北条加蓮「藍子と」高森藍子「曇天のカフェテラスで」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:27:19.21 ID:4ux1wBwJ0
――おしゃれなカフェテラス――

高森藍子「はぁ……」

北条加蓮「やっほー。聞いてよ、店員ってば私の顔を見るなり藍子ならテラス席にいますから――って……」

藍子「……あ。こんにちは、加蓮ちゃん」ニコッ

加蓮「……?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1567330038
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:27:56.60 ID:4ux1wBwJ0
レンアイカフェテラスシリーズ第84話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

〜中略〜

・北条加蓮「藍子と」高森藍子「膝の上で ろっかいめ」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「夏休みのカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「残暑模様のカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「雨上がりのカフェで」(+高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「また毎日が始まる日のカフェで」)
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:28:27.81 ID:4ux1wBwJ0
前々回のあらすじ:カフェの店員さんには探し人がいるようです。アイドル活動を続けていたら、いつか会えるかも……。


加蓮「……。どうかしたの?」

藍子「あはは〜……。ど、どうもしていませんよ? やだなぁ」

加蓮「……」

藍子「……はぁ」

加蓮「……」

藍子「…………」

加蓮「…………」

藍子「はぁ…………」

加蓮「……。すみませーん。とりあえず……どうしよ。すっごい甘いココアをこの子にと、私にいつものコーヒーお願いー」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:28:56.72 ID:4ux1wBwJ0
……。

…………。

加蓮「……」ズズ

藍子「……」

加蓮「……とりあえず、ココア飲んだら?」

藍子「……」チラ

加蓮「……はい。ココア。飲みなさい」

藍子「……うん」コクコク

加蓮「ずず……ふぅ」

藍子「こく、こく……。はふぅ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:29:26.82 ID:4ux1wBwJ0
加蓮「で、藍子」

藍子「何ですか……?」

加蓮「そうね……。さすがに目の前で辛気臭い顔をされたら楽しい時間も楽しくなくなるでしょ?」

加蓮「今日の空みたいな顔しないで。さっさと話しなさい」

藍子「……。……加蓮ちゃんは、相変わらず手厳しいんですね」

加蓮「生憎、人を気遣うとか人の為を思ってとかそういう前口上が大っ嫌いなの。例えそれが100%本当のことで、藍子みたいに優しい子が相手のことを思い遣っていたとしても、ね」

加蓮「だから、藍子の為とかじゃなくて。私が楽しい時間を過ごせるように何があったか言いなさい」ズズ

藍子「……、」

藍子「大したことじゃないんですよ? 加蓮ちゃんの悩みに比べたら」

加蓮「アンタが落ち込むことなら、今日の朝ごはんが美味しくなかったことでも大したことだし、落ち込まないならモバP(以下「P」)さんが大怪我したとしても大したことじゃないでしょ」

藍子「……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:29:59.81 ID:4ux1wBwJ0
藍子「……あははっ」

加蓮「ん」

藍子「ううん。加蓮ちゃんらしいな、って。今の、すっごく♪」

藍子「私なら、そこまで思いきれないなぁ、って……」

加蓮「そっか。安心した」

藍子「安心?」

加蓮「藍子にできないことがあるってことで、藍子の近くにいる建前が作れるからね」

藍子「建前って――」

加蓮「じゃないとうっさいのがいっぱいいるからねー。藍子ちゃん大好きファンクラブの皆さんがね?」

藍子「ふぁ、ファンクラブって……」

加蓮「アンタら一応アイドルとしてライバルでしょって思うけどねー。ま、私が言っても説得力ないか。いやでもさー、やっぱり仲良くしすぎて……ああもうっ、いいからアンタ達、藍子を私に譲りなさいよ!」

藍子「……ふふっ」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:30:27.44 ID:4ux1wBwJ0
加蓮「って、私の話はいいの。ほら、藍子。何があったのか話しなさい」

藍子「……はぁい。笑わないでくださいね?」

藍子「失敗しちゃったことが、2つあるんです」

加蓮「2つ」

藍子「はい。1つ目は、この前の握手会の時――」

藍子「会えたんです。あの子に」

加蓮「あの子……!?」

藍子「え?」

加蓮「えっ」

藍子「……?? どうして、そんなにびっくりするんですか?」

加蓮「え、だって――って、あ、もしかしてあの子って、あの子じゃなくてあの子? カフェコラムを読んでくれてたあの……」

藍子「そうですよ? ……あははっ。あの子じゃなくてあの子、って、すっごくややこしくなっていますね」

加蓮「ごめんごめん。あの子って言うからてっきり小梅ちゃんのあの子かと」

藍子「あ〜……」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:30:58.85 ID:4ux1wBwJ0
加蓮「……握手会の時に小梅ちゃんのあの子が実体化して、藍子の列に並ぶ、夏のある日」

藍子「……本当なら、すっごくホラーちっくなお話なのに、どうしてでしょう。ぜんぜん怖くありません」

加蓮「その隣でどうして自分の列に並ばないのかと、ほんのちょっぴり唇を尖らせている小梅ちゃん」

藍子「ふんふん」

加蓮「そして小梅ちゃんの列には、不自然な間隔が空いているのでした――」

藍子「ふんふ――わあっ!? ……き、急に怪談話にするのはやめましょうよ〜」

加蓮「あはははっ」

加蓮「小梅ちゃんの話を聞いてる限り可愛い子っぽいし、むしろ会ってみたくなっちゃうよね」

藍子「ふふ。そうですね。いつかお会いできる日が来るのでしょうか……」

加蓮「……次に来た時の私に取り憑いてたらどうする?」

藍子「そ、それはちょっと、その……。あはは……」

藍子「か、加蓮ちゃんならきっと撃退できますよね!」

加蓮「えー、小梅ちゃんの友達なのに? 成仏させちゃうんだ。うわ、藍子ってばひどーい」

藍子「そういう言い方しないで〜っ」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:31:28.71 ID:4ux1wBwJ0
加蓮「ま、夏は終わったんだし怪談話はここまで」

加蓮「それより藍子、探してたあの子に会えたんだ。まだ藍子のこと応援してくれてた?」

藍子「はいっ! ただ、握手してあげた瞬間に、また魂が抜けてしまったみたいで……」

加蓮「えー、また?」

藍子「隣の子が、頑張って運んであげていましたっ」

加蓮「藍子相手に何を緊張することがあるんだか……」

藍子「加蓮ちゃん、加蓮ちゃん」

加蓮「んー?」

藍子「私もそれだけ、きらきら輝くアイドルになれた……ううん、なっているってことでしょうかっ」

加蓮「……、」

藍子「♪」キラキラ

加蓮「ふふっ。そうかもね」

藍子「よかった♪ 加蓮ちゃんの言葉を借りるのなら、これで加蓮ちゃんと一緒にいる建前、作れちゃいましたっ」

加蓮「えー? 建前がないと一緒にいてくれない間柄なんて、ちょっと何かあったらすぐ壊れるんだよ?」

藍子「……さ、先に言ったのは加蓮ちゃんです!」

加蓮「ひひっ」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:31:57.32 ID:4ux1wBwJ0
加蓮「で、それで落ち込んでたってことは――」

藍子「…………はい。そういうことです」ズーン

加蓮「そっか」

藍子「上手く伝えられなかったどころか……。列の次の方があの子だって気付いた瞬間、びっくりと、嬉しさが急に流れ込んでしまって……」

加蓮「パニクっちゃった?」

藍子「はい。それに、なんて伝えればいいかまだ決めていなかったから。そのこともあって、うまくお話することもできなくて」

藍子「あの子を……ファンの方を、がっかりさせちゃったのかなって思うと……」

藍子「……うぅ」

加蓮「いや、あのね藍子。あの子、藍子の顔を見て魂が抜けてったんでしょ? それって喜んでくれたってことじゃないの?」

藍子「……そう、なのかな?」

加蓮「そうなの」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:32:27.93 ID:4ux1wBwJ0
加蓮「まぁ……。何も言えなかったのはドンマイだけどさ。どう伝えればいいか決めてなかったのは私も悪いんだし」

藍子「そんな……っ! 加蓮ちゃんは悪くなんて、」

加蓮「私が悪くないなら藍子も悪くない。自分ばっかり責めてどうすんのよ」

藍子「でも、」

加蓮「それとも、何か上手くいかないことがあって、落ち込むような出来事があって、それを共有させてもくれないの? 私達ってその程度の関係だった?」

藍子「……、…………」フルフル

加蓮「はい、よろしい」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:32:57.10 ID:4ux1wBwJ0
加蓮「っと、コーヒーごちそうさまっ。そっかそっか」

藍子「……」ズズ

加蓮「その後の握手会は上手くできたの?」

藍子「あ、はい。取り返さなきゃ、って思って、その後はなんとか。ファンの方とも、楽しくお喋りできたハズですっ」

藍子「ちょっぴり早口になってしまったかもしれませんけれど――」

加蓮「藍子はそれくらいでいいでしょ」

藍子「うぅ、それ、スタッフさんやPさんにも言われてしまいました。今日の私は、はきはき喋りますねって、褒めてもらったくらいなんです……」

加蓮「はは……。分かってないなー。藍子に時間を奪われる楽しさを知らないとは」

藍子「時間を奪われる楽しさ!?」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:33:27.19 ID:4ux1wBwJ0
加蓮「ほら、私ってよく藍子のことを時間泥棒とか魔女とかって言うじゃん」

藍子「……言いますね」

加蓮「それ、私なりの褒め言葉」

藍子「褒め言葉に聞こえないので、別の言葉にしてくださいっ」

加蓮「へー。例えば?」

藍子「例えば――」

加蓮「例えばー?」ニヤニヤ

藍子「……加蓮ちゃんが考えて、今度教えてくださいっ」

加蓮「ちぇ」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:33:57.93 ID:4ux1wBwJ0
藍子「……楽しみにしちゃいますね♪」

加蓮「うぇ。褒めないとダメー?」

藍子「だめっ」

加蓮「うぇー」

藍子「その時は、私も加蓮ちゃんを褒める言葉を探して来ますから。ねっ?」

加蓮「はいはい。しょうがないなぁー」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:34:27.04 ID:4ux1wBwJ0
藍子「私が、時間を盗んでしまう泥棒さんや、魔女さんだって言うなら……。加蓮ちゃんは!」

加蓮「ほーう? 私は?」

藍子「……」

藍子「…………よ、弱虫で、泣き虫の寂しがり屋さん?」

加蓮「ほー。ほぉー?」グニグニ

藍子「いひゃいいひゃいっ」

加蓮「アンタね、そういうことを直接言うんじゃなくてたとえ話とかにするくらい――」

加蓮「いやそもそもデマなんだけど!? 誰が泣き虫よ。誰が寂しがり屋だって!?」

藍子「え、加蓮ちゃんのことです」

加蓮「え、じゃないわよ! "えっ?"みたいな顔しない!」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/09/01(日) 18:34:57.72 ID:4ux1wBwJ0
藍子「何かに例えればいいんですよね。寂しがり屋だから……。やっぱり、ウサギさん?」

藍子「それから、泣き虫は……。小さい子、とかかな」

藍子「じゃあ、加蓮ちゃんはウサギさんの子ですね!」

加蓮「明らかに私のキャラとかけ離れてるでしょーが!」グニグニグニグニ

藍子「いひゃいでふっ、いひゃいっ!」ペチペチ

加蓮「ぜーっ、ぜーっ……。誰がウサギの子よ……。そんなのうちの事務所に外にいるでしょ。智絵里とか……」

藍子「え〜っ。智絵里ちゃん、ああ見えてすごく頑張り屋さんなんですよ?」

加蓮「それは知ってるわよ。知ってるけど――」
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