少女「お兄、すき」男「そうか」

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108 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/24(火) 04:28:08.57 ID:UvSy/elD0

サッ、サッ...

男「……」

(土に隠れた墓)

男「……行くか」



ザッザッザッ



男「……」ザッザッ





──お兄





男「!!」バッ



(鬱蒼とした森)



男「………」

男(………)

男「……こちらこそ、ありがとう」

男「そして……」





男「──さよなら」




109 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/24(火) 04:29:29.97 ID:UvSy/elD0

男(………)

男「……」



ヒュン



男「」パシッ

女盗賊「さーすが。ぼやっと突っ立ってるように見えて周囲への警戒は怠らないか」ザッザッ

男「……報酬金ならくれてやる。好きなだけ持っていけ」

女盗賊「んー…それもあるけど、さ」

男「なんだ?」

女盗賊「……ウチにも、墓参りくらいさせてよ」

男「………」

女盗賊「……」ザッザッザッ

女盗賊「………」



(手を合わせ黙祷する)



女盗賊「……わけは聞いたよ。薬屋ちゃんからね」

女盗賊「昨日、薬屋ちゃんのお店物色してたら見つかっちゃってさ……薬で眠らされてぐるぐる巻きにされちゃったんだけど……その時に話してくれたわ」

男「よく生きていたな」

女盗賊「盗賊稼業舐めないで欲しいね。縄抜けなんて基本中の基本よ」

女盗賊「……誰が悪かったんじゃない。むしろ誰も悪くなかったからこうなっちゃったんじゃないかな」

女盗賊「そりゃ、薬屋ちゃんの"コウイ"は行き過ぎてたけどさ……あの子はああすることでしか自分を表現出来なかったのよ」

女盗賊「きっと誰よりも、愛に飢えていたんじゃないかねぇ……」



ーーーーー

薬屋「──私だって何事もなく生まれ、何事もなく好きな相手と過ごしていきたかったさ」

ーーーーー



男(……)
110 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/24(火) 04:30:57.78 ID:UvSy/elD0

女盗賊「だからウチは別にあんたを責める気も、説教垂れる気もない」

女盗賊「たださ……ほら」ヒョイッ

男「…?」パシッ

男「……葡萄酒?」

女盗賊「いつまでも暗い顔してんなよ?少女が見たら不安がっちゃうでしょうに」



ーーーーー

少女「──お兄、かなしい…?」

ーーーーー



男「……そうかもな」

女盗賊「…辛気臭いのは元からかね」

男「言いたい放題だな」

女盗賊「やっと言い返してくれた。そうこなくちゃ、あんたらしくない」ニシシ

男「……ブレない奴め」

男(皆が皆、こいつのように生きているわけではない)

男(何かを守る事に生き甲斐を感じる者)

男(何かに依存しなければ生きていけない者)

男(俺やこいつがそうだからと言って、一人で生きていける人間など稀だ)

男(……そういうことか、薬屋)

男(長いこと独りで生きることの歪さが、お前を変えてしまったんだな)
111 : ◆YBa9bwlj/c [saga]:2019/09/24(火) 04:32:28.80 ID:UvSy/elD0

女盗賊「……ところで」

男「ん?」

女盗賊「ウチら、狙われてるよ」

男「………」

女盗賊「当然っちゃ当然か。この国のやばいとこ知っちゃってるわけだから……裏で口封じでもしようっていう魂胆なんだろうね」

男「……俺はどこが戦争を起こそうが気にしないがな」

男「せいぜい死なないように逃げるとするか。お互い」

女盗賊「あぁ……」

女盗賊「…ってちがーう!」

女盗賊「元はと言えばあんたがウチをこんなことに巻き込んだんでしょ!?責任持ってウチと一緒に逃げなさいよ!」

男「…初めはお前から突っかかってきただろう…」

女盗賊「つべこべ言わない!」ガシッ

グイッ

男「何をする…」...タッタッ

女盗賊「どこに追手がいるか分かったもんじゃないからね!こんな町さっさとズラかっちまわないとさ!」タッタッ

女盗賊「それと…」





女盗賊「あんたのその辛気臭い顔、ウチが直したげる」ニコッ





男「──!」

男(……ふっ)

男「余計なお世話だ、馬鹿者」

女盗賊「あっ!?またバカって言った!?それ少女にも教えてたよね?ウチの数々の功績も知らないくせにさ──」



タッタッタッ...





ー終わりー
112 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/09/24(火) 04:34:37.43 ID:UvSy/elD0
これにて完結となります。

オリジナルって難しいですね。
なんだか第二章に続く的な終わり方になってしまいました。

読んで下さった方、ありがとうございました。
113 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/24(火) 05:30:23.10 ID:eQpi9i8Bo
おつおつ
続きを書いてもいいのよ?
114 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/24(火) 07:57:22.35 ID:fNq86j7LO
そういや男って妹の存在知らなかったのか
115 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/24(火) 07:59:00.22 ID:fNq86j7LO
連レスすまん
数年もたってれば容姿なんて変わってるしわからないか
おつおつ
116 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/09/24(火) 08:17:50.13 ID:A8Zhnd/+O
>>115

病に伏す妹の存在は知っています。
>>7で自ら言及してますよ。
ただ、姿はまともに見たことがなく、逆に妹の方は薬屋を助けた傭兵をチラッとだけ目にしたことがある…程度ですね。
117 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 10:42:23.29 ID:6O4PGPEKO
たしか全10章からならんだよね?
はよ続き
118 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/24(火) 11:01:58.05 ID:fNq86j7LO
>>116
連レスしてから気づいたすまん
次作か続き待ってるぞ
119 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 11:11:00.78 ID:qk00l8Bb0
最初から最後まで男がバカだった話としか読めないけどこれなんなの?
120 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/09/24(火) 12:18:02.35 ID:A8Zhnd/+O
>>117 >>118
ありがとうございます。
次回作はもう何を書くか決めているため、続編を書くとしたらまたどこかのタイミングになると思います。

>>119
その通りです。男だけではありません、薬屋も然り。人はどこかしらバカなところがあるんです。だから過ちを犯すし、成長の余地もあるのだと私は思ってます。
とまあつらつらそれっぽいことを書いてみましたが、それをあなたに伝え切れなかったのは私の描写力が足りないからですね。もっと上手くなりたいものです。
121 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/09/24(火) 12:25:00.57 ID:4mpqes9VO
ただの煽りカスに反応することないぞ
とりあえずおつ
122 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/09/24(火) 12:59:10.65 ID:6O4PGPEKO
続編書くとしたら別にスレ立てるの?それともこのスレを使うのかな?
123 : ◆YBa9bwlj/c [sage saga]:2019/09/24(火) 21:11:06.49 ID:A8Zhnd/+O
>122

書くとしたら別スレッドを立てて、ですね。
というより、このままでは誰も幸せになってない終わり方ですので、いずれ続編は書こうと思います。
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