【P5x俺ガイル】八幡「やはり俺の友達は9股するなんてまちがっている」完

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2 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:33:37.57 ID:+9mh/Azpo
【P5x俺ガイル】八幡「やはり俺の友達は9股するなんてまちがっている」
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1552733899/
【P5x俺ガイル】八幡「やはり俺の友達は9股するなんてまちがっている」続
https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1552795262/

ペルソナ5とやはり俺の青春ラブコメはまちがっている。のクロスです。
P5は何周も、俺ガイルはアニメのみの補完で原作未読です
完結お付き合いください
3 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:34:14.56 ID:+9mh/Azpo
〜11月30日〜

ー朝 都内拘置所ー


鴨志田「以上が僕の罪です…」

葉山弁護士「わかった。やはり何度取り直しても同じか………なあ、卓?」

鴨志田「はい…」

葉山弁護士「お前がしっかり反省してるのはよくわかった。だがそれじゃだめだ」

鴨志田「ダメ…というと?」
4 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:34:43.10 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士「もっと精神鑑定の時に事件について否定しろと言ってる」

鴨志田「…ですが…僕は…」

葉山弁護士「確かにお前の今の状態なら裁判の際にそれなりに心象良く見えるだろう」

葉山弁護士「何度も言うがそれでは連中の思い通りに事が運びすぎる」

鴨志田「連中というのは…?」

葉山弁護士「決まってる。怪盗団だ」
5 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:35:21.66 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士「ま、精神暴走事件の被害認定がそろそろ下りると見て間違いないしな。今後はさらに精神鑑定で否定しろ。反論は許さん」

鴨志田「ですが!」

葉山弁護士「卓、大丈夫だ。お前が起こした不祥事は最終的に精神暴走事件によるものだと結論付けさせてやるから心配するな」

鴨志田「………」

葉山弁護士「今まで何度も精神鑑定は入った。だが、”精暴”と診断されなければお前に対する社会的なダメージは軽減されないんだよ」

葉山弁護士「な?そうしろ。ちゃんと次回の精神鑑定を申請しておくからな」
6 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:36:11.34 ID:+9mh/Azpo
鴨志田「ですが!ですが僕は悪意を持って事件を起こしてしまったんです!それは僕の罪なんです!」

葉山弁護士「いや違う。その悪意は怪盗団に植え付けられたものに違いない。だからお前は何も悪くないんだよ」

葉山弁護士「お前が”やった事”じゃない。お前が”やらされた事”なんだ。大きな違いだ」

葉山弁護士「かつてのお前を知る人間なら、こんな事件を起こすはずはないと知ってる。そいつらの証言も少しずつ集まってる」

葉山弁護士「お前は精神暴走事件の被害者であり、その被害者によりいたいけな学生たちに被害が出てしまった。そういう悲しい事件なんだよ」

鴨志田「………」
7 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:36:38.69 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士「いいか?もう一度言うぞ?お前は加害者じゃない。被害者なんだ。精神暴走事件に巻き込まれ、怪盗団によって自分が引き起こした事件だと思い込まされているだけなんだよ」

葉山弁護士「だから自分を卑下する事はないし、罪だ罰だとのたまう必要もないんだ」

葉山弁護士「最初から罪など存在しないんだからな」

鴨志田「………」

葉山弁護士「さて、そろそろ帰るか。また来る。いいか?ちゃんと鑑定で拒否しておけ。ああそうだ…」

鴨志田「…?」

葉山弁護士「記憶のない時期があると何度も繰り返し言え。いいな?絶対だぞ?お前は何回それを忘れた?わざとか?とにかく言うだけでいい。言い続けろ。じゃあまたな」

ガチャ…バタン


鴨志田「…先輩……あなたという人は…」
8 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:37:48.02 ID:+9mh/Azpo
ー葉山弁護士の車内ー

トゥルルルル…トゥルルルル…トゥルルルル…

葉山弁護士「もしもし?朝早くすみません。また1人診てもらいたい人間がいまして」

葉山弁護士「……ええ、そうです鴨志田です。出来れば今日中にお願いします。はい」

葉山弁護士「どうにか精暴で行きたいので…ええ、そのように。え?待ってください!夏にもすでに………わかりました。ではお願いいたします」

プツッ…
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:38:31.45 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士「クソ医者がふざけやがって…倍を出せだと!?ふざけるな!!」ガンッ!!

葉山弁護士「………」

葉山弁護士(クソ医者共め…弁護士からすれば精神暴走に収めるほど楽な道筋はない)

葉山弁護士(それをわかってるからこその手間賃。俺が医者なら俺でもそうする…良い金儲けだからな)

葉山弁護士(だが精暴と診断するだけの手間賃にしては高すぎるだろう…それでも医者、それも警察の者か?クソッ!!)
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:39:01.93 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士(大山田がいた時はやつを仲介に楽な流れ作業だったが…今やそうはいかんからな)

葉山弁護士(くそったれの怪盗団め…余計な事ばかりしやがって)

葉山弁護士(大体、先生は何をしてるんだ?あれだけ懐を温めてやっただろうが!!)

葉山弁護士(オクムラフーズの一件で怪盗団人気は鎮火したが…今や他に問題が移っている)

葉山弁護士(怪盗団の恩恵を受けられる職種は限られてるからな。俺も警察で医者やっとくんだったな)

葉山弁護士(いつまで続くんだ……怪盗団ビジネスは…)

葉山弁護士(このままでは犯罪者如きのために俺の懐が痛む日がいつか来るかもしれん)

葉山弁護士(何か手を打たねば…)
11 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:39:27.55 ID:+9mh/Azpo
ー昼 八幡ベストプレイスー


八幡「もぐもぐ」

蓮「もぐもぐ」

志帆「もぐもぐ」

モルガナ「もぐもぐ」

八幡「ごくっごくっ」

蓮「もぐもぐ」

志帆「プ〜リンっ、プ〜リンっ」

モルガナ「もぐもぐ」

八幡「ふう……」

蓮「ごちそうさまでした」

志帆「もぐもぐ」

モルガナ「にゃーん」
12 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:39:57.91 ID:+9mh/Azpo
八幡「お前ほんと猫好きだよな」

蓮「俺が好きなんじゃない。猫が俺を好きなんだ」

モルガナ「!?」

志帆「そっかぁ。いつもぴったりくっついてるもんね?ほんと好きなんだね蓮のこと」

モルガナ「〜〜〜〜〜っ!!!!!」ジタバタ

八幡「そういやうちも猫飼ってんだよ」

蓮「カマクラだろ?雪ノ下さんが言ってた。けどこないだ見かけなかったな」

志帆「雪ノ下さん?」

蓮「八幡がいる奉仕部の部長なんだ」

志帆「ほーしぶ?」
13 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:40:33.13 ID:+9mh/Azpo
結衣「あーーーー!!!!ヒッキーいたあぁーーー!!!!」

八幡「なんだようっせーなぁ…」

結衣「あ、れんれんやっはろ〜!」

蓮「ゆいゆいやっはろー」

志帆「!?ゆいゆいって…」

結衣「っと〜…えっと?れんれんのお友達?」

八幡「おい。何で俺に聞かねえんだよ?」

結衣「だってヒッキーの友達ってれんれんだけしかいないの知ってるし!」

志帆「え?違うよ?」

結衣「え?」

蓮「モルガナ膝に乗るなら爪しまえ」
14 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:41:25.17 ID:+9mh/Azpo
志帆「私、蓮の隣のクラスの鈴井志帆です」

結衣「あ、えっと…あたし由比ヶ浜結衣です!よろしくね!」

志帆「はい、よろしく」ニコッ

蓮「結衣、志帆は八幡の友達だ。あと俺の友達で、俺の友達の友達だ」

結衣「へっ?」

八幡「マジだぞ」

志帆「マジだね」

結衣「ええぇ〜〜〜〜〜っ!?」

蓮「だからモルガナ爪が痛いって」
15 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:42:01.28 ID:+9mh/Azpo
結衣「そんな…そんなぁ!ヒッキーが……そんなぁ!!」

八幡「なんだよお前…驚きすぎだろ悲しくなるわ」

志帆「ほんとに友達いないんだね比企谷くんって」

八幡「うっせーなぁ。ほらみろお前のせいでこんな事言われちまったぞどうしてくれる」

結衣「………その…2人ってその……つっつつつっつ付き合ってるの!?」

八幡「はあ?いや、だから友達だって言ったばっかだろうが」

志帆「付き合ってるっていうと友達付き合いって事ではあるよね」

結衣「えーーーーーっ!?」

蓮「モルガナ、ほんと太もも痛いから爪たてるな」
16 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:42:56.75 ID:+9mh/Azpo
結衣「2人ってその…いつから?」

八幡「ああ?昨日だな」

志帆「うん。昨日からだね」

結衣「ええぇ…なんで?どうして?どういうアレでコレ?」

八幡「昼休みに蓮に紹介されたんだ文句あるか」

志帆「うんうん」

結衣「…っえーーーーーーーーーっ!?」

八幡「なんかどんどん声高くなってってない?」

志帆「最後には電話かけられるんじゃないかな?」

蓮「いてぇなモルガナいい加減にしろよこの野郎」
17 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:43:35.23 ID:+9mh/Azpo
結衣「ちょっとれんれん!?マジなの!?」

蓮「ああマジだ」

八幡「おい何だどうした?」

結衣「あたしは!?」

八幡「ん?」

結衣「だからあたしは!?」

八幡「お前は由比ヶ浜結衣」

結衣「そうだけど!そうじゃなくって!」

八幡「じゃないなら何なんだよドッペルさんですか?」
18 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:44:06.62 ID:+9mh/Azpo
結衣「あたしはその…ヒッキーの……その…」

八幡「何?」

結衣「うぅぅう〜〜〜〜………ヒッキーのバカ!きもい!」

八幡「何なんだお前いきなりきもいとか。いつもの事だけど」

志帆「いつもきもいって言われてるの?」

八幡「そうなんだよ。こいつ事あるごとにきもいきもい言いやがる」
19 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:44:40.09 ID:+9mh/Azpo
志帆「そっかぁ。比企谷くんも大変なんだね」

八幡「ああほんと大変だ。心労認可下りるまである」

結衣「ゆきのんに言いつけてやるから!バカ!」

八幡「好きにしたらいい。だから何?って言われるだけだろうよ」

志帆「部員なのにそんな感じなの?」

八幡「おうそうだぞ。基本的に俺は卑下され罵られる毎日だ」

志帆「それ何の部活なの?罵倒部?」

八幡「鈴井、馬術部みたく言っても全く違うぞ?まあ罵倒の数々を乗りこなしてはいるが」
20 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:45:36.33 ID:+9mh/Azpo
結衣「だから!あたしは!?」

八幡「お前は由比ヶ浜結衣」

結衣「あーもぉーーー!!!!!」

志帆「ループって怖いね」

八幡「こういう時って壊れたCDみたいに繰り返すーとか例えるよな」

志帆「CDって持ってる?親は持ってるけど私一枚も買ったことない」

八幡「そういや何か買ったような気がするな…何だったっけな?」
21 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:46:04.48 ID:+9mh/Azpo
志帆「親はね、クラシックならCDよりレコードがいいっていうの。ほら、何か黒い円盤。知ってる?」

八幡「あぁ〜あれか。確かにクラシック好きな人はそうらしいな」

志帆「でも音楽聴くためにああいうの買うのって躊躇わないのかなぁ?」

八幡「どうだろな?何でもそうだが趣味に走る人ってのはゴルフもそうだが色々揃えるもんだろ?そういう事じゃね?」

志帆「あ、そっかなるほどね?」

結衣「ちょっと!!シカトしないでよ!!!!」
22 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/03/17(日) 20:46:37.96 ID:+9mh/Azpo
八幡「何だよシカトなんかしてねぇよ」

志帆「由比ヶ浜さんはCD持ってるの?」

結衣「うぇ!?うん、えっと…あるよ!」

志帆「そうなんだ?好きなアーティストとかいるの?」

結衣「うーんママがZARDって人のファンであたしも好きかなぁ…あ、そういえばゆきのんがオススメしてくれたのは聴いてた」

志帆「そうなんだ?何ていうアーティスト?」

結衣「ドラゴンホース!」

志帆「ケンタウロスみたいな事かな?上半身がドラゴンで下半身が馬なの?そういうアーティスト?」

八幡「それドラゴンフォースじゃね?」
23 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:47:14.85 ID:+9mh/Azpo
結衣「なんかヘビーメタルっていうんだって!ババババボボボボペポペポペポペポペポペポペポ!!って感じだった」

八幡「なんだその擬音しかない感想は」

志帆「ヘビーメタルって名前は聞いた事あるけどそんな感じなんだ?」

結衣「うん!ソイヤハイヤスチームっていうアルバム貸してくれたの!」

志帆「なんかすごいタイトルだね」

八幡「それソニックファイアストームじゃね?つか何だソイヤハイヤスチームって。くそ熱い祭りの掛け声が押し寄せそうだな」

結衣「なんでヒッキー知ってるの?好きなの?」

八幡「いや、前に雪ノ下が好きだって言ってたからよ」

志帆「そうなんだ?私もちょっと聞いてみたいなぁ」
24 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:47:58.09 ID:+9mh/Azpo
八幡「気になるのか?」

結衣「うん。映画もそうだけど知らなかったタイトルとかストーリーとかって気にならない?」

八幡「なるな」

結衣「あーうんなるなる!!」

志帆「うんやっぱりそうだよね?」

結衣「てか志帆ちゃんてすごい話やすいね!」

志帆「え?そうかな?」

結衣「うん!またいっぱいお話しようね!」

志帆「うん。そうしようね」ニコッ

結衣「やばい!志帆ちゃん可愛い〜!」ギュー

志帆「ちょっ…苦しいよ由比ヶ浜さん」
25 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:48:42.85 ID:+9mh/Azpo
八幡(やっぱすげぇな由比ヶ浜は…)

蓮「………」

八幡「どした蓮?ずっと黙ってにこにこ見ちゃって」

蓮「いいよな、女の子同士って」

八幡「お前ってそういう趣味?」

蓮「仲良い事は良い事だ」

八幡「ごまかしてるつもりか?」

蓮「あきらめるのか?」

八幡「たまに出るけど何だそれ?何をだ?何を諦めるってんだ?」


ピロリン
26 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:49:31.86 ID:+9mh/Azpo
ー放課後 奉仕部部室ー


結衣「でね!ヒッキーずっとしほしーにデレデレしてたんだよ!ありえなくない!?」

雪乃「鼻の下伸び谷くん?何か反論はあるかしら?」

八幡「大いにあるぞ。なんだその長ったらしい呼び名は。もっと他になかったのか?」

八幡「つかしほしーって…いつの間にそんなあだ名に」

結衣「しほしーも秀尽から転校してきたんだってね?」

雪ノ下「あらそうだったの?それで雨宮くんを通して知り合えたわけね。まあ彼のような人がいない限りあなたのような珍獣が女子と知り合う機会なんてないでしょうしね」

八幡「誰が珍獣だ誰が」

雪ノ下「あら?あなたの真名ってヒキコモリガエルだったと記憶しているのだけれど?」

八幡「そんな真名じゃ呼び出したマスターの方が可哀想まである。つかその記憶は消去されるべきだ何しろ改ざんがひどい」
27 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:50:03.11 ID:+9mh/Azpo
結衣「それにしてもれんれんすごい慌ててたね?」

八幡「ああ…あんな蓮は初めて見た」

雪ノ下「どういう事かしら?」

結衣「あのね、ヒッキーたちがお昼食べててね、そこにあたしが登場っ!したんだけどね?話してる途中でれんれんの携帯鳴ってすぐ帰っちゃったの」

雪ノ下「早退したの?」

八幡「そういう事だな。何かあったんだろうな」
28 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:50:41.69 ID:+9mh/Azpo
結衣「大した事ないといいよね?ヒッキーも心配でしょ?」

八幡「そりゃあな…」

雪ノ下「あら?案外あっさりした回答ね?何か知ってるように見えるのだけれど?」

八幡「まあな」

結衣「えー?そうなの?なになにどういう事?」

八幡「誰にも言えねぇ話だ、諦めろ」

結衣「そっかぁ。れんれんも大変なんだね」

八幡(誰にも言えない隠し事、か…)
29 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:51:32.69 ID:+9mh/Azpo
〜時は少し遡って〜

ー昼過ぎ ルブラン店内ー


TV「…ました。この精神鑑定の結果により、鴨志田卓容疑者に精神暴走事件の被害者と一致する部分があると認められた場合、冤罪による無罪での釈放の見通しと……」


蓮「本当だったのか…」

竜司「冗談じゃねえぞクソが!!!」

モルガナ「ほんとだぜ!ありえねえよ!」

杏「こんなのおかしい絶対間違ってる!!」
30 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:52:11.79 ID:+9mh/Azpo
真「ありえないわ…一体どういう事なの…」

春「これじゃ報われないよ…」

冴「事実よ。事実なの…」

惣次郎「しかしこれはなぁ…あんまりだよな…」

双葉「私はいつかこうなるんじゃないかと思ってた」

祐介「鴨志田が釈放されるなんて事がわかってたというのか?」
31 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:52:41.53 ID:+9mh/Azpo
杏「あんだけやらかした鴨志田が釈放なんかありえないから!!」

竜司「おうよ!んなもんありえてたまっかよ!!!」

真「お姉ちゃん、何度も聞いて悪いけど…これは確定なの?」

冴「確定ではないわ。ただ精神鑑定の結果が精神暴走事件の被害者と符号する事も多いらしくてね。釈放が濃厚という話よ…」

惣次郎「まさか精神暴走事件の被害者だなんて扱いになっちまうとはなぁ…」

モルガナ「なあフタバ?さっきの話だが。こうなると思ってたってのはどういう意味なんだ?」

双葉「そりゃ簡単だ。”責任転嫁”の一言で済む」

祐介「それはそうだろうが…具体的にはどういうことなんだ?」

双葉「いいか?よーく聞いとけよ?」
32 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:53:18.28 ID:+9mh/Azpo
双葉「こないだ録音した黒幕の名前が出た音声、覚えてるだろ?」

双葉「あの中でも言ってただろ?これまでの、そしてこれからの精神暴走事件は怪盗団が引き起こしたものにするって」

双葉「実際オクムラ社長の件からそういう世論に切り替わって来てる」

双葉「その中に当然、初期メンバー4人で解決したあの鴨志田事件も入るに決まってる」

双葉「斑目と金城については自ら犯罪に手を染め、そしてその隠蔽をしていたわけだから”精暴”からは除外される」

双葉「斑目も金城も、その目的は金だったからな」

双葉「じゃあ怪盗団がこれまで実際に関わったやつの中で精神暴走事件として見れなくもないものは何だ?」

双葉「そう、鴨志田事件だ。それまで良い教師と思われていた鴨志田による過剰な体罰と暴力」

双葉「マスコミも煽りやすい。怪盗団のせいで教師という人間だけでなく、その生徒までもが被害者になってしまった。とかな?」
33 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:54:03.52 ID:+9mh/Azpo
双葉「それでもしやと思って調べてわかった事がある」

双葉「警察内部の悪どい医者が、弁護士の依頼で犯罪者を精神暴走事件の被害者に仕立て上げるケースが増えてる」

双葉「”精暴”に見せかけた虚偽の診断書一件についての報酬はそりゃ高額なもんだ。そしてそれが横行し出した具体的な時期はメジエドの前辺りからだ」

双葉「今やすっかり下火になった怪盗団人気だが、その手口の異常性に乗っかった”怪盗団ビジネス”なんて呼ばれてるぞ」

双葉「ま、わかってるのは大体こんなとこだな」
34 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:54:41.78 ID:+9mh/Azpo
竜司「ふっざけんなよ…どこまで腐ってんだよこの国の大人共はよぉ!!!!」

杏「怪盗団ビジネスって何!?何でそうなっちゃうの!?」

モルガナ「ほんとありえねえぜ」

惣次郎「ちょっと前に流行った怪盗団グッズだってある意味それと同じなんじゃねえのか?」

春「確かに…」

真「やっぱりあの時の私たちって浮かれてたのよ…。グッズなんかが出回る異常性に対して何か手を打つべきだったわ…」

祐介「しかし今さらそれを言っても手遅れだろう?ましてや医者とはいえ警察関係者が犯罪者を金で釈放させている。これはもう異常どころの騒ぎではない」

冴「双葉ちゃん、確証はあるのよね?」

双葉「もちろんだ。私は何のソースもなくこんな事言わない。確証があるから言ってる」
35 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:55:21.50 ID:+9mh/Azpo
冴「そう…そうよね。あとでそのデータもらえないかしら?」

双葉「それはやめといた方がいいな」

冴「どうして?私だって検察として、いいえ…人として見過ごせないわ!何としても暴かないと!」

双葉「真の姉ちゃん1人じゃ太刀打ちできない。検察にどれほど協力者がいる?どう立ち向かう?相手は警察の闇のさらに奥にあるもんだぞ?」

冴「………」
36 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 20:55:54.80 ID:+9mh/Azpo
双葉「”怪盗団ビジネス”なんて呼ばれ方してる時点でもう手遅れだ。1人2人改心させる程度じゃ終わらない。悪どい医者と悪どい弁護士がいる限り横行し続ける。止める術はない」

竜司「そりゃどうしてだよ?何かあんだろ!?」

双葉「忘れたのか?敵はこれまでの、そしてこれからの精神暴走事件を私たちの仕業だとおっかぶせ続ける気なんだぞ?」

双葉「それはつまり、個人でなく団体だ。いや、集合体だ。お前たちがメジエドを相手にする時、嫌というほど実感したんじゃないのか?怪盗団がまともに相手に出来るのは”個人相手”だって」

双葉「そしてこれはほんの一端でしかない。結局、私らはあの黒幕を相手するので手一杯。その間、周りで起きる事はどうにも出来ない。いつまでも続いていく。なぜなら相手はまさに”不正と言う名の行い”そのものだ」

双葉「そこらへんを歩く人を全員止められるか?無理だろ?それと同じ事だ。今、怪盗団に出来る事はあの黒幕を改心させる事。それだけだ」

全員「………」


蓮「だからって黙ってられない」
37 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:00:33.90 ID:+9mh/Azpo
祐介「ああ、そうだな」

竜司「そうだぜ…このまま黙ってられっかよ!」

モルガナ「やってやろうじゃねえか!」

真「パレスの攻略を急ぎましょう」

春「そうね。少なくともあの黒幕を改心させたらきっと何かが変わるよね?」

杏「そこんとこどうなの?双葉?」

双葉「変わるのは間違いない。何せ”怪盗団ビジネス=認知訶学ビジネス”だ。やつを抑えられれば間違いなく静止する」

惣次郎「大丈夫なのか?そりゃ大元のやつを叩けば下火には出来るだろうが…」

双葉「そうじろうたまには冴えてるな!」

惣次郎「たまにはってどういうこったよ…」

冴「どういう事なの?」
38 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:01:07.49 ID:+9mh/Azpo
双葉「確かにそうじろうの言う通り、認知訶学を使ったビジネスはその大元が消える事で下火になる。が、精神暴走事件に怪盗団が関与してるのではという疑惑は残る」

竜司「それダメじゃね!?」

双葉「おう!だめだ!」

真「だめだって…じゃあどうすれば…」

双葉「疑惑ってのはそうそう簡単に潰せるもんじゃない。だーかーらー元凶である黒幕を叩くほかない」

双葉「弁護士から医者へ、その医者からやつへと金は流れ続けてる。さて、どうする?どうしたい?」
39 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:01:52.44 ID:+9mh/Azpo
蓮「そんなもの決まってる」

祐介「そうだな、決まっている。だがどうする?」

竜司「ヤロウをぶっ叩くっきゃねえだろ!?」

真「そうね。今の所、他に手立てがないのも事実だし…とにかくパレス攻略が最優先だわ」

杏「やっちゃう!?」

春「やっちゃおう!」

モルガナ「やっちまおうぜ!」

双葉「そうかやっちゃうか。覚悟決まったんなら私に提案がある」
40 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:02:30.08 ID:+9mh/Azpo
惣次郎「そりゃどんな案だ?」

双葉「ついに蓮専属ドライバーって仕事しかなかった冴がまともに活躍する時が来たぞ!よろこべ!」

冴「双葉ちゃん…」

真「ちょっと双葉!人のお姉ちゃん何だと思ってるの!?」

蓮「冴さん運転上手いから安心して乗ってられたよ」

モルガナ「ああ、それはワガハイも同感だぞ。いつもウトウト寝ちゃうレベルだ」

竜司「それ、誰も聞いてねえしあんまフォローにもなってねえと思うぜ?」
41 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:03:00.36 ID:+9mh/Azpo
蓮「ただ車内BGMには驚いた。冴さんはこう見えてヴィジュアル系のゴェゴェした声の音楽が」

冴「その先はちょっと黙ってくれる!?ずっと黙ってくれる!?というかいつ聞いたの!?」

春「冴さんってそうなんだ…」

杏「まあほら…人によって好みってあるからね!ねっ!?」

祐介「ヴィジュアル系とはなんだ?恍惚としたイメージが浮かぶのは気のせいか?」
42 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:03:32.53 ID:+9mh/Azpo
冴「油断も隙もないわね…」

蓮「あの凛とした冴さんが車内ではBGMに乗せてヘドバンしてると思うと微笑ましくもあり若干怖くもあるが逆にそこが可愛い」

冴「何で知って…じゃなくて!ほんとに黙ってちょうだい!」

竜司「すげえスラスラっと話したな蓮…珍しく」

モルガナ「な?ワガハイの言った通りたまに長台詞あるだろ?」

祐介「なあ、ヘドバンとはなんだ?活動的な響きを感じるが」
43 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:03:59.91 ID:+9mh/Azpo
真「あなたたち…人のお姉ちゃんを何だと思ってるの…」

双葉「ツッコミ要員!」

真「冗談じゃないわ!ツッコミなら私がいるじゃない!」

杏「え…」

春「真はどちらかというと天然なせいでツッコミってイメージはないよね。というか真の場合ツッコミでなくただの正論が多いから笑いにはならないよね?」

杏「春きっつい…」

真「私って天然だったの…?」シュン…

冴「真も少し黙りなさい」

竜司「なあ…もう話進めねぇ?」
44 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:04:45.45 ID:+9mh/Azpo
双葉「というわけで冴にはこれを渡しておく」

冴「これは何のデータかしら?」

双葉「リストだ」

真「何のリストなの?」

双葉「不正を働いてるやつらを根こそぎリストアップした」

竜司「やっぱすげぇなお前!」

モルガナ「やるじゃねえかフタバ!」

双葉「だがこれはあくまで報酬のやりとりがあった一部のやつらだ。さすがに報酬を手渡しにしてるやつらまでは探しようがない」

冴「ありがとう双葉ちゃん。早速参考にして手を考えるわ」

双葉「さっきは止めとけって言ったが皆もうやる気だからな。撤回するっ。だが気をつけろよ〜?相手はかなりの大物だぞ。”不正そのもの”なんだからな」
45 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:05:27.84 ID:+9mh/Azpo
杏「ほんと双葉ってすごいよね!よく調べられるよね?」

双葉「条件を設定すれば探し出すのは簡単だ。使途不明金の痕跡があればそこからそいつの銀行データを根こそぎ暴ける。芋づる式で報酬を送金したやつも、さらに別の受け取ったやつも浮き彫りになる」

双葉「どこの誰にいくら送金されたか?なんて私にかかれば数秒だ。ついでに相手の名前も手に入るしな。名義や社名を変えて誤魔化そうが無駄なあがきだ」

竜司「なんかよくわかんねえけどすげえなお前」

双葉「とーにかくそうやって絡まってる糸をほどいて、繋がりがはーっきり見えた名前だけそこに載ってる。有効に使うんだぞっ!」

冴「ええ、もちろんよ。感謝するわ」

蓮「そっちはお願いします、冴さん」

冴「任せて。何が何でも暴いてみせるわ」

蓮「よし、じゃあ俺たちはこれから乗り込もう。パレスへ」

竜司「おうよ!!」

モルガナ「サクッと終わらすぞ!」
46 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:06:00.47 ID:+9mh/Azpo
ー放課後 奉仕部部室ー


八幡「………」グテー

結衣「………」

雪乃「………」

八幡「………」ポケー

結衣「ねえヒッキー?」

雪乃「比企谷くん?」

八幡「ほぁ?なに?」

結衣「何かあったの?」

雪乃「………」
47 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:06:35.46 ID:+9mh/Azpo
八幡「これからちょっとな」

雪乃「用事でもあるのかしら?それにしては呆けすぎじゃないかしら呆け谷くん?」

八幡「ふぁあー。まあな〜いいだろ今ぐらい」グター

結衣「………」

雪乃「………」

ガラララッ

平塚「入るぞ」

雪乃「ノック先生」

平塚「えっ」
48 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:07:08.91 ID:+9mh/Azpo
めぐり「お邪魔するよ〜」

いろは「失礼しまぁす」

平塚「今日こそは大丈夫なんだろうな?」

雪乃「ええ、今日は大丈夫です」

八幡「………」ボケー

平塚「おい比企谷」

八幡「あへぁー」グテー

平塚「魚のように口開けるな比企谷…やる気をだせ。久しぶりの依頼者を連れて来たんだぞ?」

八幡「へー」グター

雪乃「どうぞ座って。話を聞かせてもらえるかしら?」

結衣「そだね!どぞどぞ!」
49 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:08:03.32 ID:+9mh/Azpo
ーひらつか説明中ー


平塚「………というわけなのだよ」

いろは「もうほんっとびっくりしちゃって〜ぇ。私的には生徒会長やらない感じでぇ」

八幡「こいつ女に嫌われてそうだな〜」

いろは「はあ!?」

結衣「ちょ!?」

めぐり「うわぁ」

雪乃「ぷぷっ」

平塚「おい比企谷…そういう事は口に出すもんじゃないぞ…どうした?お前らしくもない」

八幡「え?口に出ちゃってた?」

結衣「うん…思いっきり…」
50 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:08:33.34 ID:+9mh/Azpo
雪乃「それで?依頼はどういった内容になるのかしら?」

いろは「はぁ…。まあとにかく生徒会長にはなりたくないって事で……」

八幡「こっちが素かぁーさっきのあざとすぎだもんなぁそりゃ女に嫌われるよなぁ〜」

いろは「てめっ!?」

めぐり「わぁお」

結衣「ちょちょっとヒッキー!?」

雪乃「ぷふふぅっ!」

平塚「お前はまた…」

八幡「え?もしかしてまた口に出してた?」
51 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:09:12.08 ID:+9mh/Azpo
いろは「さっきからこの先輩野郎!何な」

ガラララッ

葉山「失礼するよ」

いろは「葉山せんぱぁ〜い!こんなとこで会うなんて奇遇ですねっ!」

葉山「何だ。いろはも来てたんだ?」

いろは「はいっ!てゆーか葉山先輩って今日は部活休みにしてませんでしたっけ?」

葉山「ああ、これから用事でね。比企谷、準備いいか?」

八幡「おう。んじゃ行くか」

結衣「え?ヒッキー隼人くんと遊びいくの?ってか依頼は!?どうすんの!?」

雪乃「一体どういうつもりなのかしらサボり谷くん?目の前の依頼者を放ってそこの金髪モンキーと遊びに行くというの?」

いろは「モンキー!?」
52 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:09:42.59 ID:+9mh/Azpo
八幡「遊びじゃねえけどこいつと用事でな。すまんがこれで帰る」

葉山「悪いね雪ノ下さん。それじゃ」

平塚「ちょっと待ちたまえ。別に友達と遊ぶなとは言わんが奉仕部を投げ出すのは看過出来んな比企谷」

八幡「は?こいつが友達なわけないじゃないっすか。ほんと元々こいつと共通の用事あったんすよ」

葉山「すいません先生。急いでるんで失礼します」

平塚「待て。話は終わってない」

八幡「先生…いやほんとマジで大事な用なんで勘弁してください」

ガラララッ

陽乃「ひっきがっやく〜んお待たせ〜ってあれ?」

平塚「陽乃…」

雪乃「姉さんまで…?」
53 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:10:15.51 ID:+9mh/Azpo
平塚「なんだ…お前絡みか?」

陽乃「え?何の話?」

平塚「とぼけるな。今度はこいつらをどうする気だ?」

陽乃「も〜うるさいなぁ。比企谷くんに隼人?時間ないよ、急がないと」

葉山「わかってる」

八幡「じゃすんません先生。俺は不参加って事で。もし俺が必要になったら後日聞きますんで。それじゃ」

平塚「仕方ない…わかった。陽乃、くれぐれも頼むぞ?」

陽乃「はいは〜い。じゃね雪乃ちゃん」

ガララッ…バタン
54 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:10:51.86 ID:+9mh/Azpo
結衣「なんか慌ててたね?ゆきのんも聞いてないの?」

雪乃「ええ。ただ…」

結衣「ただ?」

雪乃「姉さんのあの感じ…ただ事ではないわ。比企谷くんまた何か巻き込まれてると思うのだけれど」

結衣「そっかぁー。大したことないといいね?」

いろは「あのぉ…私の話は…?」

めぐり「お腹空いたな〜」

平塚「おはぎ食べるか?」
55 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:11:22.24 ID:+9mh/Azpo
ー陽乃の車内ー


八幡「で、葉山。首尾はどうだ?」

葉山「ばっちりだよ。可能な限り手に入れたから最低限の条件は整ったよ」

八幡「やるな」

葉山「まあね…さすがに自分の親の事だからさ。情報盗み出す手段はいくらでもある」

八幡「そうか。まあそうだよな。でも本当にいいんだな?この車が着く先ではもう退くことは出来んぞ」

葉山「大丈夫。そのあたりの覚悟はとっくに出来てる。そうじゃなきゃ情報を盗むなんて事しないさ」

八幡「それもそうだよな。わりぃ」
56 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:12:00.39 ID:+9mh/Azpo
陽乃「隼人の覚悟はいいとして、比企谷くんはどうなのかなぁ?」

八幡「え?俺ですか?そりゃもうとっくに」

陽乃「だけど比企谷くん、この件が上手くいけばその時は隼人の家がめちゃくちゃになっちゃうんだよ?」

八幡「はい。それに対する覚悟ももちろん出来てますよ。だから今こうしてるんです」

陽乃「そっか。わかった。じゃこのまま向かうね」

八幡「お願いします」



八幡(蓮………)
57 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:12:39.05 ID:+9mh/Azpo
〜時は遡って!!月29日〜

ー夜 とある橋の上ー


八幡「…マジかよ…」

葉山「………」ガクッ

陽乃「まあまあ隼人。落ち込む気持ちはわかるけど…というかあんたがそこまで落ち込むとこ見たの初めてかもね?」

八幡「そりゃそうでしょ…まさか自分の父親が弁護士って立場を利用して犯罪者を釈放させてるなんて…。確かに陽乃さんに情報収集頼みましたけどこんな闇が出るとは…」

葉山「父さん…」ギリッ
58 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:13:19.89 ID:+9mh/Azpo
陽乃「比企谷くん、これまで釈放されたのはまだいないの。ただ担当案件のほとんどが精神暴走事件の被害者として進行中でその釈放はまだ不確定なんだよ。あくまでそうしようと動いてる事は確定っていうだけでね」

陽乃「でもまぁ、犯罪者の無罪判決が出れば葉山弁護士の格は何段階も跳ね上がるのは間違いないね」

葉山「もうたくさんだ…」

八幡「葉山…大丈夫か?」

葉山「大丈夫なわけねぇだろ…あの精神暴走事件を自分の仕事に利用するような親だぞ!?」

八幡「そうだよな…すまん」
59 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:13:47.49 ID:+9mh/Azpo
陽乃「で?どうしようと考えてるのかな比企谷くんは?」

八幡「…こうなった以上、事を暴いて然るべきとこに突き出す他ないでしょう」

葉山「くそっ!!」

八幡「落ち着け葉山。頭ん中めちゃくちゃなんだろうけどよ。考える時だけは冷静になれ」

葉山「ふざけんな!他人事だからそんな事が言えるんだよお前は!」

八幡「他人事じゃねえよ」

葉山「お前からしたら他人だろ!?他人の親だろ!?どうなろうが関係ねえって事だろ!?」

八幡「まあな。そりゃ否定しない。だが他人事じゃねえ」

葉山「だったら何だよ!?」

八幡「俺の友達が危ないんだ。だから他人事じゃない」

葉山「…雨宮か…」
60 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:14:22.95 ID:+9mh/Azpo
八幡「葉山の親父を放置しとくとまた蓮に害が及ぶ。せっかく噂の上書きを終えて、消滅まで後は放置するだけって状況なんだ、だからお前の親父を放っておけない」

葉山「…はっ。自分の友達のためなら人の親がどうなろうが平気って事かよ…」

八幡「そうだ」

葉山「オラァ!!!」ズガッ

八幡「ぶぁっ!?」

陽乃「はい隼人そこまで。こないだ比企谷くんに殴られたよね?で、隼人は今一発返したんだからそれまで。下がりなさい」

葉山「……くそっ!!」

八幡「いってぇ…」
61 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:14:57.22 ID:+9mh/Azpo
陽乃「比企谷くんも、ちょっとは考えて言ったら?正直すぎだよ」

八幡「俺はもう迷わないって決めたんです。友達以外に容赦しないし、置いた距離を縮める気はない」

葉山「同感だな比企谷。俺だってそうだ。俺だって自分のグループ以外に容赦しない」

陽乃「あーもうめんどくさいなぁ。黙って協力するってだけの事がなんで出来ないわけ?」

八幡「そりゃ俺はこいつの事が嫌いだからですよ」

葉山「俺だって嫌いだ」

陽乃「だーからめんどくさいってんでしょうが。こんないがみ合いしてる場合?比企谷くんらしくないなぁ」

八幡「………」

葉山「………」
62 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:15:28.65 ID:+9mh/Azpo
葉山「比企谷に言われるまでもなく、俺は俺の事が嫌いだ。何度もお前に嫌いと言い返したが、別にあれは比企谷の事じゃない…俺だって心底自分が嫌いなんだよ」

八幡「………」

陽乃「………」

葉山「俺はこのまま親のマリオネットで、親の言うままに誘導されて生きてくんだろうよ」

葉山「学校では葉山隼人らしくいなくちゃならない。俺は常に作られたイメージの葉山隼人を演じなきゃならない。うんざりするよ」

葉山「やっと出来たあのグループだって、崩壊寸前だったしな。ほんと、誰よりもグループに固執してるくせに自分1人じゃ何も出来やしない。ただのクソ野郎だ」

葉山「でもな、それでもな。やっと出来た居場所だったんだ。それを守るために自分なりに努力したさ。だが結局はお前たちに救われた」

葉山「俺を嫌う人間に助けられるなんてな。みっともないぜ…俺は…。本当にお前が羨ましいよ、比企谷…」

八幡「そんな事ねえよ」

葉山「ああ?」
63 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:15:55.25 ID:+9mh/Azpo
八幡「お前はぼっちの何たるかをわかってない。お前が羨ましいと言ったのはな、何も背負うものがなかった時の俺だ」

八幡「かつての俺に対して言ったものだ。そうだろ?」

葉山「………」

八幡「今の俺は守りたいものがある。居場所がある。お前と何も変わらねえよ。違うのは意志1つだ」

葉山「…意志…?」
64 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:16:23.96 ID:+9mh/Azpo
八幡「そうだ。お前だって修学旅行のあの時、それなりに苦悩したと思う。苦しんだと思う。それを結果的には俺と蓮が解決した」

八幡「もしもあの時、お前がただ諦めて投げ出しただけだったなら俺はともかく蓮はああいう行動は取ってなかったぞ」

八幡「少なくとも蓮はお前の本当の気持ちや真意を聞いてから動く事にしたみたいだしな」

八幡「お前の本音の吐露がなければ、あの場で海老名さんにああいったのは俺だけだったと思う」

八幡「そうなれば雪ノ下とは仲違いに近い事が起きてただろうな。あの時、俺のやり方が1人で決めて実行した事なら拒否感を示す、みたいに言ってたしよ」

八幡「だからな、葉山。俺だって苦しんでんだよ。こえぇんだよ。失くしたくねえもんがあんだよ。そういうのがあるのはお前1人じゃねえ」

八幡「俺は蓮という大事な友達を守ってやりたい。葉山、お前は何のためにここにいるんだ?」

葉山「………」
65 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:16:56.78 ID:+9mh/Azpo
葉山「俺は…俺らしさを守りたい…。居場所だってそうだ…。誰かの操り人形のまま生きていくなんてもう嫌なんだ…」

八幡「じゃあそれでいいだろ?お前がこれから動く理由は自分のため。いいじゃねえか、十分デカい理由だろ」

葉山「そうか…そうだな……」

八幡・葉山「フッ……」


陽乃「青春だねぇ…クッサいねぇ……クサすぎて芳香剤置きたいぐらい鳥肌ぶるぶるでお姉さん感動しちゃったぁ!!」
66 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:18:02.71 ID:+9mh/Azpo
八幡・葉山「………」

陽乃「俺は守りたい!」キリッ

八幡・葉山「………」

陽乃「失くしたくないんだ!」キリッ

八幡・葉山「………」

陽乃「俺はま」

八幡・葉山「すみませんもう勘弁してください」
67 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:18:37.10 ID:+9mh/Azpo
葉山「で、どうする?どうすべきだ?」

八幡「そうだな…さっきも言った気がするがこのまま放っておけば確実に蓮を貶める何かを仕掛けるだろうな。そしてそれはしばらく続くだろう」

陽乃「そうだねぇ。せっかく出来たお友達があれこれ言われ続けるのも比企谷くん的にはなしだもんね?」

八幡「もちろんなしです。とはいえどうするか…相手は大人、しかも弁護士だからな…。というか…そもそもどうして蓮を目の敵にする?なぜ蓮だけに執着する?秀尽を中心に確かな因縁はあるが」

葉山「さあ…?流れからすると鴨志田絡みなのは間違いないだろうけど…」
68 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:19:13.95 ID:+9mh/Azpo
陽乃「たぶん葉山さんは箔を付けたいんだよ」

八幡「そんな単純な理由なんすかね?」

葉山「確かに陽乃さんの言う通りだと思う。父さんは多分、鴨志田が蓮に秀尽で何かされたと思ってるんじゃないかな?」

葉山「そして父さんはあれだけ騒がれた容疑者を冤罪で釈放させれば、やつを救った弁護士としてかなり評価されるな…」

八幡「なるほど…それは確かに”箔”だよな。けど蓮は教師に何かするようなタイプか?」

葉山「違うだろう。何かしたかしてないかまではわからないけどな」
69 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:19:53.19 ID:+9mh/Azpo
八幡「もしかして…蓮って鴨志田を社会的に確実に葬れる何かを知ってるんじゃないか?その何かは葉山の親父をも引きずり下ろす何かで…」

八幡「それか別の追撃の何かを持ってる。秀尽って場所が場所だけに、怪盗団に鴨志田の非道をリークしたのが蓮とか…?」

八幡(まさかとは思うが…蓮の隠し事ってのは鴨志田絡みか?だったら頷ける。誰にも言えるわけがない。実際ああして蓮は目の敵にされちまってんだから)

八幡(同じ秀尽だった鈴井には何もない所からしても……)

八幡「うーん………なくはないだろうが憶測の域を出ないな。だが蓮に動かれると葉山の親父が困るってのは確実だろう」

陽乃「そうだね。彼にしかわからない決定的な何かがあるのは間違いないと思うよ」
70 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:20:20.51 ID:+9mh/Azpo
葉山「父さんは警戒してるんだな…雨宮さんを。転校したばかりの学校でいきなり迫害されたんじゃ、普通は鴨志田どころじゃない」

八幡「そうだよな…そういう裏でもないと辻褄が合わないよな…」

陽乃「お姉さんもそう思うなぁ」

八幡「何にしても憶測しか出せそうにありませんよね…ただ鴨志田絡みなのは間違いなさそうだ」

葉山「そうだね」
71 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:21:00.11 ID:+9mh/Azpo
陽乃「ちなみにだけど、その鴨志田が釈放間近みたいだよ」

八幡「はあ?あんだけ騒がした上にそもそも自首じゃありませんでしたっけ?」

陽乃「うんそう、自首。だけど鴨志田の弁護についたのが葉山弁護士。そしてこれまでの情報をまとめると…?」

葉山「父さんは何としても鴨志田を精神暴走事件の被害者として仕立て上げるつもりなんだ。そうなれば鴨志田は加害者から一転、被害者に…ははっ、よく出来たシナリオだよ。父さんだけが得するように出来てる」

八幡「葉山…」
72 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:21:33.51 ID:+9mh/Azpo
葉山「………提案があるんだが」

八幡「何だ?」

葉山「父さんの悪事を暴こう」

八幡「どうやってだ?このファイルじゃ噂程度にも信じてもらえねえぞ?」

陽乃「そうだね。私がかき集めた情報に間違いはないけどね。問題はそれを受け取るのが警察だったら…文字通り紙くずにしかならないね」

葉山「わかってる。だが…だが父さんの身の回りから出たものなら証拠としては十分だろ?」

八幡「つまりお前が動かぬ証拠を探すってことか?」

葉山「そうだ。何が何でも見つけ出す」
73 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:22:00.92 ID:+9mh/Azpo
陽乃「隼人、事を構えるのなら今のうちに言っておかないといけないんだけど」

葉山「はい」

陽乃「雪ノ下家と葉山家、これまで散々良いお付き合いをしてきた。けどそれも終わりになるよ」

葉山「当たり前の事だな…」

陽乃「あんたはそれで良いんだね?と言っても親同士の付き合いでしかないから今ここで何を言っても無駄な事ではあるけどね」

葉山「いや、大丈夫…。そのつもりでやれって事ですよね?」

陽乃「そうだよ。やるからには決して後戻りは出来ない。あんたも色んなもの無くしちゃうよ。それでもいいんだね?」

葉山「いいんだ。俺はやる。俺がやるよ…やってやる!!」

陽乃「だってさ、比企谷くん?」

八幡「わかった」
74 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:22:37.19 ID:+9mh/Azpo
八幡「ちなみに陽乃さん、情報収集の過程で物的証拠が出たりしました?」

陽乃「それが何度洗っても状況証拠止まりなんだよねぇ…私もね、証拠は必要と思うからこっそり関係者を当たったりもしたんだけど…」

八幡「当たった?誰にですか?」

陽乃「大山田元医局長。その人は元々うちの親の知り合いでね。ところが怪盗団によって改心させられた」

八幡「怪盗団!?つか雪ノ下家まで怪盗団と遠からず関わりあるとは…」
75 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:23:34.21 ID:+9mh/Azpo
陽乃「まあね。その医局長は自分の部下が優秀すぎるものだから無理やり辞めさせたりしたんだって」

八幡「パワハラみたいなもんすか?へぇ………つかもしかしてその人が葉山の?」

陽乃「そう。葉山弁護士が担当する犯罪者の精神鑑定先を斡旋してたの」

八幡「あ、斡旋すか…てっきりそいつが直接鑑定して葉山の親父を有利にしてたのかと」

陽乃「大病院とはいえ医局長止まりだからね。犯罪者の精神鑑定なんて回って来ないよ。ただ特定の鑑定人に仕事を回す事は出来る」

陽乃「だから大山田は葉山弁護士から仲介料を受け取り、精神暴走事件の被害者と認定させる事が出来る相手を紹介し続けた。鑑定一回につきいくらってね」

陽乃「ところが怪盗団によって改心され、悪事を自ら公にして大山田は辞職へ。その後、鑑定人との繋がりを絶たれた葉山弁護士は功を焦り、直接その鑑定人に連絡を取った」

陽乃「そのせいで私に足を掴まれるとも知らずにね。たぶん明日にも詳細を話し合うんじゃないかな?鴨志田の鑑定についてね」
76 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:24:15.64 ID:+9mh/Azpo
陽乃「はっきり言って大山田を通し続けてたならここまでの事はわかりっこなかったよ。葉山さんが自ら動いた事でわかった事だからね」

八幡「なるほど。水面の波紋は必ず広がるもんだからな…それで陽乃さんとしても掴みやすい状況だったのか。葉山、お前どう思う?」

葉山「どうもこうもねぇよ…俺の親父、ただの悪人じゃねえか…」

陽乃「その悪人の手であんたは育ててもらったんだから。育ててくれた事には感謝しなきゃね?」

葉山「陽乃さん…そういう笑えない皮肉はやめてくれませんか?いくら陽乃さんでも殴りたくなる」

陽乃「そう?悪かったねごめんごめん」

八幡「とにかく、陽乃さんのおかげで情報は手に入った。あとは行動だな」
77 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:24:49.37 ID:+9mh/Azpo
陽乃「その行動はどうする気?さっきも言ったけど警察なんかあてにならないよ?」

八幡「そこなんですよねぇ…」

葉山「警察がダメなら検察じゃないか?」

陽乃「あんた検察に知り合いいるわけ?」

葉山「いるわけない」

八幡「ちょっと期待しちゃったじゃねえかよ…。陽乃さんはどうですか?」

陽乃「いなくはないけど…どうかなぁ?さすがに信用出来る検察の人間となると…」

八幡「あ、そっか…検察の人間ならそれでいいかっつーとそうじゃねえか…ちゃんと信用出来る人間じゃねえと…」

葉山「どうする?」

陽乃「どうしようね?」

八幡「どうすっか…?」
78 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:25:26.66 ID:+9mh/Azpo
八幡「つかさっきの話の大山田って人は訴えられてないんすか?」

陽乃「そこがおかしいんだよね。厄介な個人を辞職させて、我が病院はこいつとは何の関係もありません!っていうだけならわかるんだけど」

陽乃「大山田の場合はね、すぐに身元引受人が現れたの。そしてどっかに消えちゃった。だから私も情報を追いかけきれなかったわけ」

八幡「なるほど…それで状況証拠止まりって事か」

陽乃「ちなみにその身元引受人がね、どうやら政治家らしくて。そのお抱えの弁護団が付いてるから誰も下手に訴訟なんか起こせないんだよ」

八幡「政治家ぁ!?」

葉山「何か…どんどん事が大きくなってないか?」
79 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:25:56.64 ID:+9mh/Azpo
陽乃「そりゃ大物政治家の1人や2人関わってるでしょ。弁護士からしたら不利な犯罪者を助けるって良いビジネスだもん。医者にとってもね。ついでに警察からすれば、容疑者確保した時点であの精神暴走事件を真面目に扱ってますよってアピールにもなるし」

陽乃「ま、その警察内部の実情は当然、金と利権でズブズブなわけだけど」

八幡「ちょちょちょ…てことは政治家に警察が敵!?マジすか…どこのドラマだよどこの映画だよ…」

陽乃「おやおや?今ごろ気付いたの?」

葉山「さすがにスケールが…」
80 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:26:27.70 ID:+9mh/Azpo
陽乃「そうだよね。だから今ならまだ間に合うよ」

八幡「何にですか…?」

陽乃「見なかった事で済ませられる」

葉山「………」

陽乃「2人とも、じっくり考えなさい。この件は本当に闇の根が深い問題だから。正直言うと、一介の学生が関わって良い範疇を大きく超えてる」

八幡「はい…」

葉山「そうだな…」
81 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:26:59.13 ID:+9mh/Azpo
陽乃「ただまぁ、それでも彼は真正面から戦ってるよね。戦ってるからこそ、転校してきた先にまでこんな手が回ってしまう。もちろん、どういう戦いなのかは私たちにも誰にもわからないけど」

八幡・葉山「………」

陽乃「ま、いいよ。今日は解散にしよう。明日中には2人とも答えを出しておくように。同時に覚悟もね」

陽乃「やるならやる覚悟、やらないならやらない覚悟を」

八幡・葉山「………」
82 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:28:02.94 ID:+9mh/Azpo
〜時は現在に戻って11月30日〜

ー放課後 陽乃の車内ー


陽乃「2人とも、そろそろだよ。心の準備はいいかな?」

八幡「いつでも」

葉山「どこでも」

八幡・葉山「よろこんで」

陽乃「何だかんだ言いながら仲良く見えるんだけどなぁ」


ブロロロ………キッ
83 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:28:49.08 ID:+9mh/Azpo
陽乃「………さ、着いたよ」

八幡「はーっ…」

葉山「………」

陽乃「比企谷くん?」

八幡「はい?」

陽乃「メガネちょっとずれてるよ。ああもう髪もほら、もっとこう…………これでよし。頑張ってね」

八幡「………うっす」

葉山「じゃ、行こうか」

八幡「おうよ」
84 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:29:31.16 ID:+9mh/Azpo
ー葉山法律事務所ー


ガチャッ…

隼人「こんにちは」

八幡「失礼します」

従業員「あら隼人くん、いらっしゃい。お父様は応接室でお待ちよ」

隼人「どうも」

従業員「あなたもどうぞ?」

八幡「はい。失礼します」

スタスタスタ…ガチャッ
85 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:39:40.35 ID:+9mh/Azpo
ー応接室ー


葉山弁護士「おう隼人。時間通りだな」

隼人「ああ父さん。あ、彼が弁展高新聞部のヒラキヤくんだよ」

八幡「お忙しい所すみません。初めまして、開屋です。今日はわざわざお時間作って頂いて…」

葉山弁護士「なんだなんだ。最近の学生はやけに堅苦しいんだな。こういう所は初めてで慣れないだろうが、そう堅くならずに気を楽してくれ」

八幡「ありがとうございます」

隼人「座ったらどうだ?」

八幡「そうだね」
86 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:40:22.56 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士「私もこういったインタビューは慣れてなくてね。弁護士という職業について質問に答えれば良かったんだよな?」

八幡「はいそうです。弁護士を進路にと考える生徒はいますので。彼らに向けた職業インタビューという形で掲載させてもらえたらと思ってまして。よろしくお願いします」

葉山弁護士「いやいやこちらこそよろしく。開屋くんだったね?それで、私は君に何を教えてあげれば良いのかな?」

八幡「じゃあ質疑応答って形で質問させてもらっても構いませんか?」

葉山弁護士「ああ、もちろんだとも」

八幡「まずはじめに、この場を作ってくれた事に感謝します。葉山くん、ありがとう。僕らの我儘聞いてくれて」

隼人「いや、構わないさ。進路ってのは大事なものだから。その進路を決める材料を得る場をたまたま作れただけさ」

葉山弁護士「なかなかどうしてしっかりした学生じゃないか。これからも隼人と仲良くしてやってくれ」

八幡「もちろんです」ニコッ
87 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:41:05.91 ID:+9mh/Azpo
八幡「では早速。葉山さんの弁護士とは?」

葉山弁護士「………ん?今のは質問かい?」

八幡「すいませんちょっと緊張しちゃってて…」

隼人「まあまあそう堅くなるなよ。じゃ父さん、後はよろしくね」

葉山弁護士「ああそうだな。ついでに飲み物かお菓子でも持ってきなさい。開屋くん、君もリラックスしたまえ」


ガチャッ、バタン
88 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:41:35.46 ID:+9mh/Azpo
八幡「すいません…実は喉カラッカラでして…」

葉山弁護士「はっはっは。そうか。まあ生徒の中には自分の進路を決めるのに重要になるかもしれない質問だからな。無理もない」

八幡「では改めて。葉山さんにとって、弁護士という職業はどのような…その…」

葉山弁護士「まだ緊張してるようだね。私が弁護士という仕事をどう思ってるか、でいいのかな?」

八幡「はいそうです。すいません」

葉山弁護士「そうだね、弁護士というのは弱い立場の人を守る事が出来る。いわばヒーローのような職業だと私は思っているよ」

八幡「ヒーローですか」
89 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:42:17.94 ID:+9mh/Azpo
八幡「葉山さんは弁護士になるためにどれほど勉強されたんですか?」

葉山弁護士「勉強か。まあこればかりは個人差のある問題だな。私は…正直言うと、あまりしていなかったんだよ。はっはっは」

八幡「そうなんですか?それでなれるものなんですか?」

葉山弁護士「もちろん最低限の努力は必要だがね」

八幡「そうですよね。葉山さんがこれまで担当された事件ってどういうのがあるんですか?」

葉山弁護士「そうだな。色々あるが…さすがに全ては覚えていないな。それなりに有名な所で構わないかい?」

八幡「はいもちろんです」
90 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:42:50.49 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士「最近のだと詐欺教祖の事件だろうか」

八幡「詐欺教祖?」

葉山弁護士「そうだよ。勧誘の入り口に占いを使っていた宗教団体のようなもののリーダーで教祖と呼ばれていてね。前に報道がされたんだが。あれは私が担当しているんだよ」

八幡「それって具体的にどういう事件だったんですか?」

葉山弁護士「自称占い師の女性を使って道行く人を占い、お客さんに対して有る事無い事でっち上げてホーリーストーンという高額商品を売りつけた……とまあよくあるタイプの話だね」

八幡「その売りつけられた人を守ったって事なんですね?」

葉山弁護士「いや、逆だよ」

八幡「逆?」
91 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:43:28.48 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士「その占い師を雇っていた上司こそ詐欺教祖と呼ばれていた被害者だったんだ」

八幡「えっ?でも詐欺師なんですよね?その教祖って」

葉山弁護士「彼は詐欺なんかしてないんだよ」

八幡「そうなんですか?じゃあ何で詐欺に?」

葉山弁護士「その女性占い師が上司の教祖は詐欺師だと告発した上、自首を促したせいなんだ」

八幡「待って下さい。えっと…詐欺と自覚してるから自首したし、罪と自認してるから告発されてそれを受け入れたんじゃないんですか?」

葉山弁護士「その女性占い師の勝手な思い込みで告発されてしまったんだよ。そしてあれよあれよという間に詐欺師扱いされてしまったんだ」

八幡「そういう事が起きるんですか?」

葉山弁護士「これは誰にでも起こり得る事だよ?無実なのに罪をかぶせられるというね。そしてその無実の人を救うのが弁護士の努めなのだよ」

八幡「………」
92 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:44:02.45 ID:+9mh/Azpo
八幡「でも事件として扱われてる以上、無実なんてありえないんじゃないんですか?」

葉山弁護士「そうだね、事件とされてしまった以上は身の潔白を証明しなければならない。そこで私たち弁護人の出番というわけだ」

八幡「では…その人が本当に罪を犯していたら?」

葉山弁護士「その時はあらゆる観点から罪の軽減を図るんだ。誰だって元々悪い人間なんていないだろう?」

八幡「どうなんでしょうね…?」

葉山弁護士「ちょっと魔が差してしまっただけの言わば衝動的犯行に対して極刑はあまりにも重すぎる。そう思わないかい?」

八幡「まあ…そうですかね」
93 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:44:40.13 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士「例えば故意で殺人を犯したのなら別だが、故意でないアクシデントの範疇で殺めてしまった。なら罪の軽減はあって然るべきだろう」

八幡「なるほど…そういう事になるんですね。でも中には本物の極悪人もいるんじゃないですか?」

葉山弁護士「ま、それはそうだね。人とはそういうものだから」

八幡「そういう極悪人でも肩を持つんですか?」

葉山弁護士「それが仕事だからな」

八幡「それって…どの辺がヒーローなんですか?さっき弱い者を助ける仕事だって言ってましたけど。やってる事は真逆じゃないんですか?」

葉山弁護士「はっはっは。そうだね。だが本物の極悪人だと証明されるまではその人だってごくごく普通の一般人と変わらないという事さ」

八幡「………」
94 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:45:26.54 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士「ま、君の言いたい事もわかる。だが青臭い考え方では真実は追えないし、本当に弱い立場の人を守る事も出来ないものなんだよ」

八幡「そうなんですか。ちなみにその詐欺教祖ってどうなったんですか?」

葉山弁護士「まだ裁判の途中でね。あまり多くは話せないが…まあいいだろう。ここだけの話だよ、いいね?実はその教祖と呼ばれた人はね、精神暴走事件の被害者である可能性が高いんだ」

八幡「えっ…あの精神暴走事件のですか?」

葉山弁護士「そうなんだ。さっきも言っただろう?元々悪い人間などいない。環境や流れからたまたま悪と呼ばれる行為に至ってしまっただけなんだよ」
95 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:45:57.79 ID:+9mh/Azpo
八幡「えっ…でも詐欺ですよね?詐欺師って故意以外にやれっこないんじゃないですか?」

葉山弁護士「ではその故意が、あの精神暴走事件によるものであればどうだい?」

八幡「…罪ではない、と?」

葉山弁護士「その通り。精神暴走事件という大きな事件の被害者なんだよ。よってその詐欺教祖と呼ばれた人も元を正せば被害者なんだ。私はそうした、弱い立場に置かれてしまった人たちを救っているのさ」

八幡「なるほど…」
96 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:46:32.10 ID:+9mh/Azpo
ブーッ…ブーッ…

葉山弁護士「携帯鳴ってるようだが?」

八幡「あ!すいません…」

葉山弁護士「はっはっは。君は記者としては失格のようだね?」

八幡「そうですよね!すいません本当こういうの慣れてなくって…」

葉山弁護士「まあいいさ。出なくていいのかい?」

八幡「はい。メールだったので……」


隼人【完了だ。もういいぞ】
97 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:47:18.80 ID:+9mh/Azpo
八幡「…………はい、すいません続き大丈夫ですか?まだお時間って…」

葉山弁護士「ああいいよ、気にしないでくれ」

八幡「どうもありがとうございます。じゃあえっと…あ、もうこんな時間ですね。最後の質問でいいですか?」

葉山弁護士「ああ、構わないよ」

八幡「つい先日テレビで鴨志田容疑者が釈放になるんじゃないかってニュースあったのご存知ですか?」

葉山弁護士「もちろん」

八幡「ああいう本物の犯罪者についてはどう思います?」
98 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:48:05.44 ID:+9mh/Azpo
葉山弁護士「本物?どうしてそう思うのかな?」

八幡「だって自分の立場を利用して生徒殴ったり蹴ったり、おまけに女子にセクハラしてたんですよ?こんなのさっき葉山さんが言ってた故意以外の何物でもないと思うんですけど」

葉山弁護士「なるほど君はそう見るのか」

八幡「はい。学生としてああいう本物の犯罪者が教師って立場にいたなんて吐き気しますよ」

葉山弁護士「………」
99 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:48:45.17 ID:+9mh/Azpo
八幡「気に入らない生徒を退学させようとしたりするなんて頭どうかしてるとしか思えません。葉山さんだって弁護士って仕事してなければ同じように思ったんじゃないですか?」

葉山弁護士「さて…どうだろうな」

八幡「え?思わないんですか?弱い立場の人を救うって立派な思想を掲げた人なのに?」

葉山弁護士「立派だなんて事はないよ。弁護士という仕事に対してはそう思っているだけでね」

八幡「ならそれがなければ僕と同じ考えで、同じように嫌な気分になる事件と思いません?」

葉山弁護士「まあそうかもしれないね」
100 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:49:19.34 ID:+9mh/Azpo
八幡「でも何であんな本物の犯罪者が釈放されるかもって話になっちゃうんですかね?不思議でしょうがないんですけど…その辺、弁護士としてどう思われますか?」

葉山弁護士「それはもちろん、鴨志田容疑者が無実でその嫌疑が晴れるからそういう結果になるだけだよ」

八幡「え?まだ晴れてませんよね?というかとても晴らせるものじゃないと思うんですけど…」

葉山弁護士「腕の良い弁護人なら話は別だ」

八幡「葉山さんのような?」

葉山弁護士「はっはっは。どうだろうな?」

八幡「あの鴨志田ってやつを取り巻く話って…なんか妙な感じしません?」

葉山弁護士「妙というと?」
101 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/17(日) 21:49:54.64 ID:+9mh/Azpo
八幡「…いえ、何でもないです。忘れてください」

葉山弁護士「開屋くん?言いかけで止めるのはナンセンスだよ」

八幡「じゃあ…。だって自首したくせに無罪放免なんてどう見てもおかしいですよ。それに体罰とか事実だったんですよね?ほら、ニュースやってた時に生徒インタビューやってたじゃないですか?」

葉山弁護士「まあ一部ではそういう声もあったようだね」

八幡「一部?いいえ全部でしたよ?僕が個人的に鴨志田周辺を調べた所では」

葉山弁護士「鴨志田周辺を………調べたのかい?君は変わった趣味をしてるね」
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