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【ミリマス】幸福至上主義者達のサンドウィッチ
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46 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2019/04/27(土) 02:57:13.58 ID:HvshuUb/0
とはいえ――私が美也たちと会場を抜け出してから暫く。
彼女から話を訊いた限り、どうやら突如として主役の消えた宴も時間と共にお開きを迎え、
今となっては参加者達も三々五々の体で家路についてしまったと言う。
「まぁ、いつもの自然な流れですね」
「そう、貴方達を除いていつもの流れですわ。……ただお陰で苦労もしましたのよ?」
苦労だって? 私は思わず声をひそめた。
「まさか寝ている彼女らを起こさないよう、気を遣って部屋の人払いを?」
しかし、彼女はきょとんと小首を傾げると。
47 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2019/04/27(土) 02:58:23.07 ID:HvshuUb/0
「いいえ、不思議とそういう苦労は何も。
ただ運転できる人間の都合上、あずさの車に乗ることになった気の毒な子達が何人か。
――それもこれも、貴方にわたくし専属の運転手である自覚が足りないせいですわ」
「でも自覚って……今日みたいな突然の都合だってあるんですから、わざわざ責められるようなことじゃありませんよ!」
「なら事前に一声掛けて下さいまし。わたくしだけでは電車に乗れないこともお知りでしょう?」
「それは貴女が勝手に決めた事じゃありませんか!」
「当然です、セレブは電車に乗りませんわ! の、乗り方だって知りませんもの!」
「だからそれは最初に忠告もした――やっぱり無理が出ますよこんな風に!」
「む、無理が出るだなんて……!? プロデューサー?
今更そんなこと仰っても、そもそもわたくしは貴方の言葉を信じたから――」
48 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2019/04/27(土) 03:00:12.80 ID:HvshuUb/0
だが次の瞬間、私達の言い争う声で眠っている桃子が寝返りを打った。
それなりに騒がしくしていたのだ。
当然と言えば当然だが、突然の出来事に私達は同時に息をのんで――ジッと静かにしているうち、
また何事も無かったように寝息が聞こえてきた所でようやく安堵の息を吐く。
「……全く、分かりましたわプロデューサー。そこまで言うならこの話は、また時間を作ってゆっくりと」
「いえ、こっちこそつい、熱くなって。……すみません。なるべく早く都合をつけますから」
ところが、謝りながら頭を掻く俺を彼女はジトッとした目つきで見据え。
「……なら最後に老婆心ながら言いますけれど、
謝れば何でも許されると思うのは大間違い。わたくし、約束の守れない人は嫌いでしてよ?」
――随分な言われようである。
とはいえ、私に短い文句を言った事で腹の虫もおさめたのだろう。
彼女は未だに眠り続ける二人の方に視線を移し、
不意に優しい笑みを浮かべると布団の傍へとしゃがみ込んだ。
49 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2019/04/27(土) 03:01:20.62 ID:HvshuUb/0
「ちょっと、どうかしたんですか?」
「シー……もう少しお静かに」
そうして起こさなくてはいけないのに、寝返りで捲れた布団を
掛け直してしまうのは彼女に染みついた育ちの良さだろうか?
今度は参ったな、といった気持ちでポリポリ頭を掻いたところ。
「……こうして寝顔が並んでいると、まるで仲のいい姉妹のようですわね」
同意を求める彼女の視線。
私は「そうですね」と小さく頷いて――だが、すぐに考えを少々改めると。
「いや、それよりはもう少し離れた関わり方、家族と親戚の間ぐらいじゃないですかね?」
「それはまた、どうしてそう思うんですの?」彼女が不思議そうに訊き返す。
50 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2019/04/27(土) 03:05:09.28 ID:HvshuUb/0
「だって、その位が丁度良さそうじゃありませんか。
自分が思っていたよりも、相手の事を知ってるようで知らない位置……
だからこそ分かり合おうって努力をする。
お互いのテリトリーを譲ったり確かめ合ったりする。
……そうしてそういう事の積み重ねが、結束という大きな力に育っていくんじゃないかなって」
そうだ。その結果の一つとも言えるのが、今日二人が見せているこの寝顔――
不安なんて一欠けらも持っていないような、安心しきった表情になるのではないだろうか?
……そうしてそんな風に思った事を私が伝えると、
話を訊いた彼女はなるほどと頷く代わりに優しい笑顔でこう答えた。
「プロデューサー。今のポエムはいつもより良かったと思いますわ」
51 :
◆Xz5sQ/W/66
[saga]:2019/04/27(土) 03:06:46.22 ID:HvshuUb/0
===
以上おしまい。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
52 :
◆NdBxVzEDf6
[sage]:2019/04/27(土) 08:21:28.41 ID:wW5FgmZ30
2人ともかわいかった、乙です
>>1
宮尾美也(17) Vi/An
http://i.imgur.com/brsqSHM.png
http://i.imgur.com/J6osoky.png
>>12
周防桃子(11) Vi/Fa
http://i.imgur.com/PJz1M2r.jpg
http://i.imgur.com/TcDHeAk.jpg
>>45
二階堂千鶴(21) Vi/Fa
http://i.imgur.com/X7vuKaj.jpg
http://i.imgur.com/uyFzxTN.jpg
53 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/04/28(日) 02:58:37.47 ID:377lTIsL0
すばらっ!
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