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北上「私は黒猫だ」
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1 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:05:49.75 ID:co/3lF0I0
北上「我輩は猫である」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1500349791/
北上「我々は猫である」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1521225718/
以上の続きです。
ここから読み始める方への配慮は微塵も出来てないので最初から読んでいただければ嬉しいです。キラキラします。
もうすぐ終わる予定なのでもうしばらくお付き合い下さい。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1557947149
2 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:08:50.82 ID:co/3lF0I0
87匹目:ティータイムキャット
提督「吹雪?北上が出かけてったすぐ後にどっか行ったぞ」
北上「ありゃ入れ違いか。何処に?」
提督「さあ」
北上「さあって…」
提督「別にサボってたわけじゃないぞ?そうだなあ、工廠とかかな」
北上「今夕張達忙しいみたいだもんね」
提督「色々と注文したからな。今までもコツコツやってたけど今回は一気にだ。お前らの装備全部フル改修するから楽しみにしとけ」
北上「そんなに改修して材料足りるの?」
提督「最近戦力強化のためか上からの報酬が良くてな。惜しみなく注ぎ込んでるのさ」
北上「へぇ。それはそれは」
それは、違うな。
元々少なかったのは吹雪が中抜きしてたからだ。
そして今増えたと言うならそれも恐らく吹雪だ。
今になって随分と協力的になったじゃないさ、吹雪。
3 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:09:30.34 ID:co/3lF0I0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
響「吹雪?」
北上「うん。何処にいるかなって」
電「司令官の所にはいなかったのですか?」
北上「どっか行ったってさ」
響「相変わらずだね司令官も」
電「んー少なくともお昼以降ここら辺を通ってはいないと思うのです」
北上「暁達は?」
電「遠征なのです。確か民間船の護衛って言ってたのです」
北上「護衛…あーそうか」
レ級の件以来船の護衛が強化されたんだっけ。
響「暇だし私達も探そうか?」
北上「んにゃいいよ。急ぎじゃないしね」
誰かに聞かれる訳にもいかないしね。
4 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:10:35.19 ID:co/3lF0I0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
北上「何してんの?」
浦風「見張りじゃ」
北上「工廠の?」
黒潮「ま〜たなんか遊んどったみたいでなぁ。吹雪に言われたんや」
浦風「たまたま近くを通っただけなんじゃけどねぇ。ま、暇じゃったけん丁度よかね」
北上「外で見張ってても意味あるのかね」
黒潮「まあ音がしとるうちは大丈夫やろ」
浦風「そこまで偽装してサボるほど不真面目なわけじゃあないと思うよ」
そうかな、そうかなあ?
北上「吹雪はその後どこいったか分かる?」
浦風「んー場所までは言っとらんかったなあ」
黒潮「資料がどうこうとは言うとったよ」
北上「ふーん、ありがと。で、二人は何やってるの?」
工廠の入口前に腰掛け真剣にスマホを覗き込む二人に問うてみる。
黒浦「「麻雀」」
北上「…な〜る」
駆逐艦はどうにも賭け事が好きだなあ。
5 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:11:17.73 ID:co/3lF0I0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
資料かぁ。別の建物だろうか?
しかしこうして鎮守府を歩き回るのは久々だからなんだか楽しくなって来た。
北上「おや」
鎮守府の中でもあまり人の訪れない外れの方。
あれは、金剛さんか。外でお茶会をする時もあるとは聞いていたがこんな所でやっていたのか。確かに静かでいいけれど。
白いテーブルとイス。後なんか豪華なそうな、食器?棚?
隣には比叡さんもいる。二人だけかな?
金剛「あ、北上ーー」ブンブン
私を見つけるなり席を立ち両手を大きく降って呼びかけてくる。相変わらずテンションが高い。
とりあえず私も手を振り返してみる。もちろんあんなに激しくではなく。
金剛「Hey!!カモーン北上ィーー!」ブンブン
呼ばれてしまった。物凄い勢いで手招きをされてしまった。いやもうあの動きは手招きじゃないでしょ。
6 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:12:03.31 ID:co/3lF0I0
北上「…」バッテン
手でクロスを組み拒否の意思を伝える。
金剛「!?」ガビーン
うわめっちゃショック受けてる。なんで私が罪悪感に苛まれにゃならんのだ。
金剛「…」ガッカシ
比叡「!!」ワタワタ
そのまま取れるんじゃないかと言うくらい肩を落として席に戻ろうとする
どうしていいか分からずテンパる比叡さん。
北上「…」
どうしろというのだ…私にも用事があるんだよ。
金剛「…」チラリ
うわこっち見てきた!よく見えないけど多分捨てられた子猫みたいな目で!
北上「あーもう…」マル
金剛「!!」パァァ
手でマルを作りお茶会の席へ向かう。
やれやれ。まあそこまで急いでいる訳では無いんだけどさ、アリスの気持ちが少しわかった気がした。
幸い席にいるのはマッドハッターではない。退屈はしないだろう。
7 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:13:00.76 ID:co/3lF0I0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
北上「えっと、じゃあよろしくお願いします?」
うーむ慣れない。いつもの座布団や木製の椅子とは違うイギリス的な?椅子に違和感を覚える。
金剛「ノンノン!同じ艦隊の仲間なんデスから、敬語はノー!デスよ」
流石は吹雪に艦隊の潤滑油と称されるだけあって凄いコミュ力だ。
グイグイ来るのにそれを嫌だと思わせないのは一種の才能だろう。しかし…
比叡「年功序列なんて堅苦しいのはここにはないですからねー。気楽に行きましょう気楽に」
金剛「そもそもシップであった私達に歳とか言われても困りマース」
比叡「そうですよ。それを言ったら金剛お姉さまなんて今一体幾つになるやら」
金剛『それくらいにしておけよ小娘』
比叡「え、あのお姉さま。日本語でお願いします」
北上「…」
比叡さん:完全に敬語
金剛さん:謎の訛りではあるけど敬語
この二人に敬語やめてフランクにとか言われても説得力ないよね。
8 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:13:47.69 ID:co/3lF0I0
金剛「それにしても珍しいネ。多摩と同じで北上はインドアなキャットだと思っていましたヨ」
そう言ってティーカップを啜る。話し方とは裏腹に紅茶を飲む姿はなるほど淑女のそれだと言っていいだろう。
北上「ちょっと用事があってさ。吹雪を探してたんだけど」
比叡「吹雪を?なんでですか?」
北上「あー、理由はちょっと…」
金剛「シークレットデスカ?いいですネー、女は秘密を着飾る程美しくなるといいマース」
北上「それどっかで聞いたような」
比叡「はいどうぞ。なにかいれますか?」
北上「んーミルクをお願い」
比叡「はいはーい」
9 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:14:28.06 ID:co/3lF0I0
北上「…おいしい」
紅茶なんて飲んだの初めてだ。完全にミルクティーになったけど。
金剛「ふふ、でも嬉しいネ。普段来ないゲストが来てくれるのは」
北上「いつもは誰が来てるの?」
金剛「んーそーデスネー。皆?」
北上「皆て…」
比叡「でも概ね合ってますよ?お姉さま、艦種問わず見かけたら引きずり込んでますから」
金剛「人聞きが悪い事言わないでくだサーイ!任意同行デース!」
北上「それ全然いいイメージないよ…」
あの誘い方も手慣れているわけか。
恐ろしい娘!
10 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:15:03.76 ID:co/3lF0I0
金剛「では、滅多にないチャンスデスから北上の話が聞きたいネー」
北上「私の話って言われても、何か話すようなものもないんだけど」
話せるような話でも、ない。
金剛「そーデスカー。うーん…ではこうしまショウ。吹雪が居る場所を教えマス。何かそれに見合う話をしてみてくだサイ」
ニッコリと笑う金剛さんの表情は完全に獲物を前にした捕食者のそれだ。
北上「!?」
比叡「お、お姉さま!?そんな取引みたいな事しなくても!」
金剛「大なり小なり皆気にして、気づいてますヨ。提督達がなにかしようとしている、と。私もそれが気になってるんデス」
なるほど。ここは正しくお茶会というわけか。
比叡「そりゃ私も気にはなりますけど、そんな交換条件みたいな…」
金剛「話す理由には丁度いいと思いマスけどネー」
11 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:15:45.85 ID:co/3lF0I0
北上「皆は、そんなに気にしてるの?」
金剛「気にしている、というよりは心配してるネ。前の提督、前の鎮守府。少なからず皆知ってマス。
特に、日向飛龍谷風に吹雪。前の鎮守府のメンバーとの壁を、皆感じてると相談してきマス」
北上「悩み相談所ってわけか」
比叡「それに関しては私も感じてる事です。私達は深海棲艦を倒すためにいつも頑張ってます。艦娘とはそういうものです。
でもあのメンバーは、なんというか他の何かを目指しているようなんです。私達とは違う何かを見ている」
金剛「大切な仲間ネ。大切な友人ネ。でも例えどんな理由があるにせよ、黙っていられたら壁を感じてしまうものデス」
北上「壁ねぇ」
かつて吹雪に抱いていた感覚だ。
私は目的があったからそれをよじ登った。掻い潜ってぶち壊した。
でも皆は、それだけの理由がないのだろう。壁を感じながらも、仲間だからこそそれを超えられなかったのだろう。
金剛「それでも別にいいと思っていたんデス。でも最近のは目に余りマス。とても見過ごせないネ」
12 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:16:26.00 ID:co/3lF0I0
北上「…」
見合うだけの話、と言われてもなぁ。
でも確かに問題だ。このまま黙って計画を進めるのは厳しいのかもしれない。もしもの時、提督は皆になんというつもりなのだろうか。
金剛「それに、もっと重大な理由がありマース」
北上「じ、重大な?」
金剛「ええ」
目を閉じ、一呼吸おく金剛さん。
北上「それは?」
比叡「…」ゴクリ
それ以上にとは一体なんだ?私も思わず唾を飲む。
金剛「それは!」カッ!
比叡「それは!?」
金剛「テートクとの秘密の共有なんて羨ましすぎるからデース!!」ババーン
北上「…はい?」
金剛「ずるいネ!私もテートクと二人っきりでコソコソとランデブーしてみたいデース!!」
13 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:16:56.17 ID:co/3lF0I0
北上「…」ポカン
え、嘘、そこ?いやそこか、この人的には。さもありなん。
北上「…」チラリ
比叡「…」タハハ
やれやれという感じで肩をすくめる比叡さん。
いつもの調子に戻った金剛さんに安堵しているようにも見える。
北上「結局そこなのね」
金剛「あたり前田のクラッカーネ!恋するガールデスからネー」フフン
まったく、真面目なんだかふざけてるんだか。いや、この人はいつも真面目なんだ。
こうしている今も。
14 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:17:28.62 ID:co/3lF0I0
北上「…」
金剛「?北上?」
北上「なら、一つ聞いてもいいかな」
金剛「Off course.一つと言わず、いくらでも」
北上「提督が、例えば違う提督だったとしても好きになってた?」
比叡「!?」ブフー
金剛「…oh.なかなかクリティカルな所を突いてきますネー」
比叡「ビックリしたぁ…日向みたいな事を聞きますね」
北上「日向さんも言ってたの?」
比叡「同じような事を、ね。言い方は真逆でしたけど」
何を言ったんだろ。
15 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:18:09.48 ID:co/3lF0I0
金剛「艦娘は提督を大なり小なり好きになるものデス。それはここにいる男性が一人だけだから、という訳じゃないネ」
大きな鎮守府には当然提督以外にも人員はいる。現に元帥のおじいちゃんの所にはいっぱい居た。
金剛「ラヴは錯覚によるものだ、と言った人がいるらしいデスけど、それで言うなら私達はそう錯覚するようになっているのかもしれないネ」
比叡「雛鳥が最初に見たものを親と思う。なんてのに近いのかもしれません。日向は女王蜂とか言ってましたね」
北上「私もその話は聞いたよ。流石にその言い方はどうかと思ったけど」
金剛「だから悩む娘もいたりするデス。自分のこの気持ちは本物なのかって」
北上「金剛さんも?」
金剛「そう見えますカ?」
北上「んー、いや全然」
金剛「ふふん、大正解デース!」ガタッ
うお、急に立ち上がった。
比叡「エヘヘェ」
比叡さんは、あーなんかうっとりしてる。見惚れてる。
16 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:19:09.47 ID:co/3lF0I0
金剛「だからそういう娘に言うこともいつも決まって一つデース。確かに私は提督が大好きネ。もし提督が今と違う誰かだったとしてもきっと同じ事をいうと思いマス。
でも、ここの提督に対するLOVEは唯一無二デス!大きさとか量とかではないネ。金剛はこの世界に沢山いマス。でもここの提督はただ一人なんデス。
だからこの気持ちも、提督に対する私のこの気持ちも間違いなくオンリーワンデース!」ババーン
気品漂う素敵なイスに豪快に片足を乗せ私に向かってビシィッと指を指しポーズを決める。
ザ・無敵って感じ。
これならどんな悩みも立ち所に馬鹿らしくなるだろう。
北上「核かぁ。なるほどね。確かに私達は沢山いるけど、提督はただ一人だもんね」
金剛「YES.何も不安になる事はないんデース。北上のその気持ちだって、確かなものに違いないんデスから」
北上「うんうん、うん?え、私の気持ち?」
金剛「ん?」
北上「ん?」
比叡「え、北上も司令の事好きなんですよね?」
北上「え」
比叡「あれ?」
金剛「oh…」
あれれ?
17 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:19:46.63 ID:co/3lF0I0
北上「そうなの?」
比叡「私達にそれ聞くんですか?」
北上「逆に、え、なんでそうなった?」
比叡「なんでって言われましても」
金剛「顔に書いてありマース」
北上「顔」
金剛「北上はあんまり笑わないデス。というより感情が表に出ない感じですかネ。それが緩むのが球磨型のシスターズといる時か、テートクといる時ネ」
意識した事もなかった。本当だろうか?私自身にはなんとも言えない。
比叡「なんというか、笑みが溢れるという感じの表情ですね。私がお姉さまを見てる時と同じ感じです」
それはなんか一緒にして欲しくない。言わないけど。
金剛「ソーデスネー」
おっと金剛さん華麗にスルー。
金剛「んん?さては無自覚デスネ?テイトクと同じレベルのボクネンジンネ」
朴念仁?どっちかと言えば唐変木なんじゃ。別にいいけど。
18 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:20:22.34 ID:co/3lF0I0
金剛「ならクエスチョンデース。提督と二人っきりで居る時、どう思いますカ?」
北上「どう思うって、んーそうだなぁ。落ち着く、感じ?」
猫の時を思い出す。好きな匂いが染み付いたお気に入りの寝床を。
金剛「他に似たような気持ちになる事はありますカ?」
北上「似たような、図書室とか。いや違うな。私達の部屋も、違う」
確かに落ち着くけれど、違う。
金剛「なんでもない時でもそこへ行きたいと思ったりしませんカ?」
北上「思う、かな」
正確には思ってはいない。何の気なしにふらっと向かっている。
金剛「独り占めしたい!って思ったりしませんカ?」
北上「…思ってた、かも」
そんな事を、考えていた気がする。
19 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:20:55.78 ID:co/3lF0I0
比叡「ズバリ恋ですよ恋!恋する乙女です」
金剛「これは手強いライバルができたもんデース!負けませんからネー!」
北上「恋、恋ねえ」
思えば混ざってる、混じっているとはいえ私も艦娘に違いはない。ならば北上も提督に惹かれていたとしても不思議はない。
のだろうか?
北上「うーむ」
比叡「あれ、納得してませんね」
金剛「ふむ、テートクとはいつもどんな感じなんですカ?」
北上「提督は机でサボってて、私がソファで寝転んで本読んでる」
比叡「それだけ?」
北上「たまに本の内容を提督に話したり、とか」
金剛「それだけ?」
北上「うん」
金比「「うーむ」」
なんでそっちが悩むのさ。
20 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:21:42.55 ID:co/3lF0I0
金剛「ならいつもじゃない時はどうですカ?」
北上「いつもじゃない時?」
逆転の発想、みたいな感じか。
金剛「YES!特別な、非日常的な事は今までありませんでした?」
北上「特別な事…」
金剛さんと比叡さんは何やら楽しげにこちらを見ている。少し癪だがここはしっかりと考えて見よう。
どんな時だろうか?
屋上で提督とお酒を飲んだ時だろうか?
あの書庫に提督と閉じ込められた時だろうか?
一緒に街に出た時だろうか?
膝枕をしてもらったり、手を繋いだり、背中を流しあったり、そういう事だろうか?
そうじゃなくて、隣に座ったり、お喋りしたり、ご飯食べたり、同じ部屋に居て、そういう事だろうか?
考え出すとアルバムのページは勝手に捲られ無数の写真のように切り取られた思い出の瞬間と、とてつもない大きさの何かが私の中を満たしていった。
「キスしてみたらわかるんじゃない?」
そんな事を私じゃない北上が言ってたっけ。
21 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:22:18.34 ID:co/3lF0I0
金剛「Oh…これはまた」
比叡「アツアツですねぇ…」
北上「え?」
熱々?言われてみればなるほど確かに体が熱い。夏の熱射を浴びた甲板を彷彿とさせる。
金剛「北上ィ」ニヤリ
北上「はい」
うわすっごい笑顔。実に楽しそう。
金剛「提督の事、Loveですカ?」
北上「…YES」
あぁそうか。これは私にはないものだ。猫じゃなくて北上になったから、いや、北上の中にいるから、北上が中にいるから出てくる感情なんだ。
22 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:24:17.30 ID:co/3lF0I0
思えばこの気持ちは随分と前からあったような気がする。
金剛「一体何を思い出してたんですカー?」ニヤニヤ
自分でも分からない衝動とでも言うべき感情が確かにあった。
北上「何って言われても…」
北上はきっと以前から提督の事が好きになっていたのだろう。
比叡「具体的に教えてくださいよっ」
北上「んー手を繋いだりお風呂入ったりとか?」
金剛「オフッ!お風呂!?どういう事デス!?」
北上「おっと」
比叡「これはとんでもないライバルが出てきましたねぇ」
金剛「お風呂…おふ、お風呂?オーマイガッ」ブツブツ
比叡「お、お姉さま!気を確かに!!」
23 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:26:07.87 ID:co/3lF0I0
北上「…」
ああでも、やはり私は北上にとって異物なのだろう。
北上はきっと私がいなければ普通に提督への思いを自覚していただろう。その後どうするかは分からないが。
大井っちもいるし諦めただろうか。それとも大井っちと提督を取り合うライバルになっただろうか。案外大井っちと一緒にとか?
でも私はそれよりも大切な事がある。ともすれば命を落とすような事をしようとしている。
勝手に混ざっておいて酷い話しじゃあないか。
だから、私にとってこの気持ちは他人事だ。偽物だ。
結局のところツクリモノじゃないか。
「人と為るための為人」なんて谷風は言っていたけれど、ならば正しくそれは「偽」じゃあないか。
そうな風に思ってしまう。
北上や、それだけでなく金剛さんや皆の思いまで否定しようとしてしまう。
24 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:27:22.32 ID:co/3lF0I0
比叡「今度はまた随分と暗い顔になりましたね」
金剛「悩めるガールネ」
北上「イマイチ、実感なくてさ」
金剛「例えばテートクがそこを通ったら声をかけたいと思いませんカ?」
北上「思う」
北上ならそうだろう。
金剛「テートクにティータイムのお誘いを受けたらどう思いますカ?」
北上「多分、嬉しい」
きっとそう思う。
金剛「私の誘いは一度断ったのにぃ、分かりやすい娘デース」
北上「いやあれは」
そうだ吹雪探してるんだった。ミルクティー一杯しっかり楽しんでしまった。
比叡「ならなら!もし提督が誰かとイチャコラしてたらどう思います?」
北上「え?」
金剛「こら比叡!そんな意地悪な言い方するもんじゃないデース」
比叡「う、ごめんな「邪魔」ふぇ?」
北上「邪魔だなって」
金剛「おっと…随分とハッキリ言うデスネー」
比叡「北上?」
北上「え」
私今なんて言った?
なんだろう。こんな気持ちを最近感じた気がする。
25 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:27:48.09 ID:co/3lF0I0
って今はそれより
北上「そろそろ行かなきゃ。吹雪探してるんだった」
金剛「あ、あぁ。そうでしたネ」
比叡「お姉さま、さっき場所を知ってるって言ってましたよね」
金剛「吹雪ならあの建物の資料室に向かったはずデス。もう随分と使われてない場所ネ」
北上「りょーかい。ありがとね」
金剛「こちらこそ、面白い話が聞けましタ」
比叡「今度は球磨型姉妹誘って来てください」
北上「気が向いたらそうする」
26 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/16(木) 04:31:12.67 ID:co/3lF0I0
金剛!カッコイイ!凛々しい!
そんな改二丙のため急遽増えた金剛パート。
でも改二に思い入れがありすぎて未だに丙に出来ずにいるんです…
似たような事は他の娘の改二でもあったりします。
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/16(木) 08:16:26.32 ID:wJ5tPhitO
乙
北上もいずれコンバート工作艦になる日が来るかも……
28 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/20(月) 02:15:44.44 ID:mpiwtZpLo
金剛おばあ…
おつ
29 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 03:58:17.51 ID:82eRS9qA0
88匹目:猫と吹雪
北上「おや」
金剛さんの言っていた建物に入り階段を上ると踊り場に神風がいた。
神風「うーん」
何やら神妙な顔つきで踊り場にしゃがみこんでいる。
隣にはダンボールがあるがこれが原因だろうか?
北上「神風〜何してんの?」
神風「北上さん!いえ、ちょっとこう、対処に困る事態が起きまして」
北上「どゆこと」
焦ってる、とは違う感じだ。
ただただ困惑してる。
30 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:00:50.78 ID:82eRS9qA0
神風「吹雪さんがいたんですよ。このダンボールを持って上から降りてくる所でした」
北上「ほうほう」
どうやら本当に吹雪はここに居るらしい。重畳重畳。
神風「運ぶ物があるなら私も手伝おうかなーっと思いまして声をかけようとしたんです。丁度踊り場の下の方から」
北上「流石神風。親切心の塊だね。いい子いい子」
神風「適当に煽てないでください。そしたら上の方から叢雲さんも来たんですよ」
北上「お?」
なんとなく話が悪い方向に向かってる事を察した。
神風「叢雲さんも私と同じ考えだったようで、手伝ってあげるからそれ貸しなさいよって言って吹雪さんに近づいてってですね」
北上「それでそれで」
一体そこからどうなったんだ?
31 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:02:00.06 ID:82eRS9qA0
神風「吹雪さんは吹雪さんでこのくらい艦娘だしへーきへーきってケロッとしてて、まあ実際そうなんですけどね」
北上「そりゃね」
艤装なしでも私らが重いと思う重量は文字通り人並外れている。
神風「叢雲さんもそれは分かってるわけですしならいいやって感じで吹雪さんの横に並んで、少しは頼りなさいよって軽口を叩いてました」
北上「へえ…」
あぁ、それは。きっと本心だ。冗談めかしていても、心からの本音だろう。
神風「それで、一体何運んでるのよってダンボールに手を伸ばしたんです。上はこの通り閉じられてないので簡単に開けられますから」
北上「どれどれ」
見るとダンボールの上は半開きになっている。
中はなんだろ?私も多分叢雲のように手を伸ばしてみる。
神風「あ、ダメです!吹雪さんに中を見せないように見張れって言われてますから」
北上「見せないように?」
それがここにいる理由か。
ん?なら叢雲が見ようとしたという事は。
神風「ええ。だから叢雲さんが見ようとした時も吹雪さん、ダンボールをバッて叢雲さんの手から遠ざけて。なんか思わず咄嗟にって感じで二人共驚いてる様でした」
北上「…」
前に吹雪と話した事がある。
提督の前任者と、かつてここにいた艦娘達の話を。
吹雪がかつてと提督に頼まれた事を。
それを吹雪はあえて叢雲に聞かせていた。
32 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:02:37.98 ID:82eRS9qA0
神風「吹雪さんはその後やっちゃったーみたいな凄く焦った表情をして、叢雲さんは…顔は見えなかったんです。でも、凄く、怖い感じがしました」
北上「怒った、のかな」
神風「どうでしょう。ただ怒ってるのとは違う気もしましたけど。その後吹雪さんの手首掴んでちょっと来なさいって引っ張ってって。
ダンボールはその時吹雪さんに頼まれました。一回バコンって床に落ちたから大丈夫かと思いましたけど、どうやら中は紙の類みたいですね」
北上「それどれくらい前?」
神風「んーハッキリとは言えませんけどぉ、10分?多分20分は経ってないと思うんですけど」
北上「そっか。うん、ありがと。引き続き見張りよろしく」
神風「え、行く気ですか?私としては暇潰しの相手が欲しいんですけれど。ってそれより今二人に会うのは止めた方がいいと思いますよ!」
北上「できれば今の二人に会いたいんだ」
割と悲痛な声を上げる神風を残して階段を上る。
33 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:03:14.73 ID:82eRS9qA0
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
ガチャりと扉を開ける。
外階段へ通じる扉を。
盗み聞きしてもよかったがこうして不意打ちをした方がなんとなく良さそうな気がしたのだ。
吹雪「あ」
叢雲「…」
胸倉を掴まれている吹雪と顔は見えないがもう明らかにこれは怒ってるでしょって感じの叢雲がいた。
北上「あー…」
予想以上に逼迫した状況に私も不意打ちを食らってしまった。
吹雪「で、デジャブ?」
確かに以前と似た状況だ。あの時二人は呑気に休憩していたが。
叢雲「いいわ」パッ
北上「おっと」
吹雪から手を離し無言で私が開けた扉から室内へ入っていく叢雲。
ちょっと迂闊には止められそうにない雰囲気だ。
ただチラと見えたその表情は確かに怒っているのとは違うように見えた。
34 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:03:52.79 ID:82eRS9qA0
北上「探したよ。秘書艦殿」
吹雪「おかえりなさい、ですかね」
北上「そうだね」
吹雪「どうでした?」
北上「色々と納得したよ」
吹雪「それは良かった」
北上「いつからそうしてるの?」
吹雪「そうとは?」
北上「大人ぶってるって事」
吹雪「随分色々と聞いてきたみたいですね」
北上「まあね」
吹雪「子供じゃいられなくなる時ってどんな時だと思います?」
北上「独り立ちする時、とか」
吹雪「それは大人になる時ですよ」
北上「じゃあなんだろ」
吹雪「頼れる人が居なくなった時です」
北上「…」
35 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:04:59.78 ID:82eRS9qA0
北上「叢雲は?」
吹雪「あぁ、こっぴどく叱られちゃいました。私はアンタのペットじゃないのよって」
ペット?どういう意味だ?話が全く見えない。
吹雪「いやぁ流石我が妹と言うか、随分な表現で、それがまた大正解ですから結構刺さるというか。あ、ちょっと今じわじわと、来てますね」
それまでの飄々とした何時もの仮面が段だと引き攣っていく。
どうにか平静を装おうとしている分その悲痛さはより増しているように思えた。
吹雪「すみません、ちょっと疲れたので座りますね」
壁を背にずり落ちるようにその場に座り込む。
小さい。
そりゃあ並んでいても身長差はあるけれど、
なんだか酷く小さく感じた。
36 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:05:26.04 ID:82eRS9qA0
北上「あのダンボール、何?」
吹雪「前の鎮守府の時に護衛していた船の記録とかとかです」
北上「それが見せちゃいけないものなの」
吹雪「いえ、別に見られて困るわけじゃないんですよ普通は。ただあれ、例の作戦立案に使う予定なんです」
北上「あぁ、あー」
そういう事か、ペットとは。
叢雲を関わらせないためか。
過保護なんだ。
吹雪は叢雲とやけに仲がいいと聞いた。
それはきっとその通りなんだろうけど、随分と込み入った間柄のようだ。
なら以前に私達の話を叢雲に聞かせたのは関わらせないためか。
線引きをしたのだろう。
37 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:06:25.67 ID:82eRS9qA0
北上「どうして叢雲なの?」
吹雪はなんだかんだで見事に演じていた。上手くやっていた。
他にも姉妹は沢山いる。皆仲良いし、皆吹雪の事を慕っている。
しかしこうして見ると叢雲だけが弱点のようになっている。
吹雪「…少し長い話ですよ」
北上「そりゃいいや」
私も腰を下ろす。
目線の高さは、それでも私の方が少し高いだろう。
吹雪「意地悪な言い方ですね」
力なく笑う吹雪だがいくらか調子が戻っているようだった。
38 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:07:02.91 ID:82eRS9qA0
吹雪「私が叢雲と出会ったのは、もう三十年、いや四十年?それくらい前ですかね」
北上「!?」
ん!?何言ってんだ?
提督はここに来てまだ三年そこらだろう?
三十年以上と言うなら、かつての鎮守府の頃からいた事になる!
吹雪「私は初期艦でしたけど、叢雲も着任時期はかなり早くて。所謂古参ってやつですね」
言いたい事はあるが私は口を噤んだ。
今は問答をする時ではない。
吹雪は淡々と続ける。
体育座りの姿勢で、私ではなく自分の掌を見つめながら。
39 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:07:51.89 ID:82eRS9qA0
吹雪「だからか、仲良かったんですよ。姉妹艦というのを抜きに相棒って感じで。
お互い背中を預け合って助け合って分ち合ってました」
飛龍、日向、谷風、吹雪、多摩。
以前から鎮守府にいる艦娘。それはきっと本当だ。間違いない。
吹雪「司令官が司令官でしたからね。二人でいっつも振り回されて、たまには二人がかりで司令官ぶっ叩いたりして。楽しかったですよ」
提督のアルバムでは確かに早い時期に叢雲が着任していた。
でもそれは今の提督だ。つまりここ三年の出来事だ。
三十年というならそれかつての提督の話だ。
でも、それなら、
吹雪「司令官がいなくなって、皆いなくなって、だからそれらも私達で分け合って背負い合わなきゃと思ったんです。でも」
皆いなくなったというならそれは
吹雪「叢雲もいなくなったんですよ」
見つめていた手が何かを掴もうとするかのようにギュッと握りしめられる。
当然、空を掴んで。
40 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:08:59.37 ID:82eRS9qA0
吹雪「今の私は、真似事です。あの人の、司令官の。そうやって代わりを努めようと。いえ、自分じゃないと言い聞かせてたんです。でないと私も、消えてしまうと思ったから」
前に話した時、吹雪は処分という言い方をしていた。おそらくあえて冷たくそう言った。
今は、そうは言えないのだろう。
きっと消えてしまうから。
吹雪「上手くやってたんですけどね。運命なのかなんなのか、新たな鎮守府としてスタートしてすぐでしたよ。叢雲が来たのは」
アルバムの写真。吹雪はいつも笑顔だった。
底抜けに明るい彼女に叢雲は呆れたような表情をしていた。
吹雪「我ながらよく耐えたもんですよね。最初にあの娘見た時はもう抱き締めてその場で泣きじゃくりたい気分でしたもの」
残酷な話だ。確かに叢雲だが、間違いなく叢雲とは違うのだから。
41 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:09:33.39 ID:82eRS9qA0
吹雪「叢雲は叢雲でした。頼れるし、頭のキレもいいし、ちょっと察しが良すぎますけど。
でも本当は、本当は宝箱にでも入れて誰にも見つからないところに隠しておきたいんです。絶対に無くさないように」
吹雪の様子が少しおかしくなっていく。歪で不安定な何かを感じた。
身構える。
提督という核を失ったら艦娘がどうなるか。私は今その一端を見ているのではないか?
吹雪「ずっと私の中には葛藤があったんです。いつもそう。二つがせめぎ合ってる。
このまま何も知らない無垢なあの娘のままでいて欲しいと思う反面、全てを話してしまいたいとと思うんです。
だからどっちでもいいんです。どっちでも私にとっては同じ事ですから」
42 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:10:07.86 ID:82eRS9qA0
北上「ならさっき箱の中身を見られても良かったわけだ」
吹雪「結果的にはそうかもですね。でもいきなりだったのでビックリしました。今まではこういう事には関わらないようにしてたのに、いきなり手を出してきたので」
北上「前に叢雲に聞かせたのは逆効果だったかもね」
吹雪「そうなんでしょうね。まあそれならそれでも、いいんです」
北上「わかったよ。いつものその何事に対しても飄々とした態度。どっちでもいいってのはそういう事でしょ?要は無気力だ」
吹雪「物は言いようですね。でもきっと正解ですよ」
北上「私に対しても叢雲と同じ考えだったの?」
吹雪「あなたは少し違いますよ。いえかなり違います」
北上「かなり?」
43 :
◆rbbm4ODkU.
[saga]:2019/05/28(火) 04:10:59.77 ID:82eRS9qA0
吹雪「あなたはもしかしたら司令官を止められるかも、と思ったんです。あなたが司令官が何をしようとしてるかを知り、その事を司令官が知ればこんな事辞めるかもしれないって」
北上「期待してたってのはそれか」
吹雪「ええ。北上さんならきっと提督は止まるだろうって」
北上「でもそれなら止めようはいくらでもあったでしょ。もっと確実な方法が。
元帥のおじいちゃんに全部話せばいい。ネジの中抜きなんてまどろっこしい事するまでもない。私にやらせなくても自分で止めればいいじゃんか。
頼まれたんでしょ?提督に、この鎮守府を」
吹雪「止められるはずないじゃないですか。止めるわけ、ないじゃないですか…」
北上「なんでさ」
吹雪「当たり前ですよ」
吹雪が顔を上げる。
こちらを見つめるその瞳を見て理解した。
今まで見たことも無いその瞳は気圧される。
吹雪「この鎮守府で最も復讐を望んでるのが私だからですよ」
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