【P5x俺ガイル】八幡「やはり俺の友達は9股するなんてまちがっている」

Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

102 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:26:10.85 ID:8sXGoiCpo
ーはやま説明中ー


八幡「相模が蓮の噂を流した…?」

葉山「そうなんだ。十中八九、彼女とその取り巻きによる仕業だね」

八幡「そいつはついさっきここで出た名前だ。正直、疑う理由もないんだが一応聞かせてくれ。その流れと根拠は?」

葉山「ああ、それなんだけど…」

ガララッ


平塚「雨宮、いるか?」

雪乃「先生ノックを」

平塚「コンココーンっと。雨宮、ちょっと来てくれるか?急ぎだ」
103 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:27:08.13 ID:8sXGoiCpo
蓮「はい。わかりました。じゃあ皆また。葉山、後はよろしく」

葉山「ああ、任せてくれ」

八幡「またな」

結衣「ばいばーい!」

海老名「またね〜」

雪乃「さようなら」


八幡「…で?」

葉山「これはここだけの話にして欲しいんだが…」
104 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:27:42.24 ID:8sXGoiCpo
ー生徒指導室ー


平塚「すまないな雨宮。あの場で話すわけにもいかなくてな」

蓮「いえ」

平塚「で、本題なんだが…何というか…」

蓮「??」

平塚「お前はその、彼女とかいるのか?」

蓮「いいえ」キリッ
105 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:28:14.55 ID:8sXGoiCpo
平塚「そうか…。じゃあ…好みのタイプはどんなだ?」

蓮「年上タメ歳年下です」キリリッ

平塚「?!そ、そうなのか…。そうか…どれぐらい上までOKなんだ?」

蓮「どこまでも」キリリリッ

平塚「どこまでも?!どこまでも!?じゃあお前はその、年上はアリなのか?!」

蓮「アリ」アリリリリッ

平塚「そっそうか!そうなのか!」

蓮「………」
106 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:28:51.08 ID:8sXGoiCpo
平塚「そうか年上はありなのか…そうかむふふふ…」

蓮「先生?」

平塚「あ、いや!すまん!本題はそうでなくてだな…その、なんだ。お前はあれか?」

蓮「あれです」

平塚「そうか…あれなのか……いや待て!あれって何かわかって言ってるのかね!?」

蓮「勢いで言っただけです。どれの事ですか?」
107 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:29:31.82 ID:8sXGoiCpo
平塚「男もイけてしまうのか!?」

蓮「はあ?」

平塚「んっ!?」

蓮「…もしかして朝の噂の事ですか?」

平塚「そうだそれだよ!お前はそうなのか?その……そうなのか!?」

蓮「違います」

平塚「そっか!そうかぁあはは!まあでも、私なら気にしないぞ!?例えお前と比企谷がデキていようと最後に私の元に戻ってくるのなら!」

蓮「何言い出してんだこの人」
108 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:34:30.02 ID:8sXGoiCpo
ー奉仕部部室 はやま説明中ー


葉山「……というわけなんだ」

雪乃「不愉快ね」

葉山「まあそうだよね。でもその子から聞いた状況からしてもそうとしか思えないんだ」

結衣「さがみん…」

八幡「………」

葉山「なあ比企谷…」

八幡「なんだよ?」

葉山「出来ればやんわりと収める形にならないか?」

雪乃・八幡「………」
109 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:35:09.44 ID:8sXGoiCpo
結衣「そうだね。ちゃんと言えば反省するかもだし…」

雪乃「それはないわね」

八幡「それはないな」

海老名「ないだろうねぇ」

葉山「やっぱりそう思うか…。ならせめて、痛すぎない程度には…」

雪乃「無理よ。あなたもわかっている事でしょう?あの文化祭以降お互い敵以外の何者でもないのよ。よって手加減する必要もないのだけれど」

八幡「そうだな」

結衣「2人とも…なんか怖いよ…」
110 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:35:51.30 ID:8sXGoiCpo
八幡「怖いか?そう見えるか。じゃあやっぱ俺は怒ってるんだな」

雪乃「……」

八幡「俺の友達を貶める噂流してよ。その犯人がわかってよ。なのに優しくしてやってくれなんて言われてもな。今の俺には無理だ」

結衣「ヒッキー……」

八幡「俺はずっとぼっちだった。これからもぼっちのつもりだった。でもあいつは違った」

八幡「俺なんかと正面きって友達って言い合えるホンモノなんだ。友達のためにキレるなんてドラマとかでしか存在しないと思ってたけど…」

結衣「…ほんとに怒ってるんだね?ヒッキー…」

八幡「ああ。すげぇムカついてる」
111 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:36:33.38 ID:8sXGoiCpo
雪乃「…羨ましい事だわ」

海老名「うん。本当にね」

葉山「すまない。もう何も言わないよ」

八幡「言っとくが葉山。お前は友達じゃねーからな。俺はお前が嫌いだ」

葉山「ははっ。俺も嫌いだよ」

雪乃「さて、どうしましょうか?今のままでは…」

八幡「そうだな…とにかく証拠だな。もしくは自白。というか何が何でも大衆の面前で自白させる」

雪乃「………」
112 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:38:12.19 ID:8sXGoiCpo
ー生徒指導室ー


平塚「すまんちょっと落ち着こう。コーヒーでもどうだね?」

蓮「いただきます」

平塚「ああ、あああ、あああれあれ?あれれれ?手がふるえ」

蓮「先生」ギュッ

平塚「はひゃ!?ななななんだ?!結婚指輪なら逆の手だよ!逆の手を握ってはめてよ!」

蓮「俺が淹れますから楽にしててください」ニコッ

平塚「入れる!?待って待って!私たちは教師と生徒なんだよ!?いくら一緒に住んでるとはいえまだそんないきなり入れるなんて!というかどこに!?どこに入れる気なの!?そもそもどっち派?!君は普通じゃない感じがするからアブノーマルな方面を私に期待しても限界があるよぉ!?」

蓮「素が出てますよ。あと黙ってくれますか」
113 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:38:55.75 ID:8sXGoiCpo
蓮「どうぞ」

平塚「ん……うまい。やはり君はコーヒーの淹れ方を熟知してるな」

蓮「屋根裏に住まわせてもらう代わりにお店の手伝いにこき使われましたから」

平塚「昨日のカレーも絶品だったしなあ。やはり君は只者ではないな」

蓮「褒めてるつもりですか?」

平塚「もちろん褒めているさ。君のような年齢で実に大したものだよ。比企谷にも見習わせたいものだ」

蓮「………」

平塚「まあ…君から言いにくいかもしれないから先に聞かせてもらうとするよ。ストレートに聴くが、今いじめられているのかね?」

蓮「いいえ全く」

平塚「そうか。ではあの朝の話は何なんだ?なぜこんな事になった?」

蓮「朝っぱらから学生2人が青春しただけですよ」ニコッ
114 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:39:25.75 ID:8sXGoiCpo
平塚「青春ねえ…。ふふっ…」

蓮「そもそも先生が言った事じゃないですか。比企谷ってやつがいるんだよろしく頼む、と」

平塚「む。まあ確かにきっかけは私の一言かもしれん。それでも君は本気であいつと関わり合ってくれているんだろう?」

蓮「はい」

平塚「雨宮。あいつはな、優しいやつなんだよ。優しすぎて周りを傷付けるぐらいなら自分が傷付くように仕向けてしまう。人によってはそれを強さと呼ぶのかもしれんが…」

平塚「私に言わせればただの逃げなんだ。だが比企谷に非があるとは言わないしとても言えない。私には何も出来ない事の方が多いからな。私を含め、あいつの自己犠牲を容認してしまう周りこそが現実から逃げていると言える。それはわかっているんだよ」

平塚「冴から聞いているよ。君も、君の仲間も居場所がなかったと。居場所のない君たちが自然と集まり、深く親しく強固な仲間になれたのだと」
115 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:40:10.69 ID:8sXGoiCpo
平塚「悪い言い方に聞こえるかもしれないが、それでも言わせてくれ。雨宮、居場所のない人間の気持ちを持つ君に…君にこそ比企谷を救ってほしい」

平塚「こちらに来て間もない君に酷なことを押し付けていると自覚している。だが、彼と関わる事で君だって比企谷に救われる何かがあると思うんだ」

平塚「今や本当の友人となれた君となら、きっと比企谷も変わっていけると思う。私はあいつを変えてやれない。変わるかもしれない”きっかけ”を与える事しか出来ない」

平塚「君も何かと大変なのは重々承知しているが…どうか頼む」

蓮「任せてください。八幡は俺の友達ですから」

平塚「そうかやってくれるか!はっはっは!ではラーメンでもおごってやろう!さあいくぞ!」

蓮「先生、ルール忘れてません?俺たち別々に帰らないと…って聞いてないよもう部屋出てったよあの人」
116 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:40:41.96 ID:8sXGoiCpo
ー夜 八幡宅ー


小町「……」モグモグ

八幡「……」モグモグ

小町「……」モグモグ

八幡「……にへぇ…」モグモグ

小町「ゴミぃちゃん」

八幡「なんだ?」

小町「ご飯食べながらニヤけないで気持ち悪いから」

八幡「にやけてねえよ」

小町「ほれ。鏡見てみ」

八幡「うーわ俺きっも」
117 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:41:16.44 ID:8sXGoiCpo
八幡(気付かなかった…俺ってこんなに口角がいや〜な具合に上がるのか…確かにきもいな!俺きもいな!)

小町「はあ…お兄ちゃんさぁ。朝から様子変だなぁって思ってたけどさぁ、今なんか輪をかけて変だよ?本当にどしたの?やな事あった?やな事がやな事すぎて臨界点超えた結果、良い事だって脳に錯覚させちゃった?」

八幡「小町。俺な…」

小町「うん…」




八幡「友達が出来たんだ」

小町「?!?!?!!?!?」
118 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:42:04.27 ID:8sXGoiCpo
ー平塚静宅ー


蓮「もしもし?はい、大丈夫です。…まあそれは…はい。今?お風呂いってます。……そんな事しませんよ」

蓮「冴さんが言うとシャレにならないです。隙あらば何かしらの罪かぶせようとしないでください。というか冴さんのジョークは重たいだけなのでやめてください」

蓮「ちょっとまってくださいね今変わりますから……静さん?静さん?」トントン

平塚「……」

蓮「あれ?静さん?」トントン

平塚「……」

蓮「あ、もしもし?中から返事がないので…ちょっと待っててください」

蓮「静さん?ちょっと開けますよいいですか?」

カチャッ
119 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:42:53.37 ID:8sXGoiCpo
平塚「……」

蓮「……」

蓮「すいません冴さん、また掛け直します。……はい。静さん浴槽で倒れてるというか…これ寝てると言った方がいいぐらいにグデった感じなので介抱しないと」

蓮「はい。じゃあまた。はい、おやすみなさい」

…プツッ…

蓮「モルガナ。静さんにタオルかけてくれ」

モルガナ「なんでワガハイが…んん?おほーっ!?…アン殿も捨てがたいがこの教師もなかなか………ごくり」

蓮「恩人を変な目で見るな」

平塚「えへぇ…年の差いいねぇ……」

モルガナ「寝てるのか倒れてるのかわからんが幸せそうだぞー?」
120 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:43:25.52 ID:8sXGoiCpo
モルガナ「ベッドに寝かせたはいいけどよ。なあ…ずっとついてる気か?」

蓮「ほっとけないだろ」

平塚「……」

モルガナ「お前もお人好しだよなぁ。確かに恩人ではあるけどな?こっちでのゴシュジンだし。それより…今頃あいつらどうしてるかな?」

蓮「寝てるさ」

モルガナ「確かに今は夜だけどよ!そういう事じゃねえよ!」

蓮「冴さんも気をつけてくれてるし、至って普通じゃないか?」
121 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:44:01.37 ID:8sXGoiCpo
モルガナ「そうだな。でもまさかこんな流れになっちまうとはなぁ…お前やっぱ”持ってる”よな〜!」

蓮「何が?」

モルガナ「とにかくお前は”持ってる”。そうでなきゃ、あの場所であいつに本当に殺られたかもしれないんだぞ?全てうまく行って今こうしてる時点でお前は”持ってる”んだよ!」

蓮「…どうかな。あの作戦は一か八かって要素が強かったし。本当に”持ってる”やつなら一か八かなんて賭けに頼る必要なかったと思う」

モルガナ「謙虚なつもりか?それとも慎重なのか?どっちにしてもお前は”持ってる”!ワガハイが保証する!」

蓮「ありがとう」
122 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:45:14.14 ID:8sXGoiCpo
モルガナ「それはそうと、あいつの話だ」

蓮「八幡か?」

モルガナ「そう。これはワガハイの勘なんだけどな。…ハチマンにはシャドウがいると思うぜ。もしくは…」

蓮「八幡にか…?」

モルガナ「ああ。今のところ確証はない。だがあの異世界を知ってるって確信はある!」

蓮「それは?」

モルガナ「いいか、よぉーく聞いとけよ?あの学校に行った初日に……」
123 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:46:02.98 ID:8sXGoiCpo
ー八幡宅ー

小町「嘘」

八幡「嘘じゃない」

小町「嘘だね」

八幡「嘘じゃないって」

小町「嘘だッ!!!!!!!!」

八幡「…小町ちゃん?そんな猟奇的な否定の仕方はお兄ちゃんの心をより一層えぐるのよわかる?」

小町「そんな…そんなバカな!携帯!携帯!雪乃さんに…携帯!」

八幡「お前にとって信頼出来る事実確認先はお兄ちゃんより雪ノ下なのか。お兄ちゃん泣いていいかな?」
124 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:46:48.02 ID:8sXGoiCpo
小町「……もしもし雪乃さんですか?!はい小町です!何で朝は出てくれなかったんですか!?お兄ちゃんがおかしいんです!友達が出来たなんて妄言雑言ついでに寝言を!寝てもないのに寝言を……えっ?」

小町「ガチ?リアル?…ええぇ!?……そうなんですか…はい。…はい…はいはい…ええぇ…。そんな?!お兄ちゃんはホモじゃないです妹萌えなはずです!でも…あ、なるほど戸塚さんは別……だったら…」

小町「…でも雪乃さん…小町は…。…はい…はい…え?でも…はい、わかりました…はい、おやすみなさいです」

八幡「………」

小町「うぉっほん」

八幡「………」

小町「お兄ちゃん!お友達出来てよかったね!!」ニコッ

八幡「うっぜ…」
125 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:47:44.01 ID:8sXGoiCpo
小町「小町どんな人か知りたいなー!明日連れてきてよ!」

八幡「まあいい…わかった。来るかどうかはわからんが誘ってみる」

小町「えー?友達なんでしょ?友達なら友達んちに遊びに来るって普通でしょ!だから来るでしょ!」

八幡「でもほら、急に言ってもあいつ用事あって無理かもしれないし」

小町「あーもーいいよお兄ちゃんは。いっそ小町が誘っちゃうから」

八幡「おいおい誘うってどうやってだよ?」

小町「そりゃお兄ちゃんの携帯使って小町が電話するんだよ!」
126 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:48:21.27 ID:8sXGoiCpo
八幡「番号交換してないぞ」

小町「はい?」

八幡「交換してないんだぞ」

小町「は?」

八幡「交換はしていないぞ」

小町「………」

八幡「………」

小町「お兄ちゃん……つらかったね…でも大丈夫だよ…小町がいるからね……」グスッ

八幡「ちょっと待つんだ小町。その重苦しい感じやめろ焦るから!あれはやっぱ夢だったんじゃないかと焦っちゃうから!」
127 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:49:18.74 ID:8sXGoiCpo
小町「じゃなんで交換ぐらいしてないの?おかしくない?」

八幡「そう言うなよ…俺だってテンパってたんだよ友達が出来たのが本当に嬉しくって…」

小町「うーん…じゃあとにかく一回会ってみたいからお友達呼んで!」

八幡「わかったよ。とりあえず明日聞いてみる」

小町「うん!ねーねーそのお友達ってどんな人?お名前は?趣味は?」

八幡「メガネイケメンで雨宮蓮くん趣味は知らない」

小町「よく遊びに行く場所は?通学は歩き電車自転車バスどれ?部活してるの?」

八幡「知らん歩いてた知らん」

小町「彼女いる?女友達と男友達どっちが多い?身長どれぐらい?」

八幡「知らん知らん俺より高い」
128 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:50:13.24 ID:8sXGoiCpo
小町「あのさお兄ちゃん」

八幡「なんだ妹よ」

小町「その人と普段どんな話してるの?」

八幡「………」

小町「………」

八幡「………」

小町「………」

八幡「そろそろ寝る時間だぞ小町。おやすみ」

小町「はあ…。会話は大事だよ?苦手かもしれないけどさ、せっかくお友達ってはっきり言える人と仲良くなれたんだから。だから誰にでもするみたいにそっけなくしちゃ駄目だからね!?」

八幡「おおおう…わかってるよ…」
129 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:51:00.39 ID:8sXGoiCpo
〜11月23日〜

ー朝 教室ー


蓮「おはよう八幡」

八幡「おう。おはよう蓮」

戸塚「む〜〜〜〜っ…」

八幡「ど、どした戸塚?」

戸塚「ボクは?」

八幡「え?E?」

戸塚「はちまん!ボクは!?」

蓮「彩加って呼んでほしいんじゃないか?」

八幡「あ…ああ。そっか彩加。うん彩加。おう彩加」

戸塚「えへへ…おはようはちまん!」

八幡「おう。おはよう彩加」
130 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:51:39.08 ID:8sXGoiCpo
戸塚「それにしても蓮と八幡いつの間に仲良くなったの?やっぱり青春した時から?」

蓮「ああそうだな。そこからだな」

八幡「よーし彩加ちょっと黙ろうか。蓮もちょーっと黙れな。つか彩加も普通に蓮って呼んでんのな」

戸塚「照れなくってもいいのに〜」

蓮「照れなくってもいいのにな」

八幡「うっせ…あ、蓮ちょっと耳かせ」

蓮「??」

八幡「例の依頼の件でお前に一つ指示がある」ヒソヒソ

蓮「なんだ?」ヒソヒソ

戸塚「なになに?」ヒソヒソ

八幡「それはな………近い。彩加、お前特に近い。あのな………」
131 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:52:45.14 ID:8sXGoiCpo
スタスタスタ……

蓮「おはよう葉山」

葉山「ん?やあ、おはよう雨宮」

戸部「雨宮くんちぃーっす」

蓮「ちーっす」

結衣「れんれんやっはろー!」

蓮「ゆいゆいやっはろー」

海老名「れんれんはろはろ〜」

蓮「ひめひめはろはろ〜」

優美子「………」イライラ

蓮「………」



八幡『お前への指示、それはな。今日から数日は葉山の周りにいろ。グループに入り浸れ』
132 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:53:38.23 ID:8sXGoiCpo
葉山「雨宮、紹介しとくよ。まず三浦優美子だ。そっちがアレであっちがソレだ」

蓮「よろしく三浦さん。あとアレソレも」

アレソレ「うぃー」

優美子「………」

葉山「ほら、優美子」

優美子「…つかあーし喉乾いたしー。新入りはジュースぐらい買ってくるもんしょ?」

葉山「おい優美子」

蓮「闇鍋缶なら持ってるよ。あげる」

戸部「なんつーアングラ感…いやアングラ缶!雨宮くんパネぇっしょーぉ!」

結衣「いいな〜あたしも飲んでみたーい」

蓮「たまたま一本しかないんだ。結衣には今度何かあげるよ」

優美子「………」



八幡『お前が葉山たちに混じってる間に俺が周囲の様子を見続ける。特殊能力、ステルスヒッキーを使い誰にも悟らせずにな。まずは周囲の反応からあらゆる可能性を搾り取るぞ』
133 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:54:28.93 ID:8sXGoiCpo
優美子「つかあーし飲みたいのレモンティだし」

蓮「ごめんな。レモンティは持ってないんだ。その闇鍋缶をあげるよ」

優美子「はぁ?ないなら買ってくればいいし」

蓮「ごめんな。お金持ってないんだ。その闇鍋缶をあげるよ」

優美子「はぁ?ないなら恐喝でもすればいいし。あんたそういう人間なんっしょ?」

葉山「ちょっ…おい!」

結衣「ありえない!優美子ありえない!」

優美子「はっ…はあ?!いきなり何だし!?」
134 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:55:08.12 ID:8sXGoiCpo
結衣「れんれんそんな人じゃない!優美子れんれんに謝るべきだし!謝れし!」

優美子「な、何よぉ…」

海老名「うーん。確かに今のは優美子が悪いと思うなぁ」

戸部「マジねーわぁ。優美子それマジないわぁ。いくらなんでもないわーぁ」

葉山「優美子。雨宮に謝れ」

優美子「…何だし!あんたらこいつに弱みでも握られてんじゃないの!?」

蓮「ごめん。みんな」
135 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:55:49.87 ID:8sXGoiCpo
結衣「れんれんが謝る事じゃないし!」

戸部「うんうん今のは優美子がワリーでしょーよぉ」

蓮「いや、いいんだ。いきなり悪い噂の張本人が目の前に来たら誰でも怯えると思うから。いきなり来て悪かった」

優美子「…何なのよぉ…」

葉山「それは違うぞ雨宮。君は何も悪くない。悪いのはくだらない噂を流したやつ。そうだろ?」

結衣「そうだよ!大体あの噂だってほんとは真逆の事なんでしょ!?だったら…」
136 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:56:45.33 ID:8sXGoiCpo
戸部「真逆って何よ?何の真逆?」

結衣「あっ…」

海老名「もしかして〜…結衣なんか知ってる感じかな?」

葉山(……そろそろか?)チラッ

八幡(うむ。今だ!やれ!!)カッ!!

戸塚「でね、その時ピュピュ〜って出ちゃったんだ!ボクびっくりしちゃったよぉ…ねぇ、はちまん聞いてる?」



八幡『展開次第では事の真相をその場で葉山たちに暴露させるが許せ。実は平塚先生からすでに聞いてる。その後、周りから変に同情されて居心地悪くなるかもしれないが…お前の希望である噂の消滅が最優先だからな』

八幡『もし同情的な目に耐えられなくなっても心配するな、俺たちがいる。だから我慢してくれ』
137 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:57:30.24 ID:8sXGoiCpo
〜時は巻き戻って11月22日〜

ー放課後 奉仕部部室ー

葉山「というわけで、雨宮の急な転入の真相は家庭内暴力が原因って事らしいんだ」

結衣「だからあんなに顔…傷だらけだったんだね…」

海老名「………」

雪乃「………」

八幡(家庭内暴力か…どうりで陰を感じたわけだ。俺とは違う別の陰。だから俺はあいつとならってすんなり感じられたんだろう。そうだったのか…)
138 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:58:20.37 ID:8sXGoiCpo
葉山「問題はその話になる”直前のみ”の話を相模さんが職員室の前で聞いてたって事」

海老名「直前のみ?」

葉山「ああ。その直前でされた話の中身こそが前歴の件。その件の後に出た話がさっきの雨宮は平塚先生の親戚の子とか、DV回避のため急な転入や手続きを全て引き受けたのが平塚先生らしいとかって話なんだ」

八幡(平塚先生が…?聞いてみるか。えっとアドレスはっと…)

八幡「で、葉山。何の直前なんだ?」

葉山「家庭内暴力の話になる前に例の前歴の話題が出ていたらしい。って話したよねたった今。俺の話聞いてなかった?」

八幡「すまん。葉山という物に興味がわかなくてつい」
139 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:59:02.81 ID:8sXGoiCpo
八幡「とにかくその前歴の話題が盛り上がる部屋の外にいたのが」

葉山「相模さんとその取り巻き2人。そしてあともう一人」

八幡「それをどうやって知ったんだ?」

葉山「そのもう一人の方がうちのサッカー部のマネージャーでね。彼女から聞いたからだよ」

雪乃「そのマネージャーという人は信用出来るのかしら?」

葉山「ああ。少なくとも相模さんらよりはね」

八幡「いやいや…だめだろ。そのマネージャーも相模たちと聞いちゃってるんなら噂の加害者なんじゃないのか?」

葉山「それはないよ。断言出来る」
140 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 21:59:59.47 ID:8sXGoiCpo
雪乃「なぜ?あなたのお気に入りの女だからとかかしら?」

八幡「雪ノ下。今はそういうのいらないから大人しくしててくれ」

葉山「ははは…」

海老名「隼人くん、続き聞きたいな」

葉山「ああ。なぜそのマネージャーは噂流しに加担してないか。それはね、とある事を言ったからだよ」

八幡「もったいぶんなよ」

結衣「その子なんて言ったの?」

葉山「”ああいう人間マジ嫌い軽蔑するわ”って心底鬱陶しそうにね」
141 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:00:45.56 ID:8sXGoiCpo
結衣「…え?それだけ?」

葉山「そうだよ」

雪乃「それだけで加害者でないと断言するのはあまりに早計だと思うのだけれど?」

葉山「そうでもない。そのマネージャーはね、誰に対しても可愛い自分を見せたがる子なんだ。それはもう完璧なまでにね。どんな時もどんな状態であっても、他人から見て最も可愛い自分であろうとする」

八幡「なるほどな」

結衣「えっと…つまり猫かぶっちゃってるってこと?」

海老名「そだよ〜よく出来ました結衣えらいえら〜い」ナデナデ

結衣「えっへへ〜」
142 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:01:28.93 ID:8sXGoiCpo
葉山「…まあ。うん、そういう子なんだ。なのに俺にその話をした時は隠すべき本性を少し見せて焦ってたからね。必死に取り繕ってたけど」

雪乃「そういう事ならまあ納得は出来るわね」

八幡「確かにな。猫かぶらない誰かさんみたいなのもいるけどな」

雪乃「それは誰の事を言っているのかしらね」

八幡「お前の場合は猫かぶるじゃなく、猫可愛がるだしな」

雪乃「ええそうよ。猫は愛でるものだわ」
143 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:02:25.90 ID:8sXGoiCpo
葉山「話戻していいかな?整理すると、うちのマネージャーが職員室へ行った。中では前歴持ちについての話題でヒートアップしていた。そこには相模さんらもいて盗み聞き」

葉山「一旦、中の様子が落ち着いた所でもうおしまいかと相模さんらはそそくさと消え、用事のあったマネージャーはその場に残った」

葉山「そこから聞こえて来たのは平塚先生の大声。前歴は事実ではない、家庭内暴力が事実だ…ってね」

葉山「こんな感じだね。ちなみに相模さんらはニヤニヤしながらその場を去っていったらしいよ」

八幡「決まりだな」

結衣「えっ?何が!?」
144 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:03:07.91 ID:8sXGoiCpo
海老名「いやぁこれはもう決定打じゃないかなぁ?状況的にも心象的にも」

雪乃「待ちなさい。まだ確たる証拠と呼べるものではないわ。だから葉山くん、そのマネージャーを呼んでくれるかしら?確かな証言が欲しいのだけれど。何より今の段階ではただの又聞きだから」

葉山「わかったよ。今からがいいかい?」

八幡「いや、タイミングはこっちで言う」

雪乃「なぜ?証拠がどうと言った私が言うのも何だけれど、証言を得られれば十分じゃないかしら?」

八幡「それじゃ足りない。蓮の依頼は”噂の消滅”だ。証言を得た程度じゃ悪い噂が流れた人物という状況が残ってしまう」
145 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:04:01.50 ID:8sXGoiCpo
八幡「それに…実は家庭内暴力が噂の真相でした、なんてあいつだって知られたくねえだろ…」

結衣「そうだよね…」

葉山「………」

雪乃「噂は勝手に広まり、勝手に燃えて、勝手に灰になるものよ。不愉快なものほどね。でもそれを広めた愚物は処罰すべきと私は思うのだけれど」

海老名「ちょーっといいかな?」

結衣「どしたの姫菜?」
146 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:04:43.47 ID:8sXGoiCpo
海老名「うん。あのさ、雨宮くんって噂の真相がDVでしたって知られて嫌がるタイプかな?」

八幡「そりゃ普通は嫌がるだろ…」

海老名「うん普通はね。でも彼ってなんか普通じゃない感じするじゃない?案外さらっと”うんそうだよ”ぐらい言っちゃいそうな感じしない?」

葉山「…なくはない、かな」

結衣「確かにそうかも」

八幡「お前ら程々にしとけ」

雪乃「比企谷くん?」
147 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:05:12.99 ID:8sXGoiCpo
八幡「DVって知られても平気ってあいつが言うんならまだしも、ここで俺らがそう決めつけていいもんじゃねえだろ」

八幡(かくいう俺も危うく平塚先生に聞いちゃうとこだったけども)

海老名「それはわかってるよ。でもね、彼は何か違うなって思うの。彼きっとそういうの気にしてない。気にしてないって言ってもね、DVは辛いんだと思うの」

海老名「辛いんだろうなって思うんだけど、彼の気は別の何かに重点を置いてそうっていうか…私ね、わかるんだよ」

結衣「なにが?」
148 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:05:52.35 ID:8sXGoiCpo
海老名「私みたいな趣味を持つ人ってね、平気な顔して汚い言葉とかキツい言葉で傷付けられたりする人いたりするの。仲良くなって色んな話をするうちに、DV受けてたとかいじめられてた聞かされたりもするの」

海老名「だからわかる。彼はDV受けてはいたんだろうけど、その心はDVに負けてないの。絶対。間違いなく」

葉山「何だか説得力があるな」

八幡「そうだな…」

雪乃「ええ…確かに」

結衣「うぅぅ〜……姫菜ぁ〜!」ギュー

海老名「苦しい苦しいくっつきすぎだよ結衣〜」
149 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:06:26.82 ID:8sXGoiCpo
八幡「うーん…。平塚先生に聞いてみようと思うんだが…どう思う?」

雪乃「いいのかしら?」

葉山「俺はいいと思う。姫菜の話で納得したし、雨宮本人を見る限り確かにあいつはDVなんかに負けてないと思う」

結衣「でもさ?もしさ?やっぱりれんれん嫌だった…ってなったらどうするの?」

海老名「その時は皆でごめんなさいするんだよっ!」

結衣「ええ!?なんかあっさりだ!?」

雪乃「そうね…彼としても全く逆の噂が独り歩きするよりは事実を知られる方がいいんじゃないかしら…」

葉山「俺もそう思うよ」

結衣「大丈夫かなぁ…?ヒッキーどうする?」

八幡「…よし、平塚先生に聞くぞ」
150 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:07:35.59 ID:8sXGoiCpo
ー自販機コーナーー

平塚「いやーすまんな雨宮。うっかり自分で作ったルールを忘れてあのまま君を教会まで連れ去る所だったよはっはっは!」

蓮「別に大丈夫ですよというか教会に何しに行く気だったんですか。それよりラーメン行くんですか?」

平塚「せっかくだ、ラーメンついでに散策でもどうだね?君もこの街に少しでも慣れておきたまえ」

蓮「わかりました」

平塚「とはいえ一緒に出歩くのもな。すまんが先に…」

キャンユセーレブレーキャンユキースミートゥナーイウィーウィラー

平塚「ん?なんだメールか。いい加減、おすすめ婚活サイトの迷惑メールにはうんざりしているのだがついつい見てしまう。なぜだろうなぁ雨宮?なぁ?なっ?」

蓮「結婚しますか」

平塚「………」
151 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:08:25.31 ID:8sXGoiCpo
はちまんきゅん【平塚先生に聞きたい事があります。雨宮の噂についてです。】

はちまんきゅん【噂の真相は前歴などではなく家庭内暴力から逃げるためだと耳にしました。】

はちまんきゅん【もしまだ帰ってないなら教えられる範囲で構わないので教えて欲しいんです。】

はちまんきゅん【時間大丈夫でしたら奉仕部にお願いします。】


平塚「……雨宮。一ついいか?」

蓮「??」
152 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:09:14.13 ID:8sXGoiCpo
ー奉仕部部室ー

八幡「メール送信っと」

葉山「今日中に何か聞けると良いんだけどな」

海老名「あ、それでそのマネージャーの子はどうするの?呼ぶの?」

八幡「とりあえずはいらねえだろ。平塚先生が来るならだが」

葉山「まあそうだね」

八幡「ただそいつらの様子についてはもうちょっと知りたいがな」

葉山「様子というと?」

八幡「そのマネージャーから見た相模たちの様子だよ」

葉山「ん…そうだね。じゃあ俺が聞いておくよ」
153 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:10:15.53 ID:8sXGoiCpo
雪乃「ただ聞くだけではダメよ?わかってるとは思うのだけれど」

海老名「そうだね。隼人くんについうっかり本性晒しちゃったと言ってもその子だって隼人くんに良い顔したい感じみたいだしね」

葉山「あ、ああ…大丈夫だよ。信用してくれ」

雪乃「驚いた。あなたの口から信用だなんて言葉が聞ける日が来るなんてね」

葉山「はは…は…」

ガララッ

平塚「入るぞ」
154 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:10:51.84 ID:8sXGoiCpo
雪乃「先生ノックをといつも…」

平塚「まあいいじゃないか気にするな。それより珍しい組み合わせじゃないか」

八幡「先生。率直に聞きます。なんで雨宮はあんな噂になっちまったんですか?」

平塚「ああ…そうだな、どこから話そうか…」

雪乃「最初から最後までをお願いします。もちろん話せる範囲で構いません」

平塚「そうか。まあ雨宮本人から言っても構わないと言われて来たからな。職員会議で起こった事をありのままを伝えるとしよう」
155 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:12:16.14 ID:8sXGoiCpo
結衣「姫菜の言う通り平気って事だったのかな?」

雪乃「そういう事なのだと思うわ。大した人物よ、雨宮くんは」

八幡「お願いします」

平塚「比企谷。いつになく本気の顔つきじゃないか。授業も学生生活もそれぐらい本気になってくれたら良いのだがね」

葉山「まあまあ先生」

平塚「ふむ。ま、ともかくありのままの中から言える部分だけを話そう」
156 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:13:10.80 ID:8sXGoiCpo
〜時は大きく巻き戻って11月19日〜

ーとある橋の上ー

平塚「久しぶりだね」

冴「うん。本当に久しぶり。元気にしてた?」

平塚「私はいつだって元気だよ。結婚相手がいないだけで」

冴「あなた本当に婚活ばかりしてるのね。あなたの場合は焦らなければ良い男なんてすぐ見つかると思うわ」

平塚「ふん!検察のエリートキャリアウーマンに言われても嫌味としか思えないんだけど!?」
157 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:13:48.63 ID:8sXGoiCpo
冴「私はそんな大層なものじゃないわ…」

平塚「…何があったの?言ってみ。その車の後ろにいる誰かに関係する事かな?」

冴「そう。彼は…」

平塚「彼!?彼だって!?やっぱり結婚なの!?そうなの!?」

冴「ちょっと落ち着きなさい!違うから!」

平塚「じゃあ何だっていうのさ!?」

冴「実は…」
158 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:14:50.68 ID:8sXGoiCpo
ーさえ説明中ー

平塚「………家庭内暴力?」

冴「ええ。彼は真の後輩でね。真ともすごく仲良くしてくれてる子なのよ。どうしても放っておけなくて」

平塚「そうなんだ?真ちゃんの…………彼氏なの?」

冴「彼氏……かも…?いや、わからないけど彼を気に入ってるのは真だけじゃないわ」

平塚「えっ…まさか冴!あんたも!?」

冴「妹の大切な友人としてよ」
159 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:15:33.01 ID:8sXGoiCpo
平塚「そうなの?ほんとに?実はちょっと気があったり…?」

冴「………」

平塚「…マジ?」

冴「とにかく!彼を一時的に預かってほしいの。あなたの所で。不安だけどね」

平塚「預かるって…え?預かるってどういう意味の?」

冴「一時的に静の学校に転入させてもらいたいの。事務手続き関連は全て私に回してちょうだい」
160 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:17:38.17 ID:8sXGoiCpo
平塚「いや、転入は構わないと思うけど…住まいはどうするの?」

冴「あなたのおうち」

平塚「そう。私のね?………えっ」

冴「手を出したりしたらただじゃおかないからね」

平塚「いやいや。それもう出しちゃえと言ってるようなものでしょ?大丈夫。私に任せて。ちなみに一生預かるって事でいいんだよね?」

冴「あんた何いってんの?!家庭内暴力の件がおおよそ終息するまでよ!」

平塚「じゃあ一生だね!」

冴「あんた鬼!?彼にバイオレンスな一生送らせたいの!?」

平塚「大丈夫!私が責任持って幸せにする!」

冴「そんな誓いの言葉なんて聞いてない!だから彼には手を出すなっての!」

平塚「真ちゃんに彼を取っちゃってごめんねって言っといて」

冴「そうねごめんねってとこだけは言っておくわ。私の友人がこんなのでごめんねって」
161 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:18:24.01 ID:8sXGoiCpo
平塚「ぷっ…」

冴「ふふっ…」

平塚・冴「あははははっ!!」

冴「はあ、こんなに笑ったのは久しぶり」

平塚「それは何より。冴は油断すると必ず眉間に崖を作ってるからね」

冴「崖とは何よ崖とは」

平塚「眉間のシワは歳とともに深くなるという…地割れ。崖。裂け目」
162 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:19:02.75 ID:8sXGoiCpo
冴「何よそれ…まあいいわそんな事は。それより彼なんだけど」

平塚「わかったよ。他ならぬ冴の頼みじゃあね」

冴「困った事にあなたしか頼れる人間いないのよ…本当に困った事にね」

平塚「おい」

冴「とにかく手出ししないようにね。それと家庭内暴力の話だけど」

平塚「うん?」

冴「嘘なの」

平塚「は?」
163 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:19:52.23 ID:8sXGoiCpo
冴「彼には前歴があるの。傷害事件の。でもそれは捏造されたもので彼には何ひとつ落ち度はないの」

平塚「………」

冴「そしてその捏造された前歴について私が調べてる。その調査の中で不可解な点がいくつも見受けられてね」

冴「彼は夜道を帰宅していた。その道中、怒鳴る声が聞こえて近付いてみると女性が酔っぱらいに絡まれていた」

冴「放っておけない彼は女性を助けたの。でもその時、酔っぱらいが足を滑らせて転んでしまった。頭から軽く出血したそうよ」

冴「おかしいのはここから。彼についての情報はその立場を不利にするようなものばかり。反対に酔っ払いについては被害者であるという供述以外に何も存在しない。その女性についてはほんの一行、加害者が暴行をはたらいたのを目撃したという証言だけ」
164 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:20:27.41 ID:8sXGoiCpo
冴「全てがおかしいのよ。酔っぱらいについての情報操作があまりにも人為的。おまけに氏名すら出ていない。どう見ても捏造されたもの。でもそんな捏造を出来る人間がどれほどいると思う?」

冴「相手はおそらくそれなりの権力者。酔っぱらいの名前が表立って出て来ない事からそれは明らか。しかも困った事にその権力者は彼の存在を少なからず知っていて追い打ちをかけようとしている」

冴「私はその捏造を根っこから崩して世に晒すつもりよ。だから静…本当は危ない橋を渡るお願いでもあるの。だから無理なら無理と」

平塚「断らないよ。私は」

冴「静…」
165 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:21:06.23 ID:8sXGoiCpo
平塚「何のてらいもなく普通に話せる数少ない友達の言う事だもん。私に遠慮しないで。任せてくれていいよ」

冴「恩に着るわ」

平塚「ちなみにその相手の目星はついてるの?」

冴「うっすらとはね…でも黒幕を引きずり出す前に私が大失敗しちゃってね…まあ、その大失敗も作戦の一部だったみたいなんだけど」

平塚「珍しいね冴が大失敗だなんて。というか作戦って?」

冴「それは忘れて。一つだけアドバイス…というか注意事項。彼の事は信用して。でも彼の周りは信用しないで」

平塚「ちょっと意味が…」
166 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:21:56.07 ID:8sXGoiCpo
冴「言葉の通りよ。親だの親戚だの知り合いだの元いた学校の友達だのと振る舞うもの」

平塚「なるほど。隔離された物として考えろって事ね?それで家庭内暴力を口上にね…。わかったよ」

冴「彼とは全く無関係のはずである場所に彼を尋ねてくる人間なんて絶対にいないから。いたならそれは敵。もし現れたならその時は距離を置いて用心して。もちろん私に連絡するのも忘れないで」

平塚「うん。わかった。」

冴「…こんな所ね。じゃあ彼を紹介するわね。……さ、降りて。大丈夫よ、後は彼女が引き受けてくれるわ…」

平塚(…暗くてよくわかんない)

冴「静。彼が…」

蓮「初めまして…。雨宮…蓮です」
167 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:23:09.90 ID:8sXGoiCpo
〜時は少し現在に近付いた11月20日〜

ー学校 職員室ー

教師A「では定例職員会を始めます」

平塚「まず私から皆さんに一つお知らせがあります。今日から私の親戚の子が転入してき」

プルルルルルル…プルルルルル…

教師「平塚先生ちょっとすいませんね。…はい、もしもし?……は?どちら様でしょう?…あぁ、これはこれはどうも。はい…はい……………はい?」

平塚(長いな)

教師「……ええ…いえ、聞いてはいませんが……はい。……そういった事実が?……ええ。……はい…そうですか…わかりました………はい、では失礼致します…はい…」

カチャ
168 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:23:52.92 ID:8sXGoiCpo
教師B「どうしましたA先生?」

教師A「いや…それがですねぇ…」

平塚「あの、話を進めても?」

教師A「あ、すいません。先に私からいいですか?今の電話の件を。重大な事でして…」

平塚「重大?わかりました…」

教師A「皆さん。何でも雨宮蓮という生徒が転入するそうですが、その生徒は前歴持ちだそうです…」

平塚「っ!?」
169 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:24:44.47 ID:8sXGoiCpo
平塚(ちょっと待ってよ…いきなり!?昨日の今日で!?もう誰かの手回しが!?)

教師B「前歴…本当なんですか?」

教師C「本当なら困りものですね…」

教師D「詳細はどういったものだったんですか?」

教師A「ええ、何でも暴行傷害事件を起こしたとか…」

ざわざわ・・・ざわわ・・・ざわざわざわ・・・

平塚「ちょっ…ちょっと待ってください!その生徒の名前はなんと!?」

教師A「アマミヤレン、そう聞きましたが」
170 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:25:27.25 ID:8sXGoiCpo
平塚「だったら前歴の事は違います!その雨宮蓮は私の親戚の子で…!」

教師C「知ってたんですか!?隠そうとしてたんですね!?」

平塚「ちょっとまってくださいどうしてそうなるんですか!?」

教師D「どうもこうもない!大体あんたは前から生徒に寄りすぎてたでしょ?そういう姿勢はこうやって臭いものに蓋をするための準備だったんですよね!?」

平塚「臭いものに蓋をって…あんたそれ本気で言ってるんですか?!」

教師B「口のきき方に気をつけなさい。だからあなたは私みたいに結婚出来ないのよ」

平塚「そんなの今関係ない事でしょう!?」

教師C「関係おおありですよ。普段から生徒への接し方がこうした場での問題をひた隠しにするための布石だと思えますね」
171 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:26:18.27 ID:8sXGoiCpo
平塚「ちょ…ちょっと…いやいや待ってくださいよ何ですかそれ!?」

教師B「大方、生徒に手を出してるもんだからいざという時の隠れ蓑にするために生徒寄りの接し方をしてたんでしょう?」

教師D「でしょうね」

教師E「いやらしいですねぇ〜たまりませんなぁ」

平塚「いい加減にしてください!あんたが生徒に人気ないのは私のせいじゃないですよ!」

教師B「はいはい好きにおっしゃい。結婚も出来ない独身女はあ・わ・れ・ねぇ〜〜〜っ?」

教師A「まあまあ落ち着いて。でもその生徒の受け入れ自体は済んでしまっているんですよね?」

教師C「そうなんですか?」

平塚「そうです!」
172 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:27:04.81 ID:8sXGoiCpo
教師A「受理前ならともかく、受理されてしまってからではどうしようもないのでは?」

教師B「ふん。ま、私の目の届かない所に捨てられてる分には何の文句もありませんよ私は」

教師C「そうですね。前歴持ちの犯罪者など関わりたくもない」

教師D「暴行傷害…下手すると我々も狙われてしまうのでは…?」

平塚「そんな事ありえません!」

教師C「何でそう言い切れるんですか?相手は未成年の犯罪者ですよ?」

教師B「親戚の子が犯罪者ね。どうりで結婚なんて出来るわけもないわね」

教師D「そんなにかばうならあなたのクラスに捨てて下さいね。くれぐれも我々に火の粉が飛ばないように」

教師C「前歴持ちのゴミが燃えたその火の粉がってか?ははは!うまいですねD先生!」

教師共「ヲホホホホホホホ!!フハハハハハハ!!キャーッキャッキャッキャ!!!!」

平塚「………」ギリッ
173 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:27:58.58 ID:8sXGoiCpo
教師A「まあとにかくその生徒を受け入れなければならないのなら平塚先生に面倒見ていただくという事で…いいですよね?」

平塚「はい。あなた方には任せられませんから」

教師B「じゃ今日はこれでおしまいですね?」

教師D「そういえば平塚先生が最初に何か言おうとしてましたよね?それはいいんですか?」

平塚「その彼の事です」

教師C「じゃあもう聞いたんでおしまいですね。ではこれでお疲れ様という事に」

平塚「待って下さい!私の話は終わってない!!」

教師A「ま、まあまあ平塚先生…落ち着いて。それでどういったお話でしょう?」

平塚「誰からその雨宮蓮という生徒の話を聞いたのかわかりませんが…彼は家庭内暴力を受けているんです」

平塚「確かに前歴があるらしいのは確かです。でもそれは酔っ払い相手だったもので決して故意だったわけではないんですそれは確定しています!」
174 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:29:01.41 ID:8sXGoiCpo
平塚「それだけでも悲運な境遇なのに激しい家庭内暴力を受けて…ついにはこちらにしばらく避難することになったんです」

平塚「大体、先程の話の相手が証拠を出しながら言ったんですか!?前歴があると!?違いますよね話だけでしたからね!?」

平塚「その点、彼は私の親戚の子です。あらゆる話を聞いていますし見てもいます。どちらが正しいかは明らかです!」

平塚「家にも学校にも居場所がない…そんな子にしたくないんです。もちろん家庭に戻れるまで私が面倒見ますし何かあれば私が責任を取ります!」

平塚「ですからどうか…何の証拠もなしに一方的に弱い立場の人間を攻めるのはやめていただきたい。以上です」

教師共「………」

教師A「そうですか…では先程の人に改めて確認しても構いませんか?」

平塚「ええ、構いません。むしろ私が確認します!誰なんですか!?」

教師A「御本人にはくれぐれもそんな言い方されないでくださいね。あの人ですよ、先生もよく知る弁護士の…」
175 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:30:04.83 ID:8sXGoiCpo
〜時はさらに現在に近付いた11月22日〜

ー奉仕部部室ー

葉山「…弁護士…?」

平塚「ああ、そうだ」

八幡「蓮を知る弁護士か…どういう繋がりなんだ…?」

雪乃「普通に考えれば、その弁護士様が担当した案件…という所でしょうね。どちら様かはわからないけれど」

葉山「………」
176 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:30:43.63 ID:8sXGoiCpo
結衣「弁護士かぁー」

海老名「ちょっと待って。おかしくない?」

八幡「そうだな」

結衣「ふぇあ??なにが?」

八幡「方や前歴、方や家庭内暴力…何でこうも真っ向から食い違ってる?蓮が2人いるのならまだしも」

平塚「うん、そこなのだ比企谷」

雪乃「つまり…どういう事でしょう?」
177 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:31:27.49 ID:8sXGoiCpo
平塚「20日の職員会の直後に私からその弁護士に確認をした。が、何度連絡を取ろうとしても繋がらない。今日まで続けてだ。なぜだろう?」

結衣「忙しいんじゃ…」

平塚「はたしてそうか由比ヶ浜?一人の生徒が転入するという時に電話一本よこして前歴の話を振りまく時間はあるのに?」

結衣「あ」

海老名「あのーひょっとしてこれ…」
178 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:32:08.38 ID:8sXGoiCpo
平塚「まだ確証はないが、私はその弁護士を騙った…あるいは弁護士本人が雨宮を陥れるために行った工作と睨んでいる」

葉山「………」

雪乃「…でも先生、そうする事に何のメリットも感じられないのですが。第一、大の大人がそんな事を?」

平塚「そうだねその通りだ雪ノ下。私たちにはその弁護士のメリットが見えない。という事はあちら側にはメリットがすでに存在するはずなのだよ」

結衣「うー?ううー??」
179 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:33:09.78 ID:8sXGoiCpo
八幡「何かを隠している…?いや、隠しきれてないものを隠したいからバラまいたのか?」

平塚「そう。そうだよ比企谷。私もそう思う。おそらくその弁護士は雨宮に関わる何らかの疚しい部分を隠している。あるいはこれから隠したいのだと思う。それならあちらにとっては十分なメリットだ」

八幡「前歴の情報流すだけで教師たちに軽いパニックを起こせる。そのパニックは大なり小なり必ず生徒に繋がる。そうすりゃ誰も近付こうとしなくなる。それが弁護士にとって最初の一手によるメリットか」

雪乃「呆れるわね。本当に呆れるわ。ねぇ?葉山くん」

葉山「………」

海老名「あのさ、隼人くんのお父さんのお仕事って確か…」

葉山「っ!?」ビクッ
180 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:34:16.49 ID:8sXGoiCpo
八幡「そういやお前の親父さん弁護士なんだっけか?今回の事何か知ってたりするのか?」

葉山「…何も…」

雪乃「どうだか」

結衣「え?えっ??」

葉山「俺は何も知らねぇよ!」

結衣「ひゃっ!?」

八幡「おうっ!?」

平塚「まあ落ち着きたまえ。何も君のお父上を責めているのではない。今の所、たらればの延長線上での話でしかないよ」

海老名「たらればでも可能性は可能性。だよね」

葉山「…帰る!」

ガラララッ
181 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:35:07.44 ID:8sXGoiCpo
八幡「はあ…。で?これが先生の目的だったんですか?」

平塚「ん?何の話かわからないな比企谷」

雪乃「彼の事だから今日中に動きがあるでしょうね」

海老名「明日学校に来る気あればの話だね?」

平塚「来るさ。必ず来る。今の葉山は知りたいはずだからね、何しろ親の事だ。そして何かを知ったなら明日動かずにはいられないだろう」

八幡「先生って時々鬼のような気の回し方しますよね」

平塚「おいおい比企谷それは失礼というものだろう?この美人教師に向かって」

結衣「もー!なんかわけわかんない!」

雪乃「罠を張ったのよ。葉山くんにね」

結衣「罠?」
182 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:35:42.91 ID:8sXGoiCpo
雪乃「そう、罠。でもそれは葉山くんの目の前に置かれたわかりやすい罠。彼もそれはわかっている。それでも踏まずにいられない、そういう類の罠」

結衣「あたしもう何がなんだかさっぱりわかんない」

海老名「いいのいいの〜ゆいはそのままでいいの〜よしよし」ナデナデ

八幡「ま、とにかく全ては明日だな…つか明後日から修学旅行じゃねえか」

結衣「楽しみ〜!」

八幡「さすがアホの子。癒やしの空気」

結衣「え?そうかな癒やしかなぁ〜?んふふふ〜」


平塚(冴…出来ることはしてるつもりだけど…。雨宮を取り巻く闇は相当なもののようだよ…)
183 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:36:25.07 ID:8sXGoiCpo
ー夜 八幡宅ー

小町「お兄ちゃーんお兄ちゃーんお兄ちゃーん」ドンドンドンドン

八幡「はいはいなんだよ何ですか?」ガチャリコ

小町「でんわー」

八幡「誰から誰に?」

小町「いいからでんわー。ほい。終わったらテーブル置いといてねー」

八幡「誰だよ。……はい、もしもし?」

??「やあやあやあ比企谷くん!ひゃっはろ〜!」
184 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:37:09.55 ID:8sXGoiCpo
八幡「お使いの電話は使われていますが電話口に呼び出す相手を間違えているため今度一切繋がりません。おかけ直しの上、出直して下さい」

??「あれ〜?そんな態度でいいのかな〜?お姉さん比企谷くんのだーいじなだーいじな人のための情報持ってきてあげたのになぁ〜」

八幡「…何ですか陽乃さん…」

雪ノ下陽乃「およよよ…比企谷くんがお姉さんに冷たいよぉ…ぐすん…」

八幡「いいから要件そして本題とにかく本題のみをちゃちゃっと言って下さい」

陽乃「全くもうつれないなぁ比企谷くんは。そんなんじゃ雪乃ちゃんは振り向いてくれないぞ〜?」

八幡「振り向かれた所で”あら?何かしらこのゾンビ。邪魔だわ”とかしか言われないのでどうでもいいです」

陽乃「あっはははっ!比企谷くんほんと面白いなぁ〜」

八幡「………」
185 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:37:38.87 ID:8sXGoiCpo
八幡「陽乃さん」

陽乃「うんなにー?」

八幡「俺、今回の事かなり本気なんです。本気でアタマに来ちゃってます。だからその件に関わる事で茶化されてもいつもみたく振る舞えません」

陽乃「………」

八幡「それで?本題はどういった話なんですか?」

陽乃「…つまんない」

八幡「はっ?」

陽乃「なーんかすっかり普通の人って感じだねぇ?比企谷くんは。いや、普通よりはちょっと熱めかな?」

八幡「…普通って何すか?」
186 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:38:17.14 ID:8sXGoiCpo
陽乃「普通は普通だよ。ごくごくありふれた普通。そういう人になっちゃったの。比企谷くんは」

八幡「だったらどうだって言うんすか?」

陽乃「べっつに〜?君がそれを望んで今に至るんならお姉さんなーんも文句ないよ。でも…」

八幡「………」

陽乃「まあいいや。あんまり言っちゃうと本格的に嫌われちゃいそうだしね〜」

八幡「…で、何なんすか」

陽乃「比企谷くんの大事なお友達である”雨宮少年のある噂”を流した人物の正体は!?そしてその意図とは!?来春公開カミングスーン!」

八幡「………」

陽乃「おやおやー?驚かないね?どうしてあなたがそれを!?とか反応してくれてもいいのに」

八幡「あなたが俺に積極的に接する時は毎度毎度何らかの意図とはた迷惑な回答があっての行動ですし。今さら驚く事なんかないです」
187 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:39:11.98 ID:8sXGoiCpo
陽乃「へぇ〜私の事ちゃあ〜んと見てくれてるんだね。お姉さん嬉しいな〜」

八幡「そうやってわざわざ遠回りし続けて俺の様子を楽しんでる事以外はそれなりに見ています」

陽乃「あっははっ!なあにそれ?」

八幡「そろそろ本題言って下さい」

陽乃「もう比企谷くんってばせっかちだなぁ。じゃ、これからちょーっと出て来れるかな?」

八幡「出てこいって…どこにですか?」
188 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:39:42.14 ID:8sXGoiCpo
パパッパツ

八幡「??」

陽乃「クラクション聞こえたでしょ?比企谷くんちの外にいるから、車に乗っておいで」

八幡「マジかよ…」

陽乃「マジだよ〜っ」

八幡「わかりました。ちょっと待っててください」
189 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:40:26.26 ID:8sXGoiCpo
ーとある橋の上ー

八幡「さむっ」

陽乃「いやぁ〜もうすっかり冬じみてきたよねぇ〜」

八幡「そうですね。つか何でこんな場所なんすか?」

陽乃「そりゃあもちろん重要なお話をするのに好都合な場所、だからだよ?」

八幡「はあ…つか葉山、ずっと無言なのが怖いんですけど?」

葉山「………」

陽乃「隼人は気楽に話すどころじゃないもんね〜?そうだよね、隼人?」
190 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:41:54.34 ID:8sXGoiCpo
葉山「…はい」

八幡「重たい重たい重たいよ何だよその声のトーン…」

陽乃「隼人?どうするの?あんたさぁ、私に調べさせた時に自分でけじめ付けたいんだ〜って言ってたよね?なのにそのままでいるつもり?」

八幡(うわこっわ…怖い超怖いんですけど陽乃さんも雰囲気やべぇ…)

葉山「…比企谷…」

八幡「んだよ?」

葉山「………」

八幡「………」

葉山「………」
191 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:42:37.00 ID:8sXGoiCpo
八幡(重い…重たすぎる。何この空気?何その空気?)

陽乃「隼人いつまでそうやってるつもり?黙ってたって比企谷くんはあんたの味方してくれないし、あんたに気の利いた言葉は言わないし、あんたのために何かしてくれるわけでもないよ」

八幡「あの、すんません陽乃さん。ちょっとしばらくつか良いって言うまで黙っててもらっていいすか?」

陽乃「わーぉ!お姉さんびっくり!私にそんな口の聞き方出来るのは比企谷くんぐらいだよ。もったいないなぁ…ほんと、もったいないなぁ…」

八幡「何の事か知りませんけど、あんまりもったいない言わないでもらえますか?俺って実はもったいないオバケだったのかと思っちゃうんで」

陽乃「君はオバケだよ」

八幡「えっ何それ衝撃の事実」
192 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:43:07.38 ID:8sXGoiCpo
陽乃「理性のオバケ、だもんねぇ?」

八幡「…ぬぬう」

葉山「陽乃さん…」

陽乃「なに」

葉山「比企谷と…2人にしてくれませんか?」

八幡「…俺は別に構わ」

陽乃「だーめ。それじゃ面白くないもの。せっかくこの場をお膳立てしたんだし私だって色々知っちゃってるんだからね。だから2人の間に立つ権利を擁している。よって立ち去るつもりなーし」

八幡(鬼か鬼ね鬼だな)
193 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:43:40.65 ID:8sXGoiCpo
葉山「…比企谷。その…これを………見てほしい…」スッ

八幡「あ?何の書類?」

葉山「ほぼ全ての経緯がそこにある……」

陽乃「は〜い隼人失格。やっぱり隼人はだめだね。この期に及んで自分だけは守らんとする。だからあんたは紛い物」

葉山「くっ…」

八幡「??」
194 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:45:18.67 ID:8sXGoiCpo
陽乃「まいいわ…比企谷くん。受け取ったからにはちゃんと見なきゃね?隅から隅までを。でも果たして耐えきれるのかなぁ?理性の化物の君に…真実の重みが。隼人はほんっと残酷だよねぇ〜?」

八幡「………」

陽乃「今ならまだ間に合うよ〜?一歩進む事ではなく、その場から動かずに事を解決する方法だってあるんじゃないかなぁ?お姉さんは比企谷くんなら出来ると思うなぁ」

葉山「比企谷すまない…でも…俺は…俺だって…っ!!」

陽乃「なあに?被害者だとでも言うつもり?ぜぇ〜ったい的な加害者のくせに、自分の目の届かない場所で起こった事はぜーんぶ隼人と無関係なんだ?ん〜?」

葉山「…俺は…」

陽乃「被害者ぶってんのがほんっと気に入らない。あんたには情状酌量の余地はあっても、同情の余地はないんだよ」
195 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:46:25.22 ID:8sXGoiCpo
八幡「とりあえず読みますよ。後はそれからって事で」

葉山「…ああ」

陽乃「…あ、そ」

八幡(こういうでかい封筒ってどうやって開けたらいいんだっけ…あ、ボタンに紐絡めてあるのか。じゃこれを…)

シュルシュルシュル………



【鴨志田卓による秀尽学園生徒への暴行傷害事件の概要とその調査書】
196 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:47:28.04 ID:8sXGoiCpo
〜時は大きく巻き戻って5月上旬、某日〜

ー拘置所ー

??「久しぶりじゃないか。卓」

鴨志田卓「お久しぶりです先輩」

??「とんでもない事をやらかしたものだな」

鴨志田「はい…」

??「心配するな。俺がお前の弁護を引き受ける。全て俺に任せろ。逆に相手を追い込んでやるからな」

鴨志田「先輩…そんな事はしなくていいんです」

??「なぜだ?あんなの怪盗団とやらにそそのかされただけなんだろ?」

鴨志田「違います…全てが僕の意思です」
197 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:48:08.43 ID:8sXGoiCpo
??「ふむ…相当参ってるようだな。日を改めて話を聞かせてもらうよ。差し入れのスイーツ食べてくれ」

鴨志田「あの…先輩」

??「ん?なんだ?」

鴨志田「僕は…僕はちゃんと罰を受けさせてもらえるのでしょうか!?」

??「………」

鴨志田「僕はとんでもない過ちを犯しました…その罪は償わなければなりません…」

??「卓」

鴨志田「いくら謝っても足りない!償わなければならないんです!それほど深く傷付けてしまったんですから!僕は…僕はっ…」

??「卓!」
198 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:48:44.21 ID:8sXGoiCpo
鴨志田「………」

??「何も心配することはない。いいから俺に任せてろ。お前の無実を手に入れてやるからな」

鴨志田「いえ…先輩。僕は無実ではないんです…。あの日、高巻さんを手篭めにしようとした日…。当の高巻さんに相手にされず、僕は鈴井志帆さんにその怒りをぶつけようとしました…」

鴨志田「いつも不愉快な事があるとそのたびにボールを叩きつけていました…ボールが当たるだけなら練習中の事故で済むと思い何度も何度も…その時点で僕は教師失格です…人間としても!」
199 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:49:16.68 ID:8sXGoiCpo
鴨志田「でもあの日、高巻さんに拒否された僕は鈴井さんをあの部屋に呼び出し…この拳で殴りつけました…。僕は何度も彼女を殴りつけました…何度も、何度も…」

鴨志田「鈴井さんがドアに当たり倒れた拍子に大きい音が鳴りました…そこで我に返ったのですが…。そこには流血して怯え震えている鈴井さんを見下ろしている僕がいました…」

鴨志田「そんな彼女は僕のせいであんな事に…」

鴨志田「僕はっ…なんて!なんて酷い事を…!失格だ!失格なんだ!僕という存在そのものが失格なんです!うっ…ううっ…だから先輩…どうか償いを…皆さんに償いをさせてください…」

??「………」

鴨志田「先輩…僕に罰を!」
200 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:50:14.99 ID:8sXGoiCpo
??「卓。落ち着け。お前の熱意は俺がよく知ってる。あの頃のお前はバレー一筋で熱いやつだった。そんなお前がこうなったのは怪盗団とやらのせいでしかない。お前のせいじゃないんだ」

鴨志田「違う!僕のせいなんです!」

??「違わない。バレーに対して真っ直ぐ真摯でいたあんなお前をこんな風になるまで追い込む怪盗団が異常なんだ。黙って後は俺に任せて、俺の言う通りにしてればいい」

鴨志田「先輩…どうか罰を…償いを!うっ…ううぅ…」

??「俺の持つあらゆる力と手段を使ってお前を無罪放免にさせてやる。その高巻だか鈴井だかいうガキにキッチリ報復してやろうぜ。な?」
201 : ◆OkhT76nerU [saga]:2019/03/16(土) 22:50:50.97 ID:8sXGoiCpo
鴨志田「ダメです!そんなのダメです!僕が悪いんです!本当に僕が彼女たちに酷い事を…」

??「…ま、とにかくゆっくり休んでろ。甘いもん食って落ち着け。じゃあな」

鴨志田「先輩…待ってください!先輩!」

鴨志田「葉山先輩!!」




葉山弁護士「さあて、どう潰してやろうか…」
223.57 KB Speed:0.2   VIP Service SS速報VIP 更新 専用ブラウザ 検索 全部 前100 次100 最新50 続きを読む
名前: E-mail(省略可)

256ビットSSL暗号化送信っぽいです 最大6000バイト 最大85行
画像アップロードに対応中!(http://fsmから始まるひらめアップローダからの画像URLがサムネイルで表示されるようになります)


スポンサードリンク


Check このエントリーをはてなブックマークに追加 Tweet

荒巻@中の人 ★ VIP(Powered By VIP Service) read.cgi ver 2013/10/12 prev 2011/01/08 (Base By http://www.toshinari.net/ @Thanks!)
respop.js ver 01.0.4.0 2010/02/10 (by fla@Thanks!)