【二次創作】ダンガンロンパ Re:MIX【オリロンパ】ch.2

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219 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:35:40.81 ID:mkp4fcdrO

【ブレインドライブ  START】



1:【犯人は、殺し終わった後どうした?】

A.食堂に向かった
B.更衣室に向かった
C.ダンスホールに残った


解:B.更衣室に向かった
瀬川「これだよ!」解!


犯人は更衣室に向かったはず……皆はデイビット君を探しているんだから、入れない女子更衣室は探さないんだ

次は、どうやって女子更衣室まで行ったのか……


2:【どうやって更衣室まで向かった?】

A.隠し扉を使った
B.廊下を歩いて扉から入った
C.ロープを張って足場にした


解:C.ロープを張って足場にした
瀬川「これだよ!」解!


廊下を歩くと、探しに来ていた皆と鉢合わせになる可能性が高い……隠し扉? そんなの考えるだけ無駄でしょ

残っているのは、窓の外……窓のサッシにロープを張って、そこを伝って足場にしたんだ

これが最後……犯人は、あの状況でどうやって窓に辿り着けたのか……


3:【犯人は窓までどうやって移動した?】

A.歩いて移動した
B.ロープに飛び移った
C.\フロート/

220 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:36:22.70 ID:mkp4fcdrO

B.ロープに飛び移った



瀬川「推理を纏めたよ!」CLEAR!

瀬川「そうだ……飛び移ったんだよ! 窓に掛けられたロープまで!」

御影「と、飛び移ったぁ!?」

スグル「確かに、それなら床を歩かないので、音は響かないでしょうけど……」

臓腑屋「それは無理でござる! どれだけの距離があると思うのでござるか!?」

臓腑屋「それを一息で飛び移るなんて、拙者でも不可能でござるよ!」

瀬川「助走をつけて……は、無理だよね。うん」

駆村「踏み台があれば何とかなるんじゃないか?」

照星「でも、そんなのあったっすか?」

竹田「鎧戸や武器は使えねえよな。なにせロープと窓は一方通行だ」

月神「女子更衣室にも、持ち運びの観点からそれらしい物はないでしょうし……」

陰陽寺「無いなら作ればいいだろう」

飛田「どうやってだね……」

月乃「……錬金術? 魔法?」

臓腑屋「拙者は忍者でも無ければ魔法使いでも、錬金術師でも無いでござるから!」

……踏み台を作る? その発言がどこか引っ掛かる

少し考えてみよう。あの場には踏み台があった前提で……!



【犯人が踏み台代わりに使ったものとは?】
 解:○○○ッ○の○体

221 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:37:28.32 ID:mkp4fcdrO

解:デイビットの死体



瀬川「これだよ!」解!

現場の様子を全て思い出す。そして、ある可能性が頭に浮かんだ

きっとこの事件は、私達の想像以上に残酷な……

瀬川「そっか……踏み台は、ずっと私達の目の前にあったんだ……」

朝日「目の前に……? 踏み台なんてどこにもぉ」

瀬川「それは事件の前は、でしょ? 事件の後には踏み台があったんだよ」

古河「いや意味がわからへんけど」

竹田「またトンチか? 嬢ちゃんも好きだな」

照星「むむむ……事件の前に無くて、事件の後にはあったものと言うと……」

月神「……まさか! デイビット君の死体を足蹴にしたと言うの!?」

臓腑屋「にゃ!? そんな事……!」

瀬川「デイビット君には引きずった跡は無かった。けど、それはあくまで外部からの跡……」

瀬川「踏み台として蹴った、微かな跡が付かない様に調整して飛んだんだ!」

駆村「何て奴だ……死体を道具にするなんて……!」

月乃「……自分が殺した人間、死者への冒涜。人間を何だと思っているの」

……口々に、臓腑屋さんへの批難が飛び交う

自分の殺したデイビット君を、まるで道具の様に扱った非道な行いは、皆には許しがたいんだろう

だから、そろそろ負けを認めて……降参してほしい

瀬川「どうかな、臓腑屋さん。まだ認めない?」

臓腑屋「…………………………まだ、まだやれる」

臓腑屋「裁判の趨勢は決してはいないのでござる」

222 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:38:23.80 ID:mkp4fcdrO

瀬川「……まだ、諦めないんだね」

……残念な事に、臓腑屋さんは認めてはくれない

寧ろ、その姿からは素人の私でも察する事の出来る濃密な殺気が露になる

隣にいる飛田君や駆村君。離れているはずの陰陽寺さんに照星さんすら、各々固く身構えている……

臓腑屋「そも、拙者ではなく陰陽寺殿が疑われたのは、デイビット殿を一撃で葬ったという事実故」

臓腑屋「すなわち、拙者では殺す事は出来ても一撃で殺す事は不可能! さすれば、犯人は陰陽寺殿であるというのは自明の理!」

臓腑屋「仮に出来たとしても、デイビット殿は凶器を持った拙者に背を向けた事になる。それも真ん中まで来た上で、逃げようとしたことになる」

臓腑屋「不自然でござろう。呼び出された事を承知で誘われた挙げ句! むざむざと犯人に近づいたのでござるからな!」

……そう。臓腑屋さんにデイビット君を一撃で殺せたのかは正直疑問だ。彼女は見た目通りのスピードタイプだし……

それに、デイビット君は凶器を持った臓腑屋さんにわざわざ近づいたの? 幾ら彫刻刀とはいえ、あのデイビット君が見逃すとは思えない

臓腑屋「考えられる可能性は一つのみ。陰陽寺殿の力で、無理矢理屈服させたのでござる」

臓腑屋「犯人は……陰陽寺殿なのでござる!」

陰陽寺「……………………」

月神「……陰陽寺さん! 本当に違うのなら、自信を持って!」

月神「私が……ついているから……っ!」

……陰陽寺さん。そして他の皆からの反論は無い。きっと、誰も犯行の手口がわからないんだ

なら、この犯行を暴くのは私にしか出来ない……。何となくそんな気がする

だから、もう退けない、止めない、死にたくない。全てを思い出し、全てを繋げ―――!

223 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:39:16.44 ID:mkp4fcdrO


        【Re:理論武装】



臓腑屋「拙者が犯人だという明確な根拠は無い!」

臓腑屋「瀬川殿の滅茶苦茶な推理に、惑わされてはならないのでござる!」



まず、全ての疑問を振り返ろう

一つ、デイビット君を一撃で殺すには?

二つ、臓腑屋さんはデイビット君にどう近づいた?

三つ、……どうして手鏡を持っていたのか?

落ち着いて、常識を捨てて考えよう。必ず何処かに解決できるポイントがあるはず……!

……ん? 『解決できるポイント』?



――――――――――――



朝日「こうやってぇ……んっ、身体を押し付けるみたいにどすってすればイけると思うなぁ」


竹田「まあ反応出来てねえとはいえ別に反則じゃあねえしなあ」


その凶器は、真上にある―――の華やかな光に当てられて幻想的な輝きを放っていた……



――――――――――――

224 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:40:06.65 ID:mkp4fcdrO

……そうか、やっとわかった

全ての疑問をいっきに解決できる、《秘密のポイント》が……!



瀬川「……滅茶苦茶なんかじゃないよ」

瀬川「臓腑屋さんにしか使えない……行けない、秘密の隠れ場所があったんだから!」


臓腑屋「バカバカしい! そんな所ある訳ない!」

臓腑屋「隠し部屋? 忍法? カラクリ? そんなものがあればとっくに使っている!」

臓腑屋「いい加減現実を見なよ! 私をどうしても犯人にしたいなら……」

臓腑屋「ちゃんとした証拠を、持ってきてみなさいよ……で、ござるよ!」


臓腑屋「【拙者しか使えない場所なんて、ある訳が無いのでござる!】」



【全ての疑問を解決できる”場所”は?】
 1:リア
 2:ン
 3:シャ
 4:デ

225 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:40:48.39 ID:mkp4fcdrO

解:シャンデリア



瀬川「さあ、これがトゥルーエンドだよ!」解!

瀬川「デイビット君の真上にあったシャンデリア。そこから臓腑屋さんは襲ったんだ!」

臓腑屋「にゃ、あっ…………!?」

御影「しゃ……シャンデリアあああ!?!?」

私の答えに一同の驚く声が響き渡る。そして臓腑屋さんの、今日一番絶望したという顔も

その反応で、この推理が正しい事が証明された。後は一気呵成に攻め立てる……!

瀬川「やっとわかったよ。どうして飛田君の手鏡を盗む必要があったのか」

瀬川「それは、デイビット君をシャンデリアの下に誘き出す為……だよね?」

古河「せや……飛田が来たんも、手鏡の事を知らせる為やったんか!」

飛田「お、オレにそんな意図は無かったッ。ただ鏡が見つからず焦っていただけだッ!」

朝日「でもぉ、鏡が大切なものならぁ遅かれ早かれ言ってたんじゃないかなぁ?」

スグル「そうか……シャンデリアの上から全体重をかければ、相当な重さになります」

竹田「落下の速度を加えりゃ倍率ドンだ。成る程、鏡を拾おうと屈み込んだ所をドスッとやったのか」

竹田「……今のは親父ギャグじゃねえぞ?」

瀬川「誰も何も言ってないから……」

226 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:41:28.01 ID:mkp4fcdrO

陰陽寺「合点がいった。そいつが何故凶器に彫刻刀を選んだのか」

月神「どういう事? 何故シャンデリアの上に潜む事と彫刻刀が関係するのかしら」

陰陽寺「わざわざダンスホールを犯行現場に選んだ以上、凶器の候補は幾らでもある」

月乃「……確かに、どれも扱いにくさはあれど自由に使えるものだった」

月神「普通なら、それらを使おうと思うわね……」

陰陽寺「それでも、彫刻刀を選ぶ理由は一つ。軽量で取り回しのしやすさを重視したんだ」

照星「そうっす! ちょっとでも重いと、身体の勘が変わっちゃうっすから!」

駆村「」

臓腑屋「しょ……証拠! 証拠は無いで……!」

瀬川「あるよ! シャンデリアはその高さの都合、頻繁に掃除する事はしないはずだよ」

瀬川「だから、シャンデリアの上に何かがいた痕跡があれば、臓腑屋さんしかいない事になるよ!」

臓腑屋「……な」

瀬川「どうなの? これでもまだ犯人は陰陽寺さんって言い切れるの!?」

瀬川「是非とも答えてみてよ。私達を納得させられるものならね!」

臓腑屋「にゃ、あ、あぁ……!」



臓腑屋「あああぁぁああぁあぁあああ……!!!」

……轟沈。絶叫とも慟哭とも取れる声で崩れ落ちる

やれやれ。どうやらもう……死ななくて済むみたいだね

瀬川「それじゃあ事件を振り返ろっか。それでもう終わらせちゃおう」

瀬川「嘘偽り一切無い、これが事件の真相だよ!」

227 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:42:26.30 ID:mkp4fcdrO
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228 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:43:11.53 ID:mkp4fcdrO

【クライマックス推理  開始】


Act.1
まず、犯人は今回のターゲット……殺す人を、デイビット君に定めたんだ
デイビット君は前回の裁判でも活躍したし、何より彼がいる限り学級裁判で勝つ事は凄く難しいからね
犯人はデイビット君と会う約束を取り付けたんだ。どうやってデイビット君を呼んだのかまでは流石に知らないけど……
だけど、それでも応じたって事は……誰かの秘密を盾にゆすったんじゃないかな?


Act.2
そして犯人はまんまとデイビット君を呼ぶ事に成功した。けど、デイビット君も馬鹿じゃない……
敢えて食堂に人を集める事で、犯行を防ごうとしたんだ。これは推理じゃなくて私の想像だけどさ
でも、犯人にとっては堪ったものじゃない。計画が大幅に狂ったんだから……
それでも犯人は事件を決行した。デイビット君がいなければ絶対に辿り着けないとタカをくくってね


Act.3
犯人は今回の凶器として彫刻刀を選んだ。これは後で説明するけど、他の凶器ではダメだったから
次に向かったのは女子更衣室。そこで、置いてある洗濯ロープと握力測定器を持っていく……前に、窓を開けたんだ
一連の行為は意味がわからないけれど……実は重要な布石だったんだ

229 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:44:16.74 ID:mkp4fcdrO

Act.4
そして、隣のダンスホールに向かったんだ。ダンスホールの窓を開けると……
片方に握力測定器を縛ったロープを、窓に向かって投げたんだ! 放り投げられたロープは更衣室の窓の中に入り……下の壁に命中した
この時に壁に凹みが出来たんだけど……そんな事は知るよしもない犯人は、もう片方、フックのついた方を真ん中のサッシに引っ掛けたんだ
そして女子更衣室に戻ると、ロープをピンと張り、固定した。これが犯人にとって一番重要なトリックだったんだ!


Act.5
全てを終えた犯人は、目標のポイント……シャンデリアの真下に、盗んでいた飛田君の手鏡を置いた
そして最後。犯人はシャンデリアの上に飛び乗り、デイビット君が来るのを息を潜めて待ったんだ……
その間に、そうとは知らない飛田君が食堂に乱入したりしてたみたいだけどね


Act.6
時が来て……デイビット君はダンスホールに来た
最初は困惑したと思うよ、呼び出されたのに、誰もいない様に見えたんだから。……見えないだけで、本当はいたんだけど
首を傾げるデイビット君は、飛田君の手鏡が落ちているのを見つける。さっき食堂まで来た飛田君の為か、それを拾おうと近づいて……
鏡を拾おうとして屈んだ瞬間、犯人はデイビット君の真上から急襲したんだ! 流石の彼もまさか思考の外から襲われるとは思わないだろうね。抵抗も出来ずに即死したんだ


Act.7
犯行を終えた犯人は、用意していた”経路”に向かったんだ
ただ、歩くと音が響いて気付かれるかもしれないから……デイビット君の死体を、踏み台代わりにしたんだ
そうすれば飛距離を稼げるし音も響かない。そして前もって張ってあったロープの上を渡って、隣の女子更衣室に戻ったんだ



常識外れの犯行、予想や思考からも大きく上回ったトリック……シャンデリアの上から殺す事、ロープの上を渡って逃げるなんて、普通じゃ出来っこない

出来るとしたら……貴女だけなんだよ! 【超高校級の家事代行】臓腑屋 凛々さん!

230 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:45:07.71 ID:mkp4fcdrO

瀬川「どう? まだ反論はある?」

臓腑屋「………………だ」

瀬川「ん? なぁに? おっきな声で言ってくれないと聞こえないなぁ〜」

臓腑屋「ま、だ……終わって、ない……」

……嘘でしょ? まさか、まだこの状況をなんとか出来ると思っているの?


そんな事は出来ないと思うけど……何だかすっごく嫌な予感がする……!




臓腑屋「学級裁判とは、議論の後の投票結果により決定される……」

ハルカ『うん、そうだよ!』


臓腑屋「そして、学級裁判に参加した生徒は必ず投票しなくてはならない……」

ヨウ『おう、そうだな』



瀬川「臓腑屋さん……何が言いたいの?」

ブツブツと何かを呟いている。けど、ここからじゃ何言ってるのかさっぱり聞き取れない……

臓腑屋「学級裁判で必ず投票しなくてはならないなら……投票そのものを無くしてしまえば……」




231 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:45:39.01 ID:mkp4fcdrO







臓腑屋「ここにいる全員を殺せば、誰にも投票される事はない……!」


瀬川・ハルカ・ヨウ『『「は?」』』







232 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:46:21.99 ID:mkp4fcdrO

竹田「伏せろっ!」

御影「えっ、何が……うわぁああっ!?」

飛田「ギャアアアアアアアア!! オレの髪がああああああああ!!!」

駆村「全員一纏まりになれ! 絶対に外れるな!」

気がついた時には、もう遅かった。姿が消えたかと思うと、あちこちで皆の悲鳴が上がる

咄嗟の事で、全員の対応が一瞬遅れた。その隙に、裁判場を縦横無尽に動き回るのは黒い影

臓腑屋凛々。クロとして暴かれた彼女が、先んじて私達を葬ろうとしている事に……!

月神「瀬川さん! 危ない!」

瀬川「えっ……うわぁああああ!!!」

目の前に、刃物を突き立てんと振りかぶる臓腑屋さん。咄嗟に近くにあった天地さんの遺影を盾にする

遺影の陰から覗く彼女の目……それは、何の感情も感じない、暗いだけの瞳……

瀬川「はぁ、はぁ、危なっ……!」

陰陽寺「どけ、僕が仕留める」

私と月神さんを押し退けて、前に陰陽寺さんが立ち塞がる

竹刀を抜き、じっと構える。……一瞬だった。上段に切り上げた竹刀は臓腑屋さんを仕留め……

瀬川「……てない?」

月神「陰陽寺さん! 上にっ!」

上。そこには刃物を握り、真下に振り落とさんとする臓腑屋さんが

陰陽寺さんも竹刀でガードしようとする。けど、間に合わない……!

月神「止めてーーーっ!!!」

233 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:46:58.95 ID:mkp4fcdrO





「……とぉりゃあああああああっ!!」

臓腑屋「……!?」

照星「やった……間に合ったっす……!」

瀬川「て、照星さん!? いや、確かに超高校級の柔道家だけどさ……」

間一髪。刃物が陰陽寺さんに突き刺さる瞬間、横から割り込んできた照星さんに投げられる

綺麗な型で投げられた臓腑屋さんは、どうして。と言いたげな表情を浮かべながら照星さんを見ている

照星「正直、どうして臓腑屋先輩が殺したのかはわかんねーっすし、それを否定していいのかも自分にはわかんねーっす」

照星「けど、もう逃げないって、自分が助けられるなら……誰かが傷つく事はさせないって!」

照星「もういない先輩に……天地先輩と吊井座先輩に……誓ったんすよ!」

キリッとした顔で、照星さんが高らかに宣言する。心なしか、私の盾にした天地さんと、向かいにある吊井座君が笑っている様な気がした

臓腑屋「後、少し……だったのにぃいいい!!!」



モノクマ「Zzz……ハッ、寝てた。何かあったみたいだけど、もう終わったみたいだし……」

ハルカ『それでは、お手元のボタンで投票してくださーい!』

ヨウ『果たして結果はどうなのか。投票結果は正解か不正解か!』

モノクマ「それでは投票結果の集計が終わりましたので、早速発表したいと思います!」

モノクマ「では、どうなんだーーーっ!!!」


234 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:48:57.97 ID:mkp4fcdrO







【投票結果】
 臓腑屋 凛々:13票
 無投票:1票









235 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/13(土) 20:50:13.93 ID:mkp4fcdrO









【 学 級 裁 判  閉 廷 】










236 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 20:58:58.25 ID:NBVOAR80O

モノクマ「え〜それでは結果を発表します」

モノクマ「今回、デイビット・クルーガークンを殺害したのは……」

モノクマ「…………あっ」

瀬川「えっ」

えっ? あっ、て何。あっ、って

心臓がバクバクと早鐘を打ち始める。額からはダラダラと嫌な汗が流れるのを感じる

嘘でしょ……嘘だって言ってよモノクマ……!

モノクマ「だ〜いせ〜いか〜い! 超高校級の家事代行。臓腑屋凛々さんなのでした〜!」

モノクマ「うぷぷ。どう? ビックリした?」

瀬川「あぁああぁぁあ〜……!」

スグル「わっ、どうしたんですか!? 気分が優れないですか?」

月神「大丈夫……? 腰が抜けたのかしら……」

瀬川「平気平気……良かったぁ……」

……本当に良かったぁ。また、あの死んだ様な感覚を味わうのは勘弁だよ。……私はね

胸を撫で下ろして、後ろに振り返る。そこには今回のクロ……臓腑屋凛々さんが、ボロ雑巾の様にうちひしがれていた

臓腑屋「…………………………」

237 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:00:05.12 ID:NBVOAR80O

月神「……どうして? どうしてこんな事を!」

月神「デイビット君だけじゃない。失敗すれば貴女も死ぬ事はわかっていたのに!」

臓腑屋「……誰も真相に辿り着けなければ、死ぬのは拙者以外の御仁でござろう」

臓腑屋「特に、中核となるであろうデイビット殿。彼の者さえいなければ裁判は成り立たない」

臓腑屋「リスクとリターンを天秤にかけ、リターンの方が大きい……そう感じただけでござる」

彼女の言葉に怒りの感情が沸々と沸き上がる。皆もきっと同じだろう。明らかに顔をしかめている

御影「くそっ! ボク達を馬鹿にしやがって!」

古河「生憎やったな! オマエの企みは、ウチらに通じひんかったちゅー事や!」

うん。実は通じていましたーなんて言えないから、この事は私の胸の中に留めておこう

そんな事より、もっと大切な事があるしね

スグル「……殺そうとした経緯はきいていません。それよりも話して欲しい事があります」

スグル「どうして、殺そうなんて思ったんですか」

静かに、スグル君が問い質す。確かな怒りを感じる声。普段のオドオドとした態度は鳴りを潜めていた

238 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:01:09.27 ID:NBVOAR80O

臓腑屋「…………………………」

それでも、臓腑屋さんは口を開かない。固く両目を閉じたまま、微動だにしなかった

陰陽寺「今更、聞くまでもないだろう」

駆村「聞くまでもない、か……そうだよな」

モノクマ「え? そうなの? 言ってみないとわからない事もあると思うよボクは」

臓腑屋「……件の動機でござる。最早隠し立ては無意味、事のあらましを話すでござるよ」

……やっぱりか。正直それしかないと思ってたけど

突っ込まれて観念したのか、臓腑屋さんはぽつぽつと事件の裏を話し始めた……

臓腑屋「まず、瀬川殿は拙者がデイビット殿を呼び出したと話したでござるな」

瀬川「うん。確かにそう言ったけど」

臓腑屋「それは、本来は違うのでござるよ。拙者がデイビット殿を呼び出したのではなく……」

臓腑屋「デイビット殿の方が、拙者を呼び出したのでござる……」

月神「……そんなっ!」

竹田「成る程なあ、合点がいったぜ。なんで坊主が俺達を振り切ってまで行ったのかがよ」

照星「自分から呼んだなら、いかない方が不自然っすよね……」

事実関係は逆だったんだ……まあ結果としてどっちが呼ぼうが関係無かったからいいけどさ

239 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:01:59.93 ID:NBVOAR80O

飛田「んっ? おかしいではないか。殺された方が呼びつける等!」

月乃「……確かに妙ではある。わざわざ自分から殺されにいくようなもの」

飛田「そうかッ! 本来はあのデイビットがコロシアイを起こそうとしたのかッ!」

古河「んなワケあるかい! デイビットがどうシャンデリアの上に登れるって言うんや!」

陰陽寺「頭を働かせられないなら黙っていろ」

飛田「ゴバァ!!」

撃沈した飛田君を尻目に、少し考えてみる。可能性は幾つかあるけれど、これは多分……

瀬川「もしかして、デイビット君が投票した相手って臓腑屋さんだったりする?」

御影「えっ、なんでそうなるのさ!?」

瀬川「だって明らかに余裕があるんだもん。自分から呼んで、それでいて臓腑屋さんが承諾する条件はこれしかない……」

臓腑屋「その通り。デイビット殿は、拙者の秘密を持っていたのでござる」

……やっぱり。自分の秘密をバラ撒かれたくなければ来いって言われたら、誰だって行くに決まってる

あれ……でもおかしいな。だって、確かにあの時……

瀬川「……何で月神さんに投票しなかったの?」

投票前、月神さんは《私に投票して》と確かに全員に言った。誰かの秘密がバレるくらいなら、自分の秘密だけでいいって……

月神「……! もしかして、二人は……!」

臓腑屋「恐らく、その推測は正しいでござる」

臓腑屋「拙者とデイビット殿は、互い互いに投票していたのでござるよ……」

240 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:02:50.23 ID:NBVOAR80O

駆村「な!? 互いに投票し合っただと!?」

竹田「そんなん通じるのか? 選挙法違反に引っ掛かりそうだけどよ」

ハルカ『それについては私達からお答えしまーす』

ハルカ『結論としては……全然アリ! だってこれ本当の選挙じゃないんだもーん!』

ヨウ『嫌いな相手に投票しろとは言ったが、別に誰でもよかったしな。それに、これが駄目だと月神の案も駄目になるぞ?』

モノクマ「重要なのは秘密の方だしね。勝手に悪口大会でもしてギスギスしたらいいなーってくらい」

朝日「最初から誰でもよかったんだぁ……」

月乃「……本当に卑劣な奴等。わざわざ嫌いな相手なんて言葉を使うなんて」

本当だよ。と月乃さんに相づちを打つ。これじゃ正直に嫌いな相手に投票した私がただのバカじゃん!

臓腑屋「拙者はデイビット殿の秘密を知り、そしてデイビット殿は逆に拙者の秘密を知った」

臓腑屋「その後は……既に、説明するまでも無いでござろう」

古河「なんやソレ……」

照星「えーっと、少し聞いていいっすか?」

照星「その、デイビット先輩と臓腑屋先輩の秘密って……なんなんすか?」

241 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:04:11.10 ID:NBVOAR80O

月神「照星さん。それは……」

照星「すみません……流石に軽率だったっすね……」

臓腑屋「否。拙者の動機を知りたいと言うのならば言うのが道理」

臓腑屋「これが、デイビット殿の秘密でござる」

いやにテキパキと答え、電子生徒手帳を起動させる

手に持った電子手帳に、鮮明に映っていたのは……

『デイビット・クルーガークンは、父の部下の失態を公表した事で辞職に追いやっている』

駆村「これは……」

臓腑屋「詳しくは教えてはくれなかったでござる。しかし、事実である事は確認済み故」

月神「あのデイビット君が……? 彼が秘密を話すなんて事……」

古河「プロファイラーってよう知らんけど、警察の仲間なんやろ? なら……!」

竹田「機密漏洩に当たる可能性があるな。まあ、既に死んじまった後だから確認出来ねえけどよ」

臓腑屋「……デイビット殿は信用出来なかったのでござる。拙者の秘密を誰かに話されたら……!」

瀬川「ふーん。で、その臓腑屋さんの秘密って?」

242 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:05:17.36 ID:NBVOAR80O

月神「……瀬川さん!」

瀬川「デイビット君の秘密はわかったよ。で、その上でもう一度聞くけど……」

瀬川「臓腑屋さんの秘密って何? 今の話だと、自分の秘密がバラされたくないから殺したって聞こえるけど?」

駆村「いい加減にしろ! 何度も責めるような事をしつこく聞くなんて、どうかしているぞ!」

瀬川「どうかしてるのは臓腑屋さんの方だよ! 皆だって、本当は知りたいはずだよね?」

瀬川「どうして仲間が殺されたのか……それを知りたくない方が、どうかしてるよ!」

どうかしてる? その言葉にカチンとくる。誰のお陰で今生きていられるのか。わかっていないみたいだね……!

一気に捲し立てるように責め返す。反論を許さない論調で、造反劇を促すように

……実際の所、私の個人的な興味もあるけどね

御影「ま、まあ瀬川さんはしつこいけどさ? ボクも知りたいなー……なんて……」

古河「何でなんや……人を殺してまで守りたい秘密なんて、そんなんあるんか……?」

臓腑屋「……拙者の、秘密は」

臓腑屋「…………どうせ、理解できないでござるよ」

不貞腐れた様な声色で吐き捨てる。その表情には、見覚えがあった

まるであの時の、パパの絵を破って叱られた時に鏡に映っていた……

モノクマ「えー、どうやら本人からは言う気が無さそうですし、かといってデイビットクンの生徒手帳は動かせないので……」

モノクマ「ボクから発表したいと思いまーす!」

243 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:08:18.70 ID:NBVOAR80O








『臓腑屋 凛々は、忍者である』







244 : ◆nV158uMR4EBZ [sage]:2019/07/22(月) 21:10:01.36 ID:NBVOAR80O

瀬川「…………………………」

瀬川「……………………は?」

……え? 今、モノクマは何て言った?

聞き間違い? でも、私だけかと思ったら皆も首を傾げているし……

現に、皆は口々にモノクマへの疑問を示している

スグル「あ、あの……聞き間違い。でしょうか?」

飛田「き、きっとそうに違いない。本当の秘密を話したまえッ!」

モノクマ「さっきも言ったでしょ? 臓腑屋さんは忍者なの」

御影「えっ!? 本当に忍者だったの!?」

古河「忍者って……んなアホな! そんなん見ればわかるやろ!」

朝日「それにぃ、何でそれが動機になるのぉ?」

月乃「……これで人を[ピーーー]ほどの動機になるとは、とても思えない」

月神「モノクマ……ふざけていないで、本当の動機を話して……」

臓腑屋「……だから言ったでしょう。言ったってわからないって」

臓腑屋「誰かの秘密なんて理解出来なくて当然の事なのに、それを知ろうなんて……」

御影「臓腑屋さん……? なんか、普段とキャラが違わない?」

モノクマ「あのさぁオマエラ。一応聞くけど……」



モノクマ「臓腑屋さんが、ずっとその格好で今の今まで生活してきたと思っているの?」

245 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:12:54.52 ID:NBVOAR80O

瀬川「……え?」

モノクマ「だからさぁ、臓腑屋さんが毎日その忍者服を着て、ござるござる言いながら……」

モノクマ「ここに来るまでそう生きてたって、本気でそう思っているの?」

そう話すモノクマを、ふっと鼻で笑う臓腑屋さん。いや……笑われているのは私達の方か

臓腑屋さんが今までどう暮らしてきたか。なんて、全く考えた事も無かったけれど……

でも、なんとなく『今がこうなんだから、きっと、ずっとこうだったんだ』って思っていた

それは、アニメのキャラクターの様に……勝手に私が固定化した空想だった事を忘れていたんだ

御影「それは……えっと、うん……」

照星「そう、思ってた……っす。自分、臓腑屋先輩のその姿しか知らなかったっすから……」

臓腑屋「そうだよね。皆は拙者の……私の本当の事なんて知らない……わからない」

臓腑屋「だから、何が何でもこの事は知られたくはなかったのに……!」

ギリッと歯を鳴らして、血走った眼で睨み付ける。憎悪を迸らせるその顔は、確かに見た事ない表情だ

月神「でもどうして? 臓腑屋さんは普段……」

陰陽寺「ただの忍者というだけで、人を殺すまでに至るとは考えられない」

陰陽寺「考えられるのは忍者である事が周囲に知られる事。それそのものが恐ろしかったんだろう」

臓腑屋「……く。ふふ、ふふふふ」

246 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:13:55.29 ID:NBVOAR80O

陰陽寺さんに指摘され、自嘲気味に笑う

それを崩したのはモニターからの声。画面奥の二人の手には、テロップが握られていた

ハルカ『えー、丁度いいので特別企画、”あの人は今。ニンニン修行虎の巻”をお送りしまーす』

ヨウ『なんだそれは、ちなみに内容は今回の動機に関してだから安心して見てくれよな!』

臓腑屋「……! 勝手に話すな!」

必死な声で制止するけど所詮テレビの中の絵空事。叫びも虚しくスラスラと語られていく裏の部分……

ハルカ『臓腑屋さんの家……取り合えず仮名で佐藤さんにしておきますが、そこはかつて日本で動いていた諜報を専門とする組織でした』

ヨウ『その歴史なんと数世紀以上! 明治時代辺りから活動が確認されているな』

ヨウ『当然組織としての記録が残っていたのがその辺りというだけの話だからな。もしかしたらもっと長いかもしれないぞ?』

ハルカ『まあざっくりいうと、凄い旧家の人って事だね! 佐藤さん!』

陰陽寺「……………………」

飛田「な……つまり凛々は深層の令嬢ッ!?」

朝日「全く気づかなかったよぉ。臓腑屋さん。凄く偉い人だったんだねぇ」

臓腑屋「……気づかせないようにしていたんだよ。知られたら困るから……」

瀬川「え? 何で? 知られたら困るって……」

普通、自分の家が偉いなら自慢したくなるのが人情だ。私はそうだったし……

疑問は置き去りに。話はスラスラと進んでいく……

247 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:15:00.27 ID:NBVOAR80O

ヨウ『さて、そんな物凄い家の出身という佐藤さんは普段何しているのか?』

ハルカ『そんな物凄い家なら、きっとやんごとない暮らしをしてるんじゃない?』

ヨウ『ところがどっこい、そうでもないのさ。何故なら世を忍び、人を忍んで活動してきた一族……』

ヨウ『そう易々と、他人に本来の素性を明かす事なんて出来ないのさ!』

ハルカ『そっか! だから臓腑屋さんは本名を教えてくれないんだね』

瀬川「え!? 臓腑屋さんって偽名なの!?!?」

月乃「……そこ、強く反応するところ?」

瀬川「あ、ゴメンゴメン。お気になさらず……」

臓腑屋「……正確には、外で使う名前と内で使う名前があるんだよ。本当の名は私にもわからない」

さらっととんでもない事を……名前が複数あるのは

ハルカ『要するに超高校級の家事代行の時は臓腑屋さん。普通の女子高生の時は佐藤さんって事かー』

ヨウ『ややこしいがそういう事だな。取り合えず今は佐藤さんという体で話を進めるぞ』

ハルカ『佐藤さんの普段の生活は、まあ普通だね』

ヨウ『普通に起き、普通の服を着て、普通の友人と普通の話題を話して、普通の授業を受ける』

ヨウ『まあそんな普通の日々だ。本当に何も書く事が無い位にはな』

ハルカ『ふーんつまんなーい。じゃあ臓腑屋さんとしての生活はどうなの?』

ヨウ『安心しろ。こっちはかなり面白いぞ!』

248 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:16:42.05 ID:NBVOAR80O


ヨウ『普段は目立たない地味な存在である佐藤。しかしその裏の顔は!』


ハルカ『闇に紛れて人を撃つ。握手を交わしたその手で首を切る! まさに必殺仕事人!』


ヨウ『忍者と聞いて連想する体験は一通りこなしている。正しい歴史の遺物がそいつさ』


ヨウ『現代に生きる忍、暗闇に潜む暗殺者。それが今目の前にいる、臓腑屋凛々の正体さ!』



臓腑屋「……………………!!!」

……愕然。それは、ここにいる全員……モノクマとその一味以外に当てはまる感情だろう

皆は臓腑屋さんを、まるで異物を見るような視線で見つめ、当の本人は膝から崩れていく

……コスプレなんかじゃなかったんだ。臓腑屋さんは、いや、彼女は、本物の忍者だったんだ……!

駆村「な……なら! その姿や口調はいったいなんなんだ!?」

竹田「ああ、成る程な……まさか、忍者のモノマネしている奴が本物とは思わねえだろうよ」

竹田「木を隠すなら森の中、か。百戦錬磨だからか随分とイメージ戦略が上手いこった」

臓腑屋「ふ、ふふふ……皆、忍者忍者って言ってたもんね……私は……」

臓腑屋「忍者、じゃ……ない、よ……」

瀬川「臓腑屋さん……」

……きっと、私と臓腑屋さんは似た者同士なんだ

違うとするなら、臓腑屋さんはキャラクターに飲み込まれて、私はキャラクターに溺れている事……

249 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:17:58.89 ID:NBVOAR80O

瀬川「臓腑屋さん。私は……」

スグル「それでも、殺すのはダメなんです」

瀬川「……スグル君?」

一歩、臓腑屋さんに近づくスグル君。その顔は普段のオドオドとした、子供っぽい表情じゃなくて……

決意を秘めた、一人の男の子の顔だった

スグル「デイビットさんは、臓腑屋さんを信じていたから自分の秘密を貴女に明かしてもいいと思ったはずなんです」

スグル「なのに、貴女がデイビットさんを裏切ってしまったら……!」

臓腑屋「じゃあどうすれば良かったの!?」

臓腑屋「ずっとずっとずっと、私はこんな事したくは無かったのに! 口調も服も染み付いていて変えようって思えなかった!」

臓腑屋「自分を変えたくっても変えられない。そういう人間だっているんだよ!」

スグル「……それは、」

叫ぶ、叫ぶ、思いを叫ぶ。臓腑屋さんは、最早取り繕う事すら忘れ、猛り狂う様に響かせる

スグル君も、彼女の心はわからない。狼狽える彼に助け船を出したのは、少しだけ意外な人だった

照星「そんな事、無いっすよ……必要なのは、考える勇気だと、自分は思うっす」

照星「考えたその先が怖くても、それを受け入れれば、きっと変われるはずなんっすよ!」

臓腑屋「そんなの……綺麗事だよ! 私は……強く、無いんだよ……」

眩しすぎる、綺羅星ストレート。その輝きは、闇の住民である臓腑屋さんにはキツいはず

……私? 私は臓腑屋さんに賛成かな。私は弱い方だから、ね

250 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:19:28.16 ID:NBVOAR80O

モノクマ「えー、それではそろそろ……」

陰陽寺「待て。言い忘れていた事がある」

月神「陰陽寺さん? それって……」

モノクマ「んもう、早くしてね!」

モノクマを制止して、臓腑屋さんに歩み寄る。その姿には、静かなのに有無を言わせない迫力があった




臓腑屋「……濡れ衣を着せようとした事は謝るよ」

臓腑屋「陰陽寺さんに罪を被せれば、皆は私を疑わなくなる。そう思ったから……」

陰陽寺「ありがとう」

瀬川「え?」

スグル「へ?」

臓腑屋「……は?」



想定外の事態に頭の処理能力が追い付かない。あの陰陽寺さんだよ? 

その陰陽寺さんが、頭を。しかも、クロに向かって下げるなんて……!

陰陽寺「入学式の時、お前に助けて貰わなかったら死んでいた。命の恩人だ」

陰陽寺「お前がいなくなる前に言っておきたかった事だ。僕を助けた事、僕は絶対に忘れない」

臓腑屋「な、あ、あ……」

251 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:21:05.65 ID:NBVOAR80O

モノクマ「ねえねえ、もういい?」

陰陽寺「ああ。僕の言いたい事は終わった」

本当にあれだけ言いたかったんだろう。スタスタと臓腑屋さんの元から去っていく

きっと、これは陰陽寺さんなりの仕返しだ。もしくはヒーローとしてのせめてもの矜持かな?

『貴女は、悪人では無かった』そう言いたかったのかも……まさかね

臓腑屋「……あ、あ、あ…………!」

臓腑屋「ごめんなさい……! ごめんなさい!!」

臓腑屋「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!!」

対する臓腑屋さんは、バグったみたいに謝罪を続けている

誰に対して謝っているんだろう? 殺したデイビット君? 助けた陰陽寺さん? 騙していた私達?

臓腑屋「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!」

偽り続けていた、名前も知らない誰か? それとももしかして全部乗せ?

……多分、本人にもわからないんだろう。そう言う風に、今まで生きてきたみたいだから

臓腑屋「私は……! 私は……っ!」

モノクマ「それでは、今回は超高校級の家事代行である臓腑屋 凛々さんの為にスペシャルなオシオキを用意しました!」

モノクマ「それでは張り切って参りましょう! オシオキターーーイム!!!」

252 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:22:58.50 ID:NBVOAR80O








GAME CLEAR!

ゾウフヤ さんが クロに 決まりました

オシオキ を 開始 します







253 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:24:41.39 ID:NBVOAR80O
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254 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:25:35.52 ID:NBVOAR80O
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255 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:30:46.05 ID:NBVOAR80O
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256 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:31:58.21 ID:NBVOAR80O


小さな白い丘の上、臓腑屋さんは座っていた
こんもりとうず高く盛られた頂点。まるで昔の罪人の様に、後ろ手を組み縛られている

周囲にあるのは銀色の壁。よく見ると、どこかメカニカルな印象を受ける不釣り合いな背景だ
突然、臓腑屋さんの顔に影がかかる。その理由は、臓腑屋さんの前に突然巨大なモノクマが正面にある円形の窓から覗いていたから
その光景で気がついた。臓腑屋さんが座っていたのは洗濯物で、臓腑屋さんが今いるのは巨大な洗濯機の中なんだと

ピッとモノクマがスイッチを押す。『入水』と書かれたボタンが点滅し、洗濯機が動き始めた……

257 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:34:33.03 ID:NBVOAR80O

『はいすぴィど・ぼでぃーうぉっしゅ』
『超高校級の家事代行  臓腑屋 凛々処刑執行』


ガタガタゴットン! ズッダンズダン!
洗濯機は不協和音を奏でながら、激しく激しく揺れていた
その中では白の洗濯物が水を舞い、臓腑屋さんは息継ぎも出来ず振り回されている
衝突したかと思えば洗濯物に絡め取られる。それを外すと、また壁に衝突の繰り返し……
水流と障害物に阻まれて、呼吸を狙う余裕も無い。洗濯物を取る手も鈍り、もう……。……その時だった

外では『脱水』と書かれたボタンが点滅し始める。寸前の所で、責め苦から逃れられたんだ
洗濯機の中の臓腑屋さんは、死にかけとはいえまだ息をしている。虫の息といってもいい様な弱々しい呼吸だけれど
そんな事もお構いなしに、モノクマは洗濯物を取り込んでいく。……中にいた、洗濯物に挟まれている臓腑屋さんごと


場面は変わって、そこは青空の眩しい、のどかな原っぱだった
そこでモノクマは洗濯物を干そうとしたのか、木の幹に手をついて……しまった。という表情になる
どうやらロープを忘れてしまったみたいで、洗濯物を手に、慌てて右往左往していた
困り果てているモノクマ。目についたのは、洗濯物に紛れてぐったりとしている臓腑屋さん
臓腑屋さんを引き抜くと木の幹に押し付けて……お腹をまさぐり始めた
抵抗も出来ず、なすがままにされる臓腑屋さん。モノクマはお臍の辺りを擦り……そのまま、腕を突き刺した
びくん!と身体を震わせ、血を吐き出す。お構い無しと言わんばかりに、ずるずると臓腑屋さんの身体からロープを引き出し始める……


充分な長さでもう片方の木に引っ掛け、ロープの上に洗濯物を引っ掛ける
やりきった表情のモノクマの後ろ。真っ青な空の下に不釣り合いな真っ赤な洗濯物がはためいていた

258 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:39:04.41 ID:NBVOAR80O




モノクマ「エクストリィィィム!!!」

モノクマ「やっぱり一仕事終えた後の洗濯は最っ高だぜぇぇぇぇぇ!!!!」

飛田「ぶっ……げぇえええぁっっっ!!!」

駆村「大丈夫か!? 気分が悪いなら座ってろ!」

月乃「……朝日、立ってられる?」

朝日「私なら大丈夫だよぉ……ありがとう」

オシオキ……処刑を終えた後の裁判場は、前回以上の地獄絵図と化していた

倒れる人、吐き出しそうになる人、それを介抱する人に、ただ眺める人……

モノクマ「終わった終わった。ボクもう疲れたから巣に戻ってハチミツキメるとするよ!」

モノクマ「それじゃ、まったねぇ〜!」

ハルカ&ヨウ『『まったねー!』』

竹田「どうすんだ。月神の嬢ちゃん……これじゃあ動くのもままならねえぜ」

月神「とにかく、今は心が不安定よ。落ち着くのを待ちましょう……」

照星「……先輩! 立てないなら、自分が支えになるっすよ!」

古河「サンキューな。照星……ちと辛いわ」

竹田「うー……つつつ」

御影「わぁ!? 竹田さん怪我してるじゃんか!」

スグル「もしかして、僕達を庇った時に……」

竹田「気にすんなよ……年上に見栄を切らせんのも年下の仕事だぜ」

スグル「……ありがとうございました」

259 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:40:37.45 ID:NBVOAR80O

瀬川「やっぱり、こうなっちゃったね」

月乃「……? どういう意味?」

ぽつり。心の中の声が、外へと漏れだす

漏れ出た言葉は奔流みたいに溢れ出す。誰彼構わずに、全員に叩きつける様に

瀬川「コロシアイだよ。私達がどれだけ止めようとしても、結局は始まっちゃうんだからさ」

瀬川「私達、本当に仲良くなれたのかな……?」

御影「な……っ、何言ってるんだよ!?!?」

朝日「瀬川さんはぁ、皆の事が嫌いなのぉ?」

言葉は濁流になって場を飲み込む。悪意とモヤモヤが混ざった言葉に沈みこんだ

瀬川「そうじゃないけどさ、ただ実際にこうやってコロシアイになってるじゃん」

瀬川「デイビット君も吊井座君も、ここにいた人を信用した事が死ぬ原因になってるんだしさ」

月乃「……それは」

竹田「まあ、否定は出来ねえよな」

瀬川「私達は、仲良くなれっこないんだよ。所詮は他人同士なんだから」

瀬川「だから、皆も気を付けようね。いつ、誰に殺されるかわからないんだからさ!」

260 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:43:36.68 ID:NBVOAR80O

月神「……私は、そう思わないわ」

月神「確かに私達は他人同士。理解し合う事なんて不可能に近い」

月神「けど、だからこそ私達は惹かれるの。自分にない強さや弱さ。全部が魅力的に思えるの……」

瀬川「そんな事言ってたらコロシアイなんて起きないよ。どっちが正しいかなんてわかるでしょ?」

月神さんが私を射抜く。バチバチと火花の散る音が聞こえる。そんな睨み合いが少し続く

それを終わらせたのは……

陰陽寺「瀬川の言う事は正論だろう。月神の言う事は綺麗事に過ぎない」

瀬川「ふふん、そうでしょ?」

陰陽寺「正論は刃物だ。どんな馬鹿でも、振れば誰かを傷つける事が出来る」

瀬川「どんな馬鹿でも……馬鹿ぁ!?」

陰陽寺「問題は使い方だ。正論も空論も使う人間の思いによって凶器にも武器にも成りうる」

陰陽寺「……瀬川。お前は何がしたい」

瀬川「何が、したいって……」

……そんなの、私が聞きたいよ。自分がおかしい事は、私だってわかってる

私のココロに何があったの? 何で、何でこんなに身体の奥がムズムズするの?

この学園生活はどこまでも続いていく。この狂った世界は果てしなく廻っていく

その終着には何が待っているの? 狂った世界の先には何があるの?

いや、そうじゃない。狂っていたのは世界じゃなくて……

261 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:45:00.37 ID:NBVOAR80O



『おかしいよ、――ちゃん。まるでこの世界に住んでないみたい』




瀬川「〜〜〜〜〜っ!!」

スグル「わっ、瀬川さん!?」

照星「どこ行くんすか!? 落ち着くっすよ!」


違う違う違う違う!! わたしはおかしくなんてない。おかしいのは世界の方だ


どこも受け入れてくれなくて、どこも私が嫌いだと笑われて、私は拒絶されたんだ


何がしたい? なら、皆はどうすれば私の事を好きになってくれるの?


頭の中が壊れていく。それは私を写す鏡が壊された様な崩壊感が原因だ


それが耐えられなくて、受け入れられなくて

私は、必死にここから。裁判場から逃げ出した


262 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:46:41.50 ID:NBVOAR80O





『くっくっく、もう四人。我ながらいいペースなんじゃないか?』

『このままなら、俺達の野望まで順調に進んでいく事が出来る……楽しみじゃないか、なあ?』

『そうだねヨウ君! これからもこの調子で、ガンガンやっていこうよ!』

ヨウ『馬鹿野郎、なんで名前を出すんだ。せっかくのオフレコが台無しだろうが』

ハルカ『ダメだった!? ゴメン!』

ヨウ『まあいいさ。俺達の目的は誰にもわからないだろうしな』

ハルカ『モノクマにも?』

ヨウ『当然。今は従順に奴に従って……』

ハルカ『隙を見てスパッと退治! この彩海学園は私達のもの!』

ハルカ『でも皆は可哀想だよね。知らない内に私達の野望に利用されてるんだもの』

ヨウ『気にするな。どうせ何も変わりやしないさ』

ハルカ『そうだね! だってここプログラムせ

ヨウ『おっと手が滑ったァーーー!!!』

263 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:48:59.49 ID:NBVOAR80O










【CHAPTER2】
  もうやらないと誓ったのさ 【END】

  生徒総数:12









264 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:50:36.99 ID:NBVOAR80O



GET:シノビコスメ
 二章を歩き渡った証。臓腑屋凛々の遺品
 これを着れば貴方も忍者。誰じゃ? 俺じゃ! 忍者! 因みに本来の持ち主は着るのを大層嫌がっていたそうな



265 : ◆nV158uMR4EBZ [saga]:2019/07/22(月) 21:56:55.08 ID:NBVOAR80O
本日ここまで。三章はその内に
なにかあるならどうぞ
266 : ◆nV158uMR4EBZ [sage]:2019/07/28(日) 22:57:30.86 ID:MYWNZgLQO
建てました。よろしくお願いします
【二次創作】ダンガンロンパ Re:MIX【オリロンパ】ch.3
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