【ミリマス】ロコ「グッドなレイニーデイ」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 20:33:29.49 ID:OJq4hmGJ0
ガチャ

プロデューサー(以下、P)「お、全員揃ったみたいだな」

育「おはようございます!」

千鶴「おはようございます、P」

昴「おっすP。5人を集めて連絡事項があるってことは」

エレナ「もしかして」

ロコ「次の公演のことですか?」

P「ああ。次々回の定期公演のメインはこの5人、センターは育にやってもらいたい」

育「ほんと? やったぁ! この5人でわたしがセンターか……うん、わたしがんばるね!」

P「そこでだ。この公演に関してみんなの希望というか、やってみたいことの意見を取り入れたいと思うんだ。何かあれば言ってくれ」

昴「やってみたいこと? オレたちとファンとで野球大会するとか!?」

千鶴「そ、それはちょっと困りますわね……」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1564832009
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 20:34:14.63 ID:OJq4hmGJ0
エレナ「じゃあ、ここはセンターの育が代表して案を出してみたらいいんじゃないカナ」

育「わたしが案を出していいの?」

P「ああ、もちろんだ。特にこの5人での公演は、前日に行われるこのみさんたちの公演とはガラッと雰囲気を変えてみたいんだ」

千鶴「そちらのコンセプトは確か、セクシーさを前面に出したアダルティなステージ……でしたわね」

昴「そこから変化をつけるとなると、元気に盛り上げる感じとかかな……うーん、でもせっかくなら対抗して色々挑戦してみたいもんなー」

育「それじゃあ……わたし、ロコちゃんがデザインしたステージでライブしてみたいな」

ロコ「ほ、本当ですか!?」

育「うん! わたし、ロコちゃんが考えたJelly PoP Beansのステージ大好き! またあんな風にロコちゃんのアートが見てみたい」

エレナ「名案だネ! ワタシも大賛成だヨ」

千鶴「わたくしも構いませんわよ。あのときとはメンバーも違うことですし、きっと新しい発想が生まれることでしょう」

昴「そうだな。オレも大歓迎だよ」

P「全会一致みたいだな。ロコ、引き受けてもらえるか?」

ロコ「はい! こんなチャンス、願ってもみないものです。育、楽しみに待っていてくださいね」

育「ありがとう。ロコちゃん、がんばってね!」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 20:34:58.53 ID:OJq4hmGJ0
――翌日、劇場の最寄り駅


エレナ「あ、ロコ! 同じ電車だったんだネ」

ロコ「あっエレナ、お疲れ様です。今日からいよいよレッスンがスタートしますね」

エレナ「うん! 今日はなんだか体がウズウズして、学校でもずっと落ち着かなかったヨ」

ロコ「ロコもです。育からグレートなモチベーションをもらいましたから、良いインスピレーションが浮かびそうです」

エレナ「レオとしての活動は久しぶりだから、なんだか新鮮な気持ちだヨ」

ロコ「前回レオとして立ったステージはビッグなアリーナでしたけど、今回はロコたちのホームグラウンドでのライブです。かといって手は抜きませんよ」

ロコ「きっと育も前よりグロウアップしたところをオーディエンスに見せたいでしょうし、ロコもその思いは同じです」

エレナ「うんうん! ワタシたちのシアターだからこそできることってあるもんネ。テーマは成長。いいと思うヨ!」

ロコ「イグザクトリーです。育のためにも今度のステージはオンリーワンのクオリティにしてみせます。それがアーティストのミッションですから!」

エレナ「ワタシも楽しみにしてるヨ、一緒に頑張ろうネ」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 20:35:40.90 ID:OJq4hmGJ0
――さらに翌日、劇場


昴(そろそろレッスン時間だけど、ロコの姿を見ないな。きっといつもの部屋でアートを作ってるんだろうな)

コンコン、ガチャ

昴「ロコー、もうすぐレッスンが始まる――って」

ロコ「ここの曲線、コンセントレーションという意味ではいまいちですね。アブストラクトな観点からアプローチし直したほうが……ぶつぶつ…」

昴「……おーい、ロコー……うーん、こうなっちゃったら仕方ないか」


P「そうか。ロコ、創作に行き詰まりかけてるんだな」

昴「うん。オレももう少し強く呼びかけようか迷ったんだけど、育からのお願いをすげー喜んでたし、かなり気合い入ってるみたいだから集中させてあげたいと思って…」

千鶴「そうですわね。今回は新曲の初披露すもありませんし、コロちゃんも持ち歌の振り付けは頭に入っているでしょう」

P「ほぼ毎回歌っている全体曲いくつかを除けば、ロコが歌うのは『ゲキテキ!ムテキ!恋したい!』と『ココロがかえる場所』とソロ曲だけですからね」

昴「それなら一日丸ごと休んでもどうにかなりそうだな」

P「ああ。ただ、いつまでも休んでもらうわけにもいかない。とはいえロコもやることが増えてるわけだから、その辺りは柔軟に対応できるようにしたい」

P「もし期日が迫っても進捗が遅れているようなら、みんなとのレッスンや諸々の準備にもしわ寄せが来るかもしれないけど……協力していただけますか」

千鶴「ええ。何事も備えあれば憂いなしですからね」

昴「任せてくれよ。困ったときはお互い様だからな」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 20:36:17.96 ID:OJq4hmGJ0
――翌日、レッスンルーム


エレナ「うん、イイ感じだネ。ダンスのズレもないし、これなら本番も心配なしだヨ」

育「うん! けど、前より成長したところを見てもらうなら、もう少しむずかしいダンスにも挑戦してみたいな」

エレナ「確かに今回のテーマを考えると、それも必要かもしれないネ。ロコはどう思う?」

ロコ「ダンスとのシンクロを考えれば、あのパーツにはもう少しソリッドさがあったほうが……ぶつぶつ……」

エレナ「……あれ? ロコ、もうアートのことで頭がいっぱいになっちゃってるみたい」

育「ロコちゃん、ねえロコちゃんってば……うん。じゃあ今日はこれでおしまいにしよう。どう成長を見せるかのアイディアは、わたしが明日までに考えておくから」

エレナ「ワタシも考えておくネ。とりあえず今は、ロコにはアート作りに集中してもらおう」

育「うん……」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 20:36:52.10 ID:OJq4hmGJ0
――翌日


育「ここの振り付けを――こんな感じに変えてみたらどうかなと思って」パッパッ

昴「おーっ、すげーじゃん育! そんな複雑なステップ、いつの間に踊れるようになったんだ?」

育「この間のレッスンでダンスの先生に習ったんだ。どう? 『ゲキテキ!ムテキ!恋したい!』にも合ってるでしょ」

エレナ「うん、バッチリだヨ! このダンスならワタシも練習すればすぐ合わせられると思う。さすが育だネ」

昴「そうだ。せっかくだし、一人ずつフォーメーションを変えながら踊ってみたらどう? 育がまず踊って、その流れでエレナがついていくんだ。こんな感じで」サッサッ

育「すごーい、昴さん。見ただけでもうおどれちゃうんだ」

昴「まあな。けど育もほんとに成長してるって思うぜ。こんな感じでダンスに変化をつけて注目させれば、見に来た人たちにも育の成長ぶりをしっかりアピールできるんじゃないかな」

エレナ「いいネいいネ! ただ、ダンスのアレンジをいきなり変更するとなると、三人で息を合わせないといけないから、ロコとも相談しないと」

昴「そうだな。ただ、今のロコはアートに没頭してるから、急に変更して新しいことを覚えてもらうとなると、ちょっと大変かもしれないな」

育「あ……そうだね」

エレナ「そこはロコの作業と相談しながら、どうするか考えてみるヨ。ありがとネ、スバル」

育「……」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 20:37:42.65 ID:OJq4hmGJ0
コンコン、ガチャ

育「ねぇ、ロコちゃん」

ロコ「ぶつぶつ……あ、育! お疲れ様です」

育「おつかれさまロコちゃん、今話してもだいじょうぶ?」

ロコ「えっと……ノープロブレムですよ。なんでしょう?」

育「ロコちゃん、ずっとアートのこと考えてくれてるでしょ。だけど完成はまだなんだよね? だから、もしわたしに何か手伝えることがあるなら、なんでも言ってね」

ロコ「あ……。育、サンクスです。その気持ちだけで十分です。ロコは必ず、育の期待に応えられるアートをコンプリートしてみせますよ」

育「ほんと? 手伝いは必要だけどわたしだと力になれないとか、そういう意味じゃなくて?」

ロコ「いいえ、そんなことはないですよ。育は何も心配しなくてもオーケーです」

育「よかった。それじゃあ楽しみに待ってるね」

パタン

ロコ「……」

ロコ「さて、このパーツをすべてリテイクするとなると……ぶつぶつ……」

ロコ(ダメです……ベストなアイディアが何も浮かびません……)

ロコ(でも……サレンダーはありえません。このチャンス、ロコは必ずキャプチャーしてみせます! 絶対に……!)
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 20:38:20.76 ID:OJq4hmGJ0
――そうして、二週間経った


P「ロコ……約束通り、今日はレッスンの後で大道具さんとの打ち合わせだ。ステージアートの大枠は固まりそうか?」

ロコ「まだです。こんなクオリティのものを、クラフトマンたちに見せるわけにはいきません」

P「そうか……俺もできる限り協力するつもりだが、今から頑張って間に合いそうか?」

ロコ「……いいえ……でもP、あと少し、あと一日だけロコに時間をもらえれば、良いアイディアが浮かぶかも――」

P「既に大道具さんたちに無理を言って、ぎりぎりまで猶予を設けた状態なんだ。これ以上延ばせばロコたちの日だけでなく、他の公演にも影響が出てしまう」

ロコ「……わかりました」

P「レッスンもある中で色々大変だっただろう。こうなってしまったのも全面的に俺のミスだ。もっと日程にゆとりを持たせるとか、フォローの方法はいくらでもあったはずだ。すまなかった」

ロコ「いえ、そんなこと……時間だって、Pはしっかりギブしてくれましたし……」

P「ただ、俺の目には作りかけの状態のこれも良くできていると思うんだが……今からこれをブラッシュアップして完成品とするのでは、本当にダメなのか?」

ロコ「……ダメです。コンプロマイズしたものをオーディエンスの前に出すのは、ロコのポリシーではマストノットです…」

P「……わかった。みんなにはレッスン前のミーティングでそのように伝えるよ」

ロコ「……」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 20:38:56.05 ID:OJq4hmGJ0
P「――というわけで、残念だが今回ロコのステージアートは無しということになった」

ロコ「みんな、ソーリーです……納得いくクオリティのものをビルドできませんでした」

昴「大丈夫だよ、ロコ。気にするなって」

エレナ「そうだヨ。ロコが頑張ってたのはみんな知ってるし、辛いと思うけど……でも、これから頑張ればいいんだヨ!」

千鶴「ええ。ステージアートがなくても素晴らしい公演になるように、これから力を合わせて頑張りますわよ」

ロコ「みんな……」

育「……」

ロコ「育も、ごめんなさい……。あんなに楽しみにしてくれていたのに」

育「ううん。だいじょうぶ。千鶴さんの言うとおり、これからいっしょに良いライブができるように練習していこうよ」

ロコ「育……はい……」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/08/03(土) 20:39:32.89 ID:OJq4hmGJ0
P「それで演出の代替案だが、とりあえず今日までに育とエレナが出してくれた意見を元に俺が組んでみた。問題ないなら大体はこれに沿っていこうと思うが、どうだろうか」

昴「前のプランでは、オレと育で歌う『ビッグバルーン◎』の風船は、ロコがデザインしたものを使う予定だったんだよな」

P「ああ。風船は普段『PRETTY DREAMER』の演出で使っているものを流用することにした。これならすぐ用意できるからな」

昴「そっか、その手があったな! なら心配ないよ。それでいこうぜ」

千鶴「ステージセットが変わるなら、こことここの曲順は変更したほうが良さそうですわね」

エレナ「そうだネ。その方がライティングもじわじわ盛り上がる感じにできるし」


育「……」

ロコ「育、どうかしましたか?」

育「ロコちゃんは本当にこれでいいの?」

ロコ「えっ……」

育「ロコちゃん、平気なの? ステージアートが間に合わないなんて大変な出来事のはずなのに、みんな全然あわててないし、すぐに別のプランを出して…」

育「まるで、みんな最初から完成が間に合わないってわかってたみたいに……」
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