安価 古きを喰らう者

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1 ： ◆v3CkL9qXuM [saga]：2019/03/05(火) 01:07:50.77 ID:Hw2fQ1Ps0

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2 ： ◆v3CkL9qXuM [saga]：2019/03/05(火) 01:09:51.73 ID:Hw2fQ1Ps0

古きを喰らうもの 第一部「最後の上位者」

遠い昔「GOO」と言われる怪物たちとの世界戦争があった。
戦争の序盤、知能があると思われる怪物たちにより、権力者たちが洗脳され、各国同士が争うことになる

ついには核兵器を使用したことにより、半年で全人口の2/3が削られ、9ヶ月で1/5まで減少した

ところが戦争が始まって1年、日本のある男が結成した組織、「フェンリル」によって形勢が逆転した

その男は「？？？」という武器を振るい、到底人間では勝ち目のない巨大な怪物を何体も倒したという

そして一年と半年後、その男の快進撃により怪物たちを退けることに成功したのである

これはその戦争の後の物語…


ディンはプロロ村(1)に住む青年である。もうすぐ二十歳になる彼は「英雄の儀式」(2)に備えて早めに就寝しようとしていた

ディン(もう10時だ。明日は儀式もあるし早めに寝ておくか)

彼はテクニカルフィンガー(3)というスマホゲームを少し遊び、高揚する気持ちを抑えながら瞼を閉じた


女の声「キャアアアアアアア！！」

男の声「ぐああああああっ！！」

深夜、ディンの家の外からたくさんの悲鳴が聞こえてきた。様子から察するに誰かから襲われているように感じた

ディン「な、なんだ？何が起こってるんだ？」

ディンはまず両親の安全を確認するために一階に急いで降りる。焦る気持ちから階段から滑り落ちそうになった

ディン「母さん！父さん！外の様子が！！」

一階に降り、居間を確認すると壁と床に血痕があり、部屋中が酷く荒らされていた

ディン「母さん！！父さん！どこ！？」

ディンは居間を飛び出す。すると玄関からディンの父の声が聞こえてきた

ディンの父「ゴフッ...デ、ディン...逃げるん...だ...」

ディン「父さん！！ち、血が...！」

ディンの父は腹部から大量の血を流しており、傍らには既に息がないディンの母が横たわっていた

ディンの父「と、とおくに...とおく....」

ディンの父は最後にそう呟き絶命した。もう動くことのない体からはドクドクと血が流れ続けていた

3 ： ◆v3CkL9qXuM [sage]：2019/03/05(火) 01:10:52.76 ID:Hw2fQ1Ps0

ディン「そ、そんな...父さん...」

ピクッ...

ディンが泣いていると微かにディンの母の指が動いた。しかしあり得るはずがない。何故なら脈も、息もしていない

ディン「！！！母さん！？母さん！！」

ディンは母を泣きながら揺さぶる。するとゆっくりと母の手がディンの肩に触れる

ディンの母「ガアアアアアッ！！」

ディン「母さん！？」

ガブッ！！！ブチッ！！！

ディンは母に肩をパックリと食い破られた。その力は人のものとは思えないほど強く、肉が見えるまで食い破られていた

ディンHP8/10

ディン「っ...！！！か、母さんっ！？」

ディンの母は再度噛み付こうと口を大きく開ける。もう一度噛みつかれるとマズイと感じ、ディンは母を強く蹴飛ばした

ズボォッ！！

ディン「え！？」

ディンの繰り出した蹴りは母の腹部を貫き、ぽっかりと穴が空いた

ドサッ...

母は糸が切れたように崩れ落ちる。しかし血は緑色で人の血とは思えなかった

ディン「こ、こんなの母さんじゃない！！母さんじゃない！！！」

ディンの頭は真っ白になる。この場所から逃げたい...そういった気持ちが一杯になり家から飛び出した


外は地獄だった。あちこちに村の住人が倒れていて、目の焦点が合っていない村人がユラユラと歩いている。
ディンの知り合いや隣人もその地獄の中で苦しんでいた

ディン「み、みんな！！」

ディンが知り合い達を見つけ、駆け寄ろうとするが5人の村人に知り合い達は囲まれてしまう

男「や、やめてくれぇ！！！」

ガブッ！！！グチャ！！

男「たすけ...」

ディン「う、うわああああああ！！」

ディンはどうする事も出来ずその場から逃げ出す

ディン(こんなの現実じゃない...きっと夢、夢なんだ！夢...)

しかし肩の痛みは激しくその考えを否定する

ディン(でも痛い...痛いんだ。夢じゃない...なんでこんな事に！)

その時、ディンは何者から囁かれる

ちからがほしいか？...こっちにこい...こないとしぬぞ...

ディン「ぇ....」

ディンは不思議に何も違和感を感じる事もなく、導く声に従って移動した

4 ： ◆v3CkL9qXuM [saga]：2019/03/05(火) 01:12:04.94 ID:Hw2fQ1Ps0

そうだ...こっち...こっちだ...

声は祠から聞こえてくるように感じる
祠には儀式に使う伝説の剣が備えられている

ディン(この場所は...)

フフフ...キサマはえらばれたのだ...オレの所有者として

ディン「お前は一体...」

さあ...その剣を手に取れ...そしてチカラを示せ...ここから始まるは修羅の戦い...

ディン「修羅の戦い？何を言って...」

ザッ...ザッ...

ディンが困惑していると祠の入り口を村人達に占領された。その村人達は全てどこかがおかしかった

村人「ア"ア"ア"」

ヨタヨタとディンに近寄ってくる。その口は肉を欲し、喉は血を求めているようだ

ディン「！！！く、くるなぁぁぁ！！！」

その剣を取れ！ディン！

名前を呼ばれディンはハッとする。もうどうにでもなれという気持ちでその剣を手に取った

フハハハハ！！！そうだ！それで良い！！オレの名はゴングナー！奴らを切り裂く武器だ！！

ディンがゴングナー(4)を手に取るとオーブンの中にいるように体が熱くなる

ディン「体が...熱い！！」

キサマには8つのチカラを与えよう...そして奴らを切り裂くんだ！

村人「ア"ア"ア"」

くるぞディン...さあ構えろ！

ディン「くっ、でもこの人達は！」

奴らはもう人間ではない...ムーンサーヴァント(5)という怪物だ

ディン「ムーンサーヴァント？」

そうだ...上位者によって魂と体を変異させられ、もう人間ではない...もし彼らを思うのであれば、葬ってやるのがキサマの成すべきことではないなのか？

ディン「....やるしか...ないのか」

ディンは決心し手にする剣に力を込める
そして初陣が始まるのであった

5 ： ◆v3CkL9qXuM [saga]：2019/03/05(火) 01:13:14.50 ID:Hw2fQ1Ps0

(1)プロロ村
プロロ村は世界ユグドラシルのアースガルズ地方にある
アースガルズ地方とは世界の北に位置し、世界の中心に位置しているアルフヘイム地方の住民からは田舎だと思われている

(2)英雄の儀式
かつて世界を救った男の武器を手にし、その使い手かどうかを確かめる儀式
その男はプロロ村出身で、この儀式を必ず行うように村の習慣にした

(3)テクニカルフィンガー
ゲーム会社mix juiceが昨年リリースしたソーシャルゲームアプリ。自機のアイコンを弾いて敵に命中させるゲームで若者からかなりの人気を得ている
mix juiceはテクニカルフィンガーのリリース後、莫大な利益を出しており、その利益で兵器開発を行っているとの噂がネットで流れている

(4)ゴングナー
上位者によって作られた武器。過去に7人の聖女を切り裂いた事により7つのチカラを奪っている
心を持ち、好戦的で持ち主の成長を促す

(5)ムーンサーヴァント
人間が上位者によって怪物に変えられた存在
二度と元に戻る事はなくいずれ腐る
全てのダメージを半分に抑える特殊能力を持つ
主な攻撃:噛みつき