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千歌「ポケットモンスターAqours!」 Part2
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61 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 13:16:07.08 ID:DoNfZkVt0
善子「また、ディアルガとパルキアを暴れさせて、ギラティナを無理矢理引きずり出すの? 私はまたあんなのと戦うのは嫌というか……たぶん、無理よ。今回は勝てたけど、次勝てる保証なんてどこにもない」
鞠莉「……それについてなんだけど。ダイヤ」
ダイヤ「はい」
ダイヤさんは鞠莉さんに促されて、祠の観音開きに手を掛け、
それを開け放つと──
祠の中、ディアンシーを模った像の前の空間に、
なにやら不思議な穴のようなものが空いていた。
千歌「これって……」
ダイヤ「……当たり前ですが、もともとこんなものはありませんでした。恐らく、ここにギラティナが現われた際に繋がった空間移動の穴の名残ですわ」
鞠莉「恐らくこの先が“やぶれた世界”よ」
梨子「……でも、この穴」
梨子ちゃんが眉を顰める。
それもそのはず、この穴は拳大くらいの大きさしかない。
曜「人が通るのは……どう考えても無理だよね」
善子「……なんか質量とか無視して、吸い込まれる類のワームホールとかってことは」
鞠莉「確認したわ」
善子「したの!?」
鞠莉さんがその穴に指を入れる。
その指は確かに空間内に存在していたけど、善子ちゃんの言うみたいに吸い込まれるようなことはない。
鞠莉「ちゃんと、くぐれないとダメ」
千歌「じ、じゃあ……」
ここまで来てまさかの手詰まり。
鞠莉「……いや、まだ方法はある。千歌、パルキアを捕獲したボール持ってる?」
千歌「え、は、はい……!」
私はポケットから先ほど捕獲したパルキアの入ったボールを鞠莉さんに手渡す。
善子「ま、まさか!? さっき言ったみたいに暴れさせるんじゃ……!?」
鞠莉「違うわ」
善子「……っほ」
鞠莉「ディアルガ、パルキア、ギラティナは3匹がそれぞれお互いと干渉しあいながら、バランスを保っている……ギラティナが異次元空間を行き来して、ディアルガとパルキアを止めに来るようにね」
ダイヤ「それなら……逆にギラティナが暴走した際にそのバランスを正すのはディアルガとパルキアのはず。それなら、ディアルガとパルキアの力を借りればギラティナの居場所に干渉が出来るのではないか……とは考えられませんか?」
梨子「なるほど……!」
鞠莉「……ディアルガとパルキアは、時空間を操ることが出来る。空間の歪で出来た、“やぶれた世界”への入口を拡げるくらいなら、きっと出来ると思う」
そう言って鞠莉さんは、バッグから真っ白な宝玉──“しらたま”を取り出す。
62 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 13:18:32.87 ID:DoNfZkVt0
鞠莉「そして、パルキアへ直接指令を送れるアイテムもある」
ダイヤ「……ディアルガに対応する、“こんごうだま”が手元にないのは痛いですが……どうにか──」
鞠莉「いや、あるヨ」
ダイヤ「え?」
そう言って鞠莉さんは、バッグからもう一個宝玉を──“こんごうだま”を取り出した。
ダイヤ「い、いつの間に!?」
鞠莉「ふふん♪ 聖良たちが消える直前、聖良たちの方にマフォクシーが攻撃したでしょ?」
ダイヤ「……ラグラージを凍らせていた、フリージオへの攻撃のことですわね」
鞠莉「……さて、マフォクシーの特性はなんでしょう?」
ダイヤ「……! “マジシャン”ですか! 攻撃の際に、相手の道具を奪う特性……!」
鞠莉「Exactly! その通りでーす!」
曜「……えーと、つまり……」
善子「“やぶれた世界”に行くための準備は出来てる……ってことじゃない……!!」
梨子「……でも、問題は……」
花丸「誰が行くか、ずらね」
ダイヤ「もちろんわたくしたちが……と言いたいところなのですが」
鞠莉「……少なくとも二人は、ここでディアルガとパルキアに指示を出しながら、“やぶれた世界”への出入り口を拡げる役割がある」
ダイヤ「“しらたま”と“こんごうだま”を使って、直接指示を出すのですが……これはまだ、わたくしたちには未知の道具です。正常に操るには出来るだけ実力のある人間の方がいいでしょうし、体にどんな影響があるかもわからない。ですから、これはわたくしと鞠莉さんが担当します」
となると……突入するのは、私たち6人の中から──
ルビィ「ルビィが行く」
真っ先に名乗りをあげたのは、ルビィちゃんだった。
善子「は!? ルビィ、あんたホンキ!?」
ルビィ「うん。これがディアンシー様を廻る問題なら、クロサワの巫女であるルビィには、見届ける義務があると思う」
ルビィちゃんは力強い瞳でそう言う。
ダイヤ「ルビィ……」
ルビィ「それに理亞ちゃんのことも放っておけない……こんなやり方でディアンシー様に会っちゃ……ダメだよ」
ダイヤ「…………。……まさか、ルビィが自分から言い出すなんて……成長しましたわね」
ルビィ「……お姉ちゃん」
ダイヤ「……わかりました。ルビィ、お願いしますわ。あとは──」
千歌「──私も行きます」
私はそう言って一歩前に出る。
ルビィ「千歌ちゃん……!」
ダイヤ「理由は……セキレイシティで言っていたことですわね」
千歌「はい」
セキレイシティで言ったこと──
63 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 13:21:03.96 ID:DoNfZkVt0
千歌『──私、あの人の夢の話を聞いたんです。真っ直ぐな夢を、想いを、気持ちを……もしかしたら全部嘘だったのかもしれないけど……でも、私はそれが全部嘘だったとは思えない。聖良さんは、大きな力を手に入れて、それを見失ってるんじゃないかって……』
千歌「私が聞いた聖良さんの夢は純粋で……素敵だなって思った。それを達成するために頑張ってるのはすごいと思う。だけど……こんなやり方は間違ってる。私はそれを言いに行かなくちゃ……!!」
そして止めないと。
ダイヤ「……わかりました。それでは突入はルビィと千歌さんのお二人で──」
曜「ま、待って!」
ダイヤさんの決定に曜ちゃんが割り込む。
曜「別に人数の制限とかないよね!? だったら、私も行く……!! 千歌ちゃんやルビィちゃんは行かせて、自分は待ってるなんてできないよ!!」
善子「曜」
曜「何……!?」
善子ちゃんは何を思ったのか、しゃがみこんで──曜ちゃんの脚を指で軽く突っつく。
曜「──っ゛!?」
すると曜ちゃんは声にならない声をあげながら、善子ちゃん同様にしゃがみこんでしまった。
千歌「曜ちゃん!?」
善子「あんた、立ってるのもやっとでしょ」
曜「っ゛……よ、善子ちゃん、いつから、気付いて……」
善子「あれね……メガシンカ。素人が一日に2回も3回もやっていいもんじゃないみたいね。曜、あんた飛空挺の中でもメガシンカ使ったでしょ?」
曜「つ、使った……けど……」
そう言って善子ちゃんはそのまま尻餅をつく。
善子「私と曜は今日だけで2回メガシンカを使ってる。……あれ、トレーナーにも大きな負担がかかるみたいでね、そのせいで全身が酷くだるいのよ。立ってるのがやっと。正直、これ以上戦闘に出るのは無理よ」
曜「ぅ……」
善子「だから、私はパス。曜も、わかった?」
曜「……」
項垂れる曜ちゃん。私はそんな曜ちゃんの前にしゃがみ込み、手を握って、
千歌「曜ちゃん……大丈夫、絶対戻ってくるから」
そう誓う。
曜「千歌ちゃん……約束だよ……?」
千歌「うんっ! 指切りでもする?」
曜「……うぅん。千歌ちゃんは約束破ったりしないから……ここで待ってる」
千歌「……うん、ありがと、曜ちゃん」
私は曜ちゃんにお礼を述べる。
64 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 13:22:10.91 ID:DoNfZkVt0
花丸「マ、マルは……」
鞠莉「図鑑で確認したんだけど……あなたはもう手持ちが全滅しかけてるでしょ?」
花丸「え!? 戦闘不能はカビゴンだけじゃ……」
鞠莉「いいえ、ドダイトス、カビゴン、キマワリ、イノムーは戦闘不能状態よ」
花丸「え……制御室では皆戦えてたのに……」
ルビィ「きっと……花丸ちゃんの気持ちに応えて、最後の力を振り絞ってくれたんじゃないかな……」
花丸「……そっか」
花丸ちゃんも参戦は無理だろうという判断。
梨子「……あとは私かな」
千歌「梨子ちゃんは……怪我の治療をした方がいいと思う」
梨子「……バレてた?」
千歌「なんとなく……」
上手に隠してはいたと思うけど……。パルキアとの戦いで空から落ちてきたとき、痛みに耐えながら、胸部の下の辺りを庇うような動きをしていた気がしていた。
鞠莉「梨子、怪我してるの?」
梨子「飛空挺で、ヨノワールから直接殴られたときに……」
鞠莉「ちょっと、ごめん」
鞠莉さんが梨子ちゃんのシャツを捲る。
梨子「!? ま、鞠莉さん!?///」
そして、そのまま梨子ちゃんが痛むと言う場所に触れる。
梨子「い、いたっ……!!」
鞠莉「……確かに、詳しく検査しないとだけど……肋骨に軽くヒビが入ってるかもしれないわね」
梨子「まあ、動けないほどじゃないですけど……」
鞠莉「ダメ。軽く見ると、大きな怪我の原因になる。あなたはここで休憩ね」
梨子「……はぁい」
……これで、決戦の地に赴く人間は決まった。
善子「ルビィ」
ルビィ「?」
善子「グラードンは連れて行くの?」
ルビィ「……うぅん。眠っちゃってるし、さっきみたいにちゃんと戦えるかわかんないから置いていくつもり」
善子「……そ。なら、手持ちの空いた部分に連れて行きなさい」
善子ちゃんはそう言って、ダークボールをルビィちゃんに手渡す。
65 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 13:23:02.42 ID:DoNfZkVt0
ルビィ「このボール……ドンカラスの……?」
善子「飛行要員は居た方がいいでしょ?」
ルビィ「善子ちゃん……」
善子「可愛いリトルデーモンに……我が黒翼を貸し与えるのも悪くない。あと、ヨハネだからね」
ルビィ「うん……! ありがとう、ヨハネちゃん!」
* * *
……さて。
ダイヤ「二人とも準備はいいですか?」
千歌・ルビィ「「はい!!」」
鞠莉「果南と一緒に、絶対に帰って来るのよ」
千歌・ルビィ「「はい!!」」
ダイヤ「……それでは鞠莉さん。始めますわよ」
鞠莉「OK.」
二人は祠の両脇に立ち、
ダイヤ「出てきなさい、ディアルガ!」
鞠莉「頼むわよ、パルキア!」
二匹の伝説のポケモンを繰り出す。
「ディアガァ」「バァァル」
そして、それぞれ“こんごうだま”と“しらたま”を握り締めて。
ダイヤ・鞠莉「「────」」
瞑想する。
「ディアガ」「バル」
二匹の巨体が、祠の方を向くと──
千歌「穴が……!!」
ルビィ「拡がってく……!!」
穴はどんどん拡大し、直に人が通れるほどの大きさになる。
私は──ルビィちゃんの手を握って。
千歌「──行こう……! ルビィちゃん!」
ルビィ「……うん!」
ルビィちゃんと共に──“やぶれた世界”に向かって、飛び込んだのだった。
66 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 13:24:44.19 ID:DoNfZkVt0
>レポート
ここまでの ぼうけんを
レポートに きろくしますか?
ポケモンレポートに かこんでいます
でんげんを きらないでください...
【クロサワの入江】
口================= 口
||. |⊂⊃ _回../||
||. |o|_____. 回 | ⊂⊃| ||
||. 回____ | | | |__|  ̄ ||
||. | | 回 __| |__/ : ||
||. ⊂⊃ | ○ |‥・ ||
||. | |. | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ||
||. | |. | | | ||
||. | |____| |____ / ||
||. | ____ 回__o_.回‥‥‥ :o ||
||. | | | | _. / : ||
||. 回 . |_回o | | : ||
||. | |  ̄ |. : ||
||. | | .__ \ : ||
||. | ○._ __|⊂⊃|___|. : ||
||. |___回○__.回_ _|‥‥‥: ||
||. /. 回 .| 回 ||
||. _/ o‥| | | ||
||. / | | | ||
||./ ●回/ ||
口=================口
67 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 13:25:30.36 ID:DoNfZkVt0
主人公 千歌
手持ち バクフーン♂ Lv.53 特性:もうか 性格:おくびょう 個性:のんびりするのがすき
トリミアン♀ Lv.47 特性:ファーコート 性格:のうてんき 個性:ひるねをよくする
ムクホーク♂ Lv.54 特性:すてみ 性格:いじっぱり 個性:あばれることがすき
ルガルガン♂ Lv.49 特性:かたいツメ 性格:わんぱく 個性:こうきしんがつよい
ルカリオ♂ Lv.58 特性:せいぎのこころ 性格:ようき 個性:ものおとにびんかん
フローゼル♀ Lv.47 特性:すいすい 性格:ゆうかん 個性:ものおとにびんかん
バッジ 7個 図鑑 見つけた数:152匹 捕まえた数:15匹
主人公 梨子
手持ち メガニウム♀ Lv.50 特性:しんりょく 性格:いじっぱり 個性:ちょっぴりみえっぱり
チェリム♀ Lv.48 特性:フラワーギフト 性格:むじゃき 個性:おっちょこちょい
ピジョット♀ Lv.47 特性:するどいめ 性格:ひかえめ 個性:ものおとにびんかん
ネオラント♀ Lv.39 特性:すいすい 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
メブキジカ♂ Lv.48 特性:てんのめぐみ 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
バッジ 5個 図鑑 見つけた数:129匹 捕まえた数:13匹
主人公 曜
手持ち カメックス♀ Lv.52 ✿ 特性:げきりゅう 性格:まじめ 個性:まけんきがつよい
ラプラス♀ Lv.46 特性:ちょすい 性格:おだやか 個性:のんびりするのがすき
ホエルオー♀ Lv.44 特性:プレッシャー 性格:ずぶとい 個性:うたれづよい
ダダリン Lv.44 ✿ 特性:はがねつかい 性格:れいせい 個性:ちからがじまん
カイリキー♂ Lv.41 ✿ 特性:ふくつのこころ 性格:まじめ 個性:ちからがじまん
タマンタ♀ Lv.40 ✿ 特性:すいすい 性格:むじゃき 個性:こうきしんがつよい
バッジ 2個 図鑑 見つけた数:156匹 捕まえた数:22匹 コンテストポイント:48pt
主人公 善子
手持ち ゲッコウガ♂ Lv.49 特性:げきりゅう 性格:しんちょう 個性:まけずぎらい
ムウマージ♀ Lv.48 特性:ふゆう 性格:なまいき 個性:イタズラがすき
シャンデラ♀ Lv.50 特性:もらいび 性格:れいせい 個性:ぬけめがない
ユキメノコ♀ Lv.42 特性:ゆきがくれ 性格:おくびょう 個性:こうきしんがつよい
アブソル♂ Lv.56 特性:せいぎのこころ 性格:ゆうかん 個性:ものおとにびんかん
グラードン Lv.75 特性:ひでり 性格:すなお 個性:こうきしんがつよい
バッジ 1個 図鑑 見つけた数:137匹 捕まえた数:53匹
主人公 花丸
手持ち ドダイトス♂ Lv.43 特性:しんりょく 性格:のうてんき 個性:いねむりがおおい
カビゴン♂ Lv.40 特性:くいしんぼう 性格:のんき 個性:たべるのがだいすき
デンリュウ♂ Lv.34 特性:プラス 性格:ゆうかん 個性:ねばりづよい
キマワリ♂ Lv.33 特性:サンパワー 性格:きまぐれ 個性:のんびりするのがすき
フワライド♂ Lv.30 特性:ゆうばく 性格:おだやか 個性:ねばりづよい
イノムー♂ Lv.40 特性:あついしぼう 性格:ようき 個性:たべるのがだいすき
バッジ 1個 図鑑 見つけた数:111匹 捕まえた数:40匹
主人公 ルビィ
手持ち アチャモ♂ Lv.39 特性:もうか 性格:やんちゃ 個性:こうきしんがつよい
メレシー Lv.51 特性:クリアボディ 性格:やんちゃ 個性:イタズラがすき
アブリボン♀ Lv.28 特性:スイートベール 性格:のんき 個性:のんびりするのがすき
ヌイコグマ♀ Lv.40 特性:もふもふ 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
ゴマゾウ♂ Lv.41 特性:ものひろい 性格:さみしがり 個性:ものをよくちらかす
ドンカラス♀ Lv.55 特性:じしんかじょう 性格:わんぱく 個性:まけんきがつよい
バッジ 0個 図鑑 見つけた数:96匹 捕まえた数:10匹
主人公 鞠莉
手持ち マフォクシー♀ Lv.68 特性:マジシャン 性格:がんばりや 個性:ちょっぴりみえっぱり
ギャロップ♀ Lv.66 特性:ほのおのからだ 性格:おとなしい 個性:のんびりするのがすき
サーナイト♀ Lv.70 特性:トレース 性格:まじめ 個性:かんがえごとがおおい
ビークイン♀ Lv.64 特性:きんちょうかん 性格:すなお 個性:うたれづよい
ポリゴンZ Lv.64 特性:てきおうりょく 性格:なまいき 個性:イタズラがすき
メタモン Lv.61 特性:かわりもの 性格:まじめ 個性:かんがえごとがおおい
パルキア Lv.75 特性:テレパシー 性格:せっかち 個性:ちのけがおおい
バッジ 8個 図鑑 見つけた数:468匹 捕まえた数:312匹
主人公 ダイヤ
手持ち ジャローダ♀ Lv.69 特性:あまのじゃく 性格:いじっぱり 個性:まけんきがつよい
メレシー Lv.66 特性:クリアボディ 性格:まじめ 個性:とてもきちょうめん
ミロカロス♂ Lv.70 特性:かちき 性格:れいせい 個性:まけんきがつよい
ハガネール♀ Lv.72 特性:がんじょう 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
オドリドリ♀ Lv.63 特性:おどりこ 性格:おっとり 個性:とてもきちょうめん
アマージョ♀ Lv.67 特性:じょおうのいげん 性格:さみしがり 個性:あばれることがすき
ディアルガ Lv.75 特性:テレパシー 性格:れいせい 個性:ぬけめがない
バッジ 8個 図鑑 見つけた数:267匹 捕まえた数:114匹
千歌と 梨子と 曜と 善子と 花丸と ルビィと 鞠莉と ダイヤは
レポートを しっかり かきのこした!
...To be continued.
68 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/12(日) 13:28:34.25 ID:adCmP41J0
乙
アイドルキャラでもポケモン世界に放り込まれれば出血や骨折に晒されるのか・・・
69 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:29:55.48 ID:DoNfZkVt0
■Chapter074 『やぶれた世界』 【SIDE Chika】
──昔々、ウラノホシにはメレシーというポケモンが棲んでいました。
メレシーは身体に宝石を持っている、それはそれは美しいポケモンで
人々は、そんなメレシーたちを大切に想いながら、仲良く暮らしていました。
そんなメレシーの中でも、一際美しいメレシーが居ました。
ピンク色のダイヤモンドを持ったメレシーで、その美しさに誰もが目を奪われました。
名をディアンシー。どんなメレシーよりも美しく、清いメレシーでした。
最も美しいメレシーの仲間・ディアンシーは、メレシーたちからも、人間からも、尊敬される存在でした。
いつしかディアンシーは、メレシーの女王と呼ばれるようになりました。
そんな女王様は少しだけ特別な力を持っていました。
女王様の光は怪我を治し、心を癒やしてくれる。
そんな女王様を人々は大層大事に扱っていました。
人々は女王様にお供えをして、そのお礼に女王様は人々に多くの癒やしと、輝きを与えました。
南の端に、色とりどりの宝石の洞窟を
東の海に、煌く珊瑚の楽園を
西の草原に、太陽と月の輝きを
北の山に、ダイヤモンドの儚さを
真ん中に、水晶の湖を
そして、聳える大樹に、光の果実を
世界は女王様と共に大きく発展し、より大きな輝きを得ていきました。
70 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:30:44.10 ID:DoNfZkVt0
女王様の輝きの力で、大きく成長した居心地の良い大樹は、何時しか龍が棲み付き
その龍が大きな啼き声と、音で、人々とポケモンを見守っていたため、この一帯は“オトノキ”と呼ばれるようになりました。
平和な平和な地方でした。
発展し、より広く、多くの場所に人間が住む場所を移し、大きく広がっていきました。
それは本当に広く
……女王様の癒やしの光が届かない場所までも、広く拡がっていきました。
ですが、あるとき、光の届かない場所で、人々は気付いてしまいました。
あの光の美しさに。あの光の温かさに。あの光の尊さに。
次第に光の届かない場所の人々は、光を奪い合うようになりました。
絶えず争いが起きました。
そして、ついに光の源である、メレシーたちとその女王様を独り占めにしようとする人間が現われたのです。
女王様はその人間の穢れた心に、酷く哀しみを覚え。
世界の裏側へと、その姿を隠してしまいました。
女王様が身を隠すと、輝きはどんどんと小さくなっていき
こうして何時しか、世界から、美しい宝石の輝きが失われたのでした……。
姿を隠した女王様は、今でもこっそりと地方を見守っています。
女王様は直接、姿を現すことは滅多になくなりましたが
信頼出来るメレシーと、選ばれた巫女の前だけは
自分の気持ちを伝えに現われることがあるそうです──。
* * *
71 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:32:42.90 ID:DoNfZkVt0
千歌「──ん……」
──何か夢のようなものを見ていた気がする。
クロサワの祠から、開けてもらったホールを潜り抜けて、この場に辿り着くまで、
一瞬──永遠のような夢の中で……何かお話を聞いていた気がする。
──私は目を開いた。
千歌「──ここが……」
ルビィ「……やぶれた世界」
ルビィちゃんと二人で辺りを見回す。
そこは異様と言う他ない空間だった。
地面は浮き、その下には空が見える。
壁は床で、床は天井、天井は床になっている。
滝は下から上に落ちていて、見えない足場が見える。
自分でも何を言っているかわからないけど、“そう”なのだ。
ただ、それがおかしいものだとは何故か感じない。
この世界ではそれが常識だと言うことが感覚的にわかる。そんな世界。
ルビィ「千歌ちゃん」
千歌「……うん、進もう」
私たちはこの不思議な空間を進んでいく……。
* * *
──やぶれた世界、奥部。
「──ギシャラーーーーー」
見たこともないポケモンが周囲の足場の周りを高速で飛んでいる。
そのポケモンに向かって、
聖良「プテラ!! “ストーンエッジ”!!」
「プテァァァ!!!!!!」
聖良が攻撃を撃っている。
果南「聖良っ!! これ以上、そのポケモンを狙わないでよ!!」
聖良「そういうわけには行きません。この世界の掌握はギラティナあってこそなんですから」
さっきからギラティナと呼ばれたポケモンを追い回している。
私はそんな聖良を壁を走りながら追いかけている。
聖良「巻き込んでしまったのは謝りますが、果南さんこそ邪魔をしないで貰えませんか?」
72 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:35:17.45 ID:DoNfZkVt0
聖良が空から私を見上げながら、話しかけてくる。
果南「でも、ギラティナ嫌がってるじゃん!!」
嫌がってるし、攻撃をされて混乱している。
あちこちを無茶苦茶に飛び回り、ギラティナが啼き声をあげるたびに、
足場が出たり消えたり、重力が上下反転したりしている。
ギラティナがこの世界の掌握の鍵と言うのはどうやら事実らしいけど、正直あんな風に追い回していい存在だとは思えない。
まさに人の手に負えるようなポケモンじゃない。
果南「く……せめて、飛べるポケモンは連れてくるべきだった……!!」
鞠莉の言う通り、スワンナを連れてくるべきだったかもしれない。
とは言っても、飛行するにもどこからどこが地面で、どこからどこが空なのかよくわからない空間でうまく飛行出来るのかはわからないけど……。
聖良は器用にも、この理不尽な空間の癖を即座に暴き、うまく飛行している。
クロサワの入江では、ほとんどパルキアとディアルガの指示に時間を割いていて、まともなバトルにはならなかったが、彼女は頭も良く、相当な実力者なんだろう。
このままじゃ、追いつけない。
果南「くっそ……!!」
私は一旦足を止めて、考える。
果南「……ん?」
そこで気付く。猛スピードでギラティナを追って遠ざかっている聖良と、あまり距離が離れていかない。
果南「……なるほど」
ここではどうやら速い≠速いのようだ。
果南「ヤドラン!」
「ヤド……?」
私はヤドランを繰り出す。
距離が変わらないなら、遅いヤドランを使っても変わらない。
果南「ヤドラン! “サイコショック”!!」
「ヤード……」
ヤドランが念動力で作り出したブロックを聖良に向かって飛ばす。
──が、
理亞「チリーン!! “サイコショック”!!」
「チリリィーーン!!!!」
果南「!」
理亞が浮いてる足場の影から飛び出して、私の攻撃と相殺させてくる。
理亞「ねえさまの邪魔をするな……!!」
果南「く……」
73 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:36:50.41 ID:DoNfZkVt0
さすがにこのルール無用の空間で、聖良を追いながら、理亞を捌くのはキツイ。
私は周囲を見回しながら、どうにか策がないか考える。
この空間に連れてこられて、結構な時間、聖良を追っていたため、随分と下に登って来てしまった。
そのため、入口はすぐ近くにある。
果南「……ぐ、ああ、もう!! 頭の中がごちゃごちゃになる!?」
常識が摩り替わっているのか、考えていることと、見ていることと、認識していることがうまく噛み合わない。
こういう小難しい状況は本当に苦手だ。
そんな中──
「果南ちゃーん!!」
千歌の声がする。
果南「……え!? 千歌!?」
驚いて、声のする方を見ると──いや居ないし。
たぶん、こういうときは……と思って逆を見ると、
千歌「果南ちゃーん!!」
ルビィ「果南ちゃん!!」
千歌とルビィちゃんがこちらに向かって、遠ざかって……ああもうどっちだ。
理亞「! まさか、ここまで追ってきた……!?」
* * *
千歌「果南ちゃーん!!!」
声を張り上げて呼ぶほどに果南ちゃんは何故か、私たちが来る方向とは逆を向いている。
それは置いておいて、かなり下に登ったところに見える果南ちゃんとの間には理亞ちゃんの姿。
私とルビィちゃんは、壁を走って下に登っているんだけど……。
果南ちゃんとの距離感が全然詰まらないし、
位置関係上、果南ちゃんの間に居るはずの理亞ちゃんだけが何故かどんどん近付いてくる。
千歌「も、もうー!!! どうなってんのこれー!!!」
私が叫びをあげると、
ルビィ「ごめん千歌ちゃん! 先に行くね!!」
ルビィちゃんが前に飛び出す。
千歌「うぇ!?」
ルビィ「たぶんこの辺りは左に進むと果南ちゃんの方に前進するみたいだよ!!」
74 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:38:01.80 ID:DoNfZkVt0
どうやら、ルビィちゃんは先にコツを掴んだらしい。
言われたとおり、左に向かって走ってみる。
千歌「おぉ、ホントだ!! 果南ちゃんがどんどん近付いてくる!!」
とにかく、この調子で果南ちゃんと合流しよう……!!
* * *
ルビィ「理亞ちゃん!!」
理亞「っ!! ルビィ……!!」
理亞ちゃんと視線が交錯する。
ルビィ「コラン!! “ムーンフォース”!!」
「ピピピピ」
理亞「チリーン!! “じんつうりき”!!」
「チリーッ!!!!」
コランの撃った光が、“じんつうりき”で捻じ曲げられ掻き消える。
でも、ルビィはそんなのおかまいなしに、掻き消えた光を突き抜けながら、理亞ちゃんに向かって突進する。
理亞「!?」
そのまま、タックルするような形で理亞ちゃんを巻き込み、足場の外に飛び出した。
千歌「ルビィちゃん!?」
背後から千歌ちゃんの驚くような声が聞こえる。
が、私たちは重力に引っ張られ、上の方へと落ちていく。
理亞「は、はなせ!!」
ルビィ「千歌ちゃーーーーーん!! 果南ちゃーーーーーーん!!」
二人に聞こえるように、大きな声で叫ぶ。
ルビィ「理亞ちゃんはルビィがどうにかするからーーーーー!! 二人は聖良さんをーーーーーーー!!」
千歌「! わかったーーーーー!!!!」
──そのまま一気に急上昇して、上に向かって落ちていく。
空中に浮かぶ足場を5個ほど通り過ぎたところで、
理亞「放せって言ってんでしょ……ッ!!」
理亞ちゃんに思いっ切り蹴飛ばされて、一人で空中に投げ出される。
理亞「クロバットッ!!!」
「クロバッ!!!!」
理亞ちゃんの肩を掴み紫の翼を広げるクロバット、
75 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:40:34.07 ID:DoNfZkVt0
ルビィ「ドンカラス!!」
「カァーーーー!!!!!!」
ルビィもドンカラスを繰り出す。ドンカラスは、その脚でルビィの小さな肩を鷲掴みにし、黒い翼で空を舞う。
理亞「ルビィ……ッ!!!! お前はどこまで私の邪魔を……!!!」
ルビィ「理亞ちゃんがこんなことをやめてくれるまでだよ!!!」
理亞「……上等ッ!! 今度こそ、完膚なきまでに叩きのめすッ!!!」
ルビィ「今度はルビィが勝つよ!!!」
──理亞ちゃんとの最終戦。その火蓋が切って落とされる。
ルビィ「コランッ!! “パワージェム”!!」
「ピピピピ!!!!!」
下降するルビィたちに追いついたコランが、エネルギーの篭もった宝石を飛ばす。
理亞「……!!」
理亞ちゃんはボールを放り、
「ゴォーーーーリ!!!!!!!」
“パワージェム”は飛び出したオニゴーリの眼前に作られた氷に壁にぶつかって止められる。
そして理亞ちゃんは間髪居れず、ルビィたちが飛んでいるすぐ近くにある横壁に、次のボールを放る。
「グマァァッ!!!!!!!」
理亞「リングマッ!!!! ぶっ潰せ!!!」
リングマが大きな腕を振りかぶる。
ルビィ「コラン!! “てっぺき”!!!」
「ピピピピッ!!!!!」
──ガインッ!!!
ルビィの間にコランが割り込むように飛んできて、リングマの拳を防ぐ。
だが、完璧に防ぎきれず、強烈な拳によってコランは空中をノックバックする。
理亞「チリーンッ!!! “テレキネシス”!!!」
「チリリーンッ!!!!」
「ピピピッ!?!?」
ルビィ「……!!」
そこに、コランが浮力を無理矢理与えられて、下に向かって吹っ飛んでいく。
ルビィ「コラン!! “じゅうりょく”!!」
「ピピピィ!!!!!」
理亞「!?」
「クロバッ!!?」
すぐに“じゅうりょく”で“テレキネシス”を無効化すると同時に、
空中に居た、ドンカラス、コラン、クロバット、チリーン、オニゴーリが“じゅうりょく”の影響で一気に上の床に向かって加速する。
理亞「オニゴーリッ!!!!! メガシンカ!!!!」
「ゴォォォォォーーーーリ!!!!!!!!」
76 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:43:59.48 ID:DoNfZkVt0
理亞ちゃんのメガブレスレットに呼応して、オニゴーリが光り、メガオニゴーリへと姿を変える。
強力な冷気を使って、自身の身体から氷柱を伸ばして、自分たちが落ちそうになっていた上方の床、リングマの立っている壁、そして下方の天井の三点に突き立ててその場に留まる。
一方ルビィは、“じゅうりょく”の言うがまま上方の床に向かって落ちていく。
ルビィ「アチャモッ!!!」
「チャモォ!!!!!!」
ルビィ「“ブレイククロー”!!!」
ルビィは咄嗟にアチャモを繰り出して、オニゴーリが作り出した氷の柱に向かって爪を立てさせ、そのままアチャモの体に掴まる。アチャモは爪を引っ掛けて、落下速度を減速させる。
そして、続け様にボールから、
「クーーーーマーーー!!!!!」
ヌイコグマを出して、今度はヌイコグマに掴まって、
ルビィ「ヌイコグマさん!!! “メガトンキック”!!!」
「クーーーーマーーー!!!!!!」
思いっ切り前脚を氷柱にぶち当て、その反動でヌイコグマと一緒に、リングマの居る方の壁に飛ぶ。
すると、重力圏が上方の床から、横方向の壁に切り替わり、壁側に引っ張られる。
「グマァァッ!!!!!!!」
もちろん、そこにはリングマが待ち構えている。
「クーーーマーーーー!!!!!!」
「グマァァァッ!!!!!!」
両者は同時に拳を構える。
ルビィ・理亞「「“アームハンマー”!!!!」」
「クーーーーマーーーーー!!!!!!」「グゥゥゥゥマァァァァァ!!!!!!!!」
二匹の拳がぶつかり合う。
リングマの方が単純なパワーは上だけど……こっちは“じゅうりょく”の力を借りて振り下ろされた拳だ。
二匹の攻撃がほぼ同程度で相殺し、弾ける。
ルビィはその反動の勢いを借りて、リングマから距離を取りながら横壁に着地し、手持ちの状況を確認する。
上方床、コランが“じゅうりょく”で落ちながら。
「チリリィーンッ!!!!!」「ピピピピッ!!!!!」
チリーンの“しめつける”に身を捻りながら応戦している。
ルビィの居る横壁では、
「グマァァッ!!!!!!」「クーーーマーーーッ!!!!!!!」
再び、ヌイコグマとリングマが組み合う。ドンカラスは横壁に降りてきたルビィの肩を掴んだままだ。
──空間中央、理亞ちゃんはオニゴーリの作り出した氷に掴まって、氷柱に爪を引っ掛けているアチャモに向かって攻撃を放つ。
理亞「“こごえるかぜ”!!!」
ルビィ「アチャモ!! “ねっぷう”!!!!」
「ゴォォォーーーーーリ!!!!!!!」「チャモォォォーーーーー!!!!!!」
77 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:46:22.92 ID:DoNfZkVt0
二匹の風がぶつかり合う。
理亞「マニューラァッ!!!!!」
「マニュッ!!!!!」
ただ、アチャモは単身。この期を逃すまいと、マニューラが飛び出す。
ルビィ「ゴマゾウさんっ!!!!」
「パォォォ!!!!!」
ルビィの元からはゴマゾウが“ころがる”状態で氷柱を猛スピードで駆け上がりながら飛び出す。
理亞「邪魔だぁッ!!! オニゴーリ!! “ぜったいれいど”!!!」
そんなゴマゾウに向かって放たれる、“ぜったいれいど”。
アチャモにはマニューラが迫る。
ルビィ「みんなッ!!!!」
ルビィは叫ぶ。自分たちの手持ちに向かって、
ルビィ「ルビィはここで、理亞ちゃんを止める……ッ!!!! 絶対にッ!!!! だから──だから、力を貸してぇーーー……ッ!!!!!!」
「クーマー──」「パォォォ──」「チャモォ──」
理亞「……!?」
ルビィの叫びに呼応するようにキテルグマ、ゴマゾウ、アチャモが光り輝く──これは、
理亞「このタイミングで三匹同時進化!?」
「──クマァーーーーーーッ!!!!!!!」「──パァオォォォォォ!!!!!!!!!」「──シャモォッ!!!!!!!」
ルビィ「キテルグマッ!!!! “ぶんまわす”!!!」
「クマァッ!!!!!!!」
「グマァッ!!!?」
進化してパワーアップしたキテルグマが、組み合ったままだったリングマを持ち上げ“ぶんまわす”……!!
一方、ゴマゾウに迫っていた“ぜったいれいど”──だが、
「パァァォォォォォォ!!!!!!!!」
その冷気を無視するように、ゴマゾウが進化した姿──ドンファンがオニゴーリに迫る。
理亞「!? しまった!? “がんじょう”!?」
「ゴォォーーリッ!!!?」
進化して、一撃必殺を無効にする特性を得たドンファンが、オニゴーリに“ころがる”を直撃させる。
と、同時に──
「マニュ!!!!!」
迫るマニューラを、
「シャーモッ!!!!!」
78 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:48:14.92 ID:DoNfZkVt0
ワカシャモが壁に引っ掛けるのを進化して得た前爪に切り替え、蹴りをかます。
「マニュッ!!!!!!」
マニューラは長い鉤爪でガードをするが──
素早い蹴撃が更にもう一発……!!
「マニュッ!!!?」
マニューラを蹴飛ばす。──“にどげり”だ。
理亞「ッ!!!! オニゴーリ!!!!」
「ゴォォォオオーーーーリ!!!!!!」
ルビィ「!!」
“ころがる”を直撃させた、ドンファン。だが、オニゴーリはどうやら、大きな顎で噛み付いて、受け止めたようだった。
理亞「“こおりのキバ”!!! そのまま、凍らせろ!!!」
「パ、パォォォ!!!!!」
ルビィ「ワカシャモ!!!!!」
「シャモッ!!!!!」
マニューラの迎撃に成功した、ワカシャモが爪を引っ掛けながら氷柱を登り、オニゴーリに向かって飛び出す。
「シャモッ──」
そして、その最中、再び光に包まれる──
理亞「……!? 二段階連続進化……!?」
ルビィ「──バシャーモッ!!!!!」
「──バ、シャァーーーーモ!!!!!!!!」
ルビィ「“ブレイズキック”!!!!!」
炎の蹴撃が、オニゴーリ蹴っ飛ばす。
「ゴォォォオォォーリ!!?!?」
「シャーモッ!!!!!」
強烈な攻撃の衝撃に、オニゴーリが噛み付いていた顎が開き、ドンファンが解放される。
「パァァァォッ!!!!!」
理亞「……ッ!!!!」
更に“ブレイズキック”で怯んだオニゴーリに向かって、
「クーーーーマッ!!!!!!!!」
「グマァッ!!?」
キテルグマがぶん回していた、リングマをぶん投げた。
理亞「……!!!!?」
「パァァォッ!!!!」「シャーモッ!!!!」
79 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:49:28.63 ID:DoNfZkVt0
ドンファンとバシャーモは即座に離脱し、氷柱に体を押し当て減速しながら、上方の床に向かって滑り降りていく。
「グマァッ!!!?」
リングマが氷柱に直撃し、氷柱が砕け散る。
これで、リングマと、オニゴーリを同時に──
理亞「……この程度でやられるわけない」
ルビィ「……!!」
そう言う理亞ちゃんの傍らでは、
「ゴォォーーーリ……!!!」
オニゴーリ冷気で一瞬で作り上げた、巨大な氷の手で、リングマをキャッチしていた。
「グマッ……」
リングマは戦闘不能に出来たけど、オニゴーリはまだ顕在……!!
そのタイミングで、体がフッと軽くなる。
“じゅうりょく”が切れたんだ……!!
ルビィ「キテルグマ!! 戻って!!」
「クマッ──」
キテルグマをボールに戻して、
「カァカァッ!!!!!」
ドンカラスと一緒に再び飛び立つ。
「ピピピピィ!!!!!」「チリリィーーーンッ!!!!!」
上方の床で、攻防を続けるコランとチリーン。二匹が“じゅうりょく”から逃れてしまう前に──
ルビィ「コラン!! “だいちのちから”!!」
「ピピピピピィ!!!!!!」
コランを中心に上方の床から、大地のエネルギーが沸きあがり、
「チリリッ!!?」
チリーンを打ち上げる。
理亞「チリーンッ!!? っ……!! ……行け、カブトプスッ!!!」
「カブトッ!!!!」
チリーンを戦闘不能にしたら、間髪居れずカブトプスが氷柱を蹴って、下から上の床に向かって降って来る。
「マニュッ!!!!!」
体勢を立て直したマニューラもそれに続くように飛び出す。
ルビィは、全速力で手持ちたちが居る上の床に一気に降りて行き、
その最中で声を張り上げて、指示を出す。
80 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:50:29.12 ID:DoNfZkVt0
ルビィ「バシャーモッ!!! 氷柱を根元から蹴り砕いて!!!」
理亞「……!!」
「シャーーーモッ!!!!!」
バシャーモの脚に炎が宿る、
そのまま、軸足を使って、体を回転させながら、氷柱の根元に“ブレイズキック”を炸裂させる──。
──バキバキバギギッ!!!! と、派手な音を立てて、氷柱が傾きはじめる。
理亞「オニゴーリッ!! “ころがる”!!!」
「ゴォォォーーーーリ!!!!!!」
オニゴーリが傾く氷柱を転がりながら、猛スピードで上に向かって下り始める。
理亞ちゃんはクロバットでその後を追いながら、
理亞「マニューラッ!!!!
「マニュッ!!!!!」
上の床に向かって、氷柱を走り下っていたマニューラに指示を出す。
理亞「ルビィとドンカラスを狙え!!」
「マニュッ!!!!!!」
ルビィ「!!」
上の床に向かって絶賛下降中だった、ルビィとドンカラスの方に向かって、マニューラが飛び掛ってくる。
ルビィ「……きっと、そうくると思ってたよ!!」
理亞「!?」
ルビィが構えたボールから、飛び出すのは──
「アブリリリリッ!!!!!!」
巨大な“かふんだんご”を抱えたままボールから飛び出したアブリボンの姿。
理亞「“かふんだんご”!? ボールの中に居る間に作ってた……!?」
「アブリッ!!!!!」
こっちに飛び掛ってくる最中で、もう空中での制御が利かないマニューラに向かって、特大の“かふんだんご”を投げつける。
「マニュッ!!!?」
空中でマニューラに炸裂し、爆発する。
そして、追い討ちを掛けるように、
ルビィ「“マジカルシャイン”!!!」
「アブリリリリッ!!!!!!!」
アブリボンから発せられた閃光がマニューラを焼く。
「マニュゥッ……!!!!」
マニューラを撃ち落し、すぐに視線は上方の床、ドンファンへ、
「カーーーブッ!!!!!!」
81 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:51:59.35 ID:DoNfZkVt0
鎌を振りかぶって、ドンファンに向かって飛び降りてくるカブトプス。
ルビィ「ドンファン!! “みだれづき”!!」
「パァァオォォォォ!!!!!!」
ドンファンが牙を振るって、鎌と撃ちあう。
理亞「“アクアブレイク”ッ!!!」
だが、カブトプスの全身を水のエネルギーが滾って、
「パァァォッ!!!?」
そのまま撃ち合っていた、ドンファンを火力で打ち負かし、怯ませる。
「──シャモッ」
──だが、怯んだドンファンを飛び越えるようにして、横薙ぎに突き出されるバシャーモの膝……!!
ルビィ「“とびひざけり”!!!」
「カブッ!!!!?」
強烈な蹴りが、カブトプスの頭部にクリーンヒットし、何十メートルも吹っ飛ばす。
理亞「──うぁぁぁぁぁぁ……ッ!!!!!!」
ルビィ「!!」
カブトプスが戦闘不能になる最中、ルビィに向かって理亞ちゃんが雄叫びをあげながら降って来る。
理亞「クロバットッ!!! “クロスポイズン”ッ!!!!」
「クロバァッ!!!!!!!」
「カァッ!!!!!?」
ルビィ「っ!!!!」
ルビィの肩を掴んでいた、ドンカラスに不意の“クロスポイズン”が直撃する。
「カァカァ!!!?!?」
ドンカラスはルビィを掴んだまま、回転して上の床に向かって墜落する。
ルビィ「っ゛……!!!」
そのまま、ドンカラスと共に床に身体を打ち付ける。
──でも、まだだ……!!
痛がってる場合じゃない。すぐさま、起き上がって状況を確認する。
「カァ……ッ」
“クロスポイズン”の直撃を食らったドンカラス。アブリボンの特性“スイートベール”のお陰でどく状態にはならなかったが、ダメージが大きい。
82 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:53:16.92 ID:DoNfZkVt0
ルビィ「アブリボン!! “かふんだんご”!!」
「アブリリリッ!!!!!」
吹っ飛ばされたルビィたちを追いかけるように下降してきた、アブリボンが仲間用に作った“かぶんだんご”でドンカラスを回復させ、それを確認してからドンカラスをすぐにボールに戻す。
ドンカラスが動けなくなったら、ルビィの一切の飛行手段が絶たれてしまう。それは回避しなくちゃいけない。
──が、これは悪手だった。
理亞「全て……凍り付け……!!! オニゴーリ!!! “はかいこうせん”!!!!!」
「ゴォォォォォォリィィィィィィ!!!!!!!!!!!」
ルビィ「!?」
回復の隙に、上空から、メガオニゴーリが“フリーズスキン”によって強化した、全てを凍らせる破壊の閃光を発射する。
──防御……!? 間に合わない……!!
ルビィは弾けるように飛び出して、バシャーモの元へ──
理亞「……あああぁあぁぁぁぁぁッ!!!!!!!」
理亞ちゃんの気合いの咆哮と共に、“はかいこうせん”が着弾し、辺りが一気に凍りつく。
ルビィ「──……!!!」
──野太い大出力の“はかいこうせん”は着弾と共に、床の上を一気に拡がり、一面を一瞬で氷の世界に閉じ込めた。
「シャーモッ……!!!」
全身から炎を発する、バシャーモを除く、全てを……。
──ガァァァァンッ!!!!!
大きな音を立てて、
「ゴォォォォォォリ!!!!!!!!」
オニゴーリが自ら作り上げた氷の世界の床に着地する。
ルビィ「はぁ……はぁ……っ……」
理亞「はぁ……はぁ……っ……」
オニゴーリのすぐ後ろで、理亞ちゃんがクロバットをボールに戻し、飛び降りて、ルビィと同じように息を切らせている。
理亞「……はぁ……っ……はぁ……。……やる……じゃない……っ……」
ルビィ「は……はぁ……っ……、理亞ちゃんも……っ……!!」
理亞「……ふふ……生意気……!!」
理亞ちゃんはそう言って、何故だか笑う。
お互いの全てを懸けた、最後の戦いなのに。
ルビィ「……ふふ……」
──そこで気付いた。ルビィも笑っていた。
理亞「……最後は、私が……勝つ……!! ねえさまのために……私は……!!!」
「ゴォォォォォォォ──!!!!!」
理亞ちゃんの気合いと共に、オニゴーリが一段と強力な冷気のオーラを放ち始める。
83 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:54:40.50 ID:DoNfZkVt0
ルビィ「理亞ちゃんは……!!! わたしが勝って、わたしが止める……っ!!!!」
「バ、シャァァァァァーーーーモッ!!!!!!!!」
バシャーモも同様に、燃え盛る炎熱を発する。
──恐らく次が最後の攻撃になる。そんな予感がした。
ルビィ「お姉ちゃん……!! 力を貸して──!!」
ルビィはポケットから──旅立ちのあの日に、お姉ちゃんから貰った“ほのおのジュエル”を取り出して、傍らのバシャーモに投げ渡す。
「バ、シャモォッ!!!!!!」
ジュエルを受け取った、バシャーモをそれを拳に握り込み、割り砕く。
輝石が砕け、散った輝きが──そのまま、バシャーモの炎のオーラを爆発的に増強させ、脚にとてつもない大きさの炎を宿す。
ルビィ「──これで、最後だよ……!!」
理亞「……決めようじゃない……どっちが正しいか……!!」
ルビィ「お互い譲れないから……!!!」
理亞「……戦って決めるしか……ないっ!!!! 最後に立ってた方が……正義だ!!!!」
ルビィ「バシャーモッ!!!!!!」
理亞「オニゴーリッ!!!!!」
お互いの声と共に、
「バ、シャァァァァーーーーーモッ!!!!!!!!」
「ゴォォォォォーーーリッ!!!!!!!!!!!」
更に一段階、強化された炎のオーラと氷のオーラが──ぶつかり合う……!!
理亞「オニゴーリッ!!!!!! “ふぶき”ッ!!!!!!!」
「ゴオオオォオォォォォォォォォーーーーーーーーリィィィッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
オニゴーリから最大級の冷気が放たれる。
それを迎え撃つように、
ルビィ「バシャーモッ!!!!! “ブレイズキック”ッ!!!!!!!」
「バ、シャァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーモッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
バシャーモが爆炎を宿した、左脚を薙ぐ。
理亞「凍り付けえぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!!!!」
ルビィ「いっけぇぇーーーーーッ!!!!!!!!!!」
巨大な寒波が、迫る。
それを爆熱と爆炎が、迎え撃つ。
──灼熱と吹雪がぶつかり合い。爆ぜる。
お互いの攻撃が鍔競り合う。
「バシャッ……ッ!!!!!」
だが、ある一瞬を境に、バシャーモの炎が僅かに翳りを見せる。
──火力が足りない。
84 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:55:24.36 ID:DoNfZkVt0
理亞「!! 私の、私たちの……勝ちだぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!!」
「ゴォォォォォォォーーーーーーリッ!!!!!!!!!!!!!」
理亞ちゃんの気合いの雄叫びと共に、炎を掻き消して迫り来る“ふぶき”。
ルビィ「バシャーモッ!!!!!!!」
「バシャモッ!!!!!!!」
左脚の炎は押し負けて掻き消された、
──だから、
理亞「……なっ!?」
バシャーモは先ほどまで使っていた左脚で思いっ切り大地を踏みしめ、
「バ、シャァァァーーーーーモ!!!!!!!!!!」
それを軸足にして。さっきとは“逆の脚”で
──本当の本当に、ありったけ、全ての炎熱エネルギーを載せた──“右脚”の業炎で、
ルビィ「……いっけぇぇぇぇぇぇッ!!!!!!!!」
「バッシャアァァァァァァァァァーーーーーーモォッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
オニゴーリの冷気を──押し返す。
理亞「……くそ……っ」
爆炎はそのまま、理亞ちゃんとオニゴーリを飲み込んで──
理亞「……私は……こんなところで……っ……!!!!」
全てを、ありったけの焦熱と共に……蹴り飛ばした……──!!
85 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:55:51.58 ID:DoNfZkVt0
* * *
聖良「りあ、なにかほしいものはない?」
理亞「……ない」
聖良「……なにも?」
理亞「……ねぇさまがいればいい……ほかはなにもいらない」
聖良「…………」
理亞「ねぇさまいがいは……みんな、いなくなっちゃうし……なくなっちゃうから……」
聖良「りあ……」
理亞「……でも」
聖良「……?」
理亞「……もし……ずっと、そばにいてくれるなら……あったかいひかりがほしい」
聖良「……え……?」
理亞「……わたしは……また──」
………………
…………
……
* * *
86 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:56:43.12 ID:DoNfZkVt0
──なんだか……懐かしい夢を見た気がした。
理亞「──ねぇ……さま……」
目を開く──ぼんやりとする視界の先で、
ルビィ「理亞ちゃん……おはよう」
ルビィの顔があった。
理亞「…………」
私は、ルビィの膝の上で、目を覚ました。
そして──理解する。
理亞「……負けた」
辺りはバシャーモの炎熱によって、氷の結晶、一欠片すらも残さず溶かし尽くされたようだった。
理亞「……ルビィ」
ルビィ「ん?」
理亞「……あんた……なんでそんなに強くなってんのよ……」
ルビィ「……理亞ちゃんが居たからだよ」
理亞「……なにそれ」
ルビィ「ルビィの旅は……理亞ちゃんとの出会いから、始まって……理亞ちゃんを追いかけて、理亞ちゃんに負けないように、理亞ちゃんに想いを示すために……強くなって、ここまで来たんだよ」
理亞「…………」
ルビィ「ルビィ……そんなに強かった?」
理亞「……強かったわよ……バカじゃないの」
ルビィ「ふふ、そっか」
ルビィは微笑む。
ルビィ「……ねぇ、理亞ちゃん」
理亞「……なに」
ルビィ「ルビィが勝ったから……ルビィの言うこと聞いてくれる?」
理亞「…………そういう話だったから」
ルビィ「うん……ありがと。じゃあ……教えて」
ルビィは一呼吸置いて、問うてきた。
ルビィ「理亞ちゃん……本当はどうしたかった?」
理亞「……え?」
ルビィ「こういうやり方で……よかった?」
理亞「…………私は」
──私は、
87 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:57:29.13 ID:DoNfZkVt0
──なんだか……懐かしい夢を見た気がした。
理亞「──ねぇ……さま……」
目を開く──ぼんやりとする視界の先で、
ルビィ「理亞ちゃん……おはよう」
ルビィの顔があった。
理亞「…………」
私は、ルビィの膝の上で、目を覚ました。
そして──理解する。
理亞「……負けた」
辺りはバシャーモの炎熱によって、氷の結晶、一欠片すらも残さず溶かし尽くされたようだった。
理亞「……ルビィ」
ルビィ「ん?」
理亞「……あんた……なんでそんなに強くなってんのよ……」
ルビィ「……理亞ちゃんが居たからだよ」
理亞「……なにそれ」
ルビィ「ルビィの旅は……理亞ちゃんとの出会いから、始まって……理亞ちゃんを追いかけて、理亞ちゃんに負けないように、理亞ちゃんに想いを示すために……強くなって、ここまで来たんだよ」
理亞「…………」
ルビィ「ルビィ……そんなに強かった?」
理亞「……強かったわよ……バカじゃないの」
ルビィ「ふふ、そっか」
ルビィは微笑む。
ルビィ「……ねぇ、理亞ちゃん」
理亞「……なに」
ルビィ「ルビィが勝ったから……ルビィの言うこと聞いてくれる?」
理亞「…………そういう話だったから」
ルビィ「うん……ありがと。じゃあ……教えて」
ルビィは一呼吸置いて、問うてきた。
ルビィ「理亞ちゃん……本当はどうしたかった?」
理亞「……え?」
ルビィ「こういうやり方で……よかった?」
理亞「…………私は」
──私は、
88 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:58:45.33 ID:DoNfZkVt0
理亞「…………私は……もっと、皆が笑える方法で……ディアンシーに会いに来たかった」
ルビィ「……うん」
理亞「……でも、ねえさまが……私を抱えて、背負って、育ててくれた、ねえさまが……望んだから……私は……」
ルビィ「…………」
理亞「…………クリフでルビィから訊かれたこと」
ルビィ「……?」
理亞「どうしてあのとき、ルビィを入江に攫ったのか……ってこと」
ルビィ「……ぁ、うん」
理亞「あのとき……本当は、あの場で……ルビィに、ディアンシーに引き合わせて欲しかった……」
ルビィ「!」
理亞「そうしたら……こんな形にはならなかったのかな……って」
ルビィ「……」
理亞「ねぇ、ルビィ」
ルビィ「……なぁに?」
理亞「あのとき、頼んでたら……ディアンシーに会わせてくれた……?」
ルビィ「……うぅん。断ってたよ」
理亞「……そっか」
ルビィ「……うん。ルビィは──クロサワの巫女だから」
理亞「どっちにしろ……私はこうするしかなかったんだ」
ルビィ「……かもしれないね」
理亞「でも……もう、これで、全部終わり……私は負けたから……っ……」
自然と、涙が溢れてきた。
どこで間違えたのか。
いや……最初から、間違っていたのかもしれない。
ディアンシーに命を救われた、あの日、あのときから……。
そして、終わった……。
でも、ルビィは──
89 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 17:59:21.56 ID:DoNfZkVt0
ルビィ「──終わりじゃないよ」
そう、言った。
理亞「……え?」
ルビィ「これからまた……頑張って、ディアンシー様に認めてもらえるように努力すればいい」
理亞「……ルビィ」
ルビィ「ルビィも協力する。……もちろん、簡単に引き合わせてはあげられないけど……私は──」
理亞「──クロサワの巫女だから?」
ルビィ「ふふ……うん」
理亞「……そっか」
全身から力が抜ける。なんだか、疲れてしまった。
帰ったら、恐らく檻の中だと思う。
これだけのことをしたのだから。
でも……いつになるかわからないけど……全てを償って、精算したら、また一からやり直すのも──何故だか、悪くないんじゃないかと、そう思った。
理亞「いつか……」
ルビィ「うん」
理亞「いつか……クロサワの巫女に……認めて貰えるようになって……ディアンシーと会う……それで、いいのかな」
ルビィ「うん……待ってるよ。理亞ちゃん」
理亞「……ありがと。……ルビィ──」
こうして私とルビィの長い長い戦いは……ようやく決着したのだった。
90 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 18:01:04.59 ID:DoNfZkVt0
>レポート
ここまでの ぼうけんを
レポートに きろくしますか?
ポケモンレポートに かこんでいます
でんげんを きらないでください...
【やぶれた世界】
口================= 口
||. |⊂⊃ _回../||
||. |o|_____. 回 | ⊂⊃| ||
||. 回____ | | | |__|  ̄ ||
||. | | 回 __| |__/ : ||
||. ⊂⊃ | ○ |‥・ ||
||. | |. | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ||
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||. | ____ 回__o_.回‥‥‥ :o ||
||. | | | | _. / : ||
||. 回 . |_回o | | : ||
||. | |  ̄ |. : ||
||. | | .__ \ : ||
||. | ○._ __|⊂⊃|___|. : ||
||. |___回○__.回_ _|‥‥‥: ||
||. /. 回 .| 回 ||
||. _/ o‥| | | ||
||. / | | | ||
||./ o回/ ||
口=================口
主人公 ルビィ
手持ち バシャーモ♂ Lv.50 特性:もうか 性格:やんちゃ 個性:こうきしんがつよい
メレシー Lv.53 特性:クリアボディ 性格:やんちゃ 個性:イタズラがすき
アブリボン♀ Lv.39 特性:スイートベール 性格:のんき 個性:のんびりするのがすき
キテルグマ♀ Lv.46 特性:もふもふ 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
ドンファン♂ Lv.45 特性:がんじょう 性格:さみしがり 個性:ものをよくちらかす
ドンカラス♀ Lv.56 特性:じしんかじょう 性格:わんぱく 個性:まけんきがつよい
バッジ 0個 図鑑 見つけた数:104匹 捕まえた数:14匹
主人公 千歌
手持ち バクフーン♂ Lv.53 特性:もうか 性格:おくびょう 個性:のんびりするのがすき
トリミアン♀ Lv.47 特性:ファーコート 性格:のうてんき 個性:ひるねをよくする
ムクホーク♂ Lv.54 特性:すてみ 性格:いじっぱり 個性:あばれることがすき
ルガルガン♂ Lv.49 特性:かたいツメ 性格:わんぱく 個性:こうきしんがつよい
ルカリオ♂ Lv.58 特性:せいぎのこころ 性格:ようき 個性:ものおとにびんかん
フローゼル♀ Lv.47 特性:すいすい 性格:ゆうかん 個性:ものおとにびんかん
バッジ 7個 図鑑 見つけた数:155匹 捕まえた数:15匹
主人公 果南
手持ち ラグラージ♂ Lv.75 特性:しめりけ 性格:やんちゃ 個性:ちからがじまん
ニョロボン♂ Lv.71 特性:すいすい 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
ギャラドス♀ Lv.74 特性:じしんかじょう 性格:いじっぱり 個性:まけんきがつよい
?????? ?? 特性:????? 性格:???? 個性:??????
キングドラ♂ Lv.71 特性:スナイパー 性格:ひかえめ 個性:ぬけめがない
ヤドラン♂ Lv.73 特性:マイペース 性格:ひかえめ 個性:ひるねをよくする
バッジ 8個 図鑑 見つけた数:281匹 捕まえた数:137匹
ルビィと 千歌と 果南は
レポートを しっかり かきのこした!
...To be continued.
91 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:23:17.61 ID:DoNfZkVt0
■Chapter075 『オトノキと音ノ木』
──コメコシティ。
花陽「フシギバナ!! “ねむりごな”」
「バナァ」
「サマヨー…」「ゴースゴス…zzz」
フシギバナの攻撃で、辺りのゴーストポケモンが眠っていく。
花陽「……これで、あらかた大人しくさせられたかな……?」
眠ったポケモンたちを一旦捕獲しようと、歩を進めた瞬間──。
「カゲボー」「ジュペッ!!!」
花陽「!?」
眠ったポケモンたちの影に隠れていた、カゲボウズとジュペッタが飛び掛ってくる。
花陽「しまっ……!? “ふみん”の子が紛れて──!?」
慌てて身を引くが、間に合わない……!!
自分の顔を庇うように腕をあげ防御の姿勢を取ったが──
「ブイブイッーーー!!!!!」「ゼリュリュリュリューーーッ!!!」
「カゲボーッ!?」「ジュペッ!!!」
近くの小川の方から飛んできた“みずでっぽう”によって、カゲボウズたちは吹き飛ばされた。
攻撃が飛んできた方向に目を配ると──
花陽「! あなたたちは……!」
「ブイブイ」「ゼリュゥ」
いつぞやのブイゼルの子供。
……いや、あのときよりも一回りも二回りも大きくなっていて、独り立ちの頃を迎えた姿をしていた。
花陽「ありがとう……お陰で助かりました……」
「ゼリュ」「ブブイ」
もう少し周りに気を配りながら、慎重にやる必要がある……そう自分に言い聞かせながら、
花陽「……他の町は大丈夫かな……」
わたしは不安を隠せずに居た。
どうか、みんな無事で居てくれればいいんだけど……。
そのとき、
92 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:24:25.97 ID:DoNfZkVt0
「──────キリュリリュリシィィッ────!!!!」
花陽「……? 何……?」
遠くから、何かが聞こえてきた。
* * *
──ダリアシティ。
「プワーー」「プワワー」「プゥワー」
街中のあちこちをフワンテが飛び回っている。
ここあ「ピクシー!」
こころ「プクリン!」
双子姉妹が息を合わせて戦う後ろから、更に
にこ「トゲキッス!」
にこ・ここあ・こころ「「「“マジカルシャイン”!!」」」
「キッスッ」「ピクシィ!!!」「プクリンッ!!!」
妖精の光で、追い払う。
ここあ「にこにーが居ると、戦いやすいー!」
こころ「やすいー!」
他の仲間の勧めで、私はダリアの防衛に参加していた。
あまりの数の多さに手間取りはしたものの……。
にこ「……だいぶ、数も減ってきたわね……」
あともう一息でどうにか事態も終息しそうだ……。
「────────キリュリリュリシィィッ────!!!!!!」
にこ「!? な、なに、この音……? ……啼き声?」
* * *
──ヒナギクシティ。
希「“サイコキネシス”!!」
「フーーーッ!!!!!」
「ゲ、ゲンガ…」「ランプゥ……」
93 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:26:01.44 ID:DoNfZkVt0
フーディンの“サイコキネシス”で襲ってくるゴーストポケモンたちを大人しくさせる。
辺りを見回すと、あちこちでトレーナーたちが応戦している。
まとまりのない町やけど、逆に言うなら先鋭的な人の多いこの町は、こういう事態には強いということなのかもしれんね……。
希「……さて、あともう一踏ん張り……? ……何?」
急に第六感が、今までになかった大きな存在の気配を告げてくる。
それから数秒後に──
「──────────キリュリリュリシィィッ──」
遠方から啼き声が響いてくる。
希「これは……」
* * *
──ローズシティ。
真姫「海未、ローズの方は粗方片付いたわ。あとは住人の避難誘導と、安全確認くらいよ」
海未『そうですか、ありがとうございます。真姫』
真姫「ついでに……クロユリの方も概ね片付いたらしいわ」
海未『はい、こちらでも報告は貰っています。ですが、真姫、くれぐれも最後まで気を抜かないで下さいね』
真姫「ええ、了解」
私は報告を済ませ、ポケギアの通話を終える。
真姫「……それはそうと──」
「────キリュリリュリシィィッ──!!!!!」
南から響いてくる、大きな啼き声。
真姫「これは……何……?」
* * *
──ホシゾラシティ。
「──キリュリリュリシィィッ──!!!!!!」
町中に響き渡る、巨大な啼き声。
それは北の音ノ木の方から響いてくる。
でも……
94 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:27:21.67 ID:DoNfZkVt0
凛「龍の咆哮……? でも、いつもと全然音が違う……これって……」
──prrrrrr!!!!!
突然鳴り出すポケギアに出る。
天文所職員『所長! 聴こえてますか!?』
凛「……うん、麓のホシゾラシティでも聴こえてるよ」
しかもその天を劈く音は、どんどんと降りてきている気がする。
天文所職員『音が大きくなるに連れて、反応も大きくなっているんですが……!!』
凛「反応……? なんの反応?」
天文所職員『巨大なドラゴンポケモンのエネルギー反応です……!!』
凛「……!? ……まさか、この音……そのポケモンの啼き声なの……?」
* * *
──セキレイシティ東、9番道路上空。
カイリューに乗ったまま、フソウ〜セキレイのルートの巡回をしていた私──ツバサは、
「────キリュリリュリシィィッ──!!!!!」
突然天から降って来た、この啼き声を聴いて、海未さんに連絡を飛ばしていた。
ツバサ「海未さん……この音、そっちでも聴こえてる?」
海未『はい。恐らく、地方中に響いています』
ツバサ「……これ、何? 音ノ木のメテノの爆発──『龍の咆哮』とは全然音が違う……聞いたこともないような音なんだけど」
海未『……私は、これと同じ音──いえ声を、昔聞いたことがあります』
ツバサ「……! 本当!?」
海未『……はい。これは、恐らく──』
海未さんが正体を言おうとした、そのときだった。
私の背後から、大きなドラゴンのようなポケモンが通り過ぎて──
ツバサ「!?」
そのまま、音ノ木の方へ向かっていく。
そのポケモンの背中には、自分と同じくらいの年頃の女性の後姿。
そして彼女を載せているオレンジの体躯のポケモンは──。
ツバサ「……リザードン!? まさか……!!」
私はカイリューに指示を出し、猛スピードで発進する。
95 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:30:05.01 ID:DoNfZkVt0
* * *
──セキレイシティ。
「──キリュリリュリシィィッ──!!!!!」
ことり「この……啼き声……!!」
この声は……聴いたことがある。
ツバサ「──ことりさん……!!」
ことり「! ツバサさん!」
音を聴いて、立ち尽くしていた私の元にツバサさんがカイリューに乗ったまま、降り立つ。
ことり「あ、あのね……!! この啼き声は──」
ツバサ「それよりも、ことりさん!! あれ……!!」
ツバサさんが音ノ木の方を指差す。
釣られるように視線を泳がせて、
ことり「え……? ……え!?」
戸惑いの声は、すぐに驚きの声に変わった。
ことり「あのリザードン……!! まさか……!!?」
ツバサ「ことりさん、行って。セキレイの街は私が引き受ける」
ことり「! い、いやでも……!!」
ツバサ「今会わなくちゃ、次いつ会えるかわからない、だから行って」
ことり「……! わかった! ありがとう、ツバサさん!!」
「チルゥッ!!!!」
わたしはチルタリスに飛び乗って、音ノ木へ向かって飛び出した。
* * *
──1番道路。
ことり『海未ちゃん!!』
海未「……ことり?」
先ほどから、ひっきりなしに掛かってくる、異常事態を共有するために鳴っているポケギアを取ると、今度は焦り気味に叫ぶことりだった。
ことり『この音……!! わたしたちが小さい頃に音ノ木に登って聴いた声と同じ啼き声だよね……!!?』
海未「ええ、間違いありません」
幼い時分に、二人の幼馴染と登った、龍の住まう樹の守り神の声。
96 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:31:49.58 ID:DoNfZkVt0
海未「龍神様──レックウザの啼き声です」
ことり『それとね!! 今、音ノ木の上空に向かって、リザードンが飛んでいったの!!』
海未「!? それは本当ですか!?」
ことり『うん……!! 今向かってる……!! 海未ちゃんも来て!!』
海未「……で、ですが」
私には全体指揮の役割がある。
ここで、私情を挟んで、飛び出すわけには──
と、思った矢先。ポケギアを隣の人物に引っ手繰られた。
絵里「ことり? 話は聞いたわ。海未もすぐに向かうから」
海未「え、絵里!?」
絵里「行きなさい、海未。残りの指揮は私が引き継ぐから」
海未「で、ですが……!!」
絵里「……こんなときしか、顔出さないんだから、あの子は」
海未「……絵里」
絵里「幼馴染なんでしょ? 心配掛けられてばっかなんだから、たまには説教の一つでもかましてやりなさい」
絵里はそう言いながら、通話を終えたポケギアを再び私に向かって投げ渡してくる。
海未「……恩に着ます。カモネギ、飛びますよ!!」
「カァモッ!!!!」
私はカモネギに掴まって、飛び出した。
* * *
1番道路から全速力で飛び立ち、音ノ木付近で垂直に上昇をしている、ことりとチルタリスを見つける。
海未「ことり!!」
ことり「! 海未ちゃん!!」
そのまま、横に並ぶ形で上昇して行く。
そして、その遥か上方に、人を乗せたオレンジ色の影──
海未「リザードン……!!」
ことり「うん!! ──穂乃果ちゃんが……穂乃果ちゃんが戻ってきてくれた……!!」
海未「全く、絵里の言う通りですね……こんなときしか、顔を見せないんですから。たまには文句の一つでも言わないと、こちらの気が済みません」
ことり「……えへへ、そうだね」
文句をつけることに対して同意している割に、ことりは嬉しそうに頷く。
海未「行きますよ、ことり!! 穂乃果のところへ!!」
ことり「うんっ!!」
97 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:32:55.71 ID:DoNfZkVt0
* * *
──音ノ木。頂上。
ここに来るのは何年振りだろう。
子供の頃に来た以来だ。
そして──
「──キリュリシィィッ!!!!!」
穂乃果「キミに逢うのも……久しぶりかな?」
幼い頃、この音ノ木の頂上から、海未ちゃんと、ことりちゃんと一緒に、更に天の高いところを泳ぐレックウザを見た。
「──キリュリリュリシィィッ──!!!!!」
レックウザは私たちに向かって、大きな啼き声を出して威嚇し──
「キリュリシィィッ!!!!!!!」
そのまま、口から空気の砲弾を吐き出してくる。
穂乃果「! リザードン!」
「ザードッ!!!!!!!!」
咄嗟にリザードンの火球で、攻撃を相殺、
穂乃果「待って! レックウザ! 私たちは戦いに来たわけじゃ……!!」
私は説得の言葉を投げかけるが、
「キリュリリュリシィィィィィッ!!!!!!!!!」
制止の声は虚しく、レックウザは再び開いた口に“りゅうのはどう”の集束を始める。
「ピッカッ!!!」
相手の闘気に反応したのか、一緒に乗っていたピカチュウがリザードンの頭部の辺りまで、その身を乗り出す。
「キリュリシィィィィッ!!!!!!!!」
「ピカッ!!!!!!!」
レックウザから放たれた“りゅうのはどう”とピカチュウの“エレキボール”が衝突して弾ける。
二つの攻撃が再び相殺し合う。レックウザは間髪居れず、身を捩って、
「キリュリシィィィィ!!!!!!!」
こちらに向かって、飛び出してくる。
穂乃果「……!」
避ける……? でも敵対行動をしたいわけじゃないし……。
私の悩みを意にも介せず、突っ込んでくるレックウザ。
98 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:33:50.80 ID:DoNfZkVt0
穂乃果「……いや、受け止めよう!! リザードン!!」
「リザァーーッ!!!!!!」
突っ込んでくるレックウザを真っ向から掴まえるため、リザードンが両腕を開いた……が、そのとき──。
「“フェザーダンス”!!」
「チルゥゥッ!!!!!!」
大量の綿羽が飛んできて、
「キリュシィィッ!!!!!!!」
レックウザの動きを鈍らせ怯ませる。
今の聞き覚えのある声は……もしかして……!
穂乃果「ことりちゃん!?」
ことり「穂乃果ちゃん……!!」
振り向いたときには、ことりちゃんはチルタリスから飛び出して、リザードンの上に居る私に抱きつこうとしているところだった。
穂乃果「わわっ!? ことりちゃん!?」
私はどうにか受け止める。
穂乃果「危ないよ、ことりちゃん!?」
ことり「穂乃果ちゃん……ずっと、会いたかったよぉ……」
ことりちゃんと再会の抱擁を交わす中、
「キリュリリュリシィィィィィ!!!!!!!!」
“フェザーダンス”で怯んでいたレックウザが、再びこちらに向かって飛び出そうとしていた。
穂乃果「わ!? やばい……!!」
「ストライク!!!」
「ストラィッ!!!!!!」
穂乃果「!」
再び、聞き覚えのある声。
突っ込んでくるレックウザの斜め下から、
海未「“いあいぎり”!!!」
「ストライクッ!!!!!!」
海未ちゃんのストライクが飛び出してきて、袈裟薙ぎに切り裂いてレックウザを迎撃する。
穂乃果「海未ちゃん!!」
海未「穂乃果!! 何ぼーっとしているんですか!!」
穂乃果「い、いやだってことりちゃんが……」
ことり「穂乃果ちゃぁん……」
海未「貴方が何年も顔を見せないからでしょう!! 穂乃果が悪いです!!」
穂乃果「ええ、理不尽……!!」
99 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:35:13.70 ID:DoNfZkVt0
海未ちゃんがカモネギに掴まったまま、私を詰問してくるが、
「キリュリリュリシィィィィ!!!!!!!!!」
再び、威嚇の声をあげる、レックウザ。
海未「……言いたいことは山ほどありますが、今は先にレックウザですね。ことり!」
ことり「あ、うん……」
ことりちゃんは名残惜しそうに私から離れると、そのままチルタリスに飛び移る。
穂乃果「レックウザ、興奮してるだけだと思うんだけど……!!」
海未「わかっています! 龍神様は地方の危機に、姿を現したんですよね!?」
ことり「レックウザさん!! 異変はわたしたちが解決します……!! だから──」
ことりちゃんが説得の言葉を投げかけるが──
「キリュリリュリシィィィィィ!!!!!!!!」
再び大きな咆哮をあげて威嚇し、
「キリュリシィィィィ!!!!!!!」
周囲に二つほど巨大な“たつまき”を発生させる。
ことり「……っ!!」
海未「……話が通じる状態ではなさそうですね」
「キリュリシィィィィ!!!!!!!」
レックウザが再び声をあげると、発生した“たつまき”はレックウザの意に従うかのように、こちらに向かって飛び掛かってくる。
海未「穂乃果っ!! 片方は任せますよ!!」
穂乃果「わかった!!」
そういった直後、海未ちゃんは目を瞑り──
海未「……そこです、ストライク。“いあいぎり”!」
「ストラィッ!!!!!」
ストライクの一薙ぎと共に、“たつまき”が一つ掻き消える。
穂乃果「よし……私たちも!! リザードン!! “かえんほうしゃ”!!」
「リザァーーーードッ!!!!!!!!」
リザードンが口からありったけの炎を放射し、その火力だけで、無理矢理“たつまき”を吹き飛ばす。
海未「……相変わらずでたらめな戦い方ですね」
穂乃果「え? 海未ちゃんの方がとんでも技だと思うんだけど……」
海未「とにかく火力で押し切る穂乃果の戦い方は合理的ではありません!」
穂乃果「そんなこと言われても……」
海未「全く……これで本当に強いんですから、困ったものです……」
困られても困るんだけど……。
100 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:36:32.65 ID:DoNfZkVt0
「キリュリリュリシィィィィ!!!!!!!」
レックウザは已然、威嚇の声をあげ続けるけど……。
穂乃果「あんまり、突っ込んでこないね……」
ことり「うん……驚かして追い払おうとしてる感じかも」
海未「……試しているんではないでしょうか」
穂乃果「試してる……?」
海未「今の私たちが……龍神様の力を借りずとも、この危機を振り払えるだけの力を持っているのかを、です」
「キリュリシィィィィ……!!!!」
海未ちゃんの言葉にレックウザが唸り声をあげる。
穂乃果「……そういうことなら、遠慮なく……!! ピカチュウ!!」
「ピカッ!!!!」
リザードンの頭の上に立つ、ピカチュウのほっぺの周りにパチパチと火花が走り、
それに呼応するように、周囲の雲が──ゴロゴロと、音を立て始める。
「ピカッ!!!!!」
ピカチュウが鳴き声と共に、周囲の雲から一気に雷撃が光る。
穂乃果「ピカチュウ!! “かみなり”」
「ピッカァーーーーッ!!!!!!!!!」
周囲一帯を巻き込む、強力な雷撃が、
「キリュリシィィ!!!!!!!」
レックウザを巻き込みながら、周囲に雷鳴と稲光を轟かせる。
「キリュリィ……!!!!!!」
雷撃に撃たれながらも、レックウザが反撃の意を示す。
周囲の空気を掌握し、そのままこちらに向かって、
「キリュリリュリシィィィィ!!!!!!!!!」
分厚い空気の壁をこちらに向かって飛ばしてくる。
──だが、
その空気の壁は私たちの前方で二つにわかれて、避けるように掻き消える。
「ティニ……!!!!!」
私のポケモンの炎熱エネルギーによって……!!
穂乃果「ビクティニ!! “かえんだん”!!」
「ティニィッ!!!!!!!」
ビクティニが作り出した巨大な火炎の弾が、レックウザに向かって飛び出す。
「キリュリリュリシィィィィ!!!!!!!!!」
101 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:44:29.36 ID:DoNfZkVt0
迎え撃つレックウザ、
“ハイパーボイス”の強力な音圧によって、“かえんだん”を揺らす。
その攻撃によって、“かえんだん”は徐々に小さくなり──最後は掻き消えてしまった、が。
「ティニィィィィ!!!!!!!!」
その影から、額に灼熱の炎を灯した、ビクティニが飛び出す。
穂乃果「“Vジェネレート”!!!」
「ティニィィ!!!!!!!」
最大火力まで宿った炎と共に、ビクティニがレックウザに突進攻撃をぶちかます。
「キリュリィッ!!!!!!!!!」
「ティニィッ!!!!!!!!!」
攻撃のインパクトと共に、炎熱エネルギーが解き放たれ──
周囲が閃光に包まれ、そのまま巨大な爆炎が巻き起こる。
さらに──
「ピカピカピカァーーー!!!!!!!!」
ピカチュウが全身に電撃を纏い、まるで自身が稲妻になったかのように辺りを高速で移動する。
電撃エネルギーを自身に集中させて放つ、ピカチュウの最強技──“ボルテッカー”。
「ピカァァァァーーーー!!!!!!!!」
そして、その電撃を更に集束させ、拳にのみ載せる、ピカチュウと一緒に編み出したオリジナルの必殺技──
穂乃果「ピカチュウ!! “ボルテッ拳”!!!!」
「ピッカァァァァァーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!」
「キリュリリュリシィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!」
飛び出したピカチュウの拳がレックウザに炸裂する。
インパクトと同時に、膨れ上がる雷のエネルギーが空気を轟かせ、至近距離でいくつもの雷鳴が響き渡る。
「キリュリィッ!!!!!!!!」
レックウザはその反動で、音ノ木の頂きに向かって、叩き落された。
「キリュリィ……ッ!!!!!!」
レックウザが墜落して、音ノ木の巨大な幹を揺らす。
レックウザはすぐに身を起こして、こっちを見上げていたけど……。
「キリュリィ……」
先ほどのような威圧感のあるような声とは違った啼き声をあげた後、
「──────キリュリリュリシイィィィィィィ!!!!!!!!!!!!」
102 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:45:33.97 ID:DoNfZkVt0
今度は地方全体に轟く様な、大きな啼き声を響かせる。
ただ……なんとなく、これは敵意のある声じゃないことはわかった。
海未「龍の止まり樹……そして、龍の咆哮の本当の正体……」
ことり「オトノキ地方を……ずーっと昔から見守ってくれてたんだね」
レックウザは長い長い、咆哮を終えた後、
「──キリュリシィ」
私たちを一瞥してから、天へと飛び立って──消えていった。
穂乃果「……認めてもらえたってことかな?」
海未「……恐らくは」
戦闘が終わり、風の音だけが鳴り続ける音ノ木の上空。
穂乃果「……じゃ、リザードン、いこっか」
「リザァ」
私はリザードンと一緒に飛び立とうとする。
ことり「ほ、穂乃果ちゃん……!!」
海未「……もう、行くのですか?」
そんな私に二人が声を掛けてくる。
穂乃果「うん。まだ全然冒険し足りないから……! この世界にはまだまだ、穂乃果の知らないことが、知らないポケモンが、知らない冒険が、たっくさんあるから!」
海未「……はぁ、貴方は自由ですね」
ことり「……でも、穂乃果ちゃんらしいかな」
穂乃果「だから……行くね!」
私は止まっていられないから……!
* * *
──穂乃果が飛び去ったあと、
ことり「ねぇ、海未ちゃん」
ことりが話しかけてくる。
海未「なんですか?」
ことり「穂乃果ちゃん……今度はどこにいくのかな」
海未「……何処に行くんでしょうかね」
それはわからない。穂乃果のことだから、私たちには想像も出来ないような冒険をしているんだろう。
103 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:47:53.48 ID:DoNfZkVt0
ことり「また、帰って来てくれるよね?」
海未「……ええ。そのうち、またひょっこり帰ってきますよ」
穂乃果はいつもそうだから。今回もそうだったし、次回があるならそのときもきっとそうなんだろう。
海未「私たちも地上に戻りましょうか」
ことり「うん、そうだね」
まだ、戦いは全て終わったわけではないのですから……。
レックウザに任されたこの地方をしっかり守るために、私たちは再び地上へと戻るのでした。
* * *
──クロサワの入江。ダイヤ、鞠莉。
ダイヤ「──……っ゛」
鞠莉「ダイヤ……っ!! ディアルガのパワー……落ちてるわよ……っ!!」
ダイヤ「わ、わかってます、わ……っ!!!」
鞠莉さんから叱咤が飛んでくる。
わたくしは再び、足腰に力を入れ踏ん張り直して、掌の上に乗せている“こんごうだま”を握り込む。
すると、僅かに小さくなりかけていた、やぶれた世界へのホールがまた大きくなっていく。
そうは言っても鞠莉さんも顔を歪めながら、“しらたま”を握っている。
鞠莉「これ……っ!! 思った、以上に……っ きつい、わね……っ」
集中して、珠から命令を送っているだけのはずなのですが、
ダイヤ「脳が、焼き切れそう……ですわね……っ……」
流れ込んでくるディアルガの意識と同調させようとするだけで、頭の中が発熱して、壊れそうになる。
鞠莉「伝説の、ポケモンを、直接、操るのは……やっぱ、並大抵の……ことじゃ、なさそうね……っ」
ダイヤ「聖良さん、は……こんな、ことを……やりながら……っ……戦闘していたの、ですか……っ」
全身の筋肉が痙攣し、脂汗が滲んでくる。
鞠莉「でも……途中で、止めちゃ、ダメよ……!!」
ダイヤ「ええ、もちろん……っ!! ルビィたちが、戻ってくるまで、は……っ!!」
鞠莉「もし途中で、ぶっ倒れても……っ!! 叩き起こしてあげるから……っ!! 安心して……っ!!」
ダイヤ「ふふ……っ そのとき、は、お願いします、わ……っ!!」
* * *
104 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:49:05.23 ID:DoNfZkVt0
善子「…………」
曜「ダイヤさんたち、大丈夫かな……」
曜が不安そうに声をあげる。
花丸「マルたちはもう見守るしかないずら……」
梨子「手の出しようがないもんね……」
鞠莉も、ダイヤも、苦悶の表情を浮かべながら、パルキアとディアルガにそれぞれ指令を送っている。
ここまで来て戦力外通告をされた私たちにはもう出来る仕事はない。
あとは信じて見守るだけだ。
──と、思った矢先。
自分のバッグの中で何かがガタガタ震えていることに気付く。
善子「……?」
何かと思いながら、バッグを開け放つと、
「ロトーーー!!!!!」
ロトムが飛び出してきた。
……そういえば、パルキアと戦う前にバッグに隠れるように言ってたのを忘れていた。
花丸「ロトム?」
「大変ロトーーー!!!!!」
曜「ど、どうしたの?」
「すぐ近くにポケモンの反応ロト!!!!!」
梨子「え!?」
善子「ポケモン……」
私は、咄嗟に辺りに視線を配る──すると、洞窟の暗がりの中に、ぼんやりと浮かんでいる闇色のポケモンたち。
「──ヤミ」「ヤミラッ」「ヤミィ…」
善子「あれ……ヤミラミ……!?」
梨子「そんな……!? 親玉のヨノワールは倒したのに……!!」
花丸「たぶん、新しく呼び出せなくなっただけで、もともとこの洞窟に大量発生して潜んでたんじゃ……!」
曜「パルキアとディアルガから逃げてたのが、また出てきたってこと!?」
何匹いる……? 闇に溶けていて正確な数がわからない。
けど、目視出来るだけで少なくとも10匹はいる。
「ヤミィッ!!!!」
そのうち一匹が飛び掛かってくる。
105 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:50:30.97 ID:DoNfZkVt0
善子「!! ムウマージ!!」
「ムマァーージ!!!!!」
善子「“シャドーボール”!!」
「ムマァーーーージ!!!!!!!!」
「ヤミッ」
すかさずムウマージを繰り出し、撃退する。
だが、
「ヤミッ!!!!」
次が飛んでくる。
花丸「デンリュウ!! “10まんボルト”ずら!!」
「リュゥウーーー!!!!!!」
「ヤミィッ!?」
今度はずら丸が、撃退。
だが、堰を切ったように、ヤミラミたちが次々と飛び掛かってくる。
曜「ダダリン!!」
「────」
曜がすかさず前方にダダリンを繰り出す。
ダダリンは重量感たっぷりに──ズシン、と音を立てて現われて、“とうせんぼう”でヤミラミたちの進路を防ぐ。
その背後から、
梨子「メブキジカ!! “しぜんのちから”!!」
「ブルルッ!!!!」
リリーの指示。
メブキジカの“しぜんのちから”が“いわなだれ”になって、ダダリンの前方のヤミラミたちに降り注ぐ。
「ヤミッ」「ヤミミッ」
それでも、数匹かが突っ込んでくる。
曜「ダダリン!! “アンカーショット”で薙ぎ払え!!」
「────」
ダダリンが大きな錨を振るって、鎖とアンカーでヤミラミたちをまとめて吹き飛ばす。
「ヤァミッ!!!!」「ヤミーーッ!!!!!」
それでも次から次へとヤミラミが飛んでくる。
花丸「き、キリがないずらぁ!!」
善子「っ……!!」
私は背後の鞠莉とダイヤを振り返る。
鞠莉「っ゛……!!!」
ダイヤ「……っ……!!」
106 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:51:14.86 ID:DoNfZkVt0
二人は賢明にパルキアとディアルガに指示を送り続けている。
今ここを通すわけにはいかない。
善子「全員、気張りなさいっ!!! 千歌たちが戻ってくるまでの辛抱よ!!!」
私は声を張り上げた。
全員もうまともに戦う力が残ってないのは百も承知だ。
それでも、ここだけは通させない。
曜「ヤミラミくらい……!! いくら、襲ってきたって負けないよ……!!」
梨子「こっちは、さっきまでパルキアと戦ってたんだから……っ!!!」
花丸「ずらぁっ!! あともう一踏ん張りずらぁ!!」
善子「行くわよっ!!!」
──私たちは最後の防衛線に臨むのだった。
107 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:51:57.80 ID:DoNfZkVt0
>レポート
ここまでの ぼうけんを
レポートに きろくしますか?
ポケモンレポートに かこんでいます
でんげんを きらないでください...
【クロサワの入江】
口================= 口
||. |⊂⊃ _回../||
||. |o|_____. 回 | ⊂⊃| ||
||. 回____ | | | |__|  ̄ ||
||. | | 回 __| |__/ : ||
||. ⊂⊃ | ○ |‥・ ||
||. | |. | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ||
||. | |. | | | ||
||. | |____| |____ / ||
||. | ____ 回__o_.回‥‥‥ :o ||
||. | | | | _. / : ||
||. 回 . |_回o | | : ||
||. | |  ̄ |. : ||
||. | | .__ \ : ||
||. | ○._ __|⊂⊃|___|. : ||
||. |___回○__.回_ _|‥‥‥: ||
||. /. 回 .| 回 ||
||. _/ o‥| | | ||
||. / | | | ||
||./ ●回/ ||
口=================口
108 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/12(日) 22:53:28.35 ID:DoNfZkVt0
主人公 梨子
手持ち メガニウム♀ Lv.50 特性:しんりょく 性格:いじっぱり 個性:ちょっぴりみえっぱり
チェリム♀ Lv.48 特性:フラワーギフト 性格:むじゃき 個性:おっちょこちょい
ピジョット♀ Lv.47 特性:するどいめ 性格:ひかえめ 個性:ものおとにびんかん
ネオラント♀ Lv.39 特性:すいすい 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
メブキジカ♂ Lv.48 特性:てんのめぐみ 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
バッジ 5個 図鑑 見つけた数:133匹 捕まえた数:13匹
主人公 曜
手持ち カメックス♀ Lv.52 ✿ 特性:げきりゅう 性格:まじめ 個性:まけんきがつよい
ラプラス♀ Lv.46 特性:ちょすい 性格:おだやか 個性:のんびりするのがすき
ホエルオー♀ Lv.44 特性:プレッシャー 性格:ずぶとい 個性:うたれづよい
ダダリン Lv.44 ✿ 特性:はがねつかい 性格:れいせい 個性:ちからがじまん
カイリキー♂ Lv.41 ✿ 特性:ふくつのこころ 性格:まじめ 個性:ちからがじまん
タマンタ♀ Lv.40 ✿ 特性:すいすい 性格:むじゃき 個性:こうきしんがつよい
バッジ 2個 図鑑 見つけた数:159匹 捕まえた数:23匹 コンテストポイント:48pt
主人公 善子
手持ち ゲッコウガ♂ Lv.49 特性:げきりゅう 性格:しんちょう 個性:まけずぎらい
ムウマージ♀ Lv.48 特性:ふゆう 性格:なまいき 個性:イタズラがすき
シャンデラ♀ Lv.50 特性:もらいび 性格:れいせい 個性:ぬけめがない
ユキメノコ♀ Lv.42 特性:ゆきがくれ 性格:おくびょう 個性:こうきしんがつよい
アブソル♂ Lv.56 特性:せいぎのこころ 性格:ゆうかん 個性:ものおとにびんかん
グラードン Lv.75 特性:ひでり 性格:すなお 個性:こうきしんがつよい
バッジ 1個 図鑑 見つけた数:138匹 捕まえた数:52匹
主人公 花丸
手持ち ドダイトス♂ Lv.43 特性:しんりょく 性格:のうてんき 個性:いねむりがおおい
カビゴン♂ Lv.40 特性:くいしんぼう 性格:のんき 個性:たべるのがだいすき
デンリュウ♂ Lv.34 特性:プラス 性格:ゆうかん 個性:ねばりづよい
キマワリ♂ Lv.33 特性:サンパワー 性格:きまぐれ 個性:のんびりするのがすき
フワライド♂ Lv.30 特性:ゆうばく 性格:おだやか 個性:ねばりづよい
イノムー♂ Lv.40 特性:あついしぼう 性格:ようき 個性:たべるのがだいすき
バッジ 1個 図鑑 見つけた数:113匹 捕まえた数:40匹
主人公 鞠莉
手持ち マフォクシー♀ Lv.68 特性:マジシャン 性格:がんばりや 個性:ちょっぴりみえっぱり
ギャロップ♀ Lv.66 特性:ほのおのからだ 性格:おとなしい 個性:のんびりするのがすき
サーナイト♀ Lv.70 特性:トレース 性格:まじめ 個性:かんがえごとがおおい
ビークイン♀ Lv.64 特性:きんちょうかん 性格:すなお 個性:うたれづよい
ポリゴンZ Lv.64 特性:てきおうりょく 性格:なまいき 個性:イタズラがすき
メタモン Lv.61 特性:かわりもの 性格:まじめ 個性:かんがえごとがおおい
パルキア Lv.75 特性:テレパシー 性格:せっかち 個性:ちのけがおおい
バッジ 8個 図鑑 見つけた数:468匹 捕まえた数:312匹
主人公 ダイヤ
手持ち ジャローダ♀ Lv.69 特性:あまのじゃく 性格:いじっぱり 個性:まけんきがつよい
メレシー Lv.66 特性:クリアボディ 性格:まじめ 個性:とてもきちょうめん
ミロカロス♂ Lv.70 特性:かちき 性格:れいせい 個性:まけんきがつよい
ハガネール♀ Lv.72 特性:がんじょう 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
オドリドリ♀ Lv.63 特性:おどりこ 性格:おっとり 個性:とてもきちょうめん
アマージョ♀ Lv.67 特性:じょおうのいげん 性格:さみしがり 個性:あばれることがすき
ディアルガ Lv.75 特性:テレパシー 性格:れいせい 個性:ぬけめがない
バッジ 8個 図鑑 見つけた数:267匹 捕まえた数:114匹
梨子と 曜と 善子と 花丸と 鞠莉と ダイヤは
レポートを しっかり かきのこした!
...To be continued.
109 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:32:49.76 ID:SDtZ71oz0
■Chapter076 『決戦! グレイブ団ボス・聖良!』 【SIDE Chika】
──やぶれた世界。
千歌「や、やっと……辿り着いた……」
私は上下左右がデタラメなこの世界にて、やっとの思いで果南ちゃんの元へと辿り着いたところだった。
果南「千歌……お疲れ様」
千歌「ここホントに無茶苦茶だよぉ……ムクホークで“おいかぜ”しても、風が吹く方向がめちゃくちゃで……」
果南「ホントにね……」
果南ちゃんも随分苦戦してるようだった。
果南「目に見えてることと、実際の向きがぐちゃぐちゃなのは正直困る……。……って、何してんの千歌?」
千歌「んー……ここまで近いと向きはあんまり関係ないんだなって思って」
果南ちゃんの前で右に左に踏み出したり、足を戻したりしてみるけど、この距離だとちゃんと思ったとおりに果南ちゃんに近付いたり離れたり出来る。
果南「距離が関係してるのかな……? 離れるほど、無茶苦茶になるとか。ヌオー、出てきて」
「ヌオー」
そう言って果南ちゃんはヌオーをボールから出す。
果南「“マッドショット”」
「ヌオー」
ヌオーが地面に手を付くと、泥の塊が飛び出す。
その泥たちはある程度の距離まで直進した後──急に進行方向を逸れて、右に行ったり左に行ったりしながら遠ざかっていく。
千歌「確かに……近くにある間はちゃんと前に進むみたいだね」
果南「“マッドショット”自体はちゃんと直進してるんだと思うんだよね。だから、私たちも前に進むと、あの泥とかと同じように右に行ったり左に行ったりするんだと、思う。たぶん」
果南ちゃんもこの空間の仕組み自体は苦手みたいだけど……私よりは長くいる分、ずっと考えてはいたみたいだ。
千歌「うーん……でも、それがわかってもなぁ……。せめて、風が目に見えれば」
果南「風……? どういうこと?」
千歌「あ、えっと……“おいかぜ”を使うと背中側から前に向かって、風が吹くでしょ? だから、“おいかぜ”の吹いてる方向さえ目に見えれば、前はわかるかなって」
果南「……それだ」
千歌「え?」
果南「千歌、もう一度“おいかぜ”出来る?」
千歌「う、うん。ムクホーク、“おいかぜ”」
「ピィィィ!!!!!」
傍らで待機していた、ムクホークは翼を羽ばたかせて“おいかぜ”を発生させる。
果南「よし、ヌオー。“あまごい”」
「ヌオー」
今後はヌオーが鳴きながら、欠伸をすると、ポツポツと雨が降り出す。
それはすぐに強い雨へと変わって行き──
110 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:34:59.38 ID:SDtZ71oz0
千歌「……!」
その雨は“おいかぜ”に押されて、私たちの背中に横殴りになった雨となって降り注ぐ。
背中側から横殴りにされてる……ということは、
千歌「雨が“おいかぜ”の進行方向を示してる……!!」
私たちから離れたところで、雨はうねる様に進行方向を変えているのが見える。
果南「これなら、前がわかる」
千歌「うん!」
果南「随分と引き離されちゃったからね……これで、どうにか追いつかないと」
果南ちゃんが浮いている地面から、下方に目をやる。
ここまで辿り着くまでずっと、目にしていたけど、
そこでは、高速で飛び回る大きなポケモンとそれを追う人影が一つ。
千歌「聖良さんとギラティナ……!」
果南「千歌は聖良と話するんでしょ?」
千歌「! うん」
果南「じゃあ、一緒に行こうか。……って、言っても私今飛べないから……」
千歌「うん! ムクホークに乗って! 行こう、果南ちゃん!」
私は果南ちゃんに手を差し伸べ、うねる風雨の中を、飛び出したのだった。
* * *
「──ギシャラーーーッ」
ギラティナは已然、不気味な啼き声をあげながら、この異様な空間を自在に飛んでいる。
聖良「プテラ」
「テラァッ!!!!」
指で逐一、方向を指し示しながら、軌道を修正する。
「──ギシャラァァッ!!!」
ギラティナは逃げ回りながら、こちらを睨みつけるように目をギョロリと動かす。
聖良「驚くのも無理はありません。まさか、こうも自在にこの空間を追いかけてくるとは思ってもみなかったでしょうから。ただ、こちらはこの“やぶれた世界”に辿り着くために、何年も研究をしてきたんです。このくらいで撒かれたりしませんよ」
「──ギシャラァ……!!!!」
そんな私の発言を聞いてなのか、ギラティナの目が光った。それと同時に──
聖良「……おっと」
プテラが明後日の方向に飛び始める。
111 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:37:10.77 ID:SDtZ71oz0
「──ギシャラァ」
聖良「……空間内の仕組みを変えられたようですね……。さっきとは更に左右だけが逆になった。貴方が本当にこの世界を支配している存在というのは間違いないようですね。……ですが」
すぐさま、その軌道を修正し、再びギラティナを追う。
「──ギシャラァッ!!!!!」
再び、ギラティナは目を光らせ、空間の仕組みを組み替える──が、
今度は全く動じず、先ほどと同様にギラティナを追いかけ続ける。
「──ギシャラァッ」
聖良「事象を逆転させられるのが、貴方だけの力だと思うのは過信だと思いますよ」
そう言う、私の背中から、小さなポケモンが顔を出す。
「マーイーカ」
聖良「マーイーカの“ひっくりかえす”を応用すれば、何度この空間を組み替えられても、私の周囲だけは元に戻すことが出来ます。言ったではないですか、何年も研究をしてきたって……!」
一気にギラティナに距離を詰める。
聖良「覚悟してください──ギラティナ……!!」
「──ギシャラァッ!!!!!」
いよいよギラティナに追いつこうか──というそのとき、
「ルガルガン!! “ストーンエッジ”!!」
「ワォォーンッ!!!!」
聖良「!!」
声と共に、背後から鋭い岩石が飛んでくる。
聖良「プテラ!!」
「テラァッ!!!!」
プテラは“つばさでうつ”で岩石をいなす。
聖良「……また、貴方ですか」
「聖良さん……!! もう、こんなことやめてください!!」
岩石が飛んできたルートを逆算して、目をやると、そこにはこの計画の間、期せずして何度も会うことになった少女の姿。
聖良「千歌さん」
千歌さんはムクホークで空を飛びながら、ルガルガンを従え、私の方へと迫ってくる。
聖良「……ここまで、追ってくるなんて、正直予想していませんでしたよ」
千歌「聖良さん……!! こんなことしても誰も笑顔になれないよ……!!」
聖良「それを決めるのは貴方ではありませんよ」
千歌「……っ」
聖良「……相手をしてあげたいところですが、生憎今はそれどころでは──」
言いながらギラティナに視線を戻そうとした瞬間。
112 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:39:19.51 ID:SDtZ71oz0
「──ギシャラァッ!!!!!!」
聖良「!」
逃げ続けることを観念したギラティナが襲い掛かってきているところだった。
聖良「やっと、来ましたか……!!」
ギラティナが胴体の爪を立てて、攻撃を仕掛けてくる──“シャドークロー”……!!
──だが、
ギラティナの攻撃は届くことなく、凍りつく。
「──シャランシャラン」
聖良「フリージオは周囲の空気を凍らせて、その身を保っている超低温のポケモンです。掴まえましたよ……!!」
「──ギシャラァッ!!!!!!」
ギラティナが叫びながら身を捩るが、氷はどんどん広がり、ギラティナの動きを封じる。
聖良「ついに、悲願が……!!」
千歌「バクフーン!!!」
「バクフッ!!!!!!!」
聖良「!?」
背後からの声にハッとすると、同時に辺りの気温が炎熱によって一気に上昇する。
その“ねっぷう”はフリージオの氷の身体ごと溶かしつくし、
聖良「フリージオ!!」
「──ギシャラァッ!!!!!」
ギラティナが解放されてしまう。
聖良「邪魔をしないで貰えませんか?」
千歌「言ってもやめてくれないなら……私は戦ってでも聖良さんを止めます」
聖良「……ほう」
威勢のいい少女に目を配る。
聖良「貴方が私に勝てるとでも?」
千歌「勝てるかじゃない……」
聖良「……」
千歌「勝つんだ……!!」
言いながら千歌さんが、ムクホークと共に飛び出してくる。
聖良「……いいでしょう、そこまで言うなら相手をしてあげますよ」
「テラァッ!!!!」
私は自らの肩を掴んで飛行するプテラに指示を出し千歌さんの方へと飛び出す。
──と同時に、右方向に錐揉み回転をしながら、僅かに場所を横にずらす。
すると、そこに、
「──ギシャラァァッ!!!!!」
113 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:42:24.99 ID:SDtZ71oz0
背後からギラティアの巨大な爪が空を薙ぐ。
攻撃が外れると同時に、ギラティナは口に“シャドーボール”の集束を始め──放つ。
千歌「!」
──千歌さんの方へ。
千歌「ルガルガン!! “ドリルライナー”!!」
「ワォンッ!!!!!」
辺りに浮かんでいる岩石を蹴りながら、ルガルガンが身を捻った突撃で、“シャドーボール”を粉砕する。
聖良「この空間に置いては貴方も招かれざる客に変わりありません……!! ギラティナの攻撃を避けながら、私を倒せますか……!?」
千歌「……くっ」
「──ギシャラァッ!!!!!」
ギラティナが今度は千歌さんの居る方向に爪を立てようとした、瞬間。
──地面から腕が飛び出してきて、ギラティナの爪を掴んだ。
聖良「な!?」
果南「ラグラージ!! そのまま、押し出せ!!」
「ラァグッ!!!!!」
「──ギシャラァッ!!!!!」
地面から飛び出したラグラージが野太い腕で掴み、そのまま中を浮く地面から、ギラティナごと一気に寄り切る。
千歌「果南ちゃん!!」
果南「ギラティナは任せて!! 千歌は、聖良を……!!」
千歌「うん……!!」
そのまま、果南さんはラグラージと共に上方に向かって落ちている滝に、飛び込むようにしてギラティナを押し込み、その滝を“たきのぼり”でギラティナごと昇って行ってしまった。
聖良「……やってくれましたね」
千歌「……!」
聖良「……果南さん共々……貴方のような、ひよっこトレーナーが、私に勝てると本気で思っているんですね」
千歌「……行くよ、皆!!」
「バクフッ!!!!!」「ピィィッ!!!!!」「ワォンッ!!!!!!」
聖良「いいでしょう……!! 目的の邪魔するなら、排除するしかないですからね……! 恨まないでくださいよ……!」
* * *
千歌「バクフーン!! “かえんほうしゃ”!!」
「バクフーンッ!!!!!!!」
バクフーンが口から火炎を発射する。
聖良「マーイーカ、“ひかりのかべ”!」
「マーイーカッ!!!!」
114 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:43:24.89 ID:SDtZ71oz0
聖良さんはその炎を“ひかりのかべ”で半減させながら、
聖良「まずはその邪魔な炎を止めます……!! ツンベアー!!」
「ベァァッ!!!!!」
飛び出したのは大きな体躯のシロクマポケモンのツンベアー。
聖良「“ゆきなだれ”!!」
「ベアァァッ!!!!!!」
ツンベアーの足を踏み鳴らすと、冷気によって作り出された大量の氷雪が“かえんほうしゃ”を掻き消しながら、雪崩のように襲い掛かってくる。
千歌「ムクホーク!! 飛んで!!」
「ピィィィ!!!!!」
ムクホークに掴まって私は地上から離脱し、
千歌「バクフーン!! “ふんえん”で吹き飛ばせ!!」
「バクフーッ!!!!!」
“ゆきなだれ”に向かって、高熱の“ふんえん”で対抗する。
「バクフーーーーッ!!!!!!!!」
背中の炎を激しく猛らせながら、迫り来る雪崩をどんどんと溶かす。
千歌「よし、そのまま……──!?」
──ふと、目を凝らすと、バクフーンの前にユラリと影が居た。
聖良「ヤミラミ! “ねこだまし”!」
「ヤミッ!!!」
その影はヤミラミ。両の手をバクフーンの目の前で叩き、
「バクフッ!!?」
バクフーンをひるませる。
そして、怯んで炎の勢いが緩んでしまったと、思ったら。
──空気中から氷の鎖が飛び出てきて、バクフーンに絡みつく。
千歌「な!?」
聖良「先ほど、貴方が溶かしたフリージオですよ」
「────シャランシャラン」
フリージオは鈴の音ような鳴き声を出しながら、バクフーンを凍結させていく。
聖良「フリージオは溶けると水蒸気になって掻き消えてしまいますが、また温度が下がってくると元の形に結晶化して姿を現します。溶かしたのは悪手でしたね」
身動きの取れない、バクフーンはそのまま、“ゆきなだれ”に飲み込まれていく。
千歌「バ、バクフーン!! ……っく、ルガルガ──」
聖良「“つららおとし”!!」
「ベァァーーー!!!!!」
千歌「!?」
115 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:46:27.33 ID:SDtZ71oz0
気付けば、ツンベアーは次の攻撃行動、ルガルガンに向かって大きなつららを落として攻撃していた。
「ギャゥッ!?」
千歌「ルガルガン!?」
大量のつららが直撃し、それに埋まっていくルガルガン。
聖良「余所見してる場合じゃないですよ?」
「ピィィィッ!!!?」
千歌「!?」
今度はすぐ近く、自分が現在進行形で脚に掴まって飛んでいるムクホークから、声があがる。
慌てて、見上げると、そこには──先ほどバクフーンに攻撃をしかけたヤミラミがムクホークの背中の上に移動していた。
聖良「“イカサマ”!!」
「ヤミッ!!!!」
「ピギィッ!!!!?」
背中の上からヤミラミの攻撃を受け、ムクホークは為す術なく、地面に向かって墜落を始める。
千歌「くっそ……っ!!」
展開が速すぎて頭が追いつかない。
これが、実力の差だとでも言うんだろうか、
──でも、
千歌「負けるかぁ……っ!!!」
「ピピピィッ!!!!!!!」
墜落寸前のところで、ムクホークは体勢を立て直し、中空に浮かぶ地面の上スレスレを飛びながら再び空中へと舞い戻る。
──だが、
聖良「気合いは認めますよ」
「ベアァァッ!!!!!!」
千歌「……っ!!」
再び飛び立ったムクホークの進路には、ツンベアーの姿、
そのまま、大きな腕でムクホークを鷲掴みにし、
「ピィィィッ!!!?」
ムクホークの脚に掴まっていた私ごと、まとめてさっき果南ちゃんがギラティナを押し込んだ滝に向かって、投げ飛ばされる。
──ザバンッ。
音を立てて、滝に飲み込まれ、そのまま下流に向かって流される。
「ピ、ピィィィィ!!!!!」
千歌「っく……!!」
私は咄嗟に、泳げないムクホークを戻しながら、次のボールを開閉した。
──手持ちの力によって、水上に顔を出す。
116 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:47:20.10 ID:SDtZ71oz0
「ゼルルッ!!!!」
千歌「フローゼル!! “たきのぼり”!!」
上に向かって落ちている滝を登る。
聖良「今度は水中戦ですか? いいでしょう」
「ベアァッ!!!!!」
ツンベアーが滝に飛び込んでくる。
そして、大きな腕で水を掻きながら、こっちに向かってくる。
千歌「!? す、水中もいけるの!?」
ツンベアーはものすごい勢いで、迫る。
聖良「ツンベアーの特性は“すいすい”です!! むしろ、泳ぐのは得意ですよ!!」
そのまま、大きな爪で襲い掛かってくる。
聖良「“きりさく”!!」
迫る爪に向かって、
千歌「“うずしお”!!」
「ゼルルルッ!!!!!!」
フローゼルは尻尾のスクリューを回転させ、渦を作り出し、それをツンベアーに向けてぶつける。
「ベァァッ!!!」
千歌「得意って言っても、みずタイプに勝てるほどじゃないよね……!? “ハイドロポンプ”!!」
「ゼリュゥゥゥゥ!!!!!!!」
フローゼルは、激しい水流を口から吐き出して、ツンベアーを水中から追放する。
聖良「サメハダー!!」
だが、休む間もなく、新手のボールが放り込まれる。
「シャァァァーーーー!!!!!!」
聖良「“アクアジェット”!!」
千歌「!!」
サメハダーが水中の私たちに猛スピードで突っ込んでくる。
避ける間もなく、水中で突撃され、
「ゼルッ!!!!」
フローゼルが攻撃を受けて仰け反ったと、思った次の瞬間には、
千歌「……がっ!?」
Uターンしてきた、サメハダーの突進が今度は私の背中に突き刺さる。
衝撃に、フローゼルに掴まっていた手を放してしまうが、
117 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:50:04.56 ID:SDtZ71oz0
「ゼルルッ!!!!」
フローゼルが私の服に噛み付く形で、救出される。
──しかし、サメハダーの攻撃は終わらない。
「ゼルッ……!!!」
千歌「……ぐっ……!! がぼっ……!!」
サメハダーの攻撃はどんどん“かそく”していく。
息継ぎのために水の外に顔を出す暇さえない。
──このままじゃ、ダメだ……!!
とにかく反撃……!!
「ゼルゥッ!!!!!」
フローゼルがデタラメに“アクアテール”を振るう。
「シャァァァッ!!!!!!!」
当然のように難なく避けたサメハダー──
が、避けたのは一本目。
フローゼルの尻尾は二本ある。
「シャァァッ!!!?」
「ゼルッ!!!!!!」
鼻っ面に“ダブルアタック”の二撃目を叩き込み、
その反作用を使って、どうにか滝の外に脱出する。
私たちはそのまま、近くの浮いている足場に落ちていく。
千歌「しいたけ!!」
私はその足場に向かってボール放る。
「ワフッ!!!!」
しいたけはボールから出るとすぐさま、“コットンガード”で自らの体を膨張させ、私とフローゼルを受け止める形で、地面との激突を防いでくれる。
千歌「は……っ……はぁ……っ……」
息が切れる。……強い。
聖良「……力の差がわかりましたか?」
聖良さんはプテラに掴まったまま、こちらを見下ろして声を掛けてくる。
118 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:54:24.00 ID:SDtZ71oz0
千歌「……どうして」
聖良「?」
千歌「どうして、こんな力を持ってるのに、それを誰かが哀しむ使い方をするんですか……!!」
聖良「……この期に及んで、説教ですか」
千歌「これだけの強さ……もっと他の使い方をすれば、もっといろんなことが出来るはずなのに……!」
聖良「そうかもしれませんね。ただ、私たちの目的がそういうこととは噛み合わなかった。ただ、それだけです」
千歌「その目的は、ポケモンを、人を犠牲にして、そこまでして叶える必要があるんですか……!?」
聖良「……そこまでする理由が私にはあるんです」
千歌「どうして……!!」
聖良「……千歌さん、貴方は幸せに生きてきたんですね」
千歌「……しあ、わせ……?」
聖良「世の中には、どうしようもない境遇の中で、気付けば全てを理不尽に取り上げられるしかなかった人も居る。親を失い、住む家も、毎日の食事にすら満足にありつけず……生まれてきたことを恨み、世界を憎み、生きるために強くなるしかなかった人間も居るんですよ」
千歌「……っ……だとしても、それは誰かを傷つけていい理由にはならないよ!!」
聖良「その通りです。これが良い事だなんて、ハナから思っていませんよ。それでも、私は目的のためなら、鬼にでも悪魔にでもなると、決めたんです。大切なものをこれ以上取りこぼさないために……」
千歌「それで得たものに本当に価値なんかあるんですか……!?」
聖良「それは、手に入れてみないとわからない……。ただ、何も知らず、何も出来ず、何も望めず、諦めるしかないまま、ただ失うなんて……バカらしいじゃないですか」
千歌「だから……!! それを皆で手を取り合って探せばいいって、言ってるんじゃないですか……!!」
聖良「……この話は平行線ですね。無意味です。裏切りからも、孤独からも無縁に生きてきた人間にはわかりませんよ」
千歌「……それはポケモン相手でもですか……!?」
聖良「…………」
私の叫びに聖良さんの動きが一瞬止まる。
千歌「確かに意地悪なことをしてくる人が世の中にいるのくらい私も知ってる……どうしようもないことしてくる人とか、嫌なことを言われることもある。そういうとき悲しくなったり、腹が立ったりする気持ちもわかる。でも、それはポケモンに対してもそうですか……?」
聖良「……何が言いたいんですか?」
千歌「人間みたいに、人の言葉を喋れるわけじゃないポケモンたちにも……同じように、恨みや憎しみを感じるんですか……?」
聖良「それは……」
千歌「……ツンベアーも、マーイーカも、フリージオも、プテラも、ヤミラミも、サメハダーも……聖良さんのことを信頼してるから、ここまで力を発揮出来る。それは聖良さんも同じで、自分のポケモンたちを信頼してるからじゃないですか……?」
聖良「…………」
千歌「寂しいとき傍に居てくれて……悲しいときは寄り添ってくれる……そんなポケモンたちを……信頼出来る仲間たちを傷つけてまで……やらなくちゃいけないことなんですか……?」
聖良「……うるさい」
千歌「……!」
聖良「……どうして、貴方にそんなことを説教されなくてはいけないんですか……? 何度も言ってるじゃないですか、恵まれて生きてきた貴方には何も──」
千歌「──私は……!!」
ただ、叫ぶ──自分が見てきた景色を、想いを伝えるためだけに、
千歌「世界は……!! いつも私たちが生まれてくるのを待っていてくれてると思う……!! 一緒にいるポケモンたちも、親しい人たちも、更に繋がる人もポケモンも、みんな望まれて生まれてくるから……!! 大切って想い合える存在なんだって……っ!!」
聖良「…………」
千歌「辛いこと、悲しいこと、いっぱいある。理不尽でやるせなくて、どうしようもないこともある……それでも最初はみんな誰かに望まれて生まれてくるんだよ……!! きっとそれは聖良さんたちも同じだよ……だから、どんな理由があっても、それを奪う権利なんて誰にもない……!!」
聖良「綺麗ごとを……」
千歌「もう、やめようよ……誰かから奪って手に入れたものの先に……明るいものなんて何もないよ……私たちにも、聖良さんたちにも、ポケモンたちにも……妹さんにも──」
聖良「黙りなさい」
千歌「……っ!」
119 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:56:49.51 ID:SDtZ71oz0
冷酷な言葉が飛んでくる。
聖良「……今更、後に引けるわけもないじゃないですか。もう、いろんなものを犠牲にしてしまった。もう、全て手に入れるか、全て失うしかないんですよ」
千歌「聖良さん……!!」
聖良「私は全てを手に入れます……理亞のためにも。ギラティナを掴まえ、そして──ディアンシーを手に入れるために戦いますよ。貴方は……その目的の阻害をしている。なら、排除するしかない」
千歌「……っ」
聖良「……辞めて欲しいなら、力尽くで止めればいい……。私と、理亞は……ずっとそうやって手に入れてきたんですから、それを行使された上で文句なんて言いませんよ。出来るものならですが……!!」
聖良さんが、私に向かって指を突きつける。
聖良「プテラ!! “ストーンエッジ”!!!」
「テラァッ!!!!!」
千歌「……っ!!」
鋭い岩がこちらに向かって飛んでくる。
千歌「ルカリオッ!!!」
「グゥォッ!!!!!」
千歌「メガシンカッ!!!!」
「グゥォッ!!!!!!」
ボールから飛び出したルカリオが私のメガバレッタの光に呼応して、メガシンカする。
メガルカリオは波導の力によって作り出した武器で、“ストーンエッジ”を弾き飛ばす。
120 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:57:36.97 ID:SDtZ71oz0
千歌「……みんなァッ!!」
私はバトルフィールド上に散らばる仲間たちに聞こえるように声を張り上げる。
千歌「わたしは……っ!! 聖良さんを止めたい……っ!! だから、みんなの力を貸してぇっ!!」
「グゥォッ!!!!!!」
ルカリオがその声に呼応するように、後ろ手に構えた両手の間に、巨大な波導の弾を作り出す。
──それと同時に、先ほどまで居た、雪崩に巻き込まれた足場から、熱気が溢れてくる。
「バクフーーーーッ……!!!!!!!」
氷を溶かしながら、バクフーンが立ち上がる。
一方で、大きなつららたちに沈んだ、ルガルガンが、
「ワォォンッ!!!!!!」
つららを自身の鋭い岩で砕き割りながら、立ち上がる。
ガタガタと揺れる腰のボールから、
「ピィィィ!!!!!!」
ムクホークが飛び出し、
「ゼルルッ!!!!!」
フローゼルが、尻尾のスクリューを回転させながら、再び滝へと飛び込む。
「ワフッ!!!!」
そして、しいたけが目を見開きながら、私の戦意に呼応するように鳴き声をあげた。
千歌「いくよ!!! みんなっ!!!!」
「バクフッ!!!!」「ピィィィッ!!!!!!」「ワォーーーーンッ!!!!!!!」「グゥォッ!!!!!!!」「ゼルルッ!!!!!!!!」「ワッフッ!!!!!!!」
私は立ち上がって、ムクホークと共に空へと翔けだした。
* * *
121 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 03:58:49.19 ID:SDtZ71oz0
「バクフーーーッ!!!!!!!」
「────シャラン」
バクフーンが熱波で、再び一気にフリージオを蒸発させる。
聖良「……!! ツンベアー!! もう一度、“ゆきなだれ”──」
千歌「“アクセルロック”!!」
「ワォォーンッ!!!!!!」
ルガルガンが足場を蹴って、ピンポン玉のように跳ね返りながら、
「ベェァッ!!!!!」
神速の一撃をツンベアーに向かって叩き込む。
聖良「く……!! ツンベアー!!」
「ベェァァッ!!!!!!」
だが、ツンベアーはそれだけでは倒れない、腕を振り上げた──
ところに、青い波導の球体が飛んでくる。
「ベェァッ!!!!!」
「グゥォッ!!!!!」
先ほどからルカリオがチャージしていた、“はどうだん”を炸裂させた。
そして、今度は、
「シャァァァッ!?」
サメハダーが滝の中から放り出される。
フローゼルが組み合って放り投げたのだ。
「ゼルルルッ!!!!!!!」
そこに追い討ちをかけるように、体を回転させながら飛び出すフローゼル。
千歌「“スイープビンタ”!!」
「ゼルルルルッ!!!!!!!」
そのまま、回転のエネルギーを利用して、連続で尻尾をサメハダーに叩き付ける。
「シャアァァァーー!!!!!!」
聖良「フリージオ……!! ツンベアー……!! サメハダー……!!」
一気に三匹に手痛いダメージを与え、更に──
「ヤミッ!!!?」
「ワフッ!!!」
闇から近付くヤミラミを、しいたけが“かぎわける”で察知し、攻撃を受ける前に押さえつけているところだった。
122 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:01:23.35 ID:SDtZ71oz0
千歌「……私は……私が、聖良さんを止めます……っ!!」
聖良「……それが千歌さんのホンキ……と言うことですね。いいでしょう。なら、私もホンキで貴方を打ち倒しましょう」
聖良さんはポケットから、指輪を3つ取り出して、左手の指にはめる。
その指輪は3つとも、宝石を付けられた指輪で……あれは──
千歌「メガストーン……!?」
聖良「ヤミラミ!! サメハダー!! プテラ!! メガシンカです!!」
「ヤミッ!!!!」「シャァァァァ!!!!!!」「テラァッ!!!!!!!」
対応する3匹が聖良さんのメガリングに呼応するように光り輝く。
メガヤミラミは胸の宝石がシールドのように大きくなり、メガサメハダーは全身の牙やヒレがより鋭く大きくなった。メガプテラは全身に鋭利な岩が飛び出してくる。
──それよりも、善子ちゃん曰く、メガシンカはトレーナーにも大きな負担が掛かるから、日に何度も使えないと言っていた。
それが本当なら、三匹も同時にメガシンカを使ったら──
聖良「げほっ……げほっ……!!」
千歌「!! 聖良さん……!!」
聖良「敵の心配してる……場合ですか……?」
聖良さんが口元を拭うと、血の痕が口の端に見える。
吐血してる。
千歌「聖良さん!! そんな使い方したら死んじゃいます……っ!!」
聖良「プテラ!! “ストーンエッジ”!!」
「テラァッ!!!!!」
千歌「ッ!!」
さっきとは比べ物にならない量と大きさの岩が降り注いでくる。
まるで岩の雨とでも言わんばかりだ、
千歌「ルカリオ!! ルガルガン!! バクフーン!!」
「グゥォッ!!!!」「ワォンッ!!!!」「バクフーーッ!!!!!」
バクフーンが爆炎の勢いで岩を吹き飛ばし、ルガルガンとルカリオが足場を跳ね回りながら、岩を迎撃する。
三匹掛かりでどうにか攻撃を捌く。
聖良「死ぬ……結構じゃないですか。いつも通り、命を掛けて戦う、それだけのことです」
千歌「聖良さんっ!!」
気付けば聖良さんは、左目が真っ赤に充血し、涙のようにその左目から血が頬を伝っている。
聖良「サメハダー!! “かみくだく”!!」
「シャアァァァァァァァッ!!!!!!!!!!」
「ゼルルッ!!!!」
再び始まった水中戦では、サメハダーがフローゼルに噛み付こうと迫ってきている。
そして、地上では、
123 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:02:36.62 ID:SDtZ71oz0
「ワフッ!!!!」
「ヤミィッ……!!」
しいたけがヤミラミに組み付こうとしているが、大きな宝石に邪魔されてうまく攻撃が出来ていない状態。
空からは降り注ぐ“ストーンエッジ”。
千歌「ムクホーク!!」
「ピィィィッ!!!!!!」
合図と共にムクホークがプテラに向かって飛び出す。
一方、フローゼルも、
「ゼルルルッ!!!!!!」
尻尾に気を集中させている。
千歌「“かまいたち”!!!」
「ゼルッ!!!!!」
私の指示の声と共に、滝が一気に縦に両断される。
「シャァァァァッ」
そして、“かまいたち”によって縦に一閃された滝から、サメハダーが吹っ飛ばされて飛び出してくる。
聖良「サメハダー……!!」
同時に岩の嵐の中を飛ぶ、ムクホークから──私は手を放す。
「ピィィィィィッ!!!!!!」
私を切り離して、身軽になったムクホークは、錐揉み回転しながら、右に左に、岩を掻い潜って、
千歌「“すてみタックル”!!!」
「ピィィィィッ!!!!!!!」
落下しながら出す指示を聞いて、一気に加速する。
聖良「!!」
そのまま、聖良さんの肩を掴んでいるプテラに突撃する。
「テラァッ!!!?」
聖良「くっ……!!」
致命傷にはならなかったものの、プテラを怯ませ、“ストーンエッジ”を中断させる。
「ワォンッ!!!!」
そして、それと同時に、迎撃に飛び回っていたルガルガンが私の方に向かって、飛び出す。
千歌「ルガルガンッ!!!」
「ワォンッ!!!」
124 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:04:58.71 ID:SDtZ71oz0
ルガルガンの身体にしがみつくようにして、自由落下から救出してもらう。そして完全フリーになったルカリオが──
「ヤミッ!!?」
しいたけと組み合うヤミラミのもとへ“しんそく”で接近し、
千歌「“はっけい”!!!」
「グゥォッ!!!!!!」
必殺の“はっけい”を巨大な宝石の中央に叩き込む──
「ヤミッ……!!!!」
ルカリオの攻撃は、宝石を貫通し、その背後に隠れていたヤミラミを吹っ飛ばす。
聖良「ヤミラミ!? ……っく、プテラ!!」
再び聖良さんがプテラに指示を出そうとした、瞬間。
聖良「が……っ……げほ、がほっ……!!!」
激しく咳き込む。
さっきよりも大量の血を吐いて。
千歌「……!! 聖良さん!! メガシンカを解除してください!!」
聖良「……っぐ……っく……私は……」
「ピィィィィッ!!!!!!!」
プテラを上から抑え込むように、ムクホークが“インファイト”で全力攻撃を仕掛けながら、一気に地上まで追い詰め、
聖良「っく……!!」
聖良さんたちは、バクフーンのすぐ近くに墜落する。
聖良「フリージオ……ッ!!!」
「────シャランッ」
さきほど、バクフーンに蒸発させられた、フリージオが聖良さんの声に呼応して、再び現われる。
聖良「全て……凍らせなさい……!!!」
「────シャラン」
最後の力を振り絞るように、
辺りは一気に凍り付いて行く。
だけど──
千歌「バクフーン!!!!」
「バクフーーーーーッ!!!!!!!!」
私たちは凍らない。
爆炎をその身に宿して、バクフーンがフリージオに向かって飛び出す。
聖良「私たちはこんなところで……終わらない……!!!」
125 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:06:12.27 ID:SDtZ71oz0
──バキバキバキと音を立てながら、凍りつく地面を、
「バクフーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」
全身に炎を纏った、バクフーンが走り抜ける。
千歌「いっけぇーーーーっ!!! “フレアドライブ”ッ!!!!!」
「バクフーーーーーーンッ!!!!!!!!!」
バクフーンは、周囲の冷気も纏めて、フリージオごと、爆熱で吹き飛ばした──。
* * *
ルガルガンと共に、聖良さんたちのいる足場に辿り着く。
聖良「まだ……です……げほっ、げほっ……」
聖良さんは、血を口から吐き、
聖良「っ゛…………!!!」
左目は血色に染まり、止め処なく血が流れている。
千歌「聖良さん……」
聖良「まだ……です……。まだ……目的は……達成されて、いません……」
千歌「……もう聖良さんのポケモンはみんな戦闘不能です。……すぐメガシンカを解除して、降参してください」
聖良「……っ……マーイーカ!!」
「マーイーカッ!!!」
マーイーカが私に向かって飛び出してきて、腕に“からみつく”。
「マーイーカッ…!!!!」
千歌「……もう、戦わなくていいんだよ」
「マイー…カー……」
そう告げると。
マーイーカは戦意を喪失したのか、大人しくなる。
聖良「マーイーカ……!!」
千歌「聖良さん……もうあなたの手持ちも聖良さんにこれ以上戦って欲しくないって……」
聖良「……っ!!」
主人が傷付く姿をこれ以上見ていられないんだろう。
聖良「まだ、です……まだ……私は……私たちの目的……は……」
「──ねえさまっ!!」
そのとき、声が響いた。
126 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:07:42.34 ID:SDtZ71oz0
聖良「…………理亞……?」
理亞「……ねえさま……もう、終わりにしよう……」
ルビィ「理亞ちゃん……」
ルビィちゃんに肩を貸してもらいながら、こちらに歩いてくる理亞ちゃんの声だった。
聖良「……ダメ……です……」
理亞「ねえさま……」
聖良「わたし、たちの……夢は……もう、すぐ、そこなんです……!!」
聖良さんは身体を引き摺るようにしながら、私から距離を取る。
理亞「ねえさま……!! もうやめて……!!」
理亞ちゃんが駆け寄ろうとした、そのときだった。
──聖良さんと理亞ちゃんのポケットの中から、眩い光が漏れ出していた。
理亞「え!?」
聖良「こ、これは……!! まさか……!!」
二人が慌ててポケットから、取り出したソレは──ピンク色の宝石。
ルビィ「……!! 女王様のダイヤモンド……!!」
そして、次の瞬間。
私たちの目の前の空間から、とてつもない眩さの光が溢れ出す。
千歌「……っ!?」
ルビィ「ま、まさか……!!」
理亞「っ!?」
聖良「……は、はは……やはり、貴方は私たちを選んでくれた……」
その光の中から出てきたのは──
「──アンシー……」
巨大なピンク色の宝石をその身に宿したポケモン。
聖良「ディアンシー……!! やっぱりこの世界に……!! 私の仮説は全て正しかった……!!」
「アンシー……」
聖良さんはディアンシーに向かって身を引き摺りながら近付いていく。
聖良「ディアンシー……覚えていますか……? あの日、雪山で私たちを選んでくれたことを……」
「アンシー……」
聖良「さぁ、私たちと共に……行きましょう……貴方に選ばれた私たちとなら──」
ルビィ「ダ、ダメッ!! 聖良さんっ!!」
聖良「……!?」
127 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:12:29.89 ID:SDtZ71oz0
ルビィちゃんが叫んだときには──
聖良さんは、ディアンシーから生み出された、宝石の嵐に吹き飛ばされていた。
聖良「……ぁ……っ……」
千歌「……っ!!」
理亞「ねえさまっ!!!!」
全身を硬い宝石の嵐で切り裂かれ、血を流しながらぐったりとする聖良さん。
「アンシー……」
ディアンシーはそんな聖良さんを冷ややかな目で見つめている。
理亞「ねえさまっ……!!」
理亞ちゃんが真っ青な顔になって、聖良さんに駆け寄る。
理亞「ねえさまっ!!! しっかりして!! ねえさま……!!」
理亞ちゃんが声を掛けながら、聖良さんを揺する中、私は目の前で起こる予想外の出来事に対して、呆然と立ち尽くしていた。
聖良「り……ぁ……」
理亞「……!! ねえさま!!」
聖良「ごめん……なさ、い……ディアンシー……いま、つかまえ、ますから……」
理亞「……どうして……どうして、こんなになるまで……」
聖良「……あたり、まえ、じゃない……ですか……」
理亞「え……?」
聖良「なんにも……ほしがらなかった……り、あ……あなたが……はじめて、ほしがったん……ですよ……。……また、あのあったかい、ひかりが、ほしい……と」
理亞「……!」
理亞ちゃんが聖良さんの言葉に目を見開いた。
理亞「……う、そ……じゃあ……最初から……全部、私の為に……? たった、それだけの……ために……?」
聖良「それだけ……なんて、いわないで、ください……。たったひとりの……いもうとの、ねがい……なんです、よ……」
聖良さんはそう言って、ディアンシーに視線を向ける。
「アンシー……」
視線に気付いた、ディアンシーの周囲に再び宝石が浮かび上がる。
理亞「……っ!!!」
128 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:14:43.96 ID:SDtZ71oz0
咄嗟に理亞ちゃんが聖良さんに庇うようにして覆いかぶさる。
そこに向かって、ディアンシーの攻撃が……!!
──……飛んで行くことは、なかった。
理亞「…………?」
理亞ちゃんが顔をあげると──
ルビィ「…………」
二人とディアンシーの間で、ルビィちゃんが両手を広げて立っていた。まるで、二人を庇う壁を作るかのように。
理亞「ルビィ……!」
ルビィ「女王様……もう、やめてください……」
「アンシー……」
ルビィ「あの人たちはもう十分に傷付いた……もう戦う力は残ってないです」
「…………」
ルビィ「もし、まだ罰が必要なら……この場にこうして招きいれてしまった、巫女である、わたしの責任です……わたしが代わりに罰を受けます……だから、あの二人はもう許してあげてください……」
千歌「ルビィちゃん……」
理亞「ルビィ……」
聖良「…………」
そんなルビィちゃんの言葉で、怒りが収まったのか、どうなのか。
「アンシー……」
ディアンシーの周囲に浮かんでいた大量の宝石が掻き消え──そして、それと一緒にディアンシーも掻き消えるように姿を消してしまった。
聖良「……ディアン、シー……」
ルビィ「……ディアンシー様は、最も美しいポケモンって言われています。誰よりも美しいディアンシー様は、綺麗な心の人間の前に現われて、心の穢れた人間は嫌います……。今の聖良さんの心を、女王様は認めなかったみたいです」
聖良「そん……な……まだ、わたし……は……」
理亞「ねえさま……もう、やめて……っ……」
聖良「まだ、あのひかり……を……りあ、が、ほしがった……ひか、り……を……」
理亞「……もうそんなのいらない……っ……!! 私は……私はねえさまが居てくれたらそれでよかった……それでよかったの……っ……」
聖良「りあ……。……ふふ……りあは……やさしい、ですね……」
そう言いながらボロボロの聖良さんは理亞ちゃんの頭を撫でる。
聖良「これで……ほんとう、に……ぜんぶ、おわり……みたい、ですね……」
理亞「ねえさま……」
聖良「りあ……いままで、ついてきてくれて……ありが、とう」
理亞「ねえさま……? なんで、そんな言い方……最後みたいな……っ……」
聖良「りあ……」
理亞「なに……っ……?」
聖良「……あいして、ますよ」
理亞「……っ……! 私も……っ……!! 私もねえさまのこと、愛してる……!!」
聖良「ふふ……ありが、とう──」
129 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:16:04.04 ID:SDtZ71oz0
その言葉を最後に、理亞ちゃんの頭を撫でていた聖良さんの腕が力なく落ちる。
聖良「…………」
理亞「ねえさま……?」
聖良「…………」
理亞「ねえさま……っ!!」
理亞ちゃんが聖良さんの手を握る。強く……強く。
千歌「…………」
ルビィ「…………」
私とルビィちゃんは、そんな光景を立ち尽くして見ていた。
お互いがお互いのことを想い続けたが故に、間違ってしまった姉妹を見て……。
……だけど、やぶれた世界は戦いが終わったこの場で、立ち止まっていることを許してくれなかった。
──ゴゴゴゴゴッ! と大きな音を立てながら、世界が揺れ始める。
千歌「!? な、何!?」
ルビィ「わ、わかんない……!?」
ルビィちゃんと二人でオロオロとしていると、
果南「ごめん、千歌、ルビィ……!! 遅くなった」
千歌「果南ちゃん!?」
果南ちゃんがニョロボンと一緒に足場を乗り継いでよじ登ってきたところだった。
千歌「果南ちゃん、ギラティナは!?」
果南「とりあえず、大人しくはした……」
ルビィ「大人しくって……?」
果南「……怒って興奮して、もうどうしようもなかったから、とりあえず倒して戦闘不能に……」
千歌「じ、じゃあ、この揺れってもしかして……!!」
果南「たぶん、制御するギラティナが気を失ったから、この世界の機能自体が一時的に崩壊しかけてるんだと思う」
千歌「そ、そんな!? それじゃ、急いで脱出しないと!!? ルビィちゃん!!」
ルビィ「う、うん!! 理亞ちゃん!!」
ルビィちゃんは聖良さんに寄り添う理亞ちゃんへと声を掛ける。
理亞「……ルビィ」
ルビィ「脱出しよう!! この世界、このままじゃ崩れちゃうみたいだから……!!」
理亞「……いい」
ルビィ「……!? 理亞ちゃん!?」
理亞「……ここで、ねえさまと一緒に……」
ルビィ「…………」
理亞「……もう、私は……」
ルビィ「理亞ちゃん……ごめん」
理亞「……え?」
130 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:17:54.60 ID:SDtZ71oz0
──パシッ。
乾いた音がした。
理亞「…………っ」
ルビィちゃんが理亞ちゃんの頬をはたいた音だった。
ルビィ「……そんなことしても、誰も喜ばない」
理亞「…………」
ルビィ「……むしろ悲しい。わたしも……きっと聖良さんも」
理亞「……ルビィ」
ルビィ「それに……またいつか、ディアンシー様に認められるように頑張るって、ルビィと約束したよね?」
理亞「…………。……ごめん、脱出しよう」
ルビィ「うん」
ルビィちゃんがヘタリ込む理亞ちゃんの手を取って、立ち上がらせる。
ルビィ「……ドンカラス!!」
「カァーーーッ!!!!!」
理亞「……クロバット!!」
「クロバットッ!!!!」
黒い羽と紫の羽が開く。
二匹の飛行要員はそれぞれ主人の肩を掴む。
理亞「ねえさま……少し我慢してね」
聖良「…………」
ルビィ「聖良さん……頑張って」
二人掛かりで聖良さんを支えるようにして飛び上がり、聖良さんの手持ちを回収しながら入口に向かっていく。
千歌「果南ちゃん! 乗って!!」
「ピィィッ!!!!」
私もムクホークの背に乗る。
果南「ごめん、千歌!! お願い!!」
そして、私たち5人は崩れ始めたやぶれた世界を脱出するために飛び出した──。
* * *
131 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:19:30.40 ID:SDtZ71oz0
ダイヤ「……っ゛……」
鞠莉「ダイヤ……っ……生きてる……っ……?」
ダイヤ「……ええ……もちろん……っ……」
鞠莉「残念な報告……なんだけど……っ……」
ダイヤ「…………聞きましょう……っ……」
鞠莉「……もう、限界……かも……っ……」
ダイヤ「……き、ぐう……ですわね……わたくしも……意識が、飛びそう……でして……っ」
鞠莉「……ふふ、じゃあ……」
ダイヤ「……ええ……」
鞠莉「倒れたらぶん殴る……っ!!」
ダイヤ「倒れたら叩き起こして差し上げますわ……っ!!」
鞠莉「……何よ、余裕……あるじゃない……っ……!!」
ダイヤ「……お互い様、ですわ……っ……!!」
そのときだった──ホールの入口から、
「──わぁぁぁ……!?」
声が聞こえて来た。
ダイヤ「!! 鞠莉さん……!!」
鞠莉「……Yes.」
鞠莉さんと顔を見合わせて頷きあう。
──と同時に、
千歌「だわぁっ!?」
「ピピィ!!!?」
果南「うわっ!?」
ルビィ「ぴぎっ!?」
「カァーッ!!!?」
理亞「……!?」
「クロバッ!!!!!」
聖良「…………」
ホールから、5人の人間と3匹のポケモンが飛び出してきた。
ダイヤ「……ぐ……」
鞠莉「…………Ah……」
わたくしと鞠莉さんは同時に珠を手放し、膝から崩れ落ちる。
鞠莉「はぁ……はぁ……っ……死ぬかと……思った……」
ダイヤ「同感……ですわね……っ……」
息を切らせながら、二人でディアルガとパルキアをそれぞれボールに戻す。
132 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:23:53.15 ID:SDtZ71oz0
ルビィ「お姉ちゃん……!!」
ダイヤ「ルビィ……! おかえりなさい……!」
ルビィ「うん……!! ただいま──」
腕を広げて待つ、わたくしの元に走り出したルビィが、
──途中で崩れるように倒れた。
ダイヤ「……!?」
理亞「ルビィ!?」
わたくしと近くに居た理亞さんが駆け寄ると、
ルビィ「…………くぅ……くぅ……」
ルビィは可愛らしく寝息を立てていた。
鞠莉「……寝てる?」
善子「……まさかの寝落ち」
花丸「ルビィちゃん……ずっと頑張ってたから、きっと疲れたんだよ」
祠の入口の方から、善子さんと花丸さんが歩いてくる。
曜「千歌ちゃん……!!」
千歌「わ!? よ、曜ちゃん……」
そして、案の定、曜さんが千歌さんに抱きつく。
梨子「祠に入ってこようとしていたヤミラミたちは、撤退していきました」
最後に梨子さん。
果南「……本当の本当に役割がなくなって、逃げ帰ったのかもね。ある意味、ゴーストタイプの王様だったみたいだからね、ギラティナは」
そんなことを肩を竦めて言う果南さん。
鞠莉「……果南」
果南「あ、鞠莉……お疲れ」
鞠莉「……お疲れじゃないわよ」
果南「……え?」
鞠莉「また、一人で無茶して……戻ってこれなかったらどうするつもりだったのよ……!!」
果南「あ、うーんと……まあ、戻ってこられたんだから、いいじゃん」
鞠莉「……バカ……っ」
果南「……悪かったって」
果南さんはバツが悪そうな顔をしながら、鞠莉さんに言葉を返す。
果南さんは、抱きついて安堵から涙を流す鞠莉さんの頭を撫でながら、しばらくの間、そうして慰めていたのでした。
133 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:25:19.41 ID:SDtZ71oz0
* * *
ダイヤ「さて、事情聴取……と行きたいところですが、とりあえず……怪我人多数ですので、まずは病院でしょうかね」
鞠莉「そうね……真姫さんに手配はしておいた」
果南「……聖良の応急処置も、とりあえずこれで大丈夫かな」
聖良「…………」
理亞「その……ありがとう……ございます」
果南「ま……ほっとくわけにもいかないしね」
お礼を言う理亞ちゃんに果南ちゃんが苦笑して返す。
善子「とにもかくにも……」
花丸「やっと終わったずらぁ……」
ルビィ「……すぅ……すぅ……」
梨子「あはは……なんだか私たちすごい経験しちゃったね」
曜「確かに……もう、二度とこんなことないかも」
千歌「……なにはともあれ……疲れたぁ……」
──こうして……後に、グレイブ団事変と呼ばれることになる、地方全体を巻き込んだ大事件は、
やぶれた世界での戦いをもって、
本当の本当に終息となったのでした。
134 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:26:25.88 ID:SDtZ71oz0
>レポート
ここまでの ぼうけんを
レポートに きろくしますか?
ポケモンレポートに かこんでいます
でんげんを きらないでください...
【クロサワの入江】
口================= 口
||. |⊂⊃ _回../||
||. |o|_____. 回 | ⊂⊃| ||
||. 回____ | | | |__|  ̄ ||
||. | | 回 __| |__/ : ||
||. ⊂⊃ | ○ |‥・ ||
||. | |. | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ||
||. | |. | | | ||
||. | |____| |____ / ||
||. | ____ 回__o_.回‥‥‥ :o ||
||. | | | | _. / : ||
||. 回 . |_回o | | : ||
||. | |  ̄ |. : ||
||. | | .__ \ : ||
||. | ○._ __|⊂⊃|___|. : ||
||. |___回○__.回_ _|‥‥‥: ||
||. /. 回 .| 回 ||
||. _/ o‥| | | ||
||. / | | | ||
||./ ●回/ ||
口=================口
135 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:27:07.12 ID:SDtZ71oz0
主人公 千歌
手持ち バクフーン♂ Lv.55 特性:もうか 性格:おくびょう 個性:のんびりするのがすき
トリミアン♀ Lv.48 特性:ファーコート 性格:のうてんき 個性:ひるねをよくする
ムクホーク♂ Lv.55 特性:すてみ 性格:いじっぱり 個性:あばれることがすき
ルガルガン♂ Lv.52 特性:かたいツメ 性格:わんぱく 個性:こうきしんがつよい
ルカリオ♂ Lv.59 特性:せいぎのこころ 性格:ようき 個性:ものおとにびんかん
フローゼル♀ Lv.50 特性:すいすい 性格:ゆうかん 個性:ものおとにびんかん
バッジ 7個 図鑑 見つけた数:163匹 捕まえた数:15匹
主人公 梨子
手持ち メガニウム♀ Lv.51 特性:しんりょく 性格:いじっぱり 個性:ちょっぴりみえっぱり
チェリム♀ Lv.48 特性:フラワーギフト 性格:むじゃき 個性:おっちょこちょい
ピジョット♀ Lv.47 特性:するどいめ 性格:ひかえめ 個性:ものおとにびんかん
ネオラント♀ Lv.39 特性:すいすい 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
メブキジカ♂ Lv.48 特性:てんのめぐみ 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
バッジ 5個 図鑑 見つけた数:133匹 捕まえた数:13匹
主人公 曜
手持ち カメックス♀ Lv.52 ✿ 特性:げきりゅう 性格:まじめ 個性:まけんきがつよい
ラプラス♀ Lv.46 特性:ちょすい 性格:おだやか 個性:のんびりするのがすき
ホエルオー♀ Lv.44 特性:プレッシャー 性格:ずぶとい 個性:うたれづよい
ダダリン Lv.46 ✿ 特性:はがねつかい 性格:れいせい 個性:ちからがじまん
カイリキー♂ Lv.41 ✿ 特性:ふくつのこころ 性格:まじめ 個性:ちからがじまん
タマンタ♀ Lv.40 ✿ 特性:すいすい 性格:むじゃき 個性:こうきしんがつよい
バッジ 2個 図鑑 見つけた数:159匹 捕まえた数:23匹 コンテストポイント:48pt
主人公 ルビィ
手持ち バシャーモ♂ Lv.50 特性:もうか 性格:やんちゃ 個性:こうきしんがつよい
メレシー Lv.53 特性:クリアボディ 性格:やんちゃ 個性:イタズラがすき
アブリボン♀ Lv.39 特性:スイートベール 性格:のんき 個性:のんびりするのがすき
キテルグマ♀ Lv.46 特性:もふもふ 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
ドンファン♂ Lv.45 特性:がんじょう 性格:さみしがり 個性:ものをよくちらかす
グラードン Lv.75 特性:ひでり 性格:すなお 個性:こうきしんがつよい
バッジ 0個 図鑑 見つけた数:105匹 捕まえた数:14匹
主人公 花丸
手持ち ドダイトス♂ Lv.43 特性:しんりょく 性格:のうてんき 個性:いねむりがおおい
カビゴン♂ Lv.40 特性:くいしんぼう 性格:のんき 個性:たべるのがだいすき
デンリュウ♂ Lv.37 特性:プラス 性格:ゆうかん 個性:ねばりづよい
キマワリ♂ Lv.33 特性:サンパワー 性格:きまぐれ 個性:のんびりするのがすき
フワライド♂ Lv.30 特性:ゆうばく 性格:おだやか 個性:ねばりづよい
イノムー♂ Lv.40 特性:あついしぼう 性格:ようき 個性:たべるのがだいすき
バッジ 1個 図鑑 見つけた数:114匹 捕まえた数:40匹
主人公 善子
手持ち ゲッコウガ♂ Lv.49 特性:げきりゅう 性格:しんちょう 個性:まけずぎらい
ドンカラス♀ Lv.56 特性:じしんかじょう 性格:わんぱく 個性:まけんきがつよい
ムウマージ♀ Lv.49 特性:ふゆう 性格:なまいき 個性:イタズラがすき
シャンデラ♀ Lv.50 特性:もらいび 性格:れいせい 個性:ぬけめがない
ユキメノコ♀ Lv.42 特性:ゆきがくれ 性格:おくびょう 個性:こうきしんがつよい
アブソル♂ Lv.56 特性:せいぎのこころ 性格:ゆうかん 個性:ものおとにびんかん
バッジ 1個 図鑑 見つけた数:138匹 捕まえた数:52匹
136 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 04:28:18.60 ID:SDtZ71oz0
主人公 果南
手持ち ラグラージ♂ Lv.75 特性:しめりけ 性格:やんちゃ 個性:ちからがじまん
ニョロボン♂ Lv.71 特性:すいすい 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
ギャラドス♀ Lv.74 特性:じしんかじょう 性格:いじっぱり 個性:まけんきがつよい
ヌオー♂ Lv.70 特性:ちょすい 性格:のうてんき 個性:ひるねをよくする
キングドラ♂ Lv.71 特性:スナイパー 性格:ひかえめ 個性:ぬけめがない
ヤドラン♂ Lv.73 特性:マイペース 性格:ひかえめ 個性:ひるねをよくする
バッジ 8個 図鑑 見つけた数:281匹 捕まえた数:137匹
主人公 鞠莉
手持ち マフォクシー♀ Lv.68 特性:マジシャン 性格:がんばりや 個性:ちょっぴりみえっぱり
ギャロップ♀ Lv.66 特性:ほのおのからだ 性格:おとなしい 個性:のんびりするのがすき
サーナイト♀ Lv.70 特性:トレース 性格:まじめ 個性:かんがえごとがおおい
ビークイン♀ Lv.64 特性:きんちょうかん 性格:すなお 個性:うたれづよい
ポリゴンZ Lv.64 特性:てきおうりょく 性格:なまいき 個性:イタズラがすき
メタモン Lv.61 特性:かわりもの 性格:まじめ 個性:かんがえごとがおおい
パルキア Lv.75 特性:テレパシー 性格:せっかち 個性:ちのけがおおい
バッジ 8個 図鑑 見つけた数:468匹 捕まえた数:312匹
主人公 ダイヤ
手持ち ジャローダ♀ Lv.69 特性:あまのじゃく 性格:いじっぱり 個性:まけんきがつよい
メレシー Lv.66 特性:クリアボディ 性格:まじめ 個性:とてもきちょうめん
ミロカロス♂ Lv.70 特性:かちき 性格:れいせい 個性:まけんきがつよい
ハガネール♀ Lv.72 特性:がんじょう 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
オドリドリ♀ Lv.63 特性:おどりこ 性格:おっとり 個性:とてもきちょうめん
アマージョ♀ Lv.67 特性:じょおうのいげん 性格:さみしがり 個性:あばれることがすき
ディアルガ Lv.75 特性:テレパシー 性格:れいせい 個性:ぬけめがない
バッジ 8個 図鑑 見つけた数:267匹 捕まえた数:114匹
千歌と 梨子と 曜と ルビィと 花丸と 善子と 果南と 鞠莉と ダイヤは
レポートを しっかり かきのこした!
...To be continued.
137 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/13(月) 06:16:34.61 ID:Fo7XaKm/0
乙
※血涙とかあるけど女の子のアイドルと子供むけゲームの作品です
138 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 12:37:21.92 ID:SDtZ71oz0
■Chapter077 『戦いの後』
さて……戦いが終わり。チカたちは満身創痍な状態でした。
善子ちゃんと曜ちゃんは極度の疲労困憊でローズシティの病院に着くと検査も待たずに待合室の椅子で眠ってしまいました。
梨子ちゃんと花丸ちゃんは直接ポケモンから攻撃を受けたため、その治療を。
花丸ちゃんはリングマに首を絞められたのと、ブルンゲルに掴まって溺れかけたことで検査を受けはしたものの、受けた傷自体は軽傷だったようです。
梨子ちゃんは鞠莉さんの簡易診断通り、アバラ骨に小さなヒビが入っていたそうなので、数日病院で過ごすことになるみたい。
……時間にして1〜2時間ほどだったらしいけど、パルキアとディアルガに珠から命令を送り続けていた、鞠莉さんとダイヤさんも、検査も兼ねてしばらくの間、安静にするように言われたそうです。
そして私も……──。
千歌「──えっと……療養ですか?」
真姫「そ。一先ず検査では何も問題はなかったけど……。“やぶれた世界”に行ったことがある人間なんて居ないから、体がどんな影響を受けてるかわかったもんじゃないし。その観察も含めて1ヶ月くらいは休養しなさい。自宅とかでいいから」
千歌「ぅ……でも、旅の続きが……」
真姫「……どっちにしろ、しばらくは騒動のごたごたでジム戦とか、コンテストもロクに出来ないから。その間に家族に顔でも見せてきたら?」
真姫さんとそんなやり取りをしていると、廊下の方が騒がしい──
ナース「ま、待ってくださいぃ!!」
「ラッキー!!!」
果南「無理!! 1ヶ月もじっとしてたら、それこそ死んじゃうって!!」
ドタバタと逃げる果南ちゃん。そして、それを追うナースさんと助手のラッキー。
千歌「……」
真姫「千歌……ああいう大人になっちゃダメよ」
千歌「あはは……」
──そして、やぶれた世界から戻ったあと、すぐに眠ってしまったルビィちゃんですが……。
ルビィ「……ぁ……千歌ちゃん……」
千歌「ルビィちゃん」
診察を終えて診察室から出てきたところ、廊下でルビィちゃんと鉢合わせる。
千歌「起きてて、大丈夫?」
ルビィ「ぅん……いっぱい、寝たから……ふぁ……」
そういう割にルビィちゃんは眠たそうにあくびをする。
ルビィ「千歌ちゃんは……このあとどうするの……?」
千歌「私はしばらく自宅療養だってさ。明日くらいには一旦ウラノホシに戻ろうかなって」
ルビィ「そっか……ルビィも早く戻りたいな」
ルビィちゃんは……あの戦いの後、丸二日間ほど眠っていました。
そして、今も一日の4分の3くらいは眠っているそうです。
理由は不明みたい。でも、メガシンカによる困憊に似ているらしく──ここまで症状が大きく出ることは稀らしいけど──グラードンを覚醒させたことによる反動なんじゃないかとのことです。
幸い体には何も異常は見つからないみたいで、本当にただたくさん寝ているだけみたいだけど……。
139 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 12:39:20.72 ID:SDtZ71oz0
千歌「きっとすぐ戻れるよ」
ルビィ「うん、ありがと。千歌ちゃん……ふぁぁ……」
千歌「今はゆっくり眠って休んでね」
ルビィ「うん……そうする……」
ルビィちゃんと別れ……目的の病室へ──
千歌「──……失礼しまーす……」
ゆっくりとドアを開ける。
鞠莉「あら? 千歌っちじゃない」
ダイヤ「千歌さん、いらっしゃい」
訪れたのは、ダイヤさんと鞠莉さんの病室だ。
千歌「二人とも具合は……」
二人のベッドの間にある椅子に腰を掛けながら訊ねる。
ダイヤ「幸い体に目立った異常はないそうですわ」
鞠莉「強いて言うなら、全身筋肉痛が酷いわね……」
ダイヤ「……横になっていても、筋肉が少し痛むほどですから。歩いたり走ったりするのは、しばらくは遠慮したいですわね」
千歌「そっか……でも、二人には何もなくてよかった……」
私は心の底から安堵した。
──そう二人には、だ。
ダイヤ「……大丈夫ですわ。ルビィの過眠症状も恐らく一時的なものだと、診断はされていますし……」
鞠莉「まともに動けもしないのに、ルビィの病室に這ってまで行こうとしてたのは誰かしら?」
ダイヤ「ま、鞠莉さん! 余計な事を言わないでください!!」
千歌「あはは……うん、ルビィちゃんもそうなんだけど……」
私は口ごもる。
鞠莉「……聖良のこと?」
千歌「……はい」
聖良さんは……。あれから一度も目を覚ましていない。
外傷は見た目ほど酷かったわけじゃないらしいけど……。
メガシンカの乱用。伝説の珠の長期間の使用。そして、やぶれた世界での戦闘。
いろんなものが重なり……今のところ、目を覚ます気配がないそうだ。
140 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 12:44:41.96 ID:SDtZ71oz0
鞠莉「メガシンカはトレーナーとポケモンの力を同調させて強化するからね……一度に三匹もメガシンカさせたら、体がどうなるかなんて……」
ダイヤ「それに、パルキアを“しらたま”で操る訓練も、かなり長い間、行っていたそうです……外から見てもわかりませんでしたが、彼女の精神には想像も出来ないくらい大きな負荷が掛かっていたのかもしれませんね」
千歌「そうですか……」
鞠莉「……ま、千歌っちが気に病むことじゃないヨ」
ダイヤ「……そう、ですわね。少し冷たい言い方に聞こえるかもしれませんが……これも因果応報です。良くも悪くも、自分のやったことの代償は自分以外の人間に精算することは出来ませんわ……」
千歌「……はい。……えっと、理亞ちゃんは?」
鞠莉「……事情聴取のとき以外は聖良の病室に居るみたいだヨ」
──事情聴取。
この事件のあと、グレイブ団は組織そのものが解体となりました。
一部、研究員が捕まったりもしたそうなんだけど……ほとんどは聖良さんのカラマネロやスリーパーからの催眠暗示で動いていたことがわかり、完全に無罪放免……とまではいかないけど、その人たちはしばらく保護観察ということになるそうです。
……そして、理亞ちゃんも。
理亞ちゃんは取調べで「自分に全部の責任がある。罪は自分が全て背負う」とずっと繰り返しているそうですが……。
警察の見解としては、理亞ちゃんも聖良さんから洗脳を施されている可能性が高いと言うことで、手持ちを没収の上、彼女も他の団員同様、とりあえず保護観察処分になったそうです。
ただ、そんな警察が首を傾げているのは「ヤミラミや、ブーピッグの身体から宝石を直接抽出してるのは自分は一切知らなかった」と言う供述に対してで、むしろそのことについて聞かされたときは理亞ちゃんが一番驚いていたとか……。
洗脳されていたにしては、何故その部分だけは姉や団の研究員を庇う要素がないのかが疑問のようです。
……たぶん、聖良さんは理亞ちゃんにはそれがバレないように細心の注意を払っていたんだと思います。
もし聖良さん本人にそうした理由を聞いたら『悪魔は、自分だけで良い』……と、そう言っていたんじゃないかなと、私は勝手に思っています。
理亞ちゃんは当分、この病院内の特定スペース以外は自由な移動も制限されるらしいけど、真姫さんが自ら監視役を名乗り出てくれたお陰で、姉の聖良さんの病室への出入りだけは自由に出来るそうです。
ダイヤ「千歌さん」
千歌「?」
考え事をしていたら、ダイヤさんに声を掛けられて我に返る。
ダイヤさんの方を見ると、なにやら手招きをしている。
千歌「?? なんですか?」
ダイヤさんに近付くと、
千歌「──わ!?」
抱き寄せられた。
ぎゅーっと。
そして、頭を撫でられる。
千歌「だ、ダイヤさん……?」
ダイヤ「千歌さん……今回は本当に、よく頑張りましたわね」
千歌「え、あ、いや……そんな、夢中だっただけで……」
ダイヤ「貴方の勇気のお陰で、多くの人が救われました……こんな立派な教え子を持てて……わたくしは幸せ者ですわ」
千歌「ダイヤさん……」
ダイヤ「気付けば、貴方は……もう一人前のポケモントレーナーですわね」
千歌「えへへ……ありがと、ダイヤさん……。でも、もっともっと強くなるから……見ててね」
ダイヤ「ええ、もちろんですわ。期待していますわよ、わたくしの自慢の教え子さん」
141 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 12:47:00.75 ID:SDtZ71oz0
* * *
ダイヤさんと鞠莉さんの病室を後にして、次に訪れた部屋で、
千歌「えっと……こんにちは〜……」
再びそろりそろりとドアを開ける。
理亞「……千歌」
千歌「こんにちは、理亞ちゃん」
部屋の中には理亞ちゃんの姿、そして……
聖良「…………」
眠っている聖良さんが静かにベッドに横たわって目を瞑っている。
理亞「……ねえさま、生命活動には何も問題がないみたい。呼吸もちゃんとしてるし……眠ってるから、点滴で栄養を補給するしかないけど。本当にただ眠ってるのと同じ状態。……目を覚まさないことを除けば」
千歌「……そっか」
聖良「…………」
静かに眠っている聖良さんを二人で見つめる。
理亞「……ねえさまと私がやったことは……きっと許されないことだと思う」
千歌「……」
理亞「ねえさまが目を覚ましたら……その罪を二人で償わなくちゃいけない」
千歌「理亞ちゃん……」
理亞「今はねえさまは眠っているから……足りないだろうけど、私の分だけでも……。本当に、ごめんなさい……」
理亞ちゃんはそう言って頭を下げる。
ここ数日。何度か理亞ちゃんの元を訪れているけど、何度もこうして謝罪をされている。
千歌「……理亞ちゃんたちには理亞ちゃんたちの想いがあったんだよね。それが良いことだったとは言えないけど……ちゃんと前を向いて反省していくつもりがあるなら、きっと大丈夫だと思う」
理亞「千歌……。……うん」
千歌「……あはは、ごめんね。なんか偉そうに」
理亞「いや……大丈夫」
千歌「……あんまり長居しても悪いから、もう行くね」
理亞「うん」
様子を見に来ただけだったし。私は踵を返して、部屋から出て行こうとする。
そのとき、
理亞「千歌」
理亞ちゃんに名前を呼ばれて、立ち止まる。
142 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 12:49:09.16 ID:SDtZ71oz0
千歌「ん……なにかな?」
理亞「ねえさまを止めてくれて……ありがとう」
千歌「……うん、どういたしまして」
私は理亞ちゃんからのお礼に言葉を返して、今度こそ部屋を後にするのだった。
* * *
聖良さんの病室から出た後、病院のエントランスに行くと。
海未「千歌」
千歌「! 師匠」
そこで海未師匠に声を掛けられる。
千歌「どうしたんですか?」
海未「私はそろそろリーグ本部に戻ろうかなと思っていたので……最後に千歌と会っておこうかなと」
海未師匠は、そう言いながら私の頭を撫でる。
海未「まず……よくやりましたね、千歌。さすが私の弟子です」
千歌「えへへ……今日はなんかすごい褒められる」
海未「それと報告ですが……1番道路の海岸沿いに墜落した飛空挺セイントスノウは、先ほど撤去作業を開始したそうです。加えて、中に居た団員やポケモンですが、負傷者こそ居たものの、重傷者や死者は出ていないとのことです」
千歌「そっか……よかった」
直後のパルキアとの戦いのせいでそれどころじゃなかったけど……かなり派手に堕としちゃったもんね。
大きな被害にならなかったのは間違いなく、海未師匠たちが地面への激突を防いでくれたお陰だろう。
海未「事件の調査に関しては適宜進めてはいるそうですが……如何せんほぼ全ての計画を聖良が主導で行っていたようで、彼女が目を覚まさないことにはあまり話が進みそうにありませんね……いつ目が覚めるかもわからない状態ですし」
千歌「……実験に使われてたポケモンたちは……?」
海未「ダリアの研究室、カーテンクリフのアジト、グレイブマウンテンの造艦基地と、飛空挺の中から、実験に使われていたポケモンは全て保護しました。衰弱個体もそれなりに居ましたが……とりあえず、保護したポケモンたちは、治療を施して一命は取り留めています」
千歌「そっか……」
海未「ですが……後遺症が残る子はいるでしょうし、全てが元通りとまでは行かないと思います。……それに、もう命を落としてしまったポケモンも居ますから」
千歌「…………」
その言葉を聞いて、思わず表情が曇る。
海未「千歌……そんな顔をしないでください。貴方たちが居たから助かった多くの命があることもまた事実なんですから……」
千歌「……はい」
海未「奪った命の責任は……いつか、目を覚ました聖良本人が償って行くしかありません。口で言うように、簡単に贖いきれるものなのかはわかりませんが……」
千歌「……今度、そのポケモンたちのお墓参りに行きたいな……」
海未「ええ、そうしてあげてください。希がグレイブガーデンにお墓を作ってくれるそうなので……」
千歌「……はい」
143 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 12:52:51.19 ID:SDtZ71oz0
亡くなってしまった命は……もう戻らない。
だから、せめて、その魂だけでも……安らかに眠ってくれればなって……。
海未「……地方全体は順調に平和を取り戻しつつあります。各地のゴーストポケモンの数も平常に戻りつつあります。これも全て、貴方たちのお陰ですよ、千歌。ポケモンリーグ四天王の立場として直々に御礼を述べさせて頂きます。ありがとうございます」
千歌「えへへ……でも、みんなが頑張ったからこその平和だと想います」
海未「ふふ……貴方ならそう言うと思っていましたよ。……さて、それでは、私はウテナシティに戻りますね」
ウテナシティ……確かポケモンリーグがある街だよね。
海未「それでは、千歌。今度こそ……ポケモンリーグで会いましょう」
千歌「はい!」
そう言って海未師匠は病院から去って行くのだった。
* * *
海未師匠と別れたあと、
私は自分の病室に戻ってきていた。
明日には一旦自宅に戻るために、荷物をまとめないとね。
私がそんなことを考えながら、病室の中に入ると。
曜「あ、千歌ちゃん」
善子「ん、千歌」
梨子「千歌ちゃん、おかえり」
花丸「おかえりずら〜」
ルビィ「……すぅ………すぅ………zzz」
6人部屋の病室の中では、ベッドで安静にしている梨子ちゃんと花丸ちゃん。可愛らしい寝息を立てて眠っているルビィちゃんの姿。
そして、外着に着替えて、今まさにバッグを背負っているところの曜ちゃんと善子ちゃんが居た。
千歌「曜ちゃんと善子ちゃんはもう旅に出るの?」
曜「うん。私たちはそれこそメガシンカの疲労があっただけだし、もう入院してる理由もないから。とは言っても、私はことりさんのところに戻るだけだけど」
善子「ま、病院食も飽きたしね……これ以上、長居する理由もないし。私はちょっとあちこち回ってポケモンでも捕まえようかなって」
千歌「ポケモンの捕獲?」
善子「私の旅の目的はアブソルだったから……もう特段やることもなかったんだけどね。鞠莉から頼まれちゃって」
花丸「善子ちゃん、実は図鑑を貰った6人の中で一番捕獲データが揃ってたんだよね」
千歌「え、そうなの?」
善子「むしろこっちが驚きよ……ま、そういうことで図鑑データの捕獲収集を任されたってこと」
「そうロトー行くロトー」
そう言って、善子ちゃんのバッグから、ふよふよと板状のものが飛び出してくる。
144 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 12:54:52.05 ID:SDtZ71oz0
千歌「あ、ロトム」
善子「ついでに変なのにも懐かれちゃったし……」
「変とは失礼ロトー」
千歌「ロトムは善子ちゃんと一緒に行くの?」
「そうロト」
善子「鞠莉がね、捕獲に役立つと思うからって、しばらく貸してくれるみたい」
千歌「そうなんだ」
善子「そんじゃまぁ……そういうことだから、私は行くわね」
善子ちゃんはそう言いながら、ロトムを引き連れて、病室から出て行く。
善子「……あー……最後に、あんたたちに言っておきたいんだけど」
千歌・梨子・曜・花丸「「「「?」」」」
善子「……今回の戦い、あんたたちと一緒に戦えて……よかったわ。ありがと。……それだけ」
それだけ言うと、私たちの返事も待たずに善子ちゃんはそそくさと出ていってしまった。
花丸「最後まで素直じゃないずらね」
梨子「ふふ、むしろ最後だけは頑張って素直になったのかもよ?」
曜「まあ、善子ちゃんらしいかな」
千歌「かもね」
4人で顔を見合わせてクスクスと笑ってしまう。
曜「……さて、それじゃ私も行くね」
千歌「うん! コンテスト、頑張ってね!」
曜「千歌ちゃんもね!」
千歌「うん!」
曜ちゃんも善子ちゃん同様に出口の場所で一旦立ち止まり、振り返る。そして、私たち一人一人にゆっくりと目を配る。
曜「梨子ちゃん」
梨子「うん」
曜「花丸ちゃん」
花丸「ずら」
曜「千歌ちゃん」
千歌「うん」
曜「それと……寝てるけど、ルビィちゃんも」
ルビィ「…………すぅ……すぅ……」
曜「皆と一緒に戦えて、すっごく心強かった! その中で私はまた一つ強くなれた……ありがとう、皆」
梨子「どういたしまして」
花丸「いっぱい助けられたずら、ありがとね曜ちゃん」
千歌「えへへ、こちらこそ!」
曜「うん! それじゃ、またどこかで会おうね!」
そうして、曜ちゃんは手を振りながら部屋から出て行ったのだった。
145 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 12:57:27.97 ID:SDtZ71oz0
千歌「……えっと、梨子ちゃんと花丸ちゃんはもう少し入院するんだっけ?」
梨子「うん、とは言っても本当に大事を取ってで、1週間くらいだけどね」
花丸「マルもあと何日かしたら退院するよ」
梨子「千歌ちゃんは明日には家に戻るんだっけ? さっきルビィちゃんが部屋に戻ってきたとき、そう言ってたけど……」
千歌「うん、そこから1ヶ月は自宅療養。だから、みんなよりも旅に戻るのは遅くなっちゃうかな……あはは」
梨子「……じゃあ、その間に追い抜かしちゃおうかな」
千歌「追い抜かす……ってことは」
梨子「うん、私はまた地方を回りながら、ジムを巡ろうかなって。ここからだと東のクロユリシティが近いからそっちに行くことになるかな」
千歌「そっか」
梨子「バッジ2個差くらいすぐに埋めちゃうからね?」
千歌「ふふん、別にそれくらいのハンデじゃ、チカ追い越されないけどね」
梨子「ふふ、言うね。あとで文句言わないでよ?」
二人で視線をぶつけ合い。
梨子「……ふふっ」
千歌「……あははっ!」
なんだか、可笑しくなって笑ってしまう。
千歌「花丸ちゃんはこのあとどうするの?」
花丸「ん、マルは……旅の目的がルビィちゃんと一緒に旅することだったからなぁ……」
ルビィ「……んゅ…………zzz」
確かにルビィちゃんの旅は理亞ちゃんが目的だった以上、全て決着がついたようだし、同時に花丸ちゃんも旅の目的がなくなっちゃったのかも。
花丸「……でも実は、鞠莉さんに助手にならないかって言われてるんだよね」
千歌「え!? ホントに?」
花丸「うん。……研究者もいいかもって思うし、本当に助手になるかは保留だけど、とりあえず鞠莉さんの研究所でしばらくお手伝いしようかなって考えてるずら」
千歌「そっかそっか……みんなちゃんと今後やることを決めてるんだなぁ……」
私が関心していると。
梨子「千歌ちゃんは?」
梨子ちゃんがそう訊ねて来る。
千歌「ん、私は変わらないよ──なんかすっごい感じになりたい!」
梨子「ふふ、なにそれ……」
千歌「私は自分が何になりたいのか、何をしたいのか……そういうものは、仲間たちと旅をしながら見つけられればいいかなって思うからさ」
梨子「そっか。千歌ちゃんらしいね」
梨子ちゃんは私の話を聞いて、楽しそうにクスクスと笑うのだった。
* * *
146 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 12:58:16.26 ID:SDtZ71oz0
──さて、今日はいろんな人たちとお話をして回ったけど……。
話をしなくちゃいけない相手がまだ残ってるよね。
私は病院の庭先に出てきて、
千歌「みんな、出ておいで!」
6つのボールを放った。
「バクフー」
「ワフッ」
「ピピィ」
「ワォン」
「グゥォ」
「ゼル」
それは、一緒に激闘を戦い抜いた仲間たち。
千歌「バクフーン」
「バクッ」
千歌「ムクホーク」
「ピピィ」
千歌「ルガルガン」
「ワォン」
千歌「ルカリオ」
「グゥォ」
千歌「フローゼル」
「ゼル」
千歌「しいたけ」
「ワフッ」
名前を呼んで、順番に抱きしめてから、
千歌「みんな、ありがとう……みんなが居てくれたから、ここまで戦えたよ」
「バクフー」「ピピィ」「ワォン」「グゥォ」「ゼル」「ワフッ」
お礼を言った。
千歌「んでもって……これからもよろしくね!」
「バクフー」「ピピィ」「ワォン」「グゥォ」「ゼル」「ワフッ」
これまでも、これからも……この仲間たちと旅をして、強くなるんだ。そう改めて胸の中で想いながら──ローズシティの日は暮れて行くのでした。
147 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 12:58:43.74 ID:SDtZ71oz0
* * *
──
────
──────
────────
* * *
148 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 13:02:48.52 ID:SDtZ71oz0
──……さて、あの事件から早くも1ヶ月が経過しようとしていました。
わたくしと鞠莉さんも、無事快復・退院をし、また故郷へと戻ってきていました。
そして、今日は鞠莉さんに呼ばれてオハラ研究所の鞠莉さんの部屋に訪れています。
ダイヤ「それで話とは?」
鞠莉「……あーうん、今回の見解を整理しておこうかなって思って」
ダイヤ「見解?」
鞠莉「……結局、伝説のポケモンと、彼らを制御する“たま”とは一体なんだったのかってこと」
ダイヤ「……あぁ」
鞠莉さんの自室には、大きな金庫のようなものが置いてあり……“こんごうだま”と“しらたま”は現在この中で厳重に保管されています。
鞠莉「……たぶん、製法に関しては聖良が見つけたものが答えだと思ってる」
ダイヤ「……答え……ですか」
鞠莉「もちろん抽出の方法とか細かい部分は、太古の時代に作られていたものとは違うだろうけどね……ただ、あれだけの力をあの小さな珠に籠める……と言う点に関しては合理的な方法だと思うわ。倫理的かはともかく」
ダイヤ「まあ、実際呼び出すことには成功してしまいましたからね……」
実際にパルキアもディアルガも姿を現してしまったし。結果として、鞠莉さんが二匹とも所持している。夢や幻などではなく、確実にそこに存在するポケモンを呼び出してしまったのだ。
ダイヤ「ですが……こうして、パルキアやディアルガを呼び出してしまった上に捕まえてしまってよかったんでしょうか? シンオウ地方は今神と呼ばれるポケモンが不在なのでは……」
鞠莉「あーそれなんだけどね……ちょっと興味深いことがあって」
ダイヤ「興味深いこと?」
鞠莉「ちょっとこれ見てくれる?」
そう言って鞠莉さんは机の上にあったパソコンの画面に、パルキアとディアルガの詳細データを表示する。
『 パルキア Lv.75 特性:テレパシー 性格:せっかち 個性:ちのけがおおい』
『ディアルガ Lv.75 特性:テレパシー 性格:れいせい 個性:ぬけめがない』
鞠莉「これが、あの2匹の個体データなんだけど……」
ダイヤ「これが、どうかしたのですか……?」
確かにこれはあのときのパルキアとディアルガのデータだとは思いますが……。
鞠莉「特性……“テレパシー”よね」
ダイヤ「? はい」
鞠莉「あのあと、シンオウの伝説やら、ギンガ団の一見の調査報告とかを確認したんだけど……どの調書を見ても、パルキアもディアルガも、特性は“プレッシャー”だって言う結論しか導きだせなかったのよ」
ダイヤ「……え? じ、じゃあ、このパルキアとディアルガは……」
鞠莉「たぶん、シンオウの伝説のものとは別個体よ」
ダイヤ「そんなことが在り得るのですか……? 地方の神話が発祥とは言え、神と呼ばれるポケモンですわよ?」
鞠莉「わたしもそう思うけど……実際このポケモンたちは“テレパシー”を使ってたし」
……確かに実際わたくしたちは珠を通して、“テレパシー”で命令を送っていたわけですが。
149 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 13:13:06.21 ID:SDtZ71oz0
鞠莉「聖良が珠を生成する過程の中で、異次元空間に生きている別個体のパルキアとディアルガが珠の波長に引き寄せられた……と言うところだと思う」
ダイヤ「……なるほど」
鞠莉「だから、きっと他の個体には他の個体に波長が合うような調整を施したものじゃないと効果がないんじゃないかしら。これを踏まえて、わたしが考えた仮説はこう。……太古の時代、強大な力を持った伝説のポケモンたちを制御するために……人々は多くのポケモンの命を犠牲にして、珠を作った」
ダイヤ「……」
鞠莉「そして、その珠の力を使って、人の手に余る伝説のポケモンたちを封印し……それと同時に、こんなおぞましい“どうぐ”の製法を後世に残さないために……一切の伝承を歴史の闇に抹消したんじゃないかしら」
それが誰かに伝わり、同じ悲劇が繰り返されることのないように……。
……ですが、
ダイヤ「一つ……わたくしの考えも聞いてもらってもいいですか?」
鞠莉「いいよ? 何?」
ダイヤ「犠牲になったのは……ポケモンだけではなかったんじゃないでしょうか」
鞠莉「……? どういうこと?」
ダイヤ「……この珠を使うだけでわたくしたちは命が削られるような感覚を味わいましたよね」
鞠莉「ええ」
ダイヤ「珠を扱い、伝説のポケモンたちの意に背くように封印をするというのは……使用者もどれだけ命を削ることになるのでしょうか」
鞠莉「……なるほど」
ダイヤ「この“たま”という道具は……ただ人間のエゴでポケモンたちを犠牲にしたものではなく。……人とポケモンが、手を取り合い、命を掛け、世界の秩序を守るために編み出した、知恵だったのではないでしょうか」
もちろん、これはわたくしの妄想に過ぎないのですが……。
ダイヤ「ただ、後世に伝えるべきではない、『おぞましい製法』だったということには変わりないでしょうけれど」
鞠莉「……そうだネ」
ダイヤ「それで……どうするのですか?」
鞠莉「……珠の今後のこと?」
ダイヤ「ええ。先人達に倣って、わたくしたちもこの珠を歴史の闇に葬るべきなのでしょうか」
鞠莉「……そうね。それが正しいのかもしれない。けど……」
ダイヤ「……けど?」
鞠莉「わたしはただ、封印して、抹消して、なかったことにしても……人の執念は、またいつか同じ物を見つけてしまうんじゃないかと思う。今回の聖良のように」
ダイヤ「…………それは」
鞠莉「だから……この“どうぐ”も、ポケモンたちも、ちゃんとわたしたちと共存出来るように、研究して、考えて行くことが、わたしたちが本当に伝えていかなくちゃいけないことなんじゃないかと思うわ」
ダイヤ「そうですか……。……そうかもしれませんわね」
鞠莉「そのために、もしかしたら協力してもらうこともあるかもしれないけど……」
ダイヤ「まあ……仕方ありませんね。世の為、人の為……そして、鞠莉さんの頼みですから」
鞠莉「ダイヤ……Thank you ネ」
鞠莉さんは苦笑しながら、お礼を述べてくる。
150 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 13:16:48.19 ID:SDtZ71oz0
ダイヤ「それはそうと……わたくしからもお訊ねしたいことがあるのですが」
鞠莉「? なに?」
ダイヤ「ルビィのグラードンについてです」
鞠莉「……あぁ」
ダイヤ「あのグラードンは……結局どこから来たポケモンなんでしょうか……?」
鞠莉「ルビィ曰く……ずっと一緒に居たって言うことだからね。……強いて言うなら“ルビィのこころ”に生息していたんじゃないかしら……」
ダイヤ「……それこそ、そんなことは在り得るのですか? あんなに大きなポケモンが……実は心の中に居たなんて……」
鞠莉「伝説のポケモンが姿かたちを変えて、何かの中で眠っているってことは、大なり小なり伝承は残ってるのよ。イッシュ地方の勇者の話とかね。……詳しくはこれから調べるつもりだけど、巫女の力が作り出した精神世界のような場所で、ずっと目覚めの時を待っていたのかもしれないわね」
ダイヤ「巫女のメレシー──コランはその鍵だったということですか……」
鞠莉「恐らくね。あの真っ赤な宝石を持ったメレシーは“べにいろのたま”に近い存在なんだと思うわ。……わたしたち研究者もだけど、クロサワの家も自分の家にある伝承を一度調べなおした方がいいかもしれないネ」
ダイヤ「そうですわね……。それで、今そのグラードンは……」
鞠莉「ルビィがボールに入れて連れ歩いてるみたいだけど」
ダイヤ「大丈夫なのでしょうか……?」
鞠莉「まあ、ルビィ曰く、あの戦い以降グラードンはずーっと眠ってるって言ってる……定期的に検査はしてるけど、確かにずっと眠ったままなのは本当みたいだし」
ダイヤ「……ですが、ルビィの体調は」
鞠莉「……そうね。グラードンを呼び出して操っていたことによる副作用だとは思ってる。でも、最近はだんだん起きてる時間も伸びてきたんでしょ?」
ダイヤ「ええ、まあ……最近は一日に10時間ほどの睡眠で、少し長めではありますが……あとは元気に活動していますわ」
鞠莉「なら心配ないんじゃないかしら。この調子なら直にいつもの生活に戻れると思うし。それこそ、またルビィがグラードンの力に頼るような危機が起こらないように努めることが一番なんじゃないかしらネ」
ダイヤ「まあ……そうですわね」
また、今回のような、世界を揺るがすような危機が起きないように……秩序を守るために、尽力する。
それがわたくしたちに出来ることなのでしょう……。きっと。
* * *
鞠莉「ダイヤ、ジムの調子はどうなの? 騒動後の復旧もだいぶ落ち着いてきて、挑戦受付再開してるんでしょ?」
ダイヤ「ええ。昨日丁度、梨子さんが挑戦に来たところですわ」
鞠莉「結果は?」
ダイヤ「わたくしも善戦はしたのですが……彼女、旅立ちの頃からは見違えるほど、強くなりましたわ」
鞠莉「最初は見てるこっちが不安になる感じだったものね。……ダイヤに勝利して──梨子のバッジも7個かしらね」
ダイヤ「そうですわね。クロユリシティのジム戦には既に勝利したとのことでしたので……」
鞠莉「確か……セキレイジムが残ってるって言ってたっけ?」
ダイヤ「ええ。ですが、セキレイジムに行く前に用事があると言っていましたけれど……」
鞠莉「用事?」
ダイヤ「なんでも……4番道路に向かうとか」
鞠莉「4番道路? ……コメコシティとダリアシティを繋ぐ道路だっけ、確かあそこって──」
* * *
151 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 13:17:48.23 ID:SDtZ71oz0
──4番道路。
広く長く続く道路、以前来たときは、千歌ちゃんと一緒に駆け抜けた、この道路、通称──
梨子「──ドッグラン……」
私はドッグランに再び訪れていた。
「ブルル…」
メブキジカが心配そうに声をあげるが、
梨子「メブキジカ、大丈夫だよ」
私は息を整える。
この旅の中で、いろんな経験をした。
焦り、叱られ、窘められ、諭され、訓えられ、自分と向き合って、大切なことを思い出して、たくさんの仲間や友達と出会って、たくさん怒って、たくさん泣いて、たくさん笑った。
……そんな旅も、最後の1個のジムバッジを残すだけになった。
だから、最後に……自分の過去と──トラウマと向き合おうと、
ここに来た。
梨子「……行こう」
「ブルル」
私は、ドッグランへと、足を踏み出した。
152 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/13(月) 13:18:45.67 ID:SDtZ71oz0
>レポート
ここまでの ぼうけんを
レポートに きろくしますか?
ポケモンレポートに かこんでいます
でんげんを きらないでください...
【4番道路】
口================= 口
||. |⊂⊃ _回../||
||. |o|_____. 回 | ⊂⊃| ||
||. 回____ | | | |__|  ̄ ||
||. | | 回 __| |__/ : ||
||. ⊂⊃ | ○ |‥・ ||
||. | |. | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ ||
||. | |. | | | ||
||. | |____| |____ / ||
||. | ____ 回__o_.回‥‥‥ :o ||
||. | | | | _. / : ||
||. 回 . |_回o | | : ||
||. | |  ̄ |. : ||
||. | | .__ \ : ||
||. | ○._ __|⊂⊃|___|. : ||
||. |__●回○__.回_ _|‥‥‥: ||
||. /. 回 .| 回 ||
||. _/ o‥| | | ||
||. / | | | ||
||./ o回/ ||
口=================口
主人公 梨子
手持ち メガニウム♀ Lv.56 特性:しんりょく 性格:いじっぱり 個性:ちょっぴりみえっぱり
チェリム♀ Lv.51 特性:フラワーギフト 性格:むじゃき 個性:おっちょこちょい
ピジョット♀ Lv.50 特性:するどいめ 性格:ひかえめ 個性:ものおとにびんかん
ネオラント♀ Lv.45 特性:すいすい 性格:わんぱく 個性:ちょっとおこりっぽい
メブキジカ♂ Lv.54 特性:てんのめぐみ 性格:ゆうかん 個性:ちからがじまん
バッジ 7個 図鑑 見つけた数:142匹 捕まえた数:13匹
梨子は
レポートを しっかり かきのこした!
...To be continued.
153 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/14(火) 00:12:06.54 ID:gM5+0Wds0
■Chapter078 『家族』 【SIDE Riko】
──4番道路、ドッグラン。
私はここで、自分の過去と決別する。
そう意気込んでやってきた。
そして、私が今からやろうとしていること……それは。
梨子「……最後の手持ちをここで捕まえること」
ずっと空いている状態だった6匹目の手持ち。
それをここで手に入れることだ。
ダリアジムで千歌ちゃんと共闘したときに、触れたイワンコ。
そして……実は気付いていたのだけれど、パルキアとの戦いの際、落下する私を助けてくれた──トリミアンのしいたけちゃん。
梨子「私……犬に触れるようになってる」
もちろん、自分から進んで触りに行くことはまだ躊躇する。
だけど、パニックを起こしていた昔からは考えられないことだ。
きっと、自分の中で、あのときのトラウマを乗り越える準備が出来つつあるんだ。
梨子「とは言っても……」
ドッグランの辺りを見回すと、相変わらずあちこちを犬ポケモンたちが走り回っている。
最後の手持ち……適当に決めるのは憚られる。
割と近くに見えるのは、ガーディやポチエナの群れ。
遠方ではブルーが集まって日向ぼっこをしているし、その周囲ではラクライたちがマッスグマと競争するように猛スピードで走り回っている。
私は少し考えたけど……。
捕まえる捕まえないより前に、やるべきことがあると思った。
* * *
──それは、私がここドッグランに訪れて、最初に挫折した場所。
梨子「……こんにちは、ムーランドさん」
「…ヴォッフ」
ずっしりと構えるムーランド、その周りには相変わらずたくさんのヨーテリーやハーデリアがいる。
正直、これだけいると今でも少しだけ足が竦む。
けど、ここでとんぼ返りするようじゃ、本当に何しにきたのかわからない。
梨子「ムーランド、私のこと覚えてる?」
「…ヴォッフ」
154 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/14(火) 00:15:18.14 ID:gM5+0Wds0
ムーランドは私の言葉に対して、首を縦に振る。
ムーランドは頭が良く、人に良く懐く。
案外、ここを通る人の顔を覚えているのかもしれない。
そして、そんなムーランドの元に訪れて、何がしたかったかなんて、言うまでもない。
梨子「ムーランド……──あのときは助けてくれて、ありがとう」
私はそう言って頭を下げた。
「ヴォッフ…」
梨子「私……あのときは本当にビックリして、気絶しちゃったけど……。私が他のポケモンに襲われない様に、自分の近くで守ってくれてたんだよね」
千歌ちゃんに発見されたとき、私はムーランドのすぐ近くでヨーテリーとハーデリアに群がられていたと聞いた。
だけど、不思議なことに……こんなだだっ広く、絶えず野生のポケモンたちが言ったり来たりしている場所で、
怪我どころか、服も、リュックも、道具も……それこそ、一番狙われるであろう食料も、全てが気絶する前と何も変わらない状態のままで……。
それはどう考えても、このムーランドが守ってくれていたお陰だった。
梨子「あのときは怖がって……悲鳴をあげて……助けてもらったのに、お礼の一つも言えなくて……だから、ここに来たの」
「ヴォッフ…」
私は一歩前に踏み出す。
「ヴォッフ」
一歩ずつ近付く。
一歩近付くごとに、心臓の鼓動が少しずつ早くなっていく。
──大丈夫。
大丈夫。怖くない。
心の中で、自分に言い聞かせるように。
近付いて、
梨子「……ありがとう」
ムーランドの顔に触れた。
梨子「…………」
「ヴォッフ…」
梨子「……さわれた」
「ヴォッフ」
梨子「……さわれた……っ……」
その事実が、なんだか嬉しくて、
梨子「……よかった……っ……」
私は安堵の涙を流しながら、ムーランドに抱きつく。
梨子「お母さん……っ……私、もう大丈夫だよ……っ……」
幼少のときから、心に抱えていた傷を──やっと乗り越えることが出来た。
155 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/14(火) 00:16:37.94 ID:gM5+0Wds0
「ヴォッフ」
ムーランドは、一人で勝手に安堵して泣きじゃくる私を咎めることはせず……涙が止まって落ち着くまで、ただ黙ってその場に鎮座してくれていたのだった。
* * *
梨子「……ふぅ……なんか、いっぱい泣いたらすっきりしたな」
「ヴォッフ…」
そして……決めた。
梨子「私はあなたを仲間にしたい」
「ヴォッフ」
梨子「ムーランド、バトルしよう」
野生のポケモンと戦って、捕まえる。
トレーナーの基本だ。
「ブルル…」
後方で見守っていた、メブキジカが私の傍に寄って来る。
「ヴォッフ…」
ムーランドが立ち上がり、私たちの前に歩み出る。
梨子「私が勝ったら、仲間になって」
「ヴォッフ」
ムーランドが鳴くと、周りのヨーテリーやハーデリアたちが、その場から離れていく。
一対一、正々堂々戦って捕まえる。
梨子「……行くよ!! メブキジカ!!」
「ブルルッ!!!!」
メブキジカが私の声と共に飛び出す。
梨子「“ウッドホーン”!!」
「ブルルッ!!!」
前方にツノを突き出して、突撃する。
「ヴォッフッ!!!!」
一方ムーランドは、その場に留まったまま、攻撃を受け止める。
──攻撃が直撃したが、ムーランドはびくともしない。
「ヴォッフッ!!!!」
梨子「……! でも、“ウッドホーン”は吸収技だよ!!」
「ブルルッ!!!!」
156 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/14(火) 00:18:03.82 ID:gM5+0Wds0
メブキジカが突き刺したツノからエネルギーを吸収する。
だが、
「ヴォフッ!!!」
ムーランドは、ツノを突き刺し動けないメブキジカに燃え盛る牙を突き立てる。
──“ほのおのキバ”だ……!!
「ブルルッ!!!!」
攻撃が直撃し、メブキジカがひるんで後ろに下がる、そこに追撃を掛けるように、
「ヴォッフッ!!!!」
ムーランドの“とっしん”攻撃。
「ブルルッ……!!!」
大きな体躯をぶち当てられて、後方に仰け反るが、どうにか脚を踏ん張って持ちこたえる。
梨子「メブキジカ!! “エナジーボール”!」
「ブルルッ!!!!」
少し離れた場所から、メブキジカが自然から集めたエネルギーを発射する。
だけど、ムーランドは臆することなく、
「ヴォッフッ!!!!!」
“エナジーボール”に向かって突っ込み、
梨子「!?」
攻撃を耐えて、突っ切りながら、メブキジカに“ずつき”をかましてくる。
「ブルルッ!!!!?」
さっきから、攻撃を避ける気が感じられない。
群れのボス故、彼にとって攻撃は避けずに受け止めるものなのかもしれない。
なら……。
梨子「こっちも真っ向勝負しよう」
「ブルルッ!!!!」
メブキジカが蹄を鳴らし、ツノを前方に突き出しながら、駆け出す──
梨子「“メガホーン”!!」
「ブルルッ!!!!!」
その“メガホーン”に向かって、ムーランドは一歩も引かずに、
「ヴォッフッ!!!!!!」
157 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/14(火) 00:19:43.07 ID:gM5+0Wds0
“アイアンヘッド”で対抗してくる。
メブキジカのツノが──ガインッ!! と鋼鉄の頭に弾かれ、
「ヴォッフッ!!!!!」
そこに向かって今度は“こおりのキバ”で追撃を掛けてくる。
梨子「“とっしん”!!」
「ブルルッ!!!!!」
迎え撃つ、あくまで真っ向勝負の姿勢でメブキジカが飛び出す。
メブキジカが体をぶつけ、それをムーランドが踏ん張り、そのままメブキジカの頭部に牙を立てる。
牙から伝わる冷気が──パキパキと音を立てながら、メブキジカを凍らせていく。
「ヴォッフッ」
ムーランドが鼻を鳴らす。
……でも、
「ブルルッ……!!!!」
メブキジカはひるまない。
「ヴォッフッ!!!!?」
頭を想いっきり振るって、ムーランドの身体の下に自らのツノを滑り込ませ、掬い上げるように持ち上げる。
ムーランドの大きな体躯が地面から離れ、
「ヴォッフッ……!!!!」
メブキジカのツノの上でもがく、ムーランドを──
梨子「そのまま、打ち上げて!! “メガホーン”!!!」
「ブルルッ!!!!!!」
先ほどとは違う方法でツノを下から上に向かって、想いっきり振るう。
「ヴォッフッ!!!?」
空中に打ち上げられ、為す術のなくなったムーランドに向かって。
梨子「“すてみタックル”!!」
「ブルルッ!!!!!」
落下点にあわせて、メブキジカが駆け出す。
落下の力と、突進攻撃の力を掛け合わせ──
「ヴォッフッ!!!!!!」
ムーランドを一気に突き飛ばす。
強力な攻撃が直撃し、弱ったムーランドに向かって、
梨子「いけ!! モンスターボール!!!」
158 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/14(火) 00:20:15.87 ID:gM5+0Wds0
私はボールを投げた。
「ヴォフッ──」
ムーランドはボールに吸い込まれ……一回、二回、三回揺れたのち、大人しくなった。
私はそのボールを拾い上げて、
梨子「ムーランド……ゲットだね」
捕獲したムーランドをすぐにボールから出す。
「ヴォッフッ…?」
ムーランドは少し不思議そうな顔をした。
梨子「ムーランド、私に付いて来てくれますか?」
私はそう訊ねた。
ポケモンにも、トレーナーを選ぶ権利があるから。
「……ヴォッフ」
私の言葉にムーランドは頭を垂れた。
梨子「……うん、ありがとう。よろしくね、ムーランド」
「ヴォフッ」
こうして、私は最後の手持ち──ムーランドを手に入れて……最後のジムへと向かいます。
* * *
159 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/14(火) 00:22:21.64 ID:gM5+0Wds0
──ウラノホシタウン。
千歌「ふぁ……いい天気……」
私は我が家の屋根の上に寝転がって、日向ぼっこをしていた。
自宅療養期間中、特に問題らしい問題もなく。
明日にはまた旅立つことになっている。
美渡「千歌ーーー? どこだーーー?」
そんな私を呼ぶ声。
千歌「……美渡姉が呼んでる。行くべきか、行かざるべきか」
たぶん、旅館の手伝いだと思う。
せっかく可愛い妹が旅から帰って来てるというのに、人遣いの荒い姉だ。
千歌「こういうときは無視しよ、無視。私はりょーよーちゅーなんだから」
我ながら都合の良いときだけ、療養中と言い張っているなと思うけど、こうでもしないとせっかく休もうとしてるのに仕事でくたくたになってしまう。
美渡「お、しいたけ。千歌がどこいるか、知らない?」
「ワフッ」
美渡「上……? また、屋根の上登ってんのか……オイ、バカチカー!!」
千歌「って、しいたけ!! 何教えちゃってるのさ!?」
「ワフッ」
千歌「私と一緒に旅の中で築いた絆はなんだったんだ……くそぉ」
美渡「バカなこと言ってないで、早く降りてくるー!! お母さん待ってるよー!!」
千歌「へ……? お母さん?」
* * *
言われて、部屋に降りてくると、
千歌「お母さん」
千歌ママ「千歌、久しぶりねー」
お母さんが部屋にいた。母は普段は遠方で仕事をしていることが多く、ほとんど旅館の仕事は二人の姉が切り盛りしているんだけど……。
千歌「どうしたの?」
千歌ママ「んー、千歌が旅から帰って来てるって聞いたから、顔でも見ておこうかなって」
千歌「ふーん……」
千歌ママ「冷たい反応ね……それに、志満がしばらく用事があって旅館を離れることになりそうって言うから、しばらくはこっちにいるつもりなのよ」
千歌「え? 志満姉が?」
千歌ママ「コンテスト……出るんだって」
千歌「そうなんだ……!」
160 :
◆tdNJrUZxQg
[saga]:2019/05/14(火) 00:25:19.93 ID:gM5+0Wds0
志満姉は昔からポケモンコンテストが好きで、実力もある結構強い人らしいんだけど……本人に聞いてもあんまり話してくれないし、ここ最近はあんまり参加もしていなかったみたいだったから、その報せに少しだけ驚く。
千歌ママ「なんか近々大きな大会があるらしくってね。張り切ってたわ」
千歌「へー」
千歌ママ「千歌も負けてられないわね?」
千歌「ふふーん、もうすでに負けてないもんね! それどころか、私この前世界を救ったんだよ!」
胸を張って言う。
千歌ママ「あらそうなの。すごいわね」
千歌「……えー、それだけ……?」
自分で言うのはなんだけど、結構すごいことだったんだけどな……。
千歌ママ「千歌はいっつも気付けば、トラブルに巻き込まれてばっかりだからねー。あんまり危ないことしちゃダメよ?」
千歌「……むー。ホントに世界救ったんだけど。いろんな人に感謝されたもん!」
千歌ママ「……それは誇らしいことだけど……お母さんはあなたが五体満足に生きてくれていた方が何倍も嬉しいわ」
千歌「…………んっと……」
千歌ママ「……とは言っても、やめろって言ってやめてくれるんだったら、お母さんも苦労してないからね。多少の怪我くらいは目を瞑るけど、先にいなくなったりしないでね。あなたが死んじゃったら、あなたの人生はそこで終わり。どんなにすごいことに挑戦してても、頑張った結果が残るんだとしても、千歌が死んじゃったら、千歌はいなくなっちゃうんだから」
千歌「う、うん……わかった」
お母さんはそれだけ言うと、満足したのか、私の部屋を出て行ってしまった。
千歌「……娘が世界を救うよりも、生きててくれた方が嬉しい……かぁ」
私は少し考え込んでしまう。
ふと……聖良さんと理亞ちゃんのことを思い出す。
命を掛けて、理亞ちゃんの夢を叶えようとした聖良さんと、本当は聖良さんが傍にいてくれるだけでよかったと言う理亞ちゃん。
千歌「……確かに、お姉ちゃんたちがチカのために何かしてくれたんだとしても、それで死んじゃったら……嫌かな」
それが例え、かけがえのない何かをくれるようなことだったとしても。
いなくなっちゃったら……困るよね。
千歌「ま……志満姉ならともかく、美渡姉がそんなことするなんてありえないけど──」
美渡「何がありえないって?」
千歌「……」
気付けば背後に美渡姉の姿。
千歌「ウウン、ナンデモナイ」
美渡「……なんか、わからんが悪口を言われた気がする」
千歌「キノセイダヨ」
美渡「そういえば、そろそろお客さんが来るんだけど」
千歌「チカ、急に客間の片付けしたくなってきたっ!!!」
美渡「よろしい」
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