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遊勝「紹介しよう、デニス。超高校級のマジシャンの夢野秘密子さんだ」
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2 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 20:28:07.69 ID:PVMhat78O
ーエクシーズ次元の家屋ー
遊勝「紹介しよう、デニス。超高校級のマジシャンの夢野秘密子さんだ」
デニス「……はい?」
夢野「んあー……ウチはマジシャンでは無い、魔法使いじゃ。何度も言わせるでない」
遊勝「ははっ、そうだったね。すまなかった、秘密子」
夢野「……気安く下の名前で呼ぶでない。ウチのことは上の名前で呼ぶように言ったはずじゃぞ」
遊勝「それもそうだったね、夢野さん……というわけで、デニス。キミも彼女のことは、上の名前で呼ぶことを勧めるよ」
デニス「あ、えっと、その……」
夢野「……んあ? なんじゃ、お主? どうかしたのか?」
3 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 20:30:53.42 ID:PVMhat78O
デニス(ーーーあ…ありのまま、いま起こったことを話すよ!)
デニス(アカデミアの長期休暇……という名目のユーリのデュエル相手の日々が終わったと思ったらーーースパイ先であるエクシーズ次元で、先生がボクに女の子を紹介していた……!)
デニス(それも、あの、希望ヶ峰学園の誇る、超高校級のマジシャン、夢野秘密子を……!)
デニス(な…何を言っているのかわからないとは思うけど、ボクも何が起きたのか、わからない……)
デニス(頭がどうにかなりそうだよ…スマイルワールドだとか、そんなチャチなものの仕業とかじゃあ、断じてない)
デニス(もっと、恐ろしいものの片鱗を味わったよ……!)
4 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 20:34:09.05 ID:PVMhat78O
遊勝「ーーー何はともあれ、デニス。キミも、これから夢野さんのデュエル相手になって欲しい」
デニス「……えっ、?」
遊勝「実はね……夢野さんは、希望ヶ峰学園に入学したは良いものの、【科目:デュエル】で良い成績を取れるかどうか、不安があるみたいなんだ」
夢野「は、はっきりと言うでない……! 恥ずかしいではないか……」
遊勝「だから、夢野さんには、デュエルの練習相手が必要なんだ。それも、己の実力を向上させるに足る、相応の実力を持ったデュエリストの、ね」
デニス「……」
遊勝「本来ならば、練習相手を引き受けた私がやるべきことなのだろうが、キミも知っての通り、平日の私はクローバー校の生徒とのデュエルや教師としての仕事で忙しい」
遊勝「故に、デニス。キミには、平日の間……出来れば休日中にも、夢野さんのデュエルの練習相手になって欲しいんだ」
遊勝「引き受けてくれるかい?」
デニス「……あっ、ええ、それは、別に構いませんがーーー」
遊勝「ーーーそれは、良かった。是非ともよろしく頼むよ」
夢野「……ということのようじゃ。よろしくな」
デニス「ーーーあー、うん、よろしく」
5 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 20:36:44.63 ID:PVMhat78O
デニス(……よし! ここは、先生の言う通りにしておこう!)
デニス(ここで断れば、ボクは先生から見て、困っている女の子を見捨てた人間となってしまう)
デニス(そうなると、ボクと先生の関係も何処かギスギスしたものになるかもしれない)
デニス(それは、嫌だ。そんな空気の中で先生とデュエルし続けるなんて、まっぴらゴメンさ)
デニス(そのことを考えれば、先生の言う通り、彼女のデュエル相手になった方が良い)
デニス(そうと決まればーーーー)
6 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 20:41:02.79 ID:PVMhat78O
デニス「ーーーもう、ボクのことは、先生から聞いてはいると思うけど……ボクもエンターテイナーの一人。自己紹介はさせて貰うよ」
デニス「ボクは、デニス……デニス・マックフィールド! 榊先生の弟子! そして、トラピーズマジシャンを相棒に持つ、エンタメデュエリストさ!」
デニス「ボクを呼ぶ時は、親しみを込めてデニスって呼んで欲しい! それに、マックフィールドという呼び方だと、ちょっと長いしね!」
デニス「これからよろしくお願いするよ! 超高校級のマジシャン、夢野秘密子さん!」
夢野「魔法使いじゃ」
デニス「……そうだね、魔法使い、さん」
遊勝「そこを間違えるとは……デニス、やはりキミはまだまだだ」ヤレヤレ
夢野「……いや、お主もさっき間違えてたじゃろ?」
デニス(夢野さんは、コスプレ海賊……キャプテン・ソロと同じで、なりきるタイプなのかな?)
デニス(まっ、そこは、本人の自由だし、別に良いと思うけど……)
7 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 20:42:01.09 ID:PVMhat78O
今はここまで
8 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 22:02:53.63 ID:LZSced1DO
再開します
9 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 22:10:07.47 ID:LZSced1DO
デニス(ーーーそうして、夢野さんとのデュエル漬けの日々が始まった)
デニス(合間に日常トークとかもしたかったけど、夢野さんは内向的な人で、あまり自分のことを話そうとはしなかったため、叶わなかった)
デニス(まだ出会ったばかりのボクのことを、警戒しているのかもしれない)
デニス(そのため、ボクらの会話はほとんどデュエル関連のものばかりだった)
デニス(そして、夢野さんは、はじめの方は基本的なルールは理解していたものの、複雑な部分は理解していなかった)
デニス(だから、ボクはデュエルを通して、複雑なルールを教え続け、夢野さんはそれを吸収してデュエルの腕を磨き上げていった)
デニス(夢野さんは、そのお礼としてボクにマジックを披露してくれた。もっとも、本人は魔法と言い張っているけどね……)
デニス(ボクは、そのマジックを見ることで、楽しい気持ちになってデュエルに関するインスピレーションがどんどん湧き上がっていった)
デニス(その結果、ボクのデュエルの腕は、以前よりも遥かにハイスピードで磨かれていった。先生の弟子になって、エクシーズ次元では先生とばかりデュエルしていた時よりも遥かに、成長出来たように思う)
デニス(そうやって磨き上げたデュエルの腕で、ボクは夢野さんにデュエルを教え、夢野さんのデュエルの腕も磨かれ、そのお礼に夢野さんはマジックを披露し、それによってボクのデュエルに関するインスピレーションが湧き上がり、ボクのデュエルの腕は磨かれるーーー)
デニス(ーーーそうした相乗効果によって、ボクと夢野さんのデュエルの腕はどんどん磨かれていった)
デニス(まあ、夢野さんの成長速度は、ボク以上だったんだけどね……)
デニス(流石は、超高校級と言ったところか……)
デニス(この成長速度だと、いずれボクと互角のデュエルが出来る日も近いかもしれない)
デニス(そして、初めて会った日から約一週間、平日の放課後、ボクと夢野さんはーーーー)
10 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 22:12:58.06 ID:LZSced1DO
ーエクシーズ次元の家屋・デュエル場ー
デニス「ーーーいくよ! レベル4のハットトリッカー二体でオーバーレイ!」
夢野「ーーーんあ!?」
デニス「show must go on !」
デニス「天空の奇術師よ! 華やかに舞台を駆け巡れ! エクシーズ召喚!」
デニス「現れろ、ランク4! 《Em トラピーズ・マジシャン》!」
トラピーズ『ヤーハハーッ!』ATK2500
11 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 22:20:05.21 ID:LZSced1DO
夢野(デニスめ……もしや、トラピーズマジシャンで、ウチの《黒き森のウィッチ》を攻撃するつもりか?)
ウィッチ『……』ATK1100
夢野(確かに、トラピーズマジシャンで《黒き森のウィッチ》を攻撃すれば、ウチのライフはゼロになるじゃろう)LP900
夢野(じゃが、ウチの場には、ウチと同じ魔法少女が……ブラマジガールがおる! そして、ブラマジガールには、《磁力の指輪》と《月鏡の盾》が装備されておるのじゃ……!)
ガール『……フフーン!』キラーンッ
夢野(《磁力の指輪》を介した引力魔法によって、お主が攻撃出来るのは、ブラマジガールだけじゃ)
夢野(しかも、《月鏡の盾》を介した支援魔法によって、ブラマジガールの攻守は、戦闘する相手モンスターの攻守どちらか高い方よりも、100だけ上回った数値となるのじゃ)
夢野(いかに、トラピーズマジシャンといえど、ウチの魔法……マジカルコンボの前にはーーー)
デニス「罠カード発動、《小人のいたずら》!」
12 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 22:23:28.13 ID:LZSced1DO
夢野「……んあ?」キョトン
デニス「その効果で、お互いの手札のモンスターのレベルを1下げる!」
小人『……ヘーイ!』ミミューン…
デニス「これで、ボクは、レベル5のモンスターがリリース無しで召喚可能!」スッ
夢野「レベル5じゃと? いったい何をーーー」
デニス「紹介するよ! 新しく、ボクのショーに加わった、亀の砲台!」
デニス「その名もーーー《カタパルト・タートル》!」ババンッ
タートル『……』ATK1000
13 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 22:28:16.70 ID:LZSced1DO
夢野「そ、そやつは……!」
デニス「《カタパルト・タートル》は有名なモンスターでもある。その効果は、キミも知っているよね?」
夢野「……ああ、そやつは自分のモンスターをリリースして、その攻撃力の半分のダメージを相手に与えるモンスターじゃ」
デニス「ご名答」キラッ
夢野「まさか、お主……」LP900
デニス「その通りだよ、夢野さん!」
デニス「ボクは、トラピーズマジシャンを射出し、キミに1250ダメージを与える!」
14 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/04/30(火) 22:28:55.73 ID:LZSced1DO
今日はここまで
15 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 20:05:00.25 ID:s4M4lUIQO
投下します。
16 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 20:29:07.46 ID:s4M4lUIQO
夢野「……デニス! トラピーズマジシャンはお主の相棒のはずじゃろ!? こんな外道戦法のためにリリースして良いのか!?」
デニス「No problem! 実は、トラピーズマジシャンは蘇生魔法も扱える、奇跡の魔法使いなんだ! 射出されたって、あの世から次のショーまでスタンバるだけのことさ!」
夢野「……何を言っておる? トラピーズマジシャンに、そんな魔法(効果)、無かったはずじゃがーーー」
デニス「さあ、いくよ! ボクは《カタパルト・タートル》の効果でーーー」
夢野「さ、させんわい! ウチは《カタパルト・タートル》の召喚成功時に速攻魔法、《ディメンション・マジック》を発動じゃ!」
デニス「!!」
夢野「その効果……ウチの空間転移魔法によって、フィールド上の《黒き森のウィッチ》をリリースし、手札の魔法使い……《妖精伝姫ーシンデレラ》を守備表示で特殊召喚じゃ!」
ウィッチ『……』スタスタ
ガチャッバタンッ……
……ギイイッ
シンデレラ『んあ……!』DFF1000
17 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 20:33:42.65 ID:s4M4lUIQO
夢野「そして、この瞬間、《妖精伝姫ーシンデレラ》の支援魔法が適用される!」
夢野「その永続効果によって、このカード以外のフィールドのモンスターを魔法効果の対象にすることは出来んようになった!」
夢野「さらに、《ディメンション・マジック》を介した攻撃魔法で、《カタパルト・タートル》を破壊じゃ!」
デニス「そんな……! ねえ、夢野さん。シンデレラの支援魔法で守ってくれたりはしないの?」
夢野「残念じゃが、この破壊は、『選択して』ではなく、『選んで』という呪文(テキスト)で詠唱されておる! 故に、対象を取らん魔法効果となるため、《妖精伝姫ーシンデレラ》の支援魔法でも防ぐことは出来んわい」
デニス「ははっ……そうだったね、夢野さん!」
夢野「《カタパルト・タートル》、ウチの魔法で一刀両断じゃ!」
ビビーッ……スパッ!
タートル『……!』
ドガーンッ!
18 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 20:43:48.31 ID:s4M4lUIQO
デニス(ーーーなるほど、こうやって、お互いのモンスターに耐性を与えながらも、その耐性をすり抜けた効果で、厄介なモンスターを破壊するってわけか)
デニス(しかも、トラピーズマジシャンに耐性を与えられたおかげで、ボクが《月鏡の盾》など対象を取る魔法カードを持っていても、それでサポートすることも出来ない)
デニス(……あーあ、この手札にある《月鏡の盾》をトラピーズマジシャンに装備出来れば、ブラマジガールを戦闘破壊出来るのになあ)
デニス(そう、《月鏡の盾》を装備したモンスター同士が戦闘すれば、ターンプレイヤーであるボクの《月鏡の盾》がチェーン1で発動して、非ターンプレイヤーである夢野さんの《月鏡の盾》がチェーン2で発動する)
デニス(それで、逆順処理で最終的にトラピーズマジシャンの攻撃力がブラマジガールの攻撃力を100上回るため、戦闘破壊出来る……もっとも、《月鏡の盾》を装備できない今においては不可能なプレイングだけどさ)
デニス(……それにしても、夢野さん。まさか、魔法少女になったシンデレラと正統派魔法少女のブラマジガールで、お互いを守り合わせるだなんてーーー)
デニス(ーーー本当に予想外!)
デニス(物語上の『シンデレラ』ではあり得ない、とんでもない展開だよ! 夢野さん!)
デニス(先の見えないデュエル……! それでいて、勝ち負けを気にしなくて良いデュエル……!)
デニス(これだから、この次元でのデュエルは最高なんだ!)
デニス(ワクワク、するよ……!)
19 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 20:46:08.32 ID:s4M4lUIQO
夢野「……かーっかっかっ! どうじゃ、ウチの魔法の力は!」
デニス「うん! 楽しい魔法をありがとう、夢野さん!」
デニス「……だけど、まさか忘れてはいないよね?」
夢野「……んあ?」キョトン
デニス「《ディメンション・マジック》でリリースされ、墓地に送られた《黒き森のウィッチ》のことをさ」
20 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 20:49:42.41 ID:s4M4lUIQO
夢野「……もちろんじゃ。ウチは、墓地から《黒き森のウィッチ》の魔法を発動じゃ!」
夢野「その効果でデッキから、守備力1000の《Em ダメージ・ジャグラー》をサーチしてーーー」
デニス「ならば、ボクは、それにチェーンして墓地から罠カードを発動する!」
夢野「んあ!?」
デニス「《小人のいたずら》!」
夢野「……!?」
デニス「これは、さっきボクが発動し、墓地に送ったカード!」
デニス「このカードの効果で、お互いの手札のモンスターのレベルを、さらに1下げる!」
21 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 20:52:39.54 ID:s4M4lUIQO
夢野「ーーーなんじゃ? そんなことをして、いったい何の意味があるのじゃ?」
デニス「魔法のためさ!」
夢野「ま、魔法じゃと?」
デニス「そう、それもとっておきのね!」
夢野「……」
デニス「これはそのための準備! ボクは、《小人のいたずら》にチェーンして、速攻魔法、《スター・チェンジャー》を発動だ!」
夢野「!?」
デニス「その効果で、シンデレラのレベルを1上げる!」
デニス「シンデレラは、お互いのモンスターに対象を取る魔法効果の耐性を与える効果があるけど、シンデレラ自身は効果の対象外! 故に、《スター・チェンジャー》の発動対象にすることが可能!」
デニス「……夢野さん! キミの、そのシンデレラは、さっきウチの小人がイタズラして、レベルという名の星を減らしてしまった!」
デニス「これは、そのお詫び! レベルを……星を元に戻させて貰うね!」
22 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 20:55:28.42 ID:s4M4lUIQO
夢野(ーーーなんじゃ? いったい、何が目的なんじゃ、こやつは?)
夢野(こんなことをしたところで、何の意味もーーー)
デニス「これで準備は整った!」
デニス「ボクは、《スター・チェンジャー》にチェーンして、速攻魔法、《奇跡の蘇生》を発動だ!」
夢野(んあ!? そ、そのカードは……!)
デニス「このカードは発動条件が厳しくてね。チェーン4以降にしか発動出来ないんだ」
デニス「その代わり、発動出来れば、墓地のモンスターを無条件で蘇生出来る!」
デニス「うん! まさに、奇跡の蘇生魔法! そうだよね? トラピーズマジシャン!」
トラピーズ『ハーッ!』キラキラ
23 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 20:57:22.67 ID:s4M4lUIQO
夢野「デ、デニスよ。お主はーーー」
デニス「そう! ボクの目的はモンスターのレベルを変動させることじゃない! 《奇跡の蘇生》のため、チェーンを稼ぐことが目的だったのさ!」
夢野「んあ!?」
デニス「さあ、これより、奇跡の魔法使い、トラピーズマジシャンによる、蘇生魔法のはじまりだ!」
デニス「it's show time!」
トラピーズ『ハハーッ!』グルングルン
デニス「当然、蘇生させるモンスターはーーー」
トラピーズ『ハーッ!』ギュイーンッ
デニス「ーーー《カタパルト・タートル》!」
ボンッ!
タートル『……』DFF2000
24 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 21:00:14.67 ID:s4M4lUIQO
デニス「おかえり、《カタパルト・タートル》!」
タートル『……』
デニス「ははっ、蘇っても相変わらずクールビューティーだね! そこもキュートで良いと思うよ!」
夢野(ま、まだじゃ……!)
シンデレラ『んあ……』レベル3→4
夢野(このチェーンの逆順処理が終われば、ウチの手札にダメージジャグラーが来る)
小人『……ヘイ?』←レベルを下げるモンスターが手札にいなくて困ってる
夢野(そして、ダメージジャグラーは効果ダメージを与える効果が発動した時、それを無効にして破壊出来る魔法が使えるのじゃ)スッ
夢野(……そう、いま、《黒き森のウィッチ》で手札に加えたこのカードで、《カタパルト・タートル》をーーー)
夢野(ーーーいや、ダメじゃ! 《黒き森のウィッチ》の魔法には誓約がある! その効果でサーチしたダメージジャグラーはそのターン中に魔法を発動出来ん!)ガガーンッ
夢野(つまり、ウチはもうーーーー)LP900
25 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 21:09:09.04 ID:s4M4lUIQO
デニス「ーーー逆順処理は終わったようだね! ならば、これで、クライマックスだ!」
夢野「!?」
デニス「《カタパルト・タートル》でトラピーズマジシャンを射出!」
トラピーズ『ハーッ!』ヒュンッ…スタッ
タートル『……』ゴオオン…ガシャッ
デニス「さあ、夢のような、フィナーレを飾れ! トラピーズマジシャン!」
デニス「トラピーズドリーム・マジカルダイブ!」
トラピーズ『ヤーハハーッ!!』ヒュウーンッ
ドゴオーーーンッ!!
夢野「んあーーー!?」LP900→0
ピィーッ!
【winner デニス】
26 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 21:10:01.89 ID:s4M4lUIQO
今はここまで
27 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/01(水) 22:18:28.11 ID:RvJhJqKMo
乙
デニスが融合次元のキャラクターということを活かしてキャプテン・ソロの名前を出してるの個人的に好き
んあーに対象を取るとかの細かいルールを意識したプレイをさせることでデニスの指導の成果が示されてて良いね
28 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 22:59:09.84 ID:s4M4lUIQO
>>27
感想ありがとうございます。
ちなみに私は、夢野をあの海賊と同列視するのはちょっとマズかったかな?省略デュエルだけど大丈夫かな?と不安に思ったりもしたのですが、特に問題なく喜んで頂けたようで何よりです。
これからもデニスが融合次元のキャラであることを活かしたり、夢野とデニスが関わった結果などをもっと描きたく思います。
続きを投下します。
29 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:03:05.40 ID:s4M4lUIQO
デニス「ーーーありがとう! 楽しいデュエルだったよ! 夢野さん!」スタスタ
夢野「んあ〜、また負けてしもうたわい……」
デニス「そう落ち込むことは無いよ! キミのデュエルは素晴らしかった!」
夢野「そ、そうかの……?」テレテレ
デニス「そうだよ! ついこの前、はじめてデュエルした時と比べて、格段にデュエルタクティクスが向上している!」
夢野「んあー……それは、あの時のウチは、《ディメンション・マジック》の破壊が対象を取らんとか、『選んで』と『選択して』が違うとか、複雑なところが全然わかっておらんかったからのう……」
デニス「そうした複雑なルールを、今やキミは理解している!」
夢野「まだまだ、ようわからんところがあるがの……」
デニス「それでも、普通はこんな短い期間で、ここまで成長したりはしない!」
デニス「流石は、超高校級の肩書きを持つだけはあるよ!」
30 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:04:48.11 ID:s4M4lUIQO
夢野「…………」
31 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:13:36.86 ID:s4M4lUIQO
デニス(ん? ひょっとして、ボク……また褒め過ぎちゃった?)
デニス(……夢野さんって、どういうわけか、褒め過ぎると、一気にクールダウンするんだよね)
デニス(多分、照れ過ぎて、感情を処理し切れなくなるからだと思うけど……)
夢野「……」
デニス(……まあ、この雰囲気のままじゃいけないし、とりあえずここは話題を変えてーーー)
デニス「……そうだ! 夢野さん、良かったら、これから一緒に、先生とボクのデュエルビデオを観ないかい?」
夢野「……っ、!?」
デニス「キミにも前に話したと思うけど、ボクは先生とデュエルする際、そのデータを取るためにビデオに撮っておくことがあるんだ!」
デニス「それを一緒に観ないかい? 夢野さん!」
夢野「……」
デニス「……キミ一人で観ても面白いだろうけど、二人で観れば、もっと面白いとボクはーーー」
夢野「ーーーお主は、本当にそれが観たいのか?」
32 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:15:29.44 ID:s4M4lUIQO
デニス「ーーーえっ、?」
夢野「……」
デニス「え、えーと……?」
夢野「……答えい、デニス」
夢野「お主は、本当に、榊遊勝とのデュエルビデオが観たいのか?」
33 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:17:47.05 ID:s4M4lUIQO
デニス「……ああ、うん、観たいと思ってるよ。あのビデオは、ボクにとっても、夢野さんにとっても、勉強にもなると思ったし……」
夢野「……」
デニス「それがどうかしたのかい?」
夢野「んあ……」
デニス「……いや、んあ、じゃなくてね?」
夢野「んああ……」
34 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:22:12.05 ID:s4M4lUIQO
デニス(ええー……何でこんな反応するの?)
夢野「……」
デニス(……思えば、夢野さんは、ボクが先生に負けたところを見ても、ボクに慰めの言葉をかけたりはしなかったなあ)
デニス(慰めの言葉をかける……この次元の人間ならやってもおかしくないことを、何故か夢野さんはボクにしなかった)
デニス(ひょっとして、ボク、かなり嫌われてる?)
デニス(……いや、夢野さんはボクにマジックを披露してくれたりもしたし、それを考えると、かなり嫌われているわけでは無いはずだ、うん)
デニス(……あっ! もしかして、夢野さんは、他人が負けて悲しんでいるところを見たくないタイプの人なのかな?)
デニス(夢野さんは、アカデミアで言うなら、カード化を躊躇うタイプと……他人が悲しむところを見たくない人たちと、同じ雰囲気をしているからね……)
デニス(……だとしたら、夢野さんが望んでいるのは、他人同士のデュエルではなく、自分のデュエルということになる)
デニス(それならーーーー)
35 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:27:27.49 ID:s4M4lUIQO
デニス「ーーーねえ? もしかして、夢野さんは、先生とボクのデュエルを観るよりも、先生とデュエルがしたかったのかな?」
夢野「!?」
デニス「……もし、そうだったのなら、夢野さんも先生に頼んで、デュエルして貰うと良いよ!」
デニス「今日は平日だから無理だけど、明日や明後日といった土日……休日中なら、他の人とデュエルショーをしている時でも無い限りは、いつだって受け付けてくれるはずだよ!」
夢野「……っ、」
デニス「ーーーん? そういえば、夢野さんは、ボクとはじめて会った日に先生とデュエルしなかったけどーーーもしかして、先生に気をつかっていたのかい?」
夢野「……」
デニス「だとしたら、そんなこと全然気にする必要は無いよ! 先生はつかみどころの無い人ではあるけど……デュエルから逃げるような人じゃ無いはずだよ、うん!」
デニス「それに、キミもせっかく先生の弟子になったんだから、デュエルしないなんて勿体無いーーー」
夢野「ーーーウチは、あやつの弟子ではない!」
36 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:29:17.73 ID:s4M4lUIQO
デニス「ーーーえっ、?」
夢野「ウチが、榊遊勝の弟子じゃと?」
夢野「ふざけるのも大概にせい! ウチのお師匠様はあの人だけじゃ! ウチはあの人だけの弟子なんじゃ!」
夢野「榊遊勝なんかの弟子などでは、断じてーーー」
デニス「ーーー聞き捨てならないね」
夢野「!」
デニス「 “ なんか ” ? 仮にも、ボクの先生を、 “ なんか ” ?」
夢野「んあ!? そ、それはじゃなーーー」
デニス「どうしてそんな風に言うのかな?」
夢野「……」
デニス「何か、気に入らないところでもあるのかい?」ズイッ
夢野「んああ……」プルプル
デニス「まさか、 “ 話すのがめんどい ” なんて言って終わらせたりはしないよね?」
デニス「仮にも、ボクの先生に向けて、 “ なんか ” なんて言っておいてさ」
デニス「ねえ、夢野さん?」
37 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:31:15.09 ID:s4M4lUIQO
夢野「……」
夢野「…………」
夢野「………………」
38 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:32:54.49 ID:s4M4lUIQO
夢野「ーーーし、正直に言って良いのか……?」
デニス「構わないよ、ボクも別に先生が全能の神さまだなんて思ってない」
夢野「!」
デニス「ひょっとしたら、どこかでキミに不快な思いをさせていることだってあるかもしれない」
デニス「それを元に、キミが先生を “ なんか ” と形容せざるを得ないのならば、ボクは否定はしない」
デニス「怒ることも無い。先生に教えることも無い」
デニス「これまで通りの関係を続けるつもりだよ」
39 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:34:32.63 ID:s4M4lUIQO
夢野「ーーー本当に、怒らないんじゃな?」
デニス「うん、怒らないよ」
夢野「本当の、本当に、言っても良いんじゃな?」
デニス「全然構うことは無いよ。自由に言ってみると良い」
デニス「ボクは、それを、受け入れる」
40 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:38:40.44 ID:s4M4lUIQO
夢野「ーーーそれなら、言わせて貰うがの……」
デニス「……」
夢野「……榊遊勝、あやつのデュエルは、デュエルの相手に失礼なように思うのじゃ」
デニス「失礼、ね……」
夢野「あやつのデュエルは、相手の思考を読むだけでなく、読んだ思考を相手や観客に推理として披露しておる」
夢野「言い換えるなら、デュエルの相手を晒し者に、見世物にしておるのじゃ」
デニス「……」
夢野「……じゃが、そんなことをされたら、やられた側は、恥ずかしくて仕方が無いではないか」
夢野「やられた側のデュエリストにもファンはいるじゃろうし、そやつらも決して良い気持ちはしないじゃろう」
夢野「ウチは、それが気に入らないんじゃ……」
デニス「……まあ、確かに、そういう考え方もあるだろうね」
夢野「!」
デニス「ボクは、先生がああいったデュエルをしているのは、あのスタイルが先生の肌に一番あっているからだと思って、深くは考えなかったけどーーー確かに、考え方次第では受け入れられないかもしれない」
デニス「……なるほど、そういうことなら、夢野さんが、先生を “ なんか ” と形容してしまうのも無理の無いことだろうね」
41 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:41:06.95 ID:s4M4lUIQO
夢野「ーーーじゃが、それでも、 “ なんか ” などと言うべきでは無かったかもしれん」
夢野「ウチにとっては、気に食わんでも、お主にとっては大切なお師匠様なんじゃからのう……」
デニス「まあ、それはね……」
夢野「……すまんかったの、デニス」
デニス「ーーーいや、いいよ。キミの考え方が嫌いというわけじゃない」
デニス(……ボクだって先生のあのデュエルで負けた時、恥ずかしく思うことがあるし、出来れば衆目に晒したくは無い)
デニス(ボクが先生のデュエルショーに参加したことが無いのは、そういうことが理由でもある……)
デニス「……うん、そうした理由で気に入らないというのなら、不快感は無いよ」
夢野「……」
42 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:44:21.29 ID:s4M4lUIQO
デニス「ーーーところでその話、先生には直接言ったの?」
夢野「……そうじゃな、言ったわい」
デニス「えっ、ホントに言ったの!?」
夢野「……」
デニス「すごいね、キミ……」
夢野「……我慢、出来なかったんじゃ」
夢野「ウチは、先週の土曜日、たまたま榊遊勝の開催したデュエルショーをはじめて見たんじゃがーーーどうしても言うのを我慢出来んかった」
夢野「めんどいとわかっていても、どうしても、あやつに問い正したくて仕方がなかったわい」
夢野「それで、その気持ちのままに、あやつに言ったのじゃ」
夢野「なぜ、あんな風に、相手に恥をかかせるようなデュエルをするのか?」
デニス「……」
夢野「……じゃが、それに答えてはくれんかった」
夢野「その代わり、榊遊勝はウチに向けて、明日からお主と榊遊勝のデュエルを見るなりして、なぜあんなデュエルをするのか学ぶと良いとーーー」
夢野「ーーーそう、言ったのじゃ」
デニス「……」
夢野「……ウチは、それに乗った」
夢野「だからこそ、先週のあの日曜日に、ウチとお前は出会ったのじゃ」
43 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:47:27.80 ID:s4M4lUIQO
デニス「ーーーあれ? でも、確か先生は、キミがデュエルの成績に不安を感じてるから連れてきてあげたかのようなことを言ってなかったっけ?」
夢野「……それも間違いではない」
夢野「あやつは、ウチがデュエルの成績に不安を感じていることを見抜いていたようでのう」
夢野「それを、あやつ及びお主とデュエルすることで解消することも出来ると、別方向のメリットも提示して来た」
夢野「ウチは、それにも乗ったのじゃ」
デニス「……」
夢野(……それに、ウチのお師匠様は、『若いうちはデュエルが弱くても大目に見られるが、大人になっても弱いままでは、それがバレた時に求心力を失うこともある。絶対にデュエルの腕は上げておけ』……とも言っておったからのう)
夢野(お師匠様からの言葉を思えば、高校生になった今でも、魔法の修行三昧というわけにはいかん。何処かで必ずデュエルの腕を上げねばならんかった)
夢野「ーーーそうした理由もあって、ウチは、ここに来てお主を通して、デュエルを学ぶことに決めたというわけじゃ」
デニス「なるほどね……」(物の見事に先生に言いくるめられたってわけだ)
夢野「……もっとも、榊遊勝があんなデュエルをする理由は、未だにわからんままじゃがのう」
44 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:49:45.90 ID:s4M4lUIQO
デニス「ーーー参考までに聞かせて貰いたいんだけど、キミは、何故そこまで先生のデュエルを目の敵にするんだい?」
夢野「!」
デニス「いや、ボクとしても、先生のデュエルが全ての人に受けるだなんて思ってはいないよ?」
デニス「でもね、先生が開催したデュエルショーは、観客からとても喜ばれていたはずだよ」
夢野「……っ、」
デニス「キミも、先生が開催したデュエルショーを見たんだろう?」
デニス「観客が歓声を上げているところだって見たはずだ」
デニス「だったら、それで良いとは思えない?」
45 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:51:56.89 ID:s4M4lUIQO
夢野「ーーー観客が喜んでいれば、それで良いのか?」
デニス「……」
夢野「デュエルはマジカルショーと同じじゃ! 一人回しでも無い限りは、必ず二人以上で行うものじゃ!」
夢野「……じゃからこそ、ウチは、どっちも笑顔になれるようなデュエルが良い」
夢野「じゃが、榊遊勝のデュエルは、デュエル相手を利用して、自分だけが輝いて笑顔になろうとするデュエルに見えるわい」
夢野「……そう、あやつのデュエルは、相手の思考を読むだけでなく、読んだ思考を相手や観客に推理として得意げに披露するものじゃ」
夢野(ウチの知り合いにも推理が得意な者はおるが、だからといってあんなデュエルはせんぞ……)
夢野「……榊遊勝のデュエル、ウチには、あやつが相手を利用して自分だけが輝いて笑顔になるためのものに見えて仕方がないんじゃ」
夢野「……はっきり言って、気に入らんわい」
46 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:55:00.98 ID:s4M4lUIQO
デニス「……キミは、ずいぶんと甘いことを言うんだね」
夢野「……なんじゃと?」
デニス「デュエルは勝負事だよ? 楽しいのは、勝った方だけ」
夢野「なっーーー」
デニス「これは、元々は、ボクの友人のセリフだ」
デニス「……いや、彼の方もボクのことを友人と思っているかはわからないんだけどーーーここではひとまず置いておくね」
デニス「ともかく、その友人が言った、さっきのセリフは、この世の真理が詰まっていると思っている」
47 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:56:45.19 ID:s4M4lUIQO
夢野「……真理じゃと?」
デニス「違うかい?」
デニス「先生がどんなデュエルをしようと、それが勝負事である以上は、勝者と敗者が生まれることに変わりは無いだろう?」
夢野「それはそうじゃが……」
デニス「いや、仮に勝負事で無かったとしても、同じこと」
デニス「人は物事に対し、優劣をつけたがる生き物だからね」
デニス「勝負事でないショーであっても、そこに二人の人間がいれば、どちらが優れているかを決めたがる」
夢野「!」
デニス「それは、観客はもちろん、ショーを行っている本人たちも例外じゃない」
デニス「勝ち組と負け組に線引きしようとする」
デニス「その上で、勝ち組になれてこそ、楽しいと思える」
デニス「それこそが、真理」
デニス「故に、ボクには、キミの発言は、甘い香りがしてならないよ」
48 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/01(水) 23:58:48.59 ID:s4M4lUIQO
夢野「……じゃ、じゃが、それでもーーー」
デニス「それに、キミのその甘さがそこまで必要だとも思えないね」
夢野「……な、なんじゃと!?」
デニス「先生のデュエルショーなら、負けたとしても、その人やそのファンは深く傷付いているわけじゃないからね」
デニス「事実として、先生とのデュエルでは、負けた側もそのファンも、笑顔になっているケースが多いはずだ。先生のファンや中立の観客と同様にね」
夢野「!」
デニス「キミも先生のデュエルショーを見たんだろう?」
デニス「だったら、知ってるよね? そのことも」
夢野「………」
デニス「先生が笑顔にするのは、先生のファンや中立の観客だけじゃない。倒した相手とそのファンでさえ、笑顔にしてみせる」
デニス「先生の相棒である、スカイマジシャンと共にね」
デニス「キミにとって気に入らないデュエルをしようとも、大概のケースで笑顔にしてみせる。それが先生なんだよ」
49 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 00:00:59.71 ID:Ewmwd3cpO
夢野「……ウチは、榊遊勝と出会った先週の土曜日、一度だけあやつとデュエルして負けたことがあるが、笑顔になったりはせんかったぞ」
夢野「無論、その翌日の日曜日も、お主があやつに負けたところも何回か見たが、ウチは全く笑顔になんぞなれんかったわい……」
夢野「……お主とて、あやつに負けたあと、まったく笑顔にならんかったではないか」
デニス「大概のケースで、って言ったでしょ? 先生だって全能の神さまじゃない。相手によっては、笑顔に出来ないことだってある」
デニス「キミのような、甘すぎる考え方を持つ者ならば、特にね」
夢野「っ、」
デニス「……まあ、ボクとしても、なんで先生のあのデュエルで、大概のケースで負けた側やそのファンも笑顔になるのか、計りかねているところがあるけどーーー」
デニス「ーーー先生は、デュエルがものすごく強いからね」
夢野「……?」
デニス「故に、先生は、異常なまでの発言力を持っている」
デニス「……その上で、『笑顔になって欲しい』と言えばーーー」
デニス「ーーー先生の望み通り、笑顔にならざるを得ないのかもしれないね」
50 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 00:03:38.80 ID:Ewmwd3cpO
夢野「……どういうことじゃ?」
デニス「良いかい? まず、前提条件として、デュエルの強さと発言力は比例するんだ」
夢野「んあ……確かに、デュエルが強いと就職に有利という話は良く聞くのう……」
デニス「そして、先生は、デュエルがものすごく強い。故に、先生は、異常なまでの発言力を持っている」
デニス「その上で、『笑顔になって欲しい』と、人間的な感情から見て正しいとされることを言えば、先生はそれを体現する善人となる」
デニス「先生の言葉は、人間的な感情から見て受け入れなければならない、絶対の善人の言葉となるんだ」
夢野「んあ……!?」
デニス「そうした言葉は、逆らいづらい言葉だ」
デニス「善人の言葉に逆らうのは難しい」
デニス「それに逆らえば、自分が、自分自身の心や周囲から見て、悪人であるかのように映ってしまうんだからね」
デニス「誰だって、悪人になんて、なりたくない」
デニス「故に、先生の言葉を、受け入れなければならない、空気が発生する」
デニス(……そうなれば、よほど譲れないもののある人間か、あるいは壊れてしまった人間でも無い限りは、そうした空気に従うだろう)
デニス「だからこそ、先生に負けた側やそのファンも、笑顔になっていたんじゃないかな?」
夢野「ーーーんあ!?」
デニス(……仮に、ユーリが先生と同じような言動を取っていればーーー)
デニス(ーーーもしかしたら、ユーリも、先生のようにーーーー)
51 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 00:05:57.33 ID:Ewmwd3cpO
デニス「ーーーまあ、実情はどうあれ、先生のデュエルでは負けた側やそのファンも笑顔になっていることは事実」
デニス「それを考えれば、キミのその甘さがそこまで必要だとは思えないとボクはーーー」
夢野「ふざけるでない!」
デニス「!」
夢野「……どうしてじゃ!? どうして、そんなことを涼しげに言えるのじゃ!? どうして、そんな風に甘さを切って捨てられるのじゃ!?」
夢野「確かに、もし本当にお主が言った通りならば、榊遊勝のあのデュエルでも一応は笑顔になれるのじゃろう!」
夢野「じゃが、その笑顔は、デュエルの強さ、そして人間的感情を盾にした同調圧力で! 強制されたものに過ぎないではないか!」
夢野「そんな笑顔は仮面と同じじゃ! 外側は笑顔になっても内側は断じて笑顔にならん! それでは、必ず、不満が残る!」
夢野「その不満が、何かのはずみで爆発でもすれば、笑顔は消え失せるぞ!」
52 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 00:08:40.57 ID:Ewmwd3cpO
デニス「……断っておくけど、さっきの話はあくまでボクの勝手な想像であって、実際に先生がどんな人心掌握術を用いて負けた側やそのファンを笑顔にしているかは知らないよ」
デニス「先生が人を笑顔にするメカニズム、それを解き明かすには、もっと先生を理解してみないことにはーーー」
夢野「だとしてもじゃ!」
デニス「!」
夢野「さっきの話が勘違いで、本当は真っ当な方法で笑顔にしているとしても! 『甘さなど必要ではない』と言えてしまうことに疑問は無いのか!?」
デニス「……どういうことかな?」
夢野「良いか!? 真っ当な方法にせよ同調圧力にせよ、全ての者が榊遊勝のデュエルで笑顔になれるわけではないはずじゃ!」
夢野「あやつのあのデュエルで、心の底から笑顔になれるとは限らないはずじゃ!」
デニス「まあ、それはそうだろうけどさ……」
夢野「ならば、ウチは、榊遊勝のやり方では心の底から笑顔になれん者を、笑顔に出来るようなショーが……デュエルがしたい!」
夢野「それをするために必要なものが、お主がさっき、『必要だとは思えない』と切って捨てた、甘さではないのか!?」
夢野「……少なくとも、転子たちは、ウチの友達は、ウチの甘さが必要だと、そう言ってくれたんじゃ!」
デニス「………」
夢野「ーーーもう、ええわい! 不愉快じゃ! 今日はもう帰る!」
デニス「あっ、ちょっと……」
夢野「ふん!」スタスタ
バタンッ!
デニス「……」
53 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 00:10:51.79 ID:Ewmwd3cpO
……
デニス「」ゴクゴク
デニス「……うん、落ち着きたい時は、ミルクティーが一番だ」
デニス「良かったら、夢野さんもーーーって夢野さんは、今いないんだった……」
デニス「……怒らせちゃったみたいだからね」
デニス「まさか、あんなに怒るとは、夢にも思わなかったよ」
デニス「まあ、『今日はもう帰る』と言っているところから見て、明日また来てくれるとは思うけど……」
デニス「はあ……」
54 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 00:16:44.82 ID:Ewmwd3cpO
デニス(……本当、なんで、ボク、あんなこと言っちゃったのかな?)
デニス(主義主張のぶつけ合いなんて、アークエリアプロジェクトが実行される以上は、どうせ無意味なんだ)
デニス(プロフェッサーの意思の元、全てが一つに統一される。ボクや夢野さんの、個人の意思なんて何の意味も無い)
デニス(それを考えれば、夢野さんの言葉は、適当に受け流していれば良かった)
デニス(これまで通り、嫌なことは忘れて、この夢のような世界で楽しくデュエルや大道芸をしていれば良かったんだ)
デニス(……アカデミアは実力主義。勝ち負けを気にしなくて良いデュエルなんか、まずあり得ない。デュエルディスクに自動記録される勝率が、大体のケースでそのまま待遇に反映される)
デニス(しかも、アカデミアのデュエリストは、エクシーズモンスターであるトラピーズマジシャンを召喚すると、ボクらを侮蔑の目で見てくる……ユーリを除いてね)
デニス(そんな現実とは異なる、この夢の世界で……楽しくデュエルや大道芸をしていれば良かったんだよ)
デニス(……ボクにはどうせ、そうすることしか出来ないんだから)
デニス(そんなボクが、主義主張をぶつけたところで、無意味な面倒ごとにしかならない)
デニス(なのに、どうしてボクは、夢野さんの言葉に、あんなコトダマをぶつけたりなんかーーー)
ピピピンッ……ピピピンッ……
デニス(? このデュエルディスクの着信音……ユーリから……?)ピッ
デニス(ーーー!?)
デニス(こ、これは……!?)
55 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 00:17:16.56 ID:Ewmwd3cpO
今日はここまで
56 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/02(木) 00:41:17.91 ID:2ejIORu7o
おつー
57 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 20:35:06.61 ID:DVv3+eZ6O
投下します。
58 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 20:36:00.96 ID:DVv3+eZ6O
ーエクシーズ次元・公園ー
夢野「……」
アカデミアA(ーーーおい、見ろよ! あの、ベンチに座ってる奴!)
アカデミアB(ああ……間違いないな)
アカデミアC(超高校級のマジシャンの夢野秘密子だ)
アカデミアA(こんな通りがかりの場所でお目にかかれるとはな。探したりとか準備する手間が省けてラッキーだぜ! さっそく誘拐してドクトルの所に連れてくぞ! 幸い他に人もいないしよ!)
アカデミアB(……いや、しかし、本当に夢野秘密子を誘拐して大丈夫なのか?)
アカデミアA(ああっ!? 何言ってんだお前!? まさか、俺たちが夢野秘密子を誘拐する理由を忘れたってんじゃないだろうな!?)
アカデミアA(ーーーいいか? ドクトルは夢野秘密子をモルモットに欲しがっていた!)
アカデミアA(ドクトルが言うには、超高校級というステータスを持てるくらいのハイスペックな脳を持ち、なおかつ未成熟な肉体を持つ娘であればあるほど、虫の寄生研究を進めるのに最適とかほざいていたがーーーそれはどうでも良い!)
アカデミアA(大切なのは、ドクトルは夢野秘密子をモルモットに欲しがっていたってことだ!)
アカデミアA(それでドクトルは、夢野秘密子を誘拐して連れて来るよう、俺たちに依頼した! 大量の報酬を約束し、次元転送装置までくれた上でな!)
アカデミアA(だからこそ、俺たちは報酬のために、夢野秘密子を誘拐することにした! そういう理由だったろーが!)
59 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 20:40:38.22 ID:DVv3+eZ6O
アカデミアB(……それはわかっているが、だからと言って、今それをしていいのか?)
アカデミアC(ああ、融合次元の本国が言うには、まだ超高校級に手を出して良い段階じゃないって話だ)
アカデミアB(その通りだ。なのに、ここで個人的な理由で勝手に誘拐なんてしたことがバレたら、融合次元の本国から何と言われるかーーー)
アカデミアA(はっ、一匹ハンティングしたくらいでそんな大ごとにはならねーよ! それに、夢野秘密子は、戦闘スキルを一切持ってねーって話だ! 絶好のカモだぜ!)
アカデミアC(だが……)
アカデミアA(今さら怖気付いてるんじゃねーよ、お前ら! それに、ここで誘拐しておけば、楽に大量の報酬をゲット出来るんだぜ?)
アカデミアB(まあ、確かにあの額は魅力的ではあるな……)
アカデミアC(あれだけの金があれば、三等分しても十分過ぎる釣りが出る。レアカードも買い放題……!)
アカデミアA(おうともよ! 強いレアカードさえあれば、戦争が始まった時、俺たちが生き残る確率も高くなる!)
アカデミアA(そして、俺たちの本来のデッキをまともに強化出来るようなカードは融合次元にしか無い!)
アカデミアA(だったら、ここでサクッと誘拐して、ドクトルから報酬を貰って、融合次元でレアカードを買いまくるしかねえだろ!)
60 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 20:43:31.81 ID:DVv3+eZ6O
アカデミアB(……それを考えるとなぁ)
アカデミアC(命あっての物種だしな……)
アカデミアB(やるしかーーー)
アカデミアC(ーーー無いか)
アカデミアA(よしっ、そうと決まれば、ハンティングのはじまりだ! まずはファンのフリして自然に路地裏まで連れて込んでーーーー)ヒソヒソ
………
61 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 20:47:28.02 ID:DVv3+eZ6O
……
アカデミアA「ーーーあれ? そこにおわすは、ひょっとして、超高校級のマジシャンの夢野秘密子さんじゃありませんか?」スタスタ
夢野「ウチは魔法使いじゃ……って、なんじゃ、お主ら?」
アカデミアB「ああ、僕たちは怪しいものじゃありません」
アカデミアC「ええ、純粋に、あなたのファンなんですよ」
夢野「ファン……じゃと?」
アカデミアA「こんな所でお目にかかれるなんて、光栄だなあ。これも、きっと何かの縁、良かったらお茶でもしませんか? 向こうに良い喫茶店があるんですよ」
夢野「……んあ?」キョトン
アカデミアB「もちろん、勘定は俺たちが払いますよ」
アカデミアC「行きません? 喫茶店」
夢野「……んあー、悪いが、知らない人についていくわけにはいかんのでな」
アカデミアB「ええっ、そんな行きましょうよ!」
アカデミアC「そうですよ、ファンのせっかくの気持ちを何だと思っているんですか?」
夢野「……そんなようなことを言うファンとやらに、ロクな奴はおらん」
夢野「付いて行ってやるわけにはいかんわい」
62 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 20:49:09.62 ID:DVv3+eZ6O
アカデミアA(……チッ)
アカデミアA(万が一ここに目撃者がいた場合を考えて、そいつが夢野秘密子を助けに来ないよう、なるべく穏便に路地裏まで連れて行きたかったがーーーこうなっては仕方ない)
アカデミアA(ここは無理やりにでもーーーー)
63 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 20:51:23.73 ID:DVv3+eZ6O
アカデミアA(ーーーおい! 強硬手段に移るぞ! 腹パンは俺がやる!)ヒソヒソ
アカデミアB(……りょーかい)ヒソヒソ
アカデミアC(これなら打ち合わせの必要無かったな)ヒソヒソ
アカデミアA(やかましい! とにかくやるぞ!)ヒソヒソ
夢野「……もう関わるでない。それに、ウチは、今日疲れてーーー」
アカデミアB「まあまあ! そう言わずに!」ガシッ
夢野「……んあ!? 何をする!?」
アカデミアC「疲れてるんでしょう? だったら、公園よりも喫茶店で休んだ方が良いですよ」ガシッ
アカデミアA「そこ(路地裏)を通ってすぐのところですんで!」
夢野「や、やめい! 離さんかい! お主ら!」ジタバタ
アカデミアA(よし、このまま腹パンして気絶させてから路地裏まで連れ込んで次元転送装置でーーーー)
デニス「ーーーそこまでだよ」
64 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 20:55:06.86 ID:DVv3+eZ6O
夢野「んあ……!? デニス!?」
アカデミアA(……なんだ、こいつ?)
アカデミアB(夢野秘密子の知り合いか?)
アカデミアC(面倒だな……)
夢野「デ、デニス……どうして、ここにーーー」
デニス「キミを探していたらーーーキミの叫び声が聞こえてね」
夢野「!」
65 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 20:57:39.57 ID:DVv3+eZ6O
デニス(……本当はボクのデュエルディスクには、アカデミア製のディスクを感知する特別な機能があって、この場所に三人分の反応があったからなんだけどね)
デニス(それが物の見事に、夢野さん、キミを狙っている連中だったってわけだ)
デニス(……ドクトルがユーリにとっちめられたあと、こいつらに通信して誘拐を取りやめるよう言うか、通信機能を介して次元転送装置を遠隔操作してこいつらを強制送還してくれれば、ボクもこんな綱渡りな手を取らずに済んだのにーーー)
デニス(ーーー通信傍受を恐れて、こいつらのディスクの、通信機能を封じたとか、参るよ。本当……)
デニス(ボクらのディスクの通信機能には、次元技術が組み込まれているんだから、通信の傍受なんて、まず不可能なのに……)
デニス(ドクトル、キミはどこまで用心深いんだーーーー)
66 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 20:59:50.89 ID:DVv3+eZ6O
アカデミアC「ーーー夢野秘密子さんとどういう関係かは知らないが、見ての通り、こっちは取り込み中だ。今日は出直してくれ」
デニス「……悪いことは言わない。早く夢野さんを解放することだ」
アカデミアA「……」
夢野「デニス……」
デニス「ここで、超高校級である夢野秘密子さんを無理やり連れて行くのは、不味いはずだよ?」
アカデミアB(? 何を言っている?)
アカデミアC(ハートランド警察でも呼ぶつもりか? だが、俺たちには次元転送装置がーーーー)
67 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 21:04:58.35 ID:DVv3+eZ6O
アカデミアA(ーーーくっ、邪魔が入るとはな。しかし、どうする?)
アカデミアA(このまま夢野秘密子を次元転送装置で連れて行くわけにはいかねえ。アカデミアで脳波登録をした人間以外の人間を次元転送装置で連れて行く場合、腹パンして気絶させるなどして意識を失わせる必要がある)
アカデミアA(連れて行く対象が覚醒状態にある場合、その脳波の影響で次元転送装置を誤作動させる危険性が大だからな)
アカデミアA(そうなりゃ、かなりの確率で俺たち全員が、次元の藻屑と化す)
アカデミアA(……なら、今すぐ夢野秘密子を腹パンして気絶させて次元転送装置でーーー)
アカデミアA(ーーーいや、ダメだ! こいつの目の前でそんなことをしたら、無理やりにでも俺たちから夢野秘密子を引き離そうと動く可能性が高い)
アカデミアA(そうなったら、夢野秘密子を気絶させることに成功したとしても、こいつの戦闘スキル次第では、次元転送装置を使用する際こいつと戦闘になって、次元移動に巻き込む危険がある)
アカデミアA(脳波登録していないこいつを巻き込めば次元の藻屑と化しかねない。そいつはゴメンだ)
アカデミアA(……腹立たしいが、ここは出直してーーーー)
68 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 21:06:49.18 ID:DVv3+eZ6O
アカデミアA「ーーーチッ、帰るぞ、お前ら!」
夢野「!」
アカデミアB「えっ、」
アカデミアC「おい、良いのかよ?」
アカデミアA「こうなっては仕方が無いだろ! 行くぞ!」
アカデミアB(はあー、無駄骨かー……)ササッ
アカデミアC(だが、無理して次元の藻屑になるよりマシか……)ササッ
夢野「んあ……!?」ドサッ
タッタッタッ……
69 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 21:11:36.25 ID:DVv3+eZ6O
デニス(ーーーよし、これで、あいつらは、夢野さんの元を去った)
デニス(しばらくすれば、あいつらはアカデミアから応援にやって来た連中に捕縛されて、アカデミアに強制送還され、ユーリの手でカード化されるだろう)
デニス(……ユーリはドクトルもカード化したいだろうけど、それは無理だろうなあ)
デニス(プロフェッサーが言うにはドクトルの研究は非常に有用とのことだ。おそらくは、プロフェッサーが厳重注意をするだけで処分は終わる。ユーリによるカード化が認められることは無いだろう)
デニス(……アカデミアに有用とされた者は、一度やらかしたくらいじゃ、カード化されないからね。まあ、それでも二度三度やらかしたら、ほぼ確実にカード化されるだろうけど)
デニス(……せっかく、ユーリがドクトルの挙動を怪しんで疑って、ドクトルを尋問してさっきの連中のことを聞き出して、それをボクに連絡してくれたってのに)
デニス(本当、ムカつくったらないよーーー)
夢野「んああ……」フルフル
デニス「ーーー大丈夫かい、夢野さん? 怪我はないかい?」タッタッタッ
夢野「んあ? あ、ああ……ウチは平気じゃ」
デニス「……とりあえず、先生の家屋まで送るよ。また似たような手合いがやってきたら困るからね」
夢野「んあ……」コクン
70 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 21:12:40.89 ID:DVv3+eZ6O
今はここまで。
71 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/02(木) 22:07:33.78 ID:2ejIORu7o
乙
72 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 22:53:14.02 ID:DVv3+eZ6O
投下します。
73 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 22:54:28.46 ID:DVv3+eZ6O
ーエクシーズ次元の家屋ー
夢野「」ゴクゴク
デニス「ミルクティーはどうだい? 夢野さん」
夢野「んあ……あたたかいわい」
デニス「落ち着いた?」
夢野「……すっかりの」
デニス「そう、それは良かったよ」
夢野「ーーーあー、その、なんじゃ……」
デニス「……」
夢野「……さっきは、助けてくれて、ありがとの、デニス」
74 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 22:55:57.59 ID:DVv3+eZ6O
デニス「……ごめんね、夢野さん」
夢野「……んあ? 何でお主が謝るのじゃ?」
デニス「だってこうなったのは、元はといえば、ボクがキミの甘さを切って捨てるようなことを言ったからだよ?」
夢野「!」
デニス「もし、ボクがキミの甘さを尊重していれば、さっきのようなことにはならなかったかもしれない」
夢野「それはーーー」
デニス「……それに、甘さを切り捨てるだなんて、よくよく考えれば、不快な発言だったと思う。キミが怒って出て行ってしまうのも無理は無い」
デニス「だから、キミの甘さを切って捨てるようなことを言って、本当に悪かったよ」
夢野「……」
75 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 22:57:55.53 ID:DVv3+eZ6O
デニス「……キミの言う通りだ。甘さとは、そう簡単に切って捨てて良いものじゃない」
夢野「!」
デニス「甘さとは、言い換えれば、理想なんだ。優しさなんだよ」
デニス「そして、理想のデュエルやショーとは、二人のうちどちらが勝っても負けても、その二人とそれぞれのファンが心の底から笑顔になれるような、優しいもののことを言う」
デニス「そうしたデュエルやショーは、きっと素晴らしい」
デニス「それを考えれば、理想と優しさ……甘さを、簡単に切り捨てて良いはずがなかった」
デニス「ごめんね、夢野さん。ボクが短慮だった」
夢野「デニス、お主……」
デニス「ーーーだけどね、これだけは理解して欲しい」
76 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:02:31.59 ID:DVv3+eZ6O
夢野「?」
デニス「夢野さん、キミの掲げる甘さは、負けた側の立たされている状況によっては、通用しないんだよ」
夢野「……どういうことじゃ?」
デニス「例えば、一度の敗北が人生を奪うような状況だったらどうかな?」
夢野「なっーーー」
デニス「それこそ、百年前に起きた希望と絶望の戦い……その中で行われたようなコロシアイゲームで負けて、江ノ島盾子によるオシオキを受けるような状況だったらどうかな?」
夢野「!?」
デニス「……あるいは、デュエルに負けたら魔法の力でカードに封印されるーーーそうでなくとも、全財産…自由や権利といったものまで失われるような状況ならばどうかな?」
デニス「そんな状況で、負けた側やそのファンは笑顔になれるかな?」
77 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:05:44.55 ID:DVv3+eZ6O
夢野「ーーーそ、そんなの極論じゃ!」
デニス「……まあ、そんな状況は、キミからしてみれば現実味は無いかもしれないね」
デニス「だけど、それなら……負けた側の心が弱かった場合はどうかな?」
夢野「!?」
デニス「負けた側が精神的に追い詰められていて心が弱り、自分のファンの存在すら満足に認識出来ない状況にある」
デニス「そう、自分にもファン……味方がいることを認識出来ない状況にある」
デニス「そうした状況で、負けた側やそのファンが笑顔になれるだろうか?」
夢野「……」
デニス「……ボクには、笑顔になれるとは、とても思えない」
デニス「負けた側の心が弱ければ、その人もそのファンも笑顔にはなれないんだ」
夢野「っ、」
78 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:13:17.57 ID:DVv3+eZ6O
デニス「夢野さん、キミは、自分や誰かがデュエル……あるいはショーで負かした心の弱い人やそのファンを、笑顔に出来る自信があるのかい?」
夢野「っ、それは……」
デニス「そう、簡単にはいかないはずだよ」
デニス「笑顔になって貰うためには、相手の気持ちを理解し、誰もが楽しめる納得のいくデュエルやショーを……あるいは慰めをしなくてはならないんだ」
デニス「それをして、はじめて負けた側やそのファンも笑顔になれる」
デニス「そう、笑顔にするためは、まずは相手の心を理解しようとしなければならないんだ」
デニス「だけど、それはとても難しい行為だ」
デニス「ボクたちは、エスパーじゃないんだから」
デニス「……夢野さん、もしかしたらキミもそれを薄々わかっているんじゃないかな?」
夢野「!?」
デニス「だからこそ、キミは、ボクが先生に負けた際、ボクに慰めの言葉をかけたりしなかったんじゃないかな?」
夢野「っ、!」
79 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:16:41.88 ID:DVv3+eZ6O
デニス「……相手の心を理解することは、とても難しい」
デニス「相手の心を理解しないままでは、その相手に対して、どうすればいいかもわからない」
デニス「その相手のためにどんな理想を実現すべきか想像することも出来ない。その相手のためにどんな風に優しくしてあげれば良いかもわからない」
デニス「どう、慰めて良いのかも、わからない」
夢野「……」
デニス「それでは、どんな理想と優しさ……甘さを掲げたところで空回りして、逆に相手の心に余計な負荷をかけてしまうだけで終わりかねない」
夢野「っ、」
デニス「そうやって、余計な負荷をかけてしまうくらいなら、最初から、理想と優しさ……甘さなんて要らない」
デニス「……甘さは、時に、心を蝕む毒となるんだ」
デニス「ボクは、そう思った」
デニス「だから、キミの掲げる甘さは、負けた側の立たされている状況次第では通用しないんだ」
デニス「そのことは、理解して欲しい」
夢野「……」
デニス「……その上で、聞かせて貰うよ、夢野さん」
デニス「この話を聞いても、甘さを抱き続けるべきだと思うかい?」
80 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:18:43.74 ID:DVv3+eZ6O
夢野「………」
夢野「………………」
夢野「………………………」
81 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:21:45.48 ID:DVv3+eZ6O
デニス「……まあ、答えられないよね。普通は」
夢野「……」
デニス「そうだよ、こんなこと、すぐに答えの出せる問題じゃあ無い」
デニス「問題と真面目に向かい合っているのならば、当然だ」
デニス「ただ、もし、少しでも甘さを抱き続けたいのならばーーー」
デニス「ーーーこれからもデュエルに励むと良い」
82 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:27:21.48 ID:DVv3+eZ6O
夢野「……?」
デニス「元々は先生が言っていたことだけどーーーデュエルとは、デュエリスト同士のコミュニケーションなんだ」
デニス「相手のデュエルのデータを取るなりして、相手の気持ちを理解しようとするからこそ、強くなれるし相手に勝つことも出来る」
デニス「故に、デュエルに強くなればなるほど、デュエルにおける相手の気持ちが理解出来るようになる」
夢野「……」
デニス「そして、これは、デュエル以外でも応用が利く」
夢野「!?」
デニス「デュエルに励むことは、それ自体が相手を理解する力を養うことに繋がるんだ」
デニス「理解する力を養った上で、相手を理解しようとすれば、その通りに相手を理解することが出来る」
デニス「その相手のために、どんな理想を想い描き、どんな風に優しくすべきかもわかる」
デニス「慰め方だってわかるようになる」
デニス「そうすれば、相手の心に余計な負荷をかけずに済むため、キミの抱く甘さを切り捨てる必要は無くなる」
夢野「……!」
デニス「その甘さのままに、お互い楽しくデュエルをして、ショーをして、相手やそのファンを笑顔に出来るはずだ」
デニス「ボクは、そういう風にも、思っているよ」
夢野「デニス……」
83 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:29:09.43 ID:DVv3+eZ6O
デニス「……だから夢野さん、これからもデュエルに励もう」
デニス「励めば、より人の心を理解出来るようになるかもしれない」
デニス「理解した上で、その人にとって必要なことを考え実行することで、お互いに楽しい気持ちになれるかもしれない」
デニス「そうすれば、相手がどんな状況に立たされていたとしても、笑顔に出来るかもしれないんだ。夢野さん」
夢野「……」
84 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:31:57.78 ID:DVv3+eZ6O
デニス(……そうだよ、夢野さんーーー)
夢野「……」
デニス(ーーーキミのような人ならば……キミのような人になれさえすれば、もしかしたら実現出来るかもしれない)
デニス(そう、超高校級の肩書きを持てるほどにまで、己の魔法(エンタメ)を磨き上げることの出来る、強い心を持つキミならーーー)
デニス(ーーーそれほどの人間ならば……それほどの人間になれさえすればーーー)
デニス(ーーーたとえ、相手がどんな人間でも、その心を理解出来るかもしれないんだ)
デニス(そうして、その人に何が必要なのか、考え抜いて実行し、お互いに楽しい気持ちにだってなれる)
デニス(その時、ようやく産まれるんだ)
デニス(魔法のように甘い、本当のーーーー)
85 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:33:14.54 ID:DVv3+eZ6O
デニス(ーーー笑顔をーーーー)
86 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:34:40.80 ID:DVv3+eZ6O
夢野「……そうじゃな、デニス。お主の言う通りじゃ」
夢野「まずはデュエルに励んでみるわい」
デニス「夢野さん……」
夢野「……甘さを抱き続けるかべきか、そうでないかーーー」
夢野「ーーー答えを出すのは、それからじゃ」
デニス「………」
夢野「……明日からは、榊遊勝とも、本格的にデュエルしてみるかのう」
デニス「!」
夢野「あやつは強い。あやつとデュエルすれば良い経験になるじゃろう。理解力も上がるはずじゃ」
夢野「それに明日は、土曜日。あやつとデュエル出来る日じゃからな」
87 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:38:56.16 ID:DVv3+eZ6O
デニス「……良いのかい? 先生はキミにとって苦手な人だったはずだよ」
夢野「確かに、苦手のままじゃ……」
デニス「……」
夢野「……じゃが、それは、今の話じゃ」
デニス「!」
夢野「お主が言ったんじゃぞ、デニス」
夢野「デュエルに励めば、相手の気持ちを理解出来るようになると」
夢野「それは、榊遊勝も例外では無いはずじゃ」
デニス「……!」
夢野「ーーーそうやってデュエルをし続けて、デュエルに強くなって理解力を養えば、あやつがなんであんなデュエルをしているか、理解出来るようになるかもしれん」
夢野「……理解さえ出来れば、あやつとの接し方も見えてくるじゃろう」
夢野「榊遊勝が苦手で無くなるかもしれん」
デニス「夢野さん……」
88 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:41:52.36 ID:DVv3+eZ6O
夢野「……まさか、中学生のお主に、人生の先輩であるウチが、デュエルだけでなく人との関わり方まで教えられるとはのう」
夢野「ウチもまだまだじゃわい」
デニス「……ああ、そういえば、超高校級って、高校生だけの肩書きだったね」
夢野「……デニス、お主まさかウチが高校生であることを忘れておったのではあるまいな?」
デニス「いやいや、忘れてなんかないよー、アハハー」ジーッ
夢野「んあ……!? よさんか! 背が高いからって、上から見下ろすでない! 」
デニス「……フフッ、じゃあ、夢野さんがボクに収縮魔法をかけてくれるかい?」
夢野「んあ!? い、いまはマナが切れておっての……」
デニス「じゃあ、それが溜まるまで、こうしているとするよ!」
夢野「んあ……!? ち、調子に乗るでないぞ、デニス! ウチはまだまだこれからなんじゃ! これから、大人のレディーになるんじゃー!!」ウガーッ
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜〜〜
〜〜〜〜
〜〜
89 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:43:41.36 ID:DVv3+eZ6O
〜2年前・エクシーズ次元の家屋〜
王馬「ーーーにしし! 悪いねー! 悪の総統であるオレのために、わざわざ時間作って貰っちゃってさー! 嘘だけど!」
遊勝「……いや、構わないよ」
遊勝「それよりも、王馬くん、キミは先ほど、私に確認したいことがあると言った」
遊勝「そして、その内容は、私のデュエルショーに関することだとか」
王馬「……」
遊勝「さあ、王馬くん、何か私に確認したいことがあるのであれば、何でも聞いてみると良い」
遊勝「私はそれに答えてみせよう」
90 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:45:11.30 ID:DVv3+eZ6O
王馬「ーーーじゃあ、確認させて貰うけどさ……」
遊勝「……」
王馬「おじさんの、あのデュエルーーー」
王馬「ーーーあれ、わざとだよね?」
91 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:46:41.58 ID:DVv3+eZ6O
遊勝「? どういう意味かね?」
王馬「いや、おじさんのデュエル幾らか見たけどさ。あれはすごいよ」
王馬「相手の思考を読むだけじゃなくて、読んだ思考を推理として相手や観客に披露する」
王馬「そうやって、デュエル相手を、晒し者に、見世物しているんだ」
遊勝「……」
王馬「あんなデュエルをされたら、やられた側は恥ずかしくて仕方が無いし、そのファンも決して良い気持ちはしないだろうね」
王馬「……あーあ、せめて、おじさんがヒール役だったらなー」
王馬「それなら、やられた側やそのファンだって、デュエルや応援を通じて、自分たちの抱える不満をおじさんにぶつけて発散出来るのに」
王馬「その行為を、他の大勢の観客から応援されて、たくさんの観客を味方につけたデュエルが出来るのに」
王馬「そんな歓声の中で、打倒おじさんを掲げることが出来るのに」
92 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:48:59.72 ID:DVv3+eZ6O
王馬「だけど、おじさんは、自分が絶対の善人であるという姿勢を崩さない」
王馬「それじゃあ、不満を抱えても、おじさんにぶつけて発散出来ない」
王馬「絶対の善人であるおじさんに、不満をぶつけてしまったら、自分が悪人であるかのように映ってしまうんだからさー」
王馬「それじゃあ、おじさんとデュエルする人やそのファンは、他の観客を味方につけることが出来ないし、打倒おじさんを掲げることも出来ない」
王馬「それで負けた後は、おじさんの言葉通りに、笑顔にさせられる」
遊勝「……」
王馬「つまらなくて、笑えない」
王馬「それが、オレから見た、おじさんのデュエルだよ」
93 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:52:37.35 ID:DVv3+eZ6O
遊勝「ーーーキミは、私のデュエルで笑顔にならなかったようだね」
遊勝「笑顔にならない者がいる以上、私もまだまだ未熟だったようだ。これからも精進しなくてはーーー」
王馬「嘘つくなよ」
遊勝「……」
王馬「オレ……他人の嘘が嫌いなんだよね」
遊勝「……私の言っていることが、嘘だと?」
王馬「オレって嘘つきだからさ……わかっちゃうんだよね、他人のつく嘘が」
遊勝「ほう……?」
王馬「……おじさんがあんなデュエルをしているのは、未熟だからなんかじゃない」
王馬「さっきオレが言ったように、わざとあんなデュエルをしているんだ」
94 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:54:04.19 ID:DVv3+eZ6O
王馬「そう、榊遊勝、あんたはーーー」
遊勝「……」
王馬「ーーーこうやって今みたいに、自分に反感を向けさせたいがために、わざとあんなデュエルをしているんだ」
95 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/02(木) 23:54:39.97 ID:DVv3+eZ6O
今日はここまで。
96 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/03(金) 00:12:24.11 ID:qvGcPwTMo
!?
97 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/03(金) 20:27:45.21 ID:jIICUgapO
投下します。
98 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/03(金) 20:29:39.66 ID:jIICUgapO
遊勝「……言っていることの意味がわからないな」
王馬「……」
遊勝「なぜ、そんなことをする必要がある?」
遊勝「そんなことをしたところで、こうやって今みたいにキミのような人物に嫌われるだけだ」
遊勝「そんなことをするメリットがあるとも思えないがーーー」
王馬「あるよ、メリット」
遊勝「……」
王馬「……そう、『人類を革新させる』というーーー」
王馬「ーーーとびきりのメリットがね」
99 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/03(金) 20:30:53.32 ID:jIICUgapO
遊勝「……はっ、?」
100 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/03(金) 20:31:54.74 ID:jIICUgapO
遊勝「ーーー何だって?」
王馬「……」
遊勝「人類の、革新?」
王馬「……」
遊勝「王馬くん、キミは突然何を言い出すんだ?」
101 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/03(金) 20:35:01.28 ID:jIICUgapO
王馬「……おじさんだって、本当はムカついてるんじゃないの?」
遊勝「……」
王馬「おじさんの、あんなデュエルを見て、笑顔になっている奴らがムカつく」
王馬「あんな風に、人を晒し者にして見世物にして恥をかかせるデュエルを見て、笑顔になっている観客がムカつく」
王馬「そうやって、恥をかかされた側……負けた側やそのファンの気持ちを無視して、勝ったあんたを讃える観客がムカつく」
王馬「おじさんの『笑顔になって欲しい』という言葉に屈して、負けた側やそのファンが自分の気持ちに嘘をついて、笑顔になることがムカつく」
王馬「デュエルする相手も、そのファンも、その他の観客やファンも、みんなムカつく」
王馬「そんな人類を革新させないといけないと思っている」
王馬「そうだよね? 榊遊勝」
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