【シャニマスSS】霧子「チョコレート、ツツジの花、フォークダンス」

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1 : ◆/rHuADhITI [sage saga]:2019/02/14(木) 23:45:38.67 ID:VN96ned20

2月12日の夜。

わたしはキッチンにて、自身の成果を見つめている。

それはバレンタインのチョコレート。

ここ数日の試行錯誤の末に、ようやく完成した贈り物だ。

渡す相手は、事務所のプロデューサーさん。

霧子「でも……どうしよう……」

わたしは迷っていた。

チョコレートの形状は正方形に近い長方形。

お菓子作りに慣れているわけではないので、シンプルな形にしか出来ない。

その分メッセージを入れようと、そう思っての四角形だ。

迷っているのは、まさにその部分。

霧子(何を……書くべきなのかな……)

文字を書くための、白と黒のチョコレートペンは近くに置いてある。

絵を描くかもしれないと思って、緑・赤・黄の色も少量だが用意した。

準備は万端。

そう思っていたけれど、肝心要のところが抜けていたようである。

自分の考えの中で、チョコレートを渡すことだけが先走っていたのだ。

だから考えよう。

わたしは何故、チョコレートを贈ろうと思ったのだろう。

わたしは一体、プロデューサーさんに何を伝えたいのだろう。

霧子(やっぱり、感謝の気持ち……かな……)

すぐに思いつくのは、そういったこと。

だけどひょっとすれば、あるいは……

霧子(これは、恋の──)

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2 : ◆/rHuADhITI [sage saga]:2019/02/14(木) 23:47:16.01 ID:VN96ned20

霧子「おはよう……ございます……」

翌13日の学校帰り、わたしは事務所に出社していた。

咲耶「おはよう、霧子」

摩美々「霧子おはよー」

事務所に居たユニットのメンバーは3人。

咲耶さん、摩美々ちゃん、結華ちゃん。

結華ちゃんは何やらノートと格闘していて、忙しそうにしていた。

こちらに気付いてはいるようで、軽く手を振ってくれる。

霧子「……ふあ……」

事務所に来て落ち着いたからか、急にあくびが出た。

咲耶「おや、霧子。昨日は遅かったのかい?」

霧子「あ、その……ちょっと考えごとをしていて……」

咲耶「考えごと、か……何か私に手伝えることはあるかな?」

霧子「ううん……大丈夫。ありがとう、咲耶さん……」

チョコレートのメッセージ問題。

その答えは、一晩考えても見つからなかった。

だからといって、咲耶さんに相談するようなことでもない。

それを知ってか知らずか、咲耶さんは黙って紅茶を注いでくれる。

霧子「そういえば、恋鐘ちゃん……」

今日の予定は、わたしと恋鐘ちゃんがダンスレッスンで、残りの3人が雑誌のインタビュー。

その恋鐘ちゃんだけ見当たらないのが気にかかった。

摩美々「朝から急な仕事だってさー」

霧子「朝から……」

咲耶「朝市の取材だと言っていたかな。早くから出かけていったよ」

摩美々「漁港だったけー?」

霧子「た、大変だね。恋鐘ちゃん……」

朝の寒い時間に出かけるのを想像して震える。

とは言え、仕事自体は恋鐘ちゃんが喜びそうだな、とも思ってしまう。
3 : ◆/rHuADhITI [sage saga]:2019/02/14(木) 23:48:05.92 ID:VN96ned20

結華「よし、これで一段落!」

咲耶「お疲れ、結華。こっちで紅茶でもどうだい?」

結華「おお! ありがとねー、さくやん」

咲耶「ふふふ、礼を言われるほどの事じゃないさ」

結華ちゃんが隣に座る。

その表情からは、若干の疲労の色が見て取れた。

霧子「何をしてたの……?」

結華「んー? ただの大学の課題だよ。明日提出の」

霧子「その……焦ってたみたいだけど……」

結華「全然進んでなかったからね。こうして、空き時間に頑張る羽目になっちゃったのです」

妙に芝居掛かった口調で、結華ちゃんが言う。

珍しいと思った。

今まで結華ちゃんが、その手の事に追われているのを見たことがない。

学校の課題などは、出たその日に終わらせているか、綿密なスケジューリングの下で消化しているイメージがあった。

結華「いやさ。8日にアンティーカの皆で、撮影の仕事があったじゃん? それも丸一日」

霧子「うん……」

結華「その日も、もちろん講義があったわけだけど……教授が三峰の欠席を把握してなかったみたいで」

ちゃんと連絡してたのに、と結華ちゃんが困った顔で付け加える。

遡ること5日前、アンティーカ全員での撮影があった。

遠出となり、その仕事の為にわたしも学校を休んだのを覚えている。
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