【ミリマス】育「ドラマ おおかみ姫」

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58 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:35:10.42 ID:zmX2O7Gg0
朋花「やれやれ……仕方ありませんね。マリリンさんにとっては、この地上の万物はあまりにも脆弱すぎますから」

朋花「彼女にその気はなくとも、羽ばたくだけで建物が吹き飛んでしまうかもしれません。ご了承くださいね〜」

恵美「させないよ!」

シュインッ バリン!

朋花「おや……私の障壁を破るとは、この魔法弓術はサジタリアス王家の……」

恵美「美しいお嬢さんに武器を放つのは性に合わないけど、我が妻を狙う悪魔とあれば話は別だ。覚悟してもらうよ」

兵士「メルセデス王子!」

朋花「さすがサジタリアス王国の第三王子にしてヴォルフス王国次期女王が見初めたお方……お見事ですよ」

まつり「テレーザちゃん、王子様とお話している場合じゃないのですよ。マリリンは先を急ぐのです」バサバサ

兵士「ぐわぁっ、なんだこの風は!」

兵士「衝撃波だ! 辺りの窓が割れていく……! 古い建物が危ないぞ!」

分隊長「まずい。避難指示は出ているな? 市民の安全が最優先だ。大砲隊は警察の応援に加われ!」
59 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:35:39.19 ID:zmX2O7Gg0
警官「誰かいますかー! 避難指示のお知らせに来ました!」

警官「この区域は危険です! いたらすぐ避難してくださーい!」

ローカルギャングA「はぁ!? なんでサツがここに」

ローカルギャングB「なんだテメェら! 誰の許可取ってここに――」

海美「へぇ。レストランの地下はあんたらの根城だったと。こんな状況でもなきゃ突入なんてできなかったんだから、悪魔に感謝しなきゃいけないのは複雑だけど」

ローカルギャングB「ゲッ! あんたは――」

海美「さあ善良なウェイターのみんな、ここは危ないからさっさと避難してよね。それとも、ここから動きたくない理由でもあるのかな」

ローカルギャングボス「フッ……姫様直々のお出ましとあればお手上げせざるを得ないですな」

海美「あなたたちの土地勘を買って頼みがある。既に病院や福祉施設の守りを強化させてるけど、それ以外で要救助者の居場所を知っているなら教えて」

海美「もちろん、協力してくれれば相応の対価は支払させてもらうよ」

ローカルギャングボス「いけませんな姫様。我々のような者と取引をするなど、あってはならぬことです。お前たち、話は聞いたな」

ローカルギャングC「ボ、ボス……わかりやした」

ローカルギャングD「六番街の偏屈婆さん、何年も前に旦那が死んだと言って保険金を貰っているが、本当は生きてる。ただ爺さんは去年から寝たきりだ。近所にも黙ってるから逃げ手がない」

海美「わかった。ありがとう。他に心当たりがある人は――おっと、この分だと全員助けるまでに人手がかかりそうだね。若い衆、何人か借りてもいい?」

ローカルギャングボス「ええ。仰せのままに」

ローカルギャングE「へへ……生まれてからずっと日陰者だった俺が、まさか姫様のお役に立てるなんてな」

海美「みんなが悪いことをしなくても生きていける世の中にすること。それが私の夢なんだ。うんうん。今のあなたたち、良い顔してるよ」
60 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:36:13.88 ID:zmX2O7Gg0
――ヴォルフス王都、国立大学


学生「おいおい、どうなってるんだ? 図書館の旧館が真っ黒な柱で覆われちまってるぞ」

学生「待てよ、あそこにはさっきカタリーナ王女がいたような……」

警官「こら! 野次馬は離れて、早く建物の中に入るんだ。今は自分の身の安全を最優先だ」


まつり「ふむ……どうやらここで間違いないのです。さて、そうとわかれば――」

育「待て!」

まつり「ほ?」

育「カタリーナ王女には指一本触れさせない。お前の相手はぼくだ!」ジャキン!

まつり「これは、ヴォルフス初代王配の聖剣……なるほど。なら、視点を変えてみた方が良さそうですね」

育「来ないならこっちから行くぞ。だぁぁぁ!」

ガキィン…

育「――えっ。手応えがない……」

まつり「時間ならたっぷりあるのです。あなたが私に立ちはだかれる人物かどうか、見定めさせてもらうのですよ」
61 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:36:54.37 ID:zmX2O7Gg0
ミシミシ…

市民A「まずい、建物がこっちに崩れてくるぞ!」

男の子「ママー!」

市民B「いやぁ! 坊や!」

環「グァァァーーッ!!」

市民C「なんだあれは!? 狼じゃないか! 悪魔の次は魔物まで現れたとでも言うのか?」

ドガシャーン

市民D「違う。狼が立ちはだかって、瓦礫の山を跳ね返してくれたんだ。まるで建国の伝説に出てくる初代女王のようだ」

市民C「建国の伝説……あの燃えさかる炎のような美しいたてがみは、まさか……そうか。きっとあれは、ターニャ王女だ!」


朋花「馬鹿な……満月を避けて今宵を選んだというのに……。!? あの光は――」

恵美「悪いね。僕の側近たちに、魔法で内側からこの街の時計塔の文字盤を照らしてもらってるんだ。これで王都のどこからでも満月が見渡せるってわけさ」

朋花「くっ……余計な真似を…」

恵美「おや、彼らを攻撃する暇があるならカタリーナのところへ急いだ方がいいのでは? まあどっちにしろ僕が黙ってないけどね。にゃはは」

朋花「後悔しますよ、王子」

恵美「臨むところだ!」
62 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:37:34.67 ID:zmX2O7Gg0
市民E「姫様がワシらを瓦礫から守ってくださったのじゃ!」

市民F「おお、なんて勇ましいお姿じゃ」

市民G「まるで建国の英雄を見るかのようじゃ」

市民B「坊や!」

男の子「ママー!」

環「クゥーン♪」

男の子「おおかみさん、ありがとう!」

市民B「本当に、ターニャ王女様なのですね? ああなんとお礼すれば……」

兵士「さあみなさん、こちらに避難を!」


ガキンッガキンッ

恵美「くっ!」
63 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:39:26.72 ID:zmX2O7Gg0
市民C「まずいぞ。メルセデス王子が悪魔に押されている…」

環「ガウゥッ!」ダッ

市民D「ターニャ王女!」


バキィ

恵美「ぐわあ!」

モフッ

恵美「ターニャ、すまない」

環「ワフッ♪」

恵美「ありがとう。さて、どうするかな悪魔のお嬢さん? どうやら貴女はターニャの力を恐れているご様子だが」

朋花「王子、私は申し上げたはずです。後悔することになると。私がただあなたのフィアンセの魂を狙うだけの悪魔ではないことに、あなたはお気づきではないようですので」

恵美「僕を動じさせようというのか? ならそれは無駄なことだ」

朋花「いいえ。本当に魂が欲しいだけなら、悪魔がもう一人馳せ参じることはなかったでしょう。魂を食らうかはさておき、今はまず止めねばならないのです。カタリーナ王女を」

恵美「止める? ……まさか、この騒動の発端はカタリーナに?」
64 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:39:59.47 ID:zmX2O7Gg0
朋花「ウフフ。ようやくご理解いただけましたか。カタリーナ王女は禁忌に触れてしまったのです。人の次元で踏み入れてはならぬ領域を、覗いてしまったんですよ」

恵美「確かにカタリーナはターニャの先祖返りを打ち消す方法を本気で探していた。藁にもすがろうとしていた。それがまずかったというのか」

環「ガゥ…」

朋花「あのまま放っておけば、カタリーナ王女はいずれ人の形を保てぬようになり、この国に災厄をもたらす――いいえ、その存在が災厄そのものとなるでしょう」

恵美「そんなこと……!」

朋花「ですが今ならまだ止める方法はありますよ。彼女が触れてしまった悪魔の力と、彼女自身とを切り離せば良いのです」

恵美「貴女を信じて良いのなら、教えてくれないか。そのために必要なものとはなんだ? どうすれば我が妻を救える?」

朋花「とびきり強力かつ新鮮な、悪魔の角。そして狼の牙。それらを勇気と愛で包みながら、彼女の闇に突き立てれば良い」

恵美「勇気と愛――」

朋花「まったく……いくら自分の力を乱用されそうになったとはいえ、物好きな悪魔もいたものですよ。付き合わされる方の身にもなって欲しいですね〜」

恵美「ターニャ、今すぐイグナスの元に行くんだ。大丈夫。この場は僕に任せてくれ。カタリーナを頼んだよ」

環「ガウ!」
65 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:40:26.08 ID:zmX2O7Gg0
育「はぁ……はぁ……」

まつり「ほ? まるで勝負にならないのです。魔法のセンスは認めますが、剣術で全部台無しなのです。基本だけではどうにもならないのですよ」

育「ぐっ、そんなことはわかってるよ! この剣だって、どう考えてもぼくには不釣り合いだ。だけど、そんなことはどうだっていい!」

まつり「どうしてそうまでして強がるのです?」

育「ぼくには、ぼくを必要としてくれる人がいる。ぼくはただ、その人のとなりに立つのにふさわしい男になりたい。それだけだ」

育「家族も、居場所も、夢も、いっしょに夢を追ってくれた人との思い出も……ぜんぶをなくしてしまったぼくに、ターニャは理由をくれたんだ」

育「ぼくはターニャに、いつまでもありのままのターニャでいてほしい。ターニャの力になれない自分なんて許せない。強がりだと笑うなら笑えばいい。ぼくは本気だ!」

育「剣や肩書きが不釣り合いだってかまうもんか。ぼくはターニャが好きだ。その気持ちがぼくを強くしてくれるなら、お前だって倒してみせる!」

まつり「――だ、そうなのですよ。ターニャ王女?」

育「えっ」


環「ガ、ガゥ……///」ポッ
66 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:41:05.47 ID:zmX2O7Gg0
市民「おい、あの勇敢な少年がターニャ王女のボーイフレンドだったのか!?」

市民「まあなんて大胆な…///」

市民「国立大学の真ん中で公開プロポーズだ! こいつは大スクープだぞ!」

市民「いいぞー! そのまま悪魔なんて倒しちまえ! 王女に良いところを見せてくれー!」


育「参ったなぁ。戦うのに夢中で、そこの棟が避難所になってたのをすっかり忘れてたよ。大学の建物って、がんじょうだもんね」

まつり「愛の言葉をご本人に聞かれていたことは平気なのですね」

育「平気も何も、いずれ直接言うつもりだったことだよ? 紳士たる者、こんな形になっちゃった埋め合わせはちゃんとしなきゃね」

環「……///」モジモジ

まつり「まあ、おませな坊やなのですね」

育「む――こどもあつかいは気に入らないね」
67 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:41:33.68 ID:zmX2O7Gg0
環「イグナスーーーー!!」モフッ

育「わっ。急にもどらないでよターニャ」

環「そっちもすっごく大事だけど、それよりお姉様のことが先だぞ!」

育「そうだ。君が来てくれたのは心強いけど、でもこれはぼくの試練だ。必ずあいつを倒してみせるよ」

環「そのことなんだけど……別にあいつを完全にたおす必要はないの。ただ、あいつの角がほしいんだ。それがあればお姉様は助かるみたいだから」

育「角だね。わかった。君も協力してくれるかい」

環「うん! 最初からそのつもりだぞ。いっくぞぉ――ガァオオーーーン!!」

育「はぁぁぁっ!」
68 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:42:03.61 ID:zmX2O7Gg0
まつり「どうやら私の出る幕もここまでのようですね」

ガキィィン! スパッ

育「折れた! 悪魔の角だ」

環「ワフッ」パクッ

育「それを持ってカタリーナお義姉様のところに行けばいいんだね」

環「ガウッ!」

育「よし。行こう!」
69 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:42:33.77 ID:zmX2O7Gg0
琴葉「……」オオオオ…

育「本当に闇の中心に、カタリーナ王女が……」

環「ガウッ…」

育「君が牙で、そしてぼくがこの悪魔の角で、お義姉様の周りの闇を貫けばいいんだね」

環「ガウッ!」コクリ

育「よし、行くよ――せーのっ!」


バリバリバリィ!!


パァァ…
70 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:43:09.83 ID:zmX2O7Gg0
琴葉「……ここは?」

環「ガゥゥ!」

琴葉「その姿は、ターニャ……それに、あなたは?」

育「ぼくは、イグナスです。よろしくお願いします」

琴葉「ああ、あなたがイグナス――」

ポンッ

環「お姉様!」モフッ

琴葉「ターニャ! あなた、本当に自分の力を制御できてるのね」

環「そうだぞ。イグナスのおかげでターニャ、おおかみのターニャのこと大好きになれたの。だからお姉様、もう心配しなくていいんだよ。もう二度とこんな無茶しないで」

琴葉「ターニャ……そうね。ごめんなさい。あんなに小さかったあなたが、いつの間にかこんなにも立派になったんだよね」

環「さあ行こう、お姉様。街のみんなも待ってるぞ!」

琴葉「うん」
71 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:43:46.11 ID:zmX2O7Gg0
市民「カタリーナ王女だ! ご無事だぞ!」

市民「ターニャ王女たちがお救いになったんだ!」

市民「剣と狼……建国の伝説の再現だ! この国の未来は明るいぞ!」



朋花「満足ですか、マリリンさん?」

まつり「ほ? なんのことです?」

朋花「とぼけないでください。あの坊やにわざと負けて角を渡せば、事態は最も平和的に解決しますから。まったく、悪魔のくせにどこまでお人好しなんだか」

まつり「テレーザちゃんは不思議に思わないのです? どうしてマリリンの力の禁忌を示す教典が、この国に保管されているのか」

朋花「さあ。おそらくは、かつてあなたと契約した過去の人間のどなたかが書き記したのでしょうが……」

まつり「もし王家直々にあの教典に触れる機会があるとすれば、その理由はただ一つ。家族の先祖返りを克服させるためなのです」

朋花「なるほど。ではマリリンさんは、最初からこうなることは想定済みだったというわけですか」

まつり「でもまさか新たな英雄となる二人が、あんなに可愛らしいカップルだとは思わなかったのです」

朋花「私としては、ぜひカタリーナ王女の魂を魔界まで持ち帰りたかったのですが……まあ、ここはあなたの顔を立てておくとしましょう」

朋花「もはや今後この国の人の魂を狙うのはあまりにも愚策でしょうし」

まつり「はいなのです。もう角を折られるのはこりごりなのです。しょんぼりマリリンなのです」

朋花「やれやれ、またすぐに生えてくるというのに……」
72 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:44:16.19 ID:zmX2O7Gg0
海美「やった! ターニャたち本当に英雄になっちゃったよ!」

警官たち「バンザーイ!」

ローカルギャングたち「バンザーイ!」


新聞記者「こうしちゃいられない。すぐに号外を出すぞ! おや? あそこにいるのは……女優のマーガレットさんじゃないか!」

新聞記者「えっ。ほんとだ! この間主演映画の上映が決まったばかりのあの大型新人女優じゃないか!」

新聞記者「マーガレットさん、次の舞台に向けての抱負をお聞かせください」

新聞記者「劇団を辞めてご自身の劇団を創設なさるという噂は本当でしょうか!?」

新聞記者「ジレールの街に新しい孤児院を建てるという話も!?」

桃子「ええ。全部本当よ。近いうちに会見を開くから詳しいことはそこで話すわ。それより今は私よりも注目すべきことがあるでしょう? ほら、おめでたい出来事なんだから」
73 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:45:07.34 ID:zmX2O7Gg0
――数日後、王宮


海美「それにしてもお父様ったら、ターニャと一緒に住めるとわかった途端急に元気になっちゃうんだもん。びっくりしちゃった!」

順二郎「ははは。かわいい娘の帰還に寝込んで立ち会えないなんてことになったら、父として立つ瀬がないからな」

環「くふふ♪ ターニャもお父様といっしょにいられてうれしいぞ」

順二郎「う〜ん。ターニャは本当にかわいいなぁ」デレデレ

琴葉(これじゃ父親っていうより、おじいちゃんって感じだけどね)

順二郎「しかしイグナスよ。私はまだ君を認めたわけではないからな」

環「お父様」

順二郎「なに。王の位を退くとはいえ、私もまだ耄碌している場合ではないからな。勉学も武術も、君がこの国の王子に相応しい技量を身に付けられるよう私が直々に指導しようじゃないか」

育「光栄です! もとよりターニャにふさわしい男になることがぼくの目標ですから。どうぞよろしくおねがいします」

順二郎「うむ! なんとも素晴らしい返事だ。イグナス、我が息子よ! よろしく頼むよ!」

琴葉・海美(ちょろい……)

恵美(お義父様、ずっと男の子が欲しかったって前にもおっしゃってたもんなぁ)
74 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/09(火) 00:45:55.60 ID:zmX2O7Gg0
育「今夜が、お城で二人で見る初めての満月だね」

環「うん。でも……なんだかちょっぴりつまんない」

育「そう? ぼくはこうして、ターニャと二人で月を見られるだけで――でも確かに、前は外で夜風に吹かれながら気ままに月をながめてたっけ」

環「そうだ! ねぇイグナス、ターニャの背中に乗って! どこか月がきれいに見渡せる丘まで行っちゃおうよ! さぁ早く早く!」

育「ちょっ、勝手にお城を抜け出したら――でも、いいよね」



環「ワオォォーーーーン♪」

琴葉「なっ!? あの子たち、こんな時間に外に出るなんて。もう〜…」

恵美「まあまあ、いいじゃないか。それに夢に見た光景でしょ? ターニャが満月の夜に、こんなに楽しそうに過ごしてるんだから」

琴葉「……うん。それもそうね。これからはこんな穏やかな月夜を、女王としてしっかり守っていかなくっちゃ」


それからヴォルフス王国では、満月の夜にはターニャ王女の遠吠えを合図に老いも若きものんびり月を眺める風習ができた。

町の子どもたちも犯罪を恐れず丘まで月見に出られるようになり、人々は末永く穏やかに暮らしたそうな。

☆おしまい♪
75 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/07/09(火) 00:46:44.29 ID:zmX2O7Gg0
最後まで読んでくださったみなさん、ありがとうございました。
76 : ◆NdBxVzEDf6 [sage]:2019/07/09(火) 01:07:13.46 ID:ao+3eLB8O
いくたまは聖ミリオン女学園思い出すけど、感じ逆でもなかなかいい組み合わせだな
王子育の引き出し多いね、乙です

>>1
イグナス役 中谷育(10) Vi/Pr
http://i.imgur.com/9Z0RrLb.png
http://i.imgur.com/8NRFxHY.jpg

ターニャ役 大神環(12) Da/An
http://i.imgur.com/CaSWHcQ.png
http://i.imgur.com/Mgm0RQg.jpg

>>2
ミランダ役 宮尾美也(17) Vi/An
http://i.imgur.com/UrM35rJ.jpg
http://i.imgur.com/vGEecVI.jpg

>>15
マリーナ役 高坂海美(16) Da/Pr
http://i.imgur.com/0fxXope.jpg
http://i.imgur.com/V0WHHVd.png

>>18
カタリーナ役 田中琴葉(18) Vo/Pr
http://i.imgur.com/gYRWgFk.jpg
http://i.imgur.com/5BGhhuY.jpg

>>19
メルセデス役 所恵美(16) Vi/Fa
http://i.imgur.com/2kT0hvl.jpg
http://i.imgur.com/RN3cTiy.jpg

>>38
マーガレット・ストークス役 周防桃子(11) Vi/Fa
http://i.imgur.com/CooNiNb.png
http://i.imgur.com/iaqCLGE.png

テレーザ役 天空橋朋花(15) Vo/Fa
http://i.imgur.com/SGZRpab.jpg
http://i.imgur.com/XnoY4VN.jpg

>>57
マリリン役 徳川まつり(19) Vi/Pr
http://i.imgur.com/o2QUZEz.jpg
http://i.imgur.com/kBtVKYP.jpg
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