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奏「夏紀センパイ、付き合っていただけませんか?」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:09:04.37 ID:lDAUfTp00
響け!ユーフォニアム〜誓いのフィナーレ〜
久石奏×中川夏紀 なつかなSS
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1563080944
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:09:54.23 ID:lDAUfTp00
夏紀「ハァ? こんな夜更けにいきなり電話してきてなに言ってんの」
奏『おや? もしかして愛の告白とでも思われました?』
夏紀「切るよ」
奏『そんな冷たい。ちょっとした戯れじゃないですか』
夏紀「そーゆーのいいから。なに。なんかあった?」
奏『そう急かさないでくださいよ』
夏紀「用があったから電話してきたんじゃないの」
奏『用がなかったら電話してはいけませんか?』
夏紀「別に……いいけど」
奏『さすが夏紀センパイ。おやさしい』
夏紀「まぁね」
奏『久美子センパイの次に』
夏紀「ひと言余計なんだよ」
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:10:48.23 ID:lDAUfTp00
夏紀「で、何の用?」
奏『急かさないでくださいよ。センパイがどうしても聞きたいとおっしゃるなら教えてあげます』
夏紀「電話かけてきたの、奏のほうからなんだけど」
奏『そんなに気になります? 私が電話をかけてきた理由』
夏紀「切るよ」
奏『しょうがないですねぇ。特別に教えてあげます』
夏紀「聞いてないんだけど」
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:12:58.25 ID:lDAUfTp00
奏『実はセンパイにお願いがありまして』
奏『明日提出しなければならない課題があるのですが、』
奏『プリントをうっかり学校に忘れてきてしまったんです』
夏紀「へぇ。奏でもそんなミスするんだ」
奏『そこが私の可愛さの所以と申しますか。あまりにカンペキすぎると可愛げがありませんからね』
夏紀「そんなもんかね」
奏『さすがセンパイ、私の魅力をよく理解していただけて恐縮です』
夏紀「どーしてそういう解釈になる」
奏『照れなくてもいいんですよ。センパイが私のことを好きだということは存じておりますので』
夏紀「はいはい。奏のこと好きだよー」
奏『では心を込めてもう一度』
夏紀「さっさと話を進めて」
5 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:13:37.87 ID:lDAUfTp00
奏『コホン。では本題に入ります』
奏『今から学校にプリントを取りいくのでお付き合いいただけませんか?』
夏紀「えー、今からぁ?」
奏『カワイイ後輩が困ってるのに見捨てるんですか。私のことを好きだとおっしゃったでしょう』
夏紀「うーん、今はちょっと……誰か他にいないの? ほら、仲いい子いたじゃん。オーボエのあの子、よろい…じゃなくて剣崎さん」
奏『梨々花ですか? 今日はダブルリードのお泊り会だとかで鎧塚センパイのおうちらしいんですよ』
夏紀「えー、でも奏、友だち多いって言ってたよね。他に頼る子いるでしょ」
奏『友人は多いと自負しておりますが、大切な友人だからこそ迷惑はかけられないというわけでして』
夏紀「あたしには迷惑かけていいってか」
6 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:14:43.13 ID:lDAUfTp00
奏『何をおっしゃる。こういう困ったときに助けてくださるのはセンパイと相場が決まっているでしょう』
夏紀「んじゃー、黄前ちゃんに頼りな」
奏『野暮なこと言わないでください。こんな夜更けに久美子センパイが誰と一緒にいると思ってるんです』
夏紀「……あー、まー、そーね」
奏『………今、いやらしいこと考えましたね』
夏紀「考えるかっ」
奏『じゃあ久美子センパイが誰と一緒にいると思ったのか答えてくださいよ』
夏紀「それは……」
奏『言えないんですか?』
夏紀「えっと…………」
奏『センパイって、意外とハレンチなんですね』
夏紀「言うよ、言えばいいんでしょ」
奏『はい。それではお聞かせください』
夏紀「つかも…」
奏『ご家族と一緒にいらっしゃるに決まっているでしょ』
夏紀「切るよ」
奏『まぁまぁ落ち着いてください』
7 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:15:38.36 ID:lDAUfTp00
奏『後藤先輩梨子先輩の甘いひとときをジャマするわけにもいきませんし、やむにやまれず夏紀センパイに電話したわけです』
夏紀「消去法かい。てかあたしにも都合がある、って想像は働かないわけ?」
奏『センパイは困ってる後輩を見捨てるような、そんな方ではありませんから。そうでしょう?』
夏紀「どうだかね」
奏『では、夜道をカワイイ女の子一人で学校まで行けと』
夏紀「いやべつにそんなこと言ってるわけじゃ」
奏『暗闇から飛び出してきた暴漢に襲われてしまえと』
夏紀「いやいや」
奏『ズタボロにされた挙句、人生を台無しにされてしまえばよいと』
夏紀「…………あー」
奏『センパイって、ひどい人です。やさしいフリをして、本当は私のことなんてどうでもいいんですね』
夏紀「あーもー、わかった。わかったから。行くよ。行けばいいんでしょ」
奏『さすが夏紀センパイ。お心が広い』
夏紀「ったくもー」
8 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:16:26.99 ID:lDAUfTp00
奏『まぁいつもあれこれ演奏のこと教えてあげてるんですから、ここらでひとつ、ご恩返しいただきたいわけですよ』
夏紀「それを言われると弱い」
奏『こう見えて私も感謝してるんですよ。強豪校の吹部に入ってまさかセンパイに演奏を教えるだなんて、想像もしなかった経験をさせていただいてるわけですから』
夏紀「どうしてそう余計なひと言言うかなぁ」
奏『そこが私のチャームポイントですから』
夏紀「はいはい」
奏『それでは私は今から家を出ます。センパイは駅で待っていていただけますか? 30分ほどで着きますので』
夏紀「ごめん、もうちょっと時間もらっていいかな」
奏『……? センパイのご自宅からでしたら駅まですぐでしょう?』
夏紀「うん。家からなら近いんだけど今ちょっと出先でさ」
奏『出先? どこにいるんです?』
夏紀「優子の家」
奏『吉川部長の……』
9 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:17:54.57 ID:lDAUfTp00
夏紀「打合せを兼ねて一緒に勉強しててさー」
奏『…………』
夏紀「気づいたらだいぶ遅くなっちゃったし、泊まろうかとも思ってたんだけど」
奏『…………』
夏紀「一回家に帰って荷物置いてから駅行くから、ちょっとだけ待っててもらっていい?」
奏『…………』
夏紀「………奏? 聞いてる?」
奏『………すみません。やっぱ大丈夫なので』
夏紀「は? なに? 聞こえない」
奏『………一人で、行きます。一人で大丈夫です』
夏紀「おーい、声がちいさくて聞こえないよー」
奏『大変失礼しました。それでは吉川部長とごゆっくり』プツン
ツーツーツー
夏紀「………奏? ちょ、奏? あれ? 切れた?」
夏紀「…………いったいなんなの」
10 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:19:05.20 ID:lDAUfTp00
1時間後 久石家
奏(…………)
奏(…………ハァ)
奏(………サイアク。もう課題とかどーでもいいや)
prrrr……
奏(!)
prrrr……
奏(…………)
prrrr……
奏(しつっこいなぁ)
奏「………はい」
11 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:19:46.07 ID:lDAUfTp00
夏紀『奏? やっと出た。今どこ?』
奏「どこ、って……家ですけど」
夏紀『ハァ? なんでそんなとこにいるの!』
奏「む。私がどこにいようが私の勝手でしょう」
夏紀『人のこと呼び出しといてなに言ってんの』
奏「呼び出して、って……」
夏紀『奏が来いっていうから来たんだけど』
奏「センパイ、今どちらにいらっしゃるんです?」
夏紀『駅だよ! 駅!』
12 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:20:39.34 ID:lDAUfTp00
奏「どうして……」
夏紀『どうして、って、奏が呼んだんでしょ』
奏「それはそうですけど……吉川部長と一緒だったんじゃ」
夏紀『そうだけど、さすがに奏一人で夜の学校に行かせられるわけないじゃん』
奏(センパイ………)
奏「今からすぐ家出ます」
夏紀『りょうかーい。じゃあ、駅で待ってる』
奏「………ありがとうございます。センパイこそ気を付けてくださいね。夜に女性一人ですから」
夏紀『それならだいじょーぶ。優子と一緒だから』
奏「…………えっ」
13 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:21:35.56 ID:lDAUfTp00
夏紀『優子に話したらさー。付き合ってくれるって。ほら、二人より三人のほうが安全でしょ』
奏「…………」
夏紀『んじゃ、駅のロータリーらへんにいるから。着いたられんら…』
奏「私、一人で行くって言いましたよね」
夏紀『うん?』
奏「実は電話のあとすぐに家を出て学校に行きプリントを取ってさきほど帰ってきたところなんです」
夏紀『はぁ?』
奏「と、言うわけですので私はこれから課題をしなくてはいけないんです」
夏紀『待って、ちょっとどういうこと?』
奏「もう切りますね。それでは夏紀センパイ。吉川部長によろしくお伝えください」プツン
ツーツーツー
夏紀「奏? ちょっと奏!? ……あー、また切られた」
優子「どうしたの。久石さん、いつ来るの」
夏紀「んー………よくわかんないけど切られた」
優子「ハァ?! あたしがせっかく付き合ってやってるのになにそれ!?」
夏紀「来てくれなんて頼んでませんけど? あたしは一人で行くって言ったのに、優子が来るって言い張ったんじゃん」
優子「それはまぁ……部長として一年生が困ってるのを見過ごせなかっただけだから!」
夏紀「はいはい」
14 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:22:15.93 ID:lDAUfTp00
次の日 朝 駅
奏「…………なんでいるんです」
夏紀「ここにいれば確実に奏に会えると思って」
奏「待ち伏せですか。一体何の用です」
夏紀「それはこっちのセリフ。昨日の電話、一体何だったの」
奏「しつこいですね。もう済んだ話でしょう」
夏紀「済んでないよ。夜中にいきなり電話かけてこられて振り回された身にもなれっての」
奏「それはそれは大変申し訳ございませんでした。これでよろしいですか?」
夏紀「……なに、その態度」
15 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/14(日) 14:23:42.21 ID:lDAUfTp00
奏「お怒りもごもっともです。なにせ大事な大事な吉川部長とのお時間をジャマしてしまったんですものね」
夏紀「そういうことを言ってるんじゃないよ」
奏「何度でも謝りますよ? 吉川部長との楽しいひとときをジャマしてしまって、」
奏「 も う し わ け ご ざ い ま せ ん で し た ! 」
奏「これで満足ですか?」
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