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鬼塚英吉「ケツの穴が小せぇっつってんだよ」
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1 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/01/22(火) 00:27:16.60 ID:NN4ofID60
「昨今、教師の体罰が問題となっており……」
私の名前は内山田ひろし。年齢は永遠の51歳。
妻子持ちで、職業は東京吉祥学苑の教頭職だ。
今しがた口にした通り問題に頭を痛めている。
「我々教員は、いつ如何なる時でも……」
一番問題を起こしそうな問題教師に歩み寄る。
「コンプライアンス! を、重視して……」
念のため、もう一度、耳元で法遵守を訴える。
「コンプライアンス! コンプライアンス!」
「コンドームがどうかしましたか、教頭?」
「コンプライアンスだ!」
「ああ、それそれ。それがどうかしました?」
「法を遵守しろと、私は言っているんだ!」
「わかってますよ。コンドームは着けます」
「だからコンプライアンスと言ってるんだ!」
「だから、コンドームなら尻のポッケに……」
「いい加減にしたまえ、鬼塚くん!」
この会話を聞けば、お分かり頂けるだろう。
この、鬼塚英吉という男は、問題教師だった。
尻のポッケに『避妊具』を忍ばせているとは。
神聖な学び舎で、一体何をするつもりなのだ。
やはり、この男だけは、野放しにはできない。
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1548084436
2 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/01/22(火) 00:28:46.92 ID:NN4ofID60
「とにかく! 法を遵守するように!」
「はいはい、わかってますって」
「君がわかっていた試しなど一度もない!」
「そんなことより、教頭」
こちらの訓示などおかまい無しに打ち切って。
鬼塚は近ごろ流通しているスマートフォンを。
私の眼前に差し出すも、老眼でよく見えない。
「近すぎる! もっと離したまえ!」
「そんなこと言ってる場合じゃないっすよ」
「何が言いたいのかね、君は!?」
「これ、たぶんうちの生徒だと思うんすけど」
スマートフォンとやらには動画が映っていた。
「うちの学苑の生徒が……?」
「あ、本当ですね」
横から画面を覗き込んで、冬月先生が頷いた。
「冬月先生もこの動画に見覚えが?」
「はい。この鞄は学苑指定の物です」
「言われて見れば、たしかに」
うちの学苑の鞄を持った生徒がバイクに跨る。
「うちの学苑はバイクは禁止の筈なのに」
「バイクって言っても、原付きっすよ」
「しかし、原付きにしてはメーターが……」
「おっ? いいとこに気づきましたね」
バイクが走り出しスピードがみるみる上がる。
!?
メーター読みで、時速100キロを、超えた。
3 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/01/22(火) 00:31:05.09 ID:NN4ofID60
「どうすか? めっちゃ速いでしょ?」
「速すぎる! 本当に原付きなのか?」
「ええ、だいぶ弄ってあるみたいですけどね」
たかが原付きで、時速100キロとは。危険だ。
「す、すぐにこの生徒を呼び出しなさい!」
「そうは言っても、顔が映ってませんから」
「万が一、事故でも起こしたら大変だ!」
「それよりも、警察に捕まらないかが心配で」
そう言って、鬼塚は動画を巻き戻して見せる。
「ほら、ここ」
「この場所に心当たりがあるのかね?」
「たぶん、倉庫街の広い直線道路ですよ」
「では、事故を起こす心配はないと?」
「まあ、そっちは心配してませんが……」
「なんだ? はっきり言いたまえ」
「恐らく、警察が張り込んでますよ、ここに」
一大事だ。もし捕まれば学苑の名に傷がつく。
「す、すぐにやめさせないと!」
「だったら、一緒に行きますか?」
?
「教頭のクレスタで……」
「クレスタはもう死んだ」
「だったら、クラウンで」
嫌な予感しかしないが、背に腹は代えられん。
4 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage saga]:2019/01/22(火) 00:33:01.15 ID:NN4ofID60
「すみません、お待たせしました」
そう言ってクラウンに乗り込む鬼塚に尋ねた。
「君、下回りに潜って何をしていたのかね?」
「ちょっとサイレンサーをぶった切りました」
!?
「き、切ったのか!? サイレンサーを!?」
「ええ、やっぱり音は重要ですから」
「我々は暴走少年を止めに行くんだぞ!?」
「だからこそ舐められるわけにはいきません」
「ルーレット族の抗争じゃないんだから!」
「さあ、出発進行ー!」
カカカンッ! ブォンッ!
「か、勝手にプッシュスターターを押すな!」
「ふぉー! 良い音っすね」
「たしかに良い音だけども!」
「ちょっと踏んでみてくださいよ」
「えっ? ふむ……どれどれ?」
ブォンッ! オンッ! オンッ! オンッ!
!
「最高の吹け上がりっすね」
「う、うむ。流石はクラウンだ」
「では、改めて、出発進行ー! わははー!」
こうして私は、直管のクラウンで走り始めた。
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