高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「そわそわ気分のカフェで」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:05:51.56 ID:vmTmm9W/0
――おしゃれなカフェ――

北条加蓮「何か食べたいけど何がいいだろ。……藍子に任せちゃうよ」

高森藍子「任されちゃいました。う〜ん、せめてヒントをっ」

加蓮「いや隠し事とか勝負とかじゃないし、本音探りもいらないわよ?」

藍子「それでも、こう……あなたの考えていることをずばり当ててみたいっ、って気持ちになることって、ありませんか?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1560675951
2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:06:26.08 ID:vmTmm9W/0
レンアイカフェテラスシリーズ第75話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

〜中略〜

・北条加蓮「藍子と」高森藍子「物静かなカフェテラスで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「2人きりのカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「しっとり雨模様のカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「真剣勝負のカフェで」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:07:06.41 ID:vmTmm9W/0
加蓮「なくはないけど、さ……。藍子、この前の勝負からそういうのにハマった?」

藍子「どうでしょうか。自分では、あんまりそういうつもりはありませんけれど」

加蓮「自分でも気づかない自分。よくある話だよね」

藍子「加蓮ちゃんも気付いていない加蓮ちゃん――」

加蓮「……あれとかそれとかって思い出そうとしなくていいから」

藍子「ぎくっ」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:07:34.17 ID:vmTmm9W/0
加蓮「藍子にはあんまりなさそうだよね、そーいうの。っていうか、あんまり本音とか隠さないタイプだもんね」

藍子「そうですね……。隠しごとが、ない訳ではありません」

藍子「……」

藍子「……あれっ、加蓮ちゃんが乗ってこない?」

加蓮「? 乗ってきてほしかったの?」

藍子「じ〜」

加蓮「じー」

藍子「……」

加蓮「……」

藍子「……♪」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:08:04.01 ID:vmTmm9W/0
加蓮「ちなみに藍子」

藍子「はい、何ですか?」

加蓮「私が今乗り気じゃなかったのってね? ……んー、何でだと思う?」

藍子「そういう気分ではなかったから……では、ないですよね?」

加蓮「ハズレー。さて加蓮ちゃんの知ってる加蓮ちゃんのこと、藍子ちゃんに分かるかなー?」

藍子「加蓮ちゃんのクイズコーナーですね♪ ……ぴったり当てたら蹴ってくるのに」ボソ

加蓮「ほう。何か言ったかな?」スッ

藍子「待ってくださいっスマートフォンを構えて何をするつもりですか!? やめましょう、冷静になりましょう加蓮ちゃん!」

加蓮「えー、スマフォ取り出しただけで大げさでしょ……。でも――」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:08:34.19 ID:vmTmm9W/0
加蓮「止めてほしくば!」

藍子「と、とめてほしければ……?」

加蓮「……、」

藍子「……」

加蓮「…………」

藍子「……。思いつかなかったんですね」

加蓮「……」シマウ

加蓮「正解は既に藍子の秘密は握っていて、このスマホの中にしまいこんでいたからでしたー♪」

藍子「なるほど〜。それなら、私が隠しごとがあるって言っても、気にもぉってっ、」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:09:04.15 ID:vmTmm9W/0
藍子「秘密って何ですか!? 何をしまいこんでいるんですか!?」

加蓮「そうだねー。一部だけ教えてあげる」

藍子「一部!?」

加蓮「夏が近くなって衣装の露出度がちょっと上がるけどだんだん慣れてきて、でもモバP(以下「P」)さんの前では恥ずかしがってるフリをしてる藍子ちゃんの映像」

藍子「してません!!!」

藍子「慣れてっ……慣れてない訳じゃないんですけど! ええと……なんと言うか……それ、いつのことですか!?」

加蓮「3日前のミニミーティングの時かなー」

藍子「ええとその時は確かっ……Pさんがちょっと冗談を言ってた時のだと思います!」

藍子「って、加蓮ちゃん、あの時どこにいたんですか……?」

藍子「ううん。その時にいたなら、私とPさんの会話も知っているハズですよね!」

加蓮「えー。何って言ってたっけ? 忘れちゃったから教えて?」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:09:34.19 ID:vmTmm9W/0
藍子「……次のお仕事の衣装の相談をしていて、だいたいの案はすぐに決まって、ちょっぴり時間が余ったから、」

藍子「Pさんと、最近あったお話……あの時は、そうっ、いつもお散歩する公園に紫陽花が咲いていたこととか、」

藍子「それと、夕方は涼しいことが多いから、暗くならない間にちょっとお出かけしたいってお話でしたね」

藍子「Pさん、私のことを心配してくださって、行きたいところがあるなら呼んでくれれば……って、仰ってくれたんですけれど、」

藍子「それは悪いなって思って。でも、……ときどきだけなら、一緒に歩いてみるのも――」

藍子「って、加蓮ちゃん?」ジトー

加蓮「うんうん。何々?」

藍子「……どうして加蓮ちゃんの知っていることを、私はわざわざ説明させられているんでしょうか」ジトー

加蓮「藍子の口から聞きたかったからっ」

藍子「もうっ……。ものは言いよう、ですね」

加蓮「〜♪」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:10:04.11 ID:vmTmm9W/0
藍子「加蓮ちゃんは、知っていると思いますけれど」

加蓮「うんうん」

藍子「Pさん、あの時ちょっとした冗談を言ったんです。言ったっていうより、衣装のサンプルを見せてくれて、ただ、それがちょっぴり……色んなところが出ている衣装だったので」

加蓮「藍子、顔赤くしてワタワタってなってたもんねー」

藍子「やっぱり見ていたんですね……。フリじゃないですから。本当ですっ」

藍子「Pさんの前でも……ううん、もちろん加蓮ちゃんの前でも、そんなウソはつけませんっ」

加蓮「嘘っていうより演技というか、駆け引きだと思うけど……」

藍子「駆け引き?」

加蓮「藍子にはまだ早いっか。いや、無自覚にしてくるよりは私が教えた方がいいのかな……」ブツブツ

藍子「?」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:10:34.15 ID:vmTmm9W/0
加蓮「何でも。でさ、話はちょっと戻るけど、ほら、メニュー」ユビサス

加蓮「お昼過ぎて結構時間経つし、何か食べようよ。藍子が決めてよ」

藍子「は〜い。私が選んじゃっても、いいんですね?」

加蓮「うん。藍子が食べたいのを食べたい気分だから」

藍子「ふむふむ……」パラパラ

藍子「……あっ」

藍子「あの、加蓮ちゃん? さっき、"一部だけ教えてあげる"って、他に何の秘密を――」

加蓮「あぁそれ? 消しちゃったから安心して?」スッ

藍子「写真のフォルダ? 本当だ、空になってます」

加蓮「今のネタは使っちゃった後だもんね。いつまでも言い続けるのは好きじゃないし」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:11:04.13 ID:vmTmm9W/0
藍子「他に写真は入れていないんですか?」

加蓮「……、ちょっと前に整理したからね」

藍子「なるほど〜。私も、パソコンに転送したり、写真屋さんで現像してもらった後は、スマートフォンからは消してしまいますね。そうしないと、すぐいっぱいになってしまいますから」

加蓮「うんうん」

藍子「あっ、それよりメニューを決めなきゃ。軽食かな、一品物かな……」パラパラ

加蓮「……」

藍子「加蓮ちゃんと一緒に食べたい物……」パラパラ
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:11:34.04 ID:vmTmm9W/0
加蓮(……今藍子に見せたのはテキトーに作ったフォルダの1つ。つまり他のフォルダに"藍子の隠し事のネタ"を入れてるんだよね)

藍子「加蓮ちゃん、」

加蓮(まあ、自撮りとか風景写真とかをちょっと前に整理したのは事実だし? 嘘はついてないもん――)

藍子「……加蓮ちゃん?」

加蓮「ん、何?」

藍子「……? 注文、野菜定食でいいですか?」

加蓮「えー。お肉にしようよお肉」

藍子「野菜定食にしましょうっ。すみませ〜んっ」

加蓮「ちぇ。せめて帰りにいつものとこ寄ってポテトだけ買っていこーっと」

藍子「――はい、お願いします。飲み物は……あとでいいですっ」

加蓮「〜♪」(スマホをしまう)
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:12:04.49 ID:vmTmm9W/0
藍子「お願いしますね。メニューを戻してっと――」カサ

藍子「かさ?」ノゾキコム

藍子「あれ、これ……」

加蓮「?」

藍子「メニュー置場のところに、これ、見てください。ハンカチが挟まってました」ヒョイ

加蓮「ホントだ」

藍子「誰かが忘れていったのかな?」

加蓮「置き忘れていっちゃったのかな。大人っぽくてシンプルなハンカチだし……女の人のっぽい?」

藍子「新緑色が素敵ですね……。このワンポイントの花柄も、可愛くて好きかもっ」

加蓮「藍子ー? いくら気に入ったからって持っていっちゃ駄目だよ?」

藍子「そんなことしませんよ〜。私、これを店員さんに持っていってきますね」

加蓮「んー」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:12:34.31 ID:vmTmm9W/0
<店員さ〜んっ。これ、忘れ物みたいです――

加蓮(……ん? 前にこのカフェに来たのって確か……5日前くらいだよね?)

<……えっ?

加蓮(まあ、私達以外にもここに座る人がいても不思議じゃないか……)

<あっ……

加蓮(そう考えると、ちょっと不思議な感じ。私と藍子だけの場所に侵入者! って感じもするし。他にこの席でのんびりする人がいるのって、仲間って気持ちもして――)

加蓮(どんな人なんだろーね)
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:13:03.92 ID:vmTmm9W/0
……。

…………。

加蓮「藍子ー、おかえり。ふふっ、お礼にスイーツの1つくらいタダにしてもらってきた? ……って」

藍子「……………………」ズーン

加蓮「なんかすごく落ち込んでる……」

藍子「……」ポテッ

加蓮「人形みたいな動きで座った……」

藍子「……」ベチョ

加蓮「突っ伏せた……」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:13:34.53 ID:vmTmm9W/0
加蓮「どしたの? なんか言われたの?」

藍子「……そおじゃないです」

加蓮「ホントに? いくら店員でも藍子のことを悪く言うなら許さないし、私から何か言ってくるよ?」

藍子「……わるいこといってるのいつもかれんちゃん」

加蓮「それは藍子のせいだからしょうがないでしょ」

加蓮「で、マジでどしたの」

藍子「……、さっきの、ハンカチ」

加蓮「うん」

藍子「わたしのでした……」

加蓮「……は?」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:14:04.01 ID:vmTmm9W/0
藍子「……」スッ

加蓮「藍子のって、ハンカチだけ見てなんで店員がそれ分かるのよ。見せびらかした訳でもないんでしょ?」

藍子「……」チョイチョイ

加蓮「何? ハンカチの右下……。"Aiko.T"って」

加蓮「……………………は?」

藍子「……」ズーン

加蓮「……………………」

藍子「……………………」

加蓮「…………、そ、そう。これは確かに藍子のだね……。な、名前の隣にある笑顔のマークかわいいねー……」

藍子「…………」

加蓮「…………」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:14:34.50 ID:vmTmm9W/0
藍子「……」

加蓮「……」

加蓮「……一応聞いてみるんだけど、これアンタの手縫い?」

藍子「……」コクン

加蓮「だから元がシンプルだし花柄が小振りでメルヘンっぽいのね……。で、名前まで縫い込んだと」

藍子「……」コクン

加蓮「それをいつか置き忘れて、今見た時に自分のじゃないと思い込んだと」

藍子「……」コクン

加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「…………」

藍子「…………」

加蓮「………………ほら……えと……」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:15:03.90 ID:vmTmm9W/0
加蓮「あ、そうだ。ほら、いつもと違うヘアメイクしてもらった時の写真がさ、後から見て"これ誰?"ってなったりするじゃん。あれと同じだって!」

加蓮「だからそんなに……気に、しなくても……」

藍子「…………」

加蓮「…………」

加蓮「……あ、店員さん。定食できたんだね。ありがとー……いやホントに今回は私じゃないって」

藍子「……」ズーン

加蓮「たぶんほっといたらそのうち復活すると思うし、ほっといてあげて?」

加蓮「うん。後で何か注文するね……」

藍子「……」ズーン
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:15:34.18 ID:vmTmm9W/0
加蓮「……」

藍子「……」

加蓮「……いただきます」パン

藍子「……」

加蓮「……」モグモグ

藍子「……」

加蓮「……」モグモグ

藍子「……」スッ

藍子「……いただきます」モグモグ

……。

…………。
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage saga]:2019/06/16(日) 18:16:04.69 ID:vmTmm9W/0

□ ■ □ ■ □


「「ごちそうさまでした。」」

藍子「はぁ……」

加蓮「まだ気にしてるの……。ほら、藍子。口のとこついてるわよ……」フキフキ

藍子「うぅ〜……」

加蓮「ったくもう」スッ
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