プレミアムフライデーな、近距離恋愛の話

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1 :1  ◆QHzXAxNB/2 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:16:52.00 ID:P2Ej24Ia0

とあるマンションの一室で、女の子が唄ってる




ヒロインの女の子「プレミアムフライデ〜、プレミアムフレイデ〜♪」



ヒロインの女の子「今日は〜、月に一度の〜、プレミアムフライデ〜♪」

(※以下 女)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1561724211
2 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:19:28.68 ID:P2Ej24Ia0
女「同棲〜、してる彼氏が〜、早く帰ってくるルララ〜♪」


女「いつも〜、残業多くて午前様で〜、なかなか時間が合わないケド〜♪」


女「今日は〜、たっぷり〜、イチャイチャできるルララ〜♪」



女「アタシは〜、大学も〜、早く終わったから〜♪」


女「2人で〜、食べるお夕飯を〜、今作ってるルララ〜♪」


女「おいしく〜、できると〜、いいけどな〜♪」
3 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:20:55.29 ID:P2Ej24Ia0

女「さかなのフライで〜、さかなのフライで〜♪」


女「アイツの〜、ハートも〜、アゲアゲに〜、するのだ〜♪」


女「ふわっふわっ、じゅわわ〜♪」


女「ふわっふわっ、じゅわわわ〜♪」
4 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:22:01.18 ID:P2Ej24Ia0

女「同棲後〜、初めて2人で過ごせる〜、プレミアムフライデ〜♪」



女「夕飯のあとは〜、積みゲーを〜、一緒にするんだ〜♪」


女「格ゲーで〜、アイツを〜、ボコボコに〜♪」


女「その後は、話題の大河ドラマを見て〜♪」


女「あー、あ〜♪」


女「とにかく〜、ひたすらイチャイチャパラダイス〜♪」
5 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:23:53.81 ID:P2Ej24Ia0

女「誰が考えたのか知らんケド〜♪」


女「特にお礼もしないケド〜♪」


女「作ってくれてマジ感謝〜♪」


女「あー、プレミアムフライデ〜♪」


女「お〜いえ〜、プレミアムフライデ〜♪」



女「……」
6 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:25:11.14 ID:P2Ej24Ia0

女「やっべ、名曲ができた!やばくない?!」

女「アタシもボ○ロPの才能あったりして!!」



女「おっとっと、鍋に火ぃ点けっぱなしだった」

女「これじゃ炎上してしまう……」
7 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:25:59.30 ID:P2Ej24Ia0

女「さて、ご飯も炊けた。フライもできた!」


女「みそ汁もあるし、サラダも作った!」


女「後はアイツを待つばかり!」



女「えへへ、早く帰って来ないかナー///」


女「……」ワクワク♪
8 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:28:08.64 ID:P2Ej24Ia0

女「……」










女「……」
9 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:28:49.36 ID:P2Ej24Ia0

女「……」









女「……来ないな」

女「連絡も、こない」
10 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:29:49.84 ID:P2Ej24Ia0

女「テレビでも、付けよう」










女「お、久々のころばし屋!」
11 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:30:43.26 ID:P2Ej24Ia0

女「白い犬っていいよね〜」













女「アタシもいつか犬飼いたいなー……」
12 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:31:30.01 ID:P2Ej24Ia0

女「ふふふふ〜ん♪」











女「ふふふふふふ〜ん♪」
13 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:32:50.52 ID:P2Ej24Ia0

女「……」モグモグ

女「うん。ちゃんとおいしい」












女「アジの、味がする」


女「……」
14 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:34:21.52 ID:P2Ej24Ia0

女「……ハァ」














女「……さみしい」
15 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:35:31.09 ID:P2Ej24Ia0

女「うぅ……」


ピッポッパ♪


プルルルル♪


友女『はい? もしもし??』

女「どうしよう、トモナ?!」

友女『ん? 何かあったの? ヒロ子??』


女「うん……アイツが、彼氏が帰って来ないんよ」
16 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:37:04.12 ID:P2Ej24Ia0

友女『えっと同棲してる、新入社員なのにいつも残業で帰りの遅い彼氏?』

女「そう。連絡も無いん」

友女『えっ、でもそれ、いつも通りじゃね?』

女「いつも通りだけど、今日も遅いとか有り得なくない?!」

友女『は? どゆこと?』



女「だって今日は、プレミアムフライデーじゃん!」

友女『あ、あー。今日プレ金だったか……』


友女『えっ? でもそれで??』

女「プレミアムフライデーは、早く帰れる日のはずじゃない!」
17 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:38:50.11 ID:P2Ej24Ia0

女「早く帰れるプレミアムフライデーなのに、帰りが遅いとかおかしいよ!」

友女『!?』

女「どうしたんだろ? 事故とかじゃないといいけど……」


友女『えっ、ヒロ子は、プレミアムフライデーが早く帰れる日だと思ってんの??』


女「そ、そうでしょ???」
18 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:39:50.75 ID:P2Ej24Ia0

友女『じょ、情弱ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!』

女「!?」



友女『で、でたーーー!』

友女『プレミアムフライデーだから、早く帰れると思って奴〜〜〜〜〜〜!』




女「えええええええ!???」
19 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:41:04.23 ID:P2Ej24Ia0

女「ちょっと酷いよ、そんな言い方!」


女「……って、プレミアムフライデーは、早く帰れる日じゃないの???」



友女『あぁ、ごめんごめん』


友女『あと。プレミアムフライデーは、早く帰れる日じゃありません!』
20 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:42:38.03 ID:P2Ej24Ia0
 
女「ええっ。じゃぁどうしてプレミアムフライデーなんて存在するの??」


友女『んー、全員が早く帰れる訳じゃない、って方が正確かな?』

友女『一部の、ごくごくレアなホワイト企業だけが導入してる制度』


友女『とりあえず早く帰れる人がチョットいて、そういう人が買い物とかして、消費がチョットと活性化するカモってアレ』

女「ふーん」


友女『実際は、政府のやってるアピールだよね〜。焼け石に水っぷりが強いから』
21 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:44:40.32 ID:P2Ej24Ia0

友女『お偉いさんとか、一般人の生活サイクルが分かってないのよ』


友女『現実的に厳しい話。月終わり、しかも金曜日って切羽詰まった時に早退とか、9割無理っしょ!』

女「ほぇ〜」


友女「取引先のプレ金に合わせる為に、前倒しする必要あって残業する、とか本末転倒も聞くしさ」

女「そう、なんだ……」


友女『ってか、何でヒロ子はプレ金の存在知らないの。もう始まって3年くらいよ?』

友女『両親とかの働いてるペース見たら、分かるでしょ?』


女「あー、私の両親……5年前に交通事故でお星さまになっちゃって」

女「同居前は、おじいとおばあと、保険金や年金で暮らしてたので……」


友女『……ごめん』

女「あ、いや」
22 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:45:50.48 ID:P2Ej24Ia0

女「でも。それでも、彼氏は言ってたんだけどね」


「転職先の会社はプレミアムフライデーを導入してて、今日だけは早く帰れるはず」


女「ってさ」


友女「ヒロ子の彼氏も情弱ねぇ……」


友女『新入社員にいつも残業させる会社が、プレ金できる訳ないじゃない?』


友女『プレ金やってても見かけだけで……会社は早退しても、近くの喫茶店で仕事してたり』

友女『タイムカード切った後に、職場に戻って働くとかも、ちょくちょく聞くけどね〜』
23 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:49:36.93 ID:P2Ej24Ia0

女「……彼氏も、まだ働かされてるのかな。そういう風に」

友女『さぁ? 電話とかしてみなよ』

女「してるけど、電源切ってあるんだ」

女「仕事の機密保持のため、自前の携帯は帰宅まで使用禁止なんだってさ」

友女『は〜。管理が厳しいところやねぇ……』
24 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:51:18.87 ID:P2Ej24Ia0

友女『まぁ、そのうち帰ってくるでしょ。もういい時間だから、さ』

女「だね。相談乗ってくれてアリガト。また明日ね」

友女『はいはい。お休み〜』





女「……」

女「……私も、寝ようか」
25 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:52:31.85 ID:P2Ej24Ia0

女「レンジでチンして、フライとか食べれる準備はしておこう」

女「作った温かいうちに、食べて欲しかったな……」





女「よし。これでいいね」
26 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:53:37.48 ID:P2Ej24Ia0

女「わ。気づけばもう12時か」

女「やっぱり今日も、帰ってくるのは遅いんだ」




女「プレミアムフライデーだったのに」

女「……あぁ。残念」
27 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:54:57.29 ID:P2Ej24Ia0

女「ふぁぁぁ」


女「眠いけど、やっぱりもうちょっと起きてたいな」



女「せめて」


女「せめて頑張って働いて、ようやく帰って来たアイツを」

女「『おかえりなさい』って、迎えてあげたい」
28 :1 [sage saga]:2019/06/28(金) 21:56:51.90 ID:P2Ej24Ia0

女「まだかなー」






女「……」
29 :1 [saga]:2019/06/28(金) 21:57:43.47 ID:P2Ej24Ia0

女「……」



女「」



女「」zzz
30 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:16:17.22 ID:yGVXtqr20

【翌朝】


女「はっ!寝てた!!」



女「今何時……って、もう朝じゃん!」


女「うわっ、バイトあるのに。急いで支度しないと!」


女「やば! とりあえず、とりあえず朝食を……」

女「って、アレ?」
31 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:17:23.12 ID:yGVXtqr20

女「テーブルの上に、」

女「オニギリに、目玉焼きベーコンに、野菜ジュースに……」

女「……置き手紙がある」



女「……どれどれ?」

パシッ
32 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:18:14.73 ID:yGVXtqr20

ヒロ子へ


昨晩も、遅くなってごめんなさい


プレミアムフライデーだったけど、月末で納期が近い仕事があったのと

課長にお子さんが生まれて、部署の皆で早く帰らせる為に、
課長の仕事を手助けしてて遅くなりました(泣)


晩御飯ありがとう。アジフライ、美味しかったよ!

アジの、味がした!


お礼のかわりに、朝ごはん作っておきました。

今はこれくらいしかできないけど、
僕も料理の練習してバリエーション増やしたいと思います。


急遽、また土曜出勤になったので、

いつも通りの時間に行ってきます。

バイトの方、遅れないように
33 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:19:04.23 ID:yGVXtqr20

女「ふおおおお///」


女「あぁ、会えないけれど、こういうやり取りだけで、めっちゃ愛しい」


女「ってイカン。感傷に浸る場合ではない」


女「バイトまで時間がない、急がなきゃ」


女「まずは、いただきまーす!」
34 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:19:35.60 ID:yGVXtqr20

20分後

女「よしっ! じゃぁ行きますか」


女「いやー、ちょっと遅刻しちゃうかな?」


女「急げ急げ〜!」
35 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:23:00.56 ID:yGVXtqr20

【夜】


女「ふぃぃ。よーやく帰宅〜」

女「あー、慌ただしい1日だった」


女「「誰でもできる簡単なバイトです」って紹介だったのに」

女「もうヘトヘトだよ。どこが簡単やねん……」


女「カレも転職したはいいけど、待遇とか説明とだいぶ違うしさ……」


女「バイトでも就職でも、プレミアムフライデーとかも、」



女「詐欺みたいな事は無くなって欲しいわ……ほんと」
36 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:23:47.37 ID:yGVXtqr20

女「ただいま〜」


女「おっ? カレーの匂いと、また置き手紙??」



パシッ
37 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:25:03.66 ID:yGVXtqr20

ヒロ子へ


あんまり料理できないけれど、晩御飯に

頑張ってカレーを作ってみました!

召し上がれ(o≧▽゜)o


申し訳ないけど、昨日は殆ど徹夜だったので

ちょっと先に寝させてもらいます。ごめんね


明日は日曜日。一緒にドコか行きたいね!
38 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:26:18.53 ID:yGVXtqr20

女「…………ぅ」


女「うおおおおおお///」

女「先に寝てるってことは、寝室かな?」


ガチャッ


女「……」



男「……」zzz

女(いたーっ///)
39 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:27:40.08 ID:yGVXtqr20

女「ただいまー。帰って来たよ〜」

男「……」zzz



女「えへへ。かわいい寝顔///」

男「……」zzz



女「ぁぁ……」

女「こんな至近距離で寝顔を見れる。しあわせ〜」

男「……」zzz

女「ふふふ。同棲始めてよかった〜」
40 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:28:28.07 ID:yGVXtqr20

ピンポーン♪



女「お、はいはーい!」

女「もー、いいトコなのに!」


女「どなたですか〜?」ガチャッ




勧誘員「夜分遅く申し訳ありませ〜ん!」
41 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:29:05.33 ID:yGVXtqr20

勧誘員「私、この地域を担当させて頂いておりますものです!」

勧誘員「この度、こちらのお宅が我が地域に越してきたとのことで〜!」

女「はい?」

勧誘員「ぜひ一度、ご挨拶に伺おうと思いまして〜!」

女「あの、どういうご用件で?」

勧誘員「はい! 申し訳ございません!」


勧誘員「宗教に、興味はございませんか?!」
42 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:30:17.21 ID:yGVXtqr20

女「あー、そういう……」

勧誘員「私どもの宗派は、大変に歴史が深く〜」


女「す、すみません。同居人が寝ているので、ちょっと……」

勧誘員「ごめんなさい〜。では、小声で説明いたします」ボソボソ

女「あっ、はい」


勧誘員「規模も全国に広がり、その信者数は〜……」
43 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:31:16.25 ID:yGVXtqr20

勧誘員「……という、会長のお言葉があるのです」

女(な、長い。もう一時間くらい経つのに……)


勧誘員「どうです。素晴らしいでしょう!」

女「は、はぁ……」


勧誘員「いや〜。ご理解頂き感謝します」

勧誘員「こちら、教本とパンフレットになります。お渡ししますね」


女「あ、どうも……」
44 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:32:17.54 ID:yGVXtqr20

勧誘員「私どもの支部では、生活相談なども行っておりまして〜」

勧誘員「もし宜しければ、一度いらしてくださいな」

勧誘員「困ったこと。何でも伺いますので!」

女「あ、あはは……」

女(今、長話されるのが困ってます!)
45 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:33:09.44 ID:yGVXtqr20

勧誘員「どうです。何かありますか?」

女「じゃぁ、彼が残業が多くて帰りが遅いんですよ……」


勧誘員「おお、それは良いことだ!」

勧誘員「労働というのは尊いものです。他者の為に尽くことは、修行で徳を積む行為と変わりません」


女「……」


勧誘員「他には?」

女「あ、いえ」
46 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:33:58.72 ID:yGVXtqr20

勧誘員「それにしても、お嬢さんは良い方だ」

女「はぁ……」


勧誘員「きっと、神仏のご加護があることでしょう!」

勧誘員「信じましょう! 信じるものは、救われます!」

女「……」

勧誘員「では、失礼します」

勧誘員「また会いましょう〜!」
47 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:34:26.55 ID:yGVXtqr20

バタン!


女「……」






女「つかれた」
48 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:35:21.77 ID:yGVXtqr20

女「宗教かぁ。信じるものは、救われる……」

女「ああいうのが、必要な人も居るだろうけど、」


女「私たちを助けては、くれないよね」



女「信じられるものなんて、何もない」



男「……」zzz


女「とりあえずイマ必要なのは、手作りカレー! いただきまーす!」
49 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:36:18.89 ID:yGVXtqr20

モグモグモグ♪


女「……明日、どうしよう?」

女「ねぇ、どこ行きたい?」


男「……」zzz


女「うん。寝てたね」
50 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:37:46.67 ID:yGVXtqr20

女「もっと、おしゃべりしたいな〜」


女「……父さんと母さん。生前の二人は、もっと喋ってたよね」

女「そこまで仲いい訳ではなかったけれど、晩御飯とか食卓囲んで、テレビ見たりして」

女「どーでもいい話を、アレコレしてた」



女「私たちとは、だいぶ違うよね」

男「……」zzz
51 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:38:25.44 ID:yGVXtqr20

女「私の大事な人は、私の眠ってる時間に起き出して、」

女「私が眠った後に、帰ってくる」


女「こんなに近くに居るのに、気持ちも繋がってる筈なのに、」

女「話をすることすら、叶わない」
52 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:39:42.29 ID:yGVXtqr20

女「どうして、こうなったんだろう?」


女「カレが新卒で入った会社が、粉飾決算の影響で倒産しなかったら……?」

女「もしくは転職先の求人詐欺に会わなかったら、もうちょっと、違ったかな?」


男「……」zzz


女「また仕事変えて貰うのも、厳しいよね?」


女「辞めたりしたら、今の会社の人が大変になっちゃうし、」

女「若いうちの転職は経歴にキズが付くって言うし、次の会社はもっと酷いかもしれない……」
53 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:40:28.15 ID:yGVXtqr20

女「私も大学卒業して、働くことになるだろうけど」

女「私も働きだしたら、会社や仕事の都合に、振り回されたりするんだろうな……」


女「そりゃお金貰うんだし、会社のルールは守んなきゃだけど」


女「これ以上、二人の時間が減るのはなぁ……」
54 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:43:02.15 ID:yGVXtqr20

女「同棲始めて、もうすぐ1ヶ月」


女「二人の時間。二人とも起きてる時間って、どれだけあったっけ?」


女「平日は殆ど全滅でしょ。土曜日も……先週と先々週の4時間だけ」

女「日曜日は二人とも、連日の疲労でお昼まで寝てるから……1日10時間くらい?」


女「1ヶ月が30日として」

女「同じ部屋に住んでたはずなのに、48時間。一ヶ月で2日分にしかならない……」

女「二人で過ごした時間って、こんだけなんだ」


男「……」zzz
55 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:43:53.09 ID:yGVXtqr20

女「私たちはきっと、この先もずっと一緒だろうけど」


女「あと、60年生きるとして。今のままのペースなら……」


女「あぁ。同じ時間を過ごせるのは、」

女「一生のうち、もうあと4年分位しか残ってないんだ。長くても」


女「……………………」



女「思ってたより、短いなぁ」
56 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:46:32.18 ID:yGVXtqr20

女「昔、2人が初めて出会った時は」

女「アタシが中学で、コイツが高校で」

男「……」zzz


女「アタシがイラスト描いて、」

女「コイツに素敵な曲と、合成音声を付けて貰って」

男「……」zzz


女「反対に作った曲に合わせて、イラスト描くとかして」

女「二人して一緒に、ウダウダしながら遊んでたけど」


女「この先は、もう……」

女「そういうのは、無理なのかな……?」
57 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:47:36.87 ID:yGVXtqr20

女「アタシに作曲のセンスとかあれば良かったんだろうけど、」


女「ガッカリクオリティな曲しか作れなさそうだし、」



女「もしセンスあったとしても、」


女「私1人だけで作るんじゃ、意味ないんだよねぇ……」

男「……」zzz
58 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:48:53.45 ID:yGVXtqr20

女「二人して手分けして、」


女「あーだこーだ喋くりあって」


女「時にはケンカもしたりして、」


女「面白いもの作る日々を……」


男「……」zzz

女「また、送りたいんですけど〜」ツンツン
59 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:49:32.37 ID:yGVXtqr20

男「……うぅぅ」zzz

女「!」



男「……」

女「」



男「……」zzz

女「……寝てる、ね」
60 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:50:37.21 ID:yGVXtqr20

女「ふぅ。起こしちゃったかと思った」

男「……」zzz


女「……よし、らくがきしたろ♪」


ガサゴソ♪

キュッキュッ♪


男「……うぅ、うぅぅ」zzz

女「ふふふ♪」
61 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:52:30.14 ID:yGVXtqr20

女「ありがとね〜」

男「……」zzz


女「それでもアンタの近くにいるだけで、アタシは幸せだからさ」

男「……」zzz



女「やっぱりもっと、おしゃべりとかしたいけど」

男「……ぅぅ」zzz


女「もの足りないよ。こんな生活」

女「もっと二人の時間も、もの作る時間も欲しい!」
62 :1 [sage saga]:2019/06/29(土) 20:53:32.18 ID:yGVXtqr20

女「この先もずっと、変わらないのかな?」

男「……」zzz



女「……神様とか信じれば、救われたりするのかな?」

男「……」zzz


女「どう思う?」

男「……」zzz


女「ないかな?」

男「……」zzz
63 :あとがき [sage saga]:2019/06/29(土) 21:05:47.33 ID:yGVXtqr20

このSSは、ここで終わりです


すまぬ……すまぬ…………

続きも考えてはいるけれど


現代人には、時間がない(´;ω;`)



ちなみに

今作は、このSS↓の前日譚だったりします
http://elephant.2chblog.jp/archives/52243232.html

5年後?くらいの話


とにかく
考える切っ掛けになって頂ければ!
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