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もこっち「モテないし家に泊める」
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1 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:19:02.20 ID:4nY8lxvX0
私がモテないのはどう考えてもお前らがわるい!の二次創作です、よろしくおねがいします。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1549369141
2 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:21:12.24 ID:4nY8lxvX0
〜〜〜〜
???「────クロ〜」
彼女が呼ばれる声が聞こえる。
このアニメみたいでいてどこか厨ニ臭いこの声色。
振り返らなくてもわかる、ピンクの髪色をした彼女だ。
ネモ「一緒に帰らない?」
???「...智子は、私と帰るんだけど」
そして取り合うのは黒髪の少女。
花の名前を持つ彼女の眼光はどこか狂気を含んだモノ。
一触即発が控えている、そんな彼女らを取り持つのは長い髪の少女。
もこっち「...いや、3人で帰ろうよ」
ゆり「...」
ネモ「田村さんも一緒に帰ろうよ!」
ゆり「...智子がそういうならそうする」
3 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:23:18.04 ID:4nY8lxvX0
もこっち「あー、けど帰る前に買い物させてくれ」
ネモ「うん、いいよ」
ゆり「...」
3人の寄り道が決まる。
放課後の学校、校門を出るとネモは尋ねた。
これからどこに向かうのか、果たして楽しい時間になるかどうかを。
ネモ「それで、どこに行くの?」
もこっち「スーパー」
ネモ「え? 本当に買い物するの?」
もこっち「そう言っただろ...」
ネモ「いや、てっきりコンビニとかで軽く買うだけだと思っただけ」
ゆり「...」
もこっち「へー...とりあえず私の最寄り駅まで荷物持ち頼んだぞ」
ネモ「...え?」
もこっち「鍛えてんだろ?」
ネモ「...まぁいいけどさぁ...何買うの?」
4 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:24:27.88 ID:4nY8lxvX0
もこっち「そうだなぁ...」
長考をする髪の長い少女。
その面持ちはまるで、夕飯の献立を考えている主婦のような。
だがそれはまさしく正解であった、彼女がそこに行く理由とは。
もこっち「...鍋」
ネモ「...え?」
もこっち「今日は鍋にしようと思う」
ネモ「...もしかして、クロって黒木家の料理担当なの?」
もこっち「いや、違くてな...実は────」
彼女は彼女に伝えた。
今朝、おじいちゃんが倒れたということを。
それを心配した両親は家を空け、その様子を伺いにいったことを。
ネモ「そうなんだ...おじいちゃん、大丈夫なの?」
もこっち「あぁ、さっきお母さんからLINEきてな...大丈夫だってさ」
もこっち「でも心配だから今日はそのまま帰ってこないって、明日は土曜で休みだし...」
5 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:25:28.93 ID:4nY8lxvX0
ゆり「...だから、晩御飯の買い物に行くんだ」
もこっち「そういうこと...弟の分も考えねーといけないから、適当に鍋でいいや」
ネモ「ふーん...それじゃ私も鍋に入れる材料を一緒に考えてあげるよ」
もこっち「え?」
ゆり「...私も」
もこっち「...闇鍋じゃないからな?」
ネモ「わかってるよっ! って、スーパー着いたよ?」
もこっち「お、おう...予算は5000円だからな」
スーパーに学生服の3人が入店する。
そのうちの2人の表情はどこか楽しげな。
高校生とはいえまだ子ども、特にピンクの髪の子が顕著であった。
ネモ「〜♪」
もこっち「随分と楽しそうだな」
ネモ「え、そう?」
もこっち「鼻歌聞こえてるぞ」
ネモ「...えっ!?」
ゆり「...とりあえず、鍋つゆ買ったら?」
もこっち「あ、それはまだ家にあったはず...具材だけ買いたい」
ゆり「そう...じゃあ白菜とか?」
6 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:27:32.83 ID:4nY8lxvX0
もこっち「それと...鶏肉とネギと...コーラだね」
ゆり「...コーラ?」
もこっち「いや、弟に注がせる為にね」
ゆり「...よくわかんないけど、買い物カゴとカート取ってくるね」スタスタ
もこっち「あ、うん...ありがと」
ネモ「...それにしても、今日のクロは自由だね」
もこっち「まぁな、明日土曜だし...親も居ないし夜遅くまではしゃげるな」
ネモ「いいね! 私もお泊りしちゃおうかな...なんて」ポツリ
後半の言葉はほぼ意味のないモノであった。
小声で、社交辞令にも近い期待値0の冗談。
だがそれは彼女に届いてしまう、家の主が居ないこその気軽さ故に。
もこっち「え? 別にいいけど」
ネモ「...えっ!? 本当っ!?」
もこっち「あ、あぁ...」
────カラカラカラッ...!
車輪のついたなにかが近寄ってくる音。
それは聞き慣れているはずなのに、嫌な緊張感を産ませる。
背後に感じるのは狂気、それを醸し出すのは花の少女。
7 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:28:22.37 ID:4nY8lxvX0
ゆり「...」
もこっち「ゆ、ゆりちゃん...?」
ゆり「...私も、泊まる」
もこっち「え...?」
ゆり「いいよね? 智子?」
もこっち「お、おぉ...別にいいけど...弟もいるんだぞ?」
ゆり「...やった、智子の家」ブツブツ
ネモ「クロの家か〜、楽しみだな〜」ワクワク
もこっち「...聞けよ!」
ネモ「──っ! 着替え持ってこないとっ!」
ゆり「...! 家に帰って荷物もってくるから、最寄り駅で待ってて」
ネモ「私も! じゃあ、またねクロ!」
もこっち「あ、おいっ────」
────ぴゅーっ!
まるで風が駆け抜けるような音。
2人の少女は走って店内を後にした。
カートに入れられた野菜やコーラを残して。
もこっち「...ネモのヤツ、荷物持ちをすっぽかしやがった」
もこっち(それにしても...4人分の材料を買って帰らなきゃいけないのか...)
もこっち(金は足りると思うが...どう持ち帰ったらいいんだよ)
〜〜〜〜
8 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:29:18.70 ID:4nY8lxvX0
〜〜〜〜
ネモ「────おまたせっ!」
もこっち「おう」
ゆり「...」
ネモ「田村さんの方が早かったんだ」
もこっち「そうだよ、いいからこの荷物を持ってくれ...」
ネモ「あ、うん」
4人分の鍋材料が手渡される。
ある程度鍛えているネモですら重さを感じるモノ。
これを1人で、しかも己の最寄り駅まで運んだ彼女の腕は乳酸まみれ。
ネモ「結構重たいね」
もこっち「4人分だからな...流石に可哀想だから半分持つよ」グイッ
ネモ「あ、ありがと...」
その光景はまるでアニメのような。
ネモの好きな日常系の代物ではなく、どちらかというと少女漫画のような。
どちらにしろその非日常感がたまらない、2人で買い物袋を運ぶその光景が。
ネモ「〜♪」
もこっち(...さっきからヤケに上機嫌だな、ってツッコみたいけど)
もこっち(袋が重すぎて喋る余裕がないわ...それに...)チラッ
横目で見ると何かを感じる。
その何かとは、もはや明白であった。
狂気とまでは行かないが、やや鋭い目線がそこにあった。
9 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:30:49.06 ID:4nY8lxvX0
ゆり「...」
もこっち(...こっちはヤケに不機嫌だな)
もこっち(...一応フォローしておくか)
もこっち「そういえば...ゆりちゃんが買い物カゴに入れたコーラだけど...」
ゆり「なに?」
もこっち「あれで丁度品切れになってたよ、ありがとうね...へへ」
ゆり「...どういてしまして」
不慣れな微笑みが彼女の狂気を取り払う。
そんな他愛のない話をしていると、目的地が目視できた。
中学時代の友人を除くと初めて友達を家に招くことになる。
もこっち「着いた」
ネモ「ここがクロの家か〜」
ゆり「...」
────ガチャッ!
鍵穴に差し込み、ドアノブを撚る。
すると一軒家特有の重厚なドアの音が響いた。
そして家主である彼女は、慣れない言葉を交わした。
もこっち「あ、あがって?」
ネモ「お邪魔しまーす!」
ゆり「...お邪魔します」
10 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:31:39.28 ID:4nY8lxvX0
もこっち「あ、まだ弟は帰ってきてないみたいだな」
ネモ「そうなんだ、部活かな?」
もこっち「たぶんな...とりあえず鍋の支度始めるか」
ネモ「もう作るの?」
もこっち「鍋ってのは意外と時間がかかるんだよ...ネモは料理したことないのか?」
ネモ「むっ...あ、あるに決まってるじゃん!」
もこっち「...」
彼女のわかりやすい挑発。
そのなんとも言えない絶妙な表情がネモを刺激する。
マウントの取り合いが始まる中、1人黙々と作業を開始する少女が1人。
ゆり「...鍋、どこ?」
もこっち「あっちの戸棚にあると思う...ガスコンロも一緒に入ってるはず」
ゆり「わかったよ...お箸とか勝手に探して並べておくよ?」
もこっち「あ、うんお願いね」
11 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:32:13.25 ID:4nY8lxvX0
もこっち「...食器系の支度はゆりちゃんに任せよう、私とネモは具材を調理するぞ」
ネモ「わ、わかったよ!」
──ざくっ! ざくっ!
瑞々しい音が鳴り響く、野菜の鮮度が伺える。
不慣れながらももこっちは淡々と調理を終えていく。
野菜や肉を切るだけの簡単な作業だが、それに追いつけない者が。
ネモ「...」
もこっち「お、おい...大丈夫か?」
ネモ「だ、大丈夫...ゆっくりやればできるから...」
もこっち「鍋だから雑に切っていいんだからな?」
ネモ「...その割には、クロの切り方変じゃん!」
もこっち「うるせーよ!」
もこっちのカット方法。
定規で切ったような長方形に揃えられた野菜や肉が並ぶ。
鍋だから味には支障はでないがあまりにもセンスのない調理であった。
〜〜〜〜
12 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:33:45.43 ID:4nY8lxvX0
〜〜〜〜
もこっち「...さて、終わったか」
ゆり「あとは鍋つゆ入れて具材入れるだけだね」
ネモ「弟くんは帰ってくるんだよね?」
もこっち「そうだよ、帰ってくるまでゲームでもして待ってようか」
もこっち「私の部屋からゲーム機取ってくるわ」スッ
ネモ「あ、まって! クロの部屋気になるから私も行くっ!」
ゆり「...私も」
3人が階段を駆け上がる。
そこに待ち受けていたのは2つのドア。
1つは弟の部屋、そしてもう1つは待望の彼女の部屋。
ネモ「おー、本が沢山」
もこっち「つっても、漫画とラノベぐらいしかないけどな」
ゆり(...あ、これ前に貸してくれたヤツだ)
ネモ「あ! あのクッションかわいいね!」
もこっち「あん? あれだったら下に持ってっていいぞ」
ネモ「本当? それじゃあ...」スッ
────もふもふ...
その音だけなら可愛らしいはずだった。
だが聞こえたのは固くて重たいモノが落ちたガコンという音。
それは、その正体はネモが手に取ったクッションの裏側に存在していた。
13 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:35:12.88 ID:4nY8lxvX0
ネモ「あれ、なんか落ち...た...」ピクッ
もこっち「────あっ」
ネモ「...ク、クロっ!?」
ゆり「...」
3人の女子高生の視線を釘付けにしたモノとは。
本来の用途であるならば、全くもって健全な代物だというのに。
世間が植え付けたイメージが先行する、そこにあったのは電動の。
もこっち「いや違うから、肩こり用だからな」
ネモ「そ、そうだよね!」
ゆり「...」
もこっち「...でも、ネモはもう1つの使い方を知ってるみたいだな」
ネモ「...っ!」
ゆり「...」ピクッ
14 :
◆O.FqorSBYM
[saga]:2019/02/05(火) 21:35:47.25 ID:4nY8lxvX0
もこっち「意外とむっつりだね」
ネモ「────クロっっ!」スッ
──バチンッ! ドンッ!
2つの音がもこっちに襲いかかる。
1つははたかれた音、そしてもう1つとは。
もこっち「────ぐえっ!?」
ゆり「...」
ネモ「あっ...ご、ごめん...」
もこっち「い、いや...ネモのビンタより、ゆりちゃんの肘鉄の方が...」
ゆり「...なに?」
もこっち「な、なんでもない...」
もこっち(やっぱりゆりも知ってたか...直接むっつりだなんて言ったら殺されるんじゃないだろうか...)
もこっち「と、とりあえず...ゲーム機を下に持っていこうか」
ネモ「う、うん」
ゆり「...」
〜〜〜〜
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