マクギリス「インフィニットストラトス…胸が踊るな」

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150 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 01:13:16.14 ID:EH2OEr5i0
山田「男子の、大浴場です!」

マクギリス「先生、唐突に何事ですか」

一夏、シャルルとの食事中に山田先生が駆け寄って来ての開口一番がそれだった。

山田「えーっとですね、今日から男子も時間配分で、大浴場が使えるようになったんです!」

マクギリス「今までは女子だけでしたね」

山田「はい!ですので、時間を見て大浴場を堪能して下さい!」

一夏「そりゃ良いな。マクギリス、シャルル、一緒に入ろうぜ!」

シャルル「うええ!?ぼ、僕は遠慮するよ!」

まあ、そうなるだろう。私とて、背中の阿頼耶識を見られるのは余り良くは無いだろう。

マクギリス「私も遠慮しよう」

一夏「つれない事言うなよ二人共ー。たまには、一緒によ。裸の付き合いって奴でさ」

マクギリス「あまり、他者に強要するものではないぞ、一夏。同性であろうとそこまでしたくない人間も居るものだ。例えば、体に見られたくない傷を持つ者や、自分の体にコンプレックスを抱く者、とかな。…とはいえ、せっかくの大浴場だ。入らぬのも不粋、ならば時間をずらして入るとしよう」

一夏「俺はそんなこと気にしないんだけど…」

マクギリス「君が気にせずとも、本人が気にしてしまう事もあるのだ。君はもう少し、デリカシーを弁えるべきだな」

マクギリス「さて、一夏。一番風呂、というのは君に譲ろう。次に私、最後にシャルル。それで良いかな?」

一夏「ああ、わかった」

シャルル「う、うん。了解」

シャルルが最後ならば、以前の様な間違いは起こるまい。
151 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 01:16:50.41 ID:EH2OEr5i0
>>149
マクギリス「なるほど。道理で随分と追いやすくなったものだった訳だ。正直、リンクリンクで延々連打されて気分がかなり萎えたのでな。あれでは修正も止む無しか。情報提供、感謝する」
152 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 01:43:52.92 ID:fI9RhJc20
なるほど…大浴場。開放感に満ち溢れ、心身共に癒される。

マクギリス(一夏の喜びようにも、納得が行くものだな。本音を言えば、裸の付き合いというのも悪くはないのだが…)

背中の阿頼耶識。他者には、感性次第ではグロテスクにも見えるであろう代物。

マクギリス(まったく。付けた当初は、こんな後悔を抱くとは思いもしなかったな。力に固執した代償、か)

物思いに耽って居ると、控えめながら大浴場の扉の開閉音が響く。

シャルル「お、お邪魔します…」

マクギリス「!?……!?」

馬鹿な、まだ交代の時間には早かったはず!

マクギリス「す、すまない。交代の時間だったか。すぐに上がる。出来れば入る前に声を掛けて欲しかったが」

シャルル「ち、違うよ!その、マクギリスと、話したい事があって…」

マクギリス「ここここの様な場所でなくとも自室でも良かったのではないかな!?」

シャルル「僕と一緒じゃ、嫌かな…?ていうか、動揺してる?」

当然だ。こんな状況は初体験だぞ、いくらなんでも。

シャルル「マクギリスって、恋人とか居なかったの…?」

マクギリス「…婚約者は、居た。政略結婚で、まだ9歳ではあったが立派な女性だった。もう二度と、会う事は叶わないが…」

アルミリア…また、泣かせてしまったのだろう、かな。

シャルル「…ごめん。要らないこと聞いたね…その、ね?マクギリスが、ここに居れば良いって、力になってくれるって言ってくれて、凄く嬉しかった」

マクギリス「…当然だ。君は、酷い扱いを受けるべき人間ではないのだから」

シャルル「そんなマクギリスが居たから、僕は心から此処に居たいって、思えるんだ」

マクギリス「そ、そうか。それは、なによりだ」

シャルル「だから、マクギリスには、僕の本当の名前を呼んで欲しいんだ。二人っきりの時だけで良いから」

マクギリス「本当の、名前…」

シャルル「うん。シャルロット。僕の、お母さんが付けてくれた名前」

後ろから、抱き着かれただと…!?
153 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 02:04:45.62 ID:zjZv98iv0
マクギリス「そ、そうか。わかった、シャルロット」

シャルロット「うん。ありがとう、マクギリス…所で、この背中に突き出てるのは、いったい…」

気付かれて、しまった…いや、これ以上、彼女に隠し事を続けるのも、問題か。

マクギリス「…阿頼耶識システムさ。モビルスーツを動かす為の、な」

シャルロット「えっ?それって、アグニカの…?」

マクギリス「…君には、空想伝記小説と説明したが、実際には違う。あれは、これから起きる、もしくは別の世界で実際に起きた記録なのだよ」

シャルロット「それって、いったい…」

混乱するのは仕方ない、か。

マクギリス「口外は控えて欲しいが、私は本来此処に居る筈のない存在なのだろう。厄祭戦から三百年後の時代の存在が、この私なんだ」

シャルロット「…石動さん達もなんだね。なるほど、マクギリスが強いのは実戦経験があったからなんだ」

マクギリス「…信じるのか?こんな荒唐無稽の話を」

シャルロット「信じるよ。マクギリスの言葉だもん。嬉しいな。僕にはちゃんと、話してくれたんだ」

マクギリス「…君に、隠し事をしたくない。そう思ってな」

今度は、友を裏切らない。同じ過ちを繰り返す訳にはいかない。

マクギリス「すまなかったな、あまり気分の良くない物を見せたな」

シャルロット「ううん。全然平気だよ。それも含めて、マクギリスだから」

いつか、彼女の様に一夏達も受け入れてくれるだろうか。

シャルロット「そろそろ、上がろう?時間だろうし…また、マクギリスの話を聞かせて欲しいな」

マクギリス「ああ、約束しよう」
154 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 02:20:41.95 ID:zjZv98iv0
山田「えーっと、デュノアくんは、デュノアさん、という事でした…」

翌日のホームルームで現れた、女子の制服を着たシャルロット。その事実に、クラスが一瞬静まり返る。

箒「…は?」

一夏「…はあっ!?」

セシリア「どういう事ですのマクギリスさん!?貴方同室でありながら知らなかった訳ありませんわよね!?」

「つまり、どういうこと?」「ファリりん、どーゆー事なのー!説明してよー」

ファリりんとは私の事だろうか。

「てか昨日男子が大浴場使ってたわよね!?」

不味い、非常に不味い。

箒「一夏貴様もしや、女子と入浴したというのか!?」

一夏「してないしてない!皆時間をずらして…」

教室の壁が、突き破られた。二組の鈴の甲龍によって。

鈴「一夏あんた女子お風呂入ったんですって!?何してんのよ!」

甲龍が衝撃砲の発射態勢に入る。…いや待て、こんな所でそんな物を…!?
155 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 02:38:14.17 ID:Cfiy03XG0
甲龍から放たれた衝撃砲を、窓から飛び込んだラウラがAICで無効化する。

マクギリス「…すまない、助かった」

ラウラ「気にするな。少し、顔を貸せ」

マクギリス「構わないが、何を…?」

言うやいなや、ラウラの唇が私の唇に重ねられる。いやいきなり過ぎるのでは。

ラウラ「おまえはわたしの嫁にする。決定事項だ、異論反論は認めない」

セシリア「…えっ」

シャルロット「ええっ!?」

マクギリス「…婿ではなく、嫁?どう言うことだ?」

ラウラ「日本では、気に入った相手を嫁、というらしい。故に嫁だ」

マクギリス「そうか。そんな風習があったとは」

一夏「いや無いから!誰だよそんなデタラメ言った奴!」

マクギリス「…そういえば、身体はもう大丈夫か?」

ラウラ「ああ。問題無い。しかし、夫の気遣いとはやはりお前は出来た嫁だ」

マクギリス「そ、そうか。ならば良いが」

まあ、彼女が嬉しそうなので、構う事もあるまい。
156 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 02:46:58.29 ID:2fgNjh830
放課後

マクギリス「石動、例の件はどうだ?」

石動『VTシステムの件ですが、事件の当日中には開発、研究していた組織は消滅したようです』

マクギリス「消滅?なるほど。証拠を隠滅した訳か」

石動『いえ、どうやら外部からの攻撃により、人員以外が消滅させられた様です』

マクギリス「外部からの…つまり、施設ならびに研究データそのものが他者に抹消された、と?」

石動『脱出した人員も酷く怯えた状態の様で、これ以上は調査も困難かと…』

マクギリス「そうか、わかった。なにかあれば、また連絡する」

石動『はっ』

マクギリス(VTシステムの研究施設の抹消…我々に、調べられたく無い事が…つまり、VTシステム以外にも何かあったというのか?)

行く末に、暗雲が立ち込め始めた気がした。
157 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 03:11:46.16 ID:aBQzvEra0
次回予告

石動「VTシステム、その先に隠された真実。混迷の兆しが垣間見得ようとも、時は刻まれていく。たとえ苦難が待ち受けようと、我らは先に進んで行く」

石動「次回、インフィニット・マクギリス。マクギリスの心はアグニカのちバエル」

石動「准将、依頼されていた報告をお持ちしました。失礼します…!?失礼しました!」
158 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 17:06:55.65 ID:YIV2a+CZ0
マクギリス「さて、アグニカポイントも稼いで階級も上がったので、この時間から書かせて貰おう」

マクギリス「しかし、階級が上がるとなかなかに難しくなってくるな。下手の横好きではままならんな」

マクギリス「もし共に組んだ場合には、足を引っ張る事もあるやもしれん。大目に見て欲しい」

マクギリス「では、始めるとしよう」
159 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 17:22:14.66 ID:gMvW4kHs0
第9話 マクギリスの心はアグニカのちバエル
マクギリス(まず、状況を確認しよう)

隣には、何故か全裸で眠るラウラ。そう、全裸。弁明しておくが、やましい事をした覚えも、そうなりそうな事をした覚えは無い。

マクギリス(いや、誰に弁明しているんだ私は…)

とはいえど、安らかな寝顔で眠る少女を起こすのも如何なものか。

マクギリス(…そうか、人の温もりに飢えているのか。彼女には、軍事的立場しか無かったのだろうからな。一個人として接する人間は居なかった訳か。…私に、温もりを見出したのか)

この華奢な少女に、暖かな感情が込み上げる。

マクギリス(もう少し時間はある。寝かせてあげよう。)

シャルロット「マクギリス、もう起きてる?…あれ、開いてる?不用心だなあ。入るよ?」

不測な事態過ぎるのではないか、これは。

マクギリス「まて、シャルロット…!?」

シャルロット「…何を、しているのかな?マクギリス?」

不味い、これはいけない。
160 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 17:38:18.39 ID:4hUsmyhq0
マクギリス「あまり、騒がないで欲しいな。もう少し寝かせてやりたい」

シャルロット「…で、どういうことなの?」

マクギリス「どうやら、寝ているあいだに忍びこんだらしいな。困った子だが、致し方ない」

シャルロット「まったく、ラウラったら…」

マクギリス「彼女も、人の温もりが欲しいのだろう。今まで、誰かと共に眠る事など無かったのだろうし、な。あまり彼女を責めないでやって欲しい」

シャルロット「もう、仕方ないなぁ…にしても、ぐっすり寝てるね」

マクギリス「私の側なら安心出来るのだろう。さしずめ父親代わりだろう」

隣のラウラが、もぞもぞと身体を起こす。その左目…鮮やかな金色が目を惹く。

マクギリス「おはよう、ラウラ。シャルロット、すまないが彼女の制服を用意してあげてくれないか」

シャルロット「うん、わかった」

ラウラ「もう朝か…」

マクギリス「ああ。とりあえずシャルロットに服を頼んだから、少し待つといい。ところで、何故裸で寝ていたんだ?」

ラウラ「夫婦とは、包み隠さぬものだと聞いたぞ?」

マクギリス「それは精神的意味合いだと思うが。…ところで、その左目は?」

ラウラ「…ISへの適合実験の失敗によるものだ。あまり、見ないで欲しい」

マクギリス「そうか。残念だ、綺麗な目をしているものだ、と思ったのだが」

ラウラ「そ、そうか?ならば二人きりの時だけ眼帯を外すとしよう」
161 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 20:15:09.18 ID:K+pUXBZZ0
放課後
シャルロット「そういえば、マクギリスって水着、買わないの?」

マクギリス「水着、か…いや、今の私には阿頼耶識があるからな。嫌悪感を抱く者も少なからず居るだろう。水着は遠慮しよう」

シャルロット「そっか…マクギリスは、厄祭戦から三百年経った世界から来たんだよね?」

マクギリス「ああ。ギャラルホルンは腐敗し、権力闘争の舞台と成り果てた。貧富の差は拡大し、地球圏外ではスラムなど珍しくなかった。時として人の命すら二束三文で売られている世界へと。…私はその中で、怒りを抱き、そしてそれのみを生きる原動力として、道を踏み外していった。友との幸せな時間すら、力の為に切り捨てる修羅として、な」

マクギリス「力を得る為に…バエルを手に入れ、ギャラルホルンを掌握する為に、阿頼耶識システムを復活させた。その果てが、この私だ」

シャルロット「でも、今は違う。でしょ?マクギリスは優しいから」

マクギリス「…そうだと、良いがな。でなければ、ガエリオに顔向けは出来ん。もう、会う事は無いだろうが」

シャルロット「お友達?」

マクギリス「ああ。生涯唯一の、親友だった」
162 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 20:32:19.15 ID:K+pUXBZZ0
マクギリス「しかし、シャルロット。何故急に皆に正体を明かす気になったんだ?」

シャルロット「いろいろと理由はあるけど、やっぱりマクギリス以外の人でも、騙し続けるのは嫌だったからね」

マクギリス「君らしいな。汚い大人に利用されながら、その心は清らかだ。君の母上は、立派な人だったんだろう。その清らかさは、決して無くしてはいけない」

ああ、そうか。ガエリオやアルミリアに似ているのだ。彼女の心の清らかは。

マクギリス「…それにしても、シャルロット、か」

シャルロット「何?」

マクギリス「いや、もう二人だけの呼び名で無くなってしまったな、と思ってな」

シャルロット「そうだね…じゃあ、二人だけの、特別な呼び名、付けてくれる?」

マクギリス「そうだな…シャル、でどうだろうか。シャルルとシャルロット、共通する部分を抜き出し、肯定する意味合いでな」

シャルロット「…うん、凄く嬉しい。あの時の僕まで大事にして貰えてるみたいだ」

マクギリス「では、今後はシャル、と。なかなかに、良い響きだと思う」

シャル「ありがとう、マクギリス。…ね、マクギリスが水着、選んでくれない?」

マクギリス「私が、か?私のセンスがこの時代に会うかわからないが、良いのか?」

シャル「うん。マクギリスが選んでくれたら、嬉しいな」

マクギリス「それならば引き受けよう」

シャル「うん!それじゃ、また明日!」
163 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 21:31:51.28 ID:VzqqB0N10
翌日。

マクギリス「臨海学校、か。最近の行事には異常事態ばかりだから、そろそろ平穏に終わって欲しいのだがな」

シャル「僕やラウラが来る直前にもあったんだよね?正体不明機の乱入」

マクギリス「ああ。さすがに海でまで騒動は勘弁願いたいな」

シャル「…やっぱりマクギリスも水着、買わない?臨海学校でなくても、使う機会もあると思うし」

マクギリス「…阿頼耶識が隠せるタイプがあれば、良いのだがな」

シャル「…ん?」

マクギリス「どうした、シャル?」

シャル「着けられてる。隠れよう」

マクギリス「何?何故私達を…?」

シャル「わからない。とにかく、やり過ごそう」

物陰にしばし、身を潜める。
164 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 21:47:31.08 ID:VzqqB0N10
マクギリス「…どうかな?」

シャル「行ったみたいだ。追われてるって感じがしなくなった」

マクギリス「捕まえる、という手もあったのではないかな?」

シャル「下手に藪をつついて蛇を出したら大変だよ。やり過ごせたんだし、良いんじゃないかなぁ」

物陰から出る。その場面に、予想外の二人と出会す。

千冬「何をしている。こんなところで」

山田「ふ、ファリドさんにデュノアさん!?物陰で何をやっていたんですかっ!?」

あらぬ誤解を、招いたらしい。
165 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 22:01:29.55 ID:AykbwhCL0
事情を説明し、誤解を解く。

千冬「…それは多分、オルコットとボーデヴィッヒだろう。何やらコソコソしていたのを見かけたからな」

マクギリス「あの二人が?何故そんな真似を…」

千冬「…はあ。朴念仁め。そういうのは一夏だけにしてくれ」

マクギリス「どういう事だ?」

千冬「自分で気付け、馬鹿者」

用事があったが尻込みでもしたのだろうか。

千冬「ではな。私達も用事がある」

山田「ではファリドさん、デュノアさん、また学校で」

シャル「…あの二人だったんだ。ライバル多いなぁ…」

マクギリス「…何か用なら、今日は遠慮して貰うとしよう。君との約束が、最優先だ」

シャル「ありがとう。…あ、これなんかどうかな?」

マクギリス「悪くはないが、君にはこちらが似合う気がするな」

シャル「良いね!流石マクギリス、センスあるよ」

マクギリス「そうか、それなら良かった」

かつての様な、されど怒りを隠す必要も、抱く必要もない幸福な時間が、流れていった。
166 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/17(日) 22:14:26.69 ID:qqVTg1RI0
次回予告

石動『准将、例の専用機ですが、準備が整いました。臨海学校での引き渡しとなりますが、よろしいでしょうか』

マクギリス「ああ。ようやく、と言ったところか。感謝する」

石動『いえ。それと、アグニカ・カイエルの伝記ですが、かなりの売れ行きです』

マクギリス「売り出したのは君だったのか…セシリアやラウラには渡したが、何故か他人もアグニカを知っていて驚いたぞ」

石動『あれはこれからの活動の為に必要でしたので』

マクギリス「アグニカが、か?ギャラルホルン以外でも、か」

石動『はい。これから先の為に。』

石動『次回、インフィニット・マクギリス。海に着いたらギャラルホルンの正義』
167 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/22(金) 23:33:42.92 ID:exdHmPA10
マクギリス「さて、諸君にまず謝罪しよう」

マクギリス「友人からの救援要請で、荒ぶる神々を狩らねばならなくなったので、しばしアグニカしてくる故今回は更新無しだ」

マクギリス「明日は色々と所用で名古屋に行く。書けるのは明日夜からとなる」

マクギリス「では、すまないが暫く待って欲しい」
168 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/23(土) 19:20:48.30 ID:fzOuR1s20
待っとるよ
169 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 01:08:53.34 ID:IjEHhboQ0
第10話 海に着いたらギャラルホルンの正義
マクギリス(旅館には着いた。大半の女子は海に繰り出す、か)

石動「准将、お待ちしておりました。こちらへ」

旅館裏手、駐車場の一角。そこに止められた、鉄華団の紋章入りのトレーラー。

マクギリス(なるほど。護衛役には鉄華団か。たしかに一番信頼できる組織だな)

石動「あとは准将のパーソナルデータを今現在の物に更新、最終調整が完了し次第准将にお引き渡しします」

マクギリス「分かった。では、始めようか」

トレーラーのハッチが開く。その中に鎮座する機体。ギャラルホルンの象徴にして、ガンダムフレーム一号機。かつての乗機が、ISとして、眠っていた。

「バエルだ!アグニカ・カイエルの魂ッ!」「そうだ、ギャラルホルンの正義は我々にあるッ!」

マクギリス「…また、会えたな。バエル。待っていろ、もうすぐお前を目覚めさせてやる」

促されるまでもなく、バエルに乗り込む。メカニック達による最終調整が開始された。

石動「…データの取得を確認。あとはこちらでお引き受けします。准将は海水浴を楽しまれると良いかと」

マクギリス「私には阿頼耶識がある。他者に嫌悪感を抱かせる危険が…」

石動「こちらをどうぞ。パイロットスーツを改造したスイムウェアです。阿頼耶識も隠せますので、是非活用ください」

マクギリス「…わざわざ用意したのか。流石、出来る男だ」

石動「臨海学校となれば、必要かと。では、調整が済み次第連絡させて頂きます」

170 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 01:24:13.25 ID:IjEHhboQ0
セシリア「マクギリスさん、どこに行ってらしたんですの?」

水着に着替え、最初に遭遇したのはセシリアだった。

マクギリス「野暮用、というものだ。その水着、大変似合っている」

セシリア「そ、そうですか?ありがとうこざいます。ところで、お時間がよろしいのならばお願いがあるのですが」

マクギリス「なにかな?」

セシリア「サンオイルを塗って頂きたいのです。どうも後ろは塗り難いので…」

マクギリス「なるほど、引き受けよう」

セシリア「お願いしますわ」

サンオイルを受け取り、横になる彼女の背中に塗っていく。そのきめ細やかな白磁の肌に、サンオイルによるコートがされていく。

マクギリス「こんなところかな?」

セシリア「あの、出来ればお尻も…」

マクギリス「それは自分で出来るだろう?流石に私の理性が持たんよ」

セシリア「そ、そうですわね。ありがとうございました」

マクギリス「なに、気にするな。ではな」
171 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 01:48:45.15 ID:IjEHhboQ0
次に遭遇したのは、シャル。そしてタオルで身を隠したミイラ風の装いの少女。

マクギリス「…その格好はどうしたのかな、ラウラ」

シャル「あ、やっぱわかってくれるんだ」

マクギリス「彼女を見ていてやると、約束したからな」

マクギリス「どこか、痛めたのか?」

シャル「ほーら、マクギリスなら大丈夫だから、ね?」

ラウラ「う、うむ…だがその、心の準備が、だな…」

マクギリス「問題ない。君ならば、大丈夫だ。君の姿を、見せて欲しいな」

ラウラ「う、わかった…」

タオルを脱ぎ捨てたラウラ。その眩い銀髪をツインテールに纏め、黒い水着で固められている。彼女の白く透き通る肌によく映える、彼女の魅力を理解しているコーディネートだ。

ラウラ「ど、どうだ…?」

いつも堂々とした彼女の、珍しく自信無さげな様子がよりギャップとして装いと共に、彼女の可憐さを演出する。

マクギリス「ああ、とても似合っている。可愛らしさが増しているな」

ラウラ「か、かわっ!?」

ラウラの顔が、赤く染まる。

マクギリス「…大丈夫か?夏の日差しの浴びすぎには気をつけた方がいい」

ラウラ「は、う、…」

顔を覗き込むと彼女は更に顔を赤くして海へと走っていった。

マクギリス「…大丈夫なのか、彼女は」

シャル「照れてるんだと思うよ。多分大丈夫」

マクギリス「そうか。なら良いが…シャル、君の水着も、似合っているよ」

シャル「ふぇっ?だ、だってマクギリスが選んでくれた物だし…」

マクギリス「いや、実際に着てみて貰うのはやはり段違いだな。君がより一層輝いている」

シャル「あ、ありがとう、マクギリス」
172 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 02:19:59.96 ID:IjEHhboQ0
一夏「おーい、みんなー」

マクギリス「どうした?」

一夏「いや、ビーチバレーやるんだけどよ。マクギリス達はどうだ?」

マクギリス「ほう。面白そうだな、受けて立つ」

シャル「相手は…うわあ。織斑先生かあ」

マクギリス「たしかに難敵だが、それに挑んでこそだ。我々は、彼女を超える必要がある」

シャル「マクギリス、これビーチバレーだよ…」

マクギリス「わかっているさ。だが、無様を晒す訳にもいかんだろう」

シャル「ま、頑張ろっか」

激戦の火蓋が、切って落とされた。
173 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 03:03:54.59 ID:w+d6fKWL0
マクギリス「くっ…これほどとは…」

マクギリス(的確なパス繋ぎに、正確なスパイク。これが、世界最強、織斑千冬の本性か…!)

マクギリス「ぐっ!?」

千冬「すまん、コントロールを誤った」

シャル「マクギリス!?」

マクギリス「ここまで、か…」

私はそこで、意識を手放した。

暫く時が経ち、夕食前には、意識を取り戻す事が出来た。

セシリア「マクギリスさん、お加減は…」

マクギリス「心配は不用だ。もう、大丈夫だ」

セシリア「何かありましたら、私にお任せくださいな」

マクギリス「…むしろ君が大丈夫なのか?先程から足元が辛いようだが。なんなら、椅子の席に移らせて貰ってはどうだ。正座、キツいのだろう?」

セシリア「こ、これくらいなんてことありませんわ」

マクギリス「無理はするなよ。君は大切な友人だからな」

セシリア「友人…」

マクギリス「セシリア?」

セシリア「いえ、なんでも」

シャル「マクギリスって、普段鋭いくせにそういうとこあるよね」

マクギリス「どういう事だ?…って、待て、シャル。その香辛料を直接口にするんじゃない」

シャル「え?…〜ッ!?」

マクギリス「遅かったか…それは魚の生臭さを中和する為の香辛料、ワサビだ。風味は良いが、多量に摂取するとそうなる。これを飲むと良い」

茶を差し出すと、シャルは涙目ながらに受け取った。

174 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 03:38:14.56 ID:xN9HK4IA0
夕食後。私の部屋を、一人の男が尋ねた。

マクギリス「…君か。まさか、こんなところで再会するとは。喜んで良いのか、悪いのか」

「なに、どうって事ねえだろ。お互いやれる事やって、死んで。ここに流れ着いた。そんだけだ」

マクギリス「…君には怨まれていると思っていた。私に関わらねば、こうはならなかった。違うか?オルガ団長」

オルガ「ま、確かにな。けどよ、クーデリアのお嬢さんを地球に届ける時、アンタが手助けしてくれなきゃ、鉄華団は終わってた。アンタのおかげで、俺たちは短い間だろうがマシになれた」

マクギリス「だが、君たちは私の話に乗ったからこそ…」

オルガ「乗ると決めたのは俺らだ。それによ。まだミカや昭弘が来てねえって事は、俺が繋いだ道をアイツらは止まらずに進めたって事だ。アンタが単身ギャラルホルンを惹きつけてくれたから、鉄華団のメンバーの道は拓けた。最後まで裏切らなかったアンタを怨む気はねえよ」

マクギリス「…君たちとは、この世界でも協力関係で居たい。どうせ、アリアンロッドも居なければ、火星も土地としてはない。地道に這い上がるとしよう。どうかな」

オルガ「ああ。今後とも、鉄華団を御贔屓に」

オルガ「にしても、アンタなんか変わったな、マクギリス。憑き物が落ちたっつーか。野望を果たせなかった割には良い顔する様になったじゃねえか」

マクギリス「…かもしれないな。あの世界で無くした物や切り捨てた物が、戻ってきたような気がしている」

オルガ「あのお嬢さん方か。なら、アンタが守ってやれよ。仲間を、家族をな。…じゃあ、またな」

マクギリス「…ああ。ありがとう、オルガ団長」
175 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 03:51:28.66 ID:xN9HK4IA0
翌朝。旅館の通路に、何故か相当に嫌な顔をした箒が居た。その視線の先には、引っ張って下さいと書かれた看板と、一対の機械の…耳?の様な物。

マクギリス「箒、どうしたのかな。こんなところで。それは?」

箒「知らん。マクギリス、処理は任せるぞ」

それだけ言うと、去っていった。なんなんだ、これは。

セシリア「マクギリスさん?どうなさいましたの?」

マクギリス「いや、これはどうすべきか、とな」

セシリア「引っ張って下さい、と書いてありますわね。引っ張ってみては?」

マクギリス「そうだな。では、引かせて貰おう…!」

手答えも殆ど無く、簡単に地面から抜けてしまった。

マクギリス「……なんだこれは」

セシリア「…?マクギリスさん、上を!」

マクギリス「なにっ!?」

上から、人参の様な巨大なロケットもどきが目の前に突き刺さる。

マクギリス「離れろ、セシリア」

言うと同時に、けたたましい笑い声が内部から響きながら、人参ロケットが縦に割れた。

「いやあ、引っかかったねマー君、ぶいぶいっ!あれ、箒ちゃんはー?」

呆気に取られる。なんだ、これは。

「ま、良いや。この箒ちゃんセンサーで探すから。またね、マー君」

彼女もまた去っていった。

セシリア「今のは、なんですの?」

マクギリス「わからない」
176 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/24(日) 04:03:44.93 ID:OTSb1N6S0
次回予告
ハッシュ「次回、インフィニット・マクギリス。ギャラルホルンの上に立ち」

ハッシュ「三日月さん、元気でやってるかな…」
177 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 00:35:39.00 ID:Y+aGe5750
マクギリス「待たせて、すまないな」

マクギリス「友を失うのは辛い、本当に。見ていて辛いな、あれは」

マクギリス「しかし、次回作はとうとうアリシゼーションか。アニメ一話から付き合って来た身としては感慨深いな」

マクギリス「さて、なかなかに階級が上がらなくなってしまったな…もう少し、2側の感覚に馴染まねばならんな。未だにフルブの感覚が抜けない」

マクギリス「では諸君、書いている間今しばらく待っていて欲しい」
178 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 00:57:53.14 ID:OOC2qSr/0
第11話 ギャラルホルンの上に立ち


千冬「それでは、各班は振り分けられた機体で装備試験、専用機持ちは専用パーツのテストだ。ファリド、お前のグリムゲルデはメンテナンス中だ、専用機持ちの補佐に回れ」

マクギリス「了解した」

千冬「篠ノ之、お前はこっちだ。お前には、今から専用機が…」

凄まじい音と共に、今朝方の奇妙奇天烈な女が崖を駆け下り、織斑千冬に飛びかかった。

「ちーちゃーん!会いたかったよー!さあハグハグしよ、愛を確かふぎゅっ」

そのまま織斑千冬のアイアンクローに阻まれた。なんだこの女は。

千冬「うるさいぞ束」

束「ぐにゅにゅう、相変わらず容赦ナッシングだねぇ!良いけど!」

一瞬して抜け出した、だと…

マクギリス(……束、だと?)

束「やあ、久しぶりだね箒ちゃん!何年ぶりかな!?大きくなったね?特におっぱふぎゅっ!?」

箒「殴りますよ?」

殴ってから言っても仕方ないのでは。

束「殴ってから言ったぁ!箒ちゃんひっどいよう!」

千冬「漫才もほどほどにしろ。生徒たちが戸惑っているだろ。挨拶くらいしろ」

束「えっへん!私が天才の篠ノ之束さんだよー!ハロー!終わりん!」

マクギリス(これが、あのインフィニットストラトスの開発者、だと…!?)

予想の斜め上に突き抜けすぎた様な人物性だった。
179 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 01:26:42.15 ID:uJOD7AAD0
千冬「はあ…こいつは気にするな、作業を続けろ」

束「ひどいなー、らぶりす束さんって呼んで良いんだよ?」

千冬「うるさい黙れ」

山田「あの、この場合どうしたら…」

千冬「気にしなくて結構です、山田先生。そのまま各班のサポートをお願いします」

束「ちーちゃんが優しい、だと…!?おのれおっぱい魔神、私のちーちゃんを誑かしたなぁ!?うらやまけしからんッ!」

山田「んきゃあああ!?」

セクハラをしだしたぞ、この天才。

千冬「誰がお前のだ。それに、胸ならお前もあるだろ」

束「てへへ。ちーちゃんの、え・っ・ち」

千冬「死ね」

なんだこの女、意味がわからない。

箒「あの、姉さん。例のあれは…」

束「んふふー、もっちのロング!用意してあるよ!現在稼働中の全てのISを上回る、箒ちゃんのワンオフ、オンリーワンの最高級品がね!さあさあ、大空をご覧あれえ」

空から、銀色に輝くコンテナが我々の目の前に落ちた。

束「これこそが、世界唯一の第四世代完成型!全てのスペックが現用機を凌駕するウルトラハイスペック!その名も、紅椿!」

マクギリス(馬鹿な、第四世代だと!?)

各国が様々な策謀、非合法な手段を用いてまでも未だに第三世代の開発途上。この機体は、そんな現状を嘲笑うかの存在だ。現時点をもって、既に他のISを時代遅れにしてしまったのだ。

マクギリス(世界のパワーバランスを一変させかねない危険な機体だな。そんな物を、妹とはいえ一個人に預けるとは)
180 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 02:01:46.83 ID:C0mrRa6R0
「篠ノ之さん、妹だからって機体貰えるんだ…」「なんかずるいなー」

女子たちのなんて事はない会話に、篠ノ之束が目敏く反応した。

束「あっれえ、君達は歴史の勉強をしてないのかなぁ?人類が誕生してから、一度たりとも世界は平等になんてなってないんだよ?」

マクギリス「…とはいえ、人は平等を理想とするものだ。互いに等しく競い合い、等しく成果を手にする。生まれや所属、地位や家督も関係なく、力を研ぎ澄ます事で高みを目指す事の出来る世界を、皆が望んでいる」

束「…ふふふ、やっぱり君は一味も二味もそこらのザコとは違うなー。面白いよ、君は」

束「さーてと、最終調整完了!さっすが私、速いよね。さ、箒ちゃん。君の力を見せる時だよ!

紅椿が、空に舞い上がる。

一夏「速いな…」

その機動性は、第四世代の名に恥じない、凄まじいものだった。

束「どうどう?思ったよりも動くでしょ?」

箒「機体が、私の思考について来る…これが、紅椿の力!」

束「次は武器試そっかー。武器特性のデータを送るよー」「右がハワード、左がダリルだ」

束「いや違うから、っていうか今の何処から聞こえたの!?」

束「…こほん。右が雨月、左が空裂だよー」

束「んじゃ、これを撃ち落としちゃって」

篠ノ之束の横に、ミサイルポッドが出現した。そこから放たれたミサイルを、紅椿は難なく駆逐して見せた。
181 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 03:47:29.15 ID:ndQ4dHpl0
マクギリス(凄まじいな…)

山田「お、織斑先生っ!」

山田先生が駆け寄ってくる。それもかなり慌てた様子。

千冬「どうしました、山田先生。…これは…)

千冬「全員、作業を中止。訓練機を片付けて旅館の部屋にて待機。許可なく出た者は身柄を拘束する」

束「んん?どったのちーちゃん」

千冬「お前が言うか」

束「ふえ?どゆこと?」

千冬「…まあいい。専用機持ちとファリドは私についてこい。無論篠ノ之もだ」

箒「はいっ!」

マクギリス(随分と、浮かれているな)

旅館の一室。そこに急拵えされた司令室が、異常な事態の進行を予感させる。
182 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 06:31:44.96 ID:MD/sTeOL0
千冬「状況を説明する。ハワイ沖で試験中だったアメリカ、イスラエル共同開発軍用機、シルバリオ・ゴスペルが暴走、制御不能に陥った」

マクギリス「まさか、それを我々で対処せよ、と?」

千冬「そのまさか、だ。福音と呼称するが、その福音は護衛部隊による包囲を突破、監視空域を離脱。衛星監視による軌道からの予測では、ここから2キロの地点をマッハ2以上の速度で通過する。あまり時間はない」

マクギリス「暴走状態の軍用機の対処を、仮にも学生に行わせるとは」

千冬「仕方あるまい。現行の軍用機では福音に対処しきれん。曲がりなりにも最新鋭機である専用機持ちに対処を委ねる、と言うのが上層部の意向だ」

千冬「ファリド、専用機の方はどうなっている」

マクギリス「まだ調整が済んでいない。少なくとも夜までは掛かりそうだ」

束「この速度でなら、紅椿なら間に合うよ?すぐに準備すれば、だけど」

千冬「…篠ノ之、やれるか?」

箒「はい!お任せを!」

千冬「この状況下では、会敵は一度きりか。一夏、お前の零落白夜が切り札だ。紅椿に運搬役を担わせ、お前が仕留める。最適な作戦ともなればそれしかあるまい」

一夏「…わかりました。やってみせます」

マクギリス「…私に出来る事は無いな。一夏、これは訓練ではない。必ず、無事に戻って来い」

一夏「ああ。行ってくる」

千冬「二人とも、準備に掛かれ」

一夏と箒、二人が部屋を出て行く。私はその背中に一抹の不安を感じていた。

そして、その不安は、作戦の失敗と、一夏の危篤状態という最悪の結末をもって、現実となった。
183 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/03/31(日) 07:15:22.61 ID:MD/sTeOL0
次回予告

マクギリス「重傷を負った一夏、奮起する少女達。劣勢へと追い込まれてもなお立ち向かう気高き少女達の元に、ついに白亜の悪魔が舞い降りる」

マクギリス「次回、インフィニット・マクギリス。その機体の名は」

マクギリス「これこそが、唯一絶対の力…!」
184 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/31(日) 08:47:49.22 ID:MFcraMjl0

次回予告でガンダムの主人公機が新しいのになる時のwkwkを感じてしまった
185 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/31(日) 13:54:44.45 ID:hUjjltcT0
ブシドーさん何戯言宣ってるんですか、早くガンダム倒してくださいよ
2になってからバエルの特射ですり抜け出来なくなってない?
186 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/03/31(日) 16:39:20.47 ID:yMZvDp+G0
遂に次回でアグニカの魂が目覚めるのですね…
待ちかねたぞ!
187 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 18:17:50.96 ID:+vWW44h10
マクギリス「さあ、土曜日だ、諸君。私は仕事だったが。現在ゲーセンでアグニカ中だが、なかなか三連までは行けないな」

マクギリス「しばらくアグニカの予定なので、下手で良ければ店で組んで貰えると助かる。気軽に声をかけてくれ。まあ、居れば、だが」

マクギリス「最新話は今夜の予定だ。しばらく待っていて欲しい」
188 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 20:17:58.22 ID:9L/GBJq20
ガンダム・バエル
第十二話 その機体の名は

夕刻。私の予測通り、彼女らは動いた。

マクギリス「本気で、行くつもりか」

鈴「当たり前じゃない。奴を仕留めるなら、今からじゃなきゃ間に合わないわよ」

箒「ここで引き下がる訳にはいかない、絶対に」

セシリア「織斑さんは大切な友人ですもの。敵討ちなら協力いたします」

ラウラ「教官は自由に動けぬ方だ。我々がやるべきだ。教官の代わりに」

シャル「このまま見て見ぬ振りは出来ないよ、マクギリス。あの時は、見てるだけしか出来なかったんだから。力があるからこそ、引けないよ」

マクギリス「止めても、無駄なようだな」

鈴「当然じゃない。女には、引けない時があんのよ」

シャル「マクギリスだって、グリムゲルデが使えたら行くでしょ?」

マクギリス「…困った子達だ」

鈴「ま、こっちは五人。負ける道理は無いわよ。ゆっくり待ってなさい、チョコ」

ラウラ「では、嫁。帰る場所を守っていてくれ」

彼女達は、決意を胸に、敵地へと向かう。私には、それを止める事は出来なかった。
189 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 20:33:56.27 ID:9L/GBJq20
そして、日が落ちた頃。私は司令室に居た。

マクギリス「彼女達は動くぞ。もはや止められる者は居ない」

千冬「お前でも、か。やれやれ、問題児ばかりで困る」

マクギリス「私にも、出撃許可を貰おうか」

千冬「やると思うか、馬鹿者」

マクギリス「彼女達を放ってはおけない。それは、君も理解しているだろう?」

千冬「ダメだ。策もなく生徒を危険にさらす訳には…」

山田「織斑先生、福音が!」

マクギリス「どうやら、始まった様だな。では、二択といこうか」

千冬「二択、だと?」

マクギリス「私に出撃許可を出すか、処罰する対象が一人増えるか。どちらが君にとって有益か、聡明な君なら分かるだろう?」

千冬「馬鹿者が。脅迫かそれは」

マクギリス「私も、果たすべきを果たす必要がある。それに?」

突如、生徒数人が司令室に入り込んで来る。

「先生、織斑君が、織斑君が…!」「おりむー、行っちゃったよぅ…」

マクギリス「何!?あの怪我で、彼が…」

千冬「ええい、どいつもこいつも!ファリド!」

マクギリス「…何かな」

千冬「全員連れて戻って来い。失敗は許さんぞ」

マクギリス「勿論だ。私がこちらで、何かを仕損じた事は無いだろう。必ず、連れて戻る」

タイミング良く、端末に着信。出ながら、駆け足で石動の元へ向かう。
190 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 21:08:28.06 ID:9L/GBJq20
推奨BGM IBOオリジナルサウンドトラック Sings of Victory

マクギリス「石動、準備は出来ているな」

石動「勿論です。カタパルトの方角も問題ありません。御武運を」

バエルを装着、起動させる。バエルと一体化し、カタパルトに乗る。

マクギリス「素晴らしい仕上がりだ。…マクギリス・ファリド、ガンダム・バエル、出るぞ!」

カタパルトによる一時加速、さらにイグニッションブーストを五回連続発動。流星のごとく、空を駆ける…!

マクギリス「あれか。まったく、困った奴だ」

一夏の白式を捕捉、そのまま掴んで共に加速する。

一夏「な、なんだこいつ、放せ!」

マクギリス「一夏、私だ。傷は問題無い様だな。このまま戦闘に介入するぞ」

一夏「ま、マクギリス…!?その機体は、それにこのスピードは…!?」

マクギリス「話は後だ。…見えた、箒が捕まっているな。私が突撃して引き?がす、その隙にほかの皆と共に態勢を立て直せ」

一夏「わかった!」

白式を放し、更に加速。的確に福音に加速を載せた蹴りを見舞う。近くの砂浜に叩き付け、盛大に土煙をあげる。

箒「な、なんだ今のは…!?」

一夏「箒、無事か!?」

箒「一夏!?何故お前が…!?」

一夏「話は後だ、今は福音を!」

シャル「今の白い閃光みたいのは一体…」

土煙の中から、バエルソードを抜剣しながら舞い上がる。

マクギリス「諸君。反撃の時は来た。見せてやろう、奴に我々専用機持ちの力を…!」
191 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 21:30:53.55 ID:9L/GBJq20
推奨BGM One Way

福音が、土煙から飛び出してくる。損害はほとんど見受けられ無い。

マクギリス「奴は私が惹きつける。君たちは一度態勢を立て直し、隙を見て奴に攻撃を叩き込め」

ラウラ「嫁…!?その機体は、いったい…」

マクギリス「これこそが、私が持つ唯一絶対の力…ガンダム・バエルだ。後方支援は任せるぞ」

セシリア「あれが、ガンダム・バエル…」

シャル「マクギリスの、専用機…!」

スラスターウィングの出力を一気に最大に引き上げて、福音へと突撃する。

マクギリス「遅れた分の仕事はしよう。この、バエルで!」

福音とバエルがぶつかり合う。致命傷は避けられてはいるものの、目に見えて福音にダメージが溜まっていく。

シャル「速すぎる…!これじゃ援護だって…」

ラウラ「これが、マクギリスの真の力だと言うのか…!」

福音の拡散射撃を、間を縫う様に左右移動しながら肉薄する。バエルソードの一撃が、福音を吹き飛ばす。

マクギリス「今だ!」

体勢を崩した福音に、ラウラと鈴、セシリアの主力武装が叩き込まれる。

マクギリス「存外硬いな。軍用機だけはある」

福音は未だ健在だった。
192 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 22:00:50.97 ID:9L/GBJq20
福音が、バエルから逃げ回りながら射撃をばら撒く。弾幕を掻い潜り、斬り付け、突き刺し、叩き伏せる。

鈴「なんなのよ、あれ…あれが人間の動きなの…?」

セシリア「あの福音を、圧倒していますわ…!」

螺旋を描く様にして、幾度と無くぶつかり合う。

マクギリス「まだ、墜ちないか…!」

バエルソードでX字に斬り付け、吹き飛ばす。

一夏「今だ!箒!」

箒「ああ!」

体勢を崩した福音に、二人が一太刀叩き込む。

マクギリス「まだ浅い…」

福音が、白式にエネルギー砲を撃つ。左腕のシールドで、それを防いで見せた。

一夏「くそ、もうエネルギーが!」

マクギリス「私に任せて下がれ」

福音を惹きつける。その間に、箒の紅椿がワンオフアビリティを発現、味方の機体を接触によるエネルギーの回復を成し遂げた。

福音とバエル、二つの白が夜空に舞い、激突する。互いに弾かれた所を、一夏が肉薄する。

一夏「これで、終わりだ!」

一夏が零落白夜を、福音に叩き込んだ。

マクギリス「まだ、倒れないか…!」
193 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 22:15:51.00 ID:9L/GBJq20
マクギリス「だが、隙は出来たな」

イグニッションブーストを瞬間的に複数回発動する事による、超加速。その一撃が、福音を捉える。

マクギリス「これで、終わりにしよう」

バエルソードを突き刺さしたまま、砂浜に叩き付ける。ガリガリとシールドエネルギーが削れる手答えと共に、ついに福音が沈黙した。

シャル「倒したの…?」

ラウラ「なんという…これが、ガンダムバエルの力か…」

マクギリス「…作戦は、成功した。皆、怪我はないか」

福音から解放された女性パイロットのバイタルを確認する。…命に別条は、無いみたいだが。

マクギリス「では、帰るとしよう。皆が、待っている」

ちょうど、朝日が昇り始めていた。暖かな光が、皆を照らしていた。
194 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/06(土) 22:25:34.54 ID:9L/GBJq20
マクギリス「すまない、疲労がピークに達した。少し眠らせて貰おう。深夜には再開するので、しばらく待って欲しい」
195 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/07(日) 00:53:02.80 ID:8XvWgyeqo
乙、無理しないでええんやで
196 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 09:58:37.00 ID:5HieY8Ri0
マクギリス「すまない、よもや熟睡してしまうとは」

マクギリス「とりあえず、ちょくちょく書かせて貰おう」
197 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 10:11:47.40 ID:5HieY8Ri0
旅館に戻り、我々を出迎えたのは織斑千冬と、山田真耶。

千冬「作戦成功、と言いたいところだが。わかってるな?お前たち。学園に戻ったら、反省文と懲罰用トレーニングを課してやるから覚悟しておけ」

マクギリス「命令違反の咎は、受けねばならない。励むと良い」

千冬「貴様もだぞ、ファリド」

マクギリス「なっ!?私は許可は取ったはすだろう」

千冬「教師を脅す馬鹿者にも懲罰は必要だ。反省しろ」

マクギリス「…バエルを持つ私は、その様な些末事で、断罪される身ではぐっ!?」

千冬「関係あるか、馬鹿者が」

鋭い出席簿による
198 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 10:29:10.19 ID:5HieY8Ri0
出席簿による鋭い攻撃が私を襲う…!

山田「ま、まあまあ、織斑先生。怪我人も居ますし、皆さん疲れているでしょうからその辺で…」

千冬「まあ…よくやった。よく無事に帰ってきたな」

マクギリス「約束したからな。全員無事に帰すと」

千冬「…ふっ。そうだったな。そろそろ朝食だ、着替えて食卓に着け。働いた分、美味い飯にありつけるぞ」

マクギリス「ああ。堪能させて貰おう」

自室へと戻る道すがら、一夏に疑問を投げかける。

マクギリス「そういえば、君の怪我はどうなっている?一朝一夕で治るものでは無かったろう」

一夏「いや、なんか起きたら治ってた」

箒「あれほどの傷がそう簡単に治るのか…」

マクギリス「まあ、なんにせよ今回は切り抜けられたな。今後も、励まねばならんな」

マクギリス(しかし。あの傷がこの短時間で治る筈がない。ISの隠された機能か、一夏には何か秘密があるのか…)

マクギリス(まだ、何か…裏があるな。福音の暴走も、その裏の一端。そう考えるべきか)

マクギリス(だが、まずは…守られた日常を、謳歌するとしよう)

生徒達の喧騒。平和な日常、手に入れる事が出来なかったはずの物が、私を待っていた。
199 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 13:08:16.65 ID:cQI7A5ThO
次回予告

シャル「目覚めたバエルの力により、福音を乗り越えた僕達。そこに現れる、新たな転入生」

シャル「その存在は、新たな波乱の幕開けか」

シャル「ねえ、マクギリス。なんかこの台本格好つけすぎだよ…」

シャル「次回、インフィニットマクギリス。約束の果て」

シャル「少しだけまってて!色々ひと段落したら書くから!多分四時位!」
200 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 13:20:03.12 ID:cQI7A5ThO
マクギリス「少し、謝罪しておこう」

マクギリス「福音との戦いはもう少し激しく描いてみたかったのだが、福音の装備に近接用武装が無いためバエルのカモとなるだけになってしまった。あまりに呆気なく感じてしまったかもしれないが、私の文才ではこれが限界だ。今後は、精進させて貰おう」

マクギリス「さて、次はかのアーキタイプブレイカーに関してだ」

マクギリス「既に終わってしまった作品ではあるが、その設定、ストーリーを流用しようかどうか考えているいてな」

マクギリス「諸君らに問いたいのだが、アーキタイプブレイカーの設定等を加味するか否か。判断を委ねたい」

マクギリス「加味する場合、アーキタイプブレイカーのヒロインの登場も視野に入れてこれからは書かせて貰おう」

マクギリス「加味しない場合、アーキタイプブレイカーは完全にスルーしてアニメ、原作のみを参考に書いていく」

マクギリス「ゲームに関しては…すまない、私はあの手のゲームは苦手でな。格闘やアクション系ならば問題無かったのだがな…」

マクギリス「では、加味する場合は『もっとお前の話を見せろ!』と」

マクギリス「加味しない場合は『虚しい話だ…』と投稿して貰いたい。」

マクギリス「これに関してはしばらく猶予を置こう。では諸君、また会おう」
201 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/07(日) 13:41:50.15 ID:026RAUq60
もっとお前の話を見せろ!
202 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 16:13:25.10 ID:cQI7A5ThO
第十三話 約束の果て

山田「臨海学校から戻ったばかりですが、皆さんに新しいお友達が、増える事になりました!」

マクギリス(また、か。いくら人を増やすつもりなのか)

だがその人物は私にとって縁の深い、予想しつつも、やはり驚愕せざるを得ない人物であった。

山田「オーガス君、入って来てください!」

マクギリス「な、なんだと…」

そこに現れた人物に、目を疑った。

「三日月・オーガス、です」

クラスの少女達がざわめいた。

「え?男の子?」「ちっちゃくて可愛い!」「お菓子、食べる〜?」

「ていうか、なんでチョコも居んの?アンタも死んだの?」

クラスが、一気に静まり返る。それと同時に、私は現実に引き戻された。

マクギリス「…三日月・オーガス。その話は後で、二人で話すとしよう。皆を混乱させてしまうからな」

一夏「え、?死んだって、どういう…アンタも、って…?」

シャル「あ…そっか、知り合いなんだ。あの子と…」

マクギリス「気にしないで貰いたい。彼なりのジョークだ」

要らぬ爆弾を、撃ち込んでくれたな。

203 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 16:25:52.02 ID:cQI7A5ThO
三日月「ま、なんでも良いや。アンタ、オルガを見てない?こっちに居るはずなんだけど」

千冬「オーガス、席はあそこだ。無駄話は後にして座れ」

三日月「わかった」

マクギリス(予想しなかった訳では無い。だが、彼でさえ生き残れなかったか…)

山田「そ、それでは授業を始めますね?オーガス君、わからないところがあったら遠慮しないで聞いて下さいね」

三日月「うん」

しばらく、授業が進んだ頃。

山田「ここまでで、何か質問はありますか?」

三日月「俺、聞きたい事あるんだけど」

山田「はい、何ですか?」

三日月「ねえ、ISって何?俺は何をすれば良いの?」

マクギリス(そこからなのか…)

山田「え、ええ!?」

千冬「…オーガス、必読と書かれた本が渡されたろう?それはどうした」

三日月「これ?この分厚いの」

千冬「そうだ。読んで無いのか」

三日月「読めない」

千冬「…もしや、使用言語が違ったのか?」

三日月「いや、そうじゃない。字が読めないんだ、俺」

マクギリス「…彼は少年兵でな。読み書きから教える必要があるようだな」

クラスが、再びざわめいた。

千冬「静かにしろ!…オーガス、放課後に山田先生と共に読み書きを練習しろ。山田先生、頼みます」
204 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 16:36:00.35 ID:cQI7A5ThO
放課後。

千冬「ファリド。お前は今後オーガスと同室だ。色々と、面倒を見てやれ」

マクギリス「了解しました」

三日月「チョコレートが同じ部屋なんだ」

マクギリス「その方が、色々と良いだろうからな」

三日月「ふーん…ところで、オルガは?」

マクギリス「ああ、君の言う通り、彼もこちらに来ている。…何があった、君達に」

三日月「…オルガが街で殺されて、俺はあいつらになんかを上から撃たれて、暴れて回ったけどダメだったみたい」

マクギリス「アリアンロッドに…そうか」

三日月「チョコレート、アンタは?」

マクギリス「私はラスタルに一人で挑み、奴を討ち取る前にガエリオに敗北した…すまなかった」

三日月「何で?」

マクギリス「私がラスタルを倒せていれば、君達も生き残れたかもしれん」

三日月「良いよ、別に。今更言っても無駄だし」

マクギリス「そうか…それと、我々が別の世界から来たかもしれない、というのは秘密にした方がいい。要らないトラブルに巻き込まれたくはないだろう?」

三日月「わかった」
205 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/07(日) 16:43:53.59 ID:Ka60gj7v0
ペシャン公の出番はありますか?
206 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 17:23:21.61 ID:cQI7A5ThO
三日月・オーガスにISの事をレクチャーしながら、日々が過ぎていった。

一夏「いやあ、三日月もマクギリスも強いよな。全然歯が立たねえよ」

三日月「別に、普通でしょ?」

マクギリス「三日月、君のISはどこで手に入れた?」

三日月「束って奴がくれたんだ。ここまで送ってくれたのもそいつ」

マクギリス「…バルバトスルプスレクス、か。数奇なものだ」

三日月「何が?」

マクギリス「君と共に戦う事が、だ。こんな運命が、待っていようとはな」

マクギリス(にしても、あの女。何を企んでいるかわからんな)

次々と増える、懸念。嫌な予感は増すばかりだった。
207 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 18:42:12.34 ID:cQI7A5ThO
一夏「そうだ、二人とも今度の休みは空いてるか?」

マクギリス「私は空いているが」

三日月「俺も」

一夏「今度、夏祭りがあるんだよ。行かないか?」

マクギリス「それは楽しみだ。是非、同行させて貰おう」

三日月「へー。面白そう」

マクギリス(日本の祭り。初体験だな)

そして、その休日。

マクギリス「これが、夏祭りか。なるほど、独特の雰囲気だが悪くない」

一夏「だろ?おみくじも引いてみようぜ」

三日月「何、それ」

マクギリス「丸められた紙をランダムに引き当て、運勢を占う日本の風習さ。引くのは初めてだがな」

そこには、見知った顔が居た。

箒「一夏…!?マクギリスに、三日月まで!?」

三日月「うーっす」

一夏「よ、箒。来てると思ってさ、ついでに二人も誘ったんだ。初めてだろうしさ」
208 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 18:54:17.64 ID:cQI7A5ThO
箒「そうか!是非、楽しんで行ってくれ」

三人揃って、おみくじを引いてみる。

一夏「どうだ、マクギリス、三日月。俺は中吉だった」

三日月「俺は大吉。大切な人との再会叶う、だって」

マクギリス「凄まじいな、三日月。私は…」

マクギリス「凶、だな。前途多難。危険多し、だそうだ」

箒「そ、それは残念だったな。それなら、あれにおみくじを結んでおけ。少しは良い方向に向かうだろう」

マクギリス「ああ、そうさせて貰おう」

「あら、箒ちゃんのお友達?久しぶりね、一夏くん」

一夏「お久しぶりです、雪子おばさん」

マクギリス「はじめまして。マクギリス・ファリドと申します」

三日月「三日月・オーガスです」

「あらあら、ご丁寧どうもー。箒ちゃん、せっかくだし一夏くん達と遊んでらっしゃい」

箒「良いんですか?ありがとうございます」

箒が着替えて我々と合流した。
209 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 19:11:14.19 ID:cQI7A5ThO
マクギリス「では、我々は別行動としようか、三日月」

一夏「え?なんでだよ、皆で回ろうぜ」

マクギリス「君はもう少し、女性の心理を学ぶべきだ。行こうか、三日月」

三日月「腹減った」

マクギリス「分かっている。食べ歩きと行こう」

一夏「なんだ?一体…」

箒「…感謝する、マクギリス。行くぞ、一夏」

一夏「お、おう」

三日月と共に、屋台の食べ物を回る。

三日月「これ美味い」

マクギリス「ああ。食欲が踊るな。この様な喧騒に満ちた祭りも、良いものだ」

三日月「だね。今度は、オルガ達も誘わないと」

マクギリス「我々には、時間はたくさんある。その日を楽しみにしておくと良い」

花火が上がる。不安も懸念も忘れ、祭りを堪能する。これこそが、本当に求めるべき未来だったのだ。
210 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 19:29:57.51 ID:cQI7A5ThO
次回予告

ラウラ「ほう、これは…是非、誘わねば!」

シャル「どうしたの?」

ラウラ「な、なんでもない!」

シャル「そう?」

ラウラ「次回、インフィニットマクギリス。とある夏の思い出」
211 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/07(日) 19:37:29.58 ID:cQI7A5ThO
>>205
マクギリス「クジャン公の出番は無論もう内定している。君が望む形かは保証しかねるが」


マクギリス「では、諸君。デュナメスの完成次第ではまたもう一話更新するかもしれないが、とりあえず寝て休んでくれ」
212 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/08(月) 09:48:41.38 ID:mtbEwlI1o
改心後に三日月来て良かったなセッシー
213 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/12(金) 20:47:40.89 ID:1bWp9lwdO
この三日月阿頼耶識の副作用治ってるんだよね?
214 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/14(日) 23:58:36.06 ID:uQWsU+ty0
マクギリス「待たせて済まないな、諸君」

マクギリス「夜勤明けにバエルに乗り、疲労困憊でしばらく寝溜めしていた」

マクギリス「今から書いても、あまり書けそうもないな。明日も仕事があるしな。すまないが、来週まで待って欲しい」


>>213

マクギリス「彼の後遺症はこの世界に来た際には消えている。誰かが担いで授業をさせる訳にもいくまい」
215 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/20(土) 16:34:46.83 ID:w9faA8sd0
マクギリス「諸君、待たせてすまないな」

マクギリス「今夜、再開させて貰おう。ゆっくりと待っていて欲しい」

マクギリス「ヴィダールも買ってきたし、作らねば…!」
216 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/20(土) 18:08:13.39 ID:Yx5hlc7eO
バエルだ!アグニカ・カイエルの魂!
217 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 09:44:05.65 ID:SfObI41b0
第十四話 とある夏の思い出

夏季の授業休み。その終盤の朝。私はいつも通り、寮の部屋で目を覚ます。

マクギリス「…やれやれ」

いつの間にか、隣に眠る美しい銀髪の少女。その安らかな寝顔に、不思議と心が安らぐ。

その綺麗な頭を撫でてやる。しばらく撫でていると、ラウラが目を覚ました。

ラウラ「もう、朝か…」

マクギリス「ああ、おはよう、ラウラ。よく眠れたかな?」

ラウラ「うむ、お前の隣はすごく、寝やすい。出来た嫁だ」

マクギリス「それは良かった。ところで、何故学校指定の水着なのかな」

ラウラ「このためだ」

ラウラが差し出したのは一枚のチラシ。内容は、最近オープンしたばかりのアミューズメント施設だった。

マクギリス「なるほど。皆で夏の思い出作りがしたいのかな?」

ラウラ「そ、それも悪くはないのだが…その、だな」

マクギリス「ん?」

ラウラ「その、マクギリスと二人で、行きたいのだ」

父親を独り占めしたい、といったところか。

マクギリス「ああ、では二人で行こう。たまには二人で思い出作りと行こう」

ラウラ「すまないな、私のわがままを…」

マクギリス「気にするな。そのような可愛いワガママなら構わないさ。それに、この場面ではもっと相応しい言葉があるだろう?」

ラウラ「…ありがとう、マクギリス」

マクギリス「どういたしまして」

ラウラの頭を、優しく撫でる。嬉しそうな笑顔に、私の心が洗われていく気がした。
218 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 20:24:15.07 ID:SfObI41b0
昼過ぎ。食事を済ませ、買い出しに出るとする。

「あら、マクギリスさん?」

マクギリス「…セシリアか。帰国していたのだったな、お帰り」

セシリア「はい。マクギリスさんは?」


マクギリス「私はこれから買い出しに行く。色々と、必需品を補充せねばならん身でな」

セシリア「で、でしたらご一緒させていただいても?」

マクギリス「構わないが…疲れているのでは?」

セシリア「大丈夫ですわ!少々お待ちを!」

少しして、着替えて来たセシリア。

マクギリス「さて、では行くとしよう」

セシリア「はい!」

向かうは、商店街。
219 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 21:44:02.17 ID:SfObI41b0
セシリア「マクギリスさん、今日はどちらに?」

マクギリス「必需品の補充にスーパー、ついでに色々と見て回る程度かな」

セシリア「そうなんですの…では、必需品の補充が終わりましたら、私のオススメのお店はいかがでしょう?」

マクギリス「君のか。では、楽しみにさせていただこう」

セシリア「はい!」

セシリア(例のパン屋さんにマクギリスさんを連れて行けば…恋が叶う、との噂。チェルシー、私やって見せますわよ!)

マクギリス「しかし、一夏のオススメだけあって品揃え、価格共に素晴らしいな」

セシリア「そうですの?私にはあまりわかりませんが」

マクギリス「君も、こういったことに関する目を養うべきだな。いつ何時、何が必要になるかわからないからな」

セシリア「そ、そうですわね。…あら、紅茶も買われますの?」

マクギリス「最近、来客が多くてね。困ったものだ」

セシリア「マクギリスさんとバエル、紅椿と並んで注目の的ですものね。最近再編改名された、CMI改めギャラルホルン。その最新タイプISであるガンダムバエル」

マクギリス「おかげで、私も随分と有名になってしまった」

セシリア「能力有るものが注目されるのは当然ですわ。…我が祖国イギリスでも、だいぶ有名でしてよ?」

マクギリス「目立ち過ぎれば、いずれ要らぬ火の粉は掛かる。払うだけで済めば良いがな」
220 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 22:10:36.32 ID:SfObI41b0
セシリア「マクギリスさんの実力であれば大半は敵にならないのでは?」

マクギリス「それはないな。私とて、負けた事はあるさ。正直、何故負けたのかはわからないがな」

セシリア「マクギリスさんでさえ、ですか…」

マクギリス「ああ。物事に絶対は無いのさ。…さて、これだけあれば十分か」

会計を済ませ、セシリアと並び歩く。

マクギリス「では、案内願おうか」

セシリア「はい!こちらですわ」

セシリアに付いて歩く。その先にあるのは一軒のパン屋。

セシリア「このお店のパフェが有名なそうですわ」

マクギリス「…クランク・ベーカリー?」

聞き覚えのある名前の様な気がした。どこで聞いたのだったか。
221 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 22:48:58.95 ID:SfObI41b0
「おや、いらっしゃいま…」

店員の声が、途切れた。私もまた、言葉を失う。

セシリア「店員さん?どうかなさいまして…?」

「ファリド、特務三佐、なのですか…?」

マクギリス「…久しいな、アイン・ダルトン三尉。君と再会するとは、世界は広いのか狭いのか」

アイン「何故です、何故貴方がこの世界に…?」

マクギリス「君の想像通りさ。君と同じ、な。そうか、この店はクランク二尉の店なのだな」

アイン「はい…貴方がいらっしゃるならば、まさかボードウィン特務三佐までもが…?」

マクギリス「…いや、あいつはまだ来ていないはずだ。大丈夫だろう」

アイン「そう、でしたか…」

マクギリス「…では、セシリア。君のオススメを教えてほしいな」

セシリア「は、はい。ここのオススメはパンを使用したスペシャルパフェでして…」

マクギリス「では、それを頼めるかな」

アイン「はい、スペシャルパフェお一つですね。すぐにお持ちいたします」

マクギリス「いや、二人分で…」

セシリア「マクギリスさん、スペシャルパフェは一つで二人分でしてよ」

マクギリス「そう、なのか?」

222 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/21(日) 23:42:51.91 ID:SfObI41b0
席に座り、パフェを待つ。

セシリア「アインさん、でしたか。あの店員さんとはどの様なお知り合いで?」

マクギリス「何、大した話しではないさ。昔の同僚で、親友の部下だった男だ」

「ええい、配達の奴等は何をしている!?この程度の配達に何を手間取る!?減給だっ!」「落ち着けオーリス、今は道が混む時間帯だ。仕方ない」

運ばれてきたパフェ。それに付いてきたスプーンは何故か一つ。

マクギリス「…アイン、スプーンは一つだけ、なのか?」

アイン「は、はい。二人で交互に食べさせあうものでして…」

マクギリス「そうか。…ん?食べさせあう、だと?」

セシリア「そうですわ!二人で食べさせあい、絆を深めるものなのですわ!」

マクギリス「それはまた…恋人か何かと食べるべき代物なのでは?」

セシリア「ですが、このパフェは二人でなければ食べられない、特別メニューなのです!郷に入りては郷に従え、と申します。特別メニューを頼む以上、前提は守りませんと!」

マクギリス(そんなに食べたかったのか…)

マクギリス「わかった、引き受けよう」
223 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/22(月) 02:39:25.88 ID:TPGvokWG0
マクギリス(…しかし、これは女子高生を誑かす大人、という構図に見えかねないのでは)

パフェを、交互に食べさせ合う。羞恥心やらでどうも落ち着かない。

セシリア「ああ…私はこの日の為に産まれてきたんですわね…」

マクギリス「よ、喜んでくれているならば何よりだ…」

恍惚な表情を浮かべるセシリア。よほど気に入ったのだろうな。

セシリア「また、このパフェを一緒に食べてくださいますか?」

マクギリス「それは、早く恋人を作ってその恋人に頼むべきだ」

セシリア「…鈍感」

マクギリス「どういう事かな…?」

そんな、奇妙な時間を過ごした1日だった。
224 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/22(月) 02:48:10.57 ID:TPGvokWG0
マクギリス「本日はここまでだ。では、謝罪をさせてもらえないだろうか」

マクギリス「昨日だが、仮眠のつもりが朝まで熟睡してしまったのが原因だ。約束を違えるつもりは無かったのだ、許して欲しい」

マクギリス「来週はかなり書ける、と良いのだがな…」

マクギリス「では、同士諸君。しばしの別れだ。気をつけてな」
225 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/22(月) 03:03:41.34 ID:VnEFMV1/o
乙乙

少しずつでいいから頑張って
社会人が女子高生とこんなことしてたらそりゃ落ち着かないよねww
226 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/22(月) 06:41:20.97 ID:+yq36PWJ0
マッキーは本物の幸せが何なのかとか、愛とは何かとか知らないまま死んじゃったからなぁ
アルミリアのことは本気で幸せにしたかったんだろうけど、あれは政略結婚とかの側面もあるし
アインも決戦の時にシステムが焼き切れたから、たしかに死んでるよね

227 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/04/22(月) 18:38:07.99 ID:93kkpYHk0
マッキーラスボスなら良かったのに…
そう言えば3人ともゾイドで高速戦闘ゾイドに乗ってたな、マッキーは砲戦、格闘、基礎、高速、前の都合でラスボス含めだけど

/0のビット+マッキー足したらバトスピのゾルダーになりそう
228 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/29(月) 02:30:52.09 ID:pL6zA+Vz0
>>225
マクギリス「ありがとう。寛大な心に敬意を表する」

>>226
マクギリス「私がその幸せを知っていく物語、というのが今回のコンセプトの一つなので、ゆっくり見守って欲しい」

マクギリス「あと、個人的にアインは三日月に倒された時点で人としては死んでいる、と考えている。ただのシステムにされた記憶があったら私は耐えられないしな」

>>227
マクギリス「済まない、私はゾイドはあまり詳しくなくてな。幼少期にジェネシス?だったかを視聴した程度だ。話題についていけなくて申し訳ない」

マクギリス「私がラスボスだった場合、おそらくバエルにハマる事も、この話を書いている事も無かっただろうな。何せ、ネタとして優秀かつ、バエル自身のロマンさ故に惹かれているのだから。私がラスボスではネタに欠け、結果的に気にも止まらず興味を持たなかったかもしれんな」


マクギリス「では、色々と待たせて済まないな。これから入浴。そのあとゲームのレべリングをしながらゆっくり書かせて貰う。今しばらく待っていて欲しい」
229 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/29(月) 03:06:21.58 ID:pL6zA+Vz0
ラウラとの約束当日。

マクギリス(待ち合わせ場所には30分前に着いたな。予定通り…今日は忙しくも楽しめそうな1日になりそうだな)

「ま、待たせたか?」

マクギリス「…いや、私も先程着いたばかりだ。しかし、その私服。とても似合っているよ」

ラウラ「そ、そうか?頑張ってみた甲斐があった」

マクギリス「では、お手をどうぞ、レディ。夕方までは私は君の貸し切りだ。存分に、楽しむとしよう」

ラウラ「ああ、行こう、マクギリス」

嬉しそうに手を繋ぐ。やはり、父親の様な存在が彼女には特に必要なのだろう。

マクギリス(ならばその役目は、しっかり果たさねばな)

暑い日差しの中、目指すはアミューズメント施設内のプール。彼女の足取りは日差しに負ける事なく軽やかなものだった。
230 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/29(月) 04:55:15.91 ID:pL6zA+Vz0
マクギリス「ほう。少々、侮りが過ぎたようだな」

水着に着替え、待ち構えたのは広大なプール施設。スライダーの様なものまである。

ラウラ「うむ。では遊ぼう、マクギリス。まずはあれからだ!」

彼女が示した先には、長大なスライダー。

マクギリス「たしかに、あれは体力がいりそうだな。先に楽しむとしよう」

ラウラ「ああ、行こう」

彼女に手を引かれ、スライダーの頂点へと向かう。

マクギリス「ペア滑り、だと…?」

「はい。女の子がこちらに座って、男の子が後ろに座って、女の子をぎゅっとするんです」

どう考えても、成人男性と女子高生がする行いではない気がする。

マクギリス(これは、女子高生を誑かす大人、という構図に見えるのでは…)

既視感を覚えるシチュエーションな気がするが、どうすべきか。

ラウラ「…嫌なら、無理にとは言わん。別の事をしよう」

ラウラの表情を見て、覚悟は決まった。

マクギリス「いや、大丈夫だ。少し面食らっただけだ、問題は無い。共に滑り降りようか」

ラウラの後ろに座り、優しく抱き締める。

マクギリス(…華奢で、か細い身体だ。私が守ってやらなければな)

「では、いってらっしゃい!」

背中を押され、共に滑り降りる。その身体を守るように、守れるように抱き締めながら。

231 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/30(火) 01:32:19.97 ID:VQOjTs+l0
ラウラ「ぷはっ」

マクギリス「なかなかに、凄まじい勢いだったな…」

外観では平坦に近い部分もあるはずだったのだが、思いの外減速せずにプールに投げ出された。

ラウラ「さ、流石にあの勢いは何度も味わいたいものではないな…」

マクギリス「同感だ。では、時間もまだある。流れるプールはどうだろう」

ラウラ「ふむ、それはいいな」

プールサイドを、手を繋いで歩く。道中で浮き輪を買う。

マクギリス「…ん?」

三日月「あれ、チョコレートじゃん」

「あれー、ファリりんも来てたのー?」「うわ、ボーデヴィッヒさんの水着可愛いなー」

マクギリス「三日月、君とこのような場所で出会うとはな」

三日月「うん。本音ちゃん達に誘われたから」

マクギリス「そうか。てっきりオルガ団長達と来るものと思っていたが」

三日月「オルガ達は仕事。夕方には合流するってさ」

マクギリス「そうか。では、また夕方に」

三日月「うん」

ラウラ「…良かったのか?共に遊ぶというのも、手ではないのか」

マクギリス「言ったろう?今日は君と私の二人で、こころ行くまで遊ぶのだ、と」

ラウラ「マクギリス…まったく、流石は私の嫁だ」
232 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/04/30(火) 02:09:31.65 ID:VQOjTs+l0
流れるプールで、ラウラを浮き輪に乗せて共にゆっくりと漂う。

ラウラ「…その、だな。マクギリス」

マクギリス「何かな?」

ラウラ「ありがとう。お前のおかげで、私はこの様な幸せな時間を過ごせている」

マクギリス「私の、か…そうであれるならば、嬉しいな」

ラウラ「お前のおかげだ…お前が居てくれたから、大事な事に気付けたのだからな。だから、これからも私を見ていてくれ。道を間違わないように」

マクギリス「無論だ。約束、しただろう?」

ラウラ「…ありがとう、マクギリス」

マクギリス「ああ。では、共に遊び尽くそう。今日はまだ始まったばかりだからな」

ラウラ「ああ、楽しもう!」

夕刻まで、ラウラと共に様々な事をした。その中で見られたラウラの笑顔は、私の記憶にしっかり刻まれた。
233 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 18:49:32.56 ID:P/nEW2iP0
マクギリス「待たせて済まなかった、読者諸君」

マクギリス「結局、連休中はしばらく
234 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 18:54:05.27 ID:P/nEW2iP0
マクギリス「Take2だ、諸君」

マクギリス「待たせて申し訳ない。連休中、共闘要請が友人からずっと来ていてな。なかなかに時間が取れなかったのだ」

マクギリス「さて、今日は階級昇格寸前まで行けたのでかなり筆が乗りそうだ」

マクギリス「というか、クアンタは相変わらず乗りやすく強い良い機体だな。フルブ感覚で乗ってみたが、軽く三連勝出来てしまって少々驚いた」

マクギリス「では、同志諸君。再開だ」
235 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 19:21:03.02 ID:P/nEW2iP0
夕刻。着替えて縁日の舞台へとラウラを連れて参じる。

マクギリス「夏祭りと似た様なものか」

ラウラ「人が多いな、シャルロット達も見当たらん」

マクギリス「合流ポイントはこの辺りの筈だが…」

「おーい、こっちこっちー!」

その声に導かれ、一夏達と合流する。

鈴「チョコレート、アンタも来たのね」

セシリア「な、何故ラウラさんと…?まさか、お誘いした時の先約というのは…!」

ラウラ「ふふん」

何故か得意げな顔のラウラ。対照的に悔しげな顔のセシリア。話に介入すべき…なのだろうか

シャル「抜け駆けはずるいよー、ラウラ。ていうかセシリアも」

一夏「まあ、ここで話しててもなんだし…三日月達は?」

マクギリス「彼らも来る筈だが…いや、あそこだ」

「マクギリスじゃねえか…」

マクギリス「旅館以来だな、オルガ団長」

オルガ「ああ。今回は誘っていただき、感謝する」

マクギリス「発起人は彼だ」

一夏「えっと、こんばんは…?織斑一夏です」

オルガ「どうも。鉄華団団長のオルガ・イツカです」

マクギリス「三日月はどうした?彼と一緒ではないのか」

236 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 19:57:11.37 ID:P/nEW2iP0
オルガ「それがよ、腹減ったからなんか買って来るって戻って来ねえんだ」

箒「あの辺りでは?何故か女性が集まっているし」

マクギリス「…なにやら、騒ぎになっているな」

「やだ、この子可愛いー」「どこの子?迷子?」「ねーねー、お姉さんと回らない?」

逆ナン、という奴だろうか。

三日月「…ウザい…」

マクギリス「すまない、彼は私の連れでな。そこまでにして貰いたい」

三日月「チョコの人だ。もう来たんだ」

マクギリス「ああ、待たせたな。では行こうか、皆が待っている」

三日月「うん」

女性陣がさっと行く手を開ける。あまりしつこいタチでも無いようだ。

オルガ「まったく、心配掛けやがって」

三日月「ごめん、オルガ」

一夏「そんじゃ、行くか」
237 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 21:16:48.15 ID:P/nEW2iP0
マクギリス「ほう、これがタコ焼き、か。不思議な食感だな」

三日月「食いづらい…」

オルガ「へー、結構美味いんじゃねえか」

一夏「だろ?縁日といえばタコ焼き、みたいな」

セシリア「オクトパスを食べますの…?」

マクギリス「なかなかに美味だ。君も、如何かな」

セシリア「え、遠慮しておきますわ」

シャル「僕もデビルフィッシュはちょっと…」

マクギリス「そうか、残念だ」

ラウラ「まったくだ、こんなに美味いのに」
238 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/05(日) 22:57:18.23 ID:P/nEW2iP0
三日月「ねえ、この水ん中の変なの、何?」

一夏「金魚掬いだな。これで、こうして…こうなったら終わりな」

三日月「掬ってどうすんの?食べるの?」

一夏「いやいや、食わねえし食えねえから」

マクギリス「単に飼育して愛でる物だろう。とはいえ、魚は繊細な物だ。あまりオススメはできないな」

箒「金魚掬いでこうも深く考える者が居るとは…」

鈴「こいつら結構ズレてるわね…」

ラウラ「見ろ、この雲みたいなの!甘いぞ!」

マクギリス「ほう、初めて見るタイプだな?」

一夏「綿飴だな。そこで買えるみたいだ」

マクギリス「なるほど。味わわせて貰おう」

オルガ「縁日ってえのは変わったもんがいっぱいだな」
239 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/06(月) 00:21:59.14 ID:PtELmTXo0
シャル「ねえ、あれやってみない?」

マクギリス「あれは…銃、か?」

一夏「射的だ。あれで撃って、倒したのを貰えるんだよ」

マクギリス「なるほど。我々も、やってみよう」

オルガ「なんだよ…結構当たんねえじゃねえか…」

三日月「簡単だね、これ」

オルガ「すげえよ、ミカは…」

マクギリス「この距離だ。一度試射すれば簡単な物だろう」

ラウラ「くう…やはり私では…」

マクギリス「…あの奇妙な猫もどきか。デカイな…諸君、一斉射撃で仕留めよう」

一夏「了解!」

セシリア「はい!」

シャル「それじゃ行くよ!」

箒「私にも…!」

鈴「楽勝よ!」

三日月「そろそろ、消えろ…!」

マクギリス「当てる…!」

一斉射撃を受け、猫もどきは地に伏した。作戦は、成功した。


240 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/06(月) 00:47:35.78 ID:PtELmTXo0
マクギリス「花火?」

三日月「この前見た奴?」

一夏「違う違う、こうやって手に持ったりするタイプだよ。やらないか?」

オルガ「へえ、こんなんもあるのか」

セシリア「ネズミ花火…こちらはやめておきましょう」

ラウラ「ふむ…花火にも色々あるのだな」

シャル「この人数なら線香花火とかだけでいいんじゃないかな、下手に火が飛ぶと危ないし」

箒「花火をやる時は水の用意を忘れるな」

鈴「終わったらキチンと鎮火を確認する。でないと大変な事になるからね」

マクギリス「君達は誰に言っているんだ…?」

一夏「んじゃ、全員線香花火持ったな?」

マクギリス「では、競争と行こう。誰が一番長く線香花火が落ちずにいるか」「ここから先は競争だ」

一夏「誰だ今の」
241 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/06(月) 01:11:16.19 ID:PtELmTXo0
オルガ「落ちるんじゃねぇぞ…あっ」

マクギリス「私の…線香花火が…」

三日月「ああ…もう、終わっちゃった…」

一夏「お前ら早いな!?」

ラウラ「き、気を落とすな。今度は競争無しに楽しめば良い」

マクギリス「ありがとう、ラウラ…」

存外、心に響く。

シャル「綺麗だね、マクギリス」

マクギリス「ああ。こういうのも、悪くない」

セシリア「また、こうして集まって花火をやれたら良いですわね」

一夏「なら、約束だ。来年もまた、花火をやろう」

オルガ「ああ。必ず、な」

三日月「うん。絶対に、また来年も」

ああ、夏が終わる。これほどまでに、過ぎ去って欲しくない時があるとは思いもしなかった。
242 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/06(月) 01:30:42.64 ID:PtELmTXo0
次回予告

マクギリス「そういえば、三日月。いつになったら私の名前を呼んでくれるんだ」

三日月「アンタの名前、なんだっけ」

マクギリス「…マクギリスだ」

三日月「…ギリギリ?」

マクギリス「どうしてそうなった」

三日月「次回、インフィニットマクギリス。アグニカ・MAキラー」

マクギリス「待て三日月、まだ私の話は…」
243 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/06(月) 16:44:44.08 ID:KLzU+n78O
おつ
今日読み始めておいついた
昔ウィングとISのクロス読んで面白かったけどオルフェンズも面白いな
ミカの戦闘描画もこれからあるのかな?ちょっとやり過ぎないか心配だ
244 : ◆3DtvXoE6Vc [sage]:2019/05/13(月) 01:27:47.59 ID:DQ3vmecT0
マクギリス「まず、謝罪をさせて貰おう」

マクギリス「今週は少々、やる事が多くてな。階級は上がったのだが、夜には時間が無くてな。すまないが、来週まで待って欲しい」

マクギリス「目的は今回で達成出来たので、来週はしっかり書かせて貰おう」

マクギリス「しかし、クアンタやはり強すぎでは無いだろうか。冷静にトランザムを二回回せればかなり勝率が高くて良いな。バエルの爽快感には劣るが」

マクギリス「では諸君、また来週」
245 : ◆3DtvXoE6Vc :2019/05/19(日) 01:27:33.02 ID:B1GAQFwV0
マクギリス「またせて済まないな」

マクギリス「今日は、あまり上手く戦えなくて階級据え置きだったな。先週の好調はマグレだったか…」

マクギリス「では、書かせて貰おう」
246 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/19(日) 01:43:56.52 ID:B1GAQFwV0
第十四話 アグニカ・MAキラー

三日月と一夏の新学期初の模擬戦。意外にも、一夏が押していた。

山田「この分なら、織斑君も勝てそうですね?」

マクギリス「いや、それは無いだろう。彼はエネルギー配分を考えてはいまい。勢いだけで勝てるほど、三日月は容易くは無い」

千冬「そういう事だ」

その言の通り、エネルギー切れによる隙を晒した一夏に、ルプスレクスの連撃が叩き込まれた。メイス、爪、テイルブレード。

マクギリス「…いや待て、三日月やり過ぎでは無いのか…?」

三日月「あー…殺さないようにって難しいなぁ…」

一夏「殺す気かっ!?」

マクギリス「やれやれ、困ったものだな…」


直後の授業。一夏は遅刻するという醜態を晒す。曰く、知らない女子に引き止められたが故だと。…そして、箒に制裁を受ける。

マクギリス(モテる男というのは辛いのだな…)


247 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/19(日) 02:07:26.97 ID:B1GAQFwV0
全校集会。議題はどうやら学園祭のようだが…生徒会長、更識楯無。その視線はあからさまに私に注がれていた。

マクギリス(目を付けられた、か?いや、そもそも付けられない方がおかしいか)

一夏は少々驚いた顔をしていたが、なんだったのか。

楯無「それじゃ、皆頑張って出し物を決めてねー」

最後に、私に笑みを浮かべて見せた。

マクギリス(厄介事の予感がするのは気のせいだろうか…?)

そうして開かれたクラス会議。

マクギリス「…男子三人とポッキーゲーム…ホストクラブ…君達、真面目な意見はないのか。全て却下させて貰おう」

「「「えー!?」」」

マクギリス「えー、ではないよ。こんな不健全な出し物、誰も得をしないだろう?」

「私は得するよ!」「男子はクラスの共有財産である!」「女子を楽しませる責務を全うせよ!」

三日月「絶対、ヤダ」

マクギリス「いつから私は所有物扱いなのか。ともかく、もう少し真っ当な意見を…」

ラウラ「メイド喫茶はどうだ。経費の回収も出来るぞ。男子は執事をやらせれば良い」

マクギリス「…確かに、それならばまだこのふざけた案よりかはマシか」

三日月「俺執事なんてやれないよ」

一夏「あくまで真似事だろ?むしろ三日月はそのままで良いだろ」

三日月「そう?ま、面倒じゃなきゃ良いや」

マクギリス「では、執事とメイド喫茶。それで決定だ」

248 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/05/19(日) 02:13:21.18 ID:Dz6pIOciO
クアンタは強いけど壊れってほどじゃない良い塩梅
バリア貼っての格闘はやめて
249 : ◆3DtvXoE6Vc [saga]:2019/05/19(日) 02:29:49.59 ID:B1GAQFwV0
そして、放課後。所用で職員室を訪れた一夏と私の前に、件の生徒会長が現れた。

楯無「やあ、マクギリスさんに一夏君」

マクギリス「更識楯無、だったか。私に何か用かな」

一夏「生徒会長さん…?」

楯無「水臭いなあ、楯無で良いのよ?」

マクギリス「…用件を聞こうか」

楯無「つれないわね?簡単なお話、一夏君達を強くしてあげようって事よ」

一夏「…言われるほどには弱くはないつもりですけど…」

マクギリス「いや、我々はまだまだだ。軍用機一機に七人掛かりであれでは、弱いと言われても仕方あるまい」

楯無「貴方は別格なんだけどねー。だーかーら、マクギリスさんには私と一緒にコーチ役を担って欲しいの」

マクギリス「…なるほど。例の組織絡みという訳か。良いだろう、引き受けた」

楯無「流石マクギリスさん、話の理解が早くて助かるわね」

一夏「え、ちょ…」

マクギリス「君も彼女を見返したいだろう?ならばこの場は承諾したまえ」

一夏「まあ、良いけど…」

三人並んで、アリーナに向かう。
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