北条加蓮「藍子と」高森藍子「隣り合う日のカフェで」

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1 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:31:05.18 ID:irAQ5uqA0
レンアイカフェテラスシリーズ第67話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

〜中略〜

・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「新年のカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「雑貨カフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「暖房の効いたカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「3月下旬のカフェで」

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:31:46.97 ID:irAQ5uqA0
――にぎやかなカフェ――

<ワイワイ
<ガヤガヤ
<ワイワイ
<ガヤガヤ

高森藍子「百貨店のカフェと言っても、けっこう賑やかな場所なんですね」

北条加蓮「でしょ? 私も最初は、百貨店って大人の行く場所ってずっと思ってたんだけどさ」

藍子「私たちと同じくらいの方達ばかりですね。あっ、あっち。見てください。制服姿の女の子がっ。部活帰りとかかな……?」

加蓮「こら藍子。ジロジロ見てたら失礼でしょ?」

藍子「あっ……。ごめんなさいっ」チラチラ

加蓮「ちらちら見たらいいって物でもないでしょ……」

藍子「つ、つい癖で……。最近、いつもじゃないカフェに来る時は、こうして周りを見渡すようにしているんです」

加蓮「それってコラム?」

藍子「はい。いつも、書くのに苦労しちゃって……。ちょっとでも多くのネタを集めなきゃっ」
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:32:16.93 ID:irAQ5uqA0
藍子「それに、コラムを書き始めてから……コラムとは関係なくても、このカフェをどんな方々が利用していて、どんな表情なのかな? って、気になっちゃうようになって」

藍子「……い、いつもはほんの少し、横目でちょこっと見るだけですよ? じ〜っ、とは見ていませんよ?」

加蓮「そっか。しょうがないなー、それなら見てよろしい」

藍子「ありがとうございます、加蓮ちゃんっ」

加蓮「どうしてもじーっと見たくなった時には」

藍子「時には?」

加蓮「スマフォの自撮りモードでも使ってアンタのアホ顔でも眺めてなさい」

藍子「え〜。そこは、加蓮ちゃんを見ていいよ、ってお話じゃないんですか?」

加蓮「えー……。んー……。じゃあ、どうしても我慢できなくなったら、かな」

藍子「は〜いっ」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:32:46.56 ID:irAQ5uqA0
藍子「この百貨店のことは、テレビのコマーシャルや特集でよく見ていましたけれど、1階の入り口に、こんな場所があるなんて。知りませんでした」

加蓮「あれ、藍子ならリサーチしてたと思ってたんだけど」

藍子「この辺は、あんまりお散歩で来る場所でもないから……。加蓮ちゃん、よく知っていましたね」

加蓮「私も立派なカフェアイドルですから? リサーチは欠かさないわよ」

藍子「そうですか……。ふふっ♪」

加蓮「む。何がおかしいのよ。どうせ"そんなこと言ってもあなたは私より格下です!"とか思ってるんでしょ」

藍子「えええ!? 思ってませんよそんなことっ」

加蓮「どうせ夜な夜な私のことを思い出して鼻で嗤ってるんでしょ」

藍子「たまに思い出しますけど普通に笑ってるだけです! そうじゃなくて……」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:33:16.74 ID:irAQ5uqA0
藍子「自分の好きなものを、周りの人から勧めてもらうのって、なんだか嬉しくなりませんか?」

加蓮「あー。分かる。新作のネイルの話とか美味しいポテトのお店とか、教えてもらうとなんか嬉しくなっちゃうかな」

藍子「ねっ? ……ところで、いつも……ちょっぴりだけですよ? ちょっぴりだけ、思っちゃうんですけれど……。すごい組み合わせですよね」

加蓮「ネイルとポテト。入院患者の必須アイテムだよね」

藍子「そうなんですか?」

加蓮「甘いよ藍子。そんなんじゃ院長を倒すことはできないよ?」

藍子「えぇ……。倒しちゃうんですか?」

加蓮「ラスボス。さて、何か注文しよっか」

藍子「メニューは……」パラパラ
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:33:46.51 ID:irAQ5uqA0
藍子「スイーツのメニューが豊富なんですね。あっ、これ見たことあるっ」

加蓮「私も見せてー」

藍子「はい、どうぞ」スツ

加蓮「フルーツサンドイッチにクルミのキャラメル……。見て藍子、スイーツボールなんてのもあるよ。ほら」スッ

藍子「ひとくちサイズの、食べやすいお菓子ですよね。カロリーは控えめで、でもお腹がいっぱいになって」

加蓮「うわ、藍子が詳しい」

藍子「うわ、ってなにですかっ」

加蓮「いやその……。連れてきたのはいいけどさ。なんかこう……」キョロキョロ

加蓮「……緊張しない?」

藍子「そんなには……?」

加蓮「えー。私だけ?」

藍子「色々な場所に行ったからでしょうか。慣れちゃった感じが……」

加蓮「あぁ藍子はそうだったね……。微妙に羨ましい」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:34:16.82 ID:irAQ5uqA0
藍子「おしゃれなメニューが並ぶ場所でも、身構えることなんてないと思いますよ」

藍子「ほら、加蓮ちゃんだって、おしゃれなアイドルじゃないですか」

藍子「気後れしちゃうなら……いっそ、ここは自分の場所だ〜、なんて言い張ってみるのはどうでしょうっ」

加蓮「なるほど……。ここは私の居場所だ!」

加蓮「……」

加蓮「……ごめんいつものカフェの方が落ち着く」グデー

藍子「あはは……。ほら、加蓮ちゃん。注文を決めましょ?」

加蓮「そだね。さっきからちらほら見られてるみたいだし」オキアガル
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:34:46.84 ID:irAQ5uqA0
藍子「へ? でも、店員のみなさんは、忙しそうにあっちこっちを歩き回ってて……。誰か、見てましたか?」

加蓮「あれ……」チラ

加蓮「……?」

藍子「もしかして、加蓮ちゃんがアイドルだってバレちゃったのかも……?」

加蓮「最低限変装してるし、メガネ魔人から借りたメガネもあるから大丈夫でしょ」スチャッ

藍子「呼び名がパワーアップしてる……!?」

加蓮「だからその場の全員を差し置いて新人の、それもホントに来たばっかりの双子ちゃんにまで第一声で"メガネはどうですか?"ってどうなのよ……。何のセールスなの?」

藍子「加蓮ちゃん。メガネではなく、眼鏡だそうですよ」

加蓮「知らないわよ……」
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:35:16.70 ID:irAQ5uqA0
加蓮「……」チラ

加蓮「ん、まだ大丈夫かな。で藍子、結局何を食べたいの」

藍子「加蓮ちゃん、何かご予定があるんですか?」

加蓮「さーねー?」

藍子「む……。何か、隠していますね」ジー

加蓮「隠し事の10個や20個、標準装備でしょ?」

藍子「じ〜」

加蓮「さー注文注文。フルーツサンドイッチ、量が結構多そうだし半分にしない?」

藍子「じ〜〜」

加蓮「すみませー……じゃなかった、席のボタンを押すんだね。見て見て藍子、このボタン。桜柄になってるっ。おしゃれー」

藍子「じ〜〜〜」

加蓮「ぽちっ。……ふふっ、どしたの? 私に見惚れちゃった?」

藍子「……ふふ、降参です。今日の加蓮ちゃん、なんだか手強いですね」

加蓮「そりゃまぁ、ね?」
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:35:46.59 ID:irAQ5uqA0
加蓮「あ、店員さん――」

「ご注文はお決まり――あれ? まだ、お時間じゃ……」

加蓮「まだだよー。今はお客として注文。このフルーツサンドイッチ、1つください。それとコーヒー2つ♪」

「はい。少々お待ち下さい」

藍子「……? 加蓮ちゃん、今の方と知り合い?」

加蓮「顔は初めて見るけどね。ん〜〜〜……。うんっ。ちょっと馴染んで来たかも」

藍子「うふふっ♪ よかったですね。前の加蓮ちゃんだったら、もうちょっとそわそわしてたのに」

加蓮「藍子のゆるふわパワーが強化されたからかもね。一緒にいて落ち着くし」

藍子「私は、何もしていませんよ?」

加蓮「何言ってんの。何もしない時間の楽しさ、藍子がいっぱい教えてくれたでしょ?」

藍子「……、……えへへっ」
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:36:16.49 ID:irAQ5uqA0
<〜〜〜♪

藍子「? ピアノの音……と、優しい歌声……」

加蓮「ん。カフェのステージってヤツだよ。結構有名な歌手が来たりもするんだよ、ここ」

藍子「そうだったんですね……。もしかしたら、私たちの事務所の誰かも?」

加蓮「今日やるって告知もしてたけど、見た?」

藍子「ううん、見ていません」

加蓮「そ。よかった」

藍子「……? よかった?」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:36:46.53 ID:irAQ5uqA0
藍子「店内の空気も、急に変わりましたね。みんな、うっとりしてるっ」

加蓮「リラクゼーション的な。あ、見て藍子。あっち。くくっ……! 店員も固まっちゃってるっ」

藍子「さっきまでばたばたしていたのに、一瞬でまったりモードになっちゃいました」

加蓮「あの手に持ってるヤツ、たぶん私たちのサンドイッチだよ」

藍子「あはは……。聴き終わるまで、待ちましょうか」

加蓮「しょうがないなー」

<〜〜〜♪ 〜〜〜〜♪

藍子「……♪」

加蓮「……、」

藍子「……♪」

加蓮「……こういう時に音の出ないカメラって便利だよねー。こういう時の藍子の顔は、きっちりゲットしとかなきゃ」パシャリ
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:37:16.71 ID:irAQ5uqA0
<〜〜〜♪ ありがとうございました……!

<パチパチパチ
<パチパチパチ
<パチ...パチ...ウウッ

藍子「な、泣いちゃってる人まで……!」パチパチ

加蓮「あはは……。気持ちは分かるけど」

藍子「泣いてしまうほど、つらいことがあったのでしょうか。ちょっとだけでもいいことが起こりますようにっ……」グスン

加蓮「なんでアンタまでもらい泣きしてんの……」

……。

…………。
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:37:46.39 ID:irAQ5uqA0
「お待たせしました。ごゆっくりどうぞ――」

藍子「ありがとうございますっ」

加蓮「ありがとねー……」

藍子「……」

加蓮「……」

きらびやかなフルーツサンドイッチ <キラキラキラ...

藍子「……さっき加蓮ちゃんが緊張していた気持ち、なんだか分かった気がします」

加蓮「……これは難易度が高いねー」

藍子「加蓮ちゃんでも、ですか?」

加蓮「加蓮ちゃんでもです。こーいうのってSNSで見る物だし。実際目の前に持って来られると……ねぇ?」

藍子「私もです……。イチゴと、みかんと、レーズンかな? 3色が、美術の模様みたいになってて……食べてしまうのが、すごくもったいないです」

加蓮「真っ黒のレーズンなのにすごいマッチしてるよね。パンの匂いも、高級品って感じで……」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [saga]:2019/04/03(水) 19:38:46.76 ID:irAQ5uqA0
藍子「あ、でも、コーヒーは見慣れた色ですね。こっちを見ていると、なんだか落ち着きますっ」

加蓮「まずはこっちから行こっか。いただきます」パン

藍子「いただきますっ」パン

加蓮「ずず……」

藍子「ごくごく……」

加蓮「よし」

藍子「あ、そうだっ。せっかくだから、写真を撮らなきゃ! ええと、店員さんは……」

加蓮「あぁいいと思うよ? ここ、入り口のところに注文した物は撮影自由って書いてたし。さっきのステージとかはダメらしいけどね。いっぱい広めてほしいんだって」

藍子「そうだったんですね。では、遠慮なく! えいっ」パシャッ

加蓮「そして私はその藍子ちゃんを撮影するのでした」パシャリ

藍子「えっ……。ど、どうして私の方を撮るんですか〜」

加蓮「モバP(以下「P」)さんに売り込む」

藍子「……そ、それはやめましょ?」
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