【安価】NEX-USの世界でアイドルたちが戦うようです

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264 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 22:55:48.82 ID:fu+0gqFM0
>>263
5.セカンドブルー(??)


P「セカンドブルーはしばらく接続していなかったが……他の皆みたいに、表の都合もあったんだろうか」

P「仕事は……そうだな、声を掛ければ出てくれてはいる――」

ピピッ!

パシュンッ!

P「ん?」ピクッ!


セカンド「……」

P「おお、セカンドか。どうした? I@LPの募集でも見に来たのか?」

セカンド「ん……ああいや、ちょっとな。プロデューサーさん、まだ事務所に残ってたのかと思って」

P「俺もちょっと仕事溜めていてさ、さすがに消化しておかないとI@LPからお叱りが飛んでくるんだよ」カタカタカタッ!

セカンド「そうか……」


セカンド「……なあ、プロデューサー」

P「どうした?」

セカンド「次の仕事……また、みんなでって話をしてくれたけど、あれ、どうしてだ?」

セカンド「あたしたちはユニットの正式申請もしていないし、ソロメンバーが集まってる形で一緒にいるだけで、別々に仕事する機会だって多いのに」

P「……そうだなぁ、俺が、そんな皆を、いいなって思ったからかも、しれないな」

P「ここにいれば、皆に会える。会いたいときに会えるかは分からないけど、ここにいれば、会えるから」

P「だから……皆でって、思ったのかもしれない」

セカンド「……もし」

P「うん?」
265 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:02:43.70 ID:fu+0gqFM0
セカンド「もし……プロデューサーさんが、すごく遠いところに行ったとして」

セカンド「大事な人がいて、帰らなきゃならなくて」

セカンド「帰れるときに、帰らない道を選んで……そのせいで、ずっと帰れなくなったら……どうする?」

P「なんだそれ、どうしてそんなこと聞くんだ?」

セカンド「ここなら、どこにいてもすぐに来ることが出来る。だから、ここに来たいと思うし、どこかに行こうとも思える」

セカンド「だけど、そうじゃなかったら。行こうと思っても、帰ろうと思っても、行けない場所まで離れてしまったら……」

P「帰るよ」

セカンド「……」

P「俺がどこかに行くのは、帰りたい場所を捨てる為じゃない。いつか帰るから、どこかに行くんだ」

P「まあ、この事務所はどこに行っても帰ってこれるからっていうのもあるんだけどな」

P「それに、皆がいつでもここに来れるように、俺がいるんだから」

P「セカンドは、帰りたいところはあるのか?」

セカンド「あたしは……」

P「ここ以外に、行きたい場所や、帰りたい場所があるのだって、悪いことじゃないと思う」

セカンド「……ああ、遠いところまで行った。どうやって帰ればいいかも、分からなくなるところまで遠くに」

セカンド「だけど……ここには帰ることが出来る。今は、それだけでいいのかもしれない」

P「……ま、皆もいるしな。楽しいだろ?」

セカンド「ああ、楽しいよ」

……
…………
266 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:09:40.13 ID:fu+0gqFM0
――NEX-US(秘匿領域)

キャット『ああ、キャットはここにいるとアイドルなんだ。楽しい、夢のような場所なんだって思って』

雪妖精『フェアリー……守りたいもの、あります。祖国も、人も……だから、捨てられません』

ツインテ『生き延びる為、自分たちが勝たなければ、ならないからです。そして、全部終わったら、あたしはここに……』

キノコ『軍人やってる裏で、アイドルやって良い顔してるようなヤツなんて、みんな悪いヤツで……それでも、ここにいたいんだって、思ってるんだろうな』


加蓮「……」

加蓮「……みんな、ここを、アイドルを、大事にしたい」

加蓮「それだけじゃない、お互いのことだって……」

加蓮「……私は、どうしたらいいんだろう」


『システムロック。対象への情報伝達を実行することが出来ません』


加蓮「奈緒、アタシが……私が、AIじゃなくて、人間だったら……みんなの気持ちが、分かるのかな……」


……
…………

267 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:17:31.63 ID:fu+0gqFM0
――数日後、太平洋上空、コロニー連合戦艦(ブリッジ)

『各部隊に連絡。宙域、海中、海上に展開したステルス部隊、所定の位置に着いた』

『これより、オペレーションFによるアラスカ基地制圧の為の作戦を開始する』

『海上の部隊から順次ステルスを解除、指定ポイントにミサイルによる波状攻撃を敢行し、ラプター部隊を展開せよ』

連合軍艦長「時間だ。これよりオペレーションF、アラスカ基地制圧任務を開始する」

連合軍艦長「ポイントE1に到達後、外装ステルス膜を解除、ミサイル照準、ラプター部隊は出撃待機だ」

ピピピッ!

連合軍艦長「L-03だ。このタイミングで個別通信とは何の用だ」ピッ!

ちひろ『どうも、作戦開始でよろしいですね?』

連合軍艦長「千川少佐か。そちらの準備はどうなっている」

ちひろ『強行軍での合流でしたが、間に合いましたよ。こちらもオペレーションβの後始末をします』

連合軍艦長「失敗か。後始末はどうするつもりだ? 日本への侵攻も手早く済ませてくれよ」

ちひろ『ま、連邦も同じことを考えていると思いますよ。上手くやります。オペレーションFもどうぞ頑張ってください。こちらよりよほど重要ですから』

連合軍艦長「言われんでも。互いにしくじらないようにせんとな」

ちひろ『ええ、それでは』

ピッ!

連合軍艦長「……ふん、奴らが上手く立ち回っていれば、こちらの荷も少しは軽くなったのだがな」

……
…………

268 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:27:34.97 ID:fu+0gqFM0
――横浜市(市内)

ピッ!

「IDの確認が取れました。通行規制によりお手間を掛けさせてしましましたが、どうぞ」

有香「ありがとう」

輝子「フヒッ……」


有香「……こちら潜入部隊、障害なく市内に入りました」ピッ!

『了解です。端末にポイント座標転送します』

輝子「そ、それにしても……いきなり空港規制が掛かったけど、どうしたんだろうな。通常通り入れなかったけど」

有香「……もしかしたら、アラスカの件が漏れたのかもしれませんが……いえ、今は作戦に集中しましょう」

……
…………

269 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:28:05.09 ID:fu+0gqFM0
――オート・クレール本社前

アーニャ「艦長、オート・クレール本社周辺の準備、完了しました」

ピピピッ!

艦長『ポイントへの爆破準備、こちらも確認が取れた。後追いの部隊も配置に着かせている』

アーニャ「タイミングになったら指示をお願いします。突入部隊との連携は艦を介します」

艦長『ああ。こちらもステルスの解除準備をする』


……
…………

270 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:28:59.12 ID:fu+0gqFM0
――太平洋(MBG共和国領空)

『ラプターストーム部隊、ステルス機能解除。フォーメーション02を展開する』

『フォーメーション02了解』

「了解」

『ステルス解除しました』

『よし、海上部隊も展開する。ラプターワイルドの部隊の掩護範囲から出過ぎるなよ』

「了解……さて、後始末といきますか」

ピピピッ!

ちひろ『各部隊、今回の任務はオペレーションβの後始末です。やり残しはないように』

……
…………

271 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:30:01.07 ID:fu+0gqFM0
――横浜市、横浜市基地(作戦室)

ピーッ、ピーッ!

「レーダー補足! コロニー連合の部隊です!」

司令官「ポイントは!」

「ポイント表示します……最前線の敵部隊、三原山の防衛ラインまで15分です!」

司令官「東京と千葉の基地にも連絡して連携する。横浜については避難勧告を発令する」

司令官「避難は急がせろ。後、オート・クレールにも連絡を入れろ。部隊の依頼も来ている。待機中の6、7番小隊を向かわろ」

「了解しました」

……
…………

272 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:38:38.07 ID:fu+0gqFM0
――オート・クレール本社(通路)

タタタタタタッ!!

麗奈「晶葉! ちょっと返事なさい晶葉!」

ピピピッ!

晶葉『わかっている。横浜基地から先ほど連絡が来た。やはりこちらを攻めてきたということか』

奈緒「靴はどうしてるんだ」タタタタッ!

晶葉『保管所に置いている。軍も防衛部隊を寄越してくれる。こちらも何とかするつもりだが、お前たちは出るのか』

麗奈「OMDX-FSの準備、出来てるんでしょう?」

晶葉『FSのメンテナンスは完了しているが、ジーネクはまだ完了していないが……奈緒は無理できんぞ』

奈緒「仕方がない、か……出ないわけにはいかないさ。Pさんとみくのほうは頼む」

ピッ!

麗奈「ホント……どうしようもない奴らね」

……
…………
273 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:44:07.82 ID:fu+0gqFM0
――オート・クレール本社前

ビーッ!! ビーッ!! ビーッ!!

アーニャ「警報!? 艦長!」ピピピッ!

艦長『どうした』

アーニャ「作戦前ですが、オート・クレールのほうで警報が……」

艦長『……太平洋側の海上で連邦の部隊が展開されている。連合の迎撃にアラスカで部隊展開がされているはずだが』



――横浜市(市内)

輝子「な、なんだ……?」

有香「警報……こちらと同じように追跡していた連邦の部隊が行動を起こした……? いや、これは……」


……
…………

――横浜市(市内ホテル前)

みく「お兄さん!」

P「警報……来たってことか。オート・クレールに戻るぞ!」

……
…………

274 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:45:12.82 ID:fu+0gqFM0
――オート・クレール本社(開発室)

晶葉「泉、三原山の防衛システムの起動状態はどうなっている?」

泉「OMDAの防衛部隊の展開と合わせてシステム起動……って、なんで軍じゃなくてこっちで確認しているのよ」カタカタカタッ!

晶葉「システムのほうはうちで提供している。自衛の為にこちらでも確認しているだけだ」カタカタカタッ!

晶葉「奈緒、聞こえるか。出撃準備はどうなっている」

奈緒『いま工場に着いた。準備次第出る』

晶葉「状況が状況だ、アイツらはどうする?」

奈緒『ネオジオはまだ調整が終わっていないだろ。それと、アレはダメだ。Geo-NEXTで出る』

晶葉「動かすことは出来るが・……いや、間に合わせることが出来なくてすまん」

奈緒『気にしなくていいさ。ジーネクで出るぞ!』

……
…………

275 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:52:48.79 ID:fu+0gqFM0
――Geo-NEXT(機体内)

奈緒「ジーネクのシステム起動。兵装疎通確認」ピッ、ピッ、ピッ!

ピピピッ!

加蓮『奈緒!』

奈緒「加蓮か。Pさんとみくが来るはずだ。2人を頼む」

加蓮『そうじゃなくて、さっき晶葉も言ったでしょ! キャットウォーカーの改修優先だったから奈緒の機体の整備がまだ終わってなくて……』

奈緒「大丈夫だ。あたしは年季が違う。墜とされるわけにはいかないさ」

ピピピッ!

麗奈『奈緒、アンタなら問題ないとは思っているけど、死ぬんじゃないわよ!』

奈緒「麗奈……そうだな、いつもそう言われていた。あたしは死なないさ」

『搬入口を開放しました。OMDX-FSとGeo-NEXT、発進どうぞ』

麗奈『OMDX-FS、出るわよ!』

奈緒「セカンドドライバーだ。Geo-NEXTで出撃する!」

……
…………

276 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/08(土) 23:55:41.33 ID:fu+0gqFM0
――MBG共和国領空、戦闘区域

『こちらR01、共和国の防衛部隊の展開が早い。海上には連邦の奴らもいる。こちらの作戦が流れている可能性が――』

ドガアアアアアンッ!!

『R01どうした、R01――』

ドガアアアアアンッ!! ドガアアアアアンッ!!

『なんだあの機体は!』

『照合該当無し……OMDA部隊ではない、赤いのと青い機体の2機だ!』


奈緒「前線部隊との距離が近い。ロングライフルは破棄する。麗奈、連合のラプター部隊は24だ」

ピピピッ!

麗奈『連邦も戦艦2隻寄越してきているわね……戦闘機部隊の数もそうだし、靴をぶっ壊しに来たには数は足りないようだけど……』

奈緒「加蓮聞こえるか。悪いけど三原山のシステムに接続して戦闘区域の状況を解析してくれ」ガションッ!

ギュオオオオオオッ!!

加蓮『わかった。奈緒も気を付けて』

奈緒「わかってる……そこだ!」ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

ドガアアアアアンッ!!

麗奈『OMDA部隊! 湾内に入られないようにしっかりしなさい! レイナサマが手を貸してやるわよ!』ドガガガガガッ!!

277 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 01:57:56.50 ID:deZRj0bQ0
ピピピピッ!! ピピピピッ!!

麗奈『ん?』ピクッ!

奈緒「高速で接近する機影……1機、アレは……!」

ブォンッ!!

ガキィィィィンッ!!

奈緒「ラプター!? いや、この機動力は・……!!」

ちひろ『さて……各地で報告のあった機体が2機ともこの場にいるということは……やっぱり当たりですね』ググググッ!!

キュピーンッ!!

麗奈『あの機体……まさか!』ガションッ!

ドシュウウウウウウウンッ!!

ちひろ『下から反応……!』ギュンッ!

ピピピッ! ピピピッ!

ちひろ『周辺通信!?』ピッ!

麗奈『やっぱりアンタだったわけね、ちひろ!!』

ちひろ『だ、誰……!?』

奈緒「ち、ちひろさん……!?」
278 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 01:59:05.12 ID:deZRj0bQ0
麗奈『奈緒、コイツは敵よ! こいつだけは容赦するんじゃないわよ!』

ちひろ『コイツ、何を言って……この!』ガションッ!

ボシュシュシュシュッ!!

麗奈『レイナサマがそんなミサイルに当たるわけないでしょ!!』ドシュシュシュッ!

ドガアアアアアンッ!!

奈緒「れ、麗奈! だけど・……」

麗奈『ここで手抜けば、死ぬのはアンタよ!』

奈緒「…・・!」

麗奈『肩部ビーム砲塔照準……ここに来てまでコイツは……さっさとちひろから離れな!』ズドオオオオオオッ!!

ドガガガガガガァンッ!!

ちひろ『くっ……い、一体何を……! だけど、ここでこの2機を抑えれば……!』

奈緒「くそっ……! どういうことだよ!」ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

ちひろ『私だけでは分が悪い……ブリッジ、ラプター部隊の増援を!』

麗奈『チッ、雑魚なんて呼びつけて……!』

ピピピッ!

加蓮『奈緒!』

奈緒「どうした加蓮!」

加蓮『市の上空宙域から降下ポッド! 連合の部隊だよ!』

奈緒「くそっ、上からかよ……!」

……
…………

279 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 01:59:39.44 ID:deZRj0bQ0
――オート・クレール本社(開発室)

ピピピッ!

P『博士、泉! 連邦と連合が攻めてきたんだろう、俺とみくも出る!』

みく『ここまで来て好き勝手させないんだから!』

晶葉「ちょっと待て、現在戦闘区域になっているポイントには麗奈とセカンドドライバーが――」

ピピピピピッ! ピピピピピッ! ピピピピピッ!

泉「いえ……晶葉、横浜市上空に反応……降下ポッド!?」カタカタカタッ!

P『なんだ!?』

ピピッ!

泉「ラプターの降下部隊よ! 降下部隊からのミサイル……着弾場所は……ここ!?」

晶葉「チッ! おい外のOMDA部隊! 上だ! ミサイルが来る、撃ち落せ!」


ドガガガガガァンッ!!!!


みく『わあああああ!?』

P『こ、ここに直接か……!!』

泉「ううっ!? だ、だけどミサイルの大半の処理は……だけど、一部は市内に落ちたし、降下部隊が……!」

晶葉「奇襲とは……P、みく、すまんが2人も出てくれ。外のOMDA部隊と降下したラプター部隊が戦闘を始めている」

……
…………

280 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 02:00:07.08 ID:deZRj0bQ0
――オート・クレール本社前

アーニャ「くっ……連合の降下部隊……いえ、ですが……」

ギュンッ!

アーニャ「グラース……連邦の機体までどうして……」

ピピピッ!

艦長『アナスタシア、様子がおかしい。海上に展開している連邦の部隊に通信を送っているが反応がない』

アーニャ「艦長、どうすれば……」

艦長『作戦は一時中断する。転送した座標に移動してくれ。お前を含めた潜入部隊を拾って一旦離脱する』

アーニャ「了解、です」ピッ!

アーニャ(……あの、2人は)

……
…………

281 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 02:01:42.81 ID:deZRj0bQ0
――横浜市(市内)

輝子「空からラプター……どうして……」

有香「あれは……展開しているラプター部隊、応答してください。こちらはホクドウの千川少佐からの任務を受けて個別任務に当たっている部隊です」


『連邦のグラース部隊だ、散会して迎撃する!』

『市街地戦闘になるが構わず撃て! 任務が最優先だ!』


有香「ラプター部隊、応答してください! 応答してください!」

ピッ!

有香「くっ……一体何が……」

ドシュウウウウンッ!

有香「!?」

輝子「!?」

ドガアアアアアアンッ!!

有香「ぐうううううっ!?」

輝子「わっ、わ……!」

有香「ごほっ! 回答も無く連邦と戦闘に……こ、このままだと……」ハァ、ハァ……

輝子「い、いったん離れないと……」

……
…………

282 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 02:04:02.07 ID:deZRj0bQ0
――オート・クレール本社(工場)

整備長「おーいお前ら―!」

P「整備長! 俺とみくも出撃する!」タタタタタッ!

みく「機体整備終わってるよね!」

整備長「バッチリ終わってるぜ! ラプターのほうはストームを装備させているからな!」

P「市街地戦闘想定か……了解した!」バッ!

みく「それじゃみくも……って何かこの機体また変わってない!?」

整備長「おう、改修終わったぜ。OMDX-152CXワイルドキャット、改修に合わせて最適化しているからフレームの機能もフルで使えるはずだ!」

みく「もーなんでもいっか……ワイルドキャットで行くよ!」

P『みく、市街に出て敵部隊を抑えるぞ』ガションッ!

みく「靴のデータってのも大事なんだろうけど、まずは町の人たちにゃ!」

……
…………

283 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/09(日) 02:05:35.51 ID:deZRj0bQ0
最後思いっきり落ちてしまっていたんですが、本日はこれで終了します。
次回は多分6/12か6/15になります。
安価にご参加いただきありがとうございました。
284 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:45:26.03 ID:GBhKxPpJ0
――オート・クレール本社前、戦闘区域

アーニャ「オグマが戦闘圏に入る……戻る時間が…・!」

アーニャ「アレは……!」


みく『お兄さん、連邦のグラース部隊! 市街地抜けて来てる!』

P『3機か……連合だけじゃなくて連邦もここまで来たか……空から降りて市街地戦闘に切り替えるぞ。OMDA部隊もいる、無理はするなよ』カタカタカタッ!


アーニャ「もしかして、あの子の機体……!? まだここに――」


P『っ!? 上からも来てるぞ!』ピピピピピッ!

みく『このっ!』ガションッ!

ドシュッ!!

みく『ク、クロー……結構重たくなってるけど……にゃっ!』ブォンッ!!

ズガガガガガァンッ!!

アーニャ「ああああっ!」

みく『お兄さん、1機墜とし……!』ピピピッ!

みく『あそこにいるのは……』


アーニャ「くっ……こちらの部隊ではない、グラースまで……」


みく『あの子……!!』


アーニャ『行くなら、早く行ってください。今のうち、です。アーニャが、戻っているうちに』


みく『……んもうっ!』ガションッ!!

ギュンッ!!

P『どうしたみく!?』
285 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:46:16.61 ID:GBhKxPpJ0
みく『お兄さんゴメン! でも……マイクロミサイルランチャー……!!』カタカタカタッ!!

ボシュシュシュシュッ!!

ドガガガガガァンッ!!

アーニャ「うっ……あの機体、アーニャの前に……」

みく『そこの民間人! 早く逃げて! スピーカー聞こえるでしょ!』

P『みく!? いや、アイツは……やはりこっちに来ていたのか……だけど様子が……』ピピッ!!

アーニャ「……!」バッ!!

アーニャ「機体、機体は……あのグラースなら!」タタタタタッ!!

パシュンッ!

アーニャ「パイロットは降りて退避した後……システム状況確認、パワーフロー正常、武装確認……C装備!」カタカタカタッ!!

アーニャ「グラースC、システム再起動!」ピピッ!

ガションッ!!

みく『ほっ、これでとりあえず――』

ラプター『……!』ギュオオオオオオッ!!

アーニャ「後ろ!!」ブォンッ!!

シュパアアアアアンッ!!

ラプター『……』ドガアアアアアンッ!!

みく『うっわ……あ、あっぶな……』

アーニャ「……ありがとう」

みく『いいから早く逃げるにゃ! そっちのせいじゃないんでしょ、これ!』

アーニャ「……」ガションッ!

ギュオオオオオオオッ!!!!

……
…………
286 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:47:02.68 ID:GBhKxPpJ0
――横浜市上空、戦闘区域、オグマ(ブリッジ)

ピピピッ!

艦長「私だ」

アーニャ『艦長、戻りました』

艦長「アナスタシアか。そのグラースはどうした」

アーニャ『戦闘区域になっている場所で拾いました。この状況、別動隊ですか?』

艦長「分からん。コンタクトは続けているが通信が取れん」

「グラース、着艦しました。アナスタシア少尉がクラウソラスに乗り換えます」

艦長「とはいえ状況を見ると攻撃対象はオート・クレールだ。こちらと同様の別部隊の可能性が高い。他のグラースも集まってきている。アナスタシアも再出撃し対応しろ」

アーニャ『了解です、クラウソラスで出ます!』

「クラウソラス、出撃しました。他部隊のグラース、ローキン艦も確認できています」

艦長「よし、ではこちらも――」

ピピピピピッ! ピピピピピッ!

「っ! 艦長、ローキン艦の主砲がこちらに!」

艦長「なにっ!?」

ドガアアアアアアアアンッ!!!!

艦長「があああああっ!?」

……
…………

287 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:47:32.28 ID:GBhKxPpJ0
――横浜市上空、戦闘区域

ピピピピピッ!

アーニャ「オグマ!? どうして攻撃が……ローキン艦! いまの砲撃は――」

ピピピピピッ!

ドガガガガガガッ!!

アーニャ「ぐっ!?」ドガアアンッ!!

グラース『……!』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

アーニャ「グラース!? どうしてこちらに攻撃を……」

ピピピッ!

艦長『アナスタシア、どうやら……そういうことらしい』

アーニャ「艦長!」

艦長『連合のアラスカ侵攻の情報を得ていた時点で、靴については破壊を選択したのだろう……ぐぅっ!?』ドガアアアアアンッ!!

艦長『秘匿されている靴の情報を与えられ、任務を達成できなかった私たちを……ここで始末する、そういうことだ』

アーニャ「そんな……!」

……
…………

288 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:48:24.79 ID:GBhKxPpJ0
――横浜市、戦闘区域

ドガアアアアアンッ!!


有香「輝子さん! こちらに!!」タタタタタッ!!

輝子「くそっ! クソッ!! なんで私たちまで……!」ハァ、ハァ……


『輝子さん小梅さん乃々さん! こっちです、裏道から抜ければ港まではすぐですから!』

『は、早く……逃げないと……!』

『ヒッ、ひいいいいいい……』

『クソッ、どうして、こんなところで戦争なんて――』


輝子「クソッ、クソッ!! あの時と、同じじゃないか!!」

有香「あの時と、同じ……」ハァ、ハァ、ハァ……


『有香さん、早くいきましょう』

『ドーナツドーナツ♪』


有香「勝つ為なら……だけど、だけど……! 勝つ為に、私たちが……!!」


……
…………

289 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:48:55.02 ID:GBhKxPpJ0
――横浜市、戦闘区域

P「そこのOMDA! 上空から敵の位置を確認した、座標を転送する!」カタカタカタッ!!

グラース『……!』ギュンッ!!

P「ストーム装備なら市街地戦闘だろうと……!!」ドシュウウウウンッ!!

ブォンッ!!

シュパアアアアアンッ!!

グラース『……』ドガアアアアンッ!!

OMDA部隊員『すまない、助かった! オート・クレールのほうで改良したラプターもいい機動性だな!』

P「ああ、こちらも……むっ、あそこに人が……!」ピピッ!


有香「……!」

輝子「……!」


P「逃げ遅れたのか!? くそっ、グラースのミサイルが……!」ギュンッ!!

ドガガガガガァンッ!!

P「ぐおおおおおっ……! くっ、ふ、防げたか……いや、ウイングとスラスター損傷、ロングビームブレイドがロスト……くそっ!」カタカタカタッ!

P「そこの2人、早く避難するんだ!」

……
…………

290 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:49:46.18 ID:GBhKxPpJ0
――横浜市、戦闘区域

P『そこの2人、早く避難するんだ!』


有香「あのラプター、私たちを……」

輝子「OMDAと一緒にいるってことは・……も、もしかしたらあの艦にいたラプターか……?」

有香「それでも、この場面であれば……くっ、ケーレス、応答してください、ケーレス!」


『……ら……こちら、ケーレス、中野中尉……中野中尉、こちらケーレスです』ザザッ!

有香「繋がった……! 座標を転送します、イーリアスとフラガラッハをオートパイロットで射出してください!」

『了解しました。ですが……こちらも、攻撃を……』ザザッ!

有香「やはりケーレスも攻撃を受けて……千川少佐、どうして……!」


……
…………

291 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:50:20.02 ID:GBhKxPpJ0
――オート・クレール本社(開発室)

晶葉「泉、軍から情報提供が来ている。神奈川、東京付近で展開されている連邦と連合の状況だ」カタカタカタッ!

泉「こっちに回して。今データの――」
 
ドガアアアアアンッ!!

晶葉「ぐっ!?」

泉「あああっ!? くっ……6番迎撃設備損傷、対空砲が潰れたわ……」カタカタカタッ!

ピピッ!

泉「敵の展開状況……スクリーンに出すわ。横浜基地、横須賀基地が戦闘区域として敵部隊の侵攻ルートに……」カタカタカタッ!

泉「いえ、だけど、どちらの侵攻範囲からも想定ルートを出すと……やっぱり、オート・クレール本社を攻撃できるように部隊展開がされているわ」

晶葉「連邦と連合双方ともか……! くっ、示し合わせたとでもいうのか、こいつらは……!」

ピピピッ!

加蓮『晶葉、泉、靴の解析データの取込みは完了したよ。最悪開発室は破棄して!』

晶葉「靴がある。こちらはギリギリまで耐えるしかない。泉から渡された物理端末は最悪破棄する想定だが、可能であれば京都へ別地搬送させる」

泉「ここはOMDA部隊も守ってくれているから、加蓮はみくとPさんをお願い。いざとなったら私たちよりも2人を優先させて」

加蓮『ちょっと待って、今奈緒と麗奈に増援できないか確認するから』

……
…………

292 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:51:22.55 ID:GBhKxPpJ0
――NEX-US(秘匿領域)

加蓮「奈緒、麗奈! オート・クレールに戻って! 空から直接来る部隊が多くてOMDA部隊だけだと対応しきれない!」

奈緒『わかっている! Pさんとみくもそっちにいるけど……くそっ!』

加蓮「奈緒……!? Geo-NEXTの損傷が……」

麗奈『まともに整備してないでコイツと戦ってるんだからそうなるわよ! チッ、お互いポンコツに乗ってるからってレイナサマを手こずらせるなんて……!!』

加蓮「相手の機体情報……該当機無し……ラプターのカスタム機? フレームストリームが入ってる2人の機体に追従できるなんて……」

麗奈『奈緒! アンタは戻りなさい! このままちひろに足止めされていても埒が明かないわよ!』

奈緒『そうは言っても……加蓮、あの4機は出ているのか!』

加蓮「う、うん……だけどクラウソラスもアラドヴァルもフラガラッハも、自軍から攻撃されてる。やっぱりこの戦闘自体、靴の破壊と情報を知ってる部隊の処理だよ」 

奈緒『それならNEX-USを起動させるんだ! あたしが戻るまでは何とか持ちこたえてもらうしかない!』

加蓮「もうやってるよ! それでも物量差で圧倒されてる!」

奈緒『くそっ、他よりはまともな機体に乗ってるんだ、せめて5人で連携できるなら……!』

加蓮「……!」

293 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:52:23.60 ID:GBhKxPpJ0
加蓮「ダメ……NEX-USを通しての思考伝達が私の権限だと……」

加蓮「だけど……だけど……!」



キャット『ああ、キャットはここにいるとアイドルなんだ。楽しい、夢のような場所なんだって思って』

雪妖精『フェアリー……守りたいもの、あります。祖国も、人も……だから、捨てられません』

ツインテ『生き延びる為、自分たちが勝たなければ、ならないからです。そして、全部終わったら、あたしはここに……』

キノコ『軍人やってる裏で、アイドルやって良い顔してるようなヤツなんて、みんな悪いヤツで……それでも、ここにいたいんだって、思ってるんだろうな』


奈緒『……そんなバカばかりがいる世界であってほしくないんだけどな、この世界』


加蓮「だけど……信じたいから、奈緒だけじゃなくて、私も……!」

キィィィィンッ!!

『システムロックを解除しました。権限の更新が適用されます』

加蓮「奈緒……ううん、みんな!」


みく『……!』ドクンッ!

アーニャ『……!』ドクンッ!

有香『……!』ドクンッ!

輝子『……!』ドクンッ!

奈緒『……!』ドクンッ!


……
…………

294 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:52:55.52 ID:GBhKxPpJ0
――横浜市、戦闘区域

ドガガガガガッ!!

有香「くっ! グラースだけならまだしも、ラプターストームまで……! お互いに攻撃し合っているとはいえ、この数では……!」

ドガアアアアアアンッ!!!!

ピーッ!!

輝子『あ、ああ……!』

有香「そんな……ケーレスが……!!」

輝子『く……クソがああああああ!!』ガションッ!!

ボシュシュシュシュシュッ!!

ドガガガガガガァンッ!!!!

有香「ケーレス、応答してください、ケーレス……くっ!」ガンッ!!


――キィィィィィンッ!!


有香「……!」ドクンッ!

輝子「……!」ドクンッ!


キャット『このままじゃこっちだけで抑えきれない!』

雪妖精『何とか撤退をしなければ……だけど、どうすれば……!』


有香「どうして……何が、見えて……」

輝子『キャット……フェアリー……? なんで……』


『Network.』
『Enhance.』
『X.』
『Unite.』
『System.』

『Connect』


有香「あそこに……」ドクンッ!

輝子『ああ、いる……のか……」ガションッ!

ドシュウウウウウウンッ!!


……
…………

295 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:53:50.73 ID:GBhKxPpJ0
――横浜市、戦闘区域


――キィィィィィンッ!!


アーニャ「この感覚はあのときの……だけど、どうしてキャットが……キャットだけじゃない……他の、みんなも……!」

ドガアアアアンッ!!

アーニャ「くっ……か、艦長……!」カタカタカタッ!

ピピピッ!

艦長『アナスタシア……そろそろ限界だ』

アーニャ「艦長!? オグマを下げて……!」

艦長『いや、今のオグマに、これ以上の戦闘は無理だ。他の乗員は全員脱出艇に移動させた。後は脱出艇を艦から切り離せばオグマを放棄出来る』

アーニャ「それなら艦長も急いで! ここはアーニャが――」

艦長『アーニャ』

アーニャ「っ!?」

艦長『キミが、今回の任務を通して、何かを感じていることは分かっている。私は、何もしてやれなかったが……その感じたモノを、信じろ』

アーニャ「艦長……」

艦長『大丈夫だ……アーニャなら、間違えない――』

ドガアアアアアアンッ!!!!

ピーッ!!

アーニャ「マナミィィィィィィィ!!」

ピーッ……

アーニャ「……」

ドクンッ!!

アーニャ「マナミ……アーニャは……アーニャ、は……!」ガションッ!

ドシュウウウウウウンッ!!

……
…………

296 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:54:39.37 ID:GBhKxPpJ0
――MBG共和国領空、戦闘区域


――キィィィィィンッ!!


奈緒「なんだ、この感覚は……NEX-USからの思考伝達……加蓮か!? アイドルのみんなが……もしかして!」ズドォンッ!!

ピピピッ!

麗奈『奈緒! さっさと行きなさい!』

奈緒「麗奈、だけどちひろさんが……!」

ちひろ『貴方たちはさっきから何を!』ギュンッ!

ズドォンッ! ズドォンッ!

麗奈『時間を稼がれたわ! 加蓮が呼んでいるんだからさっさと行きなさい! 芽を摘ませちゃダメよ!!』

奈緒「体の感覚が……あのシステム、いや違う……NEX-USが選んだのか……!」ガションッ!

麗奈『それでいいのよ! アンタだって帰るんでしょう!』

奈緒「……すまない、ここは任せた!」

ドシュウウウウウウンッ!!

麗奈『こっちも遊んでおくわよ! ちひろ、もうちょっとだけアンタに付き合ってあげるわよ!』

……
…………

297 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:55:25.37 ID:GBhKxPpJ0
――オート・クレール本社前、戦闘区域

みく「お兄さん! ワイルドキャット、陸戦に切り替えるよ! そっち大丈夫!?」

P『アームライフル破損、飛行用のウイングユニット損傷……ストーム用の装備をパージすればまだ戦闘出来る。索敵結果、転送するぞ』

ピピッ!

みく「連邦も連合もこっちに来すぎだし……! このままだと泉チャンたちが――」


――キィィィィィンッ!!


みく「この感じ……NEX-US……なんで、なんでみんなが見えるの……フェアリーも、ツインテチャンも、キノコチャンも、セカンドも……」ドクンッ!

ピピピピッ!

みく「……レーダーに」ピクッ!

P『クラウソラス、アラドヴァル、フラガラッハ……!? クソッ、このタイミングで……しかもクラウソラスは戻ってきたのかよ!』ガションッ!

みく「セカンドドライバーの鳥も……!」

P『アイツらがこっちに来たらとてもじゃないが……! この状態で対応なんて――』

グラース『……!』ガションッ!

ピピピピピッ!

P『しまっ――』

ギュオオオオオオオオッ!!

輝子『ちょっと待てよおおおおおおおお!』ギュンッ!

ドガガガガガァンッ!!

298 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:56:06.42 ID:GBhKxPpJ0
輝子『がっ……ぶ、ぶっ壊すぜえええええ!』ズドォンッ!!

グラース『……』ドガアアアアアアアンッ!!

P『フ、フラガラッハ……俺を、庇ったのか……?』ハァ、ハァ……

輝子『こ、これで……貸し借りは無しだぜ……』ビビビビビッ、ビビビビビッ!


――キィィィィィンッ!!


有香『イーリアスが前に出る。スノーフェアリー……クラウソラス、2トップ!』ドクンッ!

アーニャ『空からの対処は上の貴方! セカンドブルー、こちらと索敵結果の共有を!!』ドクンッ!

奈緒『こ、この感覚は……油断すると、意識が、持っていかれそうになる……くっ、索敵結果を共有する。対空はキノコとあたしのほうに任せろ!』カタカタカタッ!!

アーニャ『キャット! こちらの後方について!』

みく(みんなが……みんなの姿が……機体に重なって――)ドクンッ!

みく「……ポイント更新するよ! 厚いところはOMDA部隊に任せて、こっちで薄いところから崩して行くよ!」ドクンッ!

ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

P『みく……セカンドドライバーも……何が、どうなっているんだ……』

……
…………

299 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:56:35.27 ID:GBhKxPpJ0
――オート・クレール本社(開発室)

泉「みく……いえ、晶葉、あの5機が……」

晶葉「連携を取っている……何があった? まさか……おい加蓮」カタカタカタッ!

ピピピッ!

加蓮『……』

晶葉「システム搭載の5機がNEX-USを通して思考共有をしている……NEX-USから脳へのダイレクトリンク……5人の情報……NEX-US所属のアイドルだと……? まさか、思考共有に合わせてシステムロックを外したのか……」カタカタカタッ!

泉「この状況、加蓮がそうさせたの? まるで最初にみくがNEX-USを起動したときと同じ……」

晶葉「加蓮を通しての情報流出を避ける為にパーソナルの部分は最上位権限でロックを掛けていたはずだが、AIが自力で解除したというのか……今の5機は思考共有を続けた状態になっている」

ピピピピッ!

晶葉「防衛システムも復旧したか……加蓮、一体どうして……」

……
…………

300 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:57:05.06 ID:GBhKxPpJ0
――オート・クレール本社前、戦闘区域

奈緒『ビームブレイドを展開する……はあああああっ!!』ブォンッ!!

シュパアアアアアンッ!!

ラプター『……』ドガアアアアアンッ!!

奈緒『よし、後は……』ガコンッ!!

ビビビッ! ビビビッ!

奈緒『システムダウン!? ジーネクが……くそっ、無理をさせ過ぎたか……いい加減限界か……!』

ラプター『!!』ギュンッ!

奈緒『くそっ!』

輝子『やらせるかよおおおおおお!』ガションッ!

ドギュウウウウウウンッ!!

ドガガガガガァンッ!!

奈緒『キノコか!?』

バコンッ!!

輝子『チッ……! 右腕部停止、ミサイルも撃ち切ったか……こっちも、終わりだ……』

ピピピッ!

晶葉『おいそこの6機! OMDAの追加部隊が基地から応援に来た! よく持ちこたえてくれた!』
301 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:58:04.24 ID:GBhKxPpJ0
有香『OMDAの増援部隊……!』

アーニャ『間に合った……』

パシュンッ、パシュンッ!!

みく『にゃ? あれは……』

P「信号弾……2つ上がっているってことは、連邦と連合、どちらも引き上げるのか……?」

泉『戦闘開始から1時間と12分……通常の戦闘時間を考えれば撤退の時間を越えているわ。何とか、凌いだと思っていいわね……』

みく『た、助かったぁ……』

輝子『危なかったぜ……』

有香『……』

アーニャ『……』

晶葉『……全機、オート・クレールまで戻ってこい。工場は無事だ、6機とも収容する。この状況で連携したということなら、異論はないな?』

奈緒『……そうだ、麗奈』

……
…………

302 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:58:44.82 ID:GBhKxPpJ0
――MBG共和国領空、戦闘区域

ちひろ『撤退信号!? まさか……失敗、した……?』

麗奈「もう帰る気? ハンッ! アンタ、まだ遊び足りないでしょうに!」ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

ちひろ『くっ……アラスカの状況もどうなっているか……この赤い機体も……!』ボシュシュシュッ!!

麗奈「そんなミサイルに……っ!」ギュンッ!

ズドドドドドドドッ!!

麗奈「戦艦の砲撃支援……チッ、終わったならこっちもいいタイミングかしらね……ちひろ、アンタ覚えてなさいよ!」ガションッ!

ギュオオオオオオオッ!!!

ちひろ『あの機体は一体……そうだ、ブリッジ、アラスカはどうなりましたか?』

……
…………

303 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 22:59:10.88 ID:GBhKxPpJ0
――オート・クレール本社(工場)

ガションッ!

みく「……」

整備長「おーい! 嬢ちゃん、よくやったな! ありゃ相当いい動きだったぜ!」


ガションッ!

みく「……!」

アーニャ「……」

有香「……」

輝子「……」

整備長「盗られた機体に乗ってたヤツらか……ん、そういやPは……」キョロキョロ


ガコンッ!!

P「いっつつ……危なかったか」

ガションッ!

奈緒「さすがに、ジーネクも整備無しの連続稼働は持たなかったか……そっちのラプターも、よく持たせたな」

P「セカンドドライバーか……何とか助かったが、危なかった」

「フラガラッハの損傷も酷い、ラプターとGeo-NEXTと一緒に先に持って行けよ」
304 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 23:00:01.94 ID:GBhKxPpJ0
輝子「ん……フラガラッハ持っていかれるのか……ま、元々私のじゃないし……」

みく「……キノコ、チャン」

有香「……」

輝子「……あ、そっか。キャット、か……フヒッ」

アーニャ「どうして……みんな、が」

有香「輝子さんや、私と同じように、アイドルだったなんて……」

有香「キャット、スノーフェアリー……」

アーニャ「ツインテ……貴方も、ですね」


P「……あいつらが、アイドル……NEX-USの……!?」

奈緒「……驚いたか?」パチッ、パチッ

P「……いや、みくは……そうじゃないかと、ずっと思っていた。だけど、まさか皆が」

パサッ

P「セカンドドライバー、仮面を……」

奈緒「あたしも、アイドルだよ。セカンドブルー……黙っていて、悪かった」

有香「あの可変機体に乗っていた貴方も……セカンドブルー……」

ピピピッ!

奈緒「あたしだ。どうした晶葉」ピッ!

晶葉『全員降りたか。この後も何があるか分からないから機体の修理は急がせるが、悪いが開発室に来てくれ。この状況だ、招いた3人も下手な事をする気はないだろう』

アーニャ「……」

奈緒「……行こうか。案内する」

……
…………

305 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 23:03:54.32 ID:GBhKxPpJ0
――オート・クレール本社(開発室)

加蓮『おかえり、みんな』

有香「AI、やはり貴方は知っていたんですか」

加蓮『いきなりその話? そりゃあ、知っていたよ。今まではシステムロックが掛けられていたから、そういう話は出来なかったの』

輝子「趣味悪いぜ、まったく……」

加蓮『でも、ゴメンね。私だって、このままでいいのかって、分からなくなっていたから』

アーニャ「……AI、分からないことがあるんですね」

加蓮『人間の気持ちは分からないって、教えたでしょ? 覚えられるかも、分からないけど』

晶葉「お前が判断できずにいたのが、学習している証拠だ。情報収集と、学習型AIならばいつかはある程度理解できる」カタカタカタッ!

奈緒「加蓮、アラスカはどうなった?」

みく「そうだ……戦争始まったってやつ!」

加蓮『コロニー連合の失敗。連邦も情報を得ていたから、対応が早かったのと後は物量の差だったみたい。宇宙からの降下部隊もほとんど迎撃されたみたいだし』

有香「失敗……」

輝子「そう、か……」

加蓮『戦闘データの詳細はまだ収集中だから、後でNEX-USの閲覧データを更新しておくから』

晶葉「わかった。加蓮はそのまま作業を頼む。後は丁度いい、いい機会だからお前たちに見せてやろう」カタカタカタッ!

ピッ!

みく「これは……?」

P「靴、か」

アーニャ「これが……」

晶葉「そうだ。今スクリーンに映しているのが、未知のマテリアルで構成された杖の対となる靴だ。MBG共和国から解析を委託されて、現在はこちらで保管している」

有香「これが、靴……!」

晶葉「お前たちが乗っているOMDXシリーズに搭載しているフレームストリームは、NEX-USを介して靴の解析から得たエネルギー転換技術を搭載し、NEX-USへの接続を条件に解放し起動している。これにより装甲強度、機動性、運動性の大幅な向上を実現している」
306 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 23:04:38.47 ID:GBhKxPpJ0
有香「ブラックボックス化していたシステムは靴に関係するものでしたか。戦闘機に導入できるほど小型化出来ていたとは……本部の解析も間に合わなかったのも、納得です」

アーニャ「ですが……共和国が靴の解析結果から、技術転用が可能になったのであれば……連邦も、同じようにできたはず……」

晶葉「そうだな、オート・クレールが連邦から離脱した時期を考えても、何事も無ければ同じように出来ただろう」

奈緒「だけど、連邦が所有している杖はもうその力を無くしている」

みく「無くなった?」

晶葉「杖と靴は、合わせて1つの物だった。連邦が所有している杖は、靴から生成される膨大なエネルギーを受け止める為の器に過ぎない」

晶葉「これまでは杖に残っていたエネルギーの残骸を元に解析を続けていた連邦だったが、それも既に途切れていた物だった。技術的にも連合にアドバンテージを取れていても、共和国に追い抜かれるのは時間の問題だっただろう」

アーニャ「だから……連邦も靴を……」

晶葉「今回、お前たちが友軍から受けた攻撃については想像している通りだ。靴の奪取に失敗した部隊の口封じだろう」

カタカタカタッ!

泉「靴存在は各国でも一部しか知られていない情報よ。今回侵攻してきた部隊の規模、展開状況から考えても詳細な目的を知らされている部隊はほとんどいなかったでしょうね」

P「利用するだけ利用して、最後は殺す、か……ふざけているのか……!」

有香「これも、連合が勝つ為に選んだ、こと……私たちは、勝つ為の……」

晶葉「そうだな。体よく利用されたということだ。軍人として良いか悪いかの判断は、私には出来んが」

晶葉「まあ、何にせよこちらとしては連邦と連合の間で好き勝手やるのは最悪構わんが、こちらについても宣戦布告も無しに戦闘行動を取られてはたまったものじゃない」ハァ……

晶葉「アラスカのと併せて、今回の一連の戦闘はシマトクで起きた小規模戦争と良いレベルで張り合う話なものだ。民間人の死者も出たろうに。国際条約も全く意味をなさんな」

泉「そうね……戦闘も宇宙からの降下部隊を含めて4方面からの侵攻、防衛だったし……」

輝子「う……う……」

有香「……だから、何だと言うんですか」

307 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 23:05:13.33 ID:GBhKxPpJ0
晶葉「うん?」

有香「シマトクでも、たくさん人が死にました。資源衛星の所有の在処がどちらかだと、第一次生産コロニーだからと構わずに戦場になって……ゆかりちゃんも、法子ちゃんも死んだ……!」

みく「何言ってるの! ナシヤマだって死んだ人たちたくさん出たんだよ! そっちがこんな靴の何がしが欲しいとか思わなかったら、こんなことにまでならなかったのに!」

アーニャ「っ!?」

奈緒「落ち着け。どこが悪いとか、誰が悪いとか、ここでそんな話をしても、どうしようもないだろ」

奈緒「それに……初めて全員が表で顔を合わせて、こんな話で言い争うなんて……プロデューサーもさすがに困る」

みく「えっ?」

輝子「なに……?」

奈緒「そうだろ、プロデューサー……Pさん」

P「……俺、か」

みく「!?」

有香「そ、そんな……!?」

アーニャ「貴方、が?」

輝子「マジで全員集合なのかよ……」

泉「やっぱり、貴方はみくのプロデューサーだったのね。個人IDのデータを見させてもらった時と、みくと話している様子を見て疑問には思っていたけど……」

加蓮『ホント、奈緒と麗奈が言った通りなんだもん』

308 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 23:05:52.19 ID:GBhKxPpJ0
みく「なんで……」

P「みく……」

みく「なんで、なんで言ってくれなかったの!! みくのこと……知ってたの……?」

P「俺は……言わないほうが良いと、思っていたから。みくが、元の場所に帰れるなら、それでいいと思っていた」

みく「……っ!!」タタタタッ!!

パシュンッ!!

P「みく……」

有香「どうして、プロデューサー……? 貴方まで、こんなところにいるなんて……!!」

P「俺は巻き込まれた。正規の軍人じゃないし、みくも……仕方が無かった」

アーニャ「……っ!」タタタッ……

パシュンッ!

加蓮『あっ、あの子……」

有香「だけど、だけど……貴方が、あの場所にいるから……だから、あたしは……それなのに!」

P「……ごめんな」

有香「……」タタタタタッ

パシュンッ!

晶葉「……ま、思うところはある、か」
309 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 23:06:39.55 ID:GBhKxPpJ0
泉「貴方は……そんなに気にしていないのね。彼が自分のプロデューサーだって聞いて」

輝子「わ、私か……? ま、まあそりゃあ驚いたけど……生きてればとりあえずいいかなって」

輝子「それに……助けてもらったし、な……こっちも、助けることが出来て、よかったけど」

P「キノコ……か。そうだな、あの時は気付かずに助けたけど……戦闘の時に庇ってくれて助かった。ありがとう」

輝子「ま、お互い様……でいいんじゃないか」

晶葉「あの3人は……まあ、今さら何をすることも出来んだろう。それに奈緒、P、あとキノコだったか?」

輝子「し、輝子でいいや……ていうか表でキノコって呼ばれるのも、ちょっとな……」

晶葉「それじゃあ輝子も、3人は機体の修理作業に手を貸してもらうぞ。奈緒はジーネクのデータの吸出しはある程度終わっているし、ネオジオの調整になるだろうが、特に輝子、フラガラッハは手が加えられているから余計に面倒だ」

輝子「こっちで機体弄ったしな……わかった」

……
…………

310 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/15(土) 23:10:51.79 ID:GBhKxPpJ0
本日はこれで終了します。
多分、手元を確認した感じだと分量的にも次の投下で今回の部分は終わります。
次回は多分6/24(月)か6/25(火)になります。
311 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:10:26.16 ID:mAizz4Zt0
――オート・クレール本社(工場)

泉「整備長も、本社スタッフに混ざって作業しているわね」

晶葉「修理、整備のついでに4機とも改修する。クラウソラスとアラドヴァル……連合が手を加えてイーリアスに改められたんだったか、ワイルドキャットと同じく、予定していた改修プランを適用させる」

晶葉「フラガラッハは今回の戦闘でかなり損傷してしまった。間に合わせで補修されていた部分もあるし、蓄積された戦闘データから改修プランを一部変更する予定だ」

輝子「い、いいのか……? 私たちが盗んでいった、機体だけど……」

晶葉「別にここで機体回収が終わった後に暴れて連合に戻っても構わんが、普通に受け入れてくれるかというと、どうだろうな」

輝子「……ま、ケーレスだって墜とされたし、そういうことなんだよな」

晶葉「根無し草を拾ってやる……と上から目線で言うわけじゃないが、身の振りが無いならうちで引き取ってやろう。拾ったのが軍ではなくうちで感謝してほしくはあるが」

P「俺が乗っていたラプターはどうなんだ。後は、セカンドドライバー……いや、奈緒、でいいか?」

奈緒「構わないよ。ラプターとジーネクは破棄だ。Pさんが乗っていたラプター自体には特に何かあるわけでもないし、この破損状況だとな」

晶葉「Geo-NEXTはコックピットブロックとシステムを抽出してから破棄だな。ネオジオに積み替えてデータもフィードバックさせねば」

ガションッ!

P「ん、あれは……」

奈緒「麗奈か。帰ってきたのか」


麗奈「はー……だるいわね」

晶葉「お疲れさん。遅かったが、何かあったか」
312 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:10:52.34 ID:mAizz4Zt0
麗奈「なーんも、ちょっと用事思いついちゃって軍に寄ってたのよ。あーあ、こっちまで来てまたちひろとやり合うとか、勘弁してほしいわ」

奈緒「麗奈、あのちひろさんは……」

麗奈「ん、帰ったわよ。アラスカも失敗したみたいだし、連合も一旦は引き揚げして……後はどうする気なんだか」

奈緒「加蓮からはまだ何も聞いていない。アラスカを攻めたのはあそこにある杖の為だったんだろうけど、今の杖じゃあ……」

麗奈「あのシンデレラガールがいないんだし、今さら杖だけあってもどうしようもないと言えばそうだけど……靴を奪えたら、また違ったんでしょうね。あ、そうだP、アンタ」

P「ん……俺か?」

麗奈「アンタのIDデータ、帰りがてら加蓮に見せてもらったけど、モービル動かしていたって?」

P「まあ、学生の頃だけど……その感覚があったから、ラプターにも乗れたというか」

麗奈「じゃ、後でシミュレーター回してあげるから付き合いなさい」

P「え? いや、俺は……」

麗奈「馬鹿ね、必要になるかもしれないでしょ。レイナサマが鍛えてやるわよ」

奈緒「おいおい……あっちとは違うんだぞ」

P「……そうだな、分かった」

泉「P……でも、貴方……」

P「ん?」

奈緒「……まあ、行かなくていいのか?」

P「俺が?」

麗奈「……」

P「……そうだな、ちょっと行ってくる。しばらくしたら戻ってくるから」

奈緒「そうしたほうがいいと思う。あたしも、有香たち探しにいくか」

輝子「そ、そうだな……私も、行こうかな」

……
…………

313 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:11:21.55 ID:mAizz4Zt0
――夜、横浜市(戦闘跡地)

みく「……」


みく『お、お兄さん……みくを庇って……お兄さん、お兄さん!!』

みく『……もう、1人で行っちゃうのは、無し……だから』

みく『うるさい!! みくがやりたいから戻ってきたの! こっちの自由なんだから!!』


みく(どうして……お兄さんも、あの子……も……)


ガラッ!

みく「っ!?」

アーニャ「……ここに、いたんですね」

みく「……」

アーニャ「海沿いのシティ……町、です。夜は、少し冷えます……そろそろ、戻りませんか?」

みく「……」

アーニャ「思うところがあって……アーニャも、つい飛び出してしまいました。ですが……キャットも、風邪を引いたらいけません」

アーニャ「これからのこともありマス。体調を崩さないように、NEX-USに入る時の――」

みく「なんで」

アーニャ「……」

みく「なんで、兵士なんてやってるの。なんで、戦ってるの」

みく「アイドルなのに……アイドルなんでしょ? フェアリーも、ツインテも、キノコも、セカンドも……P、チャンも……どうして、戦って、人を……」
314 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:11:48.95 ID:mAizz4Zt0


キャット『に゛ゃ……げふっ、ふぇ、フェアリーにゃ! ひっさしぶりだにゃ〜!』

キャット『いいPチャン、キャットもフェアリーもみんな、お仕事待ってるんだからね!』

P『お前も来い!』

みく『うるさい!! みくがやりたいから戻ってきたの! こっちの自由なんだから!!』

P『まあ、借りは作りたくないっていうのと……それに……この状況を見て、自分たちだけ逃げろって言われても、な』



アーニャ「アー……でも、アーニャは……」

P「キャット、フェアリー!!」タタタタッ

みく「P……お兄、さん」

P「あ、ああ、いや……違った、みく……」ハァ、ハァ……

P「……2人はここにいたのか……みく、俺たちだって、今はここにいる。俺たちも、戦っている……そう決めたじゃないか」

P「だから……俺たちも同じだ」

みく「……っ!!」

タタタタタッ!!


P「みく……」

アーニャ「仕方がありません。キャット……みく、は、アーニャたちとは違って、兵士ではなかったんですから」
315 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:21:11.16 ID:mAizz4Zt0
P「フェアリー……」

スッ……

アーニャ「フェアリー、じゃありません。アナスタシア……アーニャ、と呼んでください。表では、いけないですよ、プロデューサー」

P「あ、ああ……」



アーニャ『良かった! ちゃんと……降下できたんですね……』

アーニャ『腕……以前、貴方の腕を撃ってしまいました。あの時は……ですが、治っているみたいで……よかった』



P「……そういえば、ちゃんと礼を言ってなかったな。あの時……オーレンバーグで、見逃そうとしてくれたこと。ありがとう」

アーニャ「えっ……」

P「みくも、フェアリー……アーニャのことを、少し知ったから、だからさっきは、あんなことを言ったんだ。許してやってほしい」

アーニャ「……いえ、アーニャは何も。プロデューサーは……お変わりないですね」

P「お、俺……? いや、俺のほうだって直接まともに顔を合わせたのはオーレンバーグの時で……」

アーニャ「ふふっ、違いマス。変わらないんです。アーニャが、フェアリーでいるあの場所と。少し、嬉しいです」

P「アーニャ……」

アーニャ「行ってあげてください、みくのところへ。プロデューサーのお仕事、デスね?」

アーニャ「アーニャは、2人が一緒に戻ってくること、待っています」

P「……」

タタタタタッ

……
…………

316 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:23:19.25 ID:mAizz4Zt0
――横浜市(戦闘跡地)

有香「シマトクの小規模戦争、もう随分前……あたしも、まだ小さかった頃」

有香「第一次産業コロニーの施設に入っていた企業に務めている両親に会いに行こうと、友達とみんなでシマトクに行った日が……」

奈緒「そうか……」

輝子「……ま、あの時は突然だったし、幸子ちゃんたち……私の、友達も・……だ、だけど共和国の仲裁が入って半年も経たないで停戦になったし」

有香「だけど、その時に連合の人間はたくさん死にました。死んだ人たちはもう戻ってこない。シマトクもコロニーとしての機能は復旧できずに破棄されて……」

有香「あの戦いの結果は、連合がただ奪われただけのもの……もし、連合があの時、もっと力があったら……」

有香「無くしたものはもう取り戻せない。ゆかりちゃんも、法子ちゃんも……もう、奪われるわけにはいかない。連邦にも、共和国にも負けるわけにはいかなかった。だから……」

奈緒「それで、選んだ結果がこれ、か……」

有香「……連合が、これ以上負けない為に……犠牲となったのは、私たちだった」

奈緒「虚しいな。これ以上奪われない為に、共和国から靴を奪おうとして、最後は自分たちの命が奪われる」

有香「ええ、本当にそう思います。もう……それに気付くのも、遅いのでしょうね」

有香「だけど、こんな世界でも……NEX-USだけは、綺麗で……でも、みんながアイドルなのに、こうして戦いに身を投じて……やはり、虚ろは虚ろなんですね」

有香「奪う、奪われるだけの世界がどんなに醜くても、せめてあの場所だけは真実であってほしかったのに」

輝子「み、みんな……同じ、じゃないか? NEX-USは、綺麗だから……表で、こんな私でも……NEX-USの中は、綺麗だから……自分も、そうなれたらいいなって、思った」

輝子「死んだみんなの代わりのつもりで、アイドルになってみて……いい世界だって、思ったよ。こんな自由な世界が、もし自分たちでもっと綺麗に出来たら、どれだけいいんだろうなって、思って」

奈緒「……あたしが加蓮と出会って、色々なことを知った。この世界の深いところで、争いは続いていることも」

奈緒「だから、アイドルでいたいって思った。あたしたちは、違う場所にいたけど、同じ願いを持っているから、ここに来たんだと思う」

……
…………

317 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:25:07.70 ID:mAizz4Zt0
――横浜市、みなとみらい

P「みく……いた!」タタタタッ!


みく「……なんで来たの」

P「俺は……」

みく「みくのこと、知ってて……ずっと、言ってくれなくて……それに、フェアリーの肩持って……」

P「……俺は、俺自身が戦おうと決めた理由が、アーニャと同じだと気付いたからだ」

P「フェアリー……アーニャも、誰かを守る為に戦おうとしていた」

みく「だったら――」

P「だから、俺はみくを守りたかった」

みく「……っ! それって……みくが、キャットだからって、気付いたから……?」

P「最初はそうだった。だけど、もうそれだけじゃない。一緒にいたから、そう思えた。みくだから、守りたい……何としてでも、俺が守るんだって」

P「その気持ちに、プロデューサーとしての俺の心は……もう、なくなっているのかもしれない」

みく「……P――」

ピピピッ! ピピピッ!

P「端末……俺だ」ピッ!

晶葉『おお、今大丈夫か。加蓮が情報を採取してきたんだが、少し……いや、正直かなりマズイ話になってきた。すぐ戻ってこれるか?』

P「何があったんだ?」

晶葉『全員が戻ってきたら話す。もう靴や機体がどうのという話ではない。急いでくれ』

ピッ!

P「……」

みく「どう、したんだろう……」

……
…………

318 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:26:23.95 ID:mAizz4Zt0
――オート・クレール本社(開発室)

奈緒「全員集まったか……何があったんだ、加蓮」

加蓮『もうNEX-USにも広まっているし、報道もすぐされるだろうけど、これを見て』

ピピッ!

アーニャ「NEX-USのニュース……これは!?」


『こちらを見てください! たった今地球連邦からの発表があった映像です。宙域の艦隊を展開し、木星圏の共和国管轄のコロニー、ハマヨコを制圧したとのことです!』

『また、そこから同宙域の連合管轄コロニーであるオカシズへの武力攻撃が行われております! こちらについては現在も続いているとのことで、宙域の映像データが送られています!』


みく「ええっ!?」

P「何だって、ハマヨコを!?」

輝子「お、おいおい……」

有香「ガーワカナから展開した部隊か……!? だけど、オカシズを……!」

奈緒「事実上の開戦直後とはいえ、連合に対しての連邦のカウンターが早すぎる……どういうことなんだ」

晶葉「今回のアラスカ、横浜の侵攻速度、対応を見るとカウンターが早いのも納得は出来る。既に計画されていた可能性が高い、が……」

奈緒「共和国を巻き込んだのは、シマトクの時のように停戦の仲介をさせない為……防衛戦闘をせざるを得ない状況に持ち込ませる為か」

麗奈「……ホント、救いようのない世界」

……
…………

319 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:28:04.93 ID:mAizz4Zt0
――太平洋海上、コロニー連合戦艦(ブリッジ)

ちひろ「上で連邦の攻撃が……! くっ!!」ガンッ!

艦長「幸いだが宇宙に上がる手段を抑えられているわけではない。本部の対応もそう遅くないうちにこちらに回ってくるだろう」

ちひろ「……上に戻る準備を。今回の侵攻に合わせて降下した部隊はすべて宇宙に戻します」

艦長「さて……地上は上手くいかず、靴も無し……となれば、オペレーションも次の段階に移る、か」

ちひろ「……シマトクへの部隊派遣は始まっているようです。となれば、こちらも急いで月軌道を抜けて、せめて火星圏までは戻らないといけませんね」カタカタカタッ!!

艦長「そうなるだろうよ。墓を落とすのは心苦しいが、こちらの戦闘で地上部隊を消耗させている今しかないだろう」

ちひろ「こんな……ここまで来て……!」

……
…………
320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:30:03.05 ID:mAizz4Zt0
――オート・クレール本社(開発室)

晶葉「何はともあれ、共和国もこうして大々的に攻撃を受けたとなれば、対応するしかない。共和国としては、まずは制圧されたハマヨコをどうにかすることが優先だろう」

ピピッ!

晶葉「……ほれ、さっそく軍からお声が掛かった。こちらで生産しているOMDA、及び保管中のOMDをコンバージョンさせてOMDAへと改修、部隊への配備に使いたいとさ」

泉「地上部隊も宇宙に上げるとして……いえ、地上の防衛も視野に入れなければならないのよね。その為のOMDAの配備……」カタカタカタッ!

奈緒「今回の連邦のカウンターを受けて、連合がどう対応するか……どの道、戦火の拡大は免れないのか……」

アーニャ「……博士」

晶葉「なんだ」

アーニャ「アーニャは……もう、帰る場所がありません。マナミも……オグマも、無くなりました」

アーニャ「だから、もうドコにもいけない……アーニャを助けてくれた、ここを……アーニャは、守りたい、です」

輝子「……わ、私たちは、どうしよっか……なあ、元……中尉?」

有香「……奪う、奪われるだけの戦いの行きつく先が……自身の破滅に繋がったと知りました。だから、このままでいいはずがありません」

P「このまま、奪い合うだけの世界になってしまえば、何も残らない……いつかは、ここも……」

みく「守らなきゃ……! それに、もし連邦と連合の間で決着が付いたら、次は靴を持ってる共和国が……!」

泉「そうね。まさかこんな事態にまでなるとは思っていなかったけど」
321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:33:00.58 ID:mAizz4Zt0
奈緒「横浜を攻撃したことを考えると、そうなるだろうな……あたしたちも、行くしかない。いいよな、晶葉」

晶葉「……私のほうから軍には話をしておく。民間協力のライセンスがあるニューウェーブがここにあるなら、支援要請を貰えば私たちも自ら動くことが出来る」

奈緒(やっぱり・……やっぱり、こうなるのか・……!)

麗奈(……そろそろ、潮時か……いや、まだ)

みく「ここまで好き勝手されて、こっちだって黙っているわけにはいかないもん! そうだよね、みんな!」

アーニャ「はい。アーニャが軍にいた意味……居場所は、無くなりましたけど、その意味だけは、無くしたくありません」

P「……」

晶葉「よし、それならこちらも早いうちに動くか。OMDAの追加分についてはうちの部署の者に対応させておくとして、ニューウェーブを出すならそれなりに準備をしておく必要がある」

晶葉「麗奈、奈緒、悪いが駐屯地まで付いてきてくれ。向こうも戦闘後と、宇宙の件で慌ただしいだろうが靴の件と併せて話を付けておかなければならん」

麗奈「そうね。まあ、好き勝手暴れる準備はしておきましょうか。行くわよ、奈緒」

奈緒「ああ……」

P「……」


パシュンッ!


みく「……にゃ?」

……
…………

322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:36:01.92 ID:mAizz4Zt0
――横浜市、みなとみらい

P「……」


みく「お兄さーん……あ、いた。お兄さーん! どうしたの、またこんなところに来て……」

P「みく……」

みく「晶葉チャンたちは軍に行っちゃったし、みんな機体の整備に行っちゃったよ。みくたちも……」

P「みく、お前は……ここに残ってくれ」

みく「え……」

P「ここは本社があるから、また戦闘になる可能性もある……ここじゃない場所なら、北海道辺りが――」

みく「イヤ!!」

P「みく……」

みく「みくだけ行かないなんて、絶対にイヤだよ! お兄さん……Pチャンと一緒に行く!!」

P「そんなことを言わないでくれ。もう、俺たちだけの話じゃない」

みく「そんなの、最初からそうだったよ! ナシヤマのときも、地球に来てからも……色んなところで戦って、苦しんで、死んだ人たちも……たくさん見てきたから……」

P「だから、俺はみくを危険な場所に立たせたくなかった」

みく「こっちだって同じだもん! Pチャンにそんな場所に行ってほしくないから、みくも守られてばかりなんてイヤだから……みんなが、戦っているって、知ったから……」

みく「みくが戦えるなら、Pチャンを守れるなら……絶対に、みくは死なないんだから……約束、したもん。みくも、絶対に行く……から……」

みく「Pチャンのこと……好きだから……だから、そばにいたい……ずっと……だから、全部、全部終わったら……一緒に、帰ろう?」

P「みく……俺は……」

ギュッ!!

みく「もう……内緒にするのとか、そんなのやめて……みくは、Pチャンと一緒に、帰りたいから……」ギュッ……

P「……ああ、帰ろう。みく……一緒に」ギュッ……

みく「……」スッ

P「……」


……
…………

323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:39:58.54 ID:mAizz4Zt0
――翌日、横浜市、市内ホテル(Pの部屋)

P「……」

ピピピッ!

P「……博士か?」ピッ!

晶葉『ああ、起きていたか。一晩掛かってしまったが、こちらも軍との話が付いた。軍からの派遣も決まったし、今後の対応について話がある』

P「わかった。準備してオート・クレールに行く。他のみんなは?」

晶葉『仮眠室で寝かせている。泉もこっちに泊まったみたいだし、少し寝かせているが……お前たちが来る頃合いに起こしておく』

P「ああ、わかった。後でな」

ピッ!

P「……」


みく「……ん……P、チャ……」


P「……ああ、必ず守る」


……
…………

324 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:40:57.37 ID:mAizz4Zt0
――早朝、横浜市(戦闘跡地)

P「……」

みく「……何も、なくなったね。あんなに、綺麗な町だったのに」

P「残った物もある。建物も、施設も、復旧出来るんだから」

みく「宇宙でも、おんなじことが、起きてるんだよね」

P「ああ、ハマヨコだけじゃなくて……いつか、ナシヤマも……」


……
…………

325 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:42:36.17 ID:mAizz4Zt0
――オート・クレール本社(開発室)

パシュンッ!

P「博士、遅くなって悪い」

晶葉「いや、こっちも急かして悪かったな。新しい情報も入っていたんだ」

みく「ん……」

アーニャ「……」

有香「……」

輝子「……」

みく「……き、昨日」

アーニャ「?」

みく「昨日は……ゴメン、ね。変なこと言って、みんなだって、色々あるの……分かってるから」

アーニャ「……いえ、アーニャも、プロデューサーとキャット……みくを巻き込ませてしまってすみません」

有香「あたしたちの争いに、巻き込ませてしまった立場です。謝らなければならないのは、あたしたちのほうで」

輝子「ふ、フヒッ……そうだよな、ゴメン」

みく「う、ううん! そりゃ最初は怒ってたけど……だけど、いまはそんなこと言ってる場合じゃないもん!」

P「連邦と連合同士で争うだけなら、最悪共和国が仲介して終わりだったのかもしれない。だけど、共和国も攻撃されるなら……俺たちも戦わなければならない」

有香「はい。あたし自身が、無意味なことだと分かった今……共和国にまで被害が及ぶのを見過ごすことは出来ません」

アーニャ「ダー、戦いましょう。守る為に……たとえその場所が変わったとしても」

輝子「お、表でも……よろしくな」



奈緒「……」
326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:43:37.97 ID:mAizz4Zt0
ピピピッ!

奈緒「ん、どうした加蓮。ここにいるのに端末に繋げてくるなんて」ピッ!

加蓮『ううん……ちゃんと、みんながああしているなら、もっと早くに伝えればよかったって、みんなのこと……そうすれば……』

奈緒「そう判断したのは加蓮だ。たとえAIだったとしても……そう判断したのは加蓮だ。だから、これでよかったんだと思う」

加蓮『奈緒……』


有香「セカンドブルー……ああいえ、セカンドドライバー……いや、えっと……」

奈緒「奈緒でいいよ。今さら名前隠しても仕方が無いし。どうした?」

晶葉「なんだ聞いてなかったのか。ニューウェーブは共和国の防衛部隊として再登録されるが、扱いとしてはオート・クレール所有の輸送艦になる」

晶葉「監督として軍から数名、オペレーター業務も兼ねて派遣されてる部隊がいるらしいが、こちらもOMDXで出撃するメンバーがいるんだ、部隊として編制を用意するべきかと思ってな」

麗奈「編成するなら、レイナサマの下っ端にするにしても邪魔くさいし、アンタたちだけで固まっておきなさいって話よ」

アーニャ「それで、軍歴としては奈緒と、有香が長いです。部隊という形を取るなら、お2人のうちどちらかが、リーダーであったほうがいいと思います」

有香「形だけとはいえ、防衛部隊として扱われるのであれば正規軍となります。外部から来たあたしたちよりは、奈緒さんがリーダー……部隊長になったほうがいいかと思いまして」

奈緒「あ、あたしか……とはいえ、NEX-USでアイドルしてたときは、有香がまとめ役になってたからなぁ……ちょっと複雑なんだけど」

奈緒「それなら、Pさんじゃダメか? NEX-USでも表でも、Pさんが頭ならみんなも違和感ないと思う」

輝子「まあ、プロデューサーなら慣れてるしな、私たちの上に立つの」

P「いやそういう立場として慣れているわけじゃないんだが……気持ちは嬉しいけど、情けないが純粋に能力で見るなら軍人としてのノウハウの無い俺が頭になるのはマズイと思う」

P「俺自身は出来る限りみんなのサポートはするが、立場と能力を考えると、やっぱり奈緒が部隊長でいたほうが最終的には間違いが無いと思う」

奈緒「あたしが部隊長、か……あたしが……」

奈緒(あたしに、上手く出来るだろうか、菜々さん……Pさん……)

麗奈「ほれ、どうすんのよ」

奈緒「……分かった。どこまでできるか分からないけど、やってみるよ」


【to be continued......】


……
…………
………………
……………………
327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:48:31.44 ID:mAizz4Zt0
※キャラクターシートが更新されます
キャラ名:前川みく
操縦技術:99
親愛度 :63→83

キャラ名:アナスタシア
操縦技術:67→77
親愛度 :60

キャラ名:中野有香
操縦技術:81→91
親愛度 :13

キャラ名:星輝子
操縦技術:77→87
親愛度 :20

キャラ名:セカンドドライバー(神谷奈緒)
操縦技術:-
親愛度 :-
328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/25(火) 22:51:26.73 ID:mAizz4Zt0
今回で区切りになるので、本日はこれで終了します。
次のパートが五部扱いになるのて予定通り次でパートで終わりになります。
何も無かったら6/30(日)から更新します。あと、今回までの分で安価処理は一通り終わりましたので以降は積み立てた結果からシナリオが分岐されます。
329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/06/25(火) 22:52:41.46 ID:mAmmvWaK0

やはりみくにゃんルートか
330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/06/26(水) 00:07:19.51 ID:4fglRBMc0
>>329
とりあえず今の周が終わったら仕組み周りちょっと話します
331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:04:54.52 ID:KwRklWbB0
――神奈川県、横浜市、オート・クレール本社(開発室)

ピピピッ!

泉「はい、こちらオート・クレール開発部……はい、池袋はただいま留守で……はい、かしこまりました。折り返しご連絡します」

ピッ!

パシュンッ!!

整備長「おーい艦長、ニューウェーブ、一通り整備終わったぜ」

泉「あら、整備長。ありがとう、今回はかなり掛ったわね」

整備長「そりゃそうだぜ。日本海まで長距離航行してから戦闘でボロボロ、足で新潟からこっちまで来て整備出来ると思ったら1週間でまた戦闘ってきたもんだしよ」

整備長「OMDXの改修と並行して作業してたし、こっちもようやく手付けらたし酷い目に遭ったぜ」

泉「そうね……横浜も戦闘が終わって2週間、宇宙だと連邦のオカシズへの攻撃は一度は収まったけど……」

整備長「オカシズは連合の拠点コロニーだし、連合は攻められている間はガーワカナにも軍は送れねえだろうしな……こっちのハマヨコが制圧されたのがどうにも」

泉「今のところ連邦の目的は連合の打倒だし、ハマヨコは侵攻の為の踏み台になったと考えて、後々ナシヤマ攻略に使う……てところかしらね」

泉「公開文書だとハマヨコに対する武力制圧は一部の軍施設のみで、一般区画への攻撃はほとんど無かったからコロニー住民への被害もほとんど無し……共和国の立ち入りもさせたみたいだから一応は大きな問題になっていないみたいだけど」

整備長「共和国のコロニーが武力制圧されたのが大きな問題だっての……ま、連合優先だから今のところは大きな被害を出さないようにしてるってところか」

泉「OMDA部隊も引き揚げさせたから、ハマヨコのコロニー住民は全員人質に取られたと言ってもいいけれど……どうするつもりなのかしらね」

ピピピッ!

泉「はい」
332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:05:51.84 ID:KwRklWbB0
晶葉『泉か。軍から連絡が来てなかったか?』

泉「さっき来ていたわよ。人員派遣の件と、ニューウェーブの編成の件、後で連絡しておいて」

晶葉『あの戦闘から2週間経ったし、地上からの防衛部隊の派遣準備も終わったからそろそろだと思っていたが』

泉「2週間は長かったわね。連邦との交渉、上手くいかなかったのね」

晶葉『ウチ……共和国としてはとりあえずハマヨコを返してもらえばよかったんだがな。3国条約としては連邦と連合の仲介役もあるし、ハマヨコ返還だけではなく連合との話が上手くいかなかったんだろうよ』

整備長「オカシズの戦闘が停止しているのもそれが原因だとして、こっちの派遣が決まったならまた戦闘に戻るってことか」

晶葉『私たちがぼやいても仕方が無いがな。後で軍のほうにはこちらから話しておくよ』

泉「そういえばみくたちは? まだ格納庫?」

晶葉『麗奈の遊び相手になってるよ。酷いもんだけど』

泉「あ、そう……」

整備長「はぁ〜、んじゃ俺はちょっと休んでから格納庫戻るかぁ……」

……
…………

333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:07:02.86 ID:KwRklWbB0
――仮想戦闘宙域空間

奈緒『左、グラース小隊が2来ている。アンサラーは弾幕、クラウソラスとイーリアスは先行、前衛2機の援護、あたしが先行して数を分断させる』

輝子『アンサラー、花火行くぜえええええ!!』ガションッ!!

ボボボボボボボボボッ!!

ドガガガガァンッ!!

奈緒『ネオジオじゃないが、この数なら……!』ギュンッ!!

アーニャ『奈緒が切り込みました、有香』

有香『イーリアスU、近接戦闘に切り替えます。クラウソラス、戦闘ポイントに!』ガションッ!

奈緒『2機引き離した! 6機対応は任せたぞ!』ドシュゥンッ! ドシュゥンッ!

アーニャ『クラウソラス、マルチブレイドを展開……いきます!』ガションッ!

有香『1機撃破……2機……いえ、各機、奥からラプター部隊が来ています。2小隊です!』ピピッ!

みく『残り3機はみくと輝子チャンで抑えるよ! 先頭の2人はラプターのほう行って!』

奈緒『こっちも2機対処した。アーニャと有香の――』ピピピピピッ! ピピピピピッ!

輝子『レーダーに反応……こっちか!』ガションッ!

ズドォォンッ!!

麗奈『ハッ!! そんなビームランチャーなんて当たるわけないでしょ!!』

みく『ヤバいの来たにゃ!』

有香『お待ちかねの……混戦状態になると話になりません。急いで対処を!』
334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:09:13.24 ID:KwRklWbB0
麗奈『遅い遅い!!』ギュオオオオオオッ!!

ドシュシュシュシュッ!!

アーニャ『くぅっ……! こ、このっ!』ドシュゥッ!!

麗奈『残念!!』ギュンッ!!

有香『輝子さん!』

輝子『軌道予測……こっちだ!!』ズドォォォンッ!!

麗奈『なーにが予測よ! こっちは――』ガションッ!

奈緒『さすがに何度も変則軌道やられたら慣れるさ!!』ギュンッ!!

みく『こっち!』ジャキンッ!!

シュパアアアンッ!!

麗奈『チッ……散々見せてるし奈緒は対応早いわね……! だけど!』ヒュカカカッ!!

みく『んにゃにゃっ!?』ビビビッ!

奈緒『みく……がっ!!』ビビビッ!

アーニャ『撃墜判定……くっ!』ギュンッ!!

有香『いけません! この状態では――』

麗奈『甘い甘い!!』ドシュシュシュッ!!

有香『ぐぅっ……!!』ビビビッ!

アーニャ『しまった……!』ビビビッ!

輝子『こ、今回もダメだな……』

……
…………

335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:11:17.76 ID:KwRklWbB0
――オート・クレール本社(工場)

ピピピピピッ!

パシュンッ!

麗奈「はいおしまい」

パシュンッ!

輝子「……何敗目だっけ、これで」

有香「……ここに来て72敗です」

みく「オーバーワーク承知でやってるのにとんでもないにゃ……」ハーッ! ハーッ! ハーッ!

アーニャ「みく、大丈夫ですか?」

奈緒「いやいやいくら機体が違うからってここまでなのか……」

麗奈「なーによ奈緒、アンタと条件一緒でしょうに」

奈緒「うぐぐ……」

みく「ていうか、みくはアレ使いたいんだけどアレ、加蓮チャンのヤツ!」

麗奈「バカ、あんまりNEX-USの同調アテにしてると肝心な時に役に立てないわよ。もう少し地力付けなさい」

有香「ワイルドキャットの戦闘力は通常でも中々の物でしたが、NEX-USに接続できなかった場合のことも考えると今のうちに訓練を積んだほうがいいですしね」

みく「うぐぐ……」

336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:12:03.36 ID:KwRklWbB0
輝子「い、いや……でもみく……正直私よりよっぽど強い気がする……」

アーニャ「ダー、みくは正規軍だったアーニャたちと、これまで戦闘を行って十分に戦えていました。そういう意味では、安心していますが」

みく「まーみくは? Pチャンと2人で今まで頑張ってきてたし? 当然といえば当然かもしれないけど?」ドヤァ……

奈緒「そのドヤ顔はなんなんだよ」

ピピピピッ!

奈緒「ん、あっちも終わったか?」


パシュンッ!

P「よっと……」

晶葉「ん、終わったか? どれどれ、シミュレーターの結果は……」カタカタカタッ!

P「おいおい、乗せといて見てなかったのかよ」

晶葉「泉から連絡が来ていたんだ。途中までは見ていた……お、1つ前の計測より良くなっているな」

P「今さら航空機で戦闘に出るって、本当に大丈夫か?」

晶葉「通常のラプターに乗るよりは全然マシだ。NEX-USへの接続は無いが、クラウソラスの強化装備の目的もあって基礎性能は十分だ」

P「だといいんだが……まあ、宙域で戦闘するならラプターよりは色々出来て良いかもしれんが」
337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:14:58.36 ID:KwRklWbB0
麗奈「そっちも終わった?」

晶葉「ああ、何度か乗ってもらったし、後は調整しておしまいだな」

有香「プロデューサーの機体……支援機ですか」

晶葉「HCU-01Pヒューリーだ。元々はOMDXのベース機となっているクラウソラスの強化装備として開発していた機体だ」

みく「えー……クラウソラスだけなの?」

晶葉「OMDXのフレームストリーム実装から武装実験のベースに利用していたから、開発機体の中だと性能的にもあまり余裕が無かったんだ」

晶葉「今回は他の機体に合わせて改修しているが、それでも基礎性能の向上の点で見ると残りの3機に後れを取っているし、使わない手はない」

アーニャ「機動性と遠距離用装備の拡張ですね……フフッ、いざというときは頼りにしています、プロデューサー?」

P「上手くやれるといいけど……出来る限りサポートはする」

みく「むー……」

奈緒「ま、Pさんなら心配はしてないけど……もう4時間近くシミュレーター回したのか……今日はそろそろ終わりにするか」

晶葉「っとそうだ、軍から連絡が来ていたんだったか。麗奈、少し外に出るから付いてきてくれ」

麗奈「ああ、編成の話? まあいいケド」

有香「召集命令ですか?」

晶葉「そんな大した話じゃない。防衛部隊の編成と、出向に来てくれる部隊の話だよ」

奈緒「そっちは晶葉に任せるか……それじゃ、あたしたちは休んでおくか」

……
…………
338 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:15:30.83 ID:KwRklWbB0
――オート・クレール本社(食堂)

『地球連邦軍の第2次防衛部隊が地上から低軌道ステーションへと上がりました。MBG共和国に関しても先行の防衛部隊がステーションに配置されている部隊と合流し、ステーションの防衛を――』

みく「……共和国も先行部隊、動いたんだ」

有香「進展が無かったとはいえ、交渉の場で何事も無かったのが信じられないくらいです。地上では連合が宇宙に上がる連邦の部隊を一部抑えている状況ですし」

輝子「他の国だと小競り合い起きてるしな……戦闘が起きている近くの共和国も被害出てるし」

有香「ええ、近いうちにオカシズの戦闘も再び起きるでしょう。数で勝る連邦に、連合がどれだけ対応できるか……」

アーニャ「宙域の部隊規模であれば、連邦と連合、ほぼ変わりはありません。連合であれば土星圏からの援軍もありますし」

奈緒「あたしたちが宇宙に上がる頃に、戦況がどれだけ変わっているか……」

奈緒(ちひろさんも、戻っているのか……)

みく「……」

P「不安か?」

みく「え? うん……ナシヤマも近いし……」

P「ナシヤマも共和国の拠点コロニーだ。オカシズへの侵攻もあるし、連邦も迂闊に手を出してくるようなことはしないさ」

みく「だといいけど……」
339 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:16:25.14 ID:KwRklWbB0
有香「……」

アーニャ「……」

輝子「わ、悪い、な……共和国まで、巻き込んで」

みく「別に輝子チャンたちのせいじゃないけど……やっぱり気になるっていうか」

奈緒「まあ、仕方がない、か……」

P「……よし、今日は早いうちにシミュレーターも回したし、後は1日休むか」

有香「ですがプロデューサー、今日予定していたフォーメーションの確認が終わっていません。訓練分のフィードバックをしませんと」

P「防衛部隊の編成が決まったならニューウェーブもすぐ宇宙に上がることになるだろうし、今のうちじゃないと十分休めないだろう。休めるうちに休まないとな」

有香「ですが……」

奈緒「……ま、横浜戦から休みも無しでこうして訓練しているし、休むのも必要だな」

アーニャ「いいのですか、奈緒?」

奈緒「必要なら仕方がないこともあるけど、根詰めすぎて良いことなんてないしな。あたしも似たようなことして酷い目に遭ったことあるし」

P「部隊長もこう言っているし休もうか。ほれ、それじゃ早く飯食べて各々休もう」

……
…………

340 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:17:32.73 ID:KwRklWbB0
――火星圏宙域、コロニー連合管轄コロニー『マシクフ』(管制塔)

パシュンッ!

「お疲れ様です、千川少佐」

ちひろ「お疲れ様です。オカシズの状況は?」

「連邦艦隊に動きがあります。ムーンまで上がってきている艦隊も侵攻を続けていますが、宇宙での主戦上に火星圏を巻き込むわけには……」

ちひろ「木星圏から先のコロニー群へのインフラを考えると、連邦は火星圏では戦闘する気は起きないでしょう。シマトクの部隊は?」

「オカシズの戦闘が良いカモフラージュになったようです。シマトク周辺には連邦の艦は確認されていません」

ちひろ「今さら廃棄コロニーに近付くわけはない、か……好都合です。手向けの準備が出来るまでは悟られないようにしてほしいものです」

「少佐は今後どうするおつもりで?」

ちひろ「オカシズを制圧されたら土星圏の足掛かりにされます。本部のあるホクドウまで戦火を伸ばすわけにはいきませんし、私も木星圏に向かいます」

ちひろ「調整が終わっていませんでしたが、オペレーションFのタイミングと併せてこちらまで運ばせていた物もあります。報告では完成したようなのでそれを使う予定です」

「しかしこうなってしまうとは、やはりアラスカを攻めたのは早計だったとしか思えませんね」

ちひろ「オペレーションβの情報を一部連邦に流していたからこそこのタイミングまで引き延ばせた部分もあります。今回の対応の早さから見て、靴の回収に躍起になっていたこちらを見て攻める準備をしていたのでしょう」

「まあ、お互いに欲しいものは手に入らなかったということですが」

ちひろ「思っていた以上に共和国の軍備が整っていました。あそこまで粘られたのはこちらも想定外でしたが……」

「こちらもやるだけやってみましょうか。どの道ここまで来て、墓を落とせなければどうにもならないでしょう」

ちひろ「ええ、そうですね……」

ちひろ(恨みがあるなら……これで晴らすことが出来れば、良いんですけどね)

……
…………

341 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:20:13.86 ID:KwRklWbB0
――地球、日本、神奈川県横浜市、オート・クレール本社(仮眠室)

P「……」ピッ、ピッ、ピッ……


ピピッ!

P「……ん?」

パシュンッ!

みく「……」

P「みく……どうかしたのか?」

みく「……むー」

P「な、なんだよ……アーニャたちと外に出なかったのか?」

みく「不安になってるみくを放っておく薄情者が何をやってるんだろうって思って」

P「いや別に放っておいたわけじゃ……みくにも大事なことだよ」

みく「にゃ?」

P「I@LPからの通知を処理しててな。ダミーでもいいからみんなの活動連絡も少しは報告しておかないと、後々面倒な申請しておかないとダメだからな……」

みく「あ、そ、そっか……ゴメン」

P「いや、これ終わったらみくのところに行こうかと思っていたから……ま、こんなもんでいいか」ピッ!

みく「もういいの?」

342 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:21:17.20 ID:KwRklWbB0
P「一通り片付けたし、外に出るか? 無事な施設もあるし」

みく「……いい」スッ

ボフッ!

P「……どうした?」ドサッ

みく「ここ、ベッドあるし」ギュッ……

P「……え」

みく「へ、変な事しないから! 別に……ただ……」

みく「いま、外を見ちゃうと……ナシヤマも、こうなっちゃうんじゃないかって思って……だから……」

P「大丈夫だよ、きっと。そうだな……それじゃ、疲れたし少し寝るか」

みく「……うん」

P「あまり寝すぎると夜がしんどいし、少しくらいなら――」

みく「ねえ、Pチャン」

P「なんだ?」

みく「あのね、思ったんだ。NEX-USで一緒だったみんなと、表でもこうやって同じ場所にいるのが……すごく不思議だなって」

P「……示し合わせて会ったわけでもないから、そりゃあ凄い偶然だよな。俺だって、驚いた」

みく「だけどね、みんながいるから、いまは大丈夫かもしれないって思うんだ。Pチャンは、どう思ってる?」

P「俺も、よかったって思っている。皆とこうして出会えて……みくと出会えて」

みく「……」

P「……」

……
…………
343 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:22:56.42 ID:KwRklWbB0
――数日後、オート・クレール本社前、ニューウェーブ(ブリッジ)

泉「成り行き……ですけど、この艦の艦長をやらせてもらっています。大石泉です」

楓「MBG共和国……って長い挨拶は面倒くさいですよね。横浜基地から来ました、第十七防衛部隊の高垣楓中尉です。ブリッジの管制と民間協力艦の動向監視に来ました」

美優「三船美優少尉です……同じくブリッジ管制の業務と……高垣中尉の監督補佐をさせてもらいます」

泉「い、いえ、そんな私のほうが民間なのであまり気を使わないでもらえると……」

晶葉「んな挨拶を長々と続けても仕方がないだろう。2人は麗奈の伝手で来てもらったし、こちらの事情もある程度話している」

楓「麗奈ちゃんからは色々聞かせてもらっていますけど、とりあえず上手く出来たらいいなって思っています。あ、整備部隊についても後でご紹介しますので」

麗奈「ま、適当に使ってやって頂戴」

P(随分適当だな……)

みく(軍の人ってこんなに適当なのかな……)

奈緒「よろしく頼む」

楓「あ、ええと……こちらの方たちは?」

奈緒「この艦の前線部隊を任されている。オート・クレール社所属だが編成に合わせて一時的にだが階級を割り当ててもらっている。私は部隊長のセカンドドライバーだ」

楓「そうですか。あ、そのお面、かっこいいですね」

344 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:24:33.94 ID:KwRklWbB0
麗奈「ああ、奈緒なら一応諸々の実績も込みで大尉相当扱いで軍にデータ渡してるから、楓も美優もとりあえず信用していいわよ」

奈緒「ばっ! ちょっ、おまっ! 名前バラすとか仮面の意味ないだろ!」

麗奈「だーいじょうぶよ、とりあえずここでその変なの付けてなくていいから」

美優「な、奈緒さんのお話もお聞きしていましたので……えっと、セカンドドライバー……?」

奈緒「……まあ、奈緒でいいや。無駄話するより、他のメンバーを……中野有香中尉、星輝子少尉、アナスタシア少尉、前川みく特別准尉だ」

楓「訳あり部隊って聞いていますけど、大変そうですね」

有香「まあ……あまり詮索しないで頂けると助かります」

アーニャ「今は、お世話になる身ですので」

輝子「よろしく……頼む、な」

みく「え、ていうかみく准尉? 出世してない?」

P「下士官すっ飛ばして准尉相当なのか……ここにいるならあんまり階級の意味がないからとはいえいいのかそれ」

晶葉「NEX-USの秘匿領域に関係する人員として軍から指示を受けている。みくについては元が民間人だから扱いに少々困ってはいたが、まあこんなもんだ。というかP、お前もみくと同じで准尉だぞ」

345 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:25:45.78 ID:KwRklWbB0
楓「へえ……」ズイッ

P「よ、よろしく……」

楓「ブリッジは若い子が多いって麗奈ちゃんが言っていたけど、私たちと同じくらいの年代の方もいらしたんですね。どうせ宇宙に上がるまでは手持ち無沙汰ですし、歓迎会の席でちょっと飲みませんか?」

P「えっ、あ、いえ……」

美優「ちょ、ちょっと楓さん……」

みく「デレデレすんにゃ!!」ドガッ!!

P「いってっ!? け、蹴るなよ……」

泉「はあ……もう、とりあえず分かりました。ニューウェーブは重粒子圧縮加速は搭載しているけど、宙域用輸送艦だから単独での大気圏突破は出来ないわ」

泉「これから軍の打ち上げ施設に向かって宇宙に上がります。今日打ち上げ予定の地上からの防衛部隊の編成に入ってムーンを通過し、火星圏まで向かうことになっているわ」

泉「火星圏から先……木星圏に入れば戦闘になる可能性は十分にあるし、以降は軍からの指示を待つことになるからひとまずは火星圏に戻ることが第一ね」

楓「わかりました。それまでには艦システムについても一通り抑えておきますね」

泉「よろしくお願いします」

晶葉「さて、それじゃ解散するか。搬入したOMDXのチェックもあるし、奈緒たちも手伝ってくれよ」

……
…………

346 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/01(月) 20:35:33.96 ID:KwRklWbB0
もうちょっと進めようかと思ったけど区切りが良いのでここまでで。5分割くらい?
次回は7/7(日)予定です。
347 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:38:57.22 ID:o0zKFXeC0
――地球圏宙域、低軌道上、ニューウェーブ(ブリッジ)

楓「防衛部隊、全て宙域に上がったみたいです。進行確認、予定通りステーションへの立ち寄り後にムーンへ向かいます」

泉「主力艦のマーハね。投入数も多くて打ち上げも時間が掛かったけど」

P「ナシヤマにいたときはマーハを見る機会はほとんど無かったけど、こうして見ると壮観だな」

楓「自国領土防衛の為ではありますけど、これだけ大規模な遠征は過去にも無いかもしれませんね」カタカタカタッ!

ピピピッ!

泉「それにしても、地上から上がるときも連合の妨害が無かったのは幸いね。こっちの進行もスムーズだし」

美優「アラスカでの連合のオペレーションの失敗、横浜への侵攻も連邦と共に失敗してから、連合の艦隊が一足早く宇宙に上がっていきましたから……」

P「……想定内の部分もあったか、だな」

楓「どうでしょうね。連邦側の各地の打ち上げ施設も、連合の妨害により戦闘に発展したケースはそれほど多くありませんでしたし」カタカタカタッ!!

ピピッ!

泉「地図でも見ても、地域的に三国が入り組んでいるEU側は戦闘による妨害が多いとして……他はそれなりかしら」

楓「オカシズ程規模の大きい戦闘にはなっていないみたいですけど、ハマヨコの件もありますし悩ましいですね」


……
…………

348 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:39:23.73 ID:o0zKFXeC0
――ニューウェーブ(格納庫)

晶葉「シミュレーター、次に移るぞ。データ更新……」ピッ、ピッ



麗奈「はあ? 悪意を感じる?」

奈緒「ああ……いや、戦争なんだからそりゃ悪意なんてあるだろって思うんだけど……」

麗奈(……)

奈緒「なんか、こう、違うんだ。ニューヨークに行ったときや、横浜で戦闘したときともっと別の……なんていうのかな」

麗奈「……そうね。連合が杖欲しさにアラスカに仕掛けたなら撤退も早い、靴を破壊しに来たにしても連邦と鉢合わせしたとはいえこっちも早い……となると、本命があるんでしょ」

奈緒「それは、戦闘が続いているオカシズなのか?」

麗奈「んなわけないでしょ。そっちは連邦が攻めてるほうだし、ハマヨコについても連邦が侵攻の拠点にしているだけだから関係ないとして」

奈緒「連邦としては土星圏の連合本部があるホクドウかもしれないけど……だとすると連合は……」

麗奈「裏でコソコソと杖や靴を嗅ぎ回ってからの開戦となると、やっぱり目的はその2つであることには間違いない、とすれば……攻め方を変えてくるだけよ」スッ

ピピッ!

奈緒「ん、宙域マップ? これは……」

349 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:40:03.32 ID:o0zKFXeC0
麗奈「少し前に木星圏の観測班から回ってきたものよ。NEX-USが引っこ抜いてきたデータも一緒だけど、まだ公式に出回っていないからオフレコよ」

奈緒「時間経過の内容はぶつ切りになっているけど……これ、廃棄コロニーか……? もしかして……」

麗奈「通信妨害やら色々仕掛けられていたけど、恐らく当たりよ。連合は落とすつもりよ、廃棄コロニーになったシマトクを」

奈緒「そんな……でも、このルートじゃ木星圏のチューブ群にぶつかるだけだろ? いや、チューブ群にぶつかったらオカシズやハマヨコだけじゃない、ガーワカナやナシヤマ、他のコロニーも……」

麗奈「これはただの切欠にするだけよ。木星圏のコロニー1基動かしただけで地球まで落とせるわけないとしても……1つ落としたら、もう止まらないでしょ」

麗奈「国際連合が分裂する前までに開発されて放棄されたコロニーが月軌道前後にいくらでもあるし、先に木星圏をやるのは、連邦の土星圏へのインフラを断つ為よ」

奈緒「そんな……そんなことしたら、杖や靴どころの話じゃなくなる……なんで、こんなこと……」

麗奈「だからバカしかいないのよこの世界は。救えないバカの集まり……ホント、あそこと随分違うんだから」

奈緒「そんな……」

麗奈「シミュレーターで遊んでるバカたちにはまだ黙っておきなさい。どうせそのうち分かるんだし」

奈緒「でも……」

麗奈「今話しても仕方ないでしょう……ほら、アンタもシミュレーターさっさと入りなさい。レイナサマも入ってやるから」

……
…………

350 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:41:03.05 ID:o0zKFXeC0
――数時間後、共和国低軌道ステーション、ニューウェーブ(Pの部屋)

P「……」ピッ、ピッ、ピッ

P(ここから加速して高軌道ステーション、ムーンを越えて火星圏か……)


『自国防衛の目的で連邦と連合間の戦闘に介入するという点については、国際条約の点においても問題があるということで各コロニーの防衛に留まっているのが現状とのことです』

『ですがハマヨコが連邦に制圧されてしまった状況でそれは……艦隊の派遣が開始されたばかりで、まだ木星圏に到着するまではかなりの時間を必要としますし……』


P(火星圏を越えたら木星圏に駐在する防衛部隊とハマヨコを奪還するのか、それとも……)

P「……よし」ピッ、ピッ


ピピピッ!


P「はい」

みく『Pチャン? もうすぐで機体整備始めるけど格納庫来ないの?』

P「ああゴメン、別件で作業していたんだ。いま行くよ」

みく『もー……みんな待ってるから早く来てよね』


……
…………

351 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:42:10.80 ID:o0zKFXeC0
――ニューウェーブ(格納庫)

晶葉「フラガラッハの改修もすべて完了してアンサラーに移行出来たからな。横浜にいたときからシミュレーターは回してくれていたが、どこかのタイミングで試験飛行しておいてくれよ」

輝子「い、移動中にあるか……?」

晶葉「ムーンはほぼ素通りするみたいだし、火星圏で再補給するタイミング当たりか、もしくは移動中に済ませるかだな。装備も中遠距離の物に統一したから連携も確認してくれよ」

有香「イーリアスUみたい近接装備の増設はしなかったんですか?」

晶葉「最低限のビームブレイドは積んでるけど機体コンセプト的にな……ワイルドキャットも仕様変えて中距離装備を多めに積んでしまったし」

奈緒「前に出るのはクラウソラスとイーリアスだからな。元々はキャットウォーカーの時点で指揮官機にするつもりだったんだっけか」

晶葉「頭部の大型センサーやNEX-USの受信領域拡大機能も中遠距離で動いてもらう為に付けたんだがなぁ……まあみくが乗ったから仕方がないといえば仕方がないが」

みく「ちょっと! なんかみくのこと悪者にしてない!?」

晶葉「してないしてない。

有香「機体運用の話をしていただけですよ」

輝子「ま……私たちが盗んだからみくが大変なことになったんだよなって話だ……」

みく「もう……」

352 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:42:38.83 ID:o0zKFXeC0

アーニャ「プロデューサー……クラウソラスの改修も終わりました、ヒューリーの試験飛行するときに、ドッキングの確認もしますか?」

P「やっておくか。シミュレーター回したとはいえ、実戦でいきなりは難しいだろうし」カタカタカタッ!

アーニャ「……」

P「直線の加速は奈緒が乗るネオジオといい勝負できるレベルか……ドッキングした場合のことも考えると、あまり消耗する装備を使うのも……」カタカタカタッ!

アーニャ「プロデューサー」

P「ん、どうした?」

アーニャ「アーニャは……きっと、大丈夫です。有香も、輝子も、奈緒も……だけど、いざというときは、みくのことは、お願いします」

P「……皆と違って、みくは元々民間人だからな。それを言ったら俺もだけど……ああ、大丈夫だよ」

アーニャ「はい。アーニャも、安心できます」

P「でも、俺は同じくらい皆のことが大事だ。俺は、皆といたいから」

アーニャ「……」

P「だから戦うことに決めた。俺も、みくも……多分、皆と同じだ……よし、調整はこんなもんだな」ピッ!


P「よし皆、作業終わったか?」

奈緒「ん?」

輝子「ど、どうした?」

有香「機体の改修内容も確認しましたし、設定も一通りは……何かありましたか?」

P「地上から上がって休憩も無しだったから、明日会議室に集まってくれ」

みく「明日? 何かあるの?」

P「ステーションからはしばらく移動だけだし、泉から場所を借りる話もしているから、全員10時に来てくれ」

アーニャ「ミーティング、ですか?」

P「いや、アレだよアレ。期限過ぎたけど、向こうも今回の開戦で一時的に運営停止していたみたいだったし」

みく「……あっ!」

……
…………

353 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:44:59.27 ID:o0zKFXeC0
――翌日、NEX-US、ムーン・フィフス、ネットワーク内、セントラルタワー(ステージ上)



『こちらのブースからM01に合わせて各企業が出展した新型モービルの展示になります』

『モービルを彩るスタントガールにはNEX-US所属のアイドルを始め、企業アイドルも多数参加しています!』



キャット「にゃにゃ〜っ! こちらはミナセの新型、ガルーンシリーズのUU014-ガルーンになるにゃ!」

キャット「小柄なボディはそのまま、加速性の向上を始め改良ポイントが多くてUU-008以上のモンスターマシンに変貌しているにゃ!」

キノコ「おいおいおいおい……! 化け物勝負ならこっちも負けてないぜええええええ!!!!」

キノコ「オート・クレールの新車、OCMX-125!! フレームの再設計で車体の状況によってフレキシブルに走行に最適なフォルムを保つこの機能!」

キノコ「そんなチビのマシンなんて足元にも及ばねえぜええええええ!!!!」

キャット「ぐぬぬぬぬぬ……そこまでいうにゃら、勝負!!」


『あーっとアイドル同士の乱闘が始まったぞ! これはバーチャルレースに発展するかー!?』


セカンド「アドリブでよくやるな……」

雪妖精「次のブース開放まで、アレでもたせるんでしょうか……?」
354 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:45:49.08 ID:o0zKFXeC0
ツインテ「レースパフォーマンスの前ですよまだ……」

P「どっかでストップ掛けたほうがいいんだろうかあれ」

セカンド「他に来てるアイドルも混ざってきているし……まあ、いいんじゃないか、あれで」

ツインテ「それにしてもプロデューサー、よく今回のお仕事実施できましたよね。開戦でイベントが中止になったところも多かったはずですけど」

P「ん? ああ、前に話したギチトーの仕事は中止になったけど、こっちは延期って話だったからな」

雪妖精「この前、事務所でお話頂いたお仕事でしたし、予定していた期間も過ぎていたので中止になったと思ってました」

セカンド「1週間後って話だったからな。もうだいぶ過ぎてるけど」

P「ムーンまで戦闘の影響が出ないなら実施ってことだったらしいし、俺たちもギリギリ都合付けれたからな。こういう時にって気はするけど」

ツインテ「いえ、あたしたちのお仕事でもありましたし……こういう時ですから、久しぶりにお仕事が出来て良かったです」

雪妖精「ふふっ、キャットもキノコも、楽しそうにしています」

P「いい話もあまりなかったしな。こういうことが出来るうちは、やっておきたいと思っていたし」

ツインテ「そうですね……っと、そろそろ次のブースを開けるタイムスケジュールですね。それではプロデューサー」

セカンド「あたしたちも仕事だ。あそこの2人よりは大人しくしてようか」

雪妖精「盛り上げるのは、パフォーマンスの時……ですね」

P「おう、お前たちも頑張って来いよ」

……
…………

355 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:46:41.90 ID:o0zKFXeC0
――同時刻、ニューウェーブ(ブリッジ)

楓「あの子たち、お仕事ですか?」

泉「NEX-USでアイドルやっているのよ。みくは知っていたけど、他の4人もっていうのは最初は驚いたけど……今は自動航行中ですし、許可は出しましたから」ピッ、ピッ

美優「大変、ですね……こんな時に……」

麗奈「こんな時だから、楽しめるなら楽しませておけばいいのよ。木星圏に着いたらどうあっても戦闘なんだし、コロニーの話だってあるんだから」

美優「そう……ですね……シマトク、どうするんでしょうか……」

楓「破砕作業をすることになるんでしょうけど、戦闘の状況と併せてどうなるかですよね。オカシズからは離れていますし」

泉「軍からの展開、明日ですよね? みくたち、大丈夫かしら……」

麗奈「なるようにしかならないわよ。腹括ってもらってやるしかないし、それはアンタたちだって一緒でしょ」

泉「そうね……私はナシヤマがコロニーの衝突ルートに入っているのを見て、もう決心するしかなかったけれど」

楓「私たちはお仕事ですからね。まあハマヨコの奪還も破砕作業も、仕事こなせなかったら多分死んじゃいますし」

美優「そ、そんな明るく暗いことを言われても……」

麗奈「そんなもんでしょ。楓くらいの能天気さが一番いいわよ」

楓「え……私、能天気……?」

美優「そ、それは・……その、ええと……」


……
…………

356 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:47:15.67 ID:o0zKFXeC0
――ニューウェーブ(会議室)


『接続を終了しました。端末を外し、体調が優れない場合はメンタルチェックオプションを実施してください』



みく「……ん、んんんん……終わったぁ」ピッ!

有香「ふう……良いお仕事でした」ピッ!

輝子「……な、なんだか……変な感じだな」

奈緒「何がだ?」

輝子「いや……NEX-USでみんなと仕事した後に、接続切ってからみんなの顔見るの」

アーニャ「……今までは、表で会ってからお仕事をするなんて、していませんでしたからね」

みく「んー、まあ表で会うメンバー同士じゃなかったし、他にそういうことやってるユニットとかにも入ってなかったもん」

ピッ!

P「……っと、終わったか。全員接続切ったか?」

みく「うん、みんな戻ってきたよ」

アーニャ「プロデューサーも一緒にいると、余計にそう思いますね」

P「何の話だ?」

357 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:47:50.68 ID:o0zKFXeC0
奈緒「NEX-USで会った後に表でも顔合わせるのが不思議って話だよ」

P「そういえばそうか。表で会うメンバーじゃなかったしなぁ。どうせ表でも話聞けるからいいかと思っていたけど、今回の仕事はどうだった?」

みく「ひっさし振りだから楽しかったにゃ!」

輝子「久し振りのわりには……け、結構デカかったけどな……」

有香「企業参加がメインのイベントでしたから少し緊張しましたけど、キャットとキノコの2人が盛り上げてくれたのであたしたちもいい流れに乗れましたね」

奈緒「まあ、上手くできたと思うよ。一般公開用のイベントに出れないのは残念だなって思ったけど」

アーニャ「いつものNEX-USのお仕事と同じで、とっても賑やかでした。表で、戦争が始まっていると思えないくらい……」

輝子「……」

有香「……」

奈緒「……」

P「そう、だな……いつもと変わらなかった」

みく「……えいっ! ネコパンチ!」

アーニャ「あぅっ……な、なんですかみく……」

みく「ネコパンチネコパンチ……って、NEX-USがイイ場所なんてずっとそうだったでしょ。だからみくたちも戦っていた最中でもあそこに来ていたんだし」

みく「もしこのまま戦争が続いたら、NEX-USも楽しい場所じゃなくなるかもしれないし、NEX-USが無くなるかもしれない」

みく「どうやったら戦争が終わるのかとか、ハマヨコを取り返したあとはどうなるのかとか、みくは良く分かんないけど……」

みく「でも、今がダメだってことだけは分かるから、戦わないとって決めたんだから……Pチャンも、そうでしょ?」

P「……ああ。ここにいるっていうことは、皆同じ気持ちだ」

奈緒「……」

……
…………

358 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:48:29.77 ID:o0zKFXeC0
――木星圏宙域コロニー『ノナガ』(港)

「シマトクへの派遣部隊も次で最後です。オカシズの迎撃艦隊も一部移動準備は済ませている状態ですね」

ちひろ「こういう時にNEX-USが煩わしい……共和国には嗅ぎ回られていたみたいなので、あまり時間もないでしょうね。コロニーの移動ルートは?」

「最新版はこちらになります。移動ルートと衝突ポイントから、破片による被害がこちらのコロニーに出ないようには考慮していますが……」

ちひろ「まあ共和国も妨害に来るとして、連邦も同じ対応をしてくるでしょう。地上と火星圏からの来る共和国の防衛艦隊がこちらに到着する時期を考えると、あまり猶予はないでしょうけどね」

「木星圏の防衛部隊が出てくることは?」

ちひろ「それはないです。こちらの誘導で戦闘宙域の区画も広がっていますし、共和国としてはまずコロニーの防衛が最優先でしょう」

ちひろ「NEX-USから情報が抜かれてから1週間程経過していますし、今日まで木星圏の動きが鈍いところを見ると方針に困っているのか……」

ガコンッ!!


「千川少佐! ディーレの積み込みが完了しました!」

ちひろ「あら、ご苦労様です。移動中にでも試験飛行はしておきます」

「お願いします。無線誘導砲塔の導入も出来ましたし、かなりいい状態に仕上がっているみたいですよ」

ちひろ「共和国から手に入れたフレーム技術のおかげですね。あの部隊もそれくらいは役に立ったけど……分かりました、新規格ということですしそちらについても確認しておきます」

ちひろ「さて……こちらも急いで行動しないと、シマトクを落とすなら落とすで、やるしかありませんね」

……
…………

359 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:49:59.53 ID:o0zKFXeC0
――火星圏宙域、ニューウェーブ(休憩所)


『木星圏宙域で発生している戦闘による被害がチューブ区の他コロニーにも広がっている現状ですと、やはり共和国も直接戦闘に参加せざるを得なくなるのではないかと……』

『自国防衛の目的で連邦と連合間の戦闘に介入するという点についてはやはり難しく、国際条約の点においても問題があるということで各コロニーの防衛に留まっているのが現状とのことです』

『ですがハマヨコが連邦に制圧されてしまった状況でそれは……艦隊も木星圏へと向かっているようですが、現状の木星圏の防衛戦力と併せてハマヨコをどう奪還するのかも気になりますが』


有香「オカシズ付近の戦闘も再開されたようですし、他コロニーの被害も気になりますね」

奈緒「さすがに区画内は3国のコロニーが入っているから全部が全部、戦闘宙域になることは無いだろうけど、どうなるんだろうか」

加蓮『連邦の初動から今日までの戦闘宙域の拡大状況はこんな感じだけど』

ピピッ!

アーニャ「4区まで広がっているんですね……連合の防衛艦隊も出撃したみたいですし、艦隊戦による被害も出始めています」

奈緒「共和国のコロニーへの被害がハマヨコだけで収まっているのは気にされているのか、どうなんだろうな」

加蓮『連邦の初動から今日までの戦闘宙域の拡大状況はこんな感じだけど』

ピピッ!

みく「でもこれだと、そのうちナシヤマにも被害が出るにゃ……避難とか、しないのかなぁ」

有香「難しいでしょうね……ブロックシェルターに逃げるとして、戦闘宙域が拡大しているのであればどこにシェルターを飛ばすかという話にもなりますし」

輝子「シェルター飛ばすのも、い、今のうちだとは思うけどな……」

アーニャ「火星圏に入って、宙域の艦隊と合流してから木星圏へ向かうとなると1週間以上は掛かります……木星圏の防衛部隊をどう使うつもりなんでしょうか……」

ピピピッ!

奈緒「ん、加蓮ちょっと端末切るぞ。どうした?」ピッ!

晶葉『5人揃っているか? すまんがブリッジに来てくれ』


……
…………

360 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:56:28.74 ID:o0zKFXeC0
――ニューウェーブ(ブリッジ)

輝子「え……」

有香「そんな……シマトク、が……」

晶葉「NEX-USが採取した情報と、観測班からの報告と併せても事実だ。加蓮、スクリーンに出してくれ」

加蓮『ちょっと待ってて』ピピッ!

奈緒「……」


P「シマトクと、木星圏宙域図か」

晶葉「廃棄コロニーであるシマトクの軌道ルートはこれだ。通常はこの状態となっているが……」ピッ!

晶葉「ここ最近、通常ではありえない軌道でシマトクが移動している。まだ距離はあるが、この状態が続くと遅かれ早かれ木星圏のチューブ区画と衝突する」

麗奈「ルート上の移動速度から見ても、連合の奴らがシマトクを弄ってあえて移動させているしかないでしょうね」

楓「綺麗にスーッと移動してますね。これ、どうなるんでしょうか?」

美優「移動ルート上のコロニー群と衝突の角度から……主に被害が大きいのは連邦のコロニー群ですね。衝突によるコロニーの破片の飛散によって出る被害もあります」カタカタカタッ

アーニャ「連邦の地上部隊を戦闘で消耗させてからの動き……ここまで想定していたのでしょうか」

加蓮『廃棄コロニーの情報自体は、NEX-USで採取できる範囲外だった』

加蓮『連邦側のデータを探って、今回のオペレーション情報を辿って行ったらシマトクの情報と宙域上の移動ルートをデータが見つかって……』

泉「だから、観測班に調査させてみたら……ってことね」

361 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:57:08.42 ID:o0zKFXeC0
晶葉「戦争とはいっても、やり合っているだけなら共和国が介入することでまだ解決の余地はあったかもしれないが、こうなるとどうだろうな」

奈緒「コロニーを使って、しかもこのやり方なら民間人の被害だって……戦争って、こんななのか?」

麗奈「逸脱した行動まで取り始めると、もうこっちとしてはお手上げよ。目が覚めるまで待つか、ぶん殴って目を覚まさせることができるならそれでいいんだけど」

楓「そこはこちらの今後の対応次第というか、シマトクの破砕作業も出てくると思いますし……あとは連邦と連合の戦闘がどうなるかですね」

みく「そんな……こんなの、こんなことやろうとするなんて、頭おかしいよ!」

P「……おかしいから、戦争なんてやってるってことか」

泉「そう、かもしれないわね……」

有香「違います!!」

P「有香……」

有香「連合は……あたしたちは、オカシズの被害があったから……ゆかりちゃんも、法子ちゃんも、みんな、死んで……だから、もうそうならないように、あたしたちが、これ以上奪われたくないから……!」

輝子「墓参りだって偉いさんが年1でやってたんだぜ……と、とんでもないぜ……これ……」

麗奈「……上の連中が決めていたことなら、アンタたちが知らないのも当然よ。アタシは連合のことなんて知らないけど、普通はアンタみたいに思うでしょう」

有香「……」

晶葉「とりあえず、もう少しで火星圏の防衛部隊と合流する。今後の対応方針については間違いなく変更になるが、それも木星圏へ向かう間にどうなるか……ウチも対応が変わってくるだろうからそのつもりでいてくれ」

P「……」

……
…………

362 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:57:55.22 ID:o0zKFXeC0
次回は7/14(月)か7/16(火)予定です。
363 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/07/08(月) 03:58:49.10 ID:o0zKFXeC0
>>362
7/14(月)→7/14(日)
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