




ガヤガヤ……ワイワイ……




キーボ「……なんなんですか、ここは?」



3 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:17:10.90 ID:Jp5iERLWO



キーボ(……落ち着きましょう。まずは現状の把握からです)




ガヤガヤッ……ザワッ……




キーボ(……周囲の建造物や人の服装から見るに、ここは平安もしくは江戸時代の日本を再現したテーマパークか何かでしょうか?)




ザワザワッ……




キーボ(……ですが、なぜ、そのようなところに、ボクがいるのでしょう)




ヒソヒソッ……ヒソヒソ……




キーボ(そもそも、ボクは確かーーーー)



4 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:19:11.76 ID:Jp5iERLWO




「……あれれ? そこにいるの、ひょっとして、キーボ?」




キーボ「………っ、!?」




「……うん、キーボ君で間違いなさそうだネ」




キーボ「!??」




キーボ「……え? え? え?」




キーボ「ち、ちょっと待ってください! まさかキミ達はーーーー」



5 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:21:47.37 ID:Jp5iERLWO



アンジー(和服ver)「キーボ! 久しぶりー!」ダキッ

キーボ「アンジーさん!?」



真宮寺(和服ver)「……まさか、ここで、それも君と再会することになるとはネ……」



キーボ「真宮寺クン!?」



アンジー「……うんうん! このゴテゴテヒヤヒヤした鉄のカラダと服ーーーやっぱり、キーボだー!」ナデナデ



6 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:26:05.83 ID:mqKwt4SvO



キーボ(……ま、間違いない! 服装は浴衣のような着物に変わっているもののーーー紛れもなくボクの知るアンジーさんと真宮寺クン!)




キーボ「……で、ですが、どうして、キミ達が……!?」



アンジー「………」

真宮寺「………」



キーボ「キミ達は、何日以上も前に、既に……!」


7 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:28:13.85 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……それはーーー」



アンジー「……あのよー、あの世ー、ここが死後の世界だからなのだー!」



キーボ「……し、死後の世界!?」



真宮寺「……そういうことになるネ」



アンジー「………」



真宮寺「……ようこそ、尸魂界(ソウル・ソサエティ)へ」


8 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:31:06.02 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……そ、ソウル・ソサエティ?」

真宮寺「この死後の世界は、そう呼ばれているヨ」

キーボ「……そ、そもそも、死後の世界だなんて、そんなーーー」

真宮寺「そうでもなければ、僕達が再会するなんてあり得ない話だと思うけどネ」

真宮寺「というか、君もここに来ている以上、死後の世界に来る心当たりくらいあるんじゃないかな?」

キーボ「……あっ、いや、それは……」

真宮寺「……それが、ここが死後の世界であるという証拠だヨ」

キーボ「っ、」


9 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:32:56.68 ID:mqKwt4SvO



アンジー「……ところでー、キーボ、整理券はー?」

キーボ「……はい?」

アンジー「だからー、しにがみから貰った整理券はー、どこー?」

キーボ「……死神? 整理券? アンジーさんは何を言っているんですか?」



真宮寺「……一応確認しておくけど、君は死神から何も説明を受けていないーーー」



真宮寺「ーーーそういうことで、良いのかな?」


10 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:36:10.54 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……いや、説明も何もボクは気づいたらここにいてーーーそれに、死神って、いったい何の話をーーー」

真宮寺「……仕方がないネ。代わりに僕から説明させて貰うとするヨ」

キーボ「えっ、?」

真宮寺「本来なら死神に任せる話ではあるけれど、君には借りがあるし……それに君が死神と接触するとややこしくなりそうだからネ」

キーボ「はっ、? いや、でも……」

アンジー「キーボ? ここは、是清の言う通りにするべきだよー? 神さまもきっとそう言ってるよー?」

キーボ「あっ、えっと、その……」

アンジー「とりあえず、家までレッツゴーだよー!」

真宮寺「そうだネ。それにこの流魂街(ルコンがい)だと君は目立つし、こっちに来た方が良いヨ」

キーボ「うっ、あっーーーー」



ーーーーーーーーーー


ーーーーーー


ーーーー


ーー



11 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:40:54.03 ID:mqKwt4SvO



ー流魂街・志波家の屋敷ー



スタスタ……



キーボ(……言われるがまま、引かれるがままについてきてしまいました……)


真宮寺「………」



アンジー「えっほー、ほいさー」トテトテ



ガチャッ……ギイイッ……



キーボ「……どこなんですか、ここは? 屋敷の地下のようですが」

真宮寺「……ここは、【志波家】の屋敷。僕と夜長さんが世話になっているところだヨ」バタンッ

キーボ「志波家? 世話?」

アンジー「そうだよー! アンジーと是清は、この家に居候させて貰っているのだー!」


12 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:43:17.54 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……えっ……」

真宮寺「………」

アンジー「……どうしたー、キーボ?」

キーボ「……あっ、いや、その……」



アンジー「………」







キーボ「……平気、なんですか?」



13 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:44:58.25 ID:mqKwt4SvO



アンジー「……にゃはははー、大丈夫だよー」



キーボ「………」



真宮寺「………」



アンジー「……ここは、死後の世界なんだよー?」

アンジー「…… “ もう意味はない ” 、そうでしょー?」



キーボ「……それは、そうですがーーー」



真宮寺「……それに、この世界の住民から聞いたのサ」



14 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:47:17.50 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……何をですか?」

真宮寺「僕が執心していた “ あの人 ” のことを……」



キーボ「……その人が、どうかしたんですか?」



真宮寺「…… “ あの人 ” は、とうの昔に生まれ変わっていたそうだヨ」



キーボ「………!?!」



真宮寺「……あれは、幻だった」

真宮寺「そういうこと、だったんだろうネ……」



キーボ「………」

アンジー「………」



真宮寺「今では何も、聞こえはしないヨ……」



15 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:48:55.90 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……たとえ、このマスクの、チャックを開いたとしてもーーー」スッ



キーボ「………」



真宮寺「ーーーもはや何も、聞こえはしないんだヨ」


16 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:51:01.37 ID:mqKwt4SvO



キーボ(…… “ あの人 ” は、実在していた?)


キーボ(……いや、絶対に、あり得ない話とは言いきれませんね)


キーボ(そう、“ 元々 ” 有していた血縁関係ーーー)




真宮寺「………」




キーボ(ーーーそうです。 “ 元々 ” 有していた血縁関係だとすれば、あり得ない話ではない……)



17 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:52:59.22 ID:mqKwt4SvO



アンジー「ーーーとにかく、もう大丈夫だからー」

キーボ「……ですがーーー」

アンジー「ーーーそれに、何かあったら、空鶴(くうかく)と岩鷲(ガンジュ)達が黙ってないからねー!」

キーボ「……?」

キーボ「それは、ひょっとして、人の名前ですか?」

真宮寺「……そうだネ。この屋敷の主とその弟さんの名前だヨ」

キーボ「………」

真宮寺「もし、妙な真似をすれば、彼女達が黙っていない」

真宮寺「彼女達は抑止力……その力の前では、何もできない……」



18 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:54:46.71 ID:mqKwt4SvO



キーボ「………」



真宮寺「……それに、そんなに心配なら、君の目で確かめて見れば良いんじゃないかな?」

真宮寺「空鶴さん達が帰ってきた、その時に」

真宮寺「抑止力になり得るかどうかを」



キーボ「……そうですね」

キーボ「……とりあえず、今は、ボクがキミを見ていることにしますよ」



真宮寺「……うん、それがいいネ……」



アンジー「………」



19 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 21:56:51.72 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「ーーーそれで話を戻すけど、僕達のいるこの部屋は、志波家の屋敷の一室、僕の部屋として使わせて貰っている空間サ」

キーボ「………」

真宮寺「……キーボ君、いろいろと混乱しているとは思うけど、まずは僕達のいるこの世界が死後の世界であるということーーー」



真宮寺「ーーーそのことを、しっかりと受け入れて貰うヨ」



キーボ「……死後の世界……」

真宮寺「そう、この世界は、尸魂界と言ってネ。紛れもない、正真正銘の、死後の世界なんだヨ」

キーボ「………」

真宮寺「現世……あァ、僕達がいた世界のことだけどーーーそこで死んだ人の魂が尸魂界に送られてくるのサ」

アンジー「一部を除いてねー!」



キーボ「……にわかには信じがたい話ですがーーーこうして、お二人と会ってしまうと、信じざるを得ませんね」



20 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:00:00.32 ID:mqKwt4SvO



アンジー「……アンジーねー! キーボには、本当にビックリしたよー!」

キーボ「……ビックリですか」

真宮寺「まァ、回覧板を渡しに行ったら、帰り際に生前の知り合いと……それもキーボ君と再会したわけだからネ……」

アンジー「本当の本当にビックリー!」

アンジー「どわー、って! おわー、って!」

キーボ「いや、そんなリアクションはしていなかったはずですが」

真宮寺「……夜長さんの反応はともかく、機械文明の産物が死後の世界に迎えられるという事実ーーー」







真宮寺「ーーーそれには、僕としても、驚愕せざるを得ないヨ」



21 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:02:42.19 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……死後の世界でもロボット差別を受けるとは……そっちの方が驚きですよ」

真宮寺「……ンー、差別する意図はなかったんだけどネ」

キーボ「どういう意味ですか?」

真宮寺「君は機械文明の産物でありながら、死後の世界に逝けるだけの器……魂魄を持っていた」

真宮寺「それだけ人に近いロボットもそうはいない。むしろ貴重な存在であることを誇るべきだと思うヨ」



アンジー「……うんうん! 是清の言う通りだよー、キーボ!」

キーボ「アンジーさん……」

アンジー「キーボは、『人』に近い、『すごいもの』だった……」

アンジー「……もっと、そのことを喜んでも罰は当たらないよー! にゃはははー!」



キーボ「………」



真宮寺「ーーーそう、君は尸魂界の迷いを振り切って、こうしてやってくることができた存在だ」



真宮寺「それは、充分に誇るに値することだと思うヨ」



22 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:04:21.77 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……はい?」



アンジー「………」



キーボ「迷う?」



真宮寺「………」



キーボ「それは、どういう意味ですか?」



23 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:07:27.52 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……それを話す前に、一応確認しておくけどサ」

真宮寺「さっき会ったばかりの君の発言から推測するにーーー君の認識では、僕達と何ヶ月かぶりに再会したわけではない……」



真宮寺「……そうだよネ?」



キーボ「? え、ええ……そうですけど……?」



キーボ「それが、何かーーー」



アンジー「うーん、不思議ミラクルだねー?」



アンジー「……アンジーたちは、二ヶ月ぶり、なのにー!」



24 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:09:09.50 ID:mqKwt4SvO



キーボ「ーーーなっ、二ヶ月!?」

真宮寺「そう、今日は、夜長さんと僕が尸魂界に来てから約二ヶ月となる」

真宮寺「その時に、君は来たんだ」

キーボ「そんな……あれから二ヶ月も経っているはずが……」

真宮寺「でも、実際に二ヶ月という時間が経過している」

真宮寺「それは確かな事実だ」

キーボ「……!」

真宮寺「そして、君はこの世界の管理者から、この世界の説明を受けていない」

真宮寺「つまり、夜長さんと僕のように、魂魄を説明会場に送られたわけではないことになる」

真宮寺「……事実として、君の認識では、死んだ後は、さっきのあの場所に直接魂魄を送られたんでしョ?」

真宮寺「気づいた時には、さっきの、あの場所にいたんだよネ?」



キーボ「………」



アンジー「なんでだろー? なんでだろー?」



25 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:11:02.27 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……死後の世界も迷っていた、ということなんだろうネ」

真宮寺「キーボ君を受け入れるべきかどうかを」



キーボ「………」



真宮寺「だから、魂魄の移動に時間がかかり、死者が住む街にいきなり送られることになった」

真宮寺「そうした不具合が起きてしまったんだろうネ」



26 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:12:44.62 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……世界が迷うだなんて、そんなことがあり得るんですか?」

真宮寺「……世界が、ある意味での生物だとすれば、あり得ない話ではないと思うヨ」

真宮寺「生物の免疫機能が、受け入れても良い菌と悪い菌の判断に迷うなんて、よく言われる話だからネ」

キーボ「ちょっと! ボクを菌と一緒にしないでください!」

真宮寺「……ごめんネ。菌は生物と無機物の中間って言うから、つい、ネ……」

キーボ「王馬クンみたいなこと言わないでください! 流石にロボット差別でーーー」







キーボ「ーーーえっ、?」



27 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:14:08.37 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……どうしたんだい、キーボ君? 急に止まってしまって?」

アンジー「ひょっとしてー、ガソリンが切れちゃったりー?」

キーボ「……違いますよ! そもそもボクのエネルギー源はガソリンじゃありません!」

キーボ「ーーーって、そんなことより、ここが死後の世界ってことはーーー」







キーボ「ーーー王馬クン達、他のみなさんもいるんですか!?」


28 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:17:53.23 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「………」



アンジー「……そうだねー。キーボの言う通りだよー」



キーボ「!?」



アンジー「……いるのは、小吉だけじゃないよー?」



アンジー「蘭太郎も、転子も、解斗も、ゴン太も、楓も、斬美も、竜馬も、美兎もーーー」



アンジー「ーーーみんな、尸魂界(こっち)にーーー」



キーボ「どこですか!?」



アンジー「えっ、?」



キーボ「みなさんは、どこにいるんですか!?」



29 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:22:13.09 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……キーボ君?」

キーボ「教えてください、二人とも! キミ達も含めて、みなさんには、早急にお伝えしなければならないことがーーー」

アンジー「……伝えなきゃいけないことって、どんなことー?」

キーボ「……!」

真宮寺「……まずは、それを、一番最初に僕らに教えてくれないかな? でないと、他の人にも、すぐに伝えるべきかどうか判断できないヨ」

キーボ「あっ…? いや、でもーーー」

アンジー「キーボ? まずはアンジー達に教えてー?」

アンジー「……ショックな話だったらー、最初に知る人は少ない方が良いと思うよー?」



キーボ「……!!」



真宮寺「……そういうわけで、教えてくれるかな、キーボ君」



真宮寺「君が知っていることについて」



30 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 22:23:54.05 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……わかりました。お教えします」



真宮寺「………」

アンジー「………」



キーボ「実はーーーー」



ーーーーーーーーーー


ーーーーーー


ーーーー


ーー



31 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:03:39.87 ID:mqKwt4SvO



キーボ「ーーーということなんです」

アンジー「……なるなるー、よくわかったよー!」

真宮寺「それが、君の知っていることなんだネ……」

キーボ「ええ、まあ……」

キーボ「……なぜ、ボク達、【超高校級が集められて】【コロシアイをさせられたのか】まではわかりませんでしたがーーー」



キーボ「ーーー【黒幕を突き止め】【全て終わらせました】」



キーボ「それは、確かな事実です」



アンジー「………」



キーボ「……ボクはこの話を今すぐ赤松さん達に伝えるべきだと思います」



キーボ「そうでないと、赤松さん達はーーー」



真宮寺「ーーーその必要はないヨ」



32 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:05:16.85 ID:mqKwt4SvO



キーボ「え?」

真宮寺「今すぐ赤松さん達に伝える必要はないヨ」

キーボ「はっ? いや、でもーーー」

真宮寺「というか、君の語ったことは、赤松さん達としても大体検討のついていることだからネ」

キーボ「!?」

キーボ「それは、どういうことですか?」

アンジー「……実はねー、見てたんだよー」

キーボ「……見ていた?」

真宮寺「そう、『彼』が殺された時……魂魄が肉体から抜け出た瞬間ーーー」



真宮寺「ーーー【誰が】【どの部屋に入っていったのか】をネ……」



キーボ「………!!?」



33 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:06:49.11 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「そして、その後、どんな理不尽が起きたかは僕達も知っての通り……」

真宮寺「つまりは、そういうことだったんだろうネ……」

アンジー「だからねー? キーボがいま言ったことについては、みんな大体わかってるんだー」

真宮寺「【ずっと前から何度もコロシアイが起きていた】という話も、『彼』の証言から、ある程度は検討のついていたことーーー」



アンジー「ーーー【黒幕を突き止め】【全て終わらせた】っていうのは、今ここで、初めて知ったことだけどーーー」



キーボ「………!??」



アンジー「ーーーみんな、いつかそうなるってことは、信じてるからねー」

アンジー「だから、急いで伝えるような話でもないしー」

アンジー「……キーボの知ってること、すぐに伝える必要はないと思うよー?」



キーボ「………」



34 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:08:58.23 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……しかし、裏付けとなる証言は早めに知っておいた方が良いのではないでしょうか?」

キーボ「でなければ……同じく死んだ、あの人でなしが、赤松さん達のところに向かって、口八丁で騙して混乱させてくる可能性だって出てきます」

キーボ「ここが死後の世界である以上、あの人でなしに何かされる可能性はゼロではありません」

キーボ「ならば、早めにボクの証言を伝えた方がーーー」



真宮寺「その必要もないヨ」



キーボ「……それは、なぜでしょうか?」



真宮寺「……君の語ったことが真実なのであれば、君が恐れているような事態には絶対にならないからサ」



キーボ「?」



アンジー「さっき、アンジーは言ったよねー?」



アンジー「一部を除いて、って」



35 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:10:36.95 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……一部を除いて?」



真宮寺「……そう、現世で死を迎えたとしても、全ての魂魄が尸魂界に送られるわけじゃないんだ」



真宮寺「生前、非道な行為に手を染めた者は、地獄に送られる決まりだからネ」



キーボ「………」



36 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:11:41.55 ID:mqKwt4SvO









キーボ「……えっ、?」








37 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:12:58.78 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……何かな?」

キーボ「……あっ、いや、その……」

アンジー「………」

真宮寺「……このことで何か気になることがあるなら、言ったらどうだい? いつだって受け付けるヨ?」



キーボ「……いえ……」



キーボ「……もう、 “ 意味はない ” んでしょう……?」



真宮寺「………」



キーボ「なら、地獄に送る必要もない……」



キーボ「そういう……こと、なんでしょう……」



アンジー「………」



38 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:14:48.02 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……話を戻すけど、生前、非道な行為に手を染めた者は、基本的に地獄に送られる決まりになっている」

真宮寺「少なくとも……【その時代の現世】【罪を犯した場所に定着した倫理から見て】【あまりにも非道な行為に手を染め】【人を大きく傷つけ】ーーー」



真宮寺「ーーー【そうした罪を、罪とも思わず】【死後の世界でも非道を繰り返し行う気があるような者】ならば、間違いなく地獄に送られるという話だ」



キーボ「………」



真宮寺「そういう者は、 “ 地獄の鎖 ” に囚われ続けーーー」



真宮寺「ーーー “ クシャナーダ ” と呼ばれる地獄の管理者の手によって、責め苦を受け続けることになるのサ」



アンジー「………」



真宮寺「 “ 人でなし ” は地獄に送られる」

真宮寺「 “ 人でなし ” である限り、地獄から解放されることはない」

真宮寺「だから、赤松さん達が騙されてーーーなんてことには絶対にならないヨ」



キーボ「……なるほど、よくわかりました」



39 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:16:30.04 ID:mqKwt4SvO



キーボ「ーーーただ、真宮寺クン達の話で気になったことが二つあります」

真宮寺「……何かな?」

アンジー「なーにー? キーボ?」

キーボ「……まず、一つ目に気になったことですがーーー」



キーボ「ーーーキミ達は、なぜボク達、【超高校級が集められて】【コロシアイをさせられたのか】についてーーー」



キーボ「ーーーこの死後の世界から、何か突き止めることはできたのでしょうか?」



キーボ「もし、そうなら、どうか教えて貰いたいのですがーーー」



真宮寺「……いや、残念ながら、何もわかっていないままだヨ」

アンジー「……神さまも、きっとよくわかんないってー」



40 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:18:47.67 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……一応確認しておきますけど、この……ソウル・ソサエティにいる他の住民に対して、聞き込みはしていないんですか?」

真宮寺「……しているヨ」

真宮寺「……現在も過去も、僕達が巻き込まれた案件に関して何か突き止められることはないか、定期的な聞き込みは行っている」



真宮寺「 “ 現世で生き残ったみんながどうなったか? ” なども含めてネ」



キーボ「……それは、キミ達よりも前に亡くなられた方に対してだけですか?」

アンジー「いやいやー? そんなことはないよー?」

真宮寺「夜長さんの言う通りだヨ」

真宮寺「僕達は、僕達よりも……それこそ今日から見て何日か前に亡くなって、新しく尸魂界に来た人達にだってーーー定期的な聞き込みを続けている」

アンジー「……今日から一ヶ月前の人でも、十日前の人でも、三日前の人でも、新しい人が来るたびに、聞き込みしてーーー」



アンジー「ーーーおとといだって、そうしてたからねー?」



キーボ「……そうでしたか」



41 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:20:08.89 ID:mqKwt4SvO



キーボ「………」






キーボ「…………」









キーボ「………………」



42 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:21:53.79 ID:mqKwt4SvO



キーボ(……なるほど)


キーボ(どうやら、この死後の世界でも、『世界の管理者』が存在し、世界に住まう人々の記憶を操作しているーーー)




キーボ(ーーーそう、考えて、間違いなさそうですね)




キーボ(……この世界が、死後の世界ならば、そこにいるアンジーさん達が何も知らないままでいる……という状況が成立するはずがない)


キーボ(あれから二ヶ月も経過したというのならば、尚更です)


キーボ( “ あの事実 ” を考慮すれば、そのような状況が、成立するはずがないのです)


キーボ(この世界に、ボクやアンジーさん達以外の人がいないなら話は別ですがーーーボク達以外にも人は存在するようですからね……)


キーボ(その条件下で、アンジーさん達が何も知らないままでいる……という状況など、 “ あの事実 ” を考慮すれば、成立するはずがないのです。普通ならば)



43 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:23:18.16 ID:mqKwt4SvO



キーボ(……ならば、どうして、このような状況が成立しているのか?)


キーボ(……アンジーさん達が、ボクに真相を隠しているということはないでしょう)


キーボ(真相を知っているのならば、ボクに隠したところで意味がないことは知っているはずですからね)


キーボ(さっきボクが、とっさに誤魔化した時だって、もっと追求するようなことを言ったはず)


キーボ(それでも、今の状況が成立する理由があるとすればーーー)




キーボ(ーーーこの死後の世界に来た者達は、生前の倫理観をもって死後の世界を混乱させないようーーー)




キーボ(ーーー『世界の管理者』から、ある程度の記憶操作を受けていると考える他ない)



44 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:25:19.40 ID:mqKwt4SvO



キーボ(アンジーさん達とボクの記憶に食い違いがないところを見るに、個人レベルの倫理観ならば内容はどうあれ、いちいち記憶操作は受けないようですがーーー)




キーボ(ーーー民衆レベルで溶け込んだ倫理観は、それも偏ったものは、記憶操作の対象となる可能性は極めて高い)




キーボ(ボク達のように民衆から “ 外れた ” 存在とは異なる、ごくごく普通の民衆である他の死者達ーーー)


キーボ(ーーーすなわちボクがここに来た時に見た人々などは、きっと記憶操作を受けている)


キーボ(おそらくは、あの、 “ 人でなし ” の場合であっても、同じように記憶操作を受け、無害な存在へと変わるのでしょう)


キーボ(でなければ、時代によっては、偏った倫理観が死後の世界でもはびこり、無視できない混乱を発生させる可能性がある。それを避けるためには、記憶操作が必要となる)


キーボ(故に、アンジーさん達は、誰からも真相を聞くことができていないのでしょう。聞く対象の記憶が操作されているとすれば当然のこと)




キーボ(……さっき、とっさにああ言って誤魔化してしまいましたが、結果的には良かったかもしれませんね)


キーボ(何事も大勢に伝えるためには、最初に伝えるべき人、場所、状況を、よく考えなくてはならない)


キーボ(……そうです。アンジーさんと真宮寺クンに対し、ここでいきなり “ あの事実 ” を伝えるべきではーーーー)



45 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:26:56.81 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……また、止まってしまったネ、キーボ君」

アンジー「ひょっとしてー、石炭が切れちゃったりー?」

キーボ「……なっ、違いますって! ボクのエネルギー源は石炭でもありません!」

キーボ「……動きが止まったのは、単純に思考の処理に時間がかかったからです」

キーボ「人が考えごとをしている最中にじっとしているようなものです。大したことではありませんよ」



真宮寺「……そうかい? なら良いけどーーー」



アンジー「ーーーところで、キーボ? さっき言ってたことの、ふたつ目って、なーにー?」



キーボ「……ああ、二つ目に気になったことについてですね」



キーボ「それなら単純にーーーー」



46 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:28:11.99 ID:mqKwt4SvO



キーボ「ーーーひょっとして、キミ達は、赤松さん達とボクが再会することを、避けようとしているのではないか?ーーー」






真宮寺「………」

アンジー「………」






キーボ「ーーーそれが、二つ目に気になったことです」



47 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:32:01.49 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……確かに、僕達は、キーボ君が赤松さん達と今すぐ再会することを避けようとはしているヨ……」

キーボ「やはり、ですか」

真宮寺「だけど、それはーーー」

アンジー「それはねー! いま、楓たちは、大事な時期だからなのだー!」

キーボ「……大事な時期?」

真宮寺「……うん、最近の赤松さん達は、この死後の世界での生活基盤を形作るためにいろいろしていて、それで忙しくてネ……」

真宮寺「……故に、君と赤松さん達をいま会わせるわけにはいかない」

アンジー「もし、キーボが来たって知ったらー、楓たちは、無理にでも会おうとするだろうねー」

真宮寺「だから、みんなが落ち着くまで、我慢してくれると助かるヨ……」



48 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:33:53.96 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……わかりました。そういう事情があるのであれば、仕方のないことでしょう」



真宮寺「………」



キーボ「ですが、これだけは聞かせてください」

キーボ「赤松さん達は、どちらにいるのでしょうか?」



アンジー「………」



キーボ「……赤松さん達が現在いる場所で何かあった場合を考慮すればーーー赤松さん達の居場所は把握しておいた方が良い」

キーボ「なので、そこだけは聞かせて頂けませんか?」



49 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:35:27.82 ID:mqKwt4SvO



真宮寺「……いま、赤松さん達は、瀞霊廷(せいれいてい)の集合住宅に住んでいるヨ」



キーボ「……!」



真宮寺「……詳しくは、後で地図を見せて教えるとするヨ」



アンジー「………」



50 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/09(月) 23:37:19.80 ID:mqKwt4SvO



キーボ「……セイレイテイ……」



真宮寺「そう、瀞霊廷」

真宮寺「この尸魂界の中心部にある首都のことサ」



キーボ「首都……」

アンジー「………」



真宮寺「……ここから先の説明は、本来ならば、説明会場で、この世界の管理者から教えられる基本事項でもある」



キーボ「………」



真宮寺「……遅れちゃったけど、それをこれから僕が代わりに説明しようと思う」

真宮寺「基本事項について理解していた方が、これからの会話もスムーズに進むだろうからネ」

真宮寺「だから、君にはまず、その説明を聞いて欲しい」



キーボ「……わかりました、お願いします」



51 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 21:20:46.34 ID:cwtAYsKlO



真宮寺「ーーー尸魂界において、居住する場所は主に二つに分かれている」

真宮寺「一つは流魂街で、僕達のいるこの屋敷、君と再会した場所である、あの街は、流魂街に位置している」

真宮寺「そして、尸魂界に来た魂魄は、説明会場で世界の管理者から、この世界における基本事項を教えて貰った後、流魂街に住むことになる」

アンジー「整理券を貰ってねー!」

真宮寺「その通りだヨ。整理券を貰い、それに記された通りの区域に住むことになる」



真宮寺「基本的に、ネ」



キーボ「………」



真宮寺「だけど、条件を満たせるのであれば、瀞霊廷という、人が居住するもう一つの場所に住むことが可能となるんだ」



52 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 21:23:47.39 ID:D9Mxdk9oO



キーボ「……条件、ですか」

真宮寺「そう、条件」

真宮寺「その条件こそが、 “ 霊力 ” を有していることであり、それがあれば瀞霊廷の居住を許されるのサ」

キーボ「……霊力?」

真宮寺「霊力とは、霊的な力……いわゆる霊能力の略称サ」

真宮寺「また、そうした霊能力を扱う際に消費されるエネルギーの名称も、同じように霊力と名付けられている」

真宮寺「そうした力を、赤松さん達は死後に目覚めさせていた」



キーボ「……?」



キーボ「待ってください。どうして、赤松さん達にそんな力がーーーー」



53 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 21:25:32.20 ID:D9Mxdk9oO



真宮寺「ーーーそれは、わからない」



真宮寺「ただ、少なくとも、二ヶ月前、君を除いた僕達全員がこの世界に来た時には目覚めていたそうだヨ」



キーボ「………」

アンジー「………」



真宮寺「……僕達全員が、尸魂界の同じ時間の同じ場所に送られた時に、ネ」



54 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 21:28:03.02 ID:D9Mxdk9oO



キーボ「……時間や場所が同じだった?」



真宮寺「その通りだヨ」



真宮寺「……後から聞いた話だけど、【心中でもしない限り】【送られる時間や場所が同じになるなんて】【まずありえない】らしいんだ」

真宮寺「だけど、どういうわけか、僕達は全員、同じ時間の同じ場所にいたんだ」

真宮寺「それぞれ、死亡した時、はたまた死亡して肉体から魂魄が出て少し経った時に、意識を失いーーー」



真宮寺「ーーー気づいた時には尸魂界に来ていた」



真宮寺「……みんな、同じように、霊力が目覚めた状態で、ネ」



アンジー「………」



55 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 21:29:18.82 ID:D9Mxdk9oO



キーボ「……どうして、そんなことがーーー」



真宮寺「ーーーそれも、わからない」



キーボ「………」



真宮寺「……いま、わかることは、たった一つ」



真宮寺「君もまた霊力を持っているということだ」



56 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 21:30:20.91 ID:D9Mxdk9oO



キーボ「……はい?」






アンジー「………」

真宮寺「………」






キーボ「それは、どういうーーーー」



57 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:06:41.71 ID:DZOh/mOeO



岩鷲「おおーい、オメーら! 帰ったぞー!!」バタンッ!



キーボ「!?」



岩鷲「………っ、!?!?」



キーボ「えっ、あっ……」



岩鷲「………」



キーボ「キ、キミはいったいーーー」



岩鷲「うおおおおおおおおおおおおお!!!」



58 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:08:06.00 ID:DZOh/mOeO



キーボ「!?」

岩鷲「オメーか!」ダダッ

キーボ「!?!」

岩鷲「オメーが、アンジーちゃんと真宮寺の言ってた “ ろぼっと ” って奴だな!?」ガシッ

キーボ「え、あ、その……」

岩鷲「そうなんだな!?」キラキラ…



59 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:15:19.72 ID:DZOh/mOeO



アンジー「……そうだよー! キーボはロボットなんだよー!」

真宮寺「……彼こそが、 “ 超高校級のロボット ” キーボ君。紛れもなく僕達が話した存在サ」

岩鷲「……そうかそうか! よろしくな、キーボ!!」ガシッ

キーボ「えっ、あっ……」

岩鷲「いやー、それにしても、スゲーなおい! こんなスゲー “ ろぼっと ” なんて、俺はじめて見たぞ!」ベタベタ

キーボ「いや、ちょっと……」

岩鷲「この白髪! ゴテゴテヒヤヒヤした鉄の身体と服! 全部、アンジーちゃん達の言ってた通りだ!」ベタベタ



60 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:19:08.18 ID:DZOh/mOeO



キーボ「あっ、うっ……」

岩鷲「……ああ、そうだ! 俺の自己紹介がまだだったな!」

岩鷲「俺こそ、自称【西流魂街のーーー」



空鶴「うるっせえぞ、岩鷲!」ヒュンッ



ドゴオッッッ!!!



岩鷲「ぶほおっ、!?」



バッターンッッッ!!!



61 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:21:09.81 ID:DZOh/mOeO



岩鷲「……いてて、姉ちゃん! 何すんだよ、いきなり!?」ガバァッ



キーボ「………!?!」



空鶴「それはこっちのセリフだ!」

空鶴「汚ねえ手でベタベタ触ってんじゃねえ!! 礼儀を忘れたのか!? ああ!!」

岩鷲「あっ……!?」



キーボ「」ポカーン



岩鷲「……す、すまねえ! “ ろぼっと ” さん! この通りだ! 許してくれ!」ババッ



62 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:26:11.53 ID:DZOh/mOeO



キーボ(……この光景は、現実なのでしょうか?)


キーボ(細身の女性が一瞬で部屋の中に回り込み、体格の良い男性を一撃で部屋の外まで殴り飛ばすだなんてーーー)


キーボ(ーーーしかも、それだけの力を身に受けた男性の方もまた、すぐに立ち上がった……)




キーボ(……なるほど、この人達がーーー)




空鶴「おい、聞いてるか? “ ろぼっと ” っての」



63 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:28:01.55 ID:DZOh/mOeO



キーボ「……あっ……」



空鶴「……安心しろ。コイツには、おれがよーく言い聞かせておく」

岩鷲「………」



キーボ「……あー、はい。まあ、彼も謝っていることですし、ボクはもう別にーーー」



岩鷲「……お、おう! ありがとな、 “ ろぼっと ” さんーーー」

空鶴「黙ってろ」ゲシッ

岩鷲「ぶふぉう!?」ドザアッ!



キーボ「ーーーあのー……もしかして、あなた達がーーーー」



64 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:29:32.13 ID:DZOh/mOeO



空鶴「……おれの名は志波空鶴! この志波家の家主、そして流魂街一の花火師だ!」



キーボ「やはりあなたが、クウカクさん……」



空鶴「ああ、ついでに、この土下座してるのが、弟の岩鷲だ」カラッ

岩鷲「つ、ついで、って……」



キーボ「………」



65 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:31:31.12 ID:DZOh/mOeO



空鶴「……事情は真宮寺から全部聞いてる」



キーボ「……はい?」

真宮寺「……あァ、実はここに向かう途中で、空鶴さん達に連絡しておいたんだヨ」

キーボ「……なっ、!? そんなの、いつの間にーーー」



空鶴「ーーーしばらく、この家に泊めてやる」



キーボ「ーーー!?」

アンジー「!」

真宮寺「………」



空鶴「寝床は真宮寺に貸してる部屋を二人で使いな」



66 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:32:58.75 ID:DZOh/mOeO



キーボ「……いや、ちょっとーーー」



岩鷲「ん? ちょっと待ってくれよ、姉ちゃん。まずは俺の部屋じゃねえのか? 真宮寺の時はーーー」

空鶴「ベタベタ触る奴とされた奴を同じ部屋にできるか、バカ」

岩鷲「うっ……」



キーボ「……あのーーー」



空鶴「気にすんな、死神とのゴチャゴチャした手続きはこっちでやっておく」



67 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:36:05.00 ID:DZOh/mOeO



キーボ「……えっ、?」



空鶴「……今のテメエが、死神と会うわけにはいかねえだろ?」

空鶴「足元を示す手型一つ持たねえ今のテメエが死神と接触してみろ。不審者扱いで無駄に時間がかかることは目に見えてる」



キーボ「……ふ、不審者……」



空鶴「手続きが終われば、おれの元に通知が来る」

空鶴「テメエの手型が、おれのもとに来るんだ」



キーボ「………」

アンジー「………」



空鶴「瀞霊廷に住めるかどうかも、そこでわかるーーー」



空鶴「ーーーそんで住めるってなったら、実際に住める日まで、泊めてやる」



空鶴「……まあ、手続きなんざ普通は即日で済むんだが、テメエの場合はそうもいかねえだろうからな……」



68 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:38:12.50 ID:DZOh/mOeO



キーボ「……えーと……」



空鶴「実際に、テメエが瀞霊廷に住めるかどうかはわからねえがーーー」



空鶴「ーーーもし、この流魂街に住み続けることになったら、転生の日まで正式に居候させてやるよ」



アンジー「!!」

真宮寺「………」

キーボ「……あっ、えっ、?」



空鶴「……何年か前までは、居候が三人もいたんだ。また居候が三人になろうが、大したことでもねえ」

空鶴「まっ、なんにしろ、ここで食って寝る以上は、みっちり働いて貰う! そこは覚悟しとけ!」



69 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:40:58.33 ID:DZOh/mOeO



キーボ「ち、ちょっと待ってください!」

キーボ「ここに住むって、いきなりそんなーーー」



空鶴「ああ? なんだ、テメエ、おれの家に住めねえってか?」



キーボ「ーーーあっ、いや、そうではなく……」



アンジー「……キーボ、ここは空鶴の言う通りにした方が良いって、きっと神さまも言ってるよー?」

真宮寺「……そうだネ。彼女には逆らわないことを勧めるヨ」



岩鷲「そうだ! “ ろぼっと ” さん……いや、キーボ! 姉ちゃんに逆らったらそれはもう恐ろしいことにーーーぶべえっ!?」ドザアッ!

空鶴「雑音はともかく、住むか住まねえかハッキリしな」ゲシゲシッ

空鶴「それで、テメエの今後が決まる……!」ゴオオッ



70 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:45:15.54 ID:DZOh/mOeO



キーボ「ーーーわ、わかりました! わかりましたから! どうか、ボクをここに住まわせてください!」



空鶴「よしっ、そんじゃあ、決まりだな!」




キーボ(……ううっ、勢いで言ってしまいましたが、大丈夫なんでしょうか………)




空鶴「……ただ、今日はもう夕飯時だ、ゆっくりしていけ。それに、今日はお前ら居候の休みの日でもあるしな」



キーボ「あっ、はい……」



アンジー「………」

真宮寺「………」



71 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:46:39.50 ID:DZOh/mOeO



空鶴「……しばらくしたら飯にすんぞ」



キーボ「………」

真宮寺「………」

アンジー「………」



空鶴「……おい、岩鷲! いつまでも土下座してねえで、しゃんと立ちやがれ! そんで、ベタベタした罰として飯の準備手伝え!」グイッ

岩鷲「わ、わかったよ、姉ちゃん! いてて! そんな引っ張んなって!」ズルズル…



72 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:48:57.25 ID:DZOh/mOeO



キーボ「………」



アンジー「……あらら! キーボ、また固まっちゃってるねー」

アンジー「今度は、ゼンマイがほどけちゃったりー?」



キーボ「………」



アンジー「……うんうん、ホントにカチコチだよー、何も返さないしー」

真宮寺「……まァ、空鶴さんも岩鷲君も、強烈な個性の持ち主だからネ。思考処理のために動作を停止させてしまうのも無理はないヨ」

真宮寺「ただ、彼女が言っていた通り、キーボ君にはしばらく、僕が貸して貰ってるこの部屋に寝泊まりして貰うからネ」

真宮寺「そこは記憶領域に残して欲しいかな。なぜなら僕らは空鶴さんにーーー」



キーボ「ーーーわかってますよ! あのクウカクさんに逆らうわけにはいかないのでしょう?」



キーボ「……だったら、泊まりますよ! 誰の部屋であっても!」



真宮寺「ククク……助かるヨ」



73 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:51:12.21 ID:DZOh/mOeO



浦原「……あー、あー、スイマセ〜ン! ちょおっと、お時間よろしいでしょうか〜?」トテトテ



キーボ「!?」



アンジー「……あー、喜助ー!」

真宮寺「これはこれは……もう到着したのかい?」



浦原「ええ、ただいま到着しました〜! 毎度ご贔屓に〜!」



真宮寺「今日は、商品を買うわけではないんだけれどネ」



浦原「わかってますよ〜! これは、毎度、ウチを贔屓にして貰ってる真宮寺サンに対する特別サービスでもあるんスから!」



74 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:52:30.89 ID:DZOh/mOeO



キーボ「……え、えーと、すみません?ーーー」



浦原「………」



キーボ「ーーーあなたは、いったいーーー」



浦原「……ああっ、これは失礼しました!」

浦原「アタシ、浦原喜助という者っス!しがない駄菓子屋の店主ではありますがーーーどうぞ、よろしく!」パッパラ〜!


75 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:54:53.78 ID:DZOh/mOeO



キーボ「あっ、これは、どうも……」

浦原「どうか、キーボさんも! アタクシ共、浦原商店をご贔屓に〜!」

真宮寺「ククク……浦原さん、商売も良いけど、まずはメールで頼んだことをお願いするヨ」

浦原「わかってますよ〜! それでは、キーボさん、さっそくーーー」スッ

キーボ「ち、ちょっと、急になんですか? 近づいてきてーーー」

浦原「……あー、スイマセン、失礼ながらこれから検査をさせて頂きます」



キーボ「……検査?」



浦原「ええ、検査です」







浦原「……そのステキなボディの中に、危険物でもあれば、大事になりかねませんから」



76 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:56:39.39 ID:DZOh/mOeO



キーボ「!?」

キーボ「き、危険物ってーーー」



浦原「ーーーいやあ〜、だって、ロボットと言ったらドリルやミサイルってイメージあるじゃないっスか?」



キーボ「……あっ……」



浦原「そういったものが付いていたら、日常生活も大変でしょう?」



キーボ「……っ、」



浦原「……それにアタシ、こんな成りしてますが、科学者の端くれではありましてね」



77 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 22:58:50.48 ID:DZOh/mOeO



キーボ「科学者……?」

浦原「ええ、科学者です」

キーボ「……ここは、オカルトな死後の世界ではなかったのですか?」

浦原「確かにここは、オカルト現象の吹き荒れる死後の世界ではありますがーーー科学者は普通に存在していますよ」



浦原「実際に、入間サンという科学者の方が、こちらに来ているじゃないっスか♪」



キーボ「………」



浦原「それで、もしキーボさんの身に何か危険があれば、アタシの力でどうにか解決できたら、と思っています」



真宮寺「……大丈夫だとは思うけど、一応ネ」

アンジー「アンジーも、やった方が良いと思うなー」



78 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 23:01:08.21 ID:DZOh/mOeO



浦原「……というわけで、検査させては、頂けませんか?」



キーボ「っ、しかしーーー」



アンジー「……キーボ、大丈夫だよー」



キーボ「……アンジーさん?」



アンジー「……喜助はねー? ものすごーく、うさんくさいけど、信頼できる人だからー!」

真宮寺「そうだネ。非常に怪しい人物ではあるけど、信頼は大切にする人だヨ」

浦原「信頼第一、商売人として当然っス!」



キーボ「………」



真宮寺「ーーーどうか、彼を信じて、検査を受け入れてくれないかな、キーボ君?」



79 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 23:03:11.00 ID:DZOh/mOeO



キーボ「……わかりました」

浦原「!」

キーボ「……確かに、危険物をそのままにしては、迷惑をかけかねませんからね」

キーボ「検査、お願いします」

浦原「……ありがとうございます! それではーーー」



キーボ「ーーーただし!」



真宮寺&アンジー「「!?」」



浦原「………」



キーボ「……ボクの記憶領域には、決して干渉しないでください。それが検査の条件です」



80 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 23:04:05.22 ID:DZOh/mOeO



真宮寺「………」



アンジー「………」



浦原「………」



キーボ「……良いですね?」



81 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 23:07:03.72 ID:DZOh/mOeO



浦原「……もちろんっス。キーボさんの記憶領域には一切触れません。その条件で検査させて頂きます」



キーボ「……それでは、検査をーーー」



浦原「ーーーっと、その前に、場所を変えようと思います」



キーボ「えっ……」



浦原「……いやー、万が一、ここで “ ドガン! ” ってなったら大変でしょう? なので修練場……広く頑丈な部屋の方まで移動してから、検査させて頂こうかと思いましてね」

浦原「修練場とその付近の部屋は、現在、防音設備も充実していたりしますからねえ。音が廊下に漏れることは無い……」



浦原「……いろいろ話しやすくもあると思うっスよ?」



キーボ「………」



浦原「……構わないっスよね?」



82 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/10(火) 23:08:40.47 ID:DZOh/mOeO



キーボ「……わかりました。移動しましょう」



浦原「……ありがとうございます! それでは、修練場まで、レッツゴーといきましょう!」



キーボ「………」



ーーーーーーーーーー


ーーーーーー


ーーーー


ーー



83 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/17(火) 03:00:37.72 ID:xIUq6BSMO



キーボ(そうして、ボクは、アンジーさん達といったん別れて、浦原さんと共に修練場に行った)






キーボ(それから、検査が始まるーーー)






キーボ(ーーーそのはずだったんですがーーーー)


84 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/17(火) 03:04:23.34 ID:xIUq6BSMO



ー志波家の屋敷・修練場ー



キーボ「………」

浦原「………」



キーボ「……あの、すみません」

浦原「……なんでしょう?」



キーボ「さっきからボク、浦原さんに言われた通り、ずっと目を閉じているんですけどーーーいつ検査は始まるんでしょうか?」



85 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/17(火) 03:05:32.32 ID:xIUq6BSMO



浦原「……ああ、もう大丈夫っス」



キーボ「……? それはどういうーーー」







浦原「……既に検査は終わりましたから」


86 : ◆02/1zAmSVg [saga]:2019/09/17(火) 03:07:51.41 ID:xIUq6BSMO



キーボ「!?」パチリ

浦原「………」

キーボ「そんな、いつの間にーーー」

浦原「一応言っておきますが、インチキとかサギとかではありませんよ」

浦原「アタシは確かに、さっきキーボさんが目を閉じている間、検査させて頂きました」

浦原「というか、そうでもなければ、あのお強い空鶴さんからどんな目に遭わされるかわかりませんから」

浦原「いいかげんな商売は、できません」



浦原「……まっ、具体的な方法は、企業秘密っスけどね♪」



キーボ「………」



浦原「その上で検査結果を報告させて頂きますがーーーー」


340.50 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)