梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるのver.2019」

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1 : ◆EU9aNh.N46 [sage]:2019/08/01(木) 12:39:47.19 ID:FdY3liUnO
@7/25(木)練習後、教室

千歌「りっこちゃぁ〜ん♡ 一緒に帰ろっ♡」ニコッ

梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの」

千歌「」从c*°Д°§ ガーン

梨子「いや、そんなに驚いちゃう?」

曜「きっとその言い方がさ、千歌ちゃんの心の傷を抉るんだと思うんだよね」

梨子「そう、なの?」キョトン

曜「そうだよ」(迫真)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1564630787
2 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:42:46.90 ID:FdY3liUnO
曜「その証拠に見てよ、ほらっ!」

千歌「そうだよね……わたしみたいに歌詞の提出だって毎回遅れて、宿題だって教えてもらってばかりで、隙あらば膝枕してもらおうとしたり、お弁当を『あ〜ん♡』してもらおうとしたり、バストサイズがちょっぴりおっきいから嫉妬心を煽ったりするような普通怪獣なんかよりはさ、スーパー堕天使の善子ちゃんの方がいいもんね……」ブツブツ

梨子「うわぁ」ドンビキ

曜「ほらね、超絶ネガティブモードに入っちゃったでしょ」

梨子「う、うん。っていうか、何故に善子ちゃんのところへ行くって見抜いたの?」

曜「そりゃもちろん流れ的に──」

梨子「流れ的に?」キョトン

曜「まあ、いっか」

千歌「梨子ちゃんから見放されちゃったらさ、わたし生きてる理由なんてあるのかな……生きてる価値なんてあるのかな……」ブツブツ

曜「とりあえず『コレ』は私が連れて帰るから、梨子ちゃんはとっとと用事を済ませてきたら?」首根っこガシッ

梨子「……うん」

梨子(まさかあの曜ちゃんが千歌ちゃんを『コレ』呼ばわりなんて……色々呆れられてるのね)

千歌「う"う"っ……り"こ"ち"ゃぁーん"っ」ズルズル

曜(千歌を引きずりながら)「また明日ね〜」ゞ

https://i.imgur.com/nBc2MVc.jpg

梨子「う、うん。また明日」ゞ
3 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:43:29.06 ID:FdY3liUnO
よっちゃんルーム

梨子「──ってことがあったのよ。ここへ来るまでに」

善子「はぁ、やっぱりリリーって真性のドSよねー」

梨子「そう、なの?」キョトン

善子「そうよ」(迫真)

梨子「善子ちゃんまで曜ちゃんみたいなことを……っていうかリリー禁止っ!」クワッ

善子「別にいいじゃないの! ずら丸だって『ずら丸』って呼んでるんだし。っていうかヨハネよっ!」

梨子「だって私は千歌ちゃんと付き合ってるんだから、恋人を差し置いて渾名で呼ばれるのはちょっと……ねっ?」

善子「……一理あるわね。リリーだってこのヨハネのこと『ヨハネ』って呼んでくれないものね」

梨子「でしょ〜」

梨子(それで納得するんだ)
4 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:44:00.76 ID:FdY3liUnO
善子「いっそリリーも千歌のこと、何か渾名で呼んであげたらいいんじゃないかしら?」

梨子「へっ!?」メイ*◎ Д ◎リ

善子「いや、目ん玉飛び出るほどビックリしちゃう?」

梨子「その発想はなかったわ……善子ちゃん、もといヨハネ様って天才?」

善子「今の今まで気付かなかったのね、2つの意味で」

梨子「とはいえ千歌ちゃんに合う渾名かぁ……『ちーちゃん』とか?」

善子「ネコに付けそうな呼び名ね」

梨子「そ、そう? だったら……『チカピン』とかどうだろ?」

善子「『リコピン』になぞらえて? リリーの名前に沿わせたみたいな」

梨子「うん。どうかな?」

善子「うーん……微妙なところね」

梨子「ええーっ!? 割と自信あったのにー?」ガーン

善子「まあ一番は千歌が認めてくれるか否かよね、どんな渾名でも」

梨子「……そうなっちゃうよねー」ハァ
5 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:44:33.54 ID:FdY3liUnO
梨子「それで、善子ちゃんは千歌ちゃんの誕生日に何を贈るの?」

善子「そうね、そっちが本題だったわね。あとヨハネね」

梨子(今善子ちゃんが言ったとおり、来週の木曜日は千歌ちゃんの誕生日! ……だけど私はまだ、千歌ちゃんへ何を贈ればいいか迷っていて)

梨子(そこで善子ちゃんからアドバイスを貰うために、今日はここまで来たのよね。ごめんね、千歌ちゃん)

善子「このヨハネがリトルドラゴンちかちーへ賜る宝具は……これよっ!」つノート

https://i.imgur.com/UYY0vxZ.jpg

梨子「えーっと【聖ヨハネの黙示録、第十三編(裏)】?」キョトン

善子「そうよ、ヨハネが引き起こした数多の奇跡やら、下界の様相やら、いずれ覚醒するであろう才能やら、宝具に秘められし力やら、相対した脅威やら──」

梨子「なるほどね、架空のRPGの攻略本って訳ね〜」パラパラ

善子「って勝手に封印を解くなぁ!」サッ

梨子「ええーっ!? そんなに恥ずかしい?」

善子「リリーは自分の壁クイ本をさ、千歌に読まれたりしたら恥ずかしくならないの?」

梨子「全然」キッパリ

善子「あれっ? 前は『あ"あ"ーっ!?』って奇声上げちゃうぐらいだったのに」
6 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:45:04.64 ID:FdY3liUnO
梨子「そりゃあの頃はまだね。でも今は全然平気だよ」

善子「付き合うようになったから?」

梨子「うんっ♡」ニコッ

善子「だけど恋人相手だからって安易に真の姿を晒け出すのは──」

梨子「ベッドの上での参考にしてるから♡」ニコッ

善子「──そ、そう」ドンビキ

梨子「ふふっ、当日はどんなことしたら喜んでくれるかなぁ〜♡」ウットリ

善子「駄目だこいつ……早くなんとかしないと……」
7 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:45:35.01 ID:FdY3liUnO
夕方

梨子「今日はありがとね」

善子「どういたしまして。あんまり千歌を心配させちゃ駄目よ」

梨子「……わかってます」

善子「そうよね、リリーと千歌の仲だものね。問題は向こうよね……まさかあそこまで嫉妬深かったなんて」ハァ

梨子「そうなのよねー」ハァ

善子「とにかく、明日は千歌と一緒に帰れるのよね?」

梨子「うん。そのまま曜ちゃんちまで行くけど」

善子「まさか……曜にまで相談するつもり? プレゼントの件を?」

梨子「もちろんだけど。その次は夏休みで帰省中の果南ちゃんに。そのまた次は──」

善子「全然わかってないじゃないの! これから当日までメンバー全員へ聞いて回るつもりなのっ!?」

梨子「えっ? 駄目、かな?」キョトン
8 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:46:08.40 ID:FdY3liUnO
善子「駄目も何も、千歌が寂しがるじゃないの!」

梨子「うん、それが狙いだもんっ♡」ニコッ

善子「うわぁ……これで確定したわ、リリーは正真正銘のドSだって」

梨子「違うもんっ……私だって嫉妬してる相手がいるんだもんっ!」プンスコ

善子「嫉妬してる相手? 曜のこと?」

梨子「ううん、曜ちゃんじゃないよ。いや、ある意味曜ちゃんにも嫉妬してるところはあるけど」

善子「へっ!? でも他に思い当たる節はないし……」

梨子「私と瓜二つのアンチクショーよ!」プンスコ

善子「……マジで誰よ?」
9 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:46:42.57 ID:FdY3liUnO

千歌Side、十千万前

メイ* 皿 リ オカエリナサイ、チカチャン

千歌「ただいま、メカ梨子ちゃん。今日も庭掃除お疲れ様♪」

メイ* 皿 リゞ ドウイタシマシテ。ヨウチャンモ、ヨウコソトチマンヘ

曜「う、うん。メカリリー、普通に馴染んでるね」

志満「ほんと助かってるのよ、人手が足りないから」

美渡「買い忘れがあったりお客様が忘れ物した時なんかさ、ロケットターボで用事を済ませてくれるんだからな」

曜「そ、そうなんだ。完全にスタッフの一人として扱ってるんだね」

メイ* 皿 リ ソレヨリチカチャン、ナニカアッタノ?

千歌「……ううん、別に何も──」

メイ* 皿 リ イツモヨリコエノトーンガヒクイヨ。ソレニメノシタニシロイアト……ナイチャッタノ?

千歌「……あはは、メカ梨子ちゃんにはお見通しかぁ」ハァ

曜「相変わらず人並み以上の人間観察力だね」
10 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:47:36.28 ID:FdY3liUnO
千歌「あのね、今日は梨子ちゃん『善子ちゃんと用事があるから』って、一緒に帰れなかったの」

メイ* 皿 リ ソウナンダ、サビシカッタノネ

千歌「もちろん梨子ちゃんには梨子ちゃんの用事があって、今日は善子ちゃんの下へ行ったんだってわかってるよ。だけど……だけど──」

メイ* 皿 リつ ダイジョウブダヨ ナデナデ

https://i.imgur.com/7GmUxfI.jpg

千歌「メカ梨子ちゃん……」ウルッ

メイ* 皿 リ ホンモノリコチャンガ、チカチャンヲミステルナンテアリエナイヨ。シンジテアゲナヨ、カノジョノコトヲ

千歌「う、うん。そう、だよね?」

メイ* 皿 リ イママデヤッテキタコトハ、ゼンブノコッテル。ナニヒトツ、キエタリシナイ。デショッ?

千歌「うんっ。わたし、梨子ちゃんを信じるよっ!」

曜「そこで劇場版の名台詞言っちゃうんだ」
11 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:48:10.77 ID:FdY3liUnO
メイ* 皿 リ キョウハアツアツフックラノハンバーグダヨ。ヨウチャンノブンモアルヨ

千歌「そっかぁ〜、楽しみだなぁ〜♪」

曜「私も食べてっていいの?」

志満「せっかくだし食べていきなさい」ニコッ

美渡「その方が賑やかな食卓になるしなっ!」ニコッ

曜「了解であります! じゃあママへLINE送っとこっと」ポチポチ

美渡「ほらバカチカ、これで機嫌直しなさい!」

千歌「うんっ♪ ハンバーグっ、ハンバーグっ♡」ニコッ

志満「ふふっ、ハンバーグにして正解だったわね」

曜「それじゃ私も──」

メイ* 皿 リ ヨウチャンハ、マダマッテクダサイ

曜「へっ!? 私に何かあるの?」

メイ* 皿 リ ハイ。ヨウチャンニ、キョウリョクシテホシイコトガアルノデス

曜「協力してほしいこと?」
12 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:48:50.49 ID:FdY3liUnO
A7/26(金)帰りのバス内

千歌「さてと、そろそろウチへ着くね。降りよっか、梨子ちゃん♪」

梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるのであります」ゞ

千歌「またぁ!?」ガーン

曜「っていうか何さ、そのテンプレートから微妙に崩したような言い方は」

梨子「いや、あの言い方だと『千歌ちゃんの心の傷を抉る』って注意したのは曜ちゃんじゃない」

曜「いやまあ、そうだけど……だからって【私風】はないんじゃないかな?」

梨子「だってその方が説明する手間が省けるでしょ?」

千歌「説明する手間?」キョトン

梨子「うん。私が今日は『誰との』用事があるか説明するのを」

千歌「なるほど〜、じゃあ今日は曜ちゃんとの用事があるってことなんだね?」

梨子「そういうこと」

千歌「あっ、ちなみに今のは曜ちゃんの『よう』と用事の『よう』を掛けた──」

ようりこ「「説明しなくていいから」」

千歌「そんなぁ〜」从c*´•ω•§ ショボーン
13 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:49:24.62 ID:FdY3liUnO
運転手「十千万前ー、十千万前になりまーす」

千歌「じゃあね、梨子ちゃん。また明日ね」ゞ

梨子「うん、まあ明日」ゞ

千歌「曜ちゃん、梨子ちゃんへ手ぇ出したらぜっこーだからねっ!」

曜「はいはい、出さないから」

梨子「えっ!? 出してくれないの?」

ようちか「「えっ!?」」

善子「冗談はヨハネよっ!」

ビシッ☆

梨子「あいたっ!? っていうか、さっきまで黙ってたのになんでいきなりチョップしてきたの?」

善子「言っていい冗談の限度を超えてたから、に決まってるでしょ!」

梨子「いや、でも──」

運転手「……発車しますね」

プシュー

ようよしりこ「……すみません」

https://i.imgur.com/L1deMZ2.jpg

千歌「冗談かぁ……冗談、だよね?」
14 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:49:59.52 ID:FdY3liUnO
曜「止めてよね、梨子ちゃん。私、そんなんで千歌ちゃんと絶交なんてしたくないからね!」プンスコ

善子「千歌を焦らしたくなるのはわかるけど、駆け引きに周りを巻き込まないでよね!」プンスコ

梨子「……ごめんなさい。だけど千歌ちゃんったら、私よりあの偽物に甘えちゃってて」ムスッ

善子「ああ、マリーが手配したメカリリーね」

曜「仕方ないよ、あの娘が相手じゃ。察しがいいし、気が利くし」

善子「ほんとよね〜♪ ウチにいた弐号機やメカずら丸もそんなだったし」ノcリ,,皿,,ル ズラー

梨子「せめて本人がいる前で偽物を絶賛するのは止めてくれないかな?」ピキピキ

ようよし「「……ごめんなさい」」
15 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:50:40.64 ID:FdY3liUnO
曜「ところで善子ちゃんちのアンドロイド達は回収したのに、どうして千歌ちゃんちの娘はそのままなの?」

梨子「確かにそれは気になってたのよね。どうしてだろう?」

善子「さぁね。マリーなりの同業者支援の一環なんじゃない?」

曜「ああ、なるほど〜」

梨子「真偽はともかく、せめてせめて外装ぐらい私の姿から変えてほしかったけどね」

善子「リリーが苛立ってるところまでマリーの計算通り、なのかしら?」ヒソヒソ

曜「まさか……とは断言できないのが怖いところ」ヒソヒソ

善子「まあリリーは今まで3人も嫉妬ファイヤーさせてきた身なんだし、今度は己が煉獄で悶える時かもね」ヒソヒソ

メメ´- ント 从c*´-`§ ノcリ,,´-`,,ル ←でかみかん三人衆

曜「善子ちゃんだけはそれ言う資格ないと思うけどなぁ」ヒソヒソ
16 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:51:13.84 ID:FdY3liUnO
わたな部屋

梨子「それで、曜ちゃんは千歌ちゃんへ何を贈るの?」

曜「私はね……じゃんじゃじゃーん!」つ運動靴

https://i.imgur.com/7vPG5cV.jpg

https://i.imgur.com/VLAZEnH.png

梨子「へぇ〜、新しいスニーカーなのね」

曜「毎日練習してるとすぐ傷んじゃうからね。実用性重視であります!」

梨子「なるほど、千歌ちゃん喜んでくれそうね。しかもこの色合いって……」

曜「うんっ! ご覧のとおりみかん色とピンク色、千歌ちゃんと梨子ちゃんのイメージカラーだよ!」

梨子「……曜ちゃんっ」ウルッ

曜「えっ!? 泣くほど嬉しかった? 自分へのプレゼントじゃないのに?」

梨子「ありがとね……私と千歌ちゃんが付き合うの、認めてくれて……ううっ」メイ*; _ ;リ グスン

曜「いやいや、認めるって……私は姑じゃないから」
17 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:51:58.61 ID:FdY3liUnO
梨子「それはわかってるけど、やっぱりちゃんと周りから認められた上でお付き合いしたいものでしょ」

曜「まっ、それはそうだね」

梨子「私、必ず千歌ちゃんのこと幸せにしてみせるからねっ!」

曜「うんっ! 梨子ちゃんならできるって信じて……信じていい、のかなぁ?」(*― - ―*)ゞ ウーム

梨子「えっ!?」キョトン

曜「だってここ数日さ、梨子ちゃん毎日『ちょっと用事があるの』って誰かしらのお家まで行ってるじゃない」

梨子「そ、それは千歌ちゃんへベストなプレゼントを贈るために──」アセアセ

曜「……わかってるって。何より千歌ちゃん自身も」

梨子「──良かった。内心ムカムカだったんじゃないかって不安だったから」

曜「そういうのは無いよ、全然。むしろ千歌ちゃんには『梨子ちゃんに毎日会えなくても堪えられる』ようになってもらわないと、ねっ♪」

梨子「……そう、ね」

梨子(あと7か月もしたら、私は推薦を受けた東京の音大へ進学する。そしたら今みたいに、毎日千歌ちゃんと顔を合わせるなんてできなくなるんだから)

梨子(私だって、そんなの堪えられるかわからないよぅ……千歌ちゃんのいない生活なんて……)
18 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:52:33.01 ID:FdY3liUnO
B7/27(土)バス停前

Take1

千歌「それで梨子ちゃんはさ、今日は誰のお宅訪問するの?」

梨子「へっ!? あっ……今日は──」

曜「カットカットカットぉーっ!」ガバッ

ちかりこ「「曜ちゃんっ!?」」

曜「いやいや、そこはテンプレ崩しちゃ駄目でしょ!」

ちかりこ「「テンプレ?」」キョトン

曜「まず千歌ちゃんが『一緒に帰ろっ♡』って梨子ちゃんを誘って、それを『ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるの』って断るテンプレ」

千歌「いや、そのやり取り毎回やらなくちゃ駄目なの?」キョトン

梨子「そうよね、わざわざ千歌ちゃんをションボリさせる必要もない──」

ビシッ☆

梨子「──あいたっ!?」

曜「問答無用! 最初からやり直し!」

梨子「ええーっ!?」
19 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:53:04.98 ID:FdY3liUnO
Take2

千歌「りっこちゃーん、一緒に帰ろっ」ボウヨミ

梨子「ああ……ごめんなさい。私はちょっと用事があるのかなん?」ボウヨミ

曜「そしてこのやる気の無さである。役者魂はどこへ捨てたんでありますかっ!」クワッ

千歌「いや、別にわたし達役者って訳じゃ──」

曜「スクールアイドルたるもの、常時ステージの上に立っているものと心得ておくべきでありますよっ!」クワッ

千歌「な、なるほど」

梨子「感心しなくていいから。で、肝心の曜ちゃんはどうなの?」

千歌「おっ、今のは『感心』と『肝心』を掛けた──」

梨子「掛けてないから」

曜「……ごめんなさい、心得てません」
20 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:53:36.08 ID:FdY3liUnO
千歌「んで、今日は帰省中の果南ちゃんとの用事なのはわかったけど、なんで『あるのかなん?』なのかなん?」

曜「これじゃ用事があるのか無いのかハッキリしないよね」

梨子「いや、だって果南ちゃんにわかりやすい口癖とか無かったから」

曜「あはは、確かにね。だったら『ハグ、しよ♡』辺りじゃ駄目だった──」

梨子「あ"っ」メイ*◎ Д ◎リ

曜「──いやいや、そんな目ん玉飛び出しちゃうほど盲点だったの?」

梨子「じゃあもう一度やり直しでっ♪」ニコッ

曜「う、うん」

千歌(別にハグしてほしいなら、いつでもオッケーなんだけどなぁ〜)シュン
21 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:54:10.64 ID:FdY3liUnO
Take3

千歌「りっこちゅわぁ〜んっ♡ いっしょにか〜えろっ♡」ニコッ

梨子「ああ……ごっめんなさ〜い♡ わったしはちょっと用事があっるの〜♡ お詫びにハッグ、しっよ♡」ニコッ

ダキッ♡

千歌「り"こ"ち"ゃぁーん"っ」グスン

梨子「ち"か"ち"ゃぁーん"っ」グスン

曜「いやいや、何このテンションの上がりっぷりは」

千歌「わたし、待ってるから。梨子ちゃんが用事を全部済ませるのを」グスン

梨子「うんっ。私、必ず用事を全部済ませて千歌ちゃんの下へ戻るからね」グスン

|c||^.- ^|| エンダァーイヤァーッ♪

曜「ってダイヤちゃんっ!?」

https://i.imgur.com/LDFsXk9.jpg

ダイヤ「そんなに驚くことですの? わたくしがここに居て」

曜「いや、だってダイヤちゃんは卒業して東京へ──」
22 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:54:42.98 ID:FdY3liUnO
ダイヤ「果南さんと同様ですわ。夏休みなので帰省しておりましたの」

曜「ああ、そうでしたか」

ダイヤ「この照りつける日差しの中、毎日の練習ご苦労様です」

曜「ありがとうございます。せっかくなので、これから少しお喋りでもしません?」

ダイヤ「ああ……すみません。わたくしは少々用事がありますの」

曜「いやいや、別にダイヤちゃんまでテンプレに当て嵌めなくても。っていうか『用事』ってルビィちゃん達のこと?」

ダイヤ「ええ。他に何がありまして? 果南さんや鞠莉さんとは、午前中に色々お話してきましたので」

曜「さすがシスコンお姉ちゃん&仲良し幼馴染みトリオ」
23 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:55:14.98 ID:FdY3liUnO
淡島、フェリー乗り場

果南「来ると思ってたよ、梨子」ウデクミ

梨子「果南ちゃん……お久しぶりです」

ザパーン!

https://i.imgur.com/lq9ogw1.jpg

梨子「って何ですか!? この『歴戦をくぐり抜け、成長した姿を数年振りに師匠へ見せる』みたいな雰囲気はっ!」

果南「いやー、別にそんなつもりはなかったんだけど」

梨子「果南ちゃんが悪いんですよ! いっつも一歩引いた位置で訳知り顔して腕組んじゃっているんですから!」プンスコ

果南「なんで怒られちゃってるんだか、私」ハァ

梨子「この際だから言っておきますけど、私は果南ちゃんにも嫉妬してますからね!」キリッ

果南「嫉妬? っていきなり宣言されても心当たりが無いんだけど?」
24 : ◆EU9aNh.N46 :2019/08/01(木) 12:55:46.71 ID:FdY3liUnO
梨子「千歌ちゃんと幼馴染みだってことです!」クワッ

果南「いやー、そんなことで嫉妬されても」

梨子「私には千歌ちゃんとの思い出が約1年と4か月分しか無いんですからねっ! 十数年もの思い出がある果南ちゃんや曜ちゃんが羨ましくて羨ましくて仕方ないんですからねっ!」ギリリッ

果南「歯軋りしちゃうほどなんだ。だけど思い出なら、これからいくらでも──」

梨子「私、来年から東京なんですけど」

果南「ああー……千歌は?」

梨子「千歌ちゃんは県内の大学の予定です。父方のおばあちゃんの家から通うんだって」

果南「なるほどね。自炊の手間やらバイトの必要やら気にしなくていいもんね」

梨子「千歌ちゃんだって東京まで来ればいいのに……ルームシェアだってしたっていいのに」ブツブツ

果南「うーん、きっと千歌なりに梨子へ負担をかけたくないんじゃないかな?」

梨子「負担?」
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