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高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「そわそわ気分のカフェで」
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23 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:20:34.11 ID:vmTmm9W/0
>>22
7行目と8行目の藍子のセリフを修正させてください。かなり大掛かりの修正で申し訳ないです……。
<誤>
藍子「ほら、今の季節って、もうすぐ梅雨が来て……」
藍子「そうしたら、道端の紫陽花が綺麗になったり、かたつむりさんがひょっこり顔を出したり、雨の音が聴けるようになったり」
<正>
藍子「ほら、今は梅雨だから、道端の紫陽花が綺麗に咲いていて」
藍子「また雨が降ったら、かたつむりさんがひょっこり顔を出したり、傘の下で雨の音が聴くことができて……」
加蓮「また“見に行く”なら、今度は私が誘ってあげる。……いや、やっぱりジメジメしてるとこを歩き回るのは面倒くさいから、雨が上がるのを事務所で待とうよ」
藍子「え〜。そういう時の町並みも、いつもと違って面白いのに」
藍子「それで、梅雨が終わったら、夏が来ますよね」
加蓮「夏休みっ」
藍子「今年の夏も、やりたいことがいっぱいあるんです。やりたいこととか、行きたいところとか!」
加蓮「でもバテやすい季節でもあるよね。熱中症、気をつけなさいよ?」
藍子「は〜い。夏に備えて、今年はスポーツドリンクの作り方も勉強してきました」
加蓮「おー」
24 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:21:04.23 ID:vmTmm9W/0
藍子「それに、加蓮ちゃんと一緒に行きたい場所もあるから――」
加蓮「私? いいけど、どこ?」
藍子「それは……行くちょっと前まで、ナイショです♪」
加蓮「気になるなー。気になってしょうがないなぁ」
藍子「ナイショですからね〜? 何を言われても、絶対に教えません!」
加蓮「気になってしょうがないから、これは藍子をこっそり観察して調べ上げなきゃ」
藍子「へ? 観察? 調べ……?」
25 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:21:34.28 ID:vmTmm9W/0
加蓮「調べてる途中で違う秘密を入手するかもしれないけど、それはしょうがないよね」
藍子「……怪しいことしてる加蓮ちゃんを見つけたら、Pさんに報告しちゃいますよ?」
加蓮「そしたら未央の差し金ってことにするから大丈夫」
藍子「えぇ……。でも、未央ちゃんも誰かのせいにしちゃいそう」
加蓮「こういう時ってさ、リアクションが2パターンあるよね」
藍子「2パターン?」
加蓮「1つ目がフットワークの軽い人に回すパターン。未央なら、奏とか柚ちゃんとかかな。すぐに「え? 違うよ? 本当は違う子がやったんだよー」って言えるタイプね」
藍子「ふんふん」
加蓮「2つ目がガチで慌てそうな人に回すパターン。卯月とか薫ちゃん、あと奈緒がそうかな。凛……は冷静に反撃しそう」
藍子「なるほど〜」
26 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:22:05.42 ID:vmTmm9W/0
加蓮「未央なら絶対パターン1にすると思うけど、まっ、加蓮ちゃんのせいにならなかったら何でもオッケーだよね♪」
藍子「あんまり騒ぎが大きくなったら、私が本当のことを言っちゃいますよ?」
加蓮「あははっ」
加蓮「で、藍子はそわそわしちゃってるんだね。梅雨と夏が楽しみすぎて」
藍子「はい。最近、それで失敗してしまうことが増えてしまって……」
加蓮「……ぶっちゃけ言っちゃうけど、梅雨も夏も毎年来るじゃん。今年だけの特別なイベントがあるって訳でもないんでしょ。それなのにそわそわしちゃうの?」
藍子「それは、そうかもしれませんね。でも……いつも巡ってくる季節も、その時その時ごとに色んな計画を立てたら、それが楽しみになってしょうがないって気持ち、なりませんか?」
加蓮「んー……。ちょっとならないかも」
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:22:34.59 ID:vmTmm9W/0
藍子「え〜っ――って、そっか、加蓮ちゃんは……」
加蓮「昔はずっと、そーいう人生を歩んで来てたからね」
藍子「そうでしたね……」
加蓮「……」
藍子「……」
加蓮「……そういう人生の道から手を引っ張り上げてくれて、平和で楽しい道に導いてくれたのは、藍子なんだから。そこで顔を伏せるのはやめなさい」
藍子「……」
加蓮「それが要らない同情って言うの。それとも、藍子は私を怒らせたいのかな?」
藍子「……気にしすぎるのも、よくありませんよね」フルフル
藍子「それに、今の加蓮ちゃんが楽しそうなら……うんっ。大丈夫ですよね♪」
加蓮「よろしい」
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:23:04.91 ID:vmTmm9W/0
藍子「加蓮ちゃんのためにも、梅雨と夏休みの計画、もうちょっと増やしちゃおうかな……?」
加蓮「コラ。何企んでるの。身体の弱い加蓮ちゃんをどこに連れ回すつもり?」
藍子「連れ回すなんてそんな。ただちょっとだけ、」
藍子「最近できたばかりの気になるカフェと、」
藍子「美味しくて可愛いドリンクのお店と、」
藍子「涼しくなれるアトラクションがいっぱいあるってうわさの、テーマパークと、」
藍子「前のロケで行けなかった観光地に、一緒に行きたいっていうだけですよ」
加蓮「それを連れ回すって言うんでしょ! ……それに最後のは何? すごく遠い場所なの?」
藍子「はい。ここからだと、たぶん新幹線を使って、え〜っと、あの駅からあの駅に行って、う〜んと……2時間くらい?」
加蓮「……次のロケまで我慢しなさい。それかPさんにおねだりでもしてきなさい」
藍子「はぁい」
29 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:23:34.96 ID:vmTmm9W/0
藍子「……」ジー
加蓮「?」
藍子「そわそわ……」
加蓮「……」
藍子「うずうず……」
加蓮「……どしたの」
藍子「……加蓮ちゃんとお散歩したい……静かな神社と、せせらぎの音が綺麗な川辺と、あと――」
加蓮「なんか行きたい場所増えてない?」
30 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:24:04.19 ID:vmTmm9W/0
加蓮「あのね。計画を立てるのはいいけど、そしたらまたそわそわしてミスしちゃうよ? 少しは落ち着きなさいよ」
藍子「すぅ〜、はぁ〜。……落ち着きましたっ」
藍子「ここがカフェだってことも、思い出せました。いつもの場所にいることって、すごく大切ですよね」
加蓮「落ち着いたところで何か飲む? ほら、店員が食器を片付けに来たしちょうどいいでしょ」
藍子「そうしましょう。すみませ〜ん」
……。
…………。
31 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:24:34.35 ID:vmTmm9W/0
加蓮「ずず……」
藍子「……う〜ん」
加蓮「ふう。……私と同じコーヒーにしてもらったけど、そういう気分じゃなかった?」
藍子「ううん。ただ、あまり苦い物を飲む気分じゃ、なかったかもって……」
加蓮「……やっぱりなんか微妙に見抜けない事あるなぁ」ズズ
藍子「こういう時は、店員さんが持ってきてくれたミルクも、残りぜんぶ入れてしまって――」
藍子「まぜて……。ごくごく。う〜ん……。まだ、ちょっぴり苦いです」
加蓮「……」ズズ
藍子「ふうっ」
藍子「……、……そわそわ」ウズウズ
加蓮「……」コトン
加蓮「あははっ。藍子、またそわそわしてる」
藍子「はっ」
32 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:25:04.32 ID:vmTmm9W/0
加蓮「今日の藍子はパッション全開だねー。誰かにあてられちゃった?」
藍子「もしかしたら、そうかも……? いつもみんな、レッスンにお仕事にって、一生懸命だから……私もっ、なんて」
加蓮「そっか。……藍子といると、なんか私までそわそわしてくるんだけど」
藍子「加蓮ちゃんも?」
加蓮「藍子みたいに何かが楽しみとかそういうのは無いんだけどね。たはは」
加蓮「いや、ここは私が落ち着くことでクールっぽさを藍子に影響させよう」
加蓮「このまま藍子がそわそわしてばっかりになると、事務所がおかしいことになりかねない……!」
藍子「事務所がおかしいことに」
33 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:25:34.55 ID:vmTmm9W/0
加蓮「藍子が落ち着かなくなったら藍子がお世話してるユニットが崩壊するでしょ。具体的には歌鈴と愛梨と……」
藍子「あの、別に私がお世話している訳ではないですよ? 確かに、頼られることが前より増えちゃいましたけれど」
加蓮「いや待って。逆に、そわそわ藍子ちゃんで行こうっ」
藍子「そわそわあいっ……そわそわ私で行く、って?」
加蓮「そわそわ藍子ちゃん」
藍子「そわそわ私っ」
加蓮「違う違う。そわそわ藍子ちゃん」
藍子「私は私ですっ」
加蓮「意地張ってないでちゃんとした名前で言いなさいよ。じゃないと話が先に進まないよ?」
藍子「そもそも進めなくてもいいお話ですし、こういう時の加蓮ちゃん、勝手にどんどん進んじゃうじゃないですか〜」
加蓮「まーね。藍子を待ってるといつまで経っても……だし?」
藍子「……」プクー
加蓮「あははっ」
34 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:26:04.52 ID:vmTmm9W/0
加蓮「具体的な計画はこう。藍子がそわそわする→周りが落ち着かなくなる→そうだ、自分が落ち着くことで藍子ちゃんを落ち着かせてあげよう→歌鈴や愛梨のドジが減る→バナナの皮が捨てられなくなり愛梨は服を脱がなくなる」
藍子「ふんふ……ん……? なんだか、とてもおかしなお話を聞いているような……?」
加蓮「これにて一件落着! ただそのかわりに藍子が転んでしまい服を脱ぐことになるけどね」
藍子「それ、解決になってないですっ」
加蓮「藍子……。さすがにブラジャーとショーツだけでPさんの前ですっ転ぶのは私でもちょっと……」ヒキッ
藍子「勝手に想像して勝手に引くのをやめてください〜っ。あと、歌鈴ちゃんと愛梨さんのそのっ……そういうのを一緒にしちゃダメだと思います!」
加蓮「でもさ、ちょっと真剣に考えるけど最近藍子ってちょっと頼られすぎな気もするんだよね」
藍子「そうでしょうか……。頼られるのは嬉しいことですよ? 私にできることがあったら、やりたいですもん」
加蓮「藍子がそう言うなら、それこそお節介になるし私はうるさく言わないようにするけどさ」
加蓮「負担になってることとか、背負い込むこととか、そういうのを誰かの為って言葉で見ないフリをするのは間違ってることだからね?」
藍子「……はい。それは、よく覚えておきますね」
35 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:26:34.31 ID:vmTmm9W/0
加蓮「ん。それでよろしい……うむ、よろしい。この調子で精進するがよい」
藍子「……?」
加蓮「忘れて。……一応、ホント一応聞くだけだけど、私は藍子の負担になってる? 邪魔してない?」
藍子「何を言っているんですか。ぜんぜん、邪魔なんかじゃないですっ」
藍子「今日だって、加蓮ちゃんのメッセージを見た時、リビングの――」
藍子「……な、なんでもないです」
加蓮「そっかーなんでもないんだー」グイグイ
藍子「そう言いながら、テーブルの下で足を足で挟まないでっ」
加蓮「なんでもないんだねーそっかそっかー」
藍子「いたいいたいっ。もうっ……。分かりました、ちゃんと言いますから!」
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:27:04.46 ID:vmTmm9W/0
藍子「……、」ウズウズ
藍子「ね、加蓮ちゃん」
加蓮「んー?」
藍子「加蓮ちゃんは――」
藍子「加蓮、ちゃんは……」
加蓮「……?」
藍子「……ううん」ブンブン
藍子「加蓮ちゃん。これからも一緒に、やりたいこと、いっぱいやりましょうね」
加蓮「はあ。今さらどしたの……? 今でも、やりたいことは全部やらせてもらってるつもりだし、不満とかもないけど?」
藍子「えっと、そうじゃなくて。……そうですよね。加蓮ちゃんが、ではなくて、私が、なんです」
加蓮「……さっきから何の話よ。1人で握りこぶし作ってないで説明しなさいっ」
藍子「加蓮ちゃん」
加蓮「はいはい?」
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:27:34.07 ID:vmTmm9W/0
藍子「私、行きたいところがいっぱいあって、やりたいこともたくさんあって……。でも、いつも、加蓮ちゃんと一緒にいられる訳じゃないから、」
藍子「その時はまた、ここでお話しましょうね」
藍子「私の見たことと、やったこと、ぜんぶ教えますから」
藍子「加蓮ちゃんも、できれば……私に、教えてほしいな」
藍子「そして、一緒に行ける場所と、一緒にできることは、一緒にやりましょうっ」
加蓮「……、」
加蓮「……」
加蓮「ふふっ。改まって何を言うのかと思えば。それっていつも通りのことじゃん」
藍子「そうかもしれません。それでも、もう1回言っておきたくて……うふふっ」
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:28:04.21 ID:vmTmm9W/0
加蓮「何それー。あっ、こういう約束をしたら裏切られるってお約束あるよね。何々? 藍子ちゃん、平気な顔して加蓮ちゃんを騙そうとしてる?」
藍子「へ? そんなつもり――」
加蓮「じゃあ私か。実は明日身体の魂的なのが抜けてゆるふわ空間に呑み込まれちゃうとか?」
藍子「どうして真面目に受け止めてくれないんですか〜っ。もうっ。だから、ゆるふわ空間にのみこまれるってどういうことですか!」
加蓮「ゆるふわ空間に呑み込まれるってことだよ?」
藍子「説明になってませんよ〜っ」
加蓮「ひひっ。ごめんごめん。藍子が当たり前のことマジ顔で言うから、ついからかいたくなっちゃった♪」
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/06/16(日) 18:28:41.31 ID:vmTmm9W/0
加蓮「ま……。約束を重ねがけしたい気持ちはよく分かるよ。それを相手への裏切りとか、不信とか、私はそういう風には思わないし」
加蓮「でも、そこまでマジな顔で言うなら……」
加蓮「そだね。付き合える時には、ちゃんと付き合ってあげる」
加蓮「今年の夏は、藍子に誘われっぱなしの夏になっちゃう感じかな?」
藍子「私が……! 帰ったら、もう1回カレンダーを見返さなきゃ!」
加蓮「……なんでそこで張り切るんだか」
【おしまい】
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