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“らしくない私たち” に 祝福と喝采を
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以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[saga]:2019/07/01(月) 22:52:01.65 ID:j/IZGaDe0
───────────────────side:春日 未来
「はぁぁ〜〜……」
今日だけで何回目だろ……大きな大きなため息が口から出ていった。夜の街の空気に溶けていった──って、百合子だったら言うのかな。ううん、もうちょっと難しい言い方をしそうな気もする。
でも、私にはできない。
「はぁ、今日もまたいっぱいおこられちゃったなぁ……プロデューサーさん、色んな人にいっぱいあやまってた」
私──春日未来は今、765プロライブシアターの屋上に来てる。
美咲さんに頼んで『三十分だけだよ、ナイショだからね』って鍵を開けてもらって。ここから見える夜の灯りはまるでステージから見えるサイリウムみたいで──本当にステージに立ってるような気分になれる、お気に入りの場所だから。
ここで一曲歌でも歌えば、それだけでイヤ〜な事なんて全部吹き飛んじゃう。プリンセス公演の合宿で見つけた、元気の出るおまじない──私だけの、ヒミツのおまじない。
だけど……やっぱりダメだ。今日は全然、いつまで経ったって“あの失敗”は消えてくれない。でーん、と頭の真ん中にずっと居座ってる。
「はぁ〜ぁ〜……」
またため息だ……あごを載せてる手すりは、もうすっかりぬるくなっちゃった。最初はひんやりしてて気持ち良かったのになぁ……。
「やっぱりアイドルに向いてないのかなぁ……」
ポロッて思わずこぼれた言葉に、自分でもびっくりした。びっくりした……けど、誰もいないし、いいよね。ちょっとくらい弱気になっても、いいよね。だって……今は一人っきりだもん。
「はぁぁ〜……」
後一回、これで最後。このため息でイヤな事全部追い出して、いつもの私に戻るんだ──なんて、ずっと思ってる。でも思ってるだけなんだ。こんな私を見たら、翼は何て言うのかな……静香ちゃんだったら、何て言うのかな。わかんない……私にはわかんないよ……。
「はぁぁぁ〜〜……」
「──未来、ここにいたのね」
結局またもう一回しちゃって、私って本当にダメだなぁ……そう思った時、後ろから声が届いた。
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