ヤンキー「異世界転生だァ?」

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42 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/03(月) 15:32:27.19 ID:hM7dQHcRO
ヤンキー「まだ来るまでに時間はあるはず...!」ガッ

岩影に飛び込み、骨を拾う。
その骨で無我夢中に土を掘り返す。

ヤンキー(さっきヤツは着地した。『俺が居た痕跡』に気付いたんだ...!)ザクッザクッ

ヤンキー(こっちに向かってくるまで多目に見積もっても1分そこら...それまでに俺が隠れることができる大きさの穴を...掘れるのか?)ザクッザクッ

ヤンキー(いや...掘るンだよッ!)ズオッ
43 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/03(月) 15:35:50.00 ID:hM7dQHcRO
ヤンキー「絶対に...生き延びてあの二人ブッ飛ばしてやる...っ!!」ザクッザクッザクッ

『生き延びる』
その強い意思が、やる気となってヤンキーに力を与える。
普段とは比べ物にならない、倍以上の力を持ってがむしゃらに穴を掘る。

ヤンキー「はっ、はっはあっ...!」ズボッ

ものの数十秒で出来た大穴に身体を滑り込ませ、息を整える。

ヤンキー(異様に体力を消費したが...まるで、自分の身体じゃねえ見てぇに力が湧いてきやがった...!!)
44 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/05(水) 23:39:33.47 ID:hsyp1o03O
これが天使の言っていた『能力』だろうか。
異常に疲労したが、ものの数秒で人一人がすっぽりと入れる大穴を掘ることに成功した。

ヤンキー(息を潜めて...なんとかやり過ごさねぇと...)

大きな咆哮。
芯まで響く地響き。
何かが燃える臭い。

それが遠く離れていく頃、疲れ果てたヤンキーは安堵の表情を浮かべながら穴の中で眠りに落ちた。
____
__
45 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/05(水) 23:46:15.57 ID:hsyp1o03O
____

ヤンキー「...ん、」パチ

目を開ける。
耳が痛くなる静けさと、穴の外から見える星空。
どうやら夜になっていたようだ。

ヤンキー(寝てたか...我ながら呑気なモンだぜ)ヘッ

狭苦しい穴から上半身をのりだし、辺りを見回す。
焼け焦げた草と抉れた地面。
もし逃げ遅れていたら、と思うと背筋がヒヤリとする。

ヤンキー(あのバケモンは...いねーようだが)フゥ
46 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/05(水) 23:58:33.37 ID:hsyp1o03O
のそり、と穴から這い出て学ランについた土をパタパタとはらう。
そこで気付いたのだが、どうやら死んだときに持っていた物は全て一緒に持ってきているようだ。

ヤンキー(財布にティッシュ、ライターに、煙草二箱...1つは開いてるが)

ヤンキー(財布ン中は札が二枚と小銭に...レシート)

ヤンキー「もっとナイフとか普段から持っとくべきだったか?」ヘヘ

凡そ役に立ちそうな物が無いことを改めて確認すると、辺りを見回す。

ヤンキー(星と月が照らしてるから思ったほど暗くはねーが...まずどっちに行ったら正解かってのもわかんねぇなあ)
47 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/06(木) 00:06:20.34 ID:9NjNs6IHO
ヤンキー「おーよしよし、愛しのセッタちゃん...」シュボッ

とりあえず一服。
二度と買えないと解っていることではあるが、やはり煙草を吸ってしまうのはヤンキーの性である。

ヤンキー(...しかし、本当にどうしようか)

ヤンキー(さっきのバケモンが来た方向に向かうか、それとも反対...恐らく去っていった方に向かうか)スパー

ヤンキー(生き物の寝静まった夜に動くべきか、視界の開ける朝に動くべきか...うぅむ)フゥ

ヤンキー(とりあえず...>>48だな)
48 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/06(木) 00:10:30.12 ID:iXmpsi+L0
来た方向に向かって
今動く
49 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/06(木) 00:16:30.64 ID:9NjNs6IHO
ヤンキー(去ってった方向に行けば...鉢合わせも有り得る。ここはバケモンが来た方向に向かうのが吉だぜ)スパー

ヤンキー「うっし...気合い入れてくぞ」スタスタ

日の出を待たずに歩き出す。
生き物の気配の無い夜の内に距離を稼いでおくことが、吉と踏んだためだ。

____
__
50 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/06(木) 00:23:33.76 ID:9NjNs6IHO
____

数時間は歩いただろうか。
単車が恋しくなってきた頃、ヤンキーの目の前に広がったのは鬱蒼と繁る森。

ヤンキー(どう見ても...この森を通るしか道はねえよなあ...)

数時間歩いたのに夜の闇は消えず、それどころか濃さを増してゆく。
まだ夜は長いことを示している。

ヤンキー(よく見たら入り口の辺りに草がはえてない...踏み慣らされて道になってンだ)

ヤンキー(しかし...森かぁ、絶対に何かあるよなあ)
51 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/06(木) 00:27:34.45 ID:9NjNs6IHO
ヤンキー(だが、この森を頻繁に人間が通っているってこたぁ地面の様子見りゃあ解る...どうするべきか)

ヤンキー(さすがに森ン中のやつも全員寝てるか...?いや、しかし今森に入れば、視界は殆ど奪われる)ゴクリ

ヤンキー(ライトでもあったら進むンだがよォ...チッ、めんどくせぇ)

森に入るか、引き返すか。
はたまた森の前で夜を明かすか...
ヤンキーの頭では、どれが最適解かは考えても解らない。

ヤンキー(勘に頼って...>>52でいくか)
52 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/06(木) 00:41:49.75 ID:WFphuMpDO
森の前で夜を明かす
53 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/16(日) 01:36:33.53 ID:aS5aPtD2O
ヤンキー(今入ったら無事に出れる気がしねぇ...少し不安だが、この辺りで一旦夜を明かすか... )ガサガサ

大きな木に身体を預け、夜空を見上げる。
見たこともない景色に恐ろしい異形の獣。
緊張続きだった脳が、透き通るような夜空で解されてゆく。
落ち着いた瞬間に泥のように身体が重くなり、彼は眠りに落ちた...
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54 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/16(日) 01:41:48.11 ID:aS5aPtD2O
____

褒められたような生き方では無かったなあ。

喧嘩に明け暮れ、悪行に手を染めた。

死んで当然。同情もされないような屑だ。
それがなんの因果か、死んじまったくせにまた生きている。
生き返るのにもっとふさわしい人間がいたろうに。

なぜ、俺が...?

____
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55 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/16(日) 01:45:35.01 ID:aS5aPtD2O
ヤンキー「...っ」パチ

木々から零れた朝露が顔を叩き、眼が醒める。
それと同時に神経を張り巡らせる。

ヤンキー(臭うンだよな...!)

血の臭い。
幾度と無く嗅いできた、くそったれな臭いだ。

時刻は明け方か、まだ薄暗いが視界は良好。
起きていることを悟られないように慎重に辺りの状況を見極める。
56 : ◆e.SQKdgQgc [saga]:2019/06/16(日) 01:50:24.10 ID:aS5aPtD2O
ヤンキー(感じる視線は一つ...血の他にも...これは、動物園の...)

ヤンキー(『獣』の臭いだ)スン

木々の奥から感じる殺気立った視線、そしてそよ風に乗ってやってくる独特の臭い。
感じる情報をフルに使用し、活路を見出だす。
ヤンキー(どうする、俺...)ゴクリ

ヤンキー(クソが...逃げるにしても、ブッ潰すにしても...動いた瞬間、飛び掛かってくる雰囲気だ)

ヤンキー(ここは...>>57するしかねえな)
57 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/16(日) 08:45:26.68 ID:UFvLoChl0
やるしかねぇ。気合いでぶん殴る。
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