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遊勝「紹介しよう、デニス。超高校級のマジシャンの夢野秘密子さんだ」
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185 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:32:03.66 ID:Zpa/uJRDO
>>184
感想ありがとうございます。
いろいろ考えた結果どうにか混ぜ合わせることが出来ました。これもV3とアークファイブがいろんな解釈の出来る作品だからだと思います。
原作に恥じないよう、最後まで書き上げたく思います。
続きを投下します。
186 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:34:06.15 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……もちろん、お主ら融合次元のやったことは許せん」
デニス「……」
夢野「じゃが、赤馬零王とその配下であったアカデミア兵が、心に抱えていた苦しみ……ウチには全くわからんでもないのじゃ」
デニス「!?」
夢野「……赤馬零王、あやつは、赤馬レイという大切な人に会いたいと、大切な人と前のように暮らしたいと思っておった」
夢野「じゃが、その大切な人は、自分の記憶の中にしか存在せんし、大切な人との思い出の場所も自分の記憶の中にしか存在せんときた」
夢野「それが、どれだけ恐ろしいことか、ウチにはよくわかる」
デニス「……」
夢野「……自分の記憶の中にしかいないとされる大切な人と、会いたくて仕方が無い。その大切な人が、記憶の中だけの存在だなんて認めたくは無い」
夢野「そうした苦しみが、ウチにはよくわかるのじゃ……」
デニス「……」
187 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:36:22.43 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……配下のアカデミア兵が、抱えていた苦しみに関しても同じじゃ」
夢野「アカデミア兵は、自分から物事を深く考えることをやめ、そうしたことは赤馬零王に任せれば良いと思っておった」
デニス「っ、!」
夢野「無理も無い。なぜなら、融合次元の民衆は富裕層でも無い限りは、必ず親元から離され兵士にさせられ、死の恐怖のつきまとう戦場へと送られることを義務付けられた存在なのじゃからな」
夢野「その義務に逆らえば、カード化されることもある」
夢野「そうして我が身を死の恐怖に晒されてしまえば、恐怖のあまり、物事を深く考えるのをやめたくもなる」
夢野「自分の代わりに、いろいろなことを考えてくれる存在を求めたくもなる」
夢野「そうした苦しみが、ウチには、よくわかるのじゃ……」
デニス「……!」
188 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:39:43.54 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……そうじゃ、赤馬零王も配下のアカデミア兵も、みんな苦しんでいたんじゃ」
夢野「その苦しみから逃れたい……そんな理由もあって、いま目の前に広がる世界を架空の世界と思うしか無かったんじゃ」
夢野「その世界で、どんなに人が懸命に生きていたとしても同じことじゃった」
夢野「ゲームか虚構……夢の世界としか思うしか無かったんじゃ」
デニス「……」
夢野「そうやって、自分の気持ちに、嘘をつくしか無かったんじゃ」
夢野「嘘をつきすぎて、壊れてしまったんじゃ」
夢野「壊れてしまったが故に、悪魔のようなことをしてしまった……」
夢野「……じゃが、そうなってしまったのは、赤馬零王もその配下のアカデミア兵も、ウチと同じ人間だったからなんじゃ」
デニス「!」
夢野「心を持つ、同じ人間で、同じように苦しんでいたから、そうなってしまったんじゃ」
夢野「そして、同じ人間ならば、いっしょにデュエルしながら、前に歩めないことも無いはずなんじゃ……」
デニス「……」
189 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:42:06.00 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……融合次元が以前のままなら話は別じゃが、今は心を入れ替え、懸命に己の罪を償っておる」
夢野「デニス、お主だって、そうじゃろう?」
デニス「……」
夢野「償う気があるから、榊遊矢とのデュエルの際、悪役となって、倒されようとしたんじゃろう?」
夢野「そして、倒されようとする中、ただ倒されて償うのではなく、勝ち負けに囚われない……全力のエンタメデュエルを魅せる形で償うことに決めたのじゃろう?」
夢野「そうして、《RUMーマジカル・フォース》とハイマジシャンを用いた、あのエンタメデュエルを成したのじゃろう?」
デニス「……」
夢野「そう、デニス、お主を含めて融合次元は、懸命に己の罪を償おうとしているのじゃ」
夢野「じゃからこそ、いっしょにデュエルしながら、前に進むことだって出来る」
夢野「….…ウチは、そう、信じておる」
デニス「……」
夢野「これがウチが、お主とデュエル出来る理由じゃ」
190 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:43:27.02 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……そうして、デュエルして、お互いに実力を上げてプロになれば、お互いにお金を稼ぐことが出来る」
デニス「……」
夢野「そのお金で、少しでも早く、エクシーズ次元の傷を癒せるようになるはずじゃ」
デニス「……」
夢野「協力してはくれんか?」
191 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:45:14.21 ID:Zpa/uJRDO
デニス「……協力するよ」
夢野「……」
デニス「ボクには、それをする義務がある」
デニス「……だけど、わかっているのかい? 夢野さん?」
デニス「もし、ボクらがそうやってデュエルし続けていることが広まれば、エクシーズ次元の人から見て、夢野さんは同胞でありながら、アカデミアと仲良くしているように映るよ」
夢野「……」
デニス「キミは幼く見えるとはいえ高校生だ。何もわからない子供というわけじゃない」
デニス「……それに加えて、キミは、いまやアカデミアによるコロシアイを終わらせた伝説の一人でもある」
デニス「それが、コロシアイをやらせていたアカデミアと仲良くしているように映る」
デニス「それが、エクシーズ次元の人にどんな感情を与えるか、わからないわけじゃーーー」
夢野「覚悟の上じゃ」
デニス「!」
192 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:47:56.67 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……ウチの行動の何もかもが益をもたらすわけでは無い」
夢野「気分の悪くなる者もいるじゃろう」
夢野「……じゃが、それを理由に逃げていては、何も変わらん」
デニス「……」
夢野「ならば、一時、気分を悪くさせようとも、歩み寄る姿勢を見せるわい」
夢野「エクシーズ次元と融合次元の人間は、お互いに歩み寄り、二度と戦争を起こさんようにしている……とな」
夢野「……怒りのままに仲違いして、また争いが起こるなど、ウチはゴメンじゃ」
193 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:50:06.62 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……そして、デニス。お主の頭なら、その理屈がわからんはずが無い」
デニス「……」
夢野「なのに、ウチにそれを聞いた」
夢野「……まるで、話を逸らすかのようにのう」
デニス「っ、!」
夢野「逃げるかの、ようにのう……!」
194 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:52:11.04 ID:Zpa/uJRDO
夢野「逃げるな!」
デニス「!」
夢野「また、逃げるというのか!?」
夢野「聞いたぞ、デニス! お主は、自分から瑠璃やリンという少女の居場所を吐いて自分を追い込んだあと、自らカード化したそうじゃな!?」
夢野「その時みたいに逃げるというのか!?」
デニス「っ、!」
夢野「……逃げようとする理屈はわかる。あの時、お主は、黒咲隼に続いてカイトに敗北していた。そこまで失態を重ねれば、アカデミアに戻ったところで、処刑される可能性だって出てくる」
夢野「かといって、榊遊勝の望み通りアカデミアを裏切るわけにも行かなかった」
夢野「どちらにしろ、ユーリ……お主が友人のように思っていたという少年と、今まで通りの関係でいることは出来なくなるからのう……」
デニス「……!」
195 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:55:10.32 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……おそらく、お主はユーリと榊遊勝の板挟みになって、苦しんでいたのじゃろう」
デニス「……」
夢野「じゃが、だからといって、逃げて良いことにはならん!」
デニス「!」
夢野「どんなに、こわくても! どんなに、これ以上自分で何かを考えるのが嫌になったとしても!」
夢野「その弱さのままに、面倒くさがって! 他人に何もかも押し付けて! 逃げて良いはずがなかろう!」
夢野「そうして逃げた結果、お主のショーを観てくれた瑠璃という少女は! お主が友人のように思っていたユーリという少年は! いつ『人間として』目覚めるかわからん状態に陥った!」
デニス「っっ、」
夢野「……ウチの友達や仲間と同じにな!」
夢野「……また、同じ過ちを繰り返すというのか!? また、逃げるというのか!?」
夢野「そんなこと、ウチは絶対に認めんぞ!」
196 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:56:30.18 ID:Zpa/uJRDO
デニス「…………」
197 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 20:57:59.48 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……頼む、逃げてくれるな、デニスよ」
夢野「逃げずに、今のウチとデュエルしてくれ」
夢野「ウチは、お主と今度こそ、ちゃんと理解しあいたいんじゃ」
デニス「!」
夢野「……ウチは今、さっきまで、さもお主のことを理解しているかのようなことを言ったがーーーそれが正しいかどうかは断定することは出来ん」
夢野「ウチは仮想世界から目覚めてから今日お主と会うその時まで、一度もお主と話をしておらんかった」
夢野「デュエルもしておらん」
夢野「だから、ひょっとしたら……いや、きっと、まだお主について理解出来てないところがあるんじゃ」
夢野「理解出来ていたようで、理解出来ていないのかもしれないんじゃ」
夢野「……一年前のようにな」
デニス「……」
198 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:01:48.63 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……一年前、ウチはお主ことを理解出来ているつもりじゃった」
夢野「ウチはお主に勝てたことは無かったがーーー何度もデュエルし続けた。勝つために何度もお主の考え方を理解しようとした」
夢野「じゃから、ウチはお主のことを、不完全ながらも理解出来ているつもりじゃった」
夢野「じゃが、その実まったく理解出来ておらんかった……」
デニス「……」
夢野「……この際ハッキリ言うが、ウチはお主に憧れていた」
夢野「ウチよりもデュエルが強くて、先のことを見据えられるお主に憧れていた」
夢野「ウチの成長に怯えることなく、平常心を保ち続けるお主に安心していた」
夢野「お主のそんな強さに……強さにばかり目を奪われていた」
夢野「そうして、ウチは、何処か目を曇らせていたんじゃ……」
199 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:03:20.60 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……今になって考えてみれば、お主のやっていることはおかしかった」
デニス「……」
夢野「お主は、かつて、『自分が持っている顔写真と同じ顔の人物を探している』と言っておった」
夢野「じゃが、探しているのなら、ウチにその人物の顔くらい教えれば良かった」
夢野「顔写真を見せるなりして、その顔の人物を見かけたら教えるよう頼むくらいすれば良かったんじゃ」
夢野「じゃが、お主はそういったことを一切せんかった」
デニス「……」
夢野「……それは、それが出来ないだけの理由があったから」
夢野「その人物に、本当は会いたくないだけの理由があったから」
夢野「何かしらの事情があったからだったのじゃ」
デニス「……」
200 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:04:44.61 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……じゃが、ウチはそのことを特に疑問には思わんかった」
デニス「……」
夢野「ウチはお主とデュエルするだけで、何処か満足していんじゃ」
夢野「デュエルを通じて鍛え上げた理解力を……お主に対してはデュエル以外で使おうとせんかった」
夢野「……その結果が、今じゃ」
201 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:06:03.13 ID:Zpa/uJRDO
デニス「……そうでなければ、変わったって言うのかい?」
夢野「……」
デニス「夢野さん、もしキミが、ボクが顔写真を見せないことを大きく疑問に思っていたらーーー」
デニス「ーーーこの結果が……今が、変わったって言うのかい?」
202 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:08:00.00 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……巨大な建物も、蟻の一穴から崩れると言う」
デニス「!」
夢野「この言葉は、元々は、レジスタンスに所属していたという少年のものでもある」
夢野「ウチは、この言葉には、この世の真理が詰まっていると思うておる」
デニス「真理……?」
夢野「……ウチは、あの才囚学園に、蟻の一穴を突き続けた人間を知っておる」
デニス「!」
夢野「あのコロシアイの中で真実を……その向こう側を求め続けた人間を知っておる」
夢野「そうやって蟻の一穴を突き続けていった結果、才囚学園を崩壊させ……コロシアイを終わらせることが出来た」
夢野「ウチは、それを知っておるのじゃ」
デニス「……」
203 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:09:54.83 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……そうなんじゃ、何ごとも蟻の一穴からなんじゃ」
夢野「赤馬零王やDr.フェイカー……各次元の科学者たちだって、今もなお、蟻の一穴を突き続けるような研究をしておる」
夢野「その研究をもって、榊遊矢と柊柚子の中に封じられた者たち……そしてあの仮想空間の中で仮死状態にある者たちを『人間として生活が出来るように』目覚めさせようとしている」
夢野「エクシーズ次元と融合次元の人々も、まずは蟻の一穴のような歩み寄りからはじめて、お互いを理解しあおうとしている」
デニス「……」
夢野「そうして、いつかはーーーー」
204 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:11:36.50 ID:Zpa/uJRDO
夢野「ーーーそう、蟻の一穴とは、決して馬鹿に出来んものなのじゃ」
デニス「……」
夢野「じゃから、もしウチがお主が顔写真を見せないことを大きく疑問に思っていたらーーー」
夢野「ーーーそんな蟻の一穴を突き続け、もっとお主を理解しようとしていたらーーー」
夢野「ーーー何かが変わったかもしれん」
夢野「今の、この結果が変わったかもしれんのじゃ」
デニス「夢野さん……」
夢野「お主だって……自分をカード化なんて、しなかったかもしれないんじゃ」
205 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:14:07.43 ID:Zpa/uJRDO
デニス「なっーーー!?」
夢野「……お主は言っておったな、デニス」
夢野「心の弱った人間に笑顔になって貰うためには、まずは、その相手の心を理解しようとしなければならないとーーー」
夢野「ーーーでなければ、甘さは、時に、心を蝕む毒となるとーーー」
デニス「!?」
夢野「ーーーその通りじゃった」
夢野「ウチはお主のことを、ちゃんと理解しようとしていなかった」
夢野「なのに、ウチはお主に甘ったれて、《RUMーマジカル・フォース》を渡した」
デニス「っ、夢野さん、それは……」
夢野「ウチは、お主にカードを渡してしまった」
夢野「……それに加えてウチは、お主から最後に電話を受けた時、またデュエルして欲しいとも言った」
夢野「デュエル戦士として、これからエクシーズ次元を敵に回さねばならない立場の、お主に、じゃ」
デニス「……」
夢野「それらは、コロシアイで言うなら、外の世界に出なければならない動機を持つ者に凶器を渡し、無防備な姿を見せるに等しい行為じゃった……」
夢野「それがどれだけ、心を蝕むことか……」
206 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:15:28.57 ID:Zpa/uJRDO
デニス「ーーー違う! 夢野さん! キミは悪くない!」
夢野「それを決めるのはウチじゃ! お主ではない!」
デニス「!」
夢野「ウチはもう、誰かに考えることを……責任を丸投げするような生き方をするわけにはいかん!」
夢野「じゃから、ウチが悪いかどうかはウチが決める!」
夢野「そうやって考えた末に、ウチは、ウチも悪いと思った!」
夢野「じゃから、ウチも悪かったんじゃ!」
デニス「……!」
207 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:19:13.08 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……話を戻すぞ、デニス」
デニス「……」
夢野「ウチはお主のことを、ちゃんと理解しようとしていなかった」
夢野「なのに、ウチはお主に甘ったれて、《RUMーマジカル・フォース》を渡した」
夢野「それに加えてウチは、お主から最後に電話を受けた時、またデュエルして欲しいとも言った」
夢野「それが、お主の心を蝕んだ……自分自身をカードにしてしまうまでにのう……」
デニス「っ、」
夢野「そして、お主が自分をカード化した結果どうなったかは……さっき言った通りじゃ」
夢野「……全ては、ウチが、蟻の一穴を突き続けられなかったことの結果なんじゃ」
夢野「……もし、ウチが、お主が顔写真を見せないことをもっと疑問に思っていればーーー」
夢野「ーーーそうやって、もっと、少しでも、お主を理解しようとしていれば、何かが変わったかもしれんのじゃ!」
デニス「……!?」
208 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:28:02.30 ID:Zpa/uJRDO
夢野「ーーーじゃから、ウチは、その事実を理解して、生き続ける」
夢野「その事実をお主にも伝えて、お主にも理解して貰った上で、生き続ける」
夢野「その上で、ウチは、お主とデュエルしながら、共に歩みたいんじゃ」
デニス「……」
夢野「そうすれば、お互い、以前のような間違いを犯さないよう、気をつけることが出来る」
夢野「お互い、どんな才能を持っていようと、どんな肩書きを持っていようと、それらにばかり目を奪われることも無くなる」
夢野「他のものにも、目を向けられるようになる」
夢野「……どんなにデュエルが強かろうと弱かろうと」
夢野「融合次元だろうとエクシーズ次元だろうと」
夢野「加害者だろうと被害者だろうと」
夢野「超高校級だろうと、そうでなかろうと」
夢野「それらに目を向けることはあっても、目を奪われることは無くなる」
夢野「肩書きだけでは無い……お互いの、いろんなところに、目を向けることが出来るようになる」
夢野「そうして、お互いを、一人の人間として見ることが出来る」
夢野「一人の人間として、理解しあおうと、思うことが出来る」
夢野「そうして、ウチは、今度こそ、お主のことをちゃんと理解したいんじゃ」
夢野「理解、しあいたいんじゃ」
デニス「……」
209 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:31:41.86 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……もう、ウチは、過ちを繰り返すのはゴメンなんじゃ」
夢野「だから、お主とデュエルして、理解しあうんじゃ」
デニス「……」
夢野「……いや、デュエルだけでは無い」
夢野「デュエル以外でも、お主を理解したい」
デニス「!」
夢野「また、お主にウチの魔法を見せたい。その感想が聞きたい」
夢野「お主の魔法……大道芸も見たい。その感想を伝えたい」
夢野「……お主と、もっと、たくさん、いろんな話がしたい!」
夢野「デュエルだって、何度も、数えきれないくらいしたい!」
夢野「もっとお主のことが知りたい! もっとウチのことをお主に知って欲しい!」
夢野「そうやって、何度だって、理解しあうんじゃ!」
夢野「それこそが、過ちを繰り返さないための、一番の道なんじゃ!」
210 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:33:11.64 ID:Zpa/uJRDO
デニス「……夢野さん!」
夢野「!?」
デニス「……ボクは、ボクはね! ずっとキミたちを、エクシーズ次元の人間を騙していたんだよ!?」
デニス「キミにも、ずっと嘘をついていたんだよ!?」
デニス「最初からキミたちエクシーズ次元の人間を裏切るつもりで、エクシーズ次元に潜入して、先生に弟子入りして、キミにデュエルを教え続けた!」
デニス「そうやって、嘘をつき続けて、裏切ったんだよ!?」
デニス「なのに、どうして、そんな風にボクに接することが出来るんだい!?」
デニス「まるで、ケンカした友達に向けて言うかのようにーーー」
夢野「当たり前じゃ! お主はウチの友達じゃ!」
デニス「!?」
211 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:34:21.61 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……確かにお主は嘘をついていたんじゃろう」
夢野「じゃが、それでも、ウチはお主を友達だと思っておる!」
デニス「!?」
夢野「……お主とウチの関係は嘘にまみれた歪なものだったのやもしれん」
夢野「お主がウチにかけてくれた言葉にも、あるいは嘘があったのやもしれん……」
デニス「……」
夢野「……じゃが、お主のデュエル、お主の言葉、それは確かにウチの胸に響いたんじゃ!」
デニス「!」
212 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:35:28.09 ID:Zpa/uJRDO
夢野「ウチはお主のデュエルが嬉しかった!」
夢野「デュエルを通じて、ウチに複雑なルールを教えてくれて嬉しかった!」
夢野「ウチのために、そうしたメッセージを込めてくれて嬉しかった!」
夢野「それで成長出来たウチのデュエルを……褒めてくれて、嬉しかった!」
夢野「その後、ウチのために、『甘さ』を抱くべきかどうか真剣に考えるよう、説いてくれて嬉しかった!」
夢野「それから、何度も、ウチとデュエルし続けてくれて、嬉しかった!」
夢野「お主のデュエルも、お主の言葉も、確かにウチの胸に響いたんじゃ!」
デニス「……!」
213 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:36:36.76 ID:Zpa/uJRDO
夢野「こうしている今だって、響いておる……!」
デニス「……!」
夢野「そうして……今のウチが形作られておる!」
夢野「ウチにとってお主は、それだけ価値ある存在なんじゃ!」
夢野「……誰が何と言おうと、絶対に譲れないものなんじゃ!」
夢野「友達なんじゃ!」
夢野「じゃから、お主はウチの友達なんじゃ!」
デニス「夢野さん……」
夢野「お主だって、きっと、そうではないのか!?」
デニス「!」
214 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:38:35.93 ID:Zpa/uJRDO
夢野「さっきも言ったが……お主は嘘をついていた」
夢野「それは、他人にだけでは無い……自分にもじゃ!」
デニス「っ、!?」
夢野「人は時に、そうした嘘を真実にしてしまうこともある……」
夢野「……じゃが、それでも誰かを想う気持ちを嘘にして、その嘘を真実にしてしまうことだけは、絶対に出来ん!」
デニス「!」
夢野「どんな魔法を使おうと、そんなことは絶対に出来んのじゃ!」
夢野「そんなことが出来るとしたら、そいつは人間を超えておる!」
夢野「じゃが、お主は人間じゃった!」
夢野「人間じゃからこそ、自分の気持ちについた嘘を真実に出来ず、苦しんで苦しんで……自分をカードにしてしまったんじゃ!」
夢野「お主は、それだけ誰かを……ウチや榊遊勝たちのことを想ってくれたんじゃ!」
夢野「絶対に譲れないものだと、想ってくれたんじゃ!」
夢野「だとしたら、デニス、お主にとっても、ウチは友達なんじゃ!」
デニス「……!」
215 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:40:32.33 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……人間とは、心の中に、絶対に譲れないものを持つことの出来る生き物なのじゃ」
夢野「人間である限り、譲れないものは絶対に譲れん。それは、どんなに強大な存在と直面しようと、同じことじゃ」
夢野「強過ぎるデュエリスト、コロシアイを求める観客、恐怖と絶望……どんなに強大な存在が相手だろうと譲れないものは絶対に譲れん」
夢野「……少なくとも、自分が大切に想う存在を、心の底から、譲り渡せる人間など何処にもおらん」
デニス「……!」
夢野「同じ心を持つ人間ならば……誰だってそうなのじゃ」
夢野「そう、人間は同じ心を持っているが故に、それぞれの心の中に、絶対に譲れないものを持つことが出来る」
夢野「それがわかるから、同じように譲れないものを持っているかもしれない誰かを、大切にしようと思える」
夢野「お互いに、傷付かないように、間違えないように、支え合うことも出来る」
夢野「……友達にだってなれる」
デニス「!」
216 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:42:04.82 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……友達として、仲直り、出来る」
夢野「わかりあえる」
夢野「苦しい気持ち、楽しい気持ち、嬉しい気持ち……それを心に響かせあって、繋がることが出来る」
夢野「笑いあって、デュエルだって出来るんじゃ!」
夢野「そうやって、過ちを繰り返さないよう、いっしょに生きていけるんじゃ!」
デニス「……!」
夢野「ウチは、お主とデュエルがしたくて、仕方が無いんじゃ……!」
夢野「……じゃから、デニスよ……」
217 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:43:08.57 ID:Zpa/uJRDO
夢野「これからも、ウチとデュエルしてくれ……!」
218 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:44:21.84 ID:Zpa/uJRDO
デニス「…………」
ズキッ……
219 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:46:02.52 ID:Zpa/uJRDO
デニス(ーーーこの痛み……)ズキズキ
デニス(……ああ、そうか)
デニス(これが、理解しようとしてくれる、ってことなんだ)ズキズキ
デニス(それだけの価値を、夢野さんが、ボクに感じてくれているってことなんだ)
デニス(ボクを、譲れないものだと、想ってくれたんだ)
デニス(すべては、甘さを、抱き続けてくれたが故のーーー)
デニス(ーーー魔法の、言葉)
夢野「……」
220 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:48:08.03 ID:Zpa/uJRDO
デニス(ーーーああ、痛い)
デニス(胸が痛いよ……)
デニス(これが、夢野さんの魔法……)
デニス(……メッセージの、込められた、言葉)
デニス(だから、キミの気持ちはとても響く)
デニス(ボクも、響かせたい……)
デニス(響かせあって、理解しあいたい)
デニス(そのために、デュエルで……いや、いろんなことを通じてーーー響かせたい)
デニス(……そう、夢野さん。他ならない、キミの胸に、メッセージをーーー)
夢野「……」
デニス(ーーーボクの魔法を響かせたいーーーー)
221 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:49:43.80 ID:Zpa/uJRDO
デニス(ーーーならば、ボクはーーーー)
222 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:51:47.14 ID:Zpa/uJRDO
デニス「ーーーごめんなさい、夢野さん」
夢野「!」
デニス「裏切って、本当にごめんなさい……!」
デニス「キミの世界を傷付けて本当にごめんなさい……!」
デニス「キミに、キミの友達に、仲間に……取り返しのつかないことをして、本当にごめんなさい……!」
夢野「デニス……」
デニス「ーーーそして、ありがとう」
夢野「!」
デニス「ボクのデュエルを……言葉を大切にしてくれて、ありがとう」
デニス「ボクを譲れないものだと、想ってくれて、ありがとう」
デニス「ボクを、友達だと言ってくれて、本当にありがとう……!」
デニス「魔法を、ありがとう……!」
夢野「……!」
デニス「……今こそ、約束を果たす時だ! 夢野さん!」
デニス「さあーーーー」
223 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:53:04.13 ID:Zpa/uJRDO
デニス「ーーーー楽しいデュエルを、しよう!」
224 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:55:46.33 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……!」
デニス「ーーーもちろん、何度でもね!」
夢野「!!」
デニス「……おっと、デュエルの前に、観客を呼んだ方が良いかな?」
夢野「んあ……!」
デニス「……どうする?」
夢野「んあ……いや、良い」
デニス「……」
夢野「今回は、呼ばん……」
デニス「……本当に良いのかい?」
夢野「……まずは、練習からじゃ」
デニス「!」
夢野「そう、二人でショーをする場合、相方と徹底的に練習してからの方が良い」
夢野「ウチは、そう思っておる」
デニス「……」
夢野「だから、まずは、そこからじゃな……」
225 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:57:19.35 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……また、二人で、デュエルしようぞ」
デニス「……」
夢野「何度だって、するんじゃ……」
夢野「……そう、お互いを観客としたーーー」
夢野「ーーーー楽しいデュエルを、じゃ」
デニス「……望むところさ!」
夢野「……ふふん、行くぞ、デニスよ!」
デニス「いつでもどうぞ! 夢野さん!」
226 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:58:59.12 ID:Zpa/uJRDO
夢野「……魔法使い、夢野秘密子と!」
デニス「道化師、デニス・マックフィールドによる魔法(エンタメ)が今ここに始まる!」
夢野「そうじゃ、ウチのーーー」
デニス「ボクのーーー」
夢野&デニス「「マジカルデュエルショーの始まりじゃ(だ)!!」」
227 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 21:59:57.64 ID:Zpa/uJRDO
「「デュエル!!」」
228 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 22:01:29.75 ID:Zpa/uJRDO
以上で完結です。お読み頂き本当にありがとうございました。
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/05/05(日) 22:29:13.05 ID:fwGdCuGSo
仲直り後に1デュエル描かれるかと思ったけどこれはこれでスッキリした良い終わり方だった
乙
230 :
◆02/1zAmSVg
[saga]:2019/05/05(日) 23:10:12.33 ID:Zpa/uJRDO
>>229
感想ありがとうございます。
デュエル描けなくて申し訳ない。わたし、デュエル構成に関しては修行中の身でして……言い訳ですね。すいません。
ただ、スッキリした終わり方と言って頂いて、本当に嬉しく思います。なるべくモヤモヤした終わり方はしないように、気を入れて書き上げていたので、それが実ったようで本当に何よりです。
ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました。
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