安価とコンマでダンガンロンパ風SS【オリロンパ】

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285 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/15(土) 16:46:13.49 ID:GOPJMiU4O
それでは少しだけプロローグをやりたいと思います。自己紹介の最初の方くらいまで。
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 16:47:12.49 ID:YMsGXb3VO
おつおつ。了解です
287 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/15(土) 16:47:30.20 ID:GOPJMiU4O



PROLOGUE【希望の高校生と絶望の入学式】



288 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/15(土) 16:50:04.88 ID:GOPJMiU4O
[教室1−A]



黒野「…………」

黒野「…………うっ……」モゾ……

黒野「…………?」

黒野(こ、ここは……どこ?)キョロキョロ

黒野(えっと、ワタシは確か…………)

黒野「!」

黒野(そうだ……! ワタシは今日、希望ヶ峰学園の入学式だったハズ……!)


希望ヶ峰学園。

様々な分野において秀でた才能を持つ高校生───いわゆる『超高校級』───を集めたスカウト制の学校。世界でも類も見ない特別な学校だ。

そんな特別な学校に、ワタシは通える事になったんだ。


黒野(…………あれ? 何で?)

黒野(ま、待って……! 落ち着いて考えなきゃ……!)

黒野(ワタシの名前は……黒野真白で……そして…………)

黒野「…………」

黒野「こ、これって……もしかして、記憶喪失……!?」

黒野(そ、そんな……! 一体どうして……!)
289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 16:51:58.03 ID:ZvUwTTt6O

珍しくまともでいい意味で癖のないな感じの人が多そうで期待
爆弾枠は蒼井くんに見せかけた石原くんか藤宮さんかな
290 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/15(土) 16:52:56.31 ID:GOPJMiU4O
黒野「……今の状況と、何か関係があるのかな」キョロキョロ

黒野「ここは、教室……。って事は、ここは希望ヶ峰学園……?」

黒野「それにしては……なんか変な感じ……」

黒野(窓には鉄板、天井には防犯カメラ……まるで刑務所……)

黒野(まぁ、各国の要人が通う事もあるらしいし、これくらいの警備は普通……なのかな?)

黒野「……いや、違う、よね…………」

黒野(こんな空間でマトモな授業を受けられるわけない……やっぱりおかしいよ)

黒野(それに、この鉄板……内側から貼り付けられてる……)

黒野「って事は……な、内部の人間の犯行……?」

黒野「ど、どうしよう……とにかく、ここから出た方がいいのかな」

ガラガラ

黒野「!」

黒野(だ、誰か来た……!)



【誰かが来たようです。誰でしょう? >>281-284から生徒を1人選択してください。】

↓2
291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 16:54:01.10 ID:xudD+i5F0
飯田さん
292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 16:54:16.07 ID:ZvUwTTt6O
蒼井
293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 16:55:01.05 ID:g7Ngf2xj0
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294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 16:59:22.36 ID:g7Ngf2xj0
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295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:01:16.11 ID:g7Ngf2xj0

―――――遠い、尊い夢を見ていた



……いや、ちょっと違う。夢を見ていた、だと過去形になる
今、私は夢を見ている。甘くて、優しくて、そしてとっても儚い一瞬
その刹那を、私はゆっくり俯瞰する。まるで、遥か彼方の空の上から、愚民を見下ろす神様の様に



「ゆーびきーりげんまん、うそついたら……」
「はーりせーんぼーんのーます! ゆびきった!」



見下ろす先には二人の女の子。二人は指を絡ませ、えへへと笑いあっている
指切りげんまん。小指を引っ掛けて、約束を誓い合う。よくある、何て事の無いおまじないだ
因みに、元々は男女の愛情が変わらない事を示すというロマンチックな……

……閑話休題。話が逸れました


そんな微笑ましい光景を、私は眺めていた
二人の少女の笑顔には、見覚えがある。だって、片方は小さな頃の私だから
今よりもずうっと小さくて、今とは違う無垢な私。何も知らないから、何も穢れていない私
尊い懐かしい思い出。ノスタルジイに浸りながら、私は微かに思考を巡らせた
296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:02:04.42 ID:g7Ngf2xj0
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297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:05:19.64 ID:g7Ngf2xj0

『人生とは嘘と都合のいい話の重ね合わせである』



これが、ほんの十年と少ししか生きていない私なりの人生哲学だ
別に、どこかの偉い人の格言でも無ければ、何だか凄そうな自己啓発本のキャッチコピーでもない
ただ何となく、そんな感じがするというだけ。ただそれっぽいだけのテキトーな哲学もどきだ
そうやって人生を全て悟った様な気になっている。ただのさとり世代の空想なんです

……悟らないと人生やっていけないから。そうして私は、私を納得させるんだ
特に、今みたいな……極めて不愉快な時間には


「すみませーん、もっと笑顔出来ますかー」
「こっちに視線お願いしまーす」
「ポーズもう少し上げてくださーい」


……青く澄み渡る空の下、私は酷く不機嫌だった
その元凶は、無茶な注文に、無理な姿勢。そして、無遠慮な視線で私を射抜く
最高のロケーション日和は、最低最悪の集団のせいで見るも無惨に台無しだ

私に群がるカメラの目。ゾロゾロと蠢くハエやトンボが、ギョロギョロと首を動かしているみたい
正直な事を言うと、私はカメラが嫌いだ。無機質な鉄屑の癖に、やけにくっきりと真実を捉えるから
そんなものが数えきれない程、それも濃密な欲望を伴ってまとわりついてくるのだからイヤになる
だから私は、大きな声で精一杯こういうのだ―――


「はーい! 皆、大好きだよーっ!!」
298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:06:07.92 ID:g7Ngf2xj0
「はぁ、疲れた……」

あれから数時間、空の下で私は晒し者にされていた
流石に普段あれだけの人数から視線を向けられる事は滅多に無い。あったらあったで問題だけど
それに、今日の衣装はかなり際どかった。きっと、そういう目的で来た人の方がずっと多いはずで……


「……………………この話は止めよ。はい、止め止め」

一瞬。ほんの一瞬気持ち悪い事を考えてしまった

頭に浮かんだおぞましい妄想を振り払い、机の上のパソコンに指を走らせる
映っていたのは私の写真、今日のイベントで、知り合いのカメラマンに頼んで撮らせておいたもの
その中で、映りの良いものを厳選していく。選別を進めていくと、数十枚もあった写真は、ほんの三枚まで数を減らしていた

選んだ写真を貼り付けて、準備は完了
パソコンの画面を切り替えて、新たなページを映し出す
鈍く光る液晶の中には、キラキラと輝く私がいた
そう。何を隠そう、これは私のブログなのだ

「……よしっ、と」

ブログに写真を貼り付けて、可愛らしい媚びた文章で感想をつらつらと書いていく
投稿を終わらせると、直ぐ様無機質なハートマークとゴチャゴチャとした感想で埋め尽くされた

「おお……ついてる、ついてる……!」

画面に満たされていく一文字の称賛
赤いハートの隣では、今も数値を増やしていた
それに呼応するかの様に、空っぽの身体はゾクゾクとした快感に包まれていく
それなりに長くやっているつもりだけど、この感覚だけはいつも慣れない
世界が私を受け入れ、認めてくれると確信出来る、この最高の瞬間だけは
299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:07:12.30 ID:g7Ngf2xj0
「うへへへぇ……」

思わず、女の子が出しちゃいけない様な声を出してしまう
でも、それ位気持ちがいいんだ。世界中から認められるって事は、世界中から祝福される事だから
産まれてきて良かったんだって、心の底から感じられるから……
身体の奥底から沸き上がる快感に酔いしれる。ふと時計を見てみたら、短い針はとうに1を指していた

「……げっ!? もうこんな時間!?」

深夜のアニメは見逃したくないけど、私は夜更かしはしたくない
だって、夜更かしはお肌の天敵だ。シミやソバカスは絶対にNGだし……
何より、少しでも傷がつけば……きっと、私は誰にも見ては貰えないだろうから

そうと決まればやる事は一つ
寝仕度を整えて、ベッドに横になる
ふかふかしたお気に入りの枕に頭を預けて目を閉じると、世界から光が消えた様に暗くなった
最後に、一つだけ。毎日の様に唱える魔法の呪文、夢へと導いてくれる定型句を口にする



「おやすみなさい」



変わらない言葉。普段通りの挨拶
明日も、明日も、明日も……私はこの言葉を口にするんだろう
変わらない明日へ。永遠に続くであろう、退屈な日常に向かうために
私をもっと受け入れてくれる。優しい夢の世界へと沈んでいった



――――――――――

――――――

――――
300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:08:12.71 ID:g7Ngf2xj0
―――いきなりだけど、夢って都合のいい真実だと思わない?



だって、夢の中なら、現実だとあり得ない事だってやれちゃうんだよ?




私はね……大好き!ずっと夢の中にいたいくらい!



……君は、どうかな?夢って……好き?







――――――――――

――――――

―――
301 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/15(土) 17:11:53.39 ID:GOPJMiU4O
蒼井「おや、こんなところにも人がいたのか」

蒼井「……大きいね、君。まぁ僕が男としては小さめなのは分かってるけどさ」

黒野「あ、アナタは……?」

蒼井「それは秘密……と言いたいところだけど、こんな状況じゃそうも言ってられないか」

蒼井「僕は蒼井彼方。【超高校級の腹話術師】だよ」

黒野「超高校級……!?」

蒼井「あれ……君も超高校級の一人だと思ったんだけど、違うの?」

黒野「え、えっと……多分、そうなんだけど……」

黒野「ワタシ、その……記憶が無くて……」

蒼井「えっ……本当? それは大変だねぇ」

黒野(……大変そうに思ってくれてないような気が…………)

黒野「あ、あの……ここは、やっぱり希望ヶ峰学園なの?」

蒼井「おそらくね……。僕も今起きたところだから、実のところ良く分かっていないけど」

蒼井「でも、何だかキナ臭いよねぇ……こんな、僕らを閉じ込めるような学園なんて、さ」

蒼井「とにかく、どこか別の場所に行かないかい? 他に人がいるかもしれないし」

黒野「えっ……い、いいの?」

蒼井「ん? 何が?」

黒野「い、いや……ついていっていいのかなって……」

蒼井「いいに決まってるじゃないか。それとも、ずっとここにいるつもり?」

黒野「う、ううん」

蒼井「よし、それじゃあ行こうか! 探索にね!」

黒野(ぐ、グイグイ来るな、この人……)
302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 17:12:18.95 ID:SZk2ruhHO
この怪文書よく見るけどどこの?
303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:14:02.92 ID:g7Ngf2xj0





【PROLOGUE】
  Re:Re:Re






304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:14:51.23 ID:g7Ngf2xj0

……ベルが鳴っている

聞き覚えのある。と言うより、毎日聞いている起床を促す催促音
早く起きろ、愚図め。と言わんばかりにせわしないアラームに呆れる、もう少し寝ててもいいかな……
別に、明日は急ぎの用事も無い。二度寝しよう。そう決心して寝返りをうとうとしたその時



『テーテレテッテテーン♪』



聞き馴染みの無い、不可思議な音が聞こえてきた
なんだ、今の音は。私の目覚まし時計に、あんな音は入っていないはず
それに、今のは目覚ましのアラームと言うよりも、まるでゲームのコンティニュー音みたいで……
軽快で、愉快で、爽快で……それが逆に、私に言い知れない不安を与えていた

それに、何だかベッドもおかしい
私のベッドはこんなに固くない。ここはまるで棺の中にいる様に堅くて、狭い
意識がどんどん覚醒に向かうにつれて、ようやく私の置かれている状況の異常さに気づく

ここは既に、私の部屋の中じゃない―――!

(どうしようどうしようどうしよう……!?)

パニックになりそうな頭を整理する。まずは周りの状況を把握しよう
音は特に聞こえない。床の冷たい、ひんやりとした感触だけが、確かなものだと断言出来る
それと周りの壁……少し腕が動かせる程度の狭さしかないから、身動きが取れない
と、とにかく早くここから出ないと……!

「……あの、大丈夫かしら?」

「うきゃあああっ!?!?」

唐突にかけられた誰かの声
無音からの声と、自分だけの空間に割り入る浸入者への二重の驚愕が頭を混乱させる
思わず身体を思いっきり起こす。ゴチン!と重い音が響き渡り鈍く痛む額を抑えながら瞼を開くと……

「……だ、大丈夫? 今、凄い音がしたけれど」

「……何とかね」

私と同い年位の女の子が、きょとんとした顔で此方を覗いていた
305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:15:51.20 ID:g7Ngf2xj0

「大丈夫か!?」
「あはっ、起きたみたいだねぇ」
「にひひっ、やーっとおっきしたみたいっすね!」

「えっ!?何々、なんなの貴方達!?」

目の前の女の子以外にも、人はたくさん居た
あんな狭そうな所に何人もいるなんて……と思ったけれど、よく見たらここは結構広い場所だ
黒板に机に椅子。どれもこれも、毎日飽きるほどに見たことのある物ばかり
どこかの教室……なのかな。それにしては、窓には有刺鉄線が張られ、床には雑草が大繁殖している
今から目を瞑って確認しても、ここをさっきの場所だと判断する事はないだろう



「えっと……私の入っていた箱は?」
「……箱?何の事か、私には要領を得ない」
「恐らク、夢の中の存在だろウ。うなされていた様だしナ」


確認をとってみても、誰も答えてはくれない
夢……だったのかな?でも、やけに冷たい感触がハッキリしていた気もするけど……

「……って!そんな事は重要じゃないよ!貴方達は誰!?ここは何処!?」
「ヒッ!?そそ、そんなにキレんなよな……!」
「いやー、それがな、ウチらにもわからんのや」
「わからない……?何それ、拐ってきた癖に……!」
「なら、貴様はアレの中から出てきましたと言えば素直に信じるのか」
「アレ……?」

一人の女の子が、竹刀で後ろを指し示す
身体を捻って振り向くと、そこには教室らしき場所には相応しくない、異形のモノが鎮座していた
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:16:56.70 ID:g7Ngf2xj0

「な……何?あれ……ゲーム?」
「驚くわよね……あんなモノがこんな場所にあるなんて……」
「ここ、一応学校っぽいけどな。なんであんなけったいなモンがあんねん!」
「な、なな、何で学校にアーケードがあるんだって話だよな……」

チカチカと明滅する電光パネル。それとは対称的に頑なに沈黙を貫いている液晶画面
付けられているのは、古臭いレバーとチープなボタン。錆び付いていて、まともに動くかも疑問だ
それは、捨てられたアーケードゲームをそのまま教室に持ってきた。と言わんばかりのガラクタだった
機体は完全に壊れてる。なのに、光続けるパネルはまだ生きている事を強調するみたいに脈打っていた



「あのオンボロゲームの中から嬢ちゃんは出てきたんだ。信じられるか?」
「え?どうやって?画面から?」
「どこのホラー映画なの!?」

いきなり宣告された奇妙な出来事に、私は理解が追い付かなかった
まさか私は死んだの?なら、もしかして私は今絶賛大流行中の異世界転生を?
だとしたら、女神様なりチートスキルなり…せめてスマートフォンくらいは欲しいんだけどな

「それでは語弊を招くでござろう。その筐体の側面に人一人が入れそうな隙間が見えるでござるな?」
「キミはその中より出でたのだよ。レディ……まさに!ミステリアス!」

「そうなんだ……かがくのちからってすげー!」

……もうなんだかよくわからなくなってきた。ここは適当に話を切り上げちゃおう
皆もこの話はあまり気乗りしなかった様で、納得したと見るや安堵の雰囲気が流れていた
307 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/15(土) 17:26:28.63 ID:GOPJMiU4O
[玄関ホール]



黒野「えっ……!?」

蒼井「これは……」

黒野(玄関ホールに来たワタシ達は……扉が封鎖されているのを見つけてしまった)

蒼井「ガッチリ閉じられてるねぇ……」

黒野「そんな……」

蒼井「……どうにか開けられないかな? ちょっと操作したら開いたりとか」


羽鳥「───やめた方がいい」


黒野「うわっ……!?」

蒼井「い、いつの間にいたんだい!?」

羽鳥「…………」

蒼井「えっ……急に無視?」

石原「ソイツはさっきからそんな感じだ。諦めろ」

黒野「アナタは……」

石原「石原健だ。まさか……俺を知らないとは言わないだろうな?」

蒼井「あー、うん、知ってる知ってる。ほら、あれでしょ、あの……ね!」

蒼井「あ、そう言えば、君の名前って何?」

黒野「あっ……く、黒野真白です。よろしくお願いします」

蒼井「うんうん、よろしくよろしく」

石原「……………………」ピクピク……

黒野(あっ、お、怒ってる! 無視してたから、石原クン怒ってるよ!)

黒野「し、知ってる! ワタシは知ってるよ!」

黒野「ドラマや映画、舞台まで、色々なところに引っ張りだこの【超高校級の俳優】、石原健クンだよね!」

石原「……フン、知っているならさっさとそう言え」

蒼井「安心してよ、僕も知ってたからさ!」

蒼井「知らないフリしたらどう反応するかなって思っただけだよ!」

石原「貴様……!」

石原「…………まぁいい。それより、天井を見てみろ」

石原「……銃みたいなものがあるだろう」

黒野「あっ……」

黒野(ほ、本当だ……! しかも、すごく大きな銃……!)

蒼井「まさか、扉を開けようとしたら撃たれるって言うの?」

石原「可能性はゼロではないからな。無闇に触るのは得策ではない。だから羽鳥も止めたのだろう」

黒野「……羽鳥?」

羽鳥「…………私。羽鳥真夜。【超高校級の悪運】」

黒野「超高校級の……悪運?」

黒野(一般抽選枠の【超高校級の幸運】なら分かるけど……悪運って……?)

羽鳥「…………」

石原「……ソイツはそれ以上何も教えてくれんぞ」

蒼井「シャイなのかな!」

黒野(そ、そういう事なのかな……)
308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:35:00.24 ID:g7Ngf2xj0

……それでも、本当に私があのゲームから出てきたという確証は無い
そもそも、この人達が誰なのかもわからないし……

「……ねえ、もし良かったら……自己紹介しない?」
「え?……自己紹介?」
「ええ。どうやら私達は同じ境遇みたいだし……」
「ナルホド。我々は一蓮托生。最低限の相互理解は不可欠という事だナ」
「そんなに大袈裟な事でござろうか……?」
「どうせその内なんとかなるって!」
「でもでもぉ、私は他の皆の事も知りたいなぁ♪」
「……くたばれ。変質者が」

そんな事を考えていたら、女の子の一人がそう提案してきた
女の子の一言で、周りがぱっと明るくなる。……一部怪しい所もあるけれど
でも、確かにこの人達の事を知っておくのは悪い事じゃないと思うのも確かだよね
ここが何処なのかも解らない上、この人達が誰かも解らないなんて詰んでるも同然だもん

「あー……で、誰からやんだよ?」
「言い出しっぺの法則っす!とゆーワケでどぞ!」
「わかったわ。私は……」
「……あ!ちょっと待って!私からやる!」
「えっ?君から?さっき起きたばっかでしょ?」
「無理せんでええねんで?今は休みぃ、ウチらの後にゆっくり聞くわ」

自己紹介される前に、咄嗟に声を挙げていた
別に始めは私じゃなくてもいいのはわかっていたけれど、それでもこれだけは譲りたくなかった

「だって……一番始めって主役っぽくない?」
「何だそりゃ?」
「な、中々に変わった御仁でござるな……」

一番変わった格好の子にそんな事を言われてしまう
でも、いちいち挫けていられない。アンチの批判は今更なんだ
大きく息を吸い込んで、私は、私を口にだした




「私の名前は瀬川千早希!超高校級のコスプレイヤーなんだ!皆、よろしくね!」


【超高校級のコスプレイヤー】
  瀬川 千早希(セガワ チサキ)

309 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/15(土) 17:38:26.60 ID:GOPJMiU4O
石原「他に人はいたか?」

黒野「ううん……ワタシ達は会ってないよ」

蒼井「そうだね。誰もいないと思うよ」

石原「という事は、お前らで最後か……」

石原「俺達は体育館で目が覚めてな。他に人がいないか探していたんだ」

石原「……コイツは勝手についてきただけだが」

羽鳥「…………」

石原「体育館であと10人ほど待っている。ついてこい」

黒野「う、うん、分かった」


[体育館]



白鷺「おっ? 誰か来たぞ!」

小西「他にも人がいたんだねぇ……」

隼総「ったく……何でこんな事になってんだか……」

黒野(体育館には、個性的な男女が12人いた)

黒野(もしかして……みんな超高校級なのかな……?)

蒼井「んじゃ……僕は自己紹介でもしてこようかなー」

蒼井「じゃあねー黒野さん!」ヒラヒラ

黒野「えっ」

黒野(……行っちゃった)

石原「……ヘラヘラとした奴だ」

石原「だが、アイツの言う事も一理ある。これからどうなるかは分からんが、皆と顔を合わせておく事は必要だろう」

石原「黒野。お前も自己紹介をしてこい」

黒野「えっ……えっと、はい……」

黒野(ど、どうしよう……まだ混乱してるけど、上手く話せるかな……?)



【自己紹介ターンです。誰と自己紹介するのか、>>281-284から1〜2人選択してください。蒼井・石原・羽鳥は不可。】

↓1
310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 17:39:14.07 ID:X1yLMDKu0
羽鳥
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 17:39:40.12 ID:X1yLMDKu0
ごめん読み間違えた安価下で
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 17:40:04.50 ID:hQ92jmZDO
藤宮 レオン
313 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/15(土) 17:41:35.65 ID:GOPJMiU4O
では、今日はここまで。次回からしっかり進めていきますので、よろしくお願いします。
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:51:25.05 ID:g7Ngf2xj0

「瀬川さんって言うのね。此方こそよろしく!」
「うん!まだ会ったばっかりだけど、これからも仲良くしてね!」

にこやかな笑みを浮かべる女の子の手を握る
少し力を入れて握ると、向こうも私の手を優しく包み込んでくれた
……妙にこなれている様に感じたのは何故だろう

「コスプレイヤー……って、何?」
「コスプレとは、ズバリ時代劇の事でござる!」
「それは原語の意味だナ」
「時代劇?瀬川の嬢ちゃんがか?」
「ん、んなワケねーだろ……コスプレイヤーって言うのはな……」
「あ、コスプレイヤーって言うのはね……」

トンチンカンな事を言い続ける一同に向かって話しかける
確かにあまりメジャーな才能じゃないから、皆にもしっかり教えてあげないと
コスプレイヤーのなんたるか。それを説明出来ずして、いったい何が超高校級か!


「コスプレイヤーって言うのは、簡単に言えばアニメや漫画のキャラクターになりきる人の事を言うんだけど最近では現実でバズった出来事や人物とかの物真似みたいに扱われているんだけどね」

「は?」

「それって正確にはコスプレじゃないよね?コスプレって言うのは非実在の存在を自分を使って実現させる行為の総称であって自分の自己顕示欲や承認欲求を満たすためのものじゃないのにさ!」

「な、何言ってるんすか?」
「何かの呪いでござろうか……?」

「あ、私は知名度を上げるの為に有名なキャラのコスプレとかもするんだけど、でも調べてからしているから決して同人175とかじゃないよ?それに知名度を上げる事も活動には必要で……」
「「「………………………………」」」

〜〜〜〜〜


「って、こんな感じなんだけどわかった?」
「いや、何言ってるかさっぱり……」
「あー充分だ。ありがとうな」
「……個性的な人」

一通りの私の持つコスプレイヤーへの話を吐き出す
急激な情報を受け取ったからなのか、それとも単に興味がないのか、皆の表情は良くは無かった
でも、今は私の事なんかよりも知りたい事がある。それを聞き出すために、喋りすぎて渇いた喉を動かした

「それで……今ってどうなっているの?」
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/15(土) 17:52:23.52 ID:g7Ngf2xj0

「……えっ皆ここで起きたの?駆村君、月神さん」
「おまけに、全員が超高校級と呼ばれているんだ。なんだか妙だと思わないか?」
「全員にここに来るまでの記憶も無いし……なんらかの事件に巻き込まれた可能性もあるわ」

【超高校級の地域振興委員】
  駆村 沖人(カケムラ オキト)

【超高校級のアイドル】
  月神 梓(ツキガミ アズサ)

一通りの事情を、場を仕切っていた男の子と女の子から聞いておいた
長靴や軍手。手拭いを首から下げた駆村君は農家みたいな……というより実際に農業もするらしい
寂れた故郷の時雄島(トキオジマ)を、一躍、人気観光名所まで押し上げた事から地域振興委員に任命されたみたい
噛み砕いて言うなら……親善大使かな、多分。俺は悪くねぇっ!

で、もう一方の女の子。さっき私と握手した子が、この月神さん
藍色のボブカットをヘアピンで整えた月神さんは、今人気急上昇中のアイドルグループのセンターに抜擢された時の人
歌、ダンス、トークセンス。そして一番大事なルックスも上位に君臨する、一般人から羨望の眼差しを一身に受ける恵まれた天才だ
……正直、私も少しだけ羨ましく思ったりもする
316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 17:53:09.65 ID:hQ92jmZDO
乙でした
317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 19:09:00.98 ID:3nEHzPddO

蒼井くんいいキャラしてるね
羽鳥さん重要キャラなのかな?
318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 21:27:22.91 ID:fy70pm+dO
ヒーローポジションは誰かな?
男子全員やろうと思えば出来そうだけれど、スペック的に小西、蒼井、白鷺、レオンのだれかが主人公を支える役を担いそう
319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/15(土) 23:58:12.87 ID:JbqaSF30O
なんか腐女子が沸いてきたな
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 00:28:24.26 ID:amdB/MiR0
期待してる
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 05:41:51.80 ID:/SsVPyP8O
自演乙
322 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/16(日) 20:04:46.42 ID:Hofe2schO
こんばんは。では、やっていきます。プロローグは終えたいですねー。
323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 20:16:27.25 ID:G6Wad0QVO
待ってましたー
324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 20:18:26.82 ID:zuEx7k0DO
はい
325 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/16(日) 20:21:58.43 ID:Hofe2schO
藤宮・レオン選択



黒野(どうしよう……誰から話しかければ……)

藤宮「あのー……」

黒野「ひゃい!?」

藤宮「あっ、お、驚かせてしまいましたか? ごめんなさい」

黒野「う、ううん。ワタシこそごめんなさい……」

藤宮「ふふっ、これでおあいこですね」

黒野「えっ? あ、う、うん……」

藤宮「私の名前は藤宮栞。【超高校級の図書委員】です。よろしくお願いしますね」

黒野(藤宮栞……確か、そのあまりの整頓能力と本に対する知識から国立国会図書館にもスカウトされたっていう【超高校級の図書委員】……)

黒野(最近では海外の有名な図書館からも呼ばれているとか……)

黒野(……自分の記憶は無いけど、他の超高校級の記憶はあるんだよね…………)

黒野(あっ、でも蒼井クンと羽鳥さんの事は知らなかったな……)

レオン「……人から自己紹介されたら、きちんと返すのが礼儀ではありませんか?」

黒野「へっ……? あ、ご、ごめん……!」

藤宮「だ、大丈夫ですよ! もうっ、レオンさんも変な事言わないでください!」

レオン「いえいえ……ある程度の礼儀は守らないといけませんからね」

レオン「もっとも、この方は礼儀が欠けているというよりもただただシャイなだけだとお見受けしますが」

レオン「安心してください。コミュ障の貴女にも神は平等に愛を与えてくれますよ」

黒野「え、えっと……」

レオン「申し遅れました。私の名前はレオン・リード。聖職者をやっております」

黒野(レオン・リード……各国で宣教活動を行っている【超高校級の聖職者】……)

黒野(彼のおかげで解決した紛争は一つや二つじゃないんだっけ……ノーベル平和賞の候補の一人でもあるんだよね……)

黒野(……こんなに小さい子だとは…………)

黒野「わ、ワタシは、黒野真白です。よ、よろしくお願いします、藤宮さん、リードさん……!」

レオン「レオンで構いませんよ。私達は学友となるわけですし」

藤宮「そうです、私も栞と呼んでいいんですよ! えっと……真白ちゃん!」

黒野「で、でも、初対面で名前呼びは……」

レオン「おや……それは初対面で名前を呼んだ栞さんを否定しているのですか?」

黒野「ち、違います! そういうわけじゃ……!」

藤宮「レオン君ったら……ちょっと真白ちゃんをからかいすぎですよ?」

レオン「おや、そういうつもりはないんですがねぇ」

黒野「え……えっと……」

黒野「……よろしくお願いします。し、栞さん、レオンさん」

レオン「ええ、よろしくお願いします」

藤宮「よろしくお願いしますね!」



【自己紹介ターンです。誰と自己紹介するのか、>>281-284から1〜2人選択してください。蒼井・石原・羽鳥・藤宮・レオンは不可。】

↓1
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 20:23:28.82 ID:ZbX5njCh0
池辺 雷田
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:26:20.87 ID:39syJi/w0




……小さな頃、一度だけパパとママに叱られた事がある


あれは……そう。確か、小学生の時。まだ善悪の分別のつかない頃


ずっとお家に帰らない両親が恋しくて、二人が大切にしていた絵画を破いた事があった


最初はこれでパパとママに会えるって思っていたんだけど……結局、二人は戻ってこなかった


帰ってきたのはそれから一ヶ月が経った頃……二人は家政婦さんから事情を聞いたみたいで、私を呼び出すと、大声で怒鳴り付けたんだ


『どうしてこんな事をしたんだ』『貴女をこんな悪い子に育てた覚えはない』『お前がそんな事をするなんて』……


何を言っていたかはあんまり覚えていない。けど、その後パパは私を抱き締めて、こう言ったんだ


『もう、こんな事はしないでくれ』。それが、私とパパの最初で最後の約束だった


怒られた事は悲しかった。けど、それよりももっと大きな事実が、私の心を支配していたんだ




……『約束を破れば、私に構ってくれる』って
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:27:01.54 ID:39syJi/w0

それからしばらく経って……私が小学生に上がった頃


私の大好きな友達に、『私のお家に遊びにおいでよ』って誘われた


勿論、最初は行くつもりだったけど……ふと頭の裏を過ったのは、幼い頃の、苦い思い出


……好奇心が沸いたんだ。もし、ここで友達との約束を破ったら、友達は私にどうするんだろう?




そんな無邪気な好奇心に負けて、私は、もう一度約束を破った




翌日、学校で何気無く話しかけてみた。友達からの返事は無くて、顔はこっちを向いていなかった


一瞬でわかった。私は無視されている。友達の視界から、世界から私は殺されている……


好奇心が罪悪感に変わったのはすぐだった。ごめんなさい。許してください。もうしないから。お願いだから


思い付く限りの謝罪と懇願。頭が壊れるかと思う程頭を下げ続けて、その子はゆっくりとこう言った


『もう友達との約束を破らないって、誓える?』。私はこの時、ようやく自分のした事の重さに気づいたんだ



約束を破る事はいけない事。それも、友達との約束を破った人には罰を与えないといけない事

私は、心に硬く誓った。もう約束は破らないって

友達との約束は、絶対に叶えないとダメなんだって……
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:27:47.85 ID:39syJi/w0




……嫌な夢を見た。よりにもよって、辛い事があった日に限って悪夢を見る

目を閉じると、瞼の裏に昨日の出来事がスクリーンの様に映し出される

殺人事件、学級裁判、オシオキという名の処刑……

その果てに、天地さんと吊井座君。二人もの命が、たった一日で何処かへ消えてしまったんだ

……どうせなら、私もここから消えてしまいたい。一刻も早く、私のモラトリアムに浸りたい

けど、ここから帰ろうとした二人は……もう、戻れない所まで行ってしまったんだ

「はぁ……行くしかないかぁ」

進むも退くも最悪なら、進んだ方がいいと思う。流石に今のタイミングで逃げるのはイメージが悪い

……皆の様子も、一応見ておきたいしね

「……よし!行くぞ!」

鏡の中の私に渇を入れる。思ったよりも、鏡の中の作り笑顔は大丈夫そうだった
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:28:36.84 ID:39syJi/w0



スグル「あ、瀬川さん……」

月神「……おはよう。瀬川さん」

瀬川「うっ……お、おはよ」

入った瞬間に、重苦しい雰囲気が歓迎してくる

どんよりとした顔つきに淀んだ目。生気の無い顔の集団は、ゾンビゲームを連想させる

まるで、お葬式をした直後に怪獣が襲来してきたかと思わせる様な……そんな諦めと絶望の混じった顔

モノクマ「うわぁ、オマエラ酷い顔してるね!何か変な夢でも見てた?」

瀬川「げっ」

うん。もしかしなくても、お葬式の後に怪獣が出てきたね……全ての元凶が

スグル「モノクマ……!」

古河「モノクマァ!おどれよくもウチらの前に出てこれたなぁ!?えぇ!?」

モノクマ「まあまあカッカしないでよ、閣下!」

竹田「それは駄洒落か?」

モノクマ「今回はコロシアイをしてくれたオマエラに、いいお知らせを持ってきたんだよ」

御影「いい知らせ……?もしかして脱出の手がかりとか!?」

臓腑屋「絶対に違うでござる!」

月乃「……わざわざ教えに来るとは思えない」

モノクマ「まあ見てみればわかるよ!という訳で、パパッと再生スタート!」
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:29:07.71 ID:39syJi/w0



〜〜〜♪



ハルカ『良い子のみんなー!ココロオドルTVの時間だよー!』

ハルカ『うぅっ!やっと終わったんだね……!あの学級裁判が!』

ヨウ『悲しんでいるのか?殊勝な心掛けだな』

ハルカ『いなくなっちゃった人達には悪いけど、今生きている人達にはいいお知らせがあるよ!』

ヨウ『切り替えが早すぎるだろ。せめてもう少し悲しげな態度を取れなかったのか』

ハルカ『皆にはここで共同生活を送って貰っているけど、この学園には色々と足りてないものがあるんだよね』

ヨウ『そうだな。主に娯楽方面での不足ぶりは見るに堪えない』

ハルカ『そこで私は考えました。この学園に足りないものはなんなのか!』

ヨウ『おっ?それで何が足りないんだ?』

ハルカ『それはズバリ!運動です!』

ハルカ『なので、皆には体操着のプレゼントを上げちゃいまーす!勿論女の子はブルマだよ!』

ヨウ『……………………』

ハルカ『どしたの?まるで養鶏場の卵を見るような目をしているけど』

ヨウ『いや、お前の下心丸出しのプレゼントに少し気分が悪くなってな』

ハルカ『や、やだなー……純粋な好意デスヨ?』

ハルカ『そもそもブルマに下心のあるヨウ君の方が不純だよ!ちゃんとジャージも用意してるし!』

ハルカ『ってもうこんな時間じゃん!さっさと合言葉言って切り上げないと!』


『『鮮やかな!!』』

ハルカ『遥かな明日を!』ヨウ『見届けよう!』

ハルカ『バイバーイ!アンドバイバーイ!』
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:29:57.18 ID:39syJi/w0



モノクマ「という訳なんだけど」

御影「いやどういう訳なんだよ!?」

臓腑屋「そもそも、今頃体育着など渡されてどうすれば良いのでござるか……」

飛田「いや……これはもしかしたら革命かもしれぬ……!」

飛田「ここには麗しきレディが居るのに、肝心の衣服が少なすぎる!少しでも潤いを増すべきだッ!」

御影「それに賛成だよ!」

古河「反対や!そもそもオマエ真っ先に伸びとった癖に何で乗り気なん!?」

飛田「フゥ!何故か今朝から身体が軽くてね!」

月神「ああ、すぐに気絶していた分深く休めていたのね……」

駆村「誰か飛田を止めてくれ……」

モノクマ「ああそれと、こっちの方はどうでもいいんだけどさ……」

モノクマ「彩海学園の二階にも行ける様にしといたから新しい施設を確認してね」

朝日「そっちの方が重要だと思うんだけどなぁ」

モノクマ「それじゃあ良い学園生活を!オマエラの健闘を祈る!うぷぷぷぷっ!」

言いたい事だけ言いました。と言わんばかりの速さでまくしたて、その速さのまま去っていく

後に残された気まずい沈黙。取り合えず何か声をかけようとして……口を閉じた

今はまだ、動くタイミングじゃない。その時になるまで行動するのは止めておこう
333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:31:13.05 ID:39syJi/w0


照星「……しゃ!行くっすよ!先輩!」

そして、時は動き出す。照星さんの底抜けに明るい声で

照星「新しい場所が出来たなら、そこに何か手がかりがあるかもしれないっすよね?」

照星「だったら、ここでモタモタしてる暇は無いっす!行動あるのみっすよ!」

デイビット「フム。一理あル。でハ、各々探索を進メ、昼頃に集まり情報を纏めるのは如何かネ?」

月神「そうね。なら皆、これから学園の二階の探索をしましょうか」

竹田「だけどよぉ、二階に行く階段も無えのにどうやって行きゃあいいんだ?」

月乃「……梯子?」

スグル「梯子で移動する学校なんて聞いた事ありませんね……」

竹田「なら俺は無理だな。……冗談だっての」

陰陽寺「僕は行く。行きたい奴だけ来い」

照星「あっ!待って欲しいっすよー!」

こうして二階への探索が決まった。意気揚々と足取り軽く、重い何かを振り払う様に




御影「あ、照星さん。糸屑ついてるよ!」

照星「……っ!?」

照星「……ど、どーもっす!先輩!」

御影「そ、そんなに驚かなくてもいいじゃんか!?」
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:31:42.87 ID:39syJi/w0



瀬川「ええと、階段は……あったあった」

学園を徘徊する事数分あまり。二階へ続くであろう階段を発見する事に成功した

ここまで、他の人とは会っていない。皆はもう二階へ上がっていったのかな……

スグル「あ、瀬川さん!今から探索ですか?」

瀬川「うん、そうだよ。スグル君も今からかな?」

スグル「はい!ちょっと気になる事があったので、確認しに行ったら遅れちゃって……」

瀬川「……気になる事?」

気になる事。スグル君の何気無いその一言が、今の私の気になる事だ

思わず彼を問い質してみる。彼は直ぐに顔を伏せ、少し悲しげに語ってくれた

スグル「……天地さんの、死体です。いつの間にか無くなっていました」

スグル「恐らく、学級裁判の最中に片付けられたのだと思いますけど……」

……私達に弔う資格はない。って事かな、そうだ、彼女には別れの言葉も掛けられなかったっけ

進んだ足跡は消す事は出来ない。例え道を違えたとわかっていたとしても

瀬川「……行こっか。早く先に、さ」

スグル「え?あの、瀬川さん……?」

だったら、もう後戻りはしない。溢した水が還らないなら、潔く捨ててしまえばいい

瀬川「皆が上で待ってるよ。私達も早く行こ!」

見据えるのは未来だけ!……今、目の前にあるのは真っ暗な道だけなんだけどね
335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:32:12.18 ID:39syJi/w0



瀬川「ええと、階段は……あったあった」

学園を徘徊する事数分あまり。二階へ続くであろう階段を発見する事に成功した

ここまで、他の人とは会っていない。皆はもう二階へ上がっていったのかな……

スグル「あ、瀬川さん!今から探索ですか?」

瀬川「うん、そうだよ。スグル君も今からかな?」

スグル「はい!ちょっと気になる事があったので、確認しに行ったら遅れちゃって……」

瀬川「……気になる事?」

気になる事。スグル君の何気無いその一言が、今の私の気になる事だ

思わず彼を問い質してみる。彼は直ぐに顔を伏せ、少し悲しげに語ってくれた

スグル「……天地さんの、死体です。いつの間にか無くなっていました」

スグル「恐らく、学級裁判の最中に片付けられたのだと思いますけど……」

……私達に弔う資格はない。って事かな、そうだ、彼女には別れの言葉も掛けられなかったっけ

進んだ足跡は消す事は出来ない。例え道を違えたとわかっていたとしても

瀬川「……行こっか。早く先に、さ」

スグル「え?あの、瀬川さん……?」

だったら、もう後戻りはしない。溢した水が還らないなら、潔く捨ててしまえばいい

瀬川「皆が上で待ってるよ。私達も早く行こ!」

見据えるのは未来だけ!……今、目の前にあるのは真っ暗な道だけなんだけどね
336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:33:23.17 ID:39syJi/w0





カンカンカンと階段を上がると、目の前には酷く簡素な通路が広がっている

モニターの張り巡らされた一階と比べると、何処と無く殺風景な印象だ

もう、何でモニターがあんなにあったのか。それを疑問に思わなくなる位には馴染んできたのかな?

スグル「地図によると、二階は大きなフロアが一つと、小さなフロアが三つで構築されている様です」

スグル「近くにあるのは大きなフロアですね。どうしますか?」

瀬川「どうするも何も……行くしかないよ」

わざわざ遠い所から潰していく必要もない。近くにあるなら、そこに向かうしか道はない

瀬川「さ、行こっか。私に付いてきてね」

スグル「あっ……!?」

くい、とスグル君の小さな手を引く。男の子とはいえ未だ完成には至らない白い手が、私の手の中で少しだけ跳ねた

白い頬を微かに赤らめる。初々しくて純朴なその姿に、とくんと胸が高鳴った気がした

小さな男の子相手にこの感情は……多分、気のせいだ。と思いたい
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:34:22.68 ID:39syJi/w0





カンカンカンと階段を上がると、目の前には酷く簡素な通路が広がっている

モニターの張り巡らされた一階と比べると、何処と無く殺風景な印象だ

もう、何でモニターがあんなにあったのか。それを疑問に思わなくなる位には馴染んできたのかな?

スグル「地図によると、二階は大きなフロアが一つと、小さなフロアが三つで構築されている様です」

スグル「近くにあるのは大きなフロアですね。どうしますか?」

瀬川「どうするも何も……行くしかないよ」

わざわざ遠い所から潰していく必要もない。近くにあるなら、そこに向かうしか道はない

瀬川「さ、行こっか。私に付いてきてね」

スグル「あっ……!?」

くい、とスグル君の小さな手を引く。男の子とはいえ未だ完成には至らない白い手が、私の手の中で少しだけ跳ねた

白い頬を微かに赤らめる。初々しくて純朴なその姿に、とくんと胸が高鳴った気がした

小さな男の子相手にこの感情は……多分、気のせいだ。と思いたい
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:38:18.60 ID:39syJi/w0





月神「……あら、二人とも。一緒だったの?」

綺麗だ。……勘違いしないで欲しいけど、別に月神さんにそう思ったわけじゃない

扉を開くと、シャンデリアの眩しい光が目を包む。傍らには、剣、槍、斧。各々の武器で武装した鎧が佇んでいる

鈍く重厚に輝く鎧。シャンデリアの優美な光に当てられて、幻想的な風景を造り出していた

瀬川「ここは……?」

飛田「ダンスホール!即ちオレのオンステージ!」

スグル「わっ!?」

飛田「ここはオレの一人舞台!誰の追随も許さぬ美の極致!とくと見てくれ……オレの勇姿を!!!」

朝日「あ、スグルくぅん。ここはねぇ、来賓をおもてなしする為の部屋なんだってねぇ」

瀬川「あぁ、映画とかでよくあるアレね……」

朝日君の説明で合点が行く。途端に頭の中で、正装の紳士と婦人がくるくると踊り始めた

手を取り合って輪になって。二人は比翼の連理の様に、繋いだ身体は広がっていく

二人の歩はカツカツと音を立てながら、新しい足跡を床に刻んで……

臓腑屋「……瀬川殿?瀬川殿ー!?」

瀬川「ハッ、またボーッとしてた……」

朝日「大丈夫ぅ?チョコはねぇ、頭の栄養にぴったりなんだよぉ?」

可愛くラッピングされたチョコを丁重に断る。頭に栄養が足りてない程バカじゃない

残念。と少しだけ困った様な表情を見せる朝日君。チョコをぱくりと頬張って、甘ぁいと満足げに微笑んでいた
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:39:00.39 ID:39syJi/w0

瀬川「こほん!ところで、この剣とかって本物?」

咳払いをして空気をリセット。まずは気になる事を聞いてみようか

壁に佇む鎧。その手にある銀色の煌めきは、確かに本物の刃物だと理解できるけど……でも、確認するに越した事はない

駆村「ああ……デイビットと陰陽寺に確認させた。殺傷力は充分ある」

瀬川「え!?それじゃあ危ないじゃん!」

駆村「と言っても、結構重たいぞ?スグル、持ってみるか?」

スグル「はい!……わわっ、これ凄く重たい……!」

駆村君がゆっくりと引き抜かれた剣を手渡す。渡されたスグル君は、あっちこっちへよろよろ動く

そんな挙動を少し続けたスグル君は、もう疲れたのか、剣を下げて息を切らしていた

スグル「はぁ、はぁ……」

瀬川「お疲れさまー……そんなに重いの?」

駆村「俺も重く感じるが……軟弱過ぎないか?」

スグル君こら剣を受けとると、軽々とした動きで剣を納め直す。さすがは農筋……

瀬川「剣は無理そうだけど他の凶器はどうなの?ハンマーとか短剣とかあるけど」

月神「それに関しても二人に意見を貰っているわ」

月神「ハンマーは重くて振り回しにくいし……短剣はよほど深く突き刺さないといけないみたい」

月神「でも、危険な事は危険だから……皆も充分に注意してほしいとの事よ」

朝日「危ないから隠しちゃおっかって話もあったんだけどぉ、そうしてもモノクマに直されたら意味が無いって話になったんだぁ」

……要するに、危ないから気を付けてね。って事か

対処出来ないなら放置する。合理的だけど、寂しい解答だ……なんちゃって
340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:39:51.41 ID:39syJi/w0

瀬川「スグル君、他に気になる事は無いかな?」

スグル「あ、なら……あの窓開けてみませんか?」

彼が指を差したのは、ステンドガラスの嵌められた窓。中央にサッシが入った変わった形だ

開いてみると、内側に向けてガラスが動く。キラキラとガラスを通して変化した光が、顔をくすぐった

瀬川「わ……凄い!花畑が一望出来るよ!」

スグル「こんなに色とりどりの花が咲いてたんですね。普段の目線だと気づかなかった……」



「瀬川さーん!スグルクーン!!」



瀬川「……あれ?誰の声?」

何処からか私達を呼ぶ声がする。その声は外から。いいや、隣から聞こえていたようで……

御影「おーい!こっちこっちー!」

身を乗り出す様な体勢の御影君が目に入る、手を振って存在感を精一杯にアピールしていた

スグル「御影さん!?何処にいるんですか?」

御影「更衣室だよ!隣にあるから来てみなって!」

瀬川「更衣室か……行ってみよっか」

スグル「はい!待っててください、御影さん!」
341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:40:31.15 ID:39syJi/w0





御影「あっ!二人とも!こっちこっち!」

御影「ここが更衣室だよ!赤い扉が女子で青い扉が男子なんだってさ」

ここだよ。と御影君が指差した先にあったのは、赤と青の二つの扉

年期の入った重苦しそうな見た目だけど、よく見てみたらパネルの様なものがついている……

御影「電子ロックなんだって。電子生徒手帳をかざせば開くんだって」

御影「男子は男子の、女子は女子の生徒手帳じゃないと開かないから気をつけてってさ!」

瀬川「ふーん……なら、御影君が私の生徒手帳を使えば女子の更衣室に入れたりする?」

御影「そうそう。ボクもそう考えて古河さんに借りようとしたんだよ?でもそれがさぁ……」



古河『オマエ絶対覗くつもりやろ!貸さへんわ!』

モノクマ『そうそう!他の人の生徒手帳を使う事は禁止!校則にも追加しておくからね!』

御影『そんな〜〜〜!』



御影「だってさ。残念だよね……」

スグル「残念でもなんでもなく、当然な気が……」

全くもってその通りだ。うんうんと頷きながら生徒手帳を確認する

校則の欄に新着がある。そこには確かに、『他者の電子生徒手帳を使用した場合、生徒手帳の持ち主を罰します』と書かれていた
342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:41:15.04 ID:39syJi/w0




古河「……で、スグルとどっか行ったんか?」

瀬川「まあ、色々あったけどそういう事だね」

臓腑屋「どういう事なのでござるか……」

今、私達は更衣室で雑談をしている。部屋の中は、更衣室というよりちょっとしたトレーニング施設だ

ダンベルにランニングマシン。それに、握力を計るアレも備わっている。箱には粉末状のスポーツドリンクまで用意されているなんて……

臓腑屋「駆村殿も喜んでいたでござるよ。それと陰陽寺殿も意外と興味があったみたいでござるな!」

瀬川「そりゃあ、これだけ充実してたら運動する人にとっては嬉しいよね!」

あの二人は如何にもな体育会系だし嬉しがる気持ちもわからなくもない

……でも、一番こういう施設を好みそうな人の名前は、全く出てこなかった

瀬川「ところで照星さんは?こういうの好きそうなイメージがあるけれど……」

古河「それなんやけどな、『今は少しそんな気分やない』いうて別のトコにいってもうた」

瀬川「……へぇ」

そんな気分じゃない、か。空々しい言い訳としては及第点といった所かな

普段の頭が空っぽの様な行動ばかりの彼女にも、何か思うところがあるのかもね

……せっかくだし、会いにいってみようかな?

瀬川「ふぅん……照星さんって、今どこなの?」

臓腑屋「にゃあう。恐らく……美術室でござるな」
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/06/16(日) 20:47:04.55 ID:39syJi/w0





御影「あっ!二人とも!こっちこっち!」

御影「ここが更衣室だよ!赤い扉が女子で青い扉が男子なんだってさ」

ここだよ。と御影君が指差した先にあったのは、赤と青の二つの扉

年期の入った重苦しそうな見た目だけど、よく見てみたらパネルの様なものがついている……

御影「電子ロックなんだって。電子生徒手帳をかざせば開くんだって」

御影「男子は男子の、女子は女子の生徒手帳じゃないと開かないから気をつけてってさ!」

瀬川「ふーん……なら、御影君が私の生徒手帳を使えば女子の更衣室に入れたりする?」

御影「そうそう。ボクもそう考えて古河さんに借りようとしたんだよ?でもそれがさぁ……」



古河『オマエ絶対覗くつもりやろ!貸さへんわ!』

モノクマ『そうそう!他の人の生徒手帳を使う事は禁止!校則にも追加しておくからね!』

御影『そんな〜〜〜!』



御影「だってさ。残念だよね……」

スグル「残念でもなんでもなく、当然な気が……」

全くもってその通りだ。うんうんと頷きながら生徒手帳を確認する

校則の欄に新着がある。そこには確かに、『他者の電子生徒手帳を使用した場合、生徒手帳の持ち主を罰します』と書かれていた
344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 20:52:47.81 ID:39syJi/w0




古河「……で、スグルとどっか行ったんか?」

瀬川「まあ、色々あったけどそういう事だね」

臓腑屋「どういう事なのでござるか……」

今、私達は更衣室で雑談をしている。部屋の中は、更衣室というよりちょっとしたトレーニング施設だ

ダンベルにランニングマシン。それに、握力を計るアレも備わっている。箱には粉末状のスポーツドリンクまで用意されているなんて……

臓腑屋「駆村殿も喜んでいたでござるよ。それと陰陽寺殿も意外と興味があったみたいでござるな!」

瀬川「そりゃあ、これだけ充実してたら運動する人にとっては嬉しいよね!」

あの二人は如何にもな体育会系だし嬉しがる気持ちもわからなくもない

……でも、一番こういう施設を好みそうな人の名前は、全く出てこなかった

瀬川「ところで照星さんは?こういうの好きそうなイメージがあるけれど……」

古河「それなんやけどな、『今は少しそんな気分やない』いうて別のトコにいってもうた」

瀬川「……へぇ」

そんな気分じゃない、か。空々しい言い訳としては及第点といった所かな

普段の頭が空っぽの様な行動ばかりの彼女にも、何か思うところがあるのかもね

……せっかくだし、会いにいってみようかな?

瀬川「ふぅん……照星さんって、今どこなの?」

臓腑屋「にゃあう。恐らく……美術室でござるな」
345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 20:53:13.12 ID:39syJi/w0





瀬川「えっと、確かこっちだったっけ……?」

竹田「ん…?よう、嬢ちゃん。どうかしたのか?」

……余談だけど、この彩海学園は割りと入り組んだ通路をしている

モニターまみれの通路だった一階と違ってさっぱりとした二階だけど……それでも初めて通る路は混乱する。……しない?

だから、まごついていると誰かに捕まる訳で……

瀬川「あ、竹田さん……ちょっと色々あってー……」

竹田「丁度いいか。どうせ今暇してんだろ?ちっと付き合ってくれや」

瀬川「……………………」

竹田「おいおい、そんなセクハラ親父を見るような目で見ないでくれよ?」

がっははは!と破顔しながら大声をあげる

豪快に笑い飛ばしているけど、今の発言はセクハラ親父以外の何物でもないよ

ひとしきり笑い飛ばした後、私に向き直る。その顔は、さっきの豪放なものではなくて……

竹田「……ここだけの話だけどよ。照星の嬢ちゃんの状態があまり良くねえんだわ」

瀬川「?どゆこと?」

竹田「ずっと上の空でろくに反応しねえ。俺も何とかしてやりてえのは山々だけどよ」

竹田「俺よりも同性の瀬川の嬢ちゃんのが話しやすいだろ?頼まれてくれよ。若いんだしよ」

そっか……やっぱり、彼女は……

瀬川「わかった。それじゃあ行こっか」

竹田「あいよ。そんじゃあ着いてきな」
346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 20:54:06.59 ID:39syJi/w0





竹田「着いたぜ、嬢ちゃん……デイビットの坊主、後は頼むぜ」

デイビット「承っタ。でハ、瀬川女史は此方ニ」

瀬川「ちょ、ちょっと待って?少し質問させて?何でこんなに慎重なの?」

着くや否や、竹田さんとデイビット君の刑事ドラマで見たようなやり取りが襲う

まるで魔法の白い粉を取り扱う様な……いや、今の照星さんが危険なのはわかるけど!

デイビット「照星女史。現在、彼女の状態は極めて不安ダ」

デイビット「感情を取り繕うという事ハ、その深層を他者に覚られる事を恐れる故の傾向であるからニ」

竹田「下手に気を使うと逆効果ってこった。だからこうして秘密にしてんのさ」

瀬川「……取り扱い注意って事だね」

二人の言葉に気を引き締める。これからの対応次第で、私の好感度が左右される気がするから

照星さんを何とかする。私にしか出来ない事だから頑張らないとね!

瀬川「それじゃ、行ってきまーす!」

手を軽く振ってドアを開く。私が活躍するいいチャンスなんだから……!






竹田「…………本当に嬢ちゃんで大丈夫かぁ?」

デイビット「ム、何か言ったかネ?」

竹田「何でもねえよ。……ふぁあ〜あ、運動したら眠くなっちまったなぁ」

347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 20:54:32.38 ID:39syJi/w0




照星「……………………」

……いた。美術室の椅子の上、ぽかんとした表情で絵を見詰めている

何を考えているかは読み取れない。そもそも、何も考えていないのかもしれない

瀬川「……照星さーん。今、大丈夫?」

慎重に、慎重に……むやみやたらに刺激しない様にそっと話しかける

ぽん、と肩に手を置くと、ビクン!と身体を震わせながら振り向いた

照星「ひゃあ!?せ、先輩!近くに居るなら言って欲しいっすよー!」

瀬川「言ったんだけど……」

これは中々重症だ。それを、本人が自覚していなさそうなのが更にマズイ

流石に面と向かってそんな事は言えない。照星さんと喧嘩になったらまず間違いなく殺される

照星さんにぶつける言葉を選択する。……よし

瀬川「照星さん……少しいいかな」

照星「な、なんっすか?顔怖いっすよ……?」

深呼吸して息を整える。人格を切り替えて、





瀬川「いつまで、そうやって情けない態度をとっているつもりなのかな?」
348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 20:56:00.29 ID:39syJi/w0





天地「わー絵の具に石膏像!なっつかしー!」

瀬川「吊井座君的にはどう?お眼鏡に適うかな?」

吊井座「ま、まあいいんじゃねえの?お、俺もたまにはここで描いてみるか……」

照星「吊井座先輩、絵を描くんすか!?」

瀬川「忘れてない?イラストレーターだからね?」

照星「冗談っすよ!にっひひひ♪」





……もしかした、こんなやり取りをしていたのかもと思いを馳せる

もう絶対に有り得ない、有り得る訳がない未来だけど、だからこそ綺麗だと思うんだ

手に入らないからこその美しい毎日。今の理不尽な生活では、きっと手から零れる煌めき

そんな時に溢れる感情を、人は尊いと言うんだ

瀬川「……あれ?」

風景画を眺めていたら、急に強いデジャヴに襲われた。ここの絵はどれも始めて見るはずなのに

……忘れているだけ?まさかね

古河「瀬川ァ!そっちはもうええかー?」

古河「そろそろ集まって報告せなアカンねん、はよ食堂に来てなー」

瀬川「あ、はーい」

古河さんに催促されるがままに美術室から立ち去る

チラッと振り返って絵を見たら、絵の真ん中に亀裂が走っている様に見えた
349 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/16(日) 20:56:42.53 ID:Hofe2schO
池辺・雷田選択



黒野(えっと……次は……)

雷田「そこのお前!」

黒野「ひっ……!」ビクッ

雷田「む? すまない……驚かせてしまったな!」

雷田「俺は雷田空牙! 【超高校級の冒険家】だ!」

黒野(雷田空牙……世界中の未開の地を踏破し続けている【超高校級の冒険家】……)

黒野(彼の冒険は世界史に影響を与えたとも言われているけど……)

黒野(…………何で鎧付けてるの?)

雷田「何やら不思議な状況になっているが安心しろ! 何があろうとこの俺が守ってやるからな!」

黒野「う、うん……ありがとう……」

雷田「はっはっはっはっ! なに、兄貴分として当然の事さ!」

雷田「だからいつでも頼ると…………ぬおっ!?」

池辺「うわっ!? な、何!?」

雷田「す、すまない! あまり近づかないでくれないか!?」

黒野「ひ、ヒドい言い方!」ガーン

池辺「そ、そんな言い方……!」

黒野(ほら……ショック受けてる……)

池辺「うんっ……♡ すごくイイ……っ♡」ゾクゾク

黒野「……えっ?」

雷田「本当にすまない池辺……女子と話すのは緊張するのでな!」

黒野(じゃあ何で話しかけてきたんだろう……)

黒野「池辺って……もしかして、池辺華さん?」

黒野(砂漠の緑化や熱帯雨林の保護にも取り組んでいるっていう【超高校級の園芸部】の……)

池辺「そうだよ。あなたは?」

黒野「く、黒野真白、です」

池辺「うん、よろしくね!」

雷田「よろしくなー!」ブンブン

黒野(あれ、いつのまにか遠くに……)

池辺「私から離れて……? そんな、ひどいよ……っ♡」ビクッ

黒野(…………変な人達だなぁ)



【自己紹介ターンです。誰と自己紹介するのか、>>281-284から1〜2人選択してください。蒼井・石原・羽鳥・藤宮・レオン・雷田・池辺は不可。】

↓1
350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 20:56:55.91 ID:5+tqZ9RiO
李、白鷺
351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 20:57:58.82 ID:39syJi/w0



デイビット「でハ、宜しく頼むヨ。スグル氏」

スグル「はい。わかりました」

……? デイビット君とスグル君。比較的珍しい組み合わせの二人が話している

相性は悪い訳じゃないけど、こうして向かい合って話しているのを見ると不思議な気分になる

スグル「あ、瀬川さん。どうしたんですか?」

瀬川「いや、二人が話してるのって珍しいから気になってさ」

スグル「そうですか?デイビットさんは頼りになるので、懇意にさせて貰っています」

……そうなんだ。確かに、デイビット君はこの中で一番冷静な考えの人だし、頼りになるのはわかる

でも、なんだろう。この胸のモヤモヤは……嫉妬。じゃないとは思いたい

デイビット「フム、丁度良イ。瀬川女史もご一緒に如何かネ?」

デイビット「無論。無理ニ、とは言わないガ」

瀬川「んー……わかった。いいよ」

唐突なお誘いだけど……今は暇だし、乗ってみよう

返事を聞いて満足したのか、デイビット君は深く頷き、スグル君と一緒に歩いていった……
352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 20:58:59.65 ID:39syJi/w0
スグル「―――――……終わりました。目を開けていいですよ」

デイビット「感謝、感謝。よもやスグル氏がこの様な事に詳しいとはネ」

瀬川「えっ?そうなの?」

スグル「はい。本当になんとなくですけど……」

スグル「死者の弔いや普段の生活……僕は、何らかの宗教を信仰していた様な気がするんです」

宗教。色んなヤバイ事をする人達のイメージが強い私にとって、スグル君は真逆の存在だ

私と友達になったのも勧誘する為……?スグル君とはちょっとだけ距離をおいておこう

スグル「……? 瀬川さん、何か?」

瀬川「べ、別に〜?」

デイビット「ハ、ハ、ハ。宗教と一言で纏めてモ、実際には様々な宗派が存在するものダ」

デイビット「スグル氏が、真に宗教関係者だからとして怯える必要は無いだろうヨ」

瀬川「肝に命じておきま〜す……」

そんな考えを見透かされていたのか、デイビット君に釘をさされた。本当に油断も隙もない……

デイビット「……スグル氏、協力感謝すル。然シ、葬儀等本来ならしなくても良いものダ」

デイビット「ワタシモ、もう二度とワタシの力を必要としない事を祈っているヨ」

服を翻しながら、デイビット君は外に出ていく。どこか決意の様な発言を残して

……学級裁判は起きない方がいい。それは皆もそう思って当然だと思うけど、でも……

…………私は?自分の本心と向き合う勇気は、まだ私には無いみたいだ
353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 20:59:34.41 ID:39syJi/w0



「……えっと、今日の夜はお魚がいいかな」

「味噌が余ってるし、鯖の味噌煮とか……?」

瀬川「……ん?」

少し小腹が空いたから食堂に来たら、誰かがまだ奥にいたみたい

瀬川「もしもーし、誰かいるのー?」

臓腑屋「にゃあ!?せせせ、瀬川殿ぉ!?」

瀬川「あれ?臓腑屋さんだけ?」

臓腑屋「にゃあ……そうでござる。致し方ない。実は拙者……」

瀬川「おかしいなぁ、空耳かな?ごめんね」

臓腑屋「話を聞くでござる!それは紛れもなく拙者でござるから!」

臓腑屋「拙者は、一人の時や通学の場合は普通の口調なのでござる!これはあくまで条件反射なのでござるからな!?」

瀬川「へぇー……じゃあキャラ作ってるって事?」

臓腑屋「い、意識している訳ではないでござるが、そう言われると否定できないでござる……」

がっくりと肩を落としてシュンとする

そのわざとらしい忍者キャラが作ってるのはわかってたけど、そんなにがっくりする事かな……?

因みに、余談だけど……今晩の晩御飯は私の大好きなハンバーグに決まったみたい。やったね!

……不正は無かった。いいね?
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:00:33.11 ID:39syJi/w0




御影「サッカーやろうぜ!」

朝。そろそろ皆も立ち直りかけたかなという微妙な時期に、その発言は撃ち込まれた

御影「サッカーやろうぜ!」

月神「えっと、御影君。それは……」

瀬川「スグル君、ちょっと醤油取ってくれない?」

スグル「あ、はい。これですね」

駆村「この味噌汁……いい味だな。具はなんだ?」

朝日「えっとねぇ今日のお味噌汁の中はぁ、玉ねぎと油揚げと、後は……たあっぷりの愛情だよぉ♪」

臓腑屋「最後のは必要でござったか……?」

御影「聞けよ!無視するなよ!」

飛田「しかし毎日朝は和食ではつまらんッ!食卓の色味が薄すぎるッ!」

デイビット「フム、偶には欧州風の朝食でも如何かネ。と提案してみよウ」

月乃「……本格的なブレックファスト。興味が無い事もない」

御影「ちょっとー!ねえ!ボクの声が聞こえてないの!?おーい!!」

古河「じゃかあしいわボケカス!オマエのどうでもいい話なんて聞きたかないわ!」ドスッ

御影「そんな〜〜〜!!……あ痛ぁっ!?」

うろちょろと目の前を右往左往する御影君。ウザイを通り越して鬱陶しい

我慢の限界が来たのか、古河さんからの強烈な蹴りが御影君に炸裂する

古河さんのヤクザキックをモロに受けた御影君は、よろよろと呻き、バタリと床に手をついた
355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:02:07.84 ID:39syJi/w0

月乃「……珍しく、真面目な事を言うと思ったら」

スグル「やっぱり、下らない考えでしたね……」

御影「ちょっと!?スグル君はボクを何だと……ぐふぅ!?」ドスッ

古河「ちっと黙ってろやボケカス。オマエはもう一生口開くなや」

臓腑屋「厳しすぎるのではござらんか!?もう少し位は温情を……」

古河「なら臓腑屋は明日から体操服で過ごそか?」

臓腑屋「御影殿は調子に乗りすぎでござる!今回ばかりは厳しい処遇を求めるのでござる!」

瀬川「汚い……さすが忍者汚い」

飛田「まぁまぁ落ち着きたまえ!良いではないか、体操着!オレは大歓迎するぞ?」

古河「ウチらが嫌なんや!何で好き好んで体操服なんざ着なアカンねん!」

デイビット「ワタシは構わんガ、月神女史はどうお考えかネ?」

月神「私?そうね……」

月神「私は、御影君に賛成かしら」

古河「せやせや!こんなん反対に……なぁ!?」
356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:03:25.45 ID:39syJi/w0

月乃「……珍しく、真面目な事を言うと思ったら」

スグル「やっぱり、下らない考えでしたね……」

御影「ちょっと!?スグル君はボクを何だと……ぐふぅ!?」ドスッ

古河「ちっと黙ってろやボケカス。オマエはもう一生口開くなや」

臓腑屋「厳しすぎるのではござらんか!?もう少し位は温情を……」

古河「なら臓腑屋は明日から体操服で過ごそか?」

臓腑屋「御影殿は調子に乗りすぎでござる!今回ばかりは厳しい処遇を求めるのでござる!」

瀬川「汚い……さすが忍者汚い」

飛田「まぁまぁ落ち着きたまえ!良いではないか、体操着!オレは大歓迎するぞ?」

古河「ウチらが嫌なんや!何で好き好んで体操服なんざ着なアカンねん!」

デイビット「ワタシは構わんガ、月神女史はどうお考えかネ?」

月神「私?そうね……」

月神「私は、御影君に賛成かしら」

古河「せやせや!こんなん反対に……なぁ!?」
357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:05:31.72 ID:39syJi/w0
月乃「……珍しく、真面目な事を言うと思ったら」

スグル「やっぱり、下らない考えでしたね……」

御影「ちょっと!?スグル君はボクを何だと……ぐふぅ!?」ドスッ

古河「ちっと黙ってろやボケカス。オマエはもう一生口開くなや」

臓腑屋「厳しすぎるのではござらんか!?もう少し位は温情を……」

古河「なら臓腑屋は明日から体操服で過ごそか?」

臓腑屋「御影殿は調子に乗りすぎでござる!今回ばかりは厳しい処遇を求めるのでござる!」

瀬川「汚い……さすが忍者汚い」

飛田「まぁまぁ落ち着きたまえ!良いではないか、体操着!オレは大歓迎するぞ?」

古河「ウチらが嫌なんや!何で好き好んで体操服なんざ着なアカンねん!」

デイビット「ワタシは構わんガ、月神女史はどうお考えかネ?」

月神「私?そうね……」

月神「私は、御影君に賛成かしら」

古河「せやせや!こんなん反対に……なぁ!?」
358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:06:12.51 ID:39syJi/w0
瀬川「……もしかして、体操服着たかったり?」

月神「そうじゃないわ。皆で集まって運動すれば、きっと気分も晴れるはずよ」

月神「普段より運動不足になっている部分も否めないし……いいアイデアだと思うわ」

御影「でしょ!?」

コスプレ願望でもあるのかなって思ったら、割りと納得できるアイデアだった

うんうんと御影君も便乗してるけど、さっきのは絶対に出任せだよね?

駆村「でも、何でサッカーなんだ?」

御影「ボクが出来るからね!」

瀬川「あ、基準はそこなんだね……」

月乃「……私は、バスケットボールやバレーボールの方がいい」

御影「はぁ〜?そんな背の高い奴が有利になる競技だとボクが活躍できないじゃんか!」

古河「チビやもんな!」

御影「言っておくけど、皆がデカ過ぎるだけでボクの身長は平均だからね!?」

古河「でもこん中ならチビやろ?」

御影「そうだけど!そうだけどさ!?」

デイビット「ならバ、他にスポーツの提案のある者はいないのかネ」
359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:09:40.39 ID:39syJi/w0
朝日「はぁい。ドッジボールなんてどうかなぁ?」

朝日「ルールも簡単だしぃ、運動の苦手な人も一緒に楽しめると思うんだけどぉ……」

デイビット「ドッジボール……フム、悪くないアイデアだとワタシは思うガ」

飛田「いいじゃあないか!外野に行けば無様に動き回る事もないだろう?」

スグル「そうですね。全員に活躍の場があり得るのはいいと思います」

月乃「……認めたくないけど、悪くない」

臓腑屋「頑なに認めてあげないのでござるな……」

月神「私も、朝日君の提案はいいと思うわ。他の皆はどうかしら?」

古河「まあ……ええんとちゃう?どうせやるならおもろい方がええもんな!」

御影「やったぜ!それじゃあ早速着替えてきて!」

竹田「あ?今からなのか?坊主はともかく嬢ちゃん達にも準備が必要だろうよ」

月神「一度試しに着てみないと困るわね。いざ着てみたら不都合があると困るもの」

臓腑屋「であれば、明日の昼はどうでござろうか。食前の運動は健康に良いでござる!」

御影「ならそうしようよ!ボクはいいと思うな!」

駆村「ったく……調子のいいやつめ」



こうして、とんとん拍子で明日の昼に急遽ドッジボール大会を行う事になるのであった

……そう言えば、何だかいつもより騒がしくない気がしたけれど……気のせいだよね?
360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:12:54.86 ID:39syJi/w0
朝日「はぁい。ドッジボールなんてどうかなぁ?」

朝日「ルールも簡単だしぃ、運動の苦手な人も一緒に楽しめると思うんだけどぉ……」

デイビット「ドッジボール……フム、悪くないアイデアだとワタシは思うガ」

飛田「いいじゃあないか!外野に行けば無様に動き回る事もないだろう?」

スグル「そうですね。全員に活躍の場があり得るのはいいと思います」

月乃「……認めたくないけど、悪くない」

臓腑屋「頑なに認めてあげないのでござるな……」

月神「私も、朝日君の提案はいいと思うわ。他の皆はどうかしら?」

古河「まあ……ええんとちゃう?どうせやるならおもろい方がええもんな!」

御影「やったぜ!それじゃあ早速着替えてきて!」

竹田「あ?今からなのか?坊主はともかく嬢ちゃん達にも準備が必要だろうよ」

月神「一度試しに着てみないと困るわね。いざ着てみたら不都合があると困るもの」

臓腑屋「であれば、明日の昼はどうでござろうか。食前の運動は健康に良いでござる!」

御影「ならそうしようよ!ボクはいいと思うな!」

駆村「ったく……調子のいいやつめ」



こうして、とんとん拍子で明日の昼に急遽ドッジボール大会を行う事になるのであった

……そう言えば、何だかいつもより騒がしくない気がしたけれど……気のせいだよね?
361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:14:24.37 ID:39syJi/w0




古河「ったく。月神は御影に甘いんと違うか?」

月神「そうかしら……。でも、皆の親交を深める事にはうってつけだと思うわ」

月乃「……皆でワイワイするのは楽しい。わかる」

瀬川「いや、わかるじゃなくてさ?ちょーっと聞きたい事があるんだけど」

古河「ん?どうかしたん?」

瀬川「えーっと、何で皆は私の部屋にたむろしているのかなって」

食後、古河さんに部屋で待っていろと指示されてからはや数分。気がつけば照星さんと陰陽寺さん以外の女子がここに集っていた

勿論、別に来て困る理由はあんまり無いけど…私はこんな事になるなんて、聞いてない!

古河「アハハ!ええやんええやんそんくらい!」

瀬川「嫌だよ!良くないよ!人権とプライバシーの侵害だよ!?」

臓腑屋「瀬川殿、お気を確かに!」

月乃「……落ち着いて。マシュマロ食べる?」

瀬川「あ、うん……。って勝手にお菓子を持ち込まないでよ!?」

古河「細かいなぁ。疲れるで?」

瀬川「もう現在進行系で疲れてるよ……」

ケラケラと笑う古河さんに殺意を覚えながら腰をかける。やけにずっしりとした感覚が、全身にのし掛かってきた
362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:15:37.04 ID:39syJi/w0
瀬川「……で、何で来たの…………?」

臓腑屋「にゃあ。明日にドッジボール大会をやるのは瀬川殿も知っているでござるな」

月神「激しく動くだろうから普段着ではやれないのだけど……」

月乃「……体操服がどんなものかも知らない。一度誰かが着てみてから私達も着る」

瀬川「だから、試しに私に着せてみようって?」

古河「せやな。理解が早くて助かるわ!」

瀬川「……なんで私?」

古河「一番着慣れてそうやからな。コスプレイヤーなんていかがわしい服着てナンボやろ?」

いったい古河さんはコスプレイヤーを何だと思っているんだろう。酷い偏見だ

そもそも、いかがわしい服なんて着た覚えが……

瀬川「…………あー、うん。ワカリマシタ」

古河「せやろ?あんなキラキラフリフリしたん着とるんやし、ワケないやろ!」

脳内に浮かび上がるキラキラフリフリとした衣装。本当になんでああなったのか、私にもわかんない

瀬川「別にいかがわしくないよ……元ネタは」

月神「私も着るから……ね?瀬川さん」

瀬川「はーい。わかりましたよーっと……」

肩にぽんと掛けられた手が、ずっしりとした重みになって身体にのし掛かる

もう既に無駄な抵抗は出来そうにない。観念して体操服を手にとって、浴場へと歩いていった
363 : ◆TK9VNtkqqc0N [saga]:2019/06/16(日) 21:18:41.49 ID:Hofe2schO
メイリン・白鷺選択



白鷺「ったくアイツら……初対面だってのにエンジン全開だな」

メイリン「あら、それが良いところだと思いますよ?」

白鷺「いやまぁ、わりーとは言わねぇけどさぁ……」

白鷺「アイツら変な奴らだけど悪い奴らじゃねーと思うぞ。仲良くしてやってくれな」

黒野「う、うん」

白鷺「黒野……でいいんだよな? オレは白鷺流。【超高校級のドローンパイロット】だ」

黒野(白鷺流……卓越した操作技術で見た事のないような映像をたくさん撮っている【超高校級のドローンパイロット】……)

黒野(最近は遺跡みたいな人の入れない場所の調査も任されてるんだっけ……)

メイリン「わたくしは李明倫。名字だと他人行儀な感じがするので、メイリンと呼んでください」

黒野(李明倫……? 聞いた事のない人だな……。忘れているだけかもしれないけど……)

メイリン「才能はあまり言いたくありませんが……隠していても仕方ありませんものね」

メイリン「才能は【超高校級のアサシン】……です」

黒野「あ、アサシンって……こ、殺し屋って事……!?」

白鷺「そんなビビるなって。大丈夫さ! メイリンは悪い奴じゃねぇよ!」

黒野「そ、そうなの……?」

白鷺「可愛いからな!」

黒野(関係あるかな、それ……)

メイリン「危害を加えるつもりはありませんから……仲良くしてくださいね?」ニコッ

黒野「う、うん。よろしくね……」

黒野(確かに優しそうな雰囲気だし、大人びてるけど……本当に殺し屋なのかな……?)



【自己紹介ターンです。誰と自己紹介するのか、>>281-284の橋田・小西・貝木・飯田・砥堀・隼総から1〜2人選択してください。】

↓1
364 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:20:24.60 ID:39syJi/w0
瀬川「……で、何で来たの…………?」

臓腑屋「にゃあ。明日にドッジボール大会をやるのは瀬川殿も知っているでござるな」

月神「激しく動くだろうから普段着ではやれないのだけど……」

月乃「……体操服がどんなものかも知らない。一度誰かが着てみてから私達も着る」

瀬川「だから、試しに私に着せてみようって?」

古河「せやな。理解が早くて助かるわ!」

瀬川「……なんで私?」

古河「一番着慣れてそうやからな。コスプレイヤーなんていかがわしい服着てナンボやろ?」

いったい古河さんはコスプレイヤーを何だと思っているんだろう。酷い偏見だ

そもそも、いかがわしい服なんて着た覚えが……

瀬川「…………あー、うん。ワカリマシタ」

古河「せやろ?あんなキラキラフリフリしたん着とるんやし、ワケないやろ!」

脳内に浮かび上がるキラキラフリフリとした衣装。本当になんでああなったのか、私にもわかんない

瀬川「別にいかがわしくないよ……元ネタは」

月神「私も着るから……ね?瀬川さん」

瀬川「はーい。わかりましたよーっと……」

肩にぽんと掛けられた手が、ずっしりとした重みになって身体にのし掛かる

もう既に無駄な抵抗は出来そうにない。観念して体操服を手にとって、浴場へと歩いていった
365 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 21:20:27.94 ID:Wn9YaIlgO
砥堀 隼総
366 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:20:53.86 ID:39syJi/w0




瀬川『うぅ……これなんか……』

月神『そ、そうね……これは、ちょっと……』

古河「お?終わったんか?はよ出てこんかーい!」

臓腑屋「瀬川殿ー月神殿ー、人生には諦めも肝心なのでござるよー」

月乃「……大丈夫。笑い者にはしないから」

瀬川『その微妙な優しさが怖いんだってー……!』

外からはお気楽そうな三人の声が。他人事だと思って調子のいい……!

月神『瀬川さん、もう……』

瀬川『わかったよ……!ええい!』

ガチャッ

瀬川「はい!着てきました!どう!?」

月神「へ……変じゃ、ないかしら」

臓腑屋「お、おおう……これはなんと言えばよいのでござろうか……」

瀬川「素直な感想をお願いしまーす……」

古河「感想も何も際ど過ぎやろ!?脚とかヘソとか丸見えやんけ!!」

月乃「……いかがわしいお店みたいな雰囲気」

臓腑屋「これは流石に男子の皆には見せられないでござるな……先に確認しておいて正解でござる」

月神「そ、そうね……私もこれはちょっと……」

頬を赤く染め、もじもじと恥じらう月神さん。胸の部分に書かれた名前が、動きに合わせて控えめに歪んでいく

これ、プレイはプレイでも別の意味じゃ……こんなモノを女子に配布するモノクマは、ちょっとマトモな頭をしていないと思う

……コロシアイをさせてあいて、何を言っているんだって話だけどね
367 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 21:22:10.82 ID:/SsVPyP8O
このクソSSはどうでもいいんだが
368 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:22:38.84 ID:39syJi/w0

瀬川「それじゃ、もう着替えてくるね……」

月乃「……待った。千早希の胸の名前、どうして塗り潰してあるの?」

瀬川「えっ……と、何だか本当にアレっぽくなるから……この話止めよ?」

月乃「……そう?なら聞かない事にする」

臓腑屋「瀬川殿が着ると、本当にコスプレ用に見えてくるのが不思議でござるな……」

瀬川「と言うかそうだからね……皆、これ着る?」

古河「着るワケあらへんやろ。ジャージで充分や」

月神「これは流石にダメね……」

結局、私と月神さんだけが恥ずかしい目にあっただけだった。ちぇっ

月乃「……夕と魔矢にも伝えておいて。明日は体操服じゃなくてジャージを着てきて」

臓腑屋「では、その様に。尤も、照星殿はともかく陰陽寺殿は来ないと思うでござるが……」

瀬川「そう言えば照星さんって今日来なかったね。こういうの、呼んでなくても来そうだけど」

月神「それが……今日は身体を動かしたいからって断られたの」

古河「アイツは少しくらい動いてた方がええわ。ちっとは大人しくなるやろ!」

瀬川「まあ、それもそうだよね。私からも少し言ってしておいたし」

……昨日、私は照星さんを元気つけたんだし、照星さんは大丈夫なはずだ

彼女に向けた言葉。思い返すと恥ずかしいけど、私なりにいい話を言えたはずだ

だから……きっと、もう立ち直ってるはずだから
369 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:23:08.07 ID:39syJi/w0

月神「ふふっ。瀬川さんは優しいのね」

瀬川「……そんな事無いよ。普通だよ」

月神「普通じゃないわ。誰かの事を気にかけて行動出来る人は、案外少ないもの」

月神「貴女の優しさは、皆の事が大好きだから誰かの為に動く事が出来るのだから……」


……痛い、痛い、イタい。月神さんの暖かくて綺麗な言葉が、身体と心を抉っていく


古河「ほぇー、月神は瀬川を評価しとるんやな。ウチは自分勝手な奴やと思っとったわ」

臓腑屋「本人の目の前でござるよ!?いや陰口よりはマシかもしれないでござるが……」

瀬川「別にいいよ……自覚はあるからさ」

月神「瀬川さんはそんなに悪い人じゃないわ。皆の事を真剣に考えられる、優しい人よ」


……違う。私は、そんなに良い人間じゃないんだよ

照星さんを励ませば私に感謝してくれるから。皆が私を頼ってくれるようになってくれると思ったから

前に陰陽寺さんが私を偽善者って言っていたけど、私はそれに反論出来なかった

他でもない私が、そう思っていたんだから



瀬川「と、とにかくもういいでしょ!?」

月乃「……まだお菓子が残っている。待っていて」

もぐもぐとお菓子を頬張りながら答えられる。その姿からは私の苦悩を理解出来そうな素振りも無い

全てのお菓子を皆で食べ終えた後、誰からともなく解散していった

370 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:23:38.77 ID:39syJi/w0




瀬川「はぁ、お腹減った……」

あの後、ほとんどのお菓子は月乃さんのお腹の中に入っていった

私が口をつけたのはほんの数個だけ。それだけだと小腹満たしにもなりはしない

照星「……あっ。先、輩」

瀬川「どうも。今は休憩中かな?」

食堂でお昼を取ろうとしたら、ぼんやりと座っていた照星さんと目があう

額に汗を垂らしながら水を眺めていた照星さん。私を見て少し驚いた様な表情を見せた

照星「そうっすね、絶賛お休み中っす!先輩もお隣どうっすか〜?」

ぺしぺしと隣の席を叩いて座ったらと聞いてくる。この調子ならもう大丈夫だよね

瀬川「うん、ありがたく座らせて貰おうかな。何かあるか見てくるね」

照星「あざーっす!それじゃあゆっくり待ってるっすね」

371 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:24:29.24 ID:39syJi/w0
瀬川「……無い」

迂闊だった……普段料理を作ってくれる臓腑屋さんが、何か作っているでしょと思っていた

よく考えたら、その臓腑屋さんは私の部屋でお菓子を食べていたんだ。当然料理なんて作ってない……

かといってこのまま引き下がるのは私の面子に関わるし……よし!手早く作っちゃおう!

瀬川「何がいいかな……卵焼きとか?」

卵を溶いて丸めればいいんでしょ?それ位誰だって出来る。私にだって出来るはずだよ

瀬川「どれだけ使えばいいんだろ……?取り合えず十個位割ればいっか」

それだけ割るとなるとお皿じゃダメだよね。もっと大きなお皿……ラーメン丼を使えばいいかな?

瀬川「んしょっと。でもこれフライパンで引っくり返せる?無理でしょ……」

目の前のタプタプになった卵を溶いたの。料理した事ないけど、これはちょっと無理ってわかる……

瀬川「もっとおっきなフライパン使わないとダメっぽいなぁ……あ!あれ使お!」

壁にかかっていた大きなフライパン。これならなんとかなるかな……

瀬川「よし!やるぞ!」

気合も充分あるし、これは成功フラグだよね!まずは火をつけて……

瀬川「……あれ?つかない?ガスの元栓どこ?」
372 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:25:25.80 ID:39syJi/w0



飛田「……何かね?このエイリアンの卵は?」

瀬川「私の作ったのでーす……ごめんなさーい……」

飛田「ハハハハハ!中々愛嬌のあるフォルムじゃないか。そう思うだろう?」

古河「コイツホンマ首へし折れんかな」

臓腑屋「古河殿は容赦無いでござるな……」

飛田「ところで、このオブジェは何故食堂に置いてあるのかな?」

駆村「言っておくが卵焼きだからな。それ」

朝日「味の全く無い、ただ焼いただけのパサパサな卵の塊だけどねぇ……あぅ」

月乃「……次に余計な事を言ったら二度と味を感じられなくなる位辛い物を食べさせる」

瀬川「いいんだよー……事実だしー……」

和やかな夕食の中、阿鼻叫喚を生み出しているのは私の力作こと卵焼き

努力の甲斐も虚しく、ボロカスに叩かれた私の卵焼き……もといエイリアンの卵

もしゃもしゃと月乃さんが処理する姿を見ると申し訳無い気分になる。けど私は食べたくない

月神「そ、それじゃあ明日はドッジボール大会だし早めに終わらせましょう?」

御影「そうだね!それじゃあいただきまー……」


…………ザザッ
373 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:26:10.79 ID:39syJi/w0



〜〜〜♪



ハルカ『良い子の皆ー!ココロオドルTVの時間だよー!』

ハルカ『皆、久しぶり!元気にしていたかな?』

ヨウ『俺達は人知れずネタ切れとの戦いに明け暮れていたぞ。連休?そんなもんあるか!』

ハルカ『そんな私達がどうしてTVに出ているのかは聞かないでね。大人の事情ってやつだから』

ヨウ『クソッタレ。アニメーターは賃金が安いと聞くが、それに動かされる俺達は更に薄給だ』

ヨウ『俺達の一月の給料は、丁度牛丼並盛一杯分位だ。ここテストに出るぞ』

ハルカ『聞きたくなかったそんな話……』

ハルカ『まあそんな話はおいておいて、皆、明日はドッジボール大会なんだってね!』

ヨウ『小学校の頃よくやったな。顔に延々と当てられ続けてサンドバッグになった奴もいたアレだ』

ハルカ『はい顔面セーフ!これは負けてはいられないと、私達も新たなミッションを作ってきたよ!』

ヨウ『ミッションといっても、今回はアンケート形式だ。各々の電子生徒手帳に送っておいたぞ』

ハルカ『これで皆の仲も深まる事間違いなし!』

ハルカ『それじゃあ皆で仲良くね!今回もいつもの合言葉で終わらせるよ!』



ハルカ『鮮やかな!』

『遥かな明日を!』『見届けよう!』

ハルカ『バイバーイ!もひとつバイバーイ!』


……………………

…………

……


374 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:27:20.16 ID:39syJi/w0






古河「……な、なんやこれ!?」

最初に声を挙げたのは古河さんだった。持った生徒手帳から目を離さず、大きく目を見開いている

照星「これ、って……!」

駆村「なんだこれは……!?こんな事を答えろって言うのか!?」

月乃「……悪趣味な」

御影「こんなの答えられないって!絶対!」

口々に飛び交うのは文句と悪態。言葉は違えど、内容は概ね似たようなもので

デイビット「ほウ。これハ……」

陰陽寺「騒がしいと思って来てみたが、成る程な。そういう事か」

ふらりと表れた陰陽寺さんが毒づく。でもその言葉を咎める人は誰もいない

何人かはアンケートの狙い。アニメの作成者であるモノクマの意図に気づいたみたい

それもそうだ。だってアンケートにはたった一行。こう書かれている

375 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:27:47.02 ID:39syJi/w0





『貴方の嫌いな人を教えてください』





376 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:29:02.79 ID:39syJi/w0
モノクマ「わんばんこ〜。アンケート答えてる?」

月神「モノクマ!これはどういうつもりなの!?」

モノクマ「どう言う津守……?津守って誰の事?」

臓腑屋「知らないでござるよ!?」

古河「こんなんがアンケートやと!?ふざけんのも大概にせえや!」

竹田「なんだこの内容は?こんなん誰が素直に答えると思うよ、なぁ?」

スグル「真面目に答える必要性を感じません。誰か適当な人に票を集中させれば問題は無いはずです」

月神「そうね……皆、私に投票して。それで平和に解決するはずよ」

モノクマ「……本当に?本当に解決するのかな?」

瀬川「な、なんで?別に本人がいいって言うなら大丈夫なんじゃないの?」

モノクマ「当の月神さんは誰に投票するの?他の人がちゃんと月神さんに投票するって断言出来る?」

瀬川「それは……」

モノクマに問われて言葉に詰まる。全員がちゃんと投票するとは限らないんだ

それに、月神さん本人は誰に投票するのか……彼女に嫌われている。影でどんな風に思われているのか

他人の本音なんて絶対にわかりっこない。例えば、誰かが、誰かを憎んでいたとしても……

モノクマ「選挙というのは公正でなくてはならないのです。オマエラ、清き一票でお願いします!」

モノクマの発破で投票が行われていく。私も、名簿にある名前一覧から一人を選んで、タップした
377 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:29:50.28 ID:39syJi/w0

モノクマ「うぷぷ。これで全員の投票が終わったみたいだね、ありがとうございました!」

……投票は案外速かった。それは、月神さんの言う通りに、素直に彼女に投票したからなのか

モノクマ「いやぁ、これはこれは驚いたよ。なんせ票がビックリする程バラけてたからね!」

御影「ちょっと!?何でわざわざ票がバラけけた事を言うんだよ!?」

モノクマ「別にいいじゃん。単純に驚いただけだしさ。それとも言ったら困る事あるの?」

飛田「貴様。もしかしてとは思うが、梓の言う事を無視した訳ではあるまいな?」

御影「まままっさかぁ!そんな訳ないじゃん!?」

……明らかに怪しい。御影君は嘘がつけないんなら素直に黙っていればいいのにね

現に……皆の口数は、わざとらしい程に減っているんだもん

モノクマ「えー、アンケートにお答えいただき誠にありがとうございます。この結果は真摯に受けとめ今後に役立てていきたいと思います」

古河「嘘つけやぁ!!!」

モノクマ「そして、今回アンケートにご協力していただいたオマエラに、ささやかながらオマケを用意しておきました!」

スグル「理屈がよくわかりませんが……」

竹田「ああ。保険会社のアンケートに答えてやったら飴ちゃんくれるみたいなモンだろ?」

スグル「そ、そうなんですか。知らなかった……」

合点がいった様子のスグル君。でも少し世間知らずだと思うんだ

周りも微妙に呆れているしそれを見ているモノクマもクツクツと笑っているし……

……笑っている?

378 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:31:07.18 ID:39syJi/w0

モノクマ「うぷぷ。これで全員の投票が終わったみたいだね、ありがとうございました!」

……投票は案外速かった。それは、月神さんの言う通りに、素直に彼女に投票したからなのか

モノクマ「いやぁ、これはこれは驚いたよ。なんせ票がビックリする程バラけてたからね!」

御影「ちょっと!?何でわざわざ票がバラけけた事を言うんだよ!?」

モノクマ「別にいいじゃん。単純に驚いただけだしさ。それとも言ったら困る事あるの?」

飛田「貴様。もしかしてとは思うが、梓の言う事を無視した訳ではあるまいな?」

御影「まままっさかぁ!そんな訳ないじゃん!?」

……明らかに怪しい。御影君は嘘がつけないんなら素直に黙っていればいいのにね

現に……皆の口数は、わざとらしい程に減っているんだもん

モノクマ「えー、アンケートにお答えいただき誠にありがとうございます。この結果は真摯に受けとめ今後に役立てていきたいと思います」

古河「嘘つけやぁ!!!」

モノクマ「そして、今回アンケートにご協力していただいたオマエラに、ささやかながらオマケを用意しておきました!」

スグル「理屈がよくわかりませんが……」

竹田「ああ。保険会社のアンケートに答えてやったら飴ちゃんくれるみたいなモンだろ?」

スグル「そ、そうなんですか。知らなかった……」

合点がいった様子のスグル君。でも少し世間知らずだと思うんだ

周りも微妙に呆れているしそれを見ているモノクマもクツクツと笑っているし……

……笑っている?

379 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:31:35.02 ID:39syJi/w0
モノクマ「それではオマエラ、電子生徒手帳をご確認くださーい!」

瀬川「えっ? ……あっ!」

モノクマが言うや否や、皆の電子生徒手帳には新着の履歴が表示される

待ってましたと言わんばかりの速度だったから、私の反応は一瞬遅れて……

だから、かな? 手帳に映し出された文章が、やけにくっきりと目に焼き付いたんだ









『―― ――は、  “オンミョウジ マヤ” さんに投票しました』

『“超高校級のヒーロー”陰陽寺 魔矢は、対戦相手に選手生命を断つ程の暴行を加えた事で、高校剣道会から追放されている』





380 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:32:02.64 ID:39syJi/w0
御影「う……うわああああ!?何だよコレ!?」

照星「これ、って……! 何でなんすか!? 何で自分が……!? むぐっ!?」

月乃「……しっ。今は言ったらダメ」

月神「どうしたの!?モノクマ、皆に何を……!」

モノクマ「うぷぷ。特になーんにも? ボクはただ教えてあげただけだよ」




モノクマ「『嫌いな相手として投票した人の、周りに知られたくない秘密』をね……!」




臓腑屋「何てものを教えたのでござるか……!?」

飛田「あが、あがががががが……ガッデム!!」

陰陽寺「嫌いな相手の秘密か。下らないマネを」

吐き捨てる様に呟く陰陽寺さん……私が投票した人

これを世間に公表したら、まず間違いなく彼女は破滅する……少なくとも、今後超高校級のヒーローを名乗る事は出来なくなる

その事実を理解した瞬間、背筋が凍り付く。もし、もしも誰かが私に投票していたら……?

そして、その秘密が仮に“ずっと隠してきた、私にとって極めて致命的”なものだとしたら……

瀬川「……っ!」

脳裏に浮かぶビジョンに目眩がする。今まで被ってきた仮面を、無理矢理に剥がされた様な感覚が


381 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:32:51.55 ID:39syJi/w0
御影「う……うわああああ!?何だよコレ!?」

照星「これ、って……! 何でなんすか!? 何で自分が……!? むぐっ!?」

月乃「……しっ。今は言ったらダメ」

月神「どうしたの!?モノクマ、皆に何を……!」

モノクマ「うぷぷ。特になーんにも? ボクはただ教えてあげただけだよ」




モノクマ「『嫌いな相手として投票した人の、周りに知られたくない秘密』をね……!」




臓腑屋「何てものを教えたのでござるか……!?」

飛田「あが、あがががががが……ガッデム!!」

陰陽寺「嫌いな相手の秘密か。下らないマネを」

吐き捨てる様に呟く陰陽寺さん……私が投票した人

これを世間に公表したら、まず間違いなく彼女は破滅する……少なくとも、今後超高校級のヒーローを名乗る事は出来なくなる

その事実を理解した瞬間、背筋が凍り付く。もし、もしも誰かが私に投票していたら……?

そして、その秘密が仮に“ずっと隠してきた、私にとって極めて致命的”なものだとしたら……

瀬川「……っ!」

脳裏に浮かぶビジョンに目眩がする。今まで被ってきた仮面を、無理矢理に剥がされた様な感覚が


382 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:33:46.65 ID:39syJi/w0
モノクマ「いやぁボクって優しいね!いじめっ子に報復の言い分をあげたんだからさ」

モノクマ「ん……? あっ! しまった! ボクとした事が、投票されなかった生徒の事を全く考えていなかったよ……」

モノクマ「世の中は今男女平等ブームだしね。何せ男の子だってプリキュアになれるし!」

朝日「えへへ、そうだよぉ。オトコノコだってぇ、いくらでも可愛くなれるもんねぇ」

月乃「は?」

駆村「気持ちはわかるが落ち着け……! 朝日も余計な事は言うな……!」

モノクマ「という訳で……明日から四日後、全員の秘密を公衆の面前でバラ撒きたいと思いまーす!」

古河「はああああああああああああ!?!?!?」

モノクマ「いやあワクワクするね!それとも気になるあの子やイラつくアイツに影でこっそり噂されててドキドキする?」

瀬川「そんな事思える訳ないでしょ!?個人情報とプライバシーの概念が無いの!?」

モノクマ「まあボクも鬼じゃないからね。オマエラが誠意を見せてくれたら取り止めてあげなくもなくなくないよ?」

月神「誠意、って……」

陰陽寺「どうせ殺し合いだろう。わざわざ聞く必要も無いがな」

モノクマ「イグザクトリィ!ご近所のクラス会で噂されたくないならコロシアイするんだね!」

御影「案外範囲が狭かった!」

モノクマ「そんじゃアデュー! 精々こっ恥ずかしい秘密で強請られないように気を付けるんだね!」

383 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:34:47.79 ID:39syJi/w0




瀬川「……大丈夫だよ。きっと!」








……嘘だ。言葉とは裏腹に、心の中は焼けつく様な焦燥感と、凍てつく程の殺意に満ちていた


誰かが冷酷な悪意を隠しているなら、私だって全力で対抗してみせる


もしも秘密が“あの事”なら、私はそれを死守しなくちゃいけない……。例え、何を犠牲にしてでも


例え、この場にいる全員を、闇の中に葬ってでも




384 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/16(日) 21:35:13.25 ID:39syJi/w0
※ミス
>>58>>59の間にこれが入ります





……モノクマは去っていった。軽やかな足取りで、重苦しい動機を残して

嫌いな相手の知られたくない秘密。それは、相手にとってはこれ以上ない悪夢になる

そして、自分にも……致死のダメージが与えられる恐怖がつきまとう諸刃の凶器

御影「だ……誰だよ! ボクに投票した奴は誰なんだよ!」

月神「大丈夫よ、御影君。きっと皆は私に投票しているはずだから……」

飛田「そんな事は無いだろう!何故ならオレはレディに投票なぞ出来ないから、適当に投票したのだからなッ!」

古河「オマエそんな事滅茶苦茶な事したんか!?誰に投票したんか言うてみろや!」

デイビット「止めた方がいイ。飛田氏にとってモ、月神女史にとっても不利益な結果となル」

スグル「こんなの……どうしようもない、です……」

誰かの秘密を握りながら、誰かに秘密を握られる。しかも、自分の秘密を握っているのは悪意を秘めた人かもしれない

個人情報の流出がどれだけおぞましい事態かは理解しているつもりだ。それこそ、私の身に深く染み付く程に

月神「どうすれば……。このままじゃ、皆バラバラになっちゃう……!」

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