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少女「あなた、死神?」男「あぁ」
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163 :
◆YBa9bwlj/c
[sage saga]:2019/07/19(金) 17:59:46.73 ID:4Zg8L775O
164 :
◆YBa9bwlj/c
[sage saga]:2019/07/19(金) 18:02:08.59 ID:4Zg8L775O
>>163
は例の歌の画像です。
好きな絵です。
165 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:27:57.33 ID:HWAi5Ut60
それでは後日談を投下していきます。
後日談といっても、ifストーリーのようなものです。
人によっては蛇足にしかならないかもしれませんが、ご容赦ください。
166 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:29:04.79 ID:HWAi5Ut60
ーーー王国 市場ーーー
ガヤガヤ
男「………」テクテク
「──着いた着いた!ここの広場だよ!」タッタッタッ
「ちょっと……速いって……!」タッタッタッ
「…ってあれ?居ないじゃないか」
「んー、場所間違えたか…?」
「君たち、もしかして西の旅芸人一座を見に来たのかね?」
「あ、お菓子屋のおっちゃん!」
「そうなんだ!ここでショーをやってるって言うから!」
「残念だったねぇ……彼らは昨日、隣町へ向かってしまったところだよ」
「えぇー…」ションボリ
「そんなぁ…」ガックリ
男「………」テクテク
「ん?…あ!あの、そこの商人さん!」
「はて…?おや、あなたは……いつぞやの手紙の方」
「覚えていてくれましたか。実はあの後彼女と結婚の約束をすることが出来まして」
「おぉ!それはめでたいですなぁ」
「あなたが届けてくれた手紙のおかげで、僕の気持ちを伝えることが出来たんです。ありがとうございました!」
「はっはっは!では、今後は私の商売にもご贔屓にしてくれますかな?」
男「………」テクテク
167 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:30:40.91 ID:HWAi5Ut60
男(相変わらず、人間というのはごく小さなことで感情を揺らす生き物だな)
男(そうでもしないと、短い一生を彩れないから……だろうか)
男(つくづく共感しがたい感覚だ)
男「………」テク...
男(……丁度、この辺りだったか)
男(彼女の噂を聞いたのは)
男「………」
男(…また、これまでと変わらぬ日々が訪れる)
男(命の終わりを見届け、導く……幾度となく繰り返してきた時間が)
男(──そう、思っていたのだがな)
少女「──ねぇ見て見て!見たことのないお菓子!これ面白いのよ!」タッタッタッ
168 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:32:06.91 ID:HWAi5Ut60
男「……」
少女「らむね?というものなんだって!」タッタッ...
少女「甘くて、口の中でしゅんわり溶けていくの…!」
男「……それを買いに行っていたのか?」
少女「」ギクッ
少女「……偶然見かけただけよ?」パク
男「……」
少女「……」
少女「ほら…あなたも一つどう?」スッ
男「……」
男「……」スッ
男「」アム...
少女「…どう?不思議でしょ」
男「薬みたいだな」
少女「もうちょっとましな感想は言えないの?」
男「……なぁ、少女よ」
少女「…はい」
男「はしゃぐなとは言わない」
男「だが、今の君が俺から離れ過ぎるのはあまりよろしくない」
男「ましてや俺たちは遊びに来ているわけではないんだ」
男「そういうのは少なくとも、仕事をこなしてからだ」
少女「うぅ……分かってるわよ……」
男「では、行くぞ」
少女「うん」
テクテク...
169 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:33:25.58 ID:HWAi5Ut60
ーーー王国 郊外 とある民家ーーー
少女「──ここ?」
男「そうだ」
少女「……」ノゾキコミ
「あぁ……どうして亡くなってしまったの……?もう少し一緒に居たかったのに……」
少女(お庭の端でうずくまってる女の子……)
少女「……おじいさまか、おばあさまが亡くなられたのかしら……」
男「いいや。よく見ろ」
少女「?」
男「…あの子の前の地面、何かを埋めた跡があるだろう」
少女「あ…!」
男「死んだのはこの家で飼っていた子犬だ」
少女「………」
男「寿命は……5年と4ヵ月か」
少女「そんなことまで分かるの?」
男「君もいずれそうなるのだぞ」
「……グスッ……また来るからね……」
サッサッサッ...
170 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:34:38.02 ID:HWAi5Ut60
男「……ペットというものだな」
少女「私の家でも飼っていたわよ」
少女「…馬、蛇、虎とか。お父様とお母様が趣味で集めた子たち……専用の小屋まで建ててたっけ」
男「可愛いのか」
少女「まさか。私はせいぜい小さなインコと戯れてたわ」
男「……動物は人間より遥かに寿命が短い」
男「自分より先に死に、別れが辛いと分かっているのに、なぜ共に生きようとするんだ?」
少女「分かってないわね」
少女「一緒に過ごした時間の長さじゃないの。その時間でどれだけ心を通わせて、意思を通じ合わせられるか、なのよ」
少女「先立たれる未来が分かっていようと、その経験は何にも代えられない濃い思い出になるの」
男「……インコより先に逝った君の台詞とは思えないな」
少女「あ、今そんなこと言う?怒っていいわよね??」
男「………」スクッ
テクテク
少女「ちょっと…!」サッ
テクテク
171 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:36:04.77 ID:HWAi5Ut60
男「………」
少女「これ……」
(手製の墓)
少女「……あの子が作ったのね、きっと」
男「…君の初仕事だ」
少女「えぇ。この子犬ちゃんよね」
少女「……でも、どうやって連れて行けばいいの?」
少女「まさかお墓でも掘り返すなんて言うんじゃないでしょうね?」
男「急くな。そこだ」
少女「ん?」
子犬「……」シッポフリフリ
少女「あら…」
男「………」
少女「これは…つまり幽霊ってこと?」
男「そう呼ぶ者もいるな」
子犬「?」
少女「キョトンとしちゃって」フフッ
男「自分が死んだことに気付いていないのだろう。ままあることだ」
少女「……」
スッ(手を差し出す)
少女「おいで」
子犬「……」ジッ...
子犬「……キャン!」テテテッ
172 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:37:22.47 ID:HWAi5Ut60
ーーーーーーー
少女「──これで、いいのよね」
男「あぁ」
少女「ふぅ……」
少女「……"導く"って、こんなにあっさり終わっていいのかしら」
男「大層な儀式でも期待していたか?人間のような」
少女「ううん、そうじゃないけど…」
少女「……なんか、とても不思議な感じ」
少女「死ぬって、こう……もっと色々あるものと思ってた」
少女「閻魔さまの裁きとか、輪廻転生とか」
男「人の思想に囚われ過ぎだ」
少女「元々人間ですからね」
173 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:40:23.61 ID:HWAi5Ut60
男(………)
男「……はぁ……そうだな」
少女「…なんで溜息ついたのよ?」
男「いや……なぜ俺はこんなお守り紛いのことをしているのか、とな」
少女「……………」
少女「お守りって、誰のことかしらね???」
男「……」
男「……」ジッ
少女「……」ジッ
男「……」ジー
少女「………」ジッ
男「……」ジー...
少女「……っ」
少女「……そ、そんな見ないで……」フイッ
男「………正直、ここまで解しがたい出来事は初めてだ」
少女「それを私に言われても困るけど……そうね──」
少女「──まさか私が死神になるなんてね」
174 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:41:15.26 ID:HWAi5Ut60
少女「あなたの上司…なのかな?話の分かる神さまで良かったじゃない」フフッ
男「上司……まぁ人間で言うところのそのような位置付けか」
男「………正気の沙汰ではない。人間を、死神にするなど」
少女「やっぱり、人から神さまになることって珍しいの?」
男「当たり前だ。というより、俺の知る限り前例はない」
男「……第一、どうして君は断らなかったんだ」
男「生への執着はないと言っていたではないか」
少女「私たち生きているわけではないのでしょう?」
男「屁理屈はいい。俺はあのいかれた提案を呑んだ理由を訊いている」
少女「………なに?私が消えなかったのが、そんなに不満?」
男「そういう話ではない」
男「君は死神という存在のことを何も理解していない」
男「"期限"の切れた命を向こうの世界へ導く……これを延々と繰り返すんだ。それこそ、この世界が終わるまで」
男「俺たちに"期限"はないからな」
男「永遠に存在し続けるなど、人間のしてきたあらゆる拷問よりも耐え難い責め苦だ」
男「…君は自ら地獄に足を踏み入れたんだぞ」
175 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:43:33.13 ID:HWAi5Ut60
少女「………」
男「………」
少女「……地獄じゃない……」
男「時が経てば嫌でも分か──」
少女「──だって!」カオアゲル
少女「あなたと一緒に居たかったから…!」
男「っ!」
少女「ずるいのよ!私をこんな気持ちにさせておいて、私だけ消えなきゃいけないなんて」
少女「それでも仕方ないと割り切って、この想いと一緒に行こうと思ってたのに…」
少女「あんなチャンスをくれたら、掴まないわけないでしょ!」
少女「永遠に存在し続ける?地獄の責め苦?」
少女「それがなに?」
少女「あなたと過ごせることの方が、ずっとずっと嬉しいに決まってるじゃないっ!」
男「………」
少女「ぁ……//」カアァ
少女「……い、いえ…その……」
少女「あーもう、いいわ…!」
少女「死神さま」
男「……」
少女「……」
少女「私、少女はあなたのことが好きです」
176 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:44:51.25 ID:HWAi5Ut60
少女「だから、これからずっと、私をあなたの側に置いてくれませんか?」
男「──」
男(………)
男「……君はもう俺と同じ存在だ」
男「その約束を交わさずとも、離れることなどない」
少女「……」
男「次の仕事に向かうぞ」...テクテク
少女「……は?」
ガシッ
男「……なんだ?」
少女「……」ニコニコ
男(妙な凄みを感じる……)
少女「…ねぇ、あなたの気持ちは?」
男「む…?」
少女「私は、ちゃんと伝えたわよね。あなたへの想い」
少女「ならあなたが私をどう思ってるのか聞かせてくれないと不公平じゃない?」
177 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:46:08.33 ID:HWAi5Ut60
男「……」
男「…君が一方的に喋っただけだと思うが」
ガシィ!
少女「……」
男「……そんなに強く掴むな、皺になる」
少女「言っとくけど、あなたが教えてくれるまで離しませんからね」
少女「時間なんてたっぷりあるんだし」
男「………」
少女「………」
男「………」
少女「………」
男「……特別な存在だ」
少女「!それって…!」
男「人間上がりの死神、というな」
少女「……」
男「もういいだろう。離してくれ」
少女(むー……)
178 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:47:21.60 ID:HWAi5Ut60
少女(……そういえば)
少女「…一個、気になることがあるのだけど」
男「…?」
少女「最後、あなたが来て私に生きたいか訊いてきたとき」
少女「…あのとき、私が生きたいって言っていたら、本当に私は生きていられたの?」
男「!」
少女「……」
男「………そうかもしれない」
少女「どうやって?あなたが生かしてくれるの?」
少女「命を奪うこともできないのに?」
男「……」
少女「……」
男「……」
少女「……まただんまり?」
少女「でも無駄よ。私もあなたと同じ死神なんだから、あなたが何をしようとしていたのかなんて、いずれ分かるわ」
男「……………」
男「……君を守るつもりでいた」
男「君に近づいてくる鎌から」
少女「え…」
少女「そんなことが出来るの…?」
男「普通はしない。ありえないことだ」
少女「そうよね。鎌を持てもしないんだものね」
男「…持つことが許されていないだけだがな」
少女「私を生かすのは許された、ってこと?」
男「いや……」
男「そんなことをしていたら、当然俺もただでは済んでいない。なにせ天の意向に背くことなる」
179 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:48:15.74 ID:HWAi5Ut60
少女「……そうまでして私を守りたかったのよね…?」
男「………」
少女「それはなぜ?」
男「……」
少女「……」ジッ...
男「……」
男「…さっきも言ったろう」
男「特別な存在だからだ」
少女(特別……)
男「…そろそろ移動したいんだが」
少女「もーっ!」
少女「ここまで来たんだからちゃんと最後まで言って!」
少女「言葉にして伝えてよ!」
男「……」
男(……)
男「………」
男「」フゥ
...ポン(少女の頭に手を置く)
男「君を、愛しているから」
180 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:49:46.68 ID:HWAi5Ut60
少女(──!)
男「……これで満足か?」
少女「……死神さまぁ!」ダキッ
男「…!」
少女「えへへ…」ギュー
男「おい、これではますます動けない…」
少女「ん〜♪」アタマグリグリ
男(……聞いていないな)
少女「ね、私たちこれからずっと一緒なのよね?」
男「そうだな」
少女「〜〜!」
少女「こんな……こんなに幸せでいいのかしら、私」
男「……いいんじゃないか」
男「多くの者が君の幸せを願っている」
男「…無論、俺もだ」
少女「ふふ、ありがと」
少女(……この世界に、感謝しなくちゃいけないかしらね)
181 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:51:19.20 ID:HWAi5Ut60
少女「…あ、ねぇねぇ」
少女「これからあなたと過ごしていくわけだけど」
少女「あなたのこと何て呼べばいいのかな?」
少女「死神さま…だと変よね。私も死神なんだし」
少女「あなた、名前はあるの?」
男「………」
少女「…?聞いてる?」チラリ
男「……男」
男「それが俺に与えられた識別名だ」
少女「男……」
男「……」
少女「……」
少女「……それじゃあ」
少女「──これから色んな世界を見せてね、男さん」ニコッ
182 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:52:52.20 ID:HWAi5Ut60
ーーーーーーー
老婆「………」
老婆(……ついに、寝たきりになってしまいましたか)
老婆(近頃、身体が思うように動かなくなっていましたが……老いには勝てませんね)
老婆「………」
老婆(……あの子は、今日結婚の契りを交わしているはず)
老婆(最後にその晴れ姿を見ておきたかったですね)
ーーーーー
「──婆や、今の私があるのは婆やのおかげよ」
「──今まで私を見てくれてありがとう。私、幸せな女になるからね」
「──行ってきます」
ーーーーー
老婆(……お優しい子になられて……)
老婆「………」
老婆(私は、この御家に尽くすことが出来たでしょうか)
老婆(私に任された子たちには皆、愛情を注いで育ててきたつもりですが……)
老婆(……いえ、やめておきましょう。今わの際、自問するだけ無駄でしょうから)
老婆(私は自分のしてきたことに誇りを持つだけです)
老婆(……それでも、唯一心残りがあるとするなら……)
183 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:54:16.95 ID:HWAi5Ut60
老婆「……!」
老婆(おや、この気配……)
老婆「……」フッ...
老婆「……お迎え、ですか……」
老婆「死神様…?」
「そうね、よく分かったわね」
老婆「…!?」
老婆(……そんな、まさか……)
老婆(このお声は……!)
老婆「………お、嬢……様……?」
「………」
「…そう呼ばれるの、とっても久しいわね」
「けど、今は違うかな」
少女「──私、死神ですから」フフッ
184 :
◆YBa9bwlj/c
[saga]:2019/07/21(日) 13:55:50.80 ID:HWAi5Ut60
それから、神様の伝承を記した書物の一部には、可愛らしい少女の姿をした死神が描かれていることが、あったとかなかったとか──。
ですが、そんなことを気にするのはせいぜい神学者くらいなものでしょう。
今日も世界は、同じように廻っています。
ーある一つの幸せな未来 Endー
185 :
◆YBa9bwlj/c
[sage saga]:2019/07/21(日) 13:59:14.13 ID:HWAi5Ut60
後日談、以上となります。
今度こそこの話はこれにて終了です。
ここまでお付き合いしてくれた方、ありがとうございました。
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