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【安価】男「異世界転生しちゃった」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 11:27:48.15 ID:f+nH/MKh0
〜マンション 屋上
俺の名は男。彼女に浮気され、保証人になってあげた友人に逃げられ、会社をクビにされた俺は生きる事を諦め、マンションの屋上から自殺を図る。
だが落下の最中、目の前に俗に言う異空間の穴が開き、俺はその中へと吸い込まれてしまった。
穴の中は暗闇で、ふわふわと浮いている感覚だ。空を飛ぶってのはこういう物なのかと、呑気な事を考えていた。
暫くすると段々目が開けられないくらいに周りが明るくなり、何かの上に落とされ背中と頭に衝撃が走る。ここは、草むらの上だ。
「いてて……なんだここ」
辺りを見回してみると、昔よくやったゲームの様な世界が広がっている。明らかに現実とは違う場所というのはすぐに理解した。
俺は知っている、この現象を。俺に起きた事を。
「これ、異世界転生じゃね!?マジか!」
ゲームをしなくなった俺はライトノベルをよく読むようになった。
その中でも異世界転生物が好きで、羨ましくて、憧れていた。
だからこそ、今の置かれた状況に困惑する事はなく、むしろ高揚していた。
「定番のアレやってみるか!えーっと……ステータスステータス……あれ?どうやって出すんだ?」
頭の中でステータス表示、ウィンドウオープン、自己解析、メニュー等色々と考えて口に出してみても、何も出ない。
「おかしいな……何も出ない。でも俺って……」
異世界転生の定番とも言える事だが、もしかしたら俺は異世界最強の能力、身体能力、最強魔法等が使えるかもと浮き足立つが、詳細がわからないんじゃどうしようもない。
「う〜ん……どうしたもんかな」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1564972067
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 11:39:31.46 ID:f+nH/MKh0
「ちょっと試してみるか」
俺はその場から立ち上がり、軽く準備運動を始める。
最近訛ってたから念入りにな。
「よし!」
行動内容。行動によって起きた事柄。行動によって判明した能力。
安価下2
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 11:41:00.56 ID:SFZNm4Bi0
適当に進むと街道を発見
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 11:54:10.36 ID:+rxBvqI9O
ゴブリンらしきモンスターを発見。
まだ気付かれてはいないようだ。
しかし見た感じ話が通じそうではないので静かに立ち去る。
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 12:27:14.61 ID:f+nH/MKh0
何かを始めようとした時、視界の端にゴブリンらしきモンスターを発見する。
「う、うわ…やばっ……!」
俺は出来るだけ声を殺し、音を立てずに背の高い草にうつ伏せになる。どうやらまだ気付かれてはいないようだ。
漫画やゲームではモンスターが喋るのはそう珍しくない。知能が高いモンスターは喋れるという設定もよく見る。
しかし、あいつは見た感じ全く話が通じそうにない。まだ自分の事もよく分かってないのに、あんな得体の知れないやつと戦えるか。
ここは、静かに逃げよう。
「……そーっとな……そーっと……」
動く度に草が揺れ、その度俺の鼓動が早くなる。
頼むから気付かないでくれよ。とりあえず近くの木の後ろまで行ければ。
「ギギ……ッ!!」
「やぁっ!」
女の声がした。俺は少し顔を上げてゴブリンの姿を確認する。ゴブリンは女の前で倒れている。
死んでる?あの女がやったのか?
すると女は腰から短刀を抜き、ゴブリンの前に蹲って何かをしている。素材でも取っているのか。
この世界の事はまだわからないし、迂闊に人も信用出来ない。
話を聞きたいが、どうするか。
安価下
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 12:28:33.95 ID:/lU4AnRW0
愛想よく話しかけてみよう
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 12:54:19.49 ID:f+nH/MKh0
(怪しまれないように、自然と、愛想よく話しかけよう)
俺は勢いよく立ち上がったせいか、大きな音を立ててしまう。
流石に女も気付き、こちらを振り向く。
「や、やあ。こんな所で何をしてるの?」
「見ての通りだけど」
「あ、そ、そうだよね!」
やべーミスったか。とりあえず何か言わないと。
「それ、君がやったの?凄いね」
「……」
やべぇ、すげぇ怪しまれてる。
「…ふん。これくらい楽勝よ。何?あんた、冒険者?」
(冒険者!その職業があるって事はギルドがあるかな?)
一般的にギルドとは俺の知っている限り2種類あって、ライセンス登録をし、討伐、採取、護衛…etc。様々な依頼を受けたりしてランクを上げる冒険者ギルド。
もう1つは同じ志を持った仲間が集い、組織を立ちあげるギルド。
冒険者という職業があるなら、前者の可能性が高いな。
「そう、そうなんだよ。ちょっと道に迷っちゃって……」
「ふーん……それにしては変な格好ね。装備も無さそうだし……ホントに冒険者?」
や、やっべぇぇぇ!そういや忘れてたけど上下スウェットだ俺!
そりゃそうだわ、こんな冒険者いるわけねぇわ。やべぇじゃん、俺超怪しいじゃん。
「これには少々事情があってね……」
「……あっそ。で、何か用なの」
安価下
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 12:55:14.99 ID:68siRF640
とりあえず近くの町まで案内してくれないかな?
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 13:09:50.53 ID:f+nH/MKh0
「さっき言った様に、道に迷っちゃって……良かったら近くの町まで案内してくれないかな?」
「いやよ」
ほぼ即答だった。こんな右も左もわからない世界で、モンスターの出るフィールドに居るのはまずい。
「そこを何とか……お願いしますっ!」
両手を合わせて懇願する。
「いやよ。私に何の得もないじゃない」
「そ、そんな……」
取り付く島もないとはこの事か。案内が駄目なら道を聞くか、流石にそれは良いよな?
「じゃあ……近くに町はあるかな?道だけでも教えてくれると助かるんだけど」
「……あっち。しばらく歩くと街道があるわ。右はリネル村、左はメリルの町よ」
「あ、ありがとう!」
「別に。こっちもやる事終わったし、消えるわ」
「あ、うん」
女は素早い動きで指した街道とは逆に走っていく。だが、収穫はあった。
「とりあえずは街道だよな……どっち行くか」
安価下
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 13:12:09.89 ID:eKZKUJLf0
左
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 13:30:03.47 ID:f+nH/MKh0
左のメリルの町に行こう。
村という響きは長閑で親切な人が多いと想像するが、今は情報の多そうな町にしよう。
道中モンスターに出くわすことも無く、暫く歩くと街道を見つけた。
俺は女に言われた通り、街道を左に進んでいく。
〜メリルの町
「おお……すっげぇ!」
町に入るや否や、俺は感動する。俺の居た世界程の高さはないが、見たことの無い建物、綺麗な街並み、楽しそうに話す町民、武器を背負う冒険者と思われる者達。
様々な店が立ち並び、何処からか香ばしい匂いが俺の鼻を刺激する。
同時に安心したからか、腹が鳴る。
「あ……そういや死のうとしたから何も食べてなかったんだっけ……どうしよ」
安価下
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 13:38:07.56 ID:SFZNm4Bi0
酒場らしき場所に向かい、店主に相談
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 13:56:01.79 ID:f+nH/MKh0
やはりここは酒場だろう。トラクエなら仲間を見つけ、ロマサカなら町を動かすアイテムを教えてくれる。とにかく重要な場所だ。
酒場を探しながら町を歩いていて、分かったことが二つある。
まずは俺の服装だ。周りの町民から奇異の目を向けられ、恥ずかしい想いをした事。
そしてもう一つ。文字が全くわからない。看板には何語?ってレベルの文字が描かれ、俺の世界に存在した文字ではない。
でも、言葉は通じたな。よくわからん。
町を練り歩いていると、前の建物から昼間から泥酔した男性が仲間に担がれて出てきた。ここが酒場だな。
〜酒場
「へぇ……!」
居酒屋とはまた違う、大衆居酒屋とでも言うのか。仕切りは一切無く、木の丸テーブルと、その周りに木の丸椅子が室内に敷き詰められ、正面には店主と思わしき禿頭のおっさんがグラスを拭いている。
奥には階段があり、あそこは店主の寝床だろう。
俺はとりあえず店主の元へと移動する。その際も周りから変な奴が来たなって感じの目で見られた。
「あのー」
「おう、いらっしゃい。変わった格好してんな兄ちゃん」
「そうですよね、ははは……」
「で、なんにするんだ?」
「あ、いや、実は……」
「ん?」
相談内容
安価下
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 14:02:27.73 ID:eKZKUJLf0
とりあえず可愛い店員さんにお酌を・・・
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 14:25:11.36 ID:f+nH/MKh0
「あ、なんでもないです。お酒をひとつ貰えますか」
「だから何にすんだ?」
「えっと……火酒で」
「火酒か、ちょっと待ってな」
たくさんの異世界転生物を読んだ俺に死角はない。よく使われているであろう異世界の飲み物は火酒とエールだ。
まさか本当にあるとは思ってなかったが、言ってみるもんだ。
「ほらよ、代金は後払いだ」
「ありがとうございます。それと……可愛い女の子にお酌とかって……そういうサービスはあります?」
「なんだ兄ちゃん、女に酌させてぇのか」
「まぁ、はい」
「いいぜ。おーい!エルフ!ちょっとこっちきて兄ちゃんに酌してやれ!」
店主が大声で叫ぶもんだから周囲の目が俺に集まる。凄い恥ずかしい、やめてくれ店主よ。
すぐにエルフという可愛い女の子が近付いてきて、席に案内される。
お猪口を持ち、酒を注がれながらエルフという女の子を見る。
肌が黒いから、ダークエルフかな?それに…
「……耳、長いんだな」
「え?」
やばい、口に出していたか。ただでさえ変な目で見られてるんだ、目立たないようにしないと。
「いや、エルフって耳長いなーって」
「……」
沈黙が流れる。気まずい。変な事言ってしまったのか俺は。
「ぷっ…あはは!何言ってんすかお客さん!当たり前じゃないっすかー!」
「そ、そうだよね!あはは!」
「あはは!変なの!それじゃ私はこれで。ごゆっくりー!」
「あ、うん。ありがとう」
エルフが席から離れていき、俺は酒を飲む。うん、これは焼酎だな。
ただ酒を飲むのは良いが、一つ問題がある。
金が無い。
安価下
16 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 14:27:38.76 ID:/lU4AnRW0
この酒場に住み込みで働かせてもらう
17 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 14:51:21.91 ID:f+nH/MKh0
そうだ、住み込みで働いてしまえば良い。
そうすれば金も貯まるし、この服装ともおさらば出来る。
うんうん良いな、そうしよう。
俺は火酒を飲み終わると席を立ち、店主の元へと向かう。
「あの、ちょっと良いですか」
「ん?どうしたんだ?」
「実はさっきの続きなんですけど……住み込みで、ここで働かせてくれませんか?」
「はぁ?何言ってんだお前」
「実は、お金を持ってなくて……」
「何ぃ?持ってねぇくせに酒飲んでんのか!いい度胸してんな兄ちゃん!」
「は、ははは……」
上手く行きそうな流れだな。正直に話したのが良かったのか?
「でも駄目だな。金がねぇならさっさと出ていけ、火酒の1杯くらいくれてやるよ。だが、二度と来んなよ。てめぇの面は覚えたからな」
「あ……」
「さっさと行け!もし次来たら憲兵にしょっぴかせるからな!!」
「は、はい…!」
俺は逃げる様にして酒場を出る。周りからは笑い声が聞こえた、恥ずかしい。外に出ると陽は落ちて、すっかり夜になっていた。
もう酒場には行けない。
「何か……違うなぁ……」
空を見上げて俺は呟く。
異世界転生ってもっとこう、転生した俺がモンスターをばったばった倒して、自然と仲間が集まって、強大な敵に挑むもんだと思ってたけど、俺の異世界転生はそんなんじゃないのか。
そういえば、あの時は試せなかったけど、俺って何か能力はあるのかな?それとも、本当に無力な存在なのか。駄目だ、悪い方に考えるな。
さて、夜だけど今日の寝泊まりはどうしよう。火酒だけじゃ腹も満たされない。困ったな。
安価下
18 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 15:02:12.30 ID:pRyJXGyDO
路地裏で野宿
19 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 15:26:09.21 ID:f+nH/MKh0
野宿、かな。人は減ったとはいえ、表で寝るのは些か気が引ける。
路地裏に行こう、ここなら人目につかない。
近くの路地に入っていくと、建物と建物の間に良い感じのすぺーすがあった。
「はぁ……」
溜息が出る。無理もない、こんなはずじゃなかったんだから。
メリルの町は路地裏も綺麗なのか、横になっても問題なさそうだ。
ちょっと硬いけど、これくらいなら寝れるだろう。
「あんた、何してんのよ」
「え!?」
突然声を掛けられ、俺はあらぬ声を上げる。まさかこんな所に人が居るなんて思いもしなかったからだ。
声を掛けたのは昼間の女。
あの時もそうだが、上半身を濃い茶色のフード付き外套に身を包み、下は短パン、顔は良く見えない。
「依頼から帰ってきたらあんたがいたのよ。何するのかと思ったら路地裏に入ってくし、寝ようとするし……何してんの」
「あぁ〜……」
見られてたのか、恥ずかしいな。
「お金が無くてね、仕方なく野宿をしてるんだ」
「あんた、やっぱり冒険者じゃなかったのね。何者なの?見たことも無い格好だし」
「……突拍子も無い話だけど、聞いてみる?」
「聞くわ。宿でね」
「え?」
今なんて言った?宿?
20 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 15:45:52.98 ID:f+nH/MKh0
「何て顔してんのよ、宿で聞くって言っただけじゃない」
変な顔してたようだが、今はそんな事気にしてられない。
「いいの?宿」
「良いわよ別に。私があんたの事、気になるだけだし」
良かった。この女のおかげで今日は野宿せずに済みそうだ。
俺は宿に歩き出した女の後に付いて行く。
〜宿屋
「……あの」
「何よ?」
「え、同じ部屋?良いの?色んな意味で、いいの?」
「別に良いわよ。か二部屋借りるの勿体ないでしょ」
違うわい!同じ部屋に男女が2人、何も起こらないはずもなく。
ドキドキしてきた!
「そっか。そうだね」
「変なの」
そう言うと女は外套を脱ぐ。やっと女の顔が見れるな。
「え」
俺はその姿を見て、また変な声が出る。
「……?何よ」
女は端正な顔立ちで、頭からは兎の耳のような物が垂れていた。
外套の下は緑のチューブトップで、それなりに胸はあるみたいだ。
珍しいな、これはなんて言う種族なんだろう。
「いや、珍しいなって思って」
「そう?ま、何でもいいけど。話聞かせてよ」
俺はベットの脇に座っていて、女は隣に座る。
え、なにこれ?マジ?良い匂いするんですけど!
「ほら、早く」
肘でつつかれる。
俺は事の顛末を女に説明した。自殺しようとした事、転生した事、無能かもしれないと言う事。全てを聞き終えた女は、少し悩む素振りをする。
「どう?信じられそう?」
「……まぁ、無理な話よね。でも……」
「でも?」
21 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 16:06:00.27 ID:f+nH/MKh0
「あんたが嘘を言ってるようにも見えなかった。これでも嘘を見抜くのは得意なの。だから多分あんたの話は本当なのね」
まさかこんなにあっさりと信じて貰えるとは思ってなかったぞ。
転生した俺に対するご都合展開かな?
「明日からはどうするの?お金、無いんでしょ?」
「それが今の悩みの種だね、戦えればギルドの依頼とか受けたいけど……」
「採取依頼とかは?時間はかかるけど、あんたでも出来るんじゃない?」
確かに、と声が漏れた。集めるだけなら俺でも出来るだろう。
そうか、採取依頼か。良いかもしれない。
「ありがとう。参考にするよ」
「私も面白い話聞けたしね、別に」
女はベットから離れると持ってきた鞄から櫛を取り出して、桃色の髪を梳かしている。寝る前の習慣かな?
そんな事を思っていると、また腹が大きな音を立てる。
「……そういえば、あんた何も食べてなかったんだっけ?」
「うん……こんな事頼むのもアレなんだけど、食べ物ってある……?」
「ちょっと待ちなさい…………ほら、干し肉だけど」
女は鞄から、紙で包まれた干し肉をくれた。
優しさに涙が出そうになったが、我慢する。
俺は包を剥がし、干し肉食べる。滅茶苦茶美味い。
「ありがとう。ほんとに…」
「良いわよ。私はさきに寝るからね、食べたらあんたも寝なさいよ。あと変な事したら[
ピーーー
]から」
「怖ァ…」
女は隣のベットに潜ると、就寝する。
俺も干し肉を食べ終わり、満腹になると明日の事を考える。
ちゃんと、生きていけるかな。というか浮かれて忘れてたけど、死のうとしたのに生きようとするなんて変な話だな。
まぁ転生なんてしたら死んだも同然か。切り替え切り替え。
ベットに入り、明日に備えてしっかりと寝よう。
おほ〜ベット気持ちいいぃ〜。
22 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 16:12:11.19 ID:f+nH/MKh0
翌朝、女に冒険者ギルドに案内してもらった。女は用事があるらしく、そこで別れる事に。
いつか恩返ししよう。俺はそう心に刻んだ。
とりあえず、ギルドで手続きをしてしまおう。
〜冒険者ギルド
ライセンスの発行は手こずったが、何とか取れた。
文字がわからないから、口頭で受付嬢に伝えて書いてもらったのだ。さぁこれで俺も冒険者だ。ちょっとワクワクすっぞ。
まずは依頼だ、施設内の壁に依頼書が乱雑に、大量に貼ってある。
やりたい依頼があったら依頼書を取り、受付嬢に渡すというシステムだ。
さて、どれをやろう。
安価下
23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 16:18:25.59 ID:eKZKUJLf0
ゴブリンにさらわれた少女の救出
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 17:10:53.91 ID:f+nH/MKh0
採取依頼を探している時、ある依頼書に目が留まる。
それは、ゴブリンに攫われた少女の救出依頼だ。俺はふと、周りの冒険者を見る。
こんなに居るのに、人命が掛かってるというのに、何故誰も依頼を受けないんだ?
俺は元の世界に居る時の事を思い出す。俺が仕事を終え、帰り道を歩いてる時に、目の前の大通りで事故が起きた。
横たわる女性の傍に男性が2人とガードレールに激突した車。恐らく女性が轢かれたんだろうなってすぐ分かった。
だが、それだけ。可哀想だなって思うだけで、俺も、数十人の野次馬も、可哀想だなって思うだけなんだ。
その時は誰かが助けているし、大丈夫だろうとも思った。仮に誰も女性に近寄って、助けて無かったとしても、俺は見捨てるだろう。
俺はこの依頼書を見て、その時の事を何故か思い出してしまった。
俺に出来るのは採取依頼くらいだろう。だけどだ、見知らぬ少女だろうが人の命が掛かってるんだ。
今度こそ俺は、助けを求める声を、見捨てない。
俺は依頼書を剥がし、受付嬢の元へ行く。
「ありがとうございます。救出依頼ですね。少々お待ちください」
受付嬢は何かを書類に書き終えると、俺にバッチを渡してくる。
「これは?」
「救出依頼中という証です。依頼が完了したらお返し下さい」
了承すると、地図を渡される。
「これは……リンネ村の先の森かな?」
メリルの町と街道で繋がるリンネ村。その先には森があり、誘拐先と思われる所に印がある。
「あまり時間はありません。お願いします、男さん」
後ろから受付嬢の声が聞こえ、振り向くと深々と俺に頭を下げていた。そうか、受付嬢も気にしてたんだ。でも、期待に応えられるかな。安心と不安が同時に来る。
弱気になるな。戦おうと思えば戦えるんだ。気合い入れろよ、俺。
パンパンと頬を叩き、俺はメリルの町を出る。
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 17:16:23.52 ID:f+nH/MKh0
間違えた、リネル村です
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 17:42:27.93 ID:f+nH/MKh0
〜リネル村
歩く事数時間、特に何も無くリネル村に着いた。
想像通り長閑そうな村で、左には大きな畑が沢山ある。
右には民家が建っている。あまり多くはないが。
「そこな御方……もしや冒険者様ですか?」
「え?はい、そうですけど」
ライセンスが後押ししてるのか、俺は堂々と冒険者だと言い張れる。だが、どうして俺が冒険者ってわかったんだろう?
お爺さんが、杖をついて近付いて来た。
「おおお…貴方様が……ありがとうございます。どうか……どうか少女を……お願い致します……」
「まさか……」
俺はバッチを見た。なるほどな、これのおかげで俺が冒険者ってわかったんだな。
「必ず、助け出してきます。安心して待っていて下さい」
「おおお……冒険者様も、どうかお気を付けて……」
俺は村の奥の、もう1つの入口から森へと入っていく。
まず俺は石を何個か広い、適当な大きさの木の枝に掴まり、体重で折る。
「初期の有者ですらもっと良いもん持ってるよなぁ……」
頼りないが、投石用の石数個と木の棒を手に入れた。
俺は地図を取り出し、現在地を大体把握する。
今の位置から南西、北東、東の3箇所に印がある。
どうしようか。
安価下
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 17:53:04.83 ID:YQ9FwTJA0
3箇所の印について聞いてみる
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 18:19:06.69 ID:f+nH/MKh0
一旦戻って印の所に心当たりがないか聞いてみよう。
俺は踵を返し、リネル村へと戻る。
戻ると、近くに中年の男性が居る。この人に聞いてみよう。
「すみません、ちょっと聞きたいんですけど」
「ん?なんだい、冒険者さん」
俺は地図を男性に見せる。男性はほうほうと唸ると、すぐに地図を返してくれた。
「冒険者さん、その地図の印は違うねぇ。今奴らの住処はもっと南東にあって、廃村に居るはずだよ」
「え?」
「古かったんじゃないのかい?その辺りは他の冒険者さんが結構前に潰したはずだよ」
「あ、そうだったんですね。情報ありがとうございます」
危なかった。何も知らないでこの3箇所を回ってたら無駄骨も良い所。聞いてみてよかった、今の俺は冴えてるな。
気を取り直して、南東へと向かう。奥へと進んでいくと、なあの男性の言う通りゴブリンらしき足跡があった。
俺は緊張して、何度も深呼吸をする。すると、廃村らしき所が遠目に見えてきた。
草陰に隠れ、廃村が良く見える位置に移動する。
ゴブリン共が荒らしたせいなのか、元々なのか、荒れに荒れている。とてもじゃないが住める様な状態じゃない。ボロボロの家が沢山あるから、それなりに大きい村だったみたいだな。
俺がする事は──
安価、実行出来そうなものは全部実行します
安価下3まで
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 18:24:19.52 ID:h6e4p1RtO
ステルスミッション(可能な限り戦闘を避けて、現状を把握)
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 18:43:19.07 ID:OTTnyd4zO
もっとまともな武器がないか屋内を探してみる
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 18:48:16.54 ID:eKZKUJLf0
少女の様子を最優先する
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 18:49:26.55 ID:lsnCYWk9O
ゴブリンに見つからないように少女を捜索。ついでに目眩ましに使えそうな物や縄など、役に立ちそうな物を見つけたら確保する。
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/08/05(月) 19:27:18.23 ID:f+nH/MKh0
undefined
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/08/05(月) 19:29:14.01 ID:f+nH/MKh0
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