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渋谷凛「連れていってほしい」
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1 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:45:04.66 ID:pSLCOGdy0
――夏の終わりのある日・事務所
モバP(以下P)「なんだって?」
渋谷凛「もう一回言うよ。連れていってほしい場所があるんだ」
P「なんだ藪から棒に」
凛「訳は話すけど、ちょっと長くなる」
P「連れてけって、なんか遠い場所なのか」
凛「遠い……うん、そうだね、多分ちょっと遠い」
P「要領を得ないな」
凛「都内でも大丈夫だと思うんだけど」
P「それなら自分でいけるだろう」
凛「うーん、ちょっと難しいかな。あと、保護者も欲しい」
P「普通親御さんに頼まないか、そういうの」
凛「いや、いろいろ吟味した結果、プロデューサーが適役なんだ」
P「……よくわからん」クル
凛「あ、ちょっとこっち向いてよ」
P「こう見えても忙しいんだぞ。お前だってレッスンあるだろ」
凛「……」
SSWiki :
http://ss.vip2ch.com/jmp/1547822704
2 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:46:05.18 ID:pSLCOGdy0
P「プライベートで遊びに行くにしても、誘い方って言うのがあるだr」
凛「ねぇ」ギュッ
P「おわっ」
凛「お・ね・が・い」フゥッ
P「おぉぅ……耳に吹きかけるな!」バッ
凛「こっち向いてくれたね」
P「はぁ……何だよ、遊びなら他の人誘えって」
ガチャ
大和亜季「いえ、P殿。私からもお願いしたいであります」
P「亜季? んー……」
凛「本気でお願いしたいことなんだ」
P「遊びじゃないのか。……わかった、話を聞こう」
凛「ん、ありがと」
P「場所変えるか」
凛「アシストありがとう」
亜季「援護射撃任務完了であります」ニパッ
3 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:46:43.35 ID:pSLCOGdy0
――会議室
凛「前にプロデューサーが持ってきてくれた仕事、あるよね」
P「えーと、凛は特に多いからなぁ……亜季も一緒ってことは、今度の新曲だな」
亜季「それであります」
P「そうか。……にしては、乃々が足りないようだけど」
凛「そこが本題」
P「またレッスンから逃げた?」
凛「違うよ、そんなことしない……最近は」
P「そうだな。机の下にもいなかったし」
亜季「先日、P殿より頂いたインストと歌詞でありますが……あれを三人で視聴していて……」
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
♪〜
凛「すごく、なんていうんだろう。メロディが綺麗だよね。星空みたい」
亜季「間奏の電子音が心地いいでありますな」
森久保乃々「こ、こんな曲を……あぅ……」
亜季「怖気づいてしまいましたか乃々殿! ですがこれもP殿のオーダー、立派に遂行してみせましょうぞ!」
乃々「そのテンションはむーりぃー……」
凛「それで、この曲に合わせる歌詞が」
凛「……」
亜季「……」
乃々「……」
4 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:47:24.36 ID:pSLCOGdy0
亜季「わ、私がこのような歌を歌うのでありますか?」
乃々「それはもりくぼの台詞ですけど……」
凛「亜季さんが怖気づいちゃった。でも、これは確かに難易度高そう」
乃々「でも、これ……すごくいいのはわかります……」
亜季「も、もちろん! このような楽曲を用意してくれたP殿、作詞家殿、作曲家殿に報わなければ!」
乃々「うぅ……やれるかは分からないですけど……」
−−−
凛「私たち、意気込みは十分だった。乃々も、乃々の基準で」
P「まぁ、そうだな」
亜季「ライブより前にまずレコーディングがありますので、訓練も普段に加えてボイトレを増やしていただきました」
凛「最初は問題ないかなって思っていたんだけど」
亜季「パート練習から合わせていって、トレーナー殿にも順調との言葉を頂きました」
凛「けど、私たちは行き詰ったんだ」
P「順調、って言われたのにか」
亜季「で、あります。三人とも、どことない不安を抱えていました」
凛「乃々が、一番納得いってなかった」
−−−
♪〜
ベテトレ「よし」
凛「ふぅ」
乃々「……」
亜季「いかがでしたでしょう」
5 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:48:03.92 ID:pSLCOGdy0
ベテトレ「ふむ、まずまず順調と言っていいだろう。もちろん、ここからまだまだ仕上げるぞ」
ベテトレ「大和、普段の声ではないが、もっとしっとりとした雰囲気が出ると良い。いけるな」
亜季「イエスマム」
ベテトレ「森久保、音はとれている。自分のイメージに自信を持って、しっかり声を出せ」
乃々「はい……」
ベテトレ「渋谷、出だしがブレる。曲を印象づける場所だ。後続を安心させるためにも芯を持ってはじめろ」
凛「はい」
ベテトレ「皆、歌う技術は追い付いている。しっかりレッスンを重ねていってほしい。今日は以上」
凛乃々亜季「「「ありがとうございました」」」
亜季「さて。お二人とも、今日は何か食べて帰りますか?」
凛「そうだね。いい時間だし、食べて帰りたいかも」
亜季「ベテトレ殿、この後の予定はいかがです? せっかくなら」
ベテトレ「申し出は嬉しいが、このあともう1レッスンだ。気持ちだけ受け取っておく」
亜季「そうでありますか。お仕事お疲れさまであります」
ベテトレ「それに、私がいてはしにくい話もあるだろう?」
亜季「いやそんな、ハハ」
凛「ふふ。乃々はどうする?」
乃々「……ちがう」
凛「乃々?」
乃々「あっ、いや」
亜季「違うというのは……曲のことでありますか?」
乃々「えっと……」
ベテトレ「どうした。気になる所があるなら聞いておきたい」
乃々「あぅ…… その……」
6 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:48:41.33 ID:pSLCOGdy0
乃々「……ダメ出しは、分かります。自分でも……気になっていたところを言われましたから……」
凛「声が出ていないってとこ?」
乃々「それは結果で……自分のイメージに自信がないところ……です」
亜季「イメージでありますか。私も、雰囲気をもっと出すよう言われました」
凛「私は出だしに芯を持てって言うことだった。……ねえ、これって」
亜季「同じ原因、でありましょうか」
乃々「そうかも、って……」
ベテトレ「なるほど。全員、原因は曲への理解が足りていないことだな」
亜季「理解でありますか」
凛「……歌詞の解釈ってことかな」
ベテトレ「確かに大事なところだ。それが無いとどんな歌も枯れてしまう」
ベテトレ「歌は心、ソウル、魂と言う人がだろう。歌の技術が足りなくても、心の入った曲は人の心を揺さぶるものだ」
乃々「……そこが足りないのは……ダメっぽいなって……」
ベテトレ「そうだな。それが分かっているなら良い。しっかり曲と歌詞を聴きこんで、自分の中に落とし込め」
凛「こう言う解釈だって、教えてはくれないの?」
亜季「凛殿、それは」
ベテトレ「渋谷、それを私が言ったらその通りに歌うのか」
凛「……」
ベテトレ「歌詞の解釈を、私が教えても、私が考えても無意味だ。お前たちが見つけ出した物を伝えてくれないと、お前たちが歌う意味がなくなる」
凛「……そっか。わかった」
乃々「あう……こう言う雰囲気は苦手です……」
凛「あ……ごめん、乃々。大丈夫、私が軽率だったよ」
ベテトレ「すまないが時間いっぱいだ。言っておくが、曲の解釈で頭を悩ませているならいい方だ。大半は技術がついてこないからな。しっかりその曲を自分の物にしてやれ」
亜季「了解であります」
7 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:49:12.15 ID:pSLCOGdy0
――ファミレス
凛「イメージって言っても、やっぱり最初は宇宙が出てくるよね」
亜季「曲の雰囲気で、見えてくるのは確かに星空であります」
乃々「……」
凛「乃々は?」
乃々「あの、変なんですけど……真っ黒な雲に覆われて、何も見えない夜空です……」
凛「そうなんだ。ふーん……確かに雨が降ってることも書いてあるよね」
亜季「その暗い夜も突き抜けて、そこまで行こうということでしょうか」
凛「地上では雨が降っていて、手を伸ばせば銀河にも届きそうな空に、私達はいるのかな」
亜季「空よりももっと上、宇宙空間まで行っているのかもしれません」
凛「あ、じゃあ、銀河までの旅の歌とか」
乃々「辿り着くのが……ゴールじゃないんです、そこから『さよなら』してますから……」
凛「そっか、確かに」
亜季「銀河で二人、旅、別れ、とくると『銀河鉄道の夜』を連想するでありますな」
凛「宮沢賢治の?」
亜季「ええ」
乃々「もりくぼも、最初それが思い当たって、読んでみたんですけど……」
凛「けど?」
乃々「……言葉だけ取ると連想はしやすいんですが……ちょっと噛み合わない気がして」
亜季「確かに、最後に笑い合えるお話かというと。しんみりとするお話でありますから」
乃々「それに……銀河鉄道をモチーフした歌なら、デュエットで歌うんじゃないかと思って……」
凛「なるほどね」
8 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:49:42.32 ID:pSLCOGdy0
凛「んー……『さよなら』って切ないとか、しんみりとか、そういう言葉とセットなイメージがあるよね」
亜季「この歌だと、最後に笑っているのであります」
凛「笑えるような、さよなら? 無理して笑って見せてるのかな」
乃々「曲の最後の方は……もう一人になってます。その独白で、無理に笑うことは無いかなって……思います……」
亜季「おお……」
凛「……乃々、すごいね」
乃々「え、ええっ……なんですか……」
凛「それぐらいよく読みこんでるってことだよ」
亜季「説得力あるであります」
乃々「あの……すいません、否定ばっかりで……」
凛「そんなことないよ。すごく助かる」
凛「にしても、なんだろう。切なくない別れ……前向きな別れ?」
亜季「前向きな……うーん、私にはそんな経験はないであります」
凛「私もそういったことはまだないや」
乃々「もりくぼも、です……」
凛「最初は泣いているのに、最後は笑って別れられる関係か。なんか、ロマンチックかも」
亜季「きっと、いい関係なのでしょう」
乃々「そうなんでしょうか……」
亜季「互いに大切じゃないと、泣いたり笑ったりできないものでありますから」
凛「そうだね」
乃々「それは確かに、そうかも……」
9 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:50:26.59 ID:pSLCOGdy0
乃々「あの、これ……」
乃々「……本当に二人なんでしょうか……」
亜季「うーん?」
凛「でも歌詞には、僕ら、二人って」
乃々「そうなんですけど……」
凛「君と僕が二人じゃなかったら、か。三人だったら、ユニットで分かりやすかったかもね」
乃々「私には……まだ考えがまとまっていません……」
亜季「いやいや、私達もまだまだ理解が浅いです」
凛「そうだね。悩み過ぎてもなんだし。ゆっくり考えていこうよ」
乃々「ごめんなさい……」
亜季「何を言いますか。乃々殿のおかげで、解析は大きく進展をしていますよ」
乃々「え……」
凛「そうだよ。乃々が今日、レッスンの最後に言ってくれてよかった。このままじゃいけないってわかったの、すごい成果だよ」
乃々「あぅ……そういう風に褒められるの、慣れてないんですけど……」
亜季「私も、もっと理解を深めないといけないでありますな」
凛「そうだね……うん、うん」
亜季「凛殿?」
凛「うん。まずは……いろんなところに相談してみようか」
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
P「それで俺か」
亜季「私は凛殿から話を持ちかけられたであります」
P「まあ、大筋は分かった」
凛「乃々は、私達よりもっと深い場所で悩んでいると思う」
亜季「本来であれば、年長の私がいろいろアドバイスするべきなのでしょうが……」
凛「ううん、亜季さんにはいろんな意味で支えになってもらっているから」
亜季「そう言っていただけると嬉しいであります」
P「乃々のこと、どうにかしてあげたいんだな」
凛「人事じゃないよ。私達も歌うんだから。乃々ばかりに悩ませられない」
亜季「互いにカバーし合ってこその、スリーマンセルであります!」
P「ん? まあ、ユニットな、うん」
10 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:51:02.41 ID:pSLCOGdy0
P「しかしそうか、乃々がなぁ。『∀NSWER』のときより歌いやすい曲かなと思ったんだが」
凛「あれはほら、インディビジュアルズの妙な相性の良さもあるし」
P「やけくぼした時の勢いはすごいもんな」
凛「でもこの歌は違うでしょ?」
P「まあ確かに」
亜季「だからと言って、単純に悲しさを表現すればいいわけでもなさそうなのです」
P「そうか……うーん、作詞さんに聞くとかもできるけど……無しだろ、今の話を聞くと」
凛「そうだね」
亜季「そこは、ベテトレ殿の仰るとおりにしようかと」
凛「私達がもらった歌詞なら、私達が解釈するのが筋なんじゃないかなって」
P「ふーん、いい心がけじゃん」
凛「それ私の真似のつもり?」ピク
亜季「まぁまぁ」
P「とはいえ、俺が教えられることって言ってもな」
凛「確かにヒントは欲しいけど、お願いはそれじゃなくて」
P「ん? ああ、そういやどこか行きたいんだっけ」
凛「うん。見に行きたいんだ」
P「見に行くって……」
凛「これを」
亜季「そのものであります」
P「あー。そうきたか」
11 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:51:39.55 ID:pSLCOGdy0
P「見えるのか?」
亜季「肉眼で見られる様であります。ただ、実際は少々暗いものらしく」
凛「天文台とか、高い山の上でとかまでは行かなくていいけど」
亜季「やっぱり星を見るなら、空気の綺麗なところで見るのがいいと思いまして」
P「亜季って免許もってたっけ。いや、どっちにしろ見るなら夜に行かないといけないから、男の付き添いがあった方がいいな」
凛「というわけで、プロデューサーが適役なんだ」
P「なるほど、納得した」
凛「ね、お願い」
亜季「お願いします」
P「わかった。そこまで言われちゃ断れないよ」
亜季「ありがとうございます、P殿!」
凛「ありがとう、プロデューサー」
P「おう、これも仕事のうちだ。……あれ、結局なんで乃々はここにいないんだ」
凛「サプライズにしようかなって」
P「えー……未成年連れ回すんだから、親御さんの了解はとってくれよ」
凛「わかった、乃々のお母さんに取るね」
P「お前もだよ」
凛「ふふ、はーい」
亜季「私は器具の準備と、場所の選定をしておきましょう」
P「助かる。俺は車出すだけだな。出来れば翌日休日に頼む」
凛「わかった」
P「……で、あの最初のあれはなんだったんだ。あの、耳」
凛「ああ、あれ? いい誘い方ってのを教えてもらったんだけど……間違えてたかな」
亜季「どうにも私達、まだそういうことには慣れないものでして」
P「誰に教えてもらったんだ」
凛亜季「奏」「殿であります」
P「……よくわかった、人選ミスだ」
12 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:52:09.55 ID:pSLCOGdy0
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
――後日
凛「おつかれ」
亜季「お疲れさまであります」
乃々「お疲れさまです……」
凛「乃々、今日はこれから予定ある?」
乃々「え……いえ、ないですけど……ご飯なら、一緒しても……」
亜季「ふむふむ。ちなみに明日の予定は?」
乃々「一日なにもないですけど……え、なんですか、予定無しくぼを笑いに来たんですかぁ……」
凛「そうじゃないそうじゃない。うん、やっぱり決行日は今日だね」
亜季「でありますな」
乃々「はいぃ?」
凛「はいこれ乃々のスマホ。おうち電話して」
乃々「はいぃ」スッスッ トゥルルル…
亜季「プロデューサーにトラ連送! ご足労願ってくるであります!」
乃々「はいぃ」ガチャ
母久保『あら、乃々? どうしたの?』
乃々「はいぃ」スピーカーオン
凛「どうも、乃々のお母さん。346プロの同僚の渋谷凛と申します」
乃々「はいぃ」
凛「かくかくしかじか」
母久保『あらあら』
凛「もちろん私達だけでなく、プロデューサーも同行しますので」
母久保『じゃあ安心ね。ではうちの乃々を、よろしくお願いします』
乃々「はいぃ」
−−−
P「よっしゃー出発するぞー」
凛「はーい」
亜季「アイサー!」
乃々「むーりぃ……」
13 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:52:38.77 ID:pSLCOGdy0
ブロロロ…
乃々「急に説明もなしに……なんですか、いぢめですか……」
凛「そんなことしないよ」
乃々「むしろこれは拉致では……」
P「北海道の大物俳優みたいなこと言いだしたな」
凛「よくわかんない」
乃々「どこに連れていかれるんですか……」
凛「え、乃々のお母さんに説明してたじゃない」
乃々「なにか耳に入ってくる精神状態でしたか……?」
凛「このメンバーってことは、あの歌のことだよ」
乃々「それは、何となく見当は付きますけど……」
凛「私達の歌を、確かなものにしたいんだ。乃々もずっと思ってきたよね」
乃々「……まぁ、はい……」
亜季「発案は凛殿です。P殿も私も、この日のために準備を進めてきました。是非とも、皆で確認しに行きたいと思っていたのであります」
乃々「……なにをですか」
凛「決まってるじゃない」
亜季「実際にこの目で、見に行きましょう」
凛亜季「「アンドロメダを」」
14 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:53:05.67 ID:pSLCOGdy0
亜季(助手席)「雲レーダーによると、今日は西の方が条件がよさそうです」
P「西か。とりあえず中央道乗るか」
亜季「候補はこのキャンプ場であります。駐車場も充実しているでありますな!」ピッ ピッ
P「そりゃ助かる。山で街明かりもないし。あ、これでも都内なんだな」
乃々「アンドロメダ……」
凛「そう。実際に見に行ってみよう。アンドロメダ銀河」
乃々「えっと、じゃあこれは……天体観測の」
亜季「まあ、小旅行みたいなものでありますな」
乃々「先に言ってくれても良かったんじゃ……」
凛「こういうのって、勢いが大切なんだよ」
乃々「はい……?」
凛「事前に行こうって言っても、予定だ何だで伸ばし伸ばしになっちゃう。どこかですぱっと、行く、って連れていった方が乃々は行きやすいかなって」
乃々「それは……そうかもしれないです。凛さん、そこまで考えて……?」
凛「まあね」
乃々「……」
乃々「ちょっとだけ……見たくなりました。アンドロメダ」
凛「うん、見に行こう」
P(いや、乃々の混乱顔見たかっただけだろ)
亜季(言わぬが花でありますな)
15 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:53:33.34 ID:pSLCOGdy0
凛「私達は明確に答えが出ているわけじゃない」
亜季「そうですね。なんとなくこんな感じ、と雰囲気は分かっているつもりでしたが」
凛「それじゃダメ。それは、乃々の方が良く分かってるよね」
乃々「あぅ……もりくぼは、そんな大層なこと……」
凛「これまでも、いろんな歌を貰うたびにたくさん考えてきた」
亜季「これも、その延長線であります」
凛「それと、ちょっとした気分転換も兼ねて。ね」
乃々「はい…… 答えが出せるように」
P「出せるといいな」
凛「……プロデューサー、答えは見つかるかな」
P「ん? そりゃ、わからないよ」
凛「随分、あっさりしてるね」
P「君たちが答えを出すものだからな。誰にだってわからない」
凛「ん……」
P「でも、今回で見つからなくても大丈夫だ」
凛「え?」
亜季「何故でありますか?」
P「答えが出るまで、また何度でも付き合うさ」
凛「……そっか。ありがとう」
P「でもまぁ、収録日の変更はできないけどな」
凛「ちょっと、せっかくいい雰囲気だったのに」
乃々「だいなしぃ……」
亜季「P殿はもう少し女心に理解があるといいのですが」
P「そこまで言う?」
16 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:54:00.60 ID:pSLCOGdy0
――キャンプ場
キッ
P「んー……まだ夏って言っていい季節だもんな。キャンプしてる人もいるな」
亜季「週末でありますから……あ、でもキャンプ場の敷地から少し外れれば、街灯も無くて星が見やすそうであります」
凛「じゃあ降りてみようか」
パタ バタン
P「冷えるってわけじゃないけど、秋の雰囲気になってきてるな」
凛「わっ。ここでも結構星見える」
亜季「街灯のある駐車場でこれでありますから、暗いところに行くともっと見えるでありましょう」
凛乃々「「……」」
凛「ここより暗いところ行くの?」
乃々「あの、あっちの方とか、真っ暗で怖いんですけど……」
亜季「おおっ、良いでありますな。ではそこに向かっていきましょう!」
乃々「怖いって言ってるんですけど!?」
キュッ
P「なにスーツの端つまんでるんだ?」
凛「別に?」
17 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:54:27.58 ID:pSLCOGdy0
乃々「暗いのを嫌がるのは本能なんですけど……」
亜季「ではこういう時のための!」
ピカーッ
凛乃々「「まぶしっ!」」
亜季「防水、防塵、米国防省の軍用調達規格クリアのLED懐中電灯であります!」
P「おいこら、それ直接向けるな」
亜季「はっ! ではローモードで使用します。それでも30分置きに消灯時間を設けさせてください。バッテリー寿命が短くなりますので!」
P「使いづらいわ! まあ明るいのは確かだから、その間はこっちの普通のライトでいいか」
ペカー
乃々「なんていうか亜季さんのライトの後だと……」
凛「しょぼいね」
P「すごく理不尽なこと言われた」
18 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:54:59.45 ID:pSLCOGdy0
乃々「やっぱり行くんですかぁ……」
凛「まあ、いてもせいぜい鹿か狸だよ」
P「その割にはスーツから手、放さないのな」
凛「なにか言ったプロデューサー?」
P「声に震えが出ていないあたりプロだよ、凛は」
乃々「ぷ、ぷろでゅーさーさぁん……」キュッ
P「おっと。そっちはライト持っているほうの手だから、逆を」
キュッ
P「凛、その逆を塞ぐな」
凛「ライト私もつよ。気にしないで」
P「……じゃあ任せるけど」
亜季「ほらほら、早くいきましょう」
P「頼もしい」
凛「亜季さんがいて本当よかった」
P「一番実感こもってるぞ」
−−−
亜季「おおっ」
P「雲一つない、満天の星空だな」
凛「すごい……」
乃々「……綺麗、です」
亜季「ライト消したら、もっと凄そうでありますな」
乃々「だめです。消したらもりくぼは帰ります」
P「いつになく強い口調だ」
亜季「まあ、乃々殿がそう言うのなら」
19 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:55:25.73 ID:pSLCOGdy0
カシャッ
乃々「ひゃっ……なんですか……?」
凛「んー、これだけ綺麗でも、スマホじゃ撮れないか」
P「シャッタースピード調整と、ISOの設定ができるなら撮れるだろうけど」
凛「何の設定?」
亜季「いえ、結局手で持っての撮影は難しいであります。地面に直置きなら、あるいは」
凛「それはちょっと遠慮したいかな……」
亜季「それで、結局どの星でありましょう」
凛「銀河だから、しっかり光ってるんじゃなくて、ぼやっと見えるらしいよ」
P「そもそもどれがその銀河なんだ」
乃々「目に映る星の数が……多すぎます」
凛「よし、じゃあこれ。星座アプリ、ダウンロードしてきたんだ」
凛「えーとGPSオンにして……あ、すごい。スマホ動かすと星空も動く」
P「おー。お目当ての銀河は……」
凛「検索すると、矢印が出るね。その方向に合わせて……」
凛「んー、ちょっとだけコンパスがずれてるかな。他の星の位置からして……」
亜季「あ、あのW字、カシオペアでありますな」
P「お、詳しいのか?」
亜季「北極星を探すのに使える星でありますから」
P「あー、なんか聞いたことはあるような。北斗七星?」
亜季「そっちも使えますし、カシオペア座も使えるであります。ですが、まだ六分儀の使い方まではマスターしてないので、緯度経度の割り出しはできないであります」
P「いや、必要ないだろ」
亜季「何を仰いますか! 電子戦時にGPSが使えなくなった時のことも考慮しておかねば!」
P「お前さては今日テンション高いな?」
20 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:56:01.19 ID:pSLCOGdy0
凛「カシオペアから、東に寄った、ちょっと低い位置に……アンドロメダ座」
凛「黄色っぽい星から、少し左上に……」
乃々「あれ、でしょうか」
凛「その、なんていうか……もや、みたいなの」
亜季「多分あれのことですね……」
P「あれなのか?」
乃々「あれ……ですか……」
凛乃々亜季「「「……」」」
凛乃々亜季「「「うーん」」」
凛「なんて言うかこう……動かない雲?」
乃々「ちょっと楕円っぽく見えるような……気がしなくもないような……」
P「よくわからんな」
亜季「ではこの双眼鏡で」パッ
凛「うわ、ごつい」
亜季「USアーミー採用の代物であります! 防水性はもちろん、高度5,000mの低気圧下でも曇りが発生いたしません!」
P「日常使用には絶対オーバースペックだろ」
亜季「ではいざ!」スチャ
乃々「……」
凛「双眼鏡だと何か変わる?」
亜季「……しっかりと……楕円であります」
P凛乃々「「「うーん」」」
21 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:56:27.82 ID:pSLCOGdy0
P「とてつもなく遠い星の集まりだもんなぁ。双眼鏡でも全体の形が見えるくらいか」
凛「何光年だっけ」
乃々「230万光年です……」
P「良く知ってるな」
乃々「……調べました……」
凛「これ、天文台の望遠鏡とかじゃないと綺麗には見られないんじゃ」
亜季「むむむ」
P「まぁ、ロマンはあるよな」
凛「ロマン?」
P「230万光年だろ。いま見ているアンドロメダの光は、230万年宇宙を駆け抜けてきた光ってわけだ」
凛「230万年……」
亜季「途方もない時間でありますな」
22 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:57:01.74 ID:pSLCOGdy0
ピピピ
亜季「お、アラームが。30分経ったので、一時消灯させていただきます」カチ
乃々「うひぃ、とても暗いです……」
P「一応懐中電灯あるけど」ペカー
乃々「その程度の明るさだと、もう心もとないです……」
P「うん、まあ、わかる。車戻ってちょっと休憩するか」
−−−
ガチャ パタン
凛「意外とあっさり見つけられたけど」
亜季「それ以上にあっさりと見終わってしまったであります」
乃々「ある意味……もりくぼみたいに急に連れてこられた方が、期待が膨らまない分良かったかもしれません……」
P「まあ、星見て何か掴めるくらいなら楽なもんだよな。えーと」ガサガサ
凛「なにしてるの、プロデューサー?」
P「よっと。コンビニもので何だけど、飲み物と軽食だ」
凛乃々亜季「「「……」」」
P「あ、あれ? そこはもっとこう、盛り上がってもいいんじゃ」
乃々「いえ、その……」
亜季「この時間の配給は、何とも魅力的でありますが」
凛「ちょっと気にするよね……」
P「君ら、ちゃんとアイドルなんだなぁ」
凛「アイドルにしたのプロデューサーだよ」
グゥゥ
亜季「……」
乃々「……」
凛「だれ?」
亜季「いえ、私では」
乃々「あの、はいぃ……お腹鳴りくぼです……」
凛「ふふっ。いいね、私もお腹空いた。食べようよ」
亜季「食べた分、レッスンで消費すればいいでありますな!」
23 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:58:08.17 ID:pSLCOGdy0
P「そんで」
P「実際に見て、何か分かったか?」
乃々「そんな何が分かったとかなんて……」
亜季「とても遠い、遠い宇宙の彼方から来た光だということは、知識として分かりますが、実感が追い付かないであります」
乃々「……」
凛「あっ」
P「ん?」
凛「ねえプロデューサー。ここで曲、聴けるかな」
亜季「確かに! 聴きたいであります!」
P「ああ、待ってな。確かタブレットにデータが」
亜季「では、カーステレオにブルートゥース接続はいかがでしょう」
P「それいいな。タブのスピーカーよりいい音出るだろうし」
24 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:58:37.39 ID:pSLCOGdy0
♪〜
P(みんな聴き入り始めたな)
P(ぼそぼそと呟いて歌ったり。じっと窓の外を見つめていたり)
乃々「……」
凛「……」
亜季「どうして……どうして……きみは君なんだ」
乃々「……」ピク
凛「乃々?」
亜季「……?」
乃々「いつでも……きみは……」
凛「……?」
ガチャッ
凛「え、あっ、ちょっと」
亜季「どうしたでありますか」
凛「わかんないけど、乃々が外に」
P「おいおい、あまり遠くに行くなよ」
バタバタ
凛「乃々、どうしたの?」
乃々「なにか……分かったような気がして」
亜季「なにが、とは……なんでありますか?」
乃々「……」
凛「……」
亜季「……」
乃々「あぅ……やっぱり分からないです……」
乃々「……ごめんなさい、凛さん。こんな天体観測までして……」
凛「……」
乃々「なんていうか……くやしい、です。何か分かりそうだったのに……」
凛「ねえ」
乃々「はい……」
凛「こんばんは」
乃々「はい……?」
凛「ねえ。どうしたんだい」
凛「ねえ」
乃々「どうして、どうしてずっと泣いてるの、ですか?」
25 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:59:04.36 ID:pSLCOGdy0
凛「ふふっ。ここからがいいところなのに」
乃々「急に振られても困りくぼですけどぉ……」
亜季「ふふ……しかしなんです。天気はこんなに晴れて、満天の星空だというのに。あまりすっきりできないものでありますな」
凛「そうだね。ちょっと夢見すぎていたかも。実物を見てすっきり解決、なんて」
乃々「夢……」
P「……」ピ ピ ピ
♪〜
凛「あ」
亜季「カーステの音量、結構大きくできるのでありますな」
亜季「せっかくです、何か掴めなくても、歌ってみませんか」
凛「そうしよう、乃々。私も、歌ってみたい気分」
乃々「待って……もらえますか……」
凛「え?」
乃々「すっきりできない……暗い、曇り空のような……」
亜季「乃々殿?」
乃々「夢、願い……」
乃々「……」
乃々「うまく言えるか分からないけど、聞いてくれますか」
凛「うん」
亜季「ええ」
乃々「私たち……アンドロメダ銀河を見にきました」
凛「うん。一応、見れたね」
亜季「目標達成とはいきませんでしたが」
乃々「いえ……達成、だと思います……」
凛「えっと、どういうこと?」
亜季「何か答えがでたのでありますね?」
26 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/18(金) 23:59:46.24 ID:pSLCOGdy0
乃々「ぼくらが目指すアンドロメダは……」
乃々「……願いかな、って……」
凛「願い?」
乃々「夢、でもいいです……」
乃々「アンドロメダは、夢なんです」
亜季「夢……」
乃々「正確には、歌詞の中では『夢が形になって叶う場所』って……」
凛「うん」
乃々「アンドロメダへ行くのが夢じゃなく、夢が叶う場所がアンドロメダ……」
乃々「そこを目指す、ぼくらの物語」
乃々「泣いている、夢にあこがれているだけの僕と……」
乃々「夢に向かう、笑えない自分にも笑ってくれる、君」
亜季「やはり、二人の物語なのでありましょうか」
乃々「……この二人……自分自身のことかなって、思いました」
凛「どっちも、自分自身?」
乃々「太陽も見ずに過ごした自分……」
乃々「……夢に向かって、僕にも微笑むことができるようになった自分……」
乃々「不思議だったんです……君と僕と、そして、平仮名の『きみ』も『ぼく』あるの」
凛「あっ、確かに……」
27 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/19(土) 00:00:19.50 ID:ngn5gcrC0
乃々「夢を叶えられなかった『きみ』」
乃々「夢を叶えた『君』に手を差し出された『ぼく』」
乃々「変わっていく『僕』……」
亜季「どれも、自分ということでありますか」
凛「じゃあずっと、ここにいる君も僕も、一人だったっていうこと?」
乃々「凛さんと亜季さんは……ありませんか? 前の自分と、今の自分は違うなって、変わったなって思うこと……」
凛「それは……あるよ。うん」
亜季「アイドルを始めてからは、良く思うであります」
乃々「もりくぼも……少しは、変わったかなって思います……」
乃々「そんな、前の自分との」
亜季「アンドロメダという夢への旅路」
乃々「はい……だから」
乃々「アンドロメダは……ここなんです……」
凛「いま、ここが私達の夢」
亜季「今日の、みんなであの銀河を見るという夢」
凛「それが叶った私たちは」
乃々「夢に会えた自分は……」
乃々「夢に会えていなかった自分にさよならをするんです……」
凛「……ああ、そっか……さよならって言っているけど」
凛「夢が叶った自分との、出会いの曲でもあるんだ」
凛「寂しそうとか、切ないとかそんな感じかと思ったけど、そんなことはなくて」
乃々「もしかして、嬉しいのかなって……」
亜季「そして夢を願っていた自分を思い出して、微笑むことができる」
凛「……」
乃々「……」
亜季「……」
28 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/19(土) 00:00:46.44 ID:ngn5gcrC0
P「いいんじゃないか」
乃々「いいんでしょうか……これが正しいのかは、ちょっと分からないです」
P「こう言う解釈って、間違ってることはあっても、正しいってことはないからな」
凛「正しい答えは無いの?」
P「誰もが同じ答えには辿り着かないってこと」
亜季「その人それぞれによって夢が違うように、答えが違うということでありますか」
P「そんな感じかも。俺なんか、最初は銀河鉄道かと思って」
亜季「P殿も宮沢賢治でありましたか」
P「いや、999の方。アンドロメダに主人公の夢を叶える場所があるからさ」
亜季「あっ、そっちもありました!」
P「そのあと少し考え直して、ラブソングかなって思っていた」
乃々「えっ、プ、プロデューサーさんがそう思っていたなんて……じゃあ……」
P「大丈夫、乃々たちの考えた答えのままでいい。解釈は違ってて大丈夫」
P「すべてが伝わるものじゃない。でも、自分の中に何かの答えを持っていないと、なにも伝えられない」
P「伝わった想いは、受け取った人たちがまた考えていく」
P「その乃々の答えは、そのまま乃々が持っていればいいんだ」
29 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/19(土) 00:01:15.40 ID:ngn5gcrC0
亜季「また一つ、願いが叶ったでありますね」
凛「え? どんな願い?」
亜季「この天体観測の最初の目標でありますよ! 歌詞の解釈に、一つの答えを出せたではないですか!」
凛「あっ。そうだった」
亜季「これで凛殿も、前の自分にさよならするのでありますな」
凛「ちょっと、そんな頻繁に別れてなんていけないよ」
亜季「ははは」
乃々「ふふ……」
P凛亜季「「「……」」」
凛「乃々が、笑った」
乃々「ふえぇ……?」
凛「私達といるとき、ずっと借りてきたリスみたいだったのに」
乃々「猫では……」
亜季「私達とも、笑えるようになったのでありますね」
乃々「……そうかも、です。インディビジュアルズとは違うけど……ここも、これはこれで……ちょっと居心地いいかも……です……」
30 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/19(土) 00:01:43.66 ID:ngn5gcrC0
P「さーて、帰るか」
亜季「イエッサー!」
乃々「はい」
凛「……」
乃々「……凛さん?」
タタタッ
凛「プロデューサー」ギュッ
P「おっと?」
乃々「わわっ、後ろから……」
亜季「大胆でありますな……」
P「な、なんだ凛?」
凛「今日は……ここまで連れてきてくれてありがとう」
P「え? あ、ああ」
凛「この先も」
凛「まだまだこの先も」
凛「あの銀河の向こうまで」
凛「連れていってほしい」
P「凛……」
31 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/19(土) 00:02:10.84 ID:ngn5gcrC0
乃々「……」チラ
亜季「ふふっ、乃々殿。私達も行きましょう!」
乃々「む、むりじゃないですけど……」
ギュッ
亜季「私達も、同じ気持ちでありますよ」
キュ
乃々「いえ……もりくぼは連れていかれたくはないんですけど……」
P「お、お前たちな」
凛「プロデューサー。まだ答えを聞いてないよ」
P「答え?」
凛「連れていってくれる?」
乃々「この先も」
亜季「あの銀河も」
凛「夢の、そのまた次の夢の先も」
P「……いくらでも」
P「どこまでも連れていってやる!」
凛「うん……ありがとう」
乃々「ありがとう……ございます」
亜季「嬉しいであります……!」ギュゥ〜
P「……」
P「……92」
凛「ん?」
乃々「……」
P「ほ、ほら、もういいだろ!」
32 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/19(土) 00:02:37.14 ID:ngn5gcrC0
P「さあ、帰るぞ。乗った乗った」
凛乃々「わかった」「はい」
亜季「了解であります!」
ガチャ
バタン バタン
P「……いい曲になるな」
亜季「肯定であります」
P「作詞さんにも期待しててって言っておくな」
亜季「ふふ、それはプレッシャーでありますな」
P「あと、レコーディングも絶対行くぞ」
亜季「おおっ、P殿自ら参陣とは!」
凛「見ててね、プロデューサー。すごくいい曲にするから」
乃々「あの……」
凛「ん?」
乃々「みなさん、今日は……ありがとうございました」
凛「どうしたの、改まって」
乃々「今日ここに来なければ……私、もっとずっと悩んで……」
乃々「もしかしたら、歌うのも嫌になっていたかもしれなくて……それを」
乃々「凛さんが発案してくれて、亜季さんが準備してくれて……プロデューサーさんが連れてきてくれて……」
乃々「三人がいなかったら……」
33 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/19(土) 00:03:06.73 ID:ngn5gcrC0
凛「乃々のためだけじゃないんだよ」
乃々「え?」
亜季「私もであります。この三人と、そして自分のために。今日ここに来て、よかったと思っています」
凛「私も乃々に感謝したい。結局解釈は、乃々にまかせっきりだったし」
亜季「いやはや、乃々様様であります」
乃々「そんな……私も、二人がいなかったら、自分では辿り着けなかったですから……」
凛乃々亜季「「「……」」」
凛「ふふ」
亜季「ふふふっ」
乃々「……ふふ……」
−−−
ブロロロ…
亜季「P殿」
P「ん?」
亜季「アイドルは最前線で戦いますが……それは、P殿や作詞家殿、作曲家殿、たくさんのスタッフさん達に兵站を調えられて、初めて戦えるのだと改めて感じました」
乃々「美玲ちゃんが……せ、戦友って言ってました……」
凛「そして、願いを……夢を届けたいファンたちがいる」
亜季「P殿の願いも、私達の歌に乗せさせてください」
P「それは……いいのか? 大変だぞ?」
亜季「お任せください。必ずや、届けてみせるであります」
P「プロデューサー冥利に尽きるな。楽しみにしてるよ。ああ、そうそう」
亜季「はい」
P「この曲、作詞と作曲、別名義だけど同じ人」
亜季「マジですか!」
34 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/19(土) 00:03:37.60 ID:ngn5gcrC0
亜季「それにしても、仕事の後にこんなところまで車を出していただいて……P殿には貧乏くじを引かせてしまったでありますな」
P「いや、俺にも十分収穫あったよ」
亜季「それは重畳であります。どのような?」
P「まあ、ライブでやりたいプランができたな。この曲をやるなら、満天の星空を作りたい。プラネタリウムみたいに」
亜季「可能でありますか?」
P「それはまぁ……後々考えるけど」
P「普通のハコだと難しいか……ステージにだったら照明で……ああ、でも……」ブツブツ
P「なあ凛、次のドーム公演なら……」
亜季「P殿」シー
P「ん? ……ああ」
亜季「レッスンからの直行は、なかなかの強行軍でありましたから」
P「亜季も寝てていいぞ」
亜季「そんな、P殿を差し置いて寝るなど。私で良ければ、話し相手になるであります」
P「それは有り難い」
亜季「では、戦闘ドクトリンの好みなどはいかがですか。私はやはり縦深突撃からのブリッツクリークを」
P「わからんわからん」
凛「すぅ……」
乃々「くー……」
乃々(帰り道に、夢を)
乃々(夢を見ました)
乃々(それは、三人で星屑の波に乗って)
乃々(三人で宇宙を駆け抜けて行く夢で)
乃々(それは、どこまでも)
乃々(そう、どこまででも)
乃々(銀河の向こうまでも)
乃々「えへ……」
さよならアンドロメダ
https://www.youtube.com/watch?v=3g1-u8qPxkU
おわり
35 :
◆WO7BVrJPw2
[saga]:2019/01/19(土) 00:04:05.04 ID:ngn5gcrC0
いつかフルメンバーでライブお願いします。
話が固まってから見つけたネタなので入れられなかったのですが、
アンドロメダ銀河と天の川銀河は、いずれひとつになるそうです。
いまのところ書きたい話としては、
奏でシリアスとか
肇でいちゃいちゃとか
LiPPSでエロコメとかを考えています。
36 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/19(土) 02:06:07.92 ID:dOUX+Ks5o
乙でした
デレステのイベントも見たいね
37 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/19(土) 08:25:00.70 ID:cNQcX59Ho
おつ
こういうの好き
38 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/19(土) 21:50:30.23 ID:ysei7YP2o
乙
なんか上手く言えないけど良かった
39 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします
[sage]:2019/01/21(月) 16:16:26.19 ID:9AiIXAYgO
MC TCさん改めMCTCさんとTaku Inoueさんは別人だから(震え)
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