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竜「ゲンマイ、サバミソ、タクアン、クイタイ」
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1 :
◆9l/Fpc6Qck
[saga]:2019/05/18(土) 09:43:54.84 ID:1LrGaqRl0
1943年、横須賀。
男の手に抱かれた大きな卵はピキピキと音を立て、殻を破りはじめた。
裂け目より現れたそれは、つぶらな瞳に蛇のような細長い身体……。
そして、二対の前足にコウモリのような小さな翼をもった、紛れもない『竜の子』そのものであった。
この日、蒸しかえるような工廠の一角で、ひとつの新たな命が誕生したのだ。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1558140234
2 :
◆9l/Fpc6Qck
[saga]:2019/05/18(土) 09:51:39.39 ID:1LrGaqRl0
男「……!」
竜「……」
車椅子に腰掛ける男は息をのみながら、竜の子の頭についた殻をおそるおそる取り除く。
すると、竜の子はぼやける視界の中……まぶたをパチパチとさせながら、男の顔をじっと見上げた。
竜「きぃ」
男「ほ……」
男「本物かよぉ……」
3 :
◆9l/Fpc6Qck
[saga]:2019/05/18(土) 09:59:46.15 ID:1LrGaqRl0
技術士官「ははは、驚かれるのも無理はありません」
技術士官「かくいう私も、竜種がこうして生まれてくる瞬間を目にするのは、初めてのことですから」
男「あ、あぁ……だって、まさかこんな……」
竜「きぃ、きぃ」
男「いだだ、噛むな噛むなっ」
技術士官「おめでとうございます、大尉」
技術士官「この子は、大尉のことを自分の親だと認識したようです」
男「あ、あー……」
男「この感じって、やっぱりそういう……」
竜「きゅー」
男「あだだだっ、だから生えそろってない歯で噛むなって!」
4 :
◆9l/Fpc6Qck
[saga]:2019/05/18(土) 10:09:43.02 ID:1LrGaqRl0
技術士官「それでは、私はこれで」
竜「?」
男「ま、待てっ」
男「この状況で俺一人をほっていかれても困るのだがっ」
技術士官「この後のことは、先ほどお話した通りですよ」
技術士官「あなたが開戦以前まで生家で営まれてきた、伝書鳩の育成経験……」
技術士官「そして、重慶での戦いから先月のミッドウェーに至るまでの空戦経験」
技術士官「これらの経験を生かし、このリントブルムの子――」
秘術士官「略符号J6Yを本国ドイツに倣い、実用段階にまで育て上げてください」
男「……いや、実用段階にって……あのさ」
竜「きー」
男「……コレと伝書鳩を一緒にされると、流石の俺も困るというか、その……」
男「ってお、おい!行っちまった!」
5 :
◆9l/Fpc6Qck
[saga]:2019/05/18(土) 10:17:26.27 ID:1LrGaqRl0
男「勘弁してくれよ……まったく」
男「こんなの、俺一人でどうしろっての……」
竜「きゅー」
男「……ま、しゃーないか」
男「こんな“足”じゃ、軍にいて他にできることなんて……たかが知れてるしな」
男はもう動くことのない自身の両太腿と、その上に乗っかる竜の子の姿を見下ろしながら、大きなため息をついた。
竜「?」
男(さっきのあいつ、竜の子は成長が早くて頭も賢いんだとか抜かしていたな)
男「……」
男「おい、馬鹿のチビ助」
竜「ガブ」
男「いででで!本当に言葉が通じるらしいいだだだ!」
6 :
◆9l/Fpc6Qck
[saga]:2019/05/18(土) 10:29:08.29 ID:1LrGaqRl0
男「はぁ、はぁ……」
竜「フン」
男「酷い目にあった……」
男(だが、言葉が通じるんなら……鳩を育てるより、遥かに楽かもしれんな)
男(やってやれんこともないだろう)
男「はは……さっきは、変な呼び方してすまなかったな」
竜「きー」
7 :
◆9l/Fpc6Qck
[saga]:2019/05/18(土) 10:38:59.38 ID:1LrGaqRl0
男「いいか、今日から俺とお前は運命共同体だ……」
男「いつかは俺に代わって、お前にこの国の空を守ってもらうことになるだろう」
竜「?」
男「はは、何を言ってるかわからねーって顔だな」
竜「きゅう」
男「……イヤ、今はそれでいい」
男「生まれたばかりのお前に話すには、今の状況はあまりに複雑で深刻なんだ」
男「ま……お手柔らかに頼むよ」
竜「……」
8 :
◆9l/Fpc6Qck
[saga]:2019/05/18(土) 10:45:21.55 ID:1LrGaqRl0
男が差し出した手を、竜の子が真っ直ぐな目で見ている。
そして、手に自らの頬を摺り寄せてきた竜の子を、男が包み込むように撫ぜる。
それは、うだるような夏のひと時のこと。
彼らの出会いは、こうして果たされた。
……
…………
………………
9 :
◆9l/Fpc6Qck
[sage]:2019/05/18(土) 10:46:00.75 ID:1LrGaqRl0
仕事に行きますので、一旦ここで切ります
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