男「恋愛? してる暇もねぇよ」

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1 : ◆sIp4df23h. [saga]:2018/12/26(水) 16:48:06.79 ID:8aWmrgWAo
友「勿体ねぇ……俺はなーお前の事を親友だと思ってんだ」

男「そりゃどーも」

友「だからこの幸せを別けてやりたい! だが無理だ! この幸せは俺だけのものだからな!」

男「別けられても困るしな」

友「くぅー……なんて理不尽な世の中だ!」

男「……恋愛ねぇ……そんなに良いもんか? 金は使うし気も使うし、別れたら気分も悪くなんだろ」

友「一時の幸福感かもしれんがそれでも俺は今宇宙一幸せだ! それだけで良いんだよ!」

男「……ま、なんにせよ俺は恋愛なんてしてる余裕ねぇしな。妹と弟の面倒見なきゃいけねぇしバイトもあるし」

友「ま、そうだけどな。バイト先にいい人いないの?」

男「考えたことも無い。……じゃあここで」

友「おうまた明日な。お前のぶんまで幸せになってくんぜ」

スタスタ……

男「あいつに彼女ねぇ……長く続くと良いけど。なんて人のこと心配してる場合じゃねぇな、仕事行こ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1545810486
2 : ◆sIp4df23h. [saga]:2018/12/26(水) 16:58:30.82 ID:8aWmrgWAo
〜バイト終了〜

男「お疲れ様です」

女先輩「おつかれー!」

男「うっす」

バ男1「おっつー。男直帰?」

男「はい。早く帰って飯作らないといけないんで」

バ男2「このあと皆で飯でも食いに行くかって話してたんだけど、無理だよな?」

男「弟達が腹空かせて待ってるんで……」

バ男2「相変わらず大変そうだなぁ……ま、暇なときに行こうぜ」

バ男1「じゃあ俺らだけで行くかぁ。またな男」

女先輩「あ! ごめん私も用事あるの思い出した! 今日行けないや!」

男先輩2「おぉ……そうか、なら仕方ないな」

バ女1「なんの用事ー?」

女先輩「ちょっとお父さんに言われててさ……ごめーん」

男「それじゃお先に失礼します」

パタン……

バ男1「学校行って仕事して弟妹の面倒見て……俺だったら家出してるわ」

バ男2「お前と違って男は責任感強い奴だからな」

女先輩「じゃあ皆またね!」

パタン……

バ男2「…………」

バ男1「しゃーない元気出せ。今日は三人で飯行こうぜ」

バ男2「バーロこのくらいで落ち込むかよ」
3 : ◆sIp4df23h. [saga]:2018/12/26(水) 17:09:57.01 ID:8aWmrgWAo
男「(今日はなに作ろうかな……朝弟の奴唐揚げ食べたいとか言ってたなそういや。唐揚げ粉あったっけか……)」

ててて!

女先輩「男ー!」どんっ

男「いた! 女先輩? な、なんすか?」

女先輩「折角だから一緒に帰ろっかなって」

男「一緒に……? 家こっちでしたっけ」

女先輩「そんなとこ! ほら行こー!」ぐいっ

男「なんで腕掴むんすか……」

女先輩「えへへ、嫌?」

男「嫌というか……女先輩そんなキャラでしたっけ。あんま話したこと無かったしビックリしてます」

女先輩「そ、そうだよね。いや、ちょっと思うところがありまして……まあ良いじゃないそんなことは!」

男「まぁ良いんですけど。家どこっすか?」

女先輩「えーと……適当な所で別れるから気にしなくて大丈夫だよ!」

男「いやあの別に住所知っても変なことしないっすよ?」

女先輩「男君ってカッコいいよね!」

男「すげー突然。……カッコいいですか?」

女先輩「うん! まだ学生なのに一生懸命頑張ってて……年下なのに落ち着いてて大人で、カッコいいなって」

男「……そんな風に言われたこと無かったんで良く分かりませんけど、まあありがとうございます?」

女先輩「……で、仲良くなりたいなって」

男「すいません先輩、俺ってそういうことに疎いので分からないんですけど、もしかして今俺告白されてます?」

女先輩「告白!?」
4 : ◆sIp4df23h. [saga]:2018/12/26(水) 17:28:51.63 ID:8aWmrgWAo
男「違うようで安心しました。駆け引きとかそういう良くわかんねーのでハッキリさせとこうかと」

女先輩「あ、いや! ……あながち、間違いじゃない……のかも?」

男「そうなんですか? 変に期待を持たせるのも悪いのでハッキリ言っておきますけど、女先輩とは付き合えないっす」

女先輩「え……」

男「弟と妹立派に育てるまでは俺の事なんて二の次なんで。人のこと幸せにする余裕も無いし、すんません」

女先輩「……あ、いや、その……ぅー……と、友達になりたいかなって……」

男「友達ですか? それくらいなら全然。遊びにとかあんま行けないっすけど」

女先輩「……友達から、あわよくばお付き合いできないかな、と下心を働かせました……」

男「……わざわざ言わんでも」

女先輩「だって! 前から良いなって思ってたけど話すタイミング無くて! 友達が彼氏できたって毎日のろけて来て! 私だって彼氏欲しいって思ったんだもん!」

男「だからいきなり一緒に帰ろうとか言い出して来たんすね」

女先輩「今日からちょっとずつ仲良くなろうと思ってたのにいきなり白黒つけられるし!」

男「なんかすいません。ってかなんで俺なんすか?」

女先輩「……今言ったのもそうだけど、後輩への指導とか面倒なお客の相手してる時とか、すごいカッコいいと思ってて……なにこれ公開処刑!?」

男「指導って、別に特別なこと何もしてないっすけど」

女先輩「……何でもない事の積み重ねだもん、そういうのって」

男「でも好意を持たれてるっていうのは素直に嬉しいのでありがとうございます。なんか出だしから台無しにしちまってすいません」

女先輩「そういう優しさが余計に響くから!」

男「と、俺の家ここです。良かったら寄ってきますか? 飯食べてきます?」

女先輩「………………是非」
5 : ◆sIp4df23h. [saga]:2018/12/26(水) 17:38:00.95 ID:8aWmrgWAo
ガラガラ

男「ただいま」

弟「お帰り兄さん! お腹減った!」

男「母さんは?」

弟「まだ帰ってきてないから遅くなると思うよ。……あれ?」

女先輩「お邪魔します」

弟「は? 女? え、なに? 兄さんの彼女?」

男「ちげーよ職場の先輩だよ」

女先輩「初めまして、女先輩です」

弟「……兄さんに色目使ってんじゃねーだろうな?」ギロッ

女先輩「えっ!?」ビクッ

男「止めろ」ペシッ

弟「いたっ! ありがとう兄さん!」

男「すいません先輩、こいつ相当な人見知りなんですよ」

女先輩「そうなんだ……あの、よろしくね?」

弟「いや断りますけど。俺と兄さんと妹と母さん以外が家に入ってくるとか虫酸が走るわ」

男「だから止めろっての」ペシッ

弟「ありがとう兄さん!」

女先輩「……こ、個性的な弟君だね」
6 : ◆sIp4df23h. [saga]:2018/12/26(水) 18:01:53.21 ID:8aWmrgWAo
ガチャ

男「ただいまー」

妹「兄さん。お帰りなさい」

弟「妹! やべーぞ! 敵だ!」

妹「敵? いきなり何よ、頭大丈夫?」

女先輩「……お邪魔します」

妹「………………」スン

女先輩「(ひいっ!? なんか凄い冷たい視線!?)」

妹「……兄さん、誰ですかそいつ?」

男「そいつって言うなっての。職場の先輩だよ。挨拶しろ」

妹「……それはそれは。わざわざ職場から着いてきたの? 大したストーカーぷりね」

男「もうわかったと思うけど妹も人見知りなんだ。本当似た者兄妹だろ?」

妹「兄さん! ここは私たちの愛の巣です! 知らない人を入れるなんてどういうことですか!?」

弟「そうだよ兄さん! こんな現実到底受け入れられないよ!」

男「飯作るからちょっと待ってろよー」

妹「無視しないでください兄さん!」

男「すいません先輩、そいつらの相手してやっといてください」

女先輩「凄い難易度高いこと要求するね!? 任せて!」

パタン

弟「おうとっとと帰れや……」

女先輩「一言目からもう仲良くできない!」

妹「兄さんを奪うつもりなら、相応の覚悟をしてもらうわ。私、これに関しては本気で遠慮する気無いから」

女先輩「やると言ったらやる凄みを感じる!」

弟「はーほんとしんどいわ。兄さんとの至福の時間を邪魔されるとかほんとしんどい。死んでくんねぇかな」

妹「私がやってあげようか?」

女先輩「何するつもりか分からないけど止めよう! 仲良くしよう!? 私男君のこと取る気なんて無いから!」

妹「嘘ねそれ。兄さんを見る目がほんと気持ち悪いもの。雌のそれだったわね」

女先輩「雌の!?」

弟「俺らん目が誤魔化せると思ってんのかよ。エロいことしてーって伝わってくんだよ」

女先輩「そこまでじゃないよ!?」

弟「じゃあなにしてーの?」

女先輩「…………手を、繋いだり……?」

妹「有罪。どうしようかしら?」

弟「俺がバラすから消す方法考えとけ」

妹「分かったわ」

女先輩「不穏すぎて辛いよ!」

妹「……と、言うのは冗談だけれど。今日は仕方ないけれど、今後兄さんに二度と近づかないって誓ってくれるかしら」

女先輩「そんなん無理だよ! 職場一緒だし! それに、男君とは仲良くしたいし……」

弟「マジかよ……妹、やべぇぞこいつ。ここまでやっても引いてる気配がねぇ!」

妹「無駄に年重ねてるだけあって精神的に余裕があるみたいね……ここじゃ兄さんに気付かれるわ、忘れた頃に……」

女先輩「何されるのかな!?」
7 : ◆sIp4df23h. [saga]:2018/12/26(水) 18:14:41.44 ID:8aWmrgWAo
ガチャ

男「楽しそうだな。仲良くなってくれて良かった」

妹「兄さん! 私は兄さんとお母さんと弟がいるだけで良いんです! こんな女が家族の絆に入り込んでくるなんて言語道断です!」

弟「そうだよ兄さん! 今まで四人で仲良く頑張って来たじゃないか!」

男「まるで俺がお前らの親で、どこぞの誰かと再婚するみたいだな。いやまぁ良いや、先輩なんか嫌いな食べもんあります?」

女先輩「ううん、何でも食べれるよ!」

男「なら良かった。聞くの忘れてたもんで」

女先輩「男君の手料理……なんだよね? 楽しみだなぁ」エヘヘ

男「雑な男料理っすけどね」

パタン

弟「オイコラ女ぁ……兄さんに色目使うなつったよなぁ……?」

女先輩「ひぃっ」

妹「弟、今はとりあえず忘れなさい。この女に恐怖を叩き込むのは後よ」

女先輩「後も止めてほしいんですけど!?」

弟「……よし。恨みっこなしのジャンケンだからな」

妹「当たり前よ。今日は勝つわ」

女先輩「え、なに? 何が始まるの……?」

最初はグー
ジャンケン……ぽん!

女先輩←グー
妹←チョキ
弟←チョキ

妹「」

弟「テメェクソ女ァ!」

女先輩「なになになんでぇ!?」ヒーン

妹「『料理中の兄さんに甘えてあーんして貰うジャンケン』……貴女はその神聖な儀式に水をさした……極刑よ、極刑ものよこれは!」バンッ

女先輩「なにそのジャンケン!? 毎日そんな羨ま……迷惑なことしてるの!?」

弟「許せねぇ……こんなもん受け入れられるか!」

妹「ダメよ……ダメよ弟。ジャンケンの結果を覆す、なんて前例を作ってはダメ……それをしてしまったら、また私と貴方は戦争状態になってしまうわよ……!」

弟「く、クソがぁ……! テメェこのアマ!」

妹「早く行きなさい……今すぐ! 兄さんにあーんして貰ってきなさい! これは命令よ!」

女先輩「すっごい無茶苦茶!」
8 : ◆sIp4df23h. [saga]:2018/12/26(水) 18:15:58.35 ID:8aWmrgWAo
とりあえずこんなところで失礼します
年齢は
男(17)
弟(13、年上)
妹(13、年下)
女先輩(20)
くらいで想定してます
9 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2018/12/26(水) 23:05:42.21 ID:H9ksQAzaO
20が17狙うのはちょっと引く
10 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2019/01/08(火) 21:55:22.06 ID:GVyCdWULo
恋や愛に年齢など関係ない
まつぞ
11 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:46:12.89 ID:kFjV/QcYo
トントントン……
ジュウウウウウ

そーっ……

女先輩「良い匂いだね」

男「おっ? あ……女先輩? ビックリした、誰かと思いました」

女先輩「男君が料理してるってなんか意外ーそういうことしなさそうに見えるもん」

男「母さん家にいること少ないんで必然的に。あ、もしかして先輩もお腹空いてます?」

女先輩「え? ……う、うん。ちょっとね」

男「ハハハ。弟と妹もよくおかず盗みに来るんすよ。行儀悪いですけど一つつまみます?」

女先輩「良いの?」

男「ええ。この箸使ってください」

女先輩「………………あーん」

男「おおっと。マジすか」
12 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:46:50.05 ID:kFjV/QcYo
女先輩「あーん!」///

男「さてはあいつらの入れ知恵だな? まったく……はい、熱いんで気をつけてください」スッ

女先輩「ん……あっふ! あふ! ……あ、美味しい」ホフホフ

男「なら良かった。もうちょいで出来るんで大人しく待っててくださいね」

女先輩「はーい」

テテテ……

女先輩「……んふふ……えへ……」

妹「きっもちわるいわね」ギリッ

弟「兄さんは優しいから誰にでもするんだからな。勘違いすんじゃねぇぞ」

女先輩「か、勘違いなんてしないよ……私男君に振られてるし……」

弟「はっ! そりゃ結構! 兄さんは俺達と幸せになるから草葉の陰から見守っててくれや」

女先輩「やっぱり殺す気だね!? やめて!」
13 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:48:11.48 ID:kFjV/QcYo
妹「ちょっと黙ってなさい弟。こういうときに感情的になっても意味無いわ」

弟「だがよぉ……」

妹「この女が一人いようと大局に影響はないわ。既に振られている以上敵に非ず」

女先輩「……まだ諦めてないけど」ボソッ

弟「あぁ……? 今なんつった……?」

女先輩「ぜんっぜん諦めてないですけどー! まだまだこれからだと思ってるから!」

妹「こ、この女……! 往生際の悪い!」

女先輩「ふんっ、男君言ってたもん。弟と妹が立派に育つまで自分は二の次だって! それまで待てば良いし!」

弟「…………」

妹「……兄さん……」

女先輩「……え? あの、なんか変なこと言った?」

弟「……んでもねーよ。お前には関係ねー」

妹「ええそうね。これは私達の話だもの」
14 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:48:42.26 ID:kFjV/QcYo
弟「大体兄さんも見通し甘いんだよなぁ、俺らが大人になったら一人立ちすると思ってんだから」

妹「一生一緒にいるに決まってるのにねぇ?」

女先輩「……二人とも、お兄さんのことが好きなんだね?」

弟「あたりめーだろ。兄さんより良い男は生まれてこの方見たことも無いぜ。性別の壁を超越した愛を抱いているくらいだ」

女先輩「思ったよりガチ過ぎた!?」

妹「当たり前の事過ぎて今さら何を言ってるのか分からないくらいね。私達が働けるようになったら二人で兄さんを養うわ。その程度には愛しているわよ」

女先輩「純粋に愛が重い! というより性別の壁とかそういう話以前に兄弟ですよね!?」
15 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:49:28.25 ID:kFjV/QcYo
妹「別に良いわよ義理だし。法律になんて縛られる理由はないわ」

女先輩「義理?」

ガチャ

男「お待ちー」

弟「兄さん! 早く食べさせてよ! あーん!」

男「はいはい自分で食べろよー」

妹「兄さん好き!」

男「妹はおっきくなったら絶対美人になるからな、そういうのは良い男掴まえて言ってやれ」

妹「兄さんより良い男なんて世界のどこにもいないわ!」
16 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:50:06.29 ID:kFjV/QcYo
男「女先輩、米どんくらい食べます?」

女先輩「あ、普通で大丈夫だよ」

男「分かりました」

妹「兄さんのいけず……」

男「うし。じゃあいただきます」

「いただきまーす」

……………………

女先輩「今日はごちそうさま。いきなり押し掛けちゃってごめんね?」

男「いえ気にしないでください。こういうこと全然無かったんで楽しかったっす。あ、送っていきますよ」

女先輩「あー良いの良いの。そんなに家遠くないから」

男「万が一があっちゃいけないでしょ」
17 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:50:52.82 ID:kFjV/QcYo
女先輩「うーん……実は迎えが来てるんだよね。だから大丈夫なんだ」

男「そうなんすか? なら良いですけど」

女先輩「うん! またね!」

男「はい。おやすみなさい」

ガラッ……

女先輩「…………ふぅ……美味しかったなー男君のご飯。家庭の味みたいな……えへへ」

「お嬢様、お迎えに上がりました」

女先輩「ありがとう執事。待たせてごめんね」

執事「いえ。お嬢様の喜びが我々の喜びでありますので。我々もお嬢様の背を押した甲斐があったというものです」

女先輩「うん……執事達のおかげで一歩進めたよ。本当にありがとう」

ガチャ……パタン

車運「で? どうでした? 押し倒しましたか?」

女先輩「そっ、そんなことしないよ!」
18 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:51:24.66 ID:kFjV/QcYo
車運「なんでぇお嬢、今朝『私頑張るから!』って啖呵切ってたじゃないですか」

執事「自宅に上げてもらうというのも中々高いいハードルですよ、車運さん。それ以上を要求するのは厳しいかと」

女先輩「そうだよ! そういうのは段階を踏んで」

執事「さて、何年たてば最上段に辿り着けるかは分かりませんが……」

女先輩「もー!」

執事「…………それはそうと。男様のことについてはお調べしてありますが、ご覧になられますか?」ペラッ

女先輩「いらないわ。それは男君に直接聞かなければいけないことだし、そういうことしないでって言っておいたでしょ?」

執事「お嬢様の事を考えた上での行動でございます。我々の大切なお嬢様の相手は相応の方で無ければいけません」

女先輩「心配してくれるのはありがたいけど……」
19 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:52:27.01 ID:kFjV/QcYo
執事「男様には目立った問題はありません。とても真面目な好青年で、老若男女に好かれるタイプと言えますでしょう。学校の成績は中の下、運動は得意ですが怪我をしないように手を抜いているようですね」ペラッ

女先輩「なんで読み上げるのさ……」

執事「女性との付き合いは皆無と言えるでしょう。告白は何度もされているようですが、お嬢様が言われたような事を言われて身を引いているとのことで。つまり童貞ですね」ペラッ

女先輩「どっ!」

車運「かー、真面目なのは良いことですけど今流行りの草食系って奴なんですかねぇ。勿体ねぇなぁ」

女先輩「…………」

車運「おっ、ちょっとホッとしてますね?」

女先輩「そ、それは……まあ」

執事「…………ほう。なるほど」ペラッ

女先輩「なに? 何か書いてあるの?」

執事「いえ、これはプライバシーですのでお嬢様にはお見せできません」

女先輩「さっきご覧になりますかとか言ったのに!?」
20 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:52:54.29 ID:kFjV/QcYo
執事「それはそれこれはこれ。お嬢様に相応しい方というのに間違いはありませんので、何も問題はありませんよ」

女先輩「凄い気になってきたよ! なんで執事は真面目な顔して意地悪ばかりするの!?」

執事「全てはお嬢様を想えばこそ……」

女先輩「……うぐぐ」

執事「(……中々苦労しているようですね、男さんは。出来ることならお嬢様とくっついて欲しい所ではありますが、さて……どうなることか)」

女先輩「…………えへへ」

執事「(……いえ。我々が干渉できることはそう多くは無いでしょう。せめてお嬢様が後悔しないように、ほんの少しのお手伝いを、ですね)」

……………………
21 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/09(水) 18:53:49.71 ID:kFjV/QcYo
今日はここまで

>>10
ごめんまったく気にしてなかった
単純に忘れてたりFGOの周回したりで時間なかっただけや、見てくれてありがとう
22 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/10(木) 13:30:14.85 ID:u37qBbGco
ちなみ見てる人っておる?
需要云々分からんし感想も特に無いから気になる
一人はいるらしいから続けるけども
23 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/10(木) 13:47:01.14 ID:Mp3rvlJ8o
オマエヲズットミテイルゾ……
24 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/11(金) 00:15:55.84 ID:e1p4INIXO
オレモミテイルゾ
25 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]:2019/01/13(日) 16:08:31.96 ID:T9P66Gs3o
まあまあ見てるぞ
26 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:20:52.76 ID:HdEZ9urGo
友「でさー、友彼女がさー、ゲーセンでさー」

男「クレーンゲーム100円で取ってくれたんだろ。もう三回目だぜその話……」

友「お? 悪い悪い……」

男「ボケた老人みたいになる程の恋って奴か……」

友「なんかそう例えられるのスゲー嫌なんだけど!」

男「悪気はなかったんだが悪いな。まあ仲が良いのは良いことだ」

友「お前も彼女作れよーダブルデートしようぜぇ」

男「ダブルデート……いや、してる暇ねぇって」

友「お前ならすぐ作れるってー」

男「作りたいから作るもんでもないだろ」
27 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:21:20.60 ID:HdEZ9urGo
友「なんなら「忙しい人でもオッケー」な子探してやろうか?」

男「……それはそれでどうなんだ? なんか都合良すぎるだろ。つーか良いって、そういうのは妹と弟が一人立ちしてから考える」

友「お前の妹弟って、今13とかだろ? あと5年も仕事仕事ってやんのか? 青春がそれだと寂しいだろー!」

男「……そうでもないよ。妹弟の面倒見るのは好きでやってることだし、あいつらが幸せになんのが俺の夢だからな」

友「おっ…………おー、そうか。なんか……悪い」

男「変に気使うなって」

友「いや……お前まだ」

キーンコーンカーンコーン
28 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:21:47.54 ID:HdEZ9urGo
男「ほら、授業始まるぞ」

友「お、おう」タタッ

男「…………。終わりなんて無いだろ、俺はずっと頑張らないといけないんだから」


『お母さんなんて大嫌いだ!』

『お母さん……どこ……?』

『お母さん! そんな……うわぁぁぁぁ!』


男「(……早く、母さんに会いたいな)」

キーンコーンカーンコーン
29 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:22:16.01 ID:HdEZ9urGo
男「……んーっ。終わった終わった」

友「今日はファミレス?」

男「おう」

友「俺ら後で行くかもしんねーからそんときはよろしくー」

男「デートならもっと洒落たとこ行けばいいのに」

友「高い金かけるだけがデートってもんじゃないんだぜ? 一緒の時間を共有できるならどこだっていいんだ!」

男「ほー……ま、了解」

………………

ガヤガヤ……ワイワイ……

男「なんだ? なんかやたら混んでるんだが……」

ガチャ
30 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:22:45.38 ID:HdEZ9urGo
男「おはようございます」

フ店長「あ、男くん! 急いでホール入ってくれる!? もう夕方の子皆入ってるから!」

男「うっす。なんかあったんすか?」

フ店長「なんか人気アイドルがSNSに投稿した写真がうちの店の商品だったらしくて……もう消されたらしいんだけど、この有り様だよ……」

男「迷惑な話っすねー」カチャッ

フ店長「繁盛するのは別に良いんだけどいきなりドカンッと来られても対応出来ないからねぇ……」

男「とりあえず入りまーす」

フ店長「よろしくー! 僕も買い出しに行ってくるよ、何かあったら電話するように伝えておいて!」

男「了解です」

……………………
31 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:23:12.88 ID:HdEZ9urGo
フ新男「だー! 疲れたぁ!」

男「お疲れさん」

フ新男「なんで先輩そんなフツーなんですかぁ! 大変だったじゃないですかぁ!」

男「繁忙期ってのはいつかは来るからなぁ。それにも増して忙しかったけど、このくらいなら全然」

フバ男「俺はくたくただわ……主にただ来ただけの客の対応がな……店内の撮影だけさせてくださいってなんだよっつー話……」

フバ女「本当ね! 無駄に忙しくさせやがってー……」

フ店長「アハハ……みんなお疲れ様」
32 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:23:43.72 ID:HdEZ9urGo
フバ女「にしても店長、アイドルちゃんが来てるって知ってました?」

フ店長「いやそれが全然。写真の商品が今月限定のメニューだったらしいから最近だとは思うんだけど、分からなかったなぁ」

フバ男「俺大ファンだから見たらわかると思うんだけどなー。やっぱ変装してるのかな?」

フ新男「そりゃしますって。アイドルちゃんとかバレたら大騒ぎになりますよ! 俺が騒ぎます!」

フ店長「やめてね……?」

男「そんなに有名な人なんですか?」

フバ女「うそ知らないの!?」

フバ男「こいつん家テレビ無いんだよ。あのな……まず可愛い! 声が良い! 歌も上手いし愛嬌もある! 控え目に言って最高だ!」

男「へぇ……と、それじゃあお先に失礼します」

ガチャ
33 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:24:16.70 ID:HdEZ9urGo
男「すっかり遅くなっちまったな……早く帰らないと」

「あの……すいません」

男「ん? ……はい? 俺ですか?」

「…………」

男「(ん?)どうしました?」

「えっと……今日お店、大変でしたよね?」

男「えーと……まぁ、それなりに?」

「……その、驚かないでくださいね?」スッ、スッ……

男「………………」

「………………あれ?」

男「え? あ、眼鏡とマフラー外すから驚くなって事でした? え、どういうこと?」
34 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:24:44.67 ID:HdEZ9urGo
「いや、あの……私、アイって言います」

男「なるほど。俺は男です」

アイ「……私のことは分かりますか?」

男「ええ。たまに店に来ていますよね?」

アイ「は、はい。……え?」

男「ああ、まだ混んでるかって話ですか? いつもよりは人いますけど、多分すぐ座れますよ」

アイ「…………私のこと、知らないんですか?」

男「えぇ? いや知ってますよ? 季節のメニューとか期間限定のメニュー注文する方ですよね? 食後はココアの」

アイ「私、アイドルって言います」

男「アイドル? さっきアイって……あれ? どこかで聞いたような名前だな」

アイ「アイドルは私の芸名で……」
35 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:25:17.03 ID:HdEZ9urGo
男「……あぁ、そうか。SNSでうちの店特定されたアイドル……アイドルって名前だったなそういえば。え、君が?」

アイ「……一応。迷惑をかけてしまったので、ちょっと様子を見に来たんです……」

男「早く帰った方が良いよ。まだファンがうろついてるだろうし、ここで男と会ってるのバレたら騒ぎになるから」

アイ「………………」

男「なんでさっきからショックを受けてるんだ?」

アイ「い、いえごめんなさい……ここまで興味を持たれないというのも初めてなもので……」

男「あぁ、すまん。俺の家テレビ無いから、有名人とか芸能人とか全然分からなくてさ。俺が変なだけだから気にしないでくれ」
36 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:25:51.19 ID:HdEZ9urGo
アイ「あ……ご、ごめんなさい失礼な態度で。あの、店長さんはお店に?」

男「あぁ。……案内しようか?」

アイ「はい。お願いします」

男「じゃあとりあえず眼鏡とマフラーつけてくれ」

アイ「はい」

ガチャ

フ新男「うおっ! ビックリした! 先輩? どうしたんすか?」

男「悪い。店長の親戚が用があるんだとさ。お疲れ」

フバ男「おつかれー」
37 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:26:20.66 ID:HdEZ9urGo
アイ「…………」ペコ

フ新男「……?」

フバ女「どした?」

フ新男「んー……や、なんでもないっす」

スタスタ

アイ「……凄い自然に嘘つくんですね?」

男「接客なんて嘘と謝罪しかないからな」

アイ「…………確かに?」

男「アイドルってのも大変そうだな」

コンコン

男「失礼します」

フ店長「はあい。ってあれ、忘れ物?」

男「いえ、店長に客です」

アイ「こんばんは」ペコ
38 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:27:23.06 ID:HdEZ9urGo
男「じゃあそういうわけで。失礼します」

フ店長アイ「えええええ!?」

フ店長「ちょっと待ってくれないかな! 突然人連れてきて帰らないでくれる!?」

アイ「できれば一緒にいてほしいのですが!」

男「SNSに写真載せて迷惑かけたって謝りにきたんすよ」

フ店長「はい?」

アイ「今回は本当に申し訳ありませんでした」ペコッ

フ店長「………………あ、アイドル、さん?」

……………………
39 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:27:58.30 ID:HdEZ9urGo
アイ「今日はありがとうございました」

男「おう、おつかれ」

アイ「なんでそんなに冷たくするんです!?」

男「冷たくしてるつもりはないんだが。早く帰りたい」

アイ「そ、それはそうでしょうけど……店長さん、いい人で良かったです」

男「無理やり話を継続させにきたな……まあ良いか。確かに今日から何日かは忙しくなるだろうけど、別にそれだけだしなこっちは。迷惑な客は追い返せば良い」

アイ「あっ、マネージャーと同じこと言ってます。『明日にでも私が謝罪に行けば済む話よ』って言ってました」

男「ほー……。……で、こんなところで良いか?」

アイ「もしよければ連絡先を交換していただけませんか?」

男「はっ?」
40 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:28:25.71 ID:HdEZ9urGo
アイ「あっ、いえこれも何かの縁かなと!」

男「いや俺スマホとか持ってない。家のでいいか?」

アイ「スマホを持ってない!?」

男「高いし買う理由がないからなぁ。悪いな」

アイ「…………家の電話番号……教えてもらっても?」

男「良いのか。じゃあ……」

ピッピッ

アイ「……登録しました」

男「そうか」
41 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:28:51.66 ID:HdEZ9urGo
アイ「一応これ……私のプライベート用の連絡先が書いてある名刺……」

男「プライベート用? ああ、ありがとう。じゃあもう帰るぞ」

アイ「あの! 今日はわざわざありがとうございました! あと……ありがとうございました!」

男「なんでお礼二回? まぁ、うん助けられたなら良かった」

スタスタ

アイ「……ありがとうございました」ペコッ
42 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:29:19.03 ID:HdEZ9urGo
弟「兄さん! 遅かったじゃないか!」

妹「そうよ! 心配したのよ!? 何かあったらとどうしようかと!」

男「おー心配かけて悪かったな。待ってろ今飯作るから」

ガチャ

母「おっ、おかえりー男君ー。お腹へったー」

男「ただいま……って、二人のご飯作ってやってくれよ」

母「私の飯なんて食ってくれないっての。すっかり男君に調教されちゃってんだから」

男「調教て……まったく」
43 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:29:46.17 ID:HdEZ9urGo
母「それで、今日はなんで遅くなったの?」

男「それが客が物凄い数入ってきてさ。人手が足りなすぎててんやわんや」

母「ふーん……よし、スマホ買おっか」

男「ちょっと話の繋がりが見えないんだけども」

母「何かあった時に連絡できた方が便利でしょ?」

男「母さん、俺は事故ったりしないから大丈夫だよ。無駄遣いなんて」

母「無駄じゃない」

男「………………まあ、無駄遣いにはならないだろうけどさ」
44 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:30:13.35 ID:HdEZ9urGo
母「はいはい決まり。ついでにあんたらの分も買うわよー安いやつだけど」

妹「…………ええ、そうね。ありがとうお母さん」

弟「へへっ、これでいつでも兄さんと連絡できるね!」

母「じゃあご飯できたら呼んでねー休んでるから」パタン

スッ

弟「……兄さん、一番兄さんのこと心配してたの母さんなんだ。いつも通りに見えて結構テンパってるから、優しくしてあげてね?」

男「そうみたいだな。目が笑ってなかった」

妹「勿論私たちだって心配したわよ?」

男「うん、分かってるよ。あ、なぁお前らさ、アイドルって子知ってる?」
45 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:30:40.37 ID:HdEZ9urGo
弟「誰それ? 女?」

男「まあ明らかに女の子の名前ではあるが。超人気アイドルって話なんだが」

妹「一応話だけは聞いたことがあるわ。クラスの子が話をしてたのを聞いた程度だけど」

男「そうか」

弟「それがどうかしたの?」

男「いや、何でもないんだ。気になっただけ」

妹「アイドルの追っかけなんて許さないわよ?」

男「しないから」
46 : ◆sIp4df23h. [saga]:2019/01/21(月) 17:31:07.84 ID:HdEZ9urGo
とりあえず今日はこんなところで
ヒロイン全員揃うまであともう少し
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