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西城樹里と支え合って
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1 :
◆Ceuv.hziBQ
[sage saga]:2019/06/28(金) 22:52:06.15 ID:qFn9nphO0
アイドルマスターシャイニーカラーズ 西城樹里のSSです。
アイドルそれぞれにPがいます。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1561729925
2 :
◆Ceuv.hziBQ
[sage saga]:2019/06/28(金) 22:53:06.07 ID:qFn9nphO0
どこかで見た覚えのある光景だ。
薄暗い舞台袖と、すぐ前には眩しいくらいのスポットライトに照らされたステージ。
ふと隣を見ると、よく知った少女が立っていた。
西城樹里、俺の担当アイドルだ。
「……次は準決勝か…。絶対カッコよく決めてやる……」
ユニット衣装に身を包んだ彼女が呟く。
その表情は不安と緊張に満ちていた。
「大丈夫。いつも通りやれば上手くいくよ」
そう言って俺は、微かに震えている樹里の手を取る。
彼女は一瞬慌てたがすぐに落ち着きを取り戻したようだ。
「カッコいいステージ、期待しているよ。俺もここで見守っているからさ」
「……ああ、見ててくれよ。バシッと決めてきてやる!」
手を力強く握り返される。さっきまでの不安な表情は無くなっていた。
「放課後クライマックスガールズ!! おーー!」
ユニットリーダーである小宮果穂の元気な掛け声に続き、樹里も光に照らされたステージへと駆け出してゆく。
そして彼女たちは……。
…………。
……。
3 :
◆Ceuv.hziBQ
[sage saga]:2019/06/28(金) 22:54:18.14 ID:qFn9nphO0
「……じゅり……」
「ん、呼んだか?」
「……!?」
どうやら眠っていたらしい。
呼びかけに反応して目を開けると、樹里の顔が目の前に。
一気に意識が戻る。
「じゅ、樹里!」
「おわっ! 急に起き上がるなよプロデューサー!」
「あぁ……ごめん」
「ったく……ほら、喉渇いただろ?」
樹里が差し出してくれたペットボトルの水をとりあえず飲む。
えーと、今はどういった状況だ?
事務所のソファでうたた寝していたらすぐ隣に樹里が座っていた……?
……樹里は今の時間、レッスンじゃなかったか?
というか事務所に誰もいないし……。
……寝起きで頭がよく回らない。
「水ありがとう、樹里。……俺はいつの間にか寝てたんだな」
「そうみたいだな。アタシのレッスンが終わった後もずっと、だ」
「…………え」
慌てて時計を確認すると、樹里のレッスンが終わってから一時間以上経っていた。
これはマズイ…………樹里の顔を恐る恐る覗くと怒りの表情が明らかに窺える。
4 :
◆Ceuv.hziBQ
[sage saga]:2019/06/28(金) 22:55:13.26 ID:qFn9nphO0
「ご、ごめん樹里! 今日のレッスン見に行くって話してたのに……」
「約束破りやがって。せっかく新しいダンス見せてやろうと思ってたのによー」
「うぅ……本当に申し訳ない……」
「…………ふふっ……あはははは!!」
怖い顔をしていた樹里が急に笑い出す。
「なーんてな! 冗談だよプロデューサー。そんなに怒ってねーよ」
「ほ、本当か!?」
「まぁ、レッスン見に来てくれなかったのはちょっと寂し……っ……ムカついたけどよ。アンタが最近疲れ気味だったの、知ってたんだ」
「樹里……」
「W.I.N.G.で優勝してからすげー忙しくなっただろ? 仕事頑張り過ぎてるんじゃねーかってさ」
W.I.N.G.か……。
さっき見た夢の続き、あの後彼女たちは準決勝と決勝を見事勝ち抜いて優勝を果たした。
こうして個性派アイドルユニット【放課後クライマックスガールズ】の名は業界に轟くことになる。
それと同時に雑誌やラジオ、テレビ……仕事の依頼が彼女たちに大量に押し寄せた。
アイドルそれぞれにプロデューサーが付いているとはいえ、山の様な仕事を少人数でこなすには無理をする必要があり……日々の疲れから今に至る。
5 :
◆Ceuv.hziBQ
[sage saga]:2019/06/28(金) 22:55:50.83 ID:qFn9nphO0
「そっか……心配かけさせちゃってごめんな」
「べっ、別にアタシは心配なんて…………してたけど、さ」
「ん?」
「いつもアタシに休めー、とか言うくせに自分は全然休んでねーからさ。何かあってからじゃ遅いんだから、あんま無理すんなよ……」
隣に座っていた樹里がググっと近づいてくる。
「夏葉もチョコもみんな自分のプロデューサーと支え合って頑張ってる。アタシたちも一緒に頑張って、一緒に休んで、一緒に上を目指して……そうやって支え合っていこうぜ」
「樹里……!!」
「アタシたちはパートナーなんだからさ」
「……そうだな。俺たちはパートナーだもんな」
「へへっ♪」
歯を見せてニカっと笑う樹里はとても可愛らしかった。
この笑顔を裏切らないようにしないとな。
なんて事を思っていると、ぽすん、と俺の肩に樹里の頭が乗ってくる。
6 :
◆Ceuv.hziBQ
[sage saga]:2019/06/28(金) 22:56:39.86 ID:qFn9nphO0
「……えーと……なんか近くない?」
「あ、あぁ……近いな」
「じゃあ離れ……」
「逃がさねーぞ。ほら、アンタもこっち寄れよ」
「……はい」
観念して樹里に体を預けると、彼女の体温を感じられた。
アイドルとプロデューサーの距離感にしては近すぎるが、そんな事どうでもよくなるくらい温かい気持ちになる。
「温かいな、樹里。すごく癒されるよ」
「……おう」
「照れてる?」
「照れてねーよっ!!」
「あっはははは!」
「ったく……」
ぶつぶつ言いながらも離れようとしない樹里。
彼女の優しさに心が満たされる。
「…………ありがとう」
「……ん。素直に癒されとけよな」
……結局この後、社長が戸締りしに来るまで俺たちは身を寄せ合っていた。
散々からかわれたのは言うまでもない。
7 :
◆Ceuv.hziBQ
[sage saga]:2019/06/28(金) 22:57:15.71 ID:qFn9nphO0
〜〜〜
〜〜
「樹里、そろそろ本番だ」
「おう! いつでもいけるぜ!」
あれから数週間後、今日は放課後クライマックスガールズが主役のミニライブだ。
舞台袖は本番前特有のピリピリした緊張感に包まれている。
樹里のコンディションはバッチリ。
ユニットの皆も自分の担当プロデューサーと最後の調整に入っているみたいだ。
「……プロデューサー」
「あぁ」
言わずともわかる。
樹里の手を優しく握ると、彼女も握り返してくれた。
「プロデューサー、アタシ頑張るからさ……ずっと一緒にいてくれよな」
「もちろん。俺は樹里のパートナーだ。ずっと一緒だよ」
「へへっ♪ ……じゃあプロデューサー、行ってくるぜ!」
アイドルが輝くステージへと羽ばたいてゆく。
彼女たちの物語はまだ始まったばかりだ。
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